JP5402978B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
インクジェット記録装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5402978B2 JP5402978B2 JP2011100642A JP2011100642A JP5402978B2 JP 5402978 B2 JP5402978 B2 JP 5402978B2 JP 2011100642 A JP2011100642 A JP 2011100642A JP 2011100642 A JP2011100642 A JP 2011100642A JP 5402978 B2 JP5402978 B2 JP 5402978B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- ink
- roller
- unit
- recording head
- pigment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
ところで、インク吸収性の低い記録媒体に対する定着性を高めるために、水性インクに樹脂を含有させるようになっている。しかしながら、樹脂が含有されているインクが記録ヘッドのインク吐出部に付着したまま乾燥固化すると、当該インク吐出部をブレードで払拭しただけでは、当該インクを適正に取り除くことができなくなる。そこで、所定の洗浄液を含浸させたローラの外周面でインク吐出部に付着したインクを払拭する洗浄機構が知られている(例えば、特許文献2参照)。
そのため、記録動作を再開しても、ローラでインク吐出部の払拭を適正に行うことができなくなってしまうだけでなく、当該ローラがインク吐出部のノズルに接触してノズルの損傷を引き起こしてしまうといった問題が発生する虞がある。
インクをインク吐出部から吐出する記録ヘッドと、
容器内に貯留された洗浄液に一部分が浸漬され、外周面で前記記録ヘッドのインク吐出部に付着したインクを回転しながら払拭し、吸収するローラと、
前記ローラを回転させる駆動部と、
前記記録ヘッドを用いた記録動作後に当該装置本体の待機状態にて、電源を供給する電源部と、
前記記録動作後に所定時間が経過する毎に、前記電源部から前記駆動部に電源を供給して、前記ローラの略全体に所定の洗浄液を含侵させるように前記ローラを複数回回転させる制御部と、を備えることを特徴としている。
前記記録動作後に経過した時間を計測する計時部を更に備え、
前記制御部は、更に、
前記計時部による計時結果に基づいて、前記電源部から前記駆動部に電源を供給するタイミングを制御することを特徴としている。
前記容器に所定の洗浄液を供給する液供給部を更に備え、
前記制御部は、更に、
前記計時部による計時結果に基づいて、前記液供給部を駆動させて当該液供給部から前記容器に所定の洗浄液を供給するタイミングを制御することを特徴としている。
前記制御部は、
当該装置本体の外部の気温、湿度及びインク組成のうち、少なくとも一に基づいて前記ローラの洗浄液に浸漬されていない部分の乾燥度合を特定し、当該乾燥度合に応じて前記ローラを回転させる時間間隔を可変させることを特徴としている。
記録ヘッドは、樹脂が含有された水性インクを吐出する構成であることを特徴としている。
図1は、本発明を適用した一実施形態のインクジェット記録装置100の概略構成を示すブロック図であり、図2は、インクジェット記録装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。
また、キャリッジ3の移動方向は、キャリッジ駆動モータ(駆動部)31の回転方向に従って変更され、これにより、キャリッジ3が主走査方向Xに往復移動する。また、記録動作時には、キャリッジ3は、記録媒体Sが停止している際に主走査方向Xに往動、復動又は往復移動する。このとき、記録ヘッド2によって記録媒体Sに画像や文字が記録される。
プラテン4は、例えば略水平に配置されており、プラテン4の上面で所定範囲の記録媒体Sの下面(記録面の側と反対側となる面)を図示しない吸引手段の駆動により吸引して支持する。
また、プラテン4の内部には、搬送部1により搬送される記録媒体Sを加熱するためのヒータ41が配設されている。このヒータ41は、制御部9のCPU91の制御下にて駆動して、電源部7からの通電量に応じて加熱温度を可変させる。
なお、ヒータ41は、プラテン4の内部だけでなく、例えば、搬送部1の搬送ローラ11の内部に設けられていても良い。
また、記録ヘッド2は、その下面が記録動作時においてプラテン4上を搬送される記録媒体Sの記録面(上面)に対向するように配置されている。また、記録ヘッド2の下面には、主走査方向Xに略直交する方向(搬送方向Yと略平行な方向)に沿って複数のノズルの吐出口が配設されたインク吐出部21が設けられている(図3(a)等参照)。インク吐出部21は、例えば、複数のノズル孔が形成されたノズルプレート(図示略)が記録ヘッド2本体の下端面に配設されることで構成されている。
また、記録ヘッド2は、例えば、その内部にピエゾ素子(圧電素子)といった吐出手段(図示略)が設けられており、吐出手段の作動により各吐出口からインク滴を別個に吐出する。
また、各記録ヘッド2の内部には、インクを加熱するためのヒータ(図示略)が備えられていても良い。
なお、インク供給部5の構成は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。
本実施の形態に用いられるインクは、一般式(1)で表されるβ−アルコキシプロピオンアミド類を含有することにより、記録媒体への濡れと浸透の双方の機能を兼ね備えることができ、その結果、使用する水溶性有機溶剤の種類の選択と使用量に関する自由度が拡大し、水溶性樹脂を水性インク中で安定に溶解状態で存在させることができ、相対的な水溶性樹脂の添加量を高めることができたことにより、記録媒体との密着性に優れ、光沢性、耐擦性及びハジキ耐性に優れた高品位の画像を得ることができたものである。
より詳しくは、水性インクについて、サイン用途に用いられる表面が樹脂製の記録媒体や、印刷本紙などの吸水性に乏しいコート紙に対しても、記録媒体との密着性に優れ、光沢性、耐擦性及びハジキ耐性に優れた高品位の画像を形成することを目的に検討を重ねた。本発明でいう表面が樹脂製の記録媒体とは、具体的には、ポリスチレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などの樹脂プレートや塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルム、あるいはこれらプラスチックフィルムを紙などの基材表面に張り付けたものなどをいい、記録する表面が、水を浸透しにくい記録媒体である。
本発明においては、低表面張力の水溶性有機溶剤を添加することで、軟質塩化ビニルシートをはじめ種々の疎水性樹脂からなる記録媒体や、印刷本紙などの吸収が遅い紙支持体に対しても、インク混じりを抑え、高画質な印字画像を得ることができる。
特に、グリコールエーテル類もしくは1,2−アルカンジオール類を添加することは好ましく、具体的には下記の低表面張力の水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル類としては、例えば、β−アルコキシプロピオンアミド類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
また、1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
このような溶剤としては、窒素、もしくはイオウ原子を含む環状溶剤、環状エステル溶剤、乳酸エステル、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテルモノエステル及びジメチルスルフォキシドが挙げられる。
好ましい溶剤の具体例としては、環状アミド化合物、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、メチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノン等が挙げられ、イオウ原子を含有する環状溶剤の好ましい具体例としては、環状の5〜7員環が好ましく、例えば、スルフォラン等が挙げられる。
環状エステル溶剤の好ましい具体例としては、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンが、乳酸エステルとしては乳酸ブチル、乳酸エチルなどが挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルの好ましい具体例としては、ジエチレングリコールジエチルエーテル等があり、アルキレングリコールモノエーテルモノエステルの好ましい具体例としては、ジエチレングリコールモノエチルモノアセテートが挙げられる。
その他に、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、等が挙げられる
次に、本発明の水性インクが含有する色材について説明する。
本発明で適用可能な色材としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料等の水溶性染料や各種顔料、着色ポリマー/ワックスを含む分散染料、油溶性染料等が挙げられるが、その中でも、特に、顔料を使用することが画像耐久性の点で好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラックや酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッドおよびバイオレット用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド148、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド282、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23等が挙げられる。
オレンジまたはイエローおよびブラウン用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー43、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー194、C.I.ピグメントイエロー199、C.I.ピグメントイエロー213、C.I.ピグメントブラウン22等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー29、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
ブラック用の顔料としてはカーボンブラックの他に、C.I.ピグメントブラック5、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
ホワイト用の顔料としては酸化チタンの他に、C.I.ピグメントホワイト6等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。
上記の顔料は、水系インク中で安定な分散状態を保つために、各種の加工がされ、顔料分散体が調製される。
該分散体は、水系で安定に分散できるものであればよく、高分子の分散樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。
高分子の分散樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、樹脂としては水溶性のものを用いることができる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂である。
また顔料の分散樹脂として、前記共重合樹脂を用いて分散しても良い。
前記顔料分散体の粗粒分を除去し、顔料粒子の粒径分布を揃える観点から、遠心分離装置を使用すること又はフィルターを使用することも好ましい。
該水不溶性樹脂として、好ましくはアクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることができる。
該分散樹脂または水不溶性樹脂のTgは、好ましくは−30℃〜100℃程度のものを用いることができ、更に好ましくは−10℃〜80℃程度のものを用いることができる。
顔料と顔料を分散する樹脂の質量比率は、好ましくは顔料/樹脂比で100/150以上、100/30以下の範囲で選択することができる。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100/100以上、100/40以下の範囲である。
水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子の平均粒子径は、80ないし200nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
顔料を水不溶性樹脂で被覆する方法としては、公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、水不溶性樹脂をメチルエチルケトンなどの有機溶剤に溶解し、さらに塩基成分にて樹脂中の酸性基を部分的、もしくは完全に中和した後、顔料およびイオン交換水を添加、分散し、次いで有機溶剤を除去し、必要に応じて加水して調製する製造方法が好ましい。または、顔料を、重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法も好ましい。
また、自己分散顔料としては、表面処理済みの市販品を用いることもでき、好ましい自己分散顔料として、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業(株)社製)等を挙げることができる。
本発明の水性インクは、少なくとも水溶性樹脂を含有することを特徴とする。本発明で使用できる水溶性樹脂は、色材として顔料を用いる場合には、バインダーとして機能し、塩化ビニルなどの非吸収性記録媒体との接着性を有し、かつ塗膜の耐擦性や耐水性を向上させる機能がある。また、光沢が高く、光学濃度も高い画像を形成させる機能も必要とされ、このため、水溶性樹脂自体が塗膜中で高い透明性を持ち、顔料、あるいは顔料分散樹脂との相溶性があることも必要である。
アクリル系の共重合樹脂は、周知のごとく、非常に多種類のモノマーから自由に選択、設計することができ、重合しやすく、また低コストで製造できるため、本発明に適している。特に、先に述べたように、水性インクへ添加する際に求められる多数の要求に答えるには、設計自由度の大きいアクリル系の共重合樹脂が適しており、その中でも、下記の各特性を備えた水溶性樹脂Aを用いることが特に好ましい。
〈水溶性樹脂Aの酸価〉
本発明に係る水溶性樹脂Aでは、酸価が50mgKOH/g以上、130mgKOH/g以下である。酸価が50mgKOH/g以上であれば樹脂の水溶性が高く、溶解しやすくなり、酸価が130mgKOH/g以下であれば、高い光沢性を得ることができる観点から好ましい。
なお、本発明でいう水溶性樹脂の酸価は、下記の方法に従って求めることができる。
樹脂10gを300mlの三角フラスコに秤量し、エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒約50ml加えて樹脂を溶解する。次いで、フェノールフタレイン指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、滴定に用いた水酸化カリウムエタノール溶液の量から、下記計算式(1)に従って、酸価(mgKOH/g)を求めることができる。尚、樹脂の種類によって、エタノール:ベンゼン=1:2の混合溶媒約50mlに溶解しないものは、エタノール50ml、あるいは、エタノール/純水=1:1の混合溶媒約50mlのどちらか溶解する溶媒種を選択して、他は同じ操作にて滴定を行う。
計算式(1)
A=(B×f×5.611)/S
式中、Aは樹脂の酸価(mgKOH/g)、Bは滴定に用いた0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.1mol/リットル水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Sは、樹脂の質量(g)、5.611は、水酸化カリウムの式量(56.11/10)である。
本発明に係る水溶性樹脂Aでは、ガラス転移温度(Tg)が、30℃以上、100℃以下である。Tgが30℃以上であれば耐擦性が十分であり、またブロッキングの発生も抑制することができる。Tgが100℃以下であれば、所望の耐擦性を得ることができる。これは、乾燥後の皮膜が硬くなりすぎて脆くなるのを防止することができると考えている。
本発明に係る水溶性樹脂Aは、重量平均分子量(Mw)が2万以上、8万以下である。重量平均分子量が2万以上であれば耐擦性が良好であり、8万以下であればインクのメンテナンス性が優れているためである。更に好ましい水溶性樹脂Aの重量平均分子量は2万5千以上、7万以下である。
本発明に係る水溶性樹脂Aは、モノマーとして少なくともメタクリル酸メチル、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステル、及び酸モノマーを含むモノマーから合成される共重合樹脂であって、かつメタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの総質量が、共重合樹脂を構成する全モノマー質量に対して80%以上、95%以下である。
本発明に係る水溶性樹脂としては、樹脂に含まれる酸成分の全部あるいは一部を塩基で中和して用いることができる。中和塩基としては、アルカリ金属含有塩基(例えば、NaOH、KOH等)、アミン類(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン等)又はアンモニアを用いることができるが、本発明においては、その中でも、水溶性樹脂が、アミン中和樹脂であることが好ましい。
中和塩基の添加量としては、該共重合樹脂に含まれる酸モノマーの量にもよるが、少なすぎると該共重合樹脂の中和による効果が得られず、多すぎると画像の耐水性や変色、臭気などの課題があるため、インク全質量の0.2質量%以上、2.0質量%以下含有することが好ましい。
水溶性樹脂は、水性インク中に、1質量%〜15質量%添加することが好ましい。更に好ましくは、3質量%から10質量%である。
本発明の水性インクにおいては、水溶性樹脂と共に、上記と同様の樹脂から構成される水系分散型ポリマー微粒子を併せて用いることができる。
本発明の水性インクには、その他、必要に応じて定着樹脂や界面活性剤、防カビ剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、浸透剤、pH調整剤、乾燥防止剤として尿素、チオ尿素、エチレン尿素等を添加することができ、特に界面活性剤を添加すると画像耐久性や画質がより向上するため好ましい。
次に、本発明に適用可能な界面活性剤について説明する。
本発明のインクに使用することができる界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、シリコーン系やフッ素系の界面活性剤が挙げられ、特にシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤が好ましい。界面活性剤は単独でも併用でも使用することができる。
シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤を添加することで、塩化ビニルシートをはじめ種々の疎水性樹脂からなる記録媒体や、印刷本紙などの吸収が遅い記録媒体に対して、インク混じりをより抑えることができ、高画質な印字画像を得られる。該界面活性剤は、前記低表面張力の水溶性有機溶剤と併用することが特に好ましい。
シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物があり、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK345、BYK347、BYK348などが挙げられる。
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
フッ素系の界面活性剤の内、ある種のものはDIC社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、またネオス社からフタージェントなる商品名それぞれ市販されている。
界面活性剤の添加量としては、インク全質量に対して、0.1質量%以上、2.0質量%未満が好ましい。
インクの表面張力としては、15mN/m以上、35mN/m未満であれば表面エネルギーが通常の紙よりも低いコート紙や樹脂製の記録媒体によく濡れて白ぬけが発生することがないため好ましい。
インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加してもかまわない。防腐剤・防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(たとえばPreventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(たとえばPROXEL GXL)などが挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の水性インクを用いた画像形成においては、より高画質で画像耐久性が高い画像を形成するため、及びより高速の画像形成条件にも対応できるようにするために、記録媒体を35℃以上、100℃未満の温度に加熱しながら印字することが好ましい。35℃以上であれば加熱の効果が十分に発揮され、100℃以下では、記録媒体が変形して波打ちするなどの影響を排除することができる。
また、加熱しながら印字した後、プリントを55℃以上、100℃未満でさらに加熱乾燥することを併用することは、インクの乾燥を促進し、画像耐久性を高めるためいっそう好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《インクの調製》
〔シアン顔料分散体の調製〕
顔料分散剤としてフローレンTG−750W(固形分40%、エボニックデグサ社製)20部を、イオン交換水65部に加えた。この溶液に、C.I.ピグメントブルー15:3を15部添加し、プレミックスした後、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料固形分が15%のシアン顔料分散体を得た。
〔インクC−1の調製〕
β−ヒドロキシプロピオンアミド類である3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド(以下、A−1と称す)の5部と、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(DPGPE)の5部と、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)の10部を、イオン交換水20部に添加し、ここへ水溶性樹脂として、ジョンクリルJDX−6500(BASF社製アクリル樹脂 固形分29.5%)の17部を加えて攪拌し、イオン交換水で全量が80部となるように調整した。
次いで、ここへ上記調製したシアン顔料分散体の20部を加えて攪拌した後、0.8μmのフィルターによりろ過して、シアンインクC−1を得た。
〔インクC−2〜C−12の調製〕
上記インクC−1の調製において、β−アルコキシプロピオンアミド類の種類(含む未添加)、有機溶剤の種類と含有量、水溶性樹脂の含有量を、表1に記載の様に変更した以外は同様にして、インクC−2〜C−12を調製した。
なお、表1に略称で記載したβ−アルコキシプロピオンアミド類、有機溶剤、水溶性樹脂、および界面活性剤の具体的な化合物は、以下の通りである。
〈*1:β−アルコキシプロピオンアミド類〉
A−1:3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
A−2:3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
〈有機溶剤1、2、3〉
HDO:1,2−ヘキサンジオール
DPGME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
DPGPE:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル
NMP:N−メチル−2−ピロリジノン
2−PDN:2−ピロリジノン
〈水溶性樹脂〉
JDX:ジョンクリルJDX−6500(BASF社製アクリル樹脂)
〈界面活性剤〉
F−100:フタージェント 100 (ネオス社製)
なお、吸引ポンプ612は、図示しない廃液タンクと連通されており、吸引キャップ611を介して吸引されたインクや異物は廃液タンクに送られる。
図3(a)及び図3(b)は、記録ヘッド2に対する払拭装置62の配置を示す図であり、記録媒体Sの搬送方向Y下流側から見た状態を表している。また、図3(a)は、払拭装置62を上昇させた状態を示し、図3(a)は、払拭装置62を下降させた状態を示している。
なお、通常状態では、払拭装置62は下降して、クリーニングローラ621が記録ヘッド2から離間した状態(図3(b)参照)、即ち、クリーニングローラ621記録ヘッド2に接触不可能な状態が初期位置となっている。
ローラ軸621a及び払拭部材621bは、キャリッジ3の移動方向(主走査方向X)に対して略直交する方向に延在するように配設されている。
払拭部材621bの軸方向(長手方向)の長さは、記録ヘッド2のインク吐出部21の搬送方向Yと略平行な長手方向の長さと略等しいか、その長さよりも長くなっている。また、払拭部材621bは、ローラ軸621aに対して着脱自在に構成されていても良く、これにより、当該払拭部材621bが消耗した際の交換作業等が容易となる。
具体的には、真体積をマイクロメリテックス アキュピック1330にて測定し、平均気孔率={(見かけの体積)・(真の体積)}/(見かけの体積)×100(%)の式により求める。
また、平均気孔径は、試料の電子顕微鏡写真で確認された気孔の内、大きい順に所定数(例えば、5〜10等)を、写真にプリントされたメジャーにて測定した平均値を採用することにより求めることもできる。
また、クリーニングローラ621は、上下動機構626により払拭装置62を上昇させた状態(図3(a)参照)で、払拭部材621bの外周の標高が少なくとも記録ヘッド2のインク吐出部21の標高を越えるように上下方向に位置決めされている。これにより、クリーニングローラ621は、払拭部材621bを記録ヘッド2のインク吐出部21に接触させて当該インク吐出部21を払拭できるようになっている。即ち、払拭部材621bのインク吐出部21に接触する部分によって払拭部が構成されている。
内容器623は、例えば、上面開口の箱状に形成されるとともに、一側面に形成された供給口623aを通じて洗浄液貯蔵部(液供給部)627(図1参照)から洗浄液が供給されるようになっている。洗浄液貯蔵部627からの洗浄液の供給は、制御部9のCPU91の制御下にて、所定のタイミングで図示しない供給ポンプを所定時間作動させることにより実行される(詳細後述)。
内容器623の外側には、当該内容器623を内包する外容器624が設けられている。
なお、外容器624は、内容器623の上縁部から溢れた洗浄液を受けるような構成としたが、これに限られるものではなく、例えば、内容器623の底面に弁により開閉自在な排出口(図示略)を形成しても良く、これにより、使用済みの洗浄液を当該内容器623の底に沈澱した汚れとともに排出することができる。
本発明のインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドのノズル面を拭くワイプユニットのインク吸収部材に、有機溶剤を含有する洗浄液(クリーニング液)を供給する機能を備えていることを特徴の一つとする。
本発明に係る洗浄液には、ノズル面に付着したインクの乾燥物を溶解、再分散、及び軟化させることで確実にふき取る機能を備えていることが求められる。従って、洗浄液は、種々の溶剤や水、及び塩基性化合物等を含有していることが好ましいが、これらに限定されるものではない。特に、表面張力が低い溶剤を含有していると、乾燥したインクに浸透しやすいため効果的である。また、塩基性化合物を含有することは、インク中に含まれる酸性分含有樹脂等の再溶解もしくは再分散を促進するため好ましい。
表面張力の低い溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、1,2−アルカンジオール類等が挙げられる。
塩基性化合物とは、該塩基性化合物を0.1mol/Lの濃度で水に溶かした時、pHが7.0より大きくなる物質をいう。pH測定方法としては、例えば、東亜電波工業株式会社のデジタルpHメーターHM−30S等を用い、25℃におけるpH値を測定する。
塩基性化合物としては、無機化合物で構成されたものでも有機化合物で構成されたものでも良いが、有機化合物で構成されたものを用いることがより好ましい。無機化合物で構成される塩基性化合物としては、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、炭酸水素カリウムや炭酸水素ナトリウムなどの重炭酸塩を用いることができる。有機化合物で構成される塩基性化合物としては、アルカノールアミン類、アルキルアミン類を用いることができる。中でも、アンモニア、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジブチルアミノエタノール、N−メチル−ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、N,N−ジエチルアミノエタノールを好ましく用いることができる。
また、洗浄液には界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アセチレングリコール類、プルロニック型界面活性剤などが挙げられる。
洗浄液は、必要に応じて、その他添加剤、例えば、防黴剤、防錆剤等を添加しても良い。
絞りローラ622は、払拭部材621bよりも硬い材料、例えば硬質ゴムやステンレススチール等で構成されている。また、絞りローラ622の径は、クリーニングローラ621の径よりも小さくなっている。また、絞りローラ622は、支持腕622aの一端に回動可能に支持されている。
また、支持腕622aの絞りローラ622が設けられていない側の他端部は、絞り量調整機構(図示略)に接続され、制御部9のCPU91の制御下にて絞り量調整機構が駆動することにより、所定方向(例えば、図3(a)における左右方向等)に移動する。これに伴って、支持腕622aが所定方向に揺動して、当該支持腕622aの一端に支持された絞りローラ622の払拭部材621bに対する食い込み量(押圧量)を調整可能となっている。
なお、食い込み量は、洗浄液の絞り量(即ち、絞った後に払拭部材621bに含まれる洗浄液の含浸量)等に応じて適宜任意に変更可能であり、例えば、3mm〜5mm払拭部材621bの肉厚の20%が好ましく、特に1mm〜6mm払拭部材621bの肉厚の5%〜30%の範囲で調節することが、洗浄液の絞り量を適正化することができる点で好ましい。
記録ヘッド2のインク吐出部21を清掃する際には、以上の動作が連続的に所定時間行われる。
支持板625は、上下動機構626を構成する一対のカム626a、626aによって高さを上下方向に調節できるようになっている(図3(a)及び図3(b)参照)。具体的には、一対のカム626a、626aの各々は、回転軸が偏心した位置に配設され、回動により当該カム626aと接触する支持板625の位置を変移させる。これにより、払拭装置62が全体として上下方向に移動する。
即ち、記録ヘッド2のインク吐出部21の払拭を行わない状態では、図3(b)に示すように、支持板625が下降してクリーニングローラ621が記録ヘッド2から離間した状態となっている。そして、記録ヘッド2のインク吐出部21の払拭やクリーニングローラ621の回転を行う際には、図3(b)の状態から一対のカム626a、626aが同期して所定方向に所定の角度(例えば、180°)回動することで、支持板625が上昇してクリーニングローラ621が記録ヘッド2に近接した状態となる(図3(a)参照)。
また、一対のカム626a、626aの回転は、クリーニングローラ621の駆動源と共通の駆動源(ローラ駆動モータ621c)を利用し、クラッチ機構を介在させることにより、所定の一方向への回転でクリーニングローラ621を駆動させ、他方向への回転で一対のカム626a、626aを駆動させるようにしても良い。
通常電源部71は、例えば、記録ヘッド2を用いた記録動作中など、当該装置の主要な機能を実行可能な通常の動作状態で、搬送部1、記録ヘッド2、キャリッジ3、プラテン4、インク供給部5、メンテナンスユニット6、計時部8、制御部9等の当該装置本体を構成する各部に電源を供給する。
待機電源部72は、例えば、記録ヘッド2を用いた記録動作の終了後など、当該装置の主機能(通常の動作)を実行しない待機状態で、当該装置本体を構成する各部のうちの一部分、即ち、メンテナンスユニット6の払拭装置62、計時部8、制御部9にのみ電源を供給する。このとき供給される電源は、待機状態での当該払拭装置62、計時部8及び制御部9の動作に必要な最低限の電力量とすることで、省電力が実現される。
具体的には、ROM93は、払拭制御プログラム93a、待機中制御プログラム93b等を記憶している。
ここで、記録ヘッド2を用いた記録動作とは、当該記録ヘッド2を走査させつつ所定枚数(例えば、5枚程度等)の記録媒体S上にインクを吐出させて記録を行う動作や、あるタイミング(例えば、第1払拭動作が完了した時点)からメンテナンスタイミングとなるまでの期間、記録ヘッド2を走査させつつ各記録媒体S上にインクを吐出させて記録を行う動作のことである。
即ち、払拭制御プログラム93aは、記録動作後の記録ヘッド2の通常のメンテナンスを実行する所定のタイミングで、吸引装置61により各記録ヘッド2内部のインクや異物が吸引された後、記録ヘッド2と払拭装置62を相対的に移動させて、インク吐出部21に付着したインクI(図5(a)等参照)をクリーニングローラ621の外周面で払拭させ、さらに、インク吐出部21に生じた結露C(図5(b)参照)をクリーニングローラ621の外周面で払拭させる機能をCPU91に実現させるためのプログラムである。
その後、CPU91は、キャリッジ駆動モータ31の駆動を制御して、記録ヘッド2のインク吐出部21に付着したインクIをクリーニングローラ621の外周面で払拭させるように、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ3を主走査方向Xに沿ってメンテナンス領域A1から記録領域A2側に移動させる。例えば、先ず、CPU91は、下降した状態、即ち、クリーニングローラ621が記録ヘッド2から離間した状態(図3(b)参照)となっている払拭装置62を、一対のカム626a、626aを同期させて所定方向に所定の角度(例えば、180°)回動させることで、支持板625を上昇させてクリーニングローラ621を記録ヘッド2側に移動させる(図3(a)参照)。続けて、CPU91は、ローラ駆動モータ621cの駆動を制御して、クリーニングローラ621を所定方向(例えば、図5(a)における時計回り)に所定の回転速度R1で回転させるとともに、キャリッジ駆動モータ31を所定方向(例えば、右回り)に回転させるように駆動を制御して、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ3を主走査方向Xに沿って所定の移動速度でメンテナンス領域A1から記録領域A2側に移動させる。このとき、所定方向に回転するクリーニングローラ621の回転方向と、記録ヘッド2の移動方向(例えば、図5(a)における左方向)が反対方向となっている。そして、キャリッジ3とともに移動する記録ヘッド2のインク吐出部21は、クリーニングローラ621の払拭部材621bの外周面で払拭され、インク吐出部21に付着したインクIは、洗浄液により溶解され払拭部材621bに吸収されて取り除かれる(図5(b)参照)。
続けて、CPU91は、クリーニングローラ621を所定方向(例えば、図5(a)における時計回り)に所定の回転速度R1で回転させた状態で、キャリッジ駆動モータ31を所定方向と反対方向(例えば、左回り)に回転させるように駆動を制御して、記録ヘッド2を搭載したキャリッジ3を主走査方向Xに沿って所定の移動速度V2で記録領域A2側からメンテナンス側に移動させる。このとき、所定方向に回転するクリーニングローラ621の回転方向と、記録ヘッド2の移動方向(例えば、図5(a)における右方向)が等しくなっている。そして、キャリッジ3とともに移動する記録ヘッド2のインク吐出部21は、クリーニングローラ621の払拭部材621bの外周面で払拭され、記録動作の際にインク吐出部21に生じた結露Cは払拭部材621bに吸収されて取り除かれる(図5(d)参照)。
即ち、待機中制御プログラム93bは、記録動作後の待機状態にて、所定時間(例えば、60分等)が経過する毎に、待機電源部72からローラ駆動モータ621cに電源を供給してクリーニングローラ621を少なくとも一回転させる機能をCPU91に実現させるためのプログラムである。
例えば、CPU91は、一対のカム626a、626aを同期させて所定方向に所定の角度(例えば、180°)回動させることで支持板625を上昇させて、当該払拭装置62を上昇させる(図3(a)参照)。続けて、CPU91は、ローラ駆動モータ621cの駆動を制御して、クリーニングローラ621を所定方向に所定の回転速度で回転させる。このとき、CPU91は、クリーニングローラ621の略全体に内容器623内の所定の洗浄液を含浸させるように複数回(例えば、2回)回転させる。即ち、CPU91は、ローラ駆動モータ621cの駆動を制御して、クリーニングローラ621を一定時間(例えば、10秒)回転させる。
これにより、クリーニングローラ621の払拭部材621bに吸収されているインクJ(図7(a)等参照)は、内容器623内の洗浄液に浸ることで溶解して払拭部材621bから取り除かれ、さらに、払拭部材621bには洗浄液が吸収された後、絞りローラ622で所定量絞られることが、クリーニングローラ621の回転中に繰り返し連続して行われる。なお、クリーニングローラ621の回転数は、当該クリーニングローラ621の吸収性能を規定する各種の条件、例えば、払拭部材621bや洗浄液の組成等に応じて適宜任意に変更可能である。
そして、一定時間の経過後、CPU91は、ローラ駆動モータ621cの回転を停止させるように駆動を制御して、クリーニングローラ621の回転を停止させる。
ここで、装置本体の外部の気温や湿度は、所定のタイミングで逐次検出する検出手段を設け、その検出手段からの出力データに基づいて特定しても良いし、待機状態に移行する際に、ユーザによる所定操作に基づいて入力された値を用いても良い。
図4は、払拭処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。また、図5(a)〜図5(d)は、払拭処理における記録ヘッド2と払拭装置62との配置を模式的に示す図であり、記録ヘッド2が図5(a)の状態から、図5(b)及び図5(c)の各々の状態を経て、図5(d)の状態となるように移動する。また、図5(a)〜図5(d)は、記録媒体Sの搬送方向Y上流側から見た状態を表している。
なお、図5(a)〜図5(d)にあっては、キャリッジ3に搭載された所定数の記録ヘッド2として、二つの記録ヘッド2、2を模式的に表している。
なお、払拭装置62の上昇とクリーニングローラ621の回転開始の順序は、上記したものに限られるものではなく、互いの順序が逆であっても良いし、ほぼ同時であっても良い。
なお、クリーニングローラ621の回転停止と払拭装置62の下降の順序は、上記したものに限られるものではなく、互いの順序が逆であっても良いし、ほぼ同時であっても良い。
図6は、待機中処理に係る動作の一例を示すフローチャートである。また、図7(a)及び図7(b)は、待機中処理におけるクリーニングローラ621の動作を模式的に示す図であり、クリーニングローラ621が図7(a)の状態から図7(b)の状態となるように回転する。また、図7(a)及び図7(b)は、記録媒体Sの搬送方向Y上流側から見た状態を表している。
次に、CPU91は、ROM93から待機中制御プログラム93bを読み出して実行し、計時部8を制御して、待機状態に移行してから経過した時間の計測を開始させる(ステップS13)。続けて、CPU91は、計時部8による計測結果に基づいて、待機状態に移行後に所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS14)。
ステップS14における所定時間が経過したか否かの判定は、所定時間が経過したと判定されるまで(ステップS14;YES)、繰り返し実行される。
CPU91は、ローラ駆動モータ621cの駆動を制御して、クリーニングローラ621の回転を一定時間連続して行わせることで、払拭部材621bに吸収されているインクJは、内容器623内の洗浄液に浸ることで溶解して払拭部材621bから取り除かれ、さらに、払拭部材621bには洗浄液が吸収された後、絞りローラ622で所定量絞られることが、クリーニングローラ621の回転中に繰り返し連続して行われる。
なお、クリーニングローラ621の回転停止と払拭装置62の下降の順序は、上記したものに限られるものではなく、互いの順序が逆であっても良いし、ほぼ同時であっても良い。
ここで、通常電源が投入されていないと判定されると(ステップS17;NO)、CPU91は、計時部8のタイマのカウント値をリセットした後(ステップS18)、処理をステップS13に移行して、それ以降の処理を実行させる。即ち、CPU91は、計時部8を制御して、前回のクリーニングローラ621の回転停止後に経過した時間の計測を開始させ(ステップS13)、ステップS14にて、所定時間が経過したと判定される毎に(ステップS14;YES)、クリーニングローラ621を回転させて当該クリーニングローラ621の略全体を洗浄液に接触させることで固化を防止する。
即ち、例えば、樹脂を含むインクJがクリーニングローラ621に吸収された状態で待機状態となっても、待機状態にて当該クリーニングローラ621が回転することにより内容器623内の洗浄液に浸すことでインクJを溶解させてクリーニングローラ621から取り除くことができる。特に、クリーニングローラ621の略全体に所定の洗浄液を含浸させるように複数回回転させることで、当該クリーニングローラ621の洗浄を適正に行うことができ、当該クリーニングローラ621からインクを適正に取り除くことができる。
従って、待機状態後に記録動作を再開させても、メンテナンスの実行タイミングで固化していないクリーニングローラ621を用いてインク吐出部21の払拭を適正に行うことができるとともに、当該インク吐出部21のノズルの損傷を防止することができる。
例えば、上記実施形態では、待機状態にて、クリーニングローラ621の固化を防止するために、所定時間が経過する毎に、クリーニングローラ621を回転させるようにしたが、当該クリーニングローラ621の固化を防止する手段はこれに限られるものではない。
即ち、例えば、内容器623に対してクリーニングローラ621を上下動させる上下動機構(図示略)を設け、待機状態にて、クリーニングローラ621全体を内容器623内の洗浄液に浸漬させるように下降させておくことで(図8(a)参照)、当該クリーニングローラ621内の水分の蒸発を防止して固化を防止するようにしても良い。
また、例えば、内容器623の上端開口の上縁部に密着される下端部を具備する蓋部材628を設け(図8(b)参照)、待機状態にて、蓋部材628でクリーニングローラ621の洗浄液に浸漬されていない部分を内包するように、当該蓋部材628の下端部を内容器623の上端開口の上縁部に密着させておくことで、当該クリーニングローラ621内の水分の蒸発を防止して固化を防止するようにしても良い。
その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
2 記録ヘッド
21 インク吐出部
3 キャリッジ
31 キャリッジ駆動モータ
62 払拭装置
621 クリーニングローラ
621b 払拭部材
621c ローラ駆動モータ
7 電源部
72 待機電源部
8 計時部
9 制御部
91 CPU
Claims (5)
- インクをインク吐出部から吐出する記録ヘッドと、
容器内に貯留された洗浄液に一部分が浸漬され、外周面で前記記録ヘッドのインク吐出部に付着したインクを回転しながら払拭し、吸収するローラと、
前記ローラを回転させる駆動部と、
前記記録ヘッドを用いた記録動作後に当該装置本体の待機状態にて、電源を供給する電源部と、
前記記録動作後に所定時間が経過する毎に、前記電源部から前記駆動部に電源を供給して、前記ローラの略全体に所定の洗浄液を含侵させるように前記ローラを複数回回転させる制御部と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記記録動作後に経過した時間を計測する計時部を更に備え、
前記制御部は、更に、
前記計時部による計時結果に基づいて、前記電源部から前記駆動部に電源を供給するタイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。 - 前記容器に所定の洗浄液を供給する液供給部を更に備え、
前記制御部は、更に、
前記計時部による計時結果に基づいて、前記液供給部を駆動させて当該液供給部から前記容器に所定の洗浄液を供給するタイミングを制御することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。 - 前記制御部は、
当該装置本体の外部の気温、湿度及びインク組成のうち、少なくとも一に基づいて前記ローラの洗浄液に浸漬されていない部分の乾燥度合を特定し、当該乾燥度合に応じて前記ローラを回転させる時間間隔を可変させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記記録ヘッドは、樹脂が含有された水性インクを吐出する構成であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011100642A JP5402978B2 (ja) | 2011-04-28 | 2011-04-28 | インクジェット記録装置 |
US14/002,605 US20140085376A1 (en) | 2011-03-02 | 2012-03-02 | Method for cleaning inkjet recording head, and method for forming image |
EP12752090.6A EP2682269B1 (en) | 2011-03-02 | 2012-03-02 | Method for cleaning inkjet recording head, and method for forming image |
PCT/JP2012/001447 WO2012117742A1 (ja) | 2011-03-02 | 2012-03-02 | インクジェット記録ヘッドの洗浄方法、および画像形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011100642A JP5402978B2 (ja) | 2011-04-28 | 2011-04-28 | インクジェット記録装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012232422A JP2012232422A (ja) | 2012-11-29 |
JP5402978B2 true JP5402978B2 (ja) | 2014-01-29 |
Family
ID=47433269
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011100642A Expired - Fee Related JP5402978B2 (ja) | 2011-03-02 | 2011-04-28 | インクジェット記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5402978B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6675848B2 (ja) * | 2015-09-28 | 2020-04-08 | ローランドディー.ジー.株式会社 | インクジェットプリンタ |
JP7206653B2 (ja) * | 2018-07-05 | 2023-01-18 | コニカミノルタ株式会社 | ヘッドクリーニング装置、画像形成装置、および画像形成装置のヘッドクリーニング方法 |
JP7192638B2 (ja) * | 2019-04-23 | 2022-12-20 | コニカミノルタ株式会社 | インク吐出ヘッドのメンテナンス装置、インクジェット記録装置及びインク吐出ヘッドのメンテナンス方法 |
CN110682688A (zh) * | 2019-09-24 | 2020-01-14 | 赵海 | 具有喷嘴清洁功能的喷墨绣花机及其清洁方法 |
CN113399684B (zh) * | 2021-06-08 | 2023-01-10 | 山东创瑞激光科技有限公司 | 一种便于清理打印头的双激光打印设备 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4020126B2 (ja) * | 1998-03-24 | 2007-12-12 | コニカミノルタホールディングス株式会社 | 液体吐出装置 |
JP5326627B2 (ja) * | 2009-02-12 | 2013-10-30 | セイコーエプソン株式会社 | 流体噴射装置 |
-
2011
- 2011-04-28 JP JP2011100642A patent/JP5402978B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012232422A (ja) | 2012-11-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2012117742A1 (ja) | インクジェット記録ヘッドの洗浄方法、および画像形成方法 | |
JP5761032B2 (ja) | インクジェットプリンタ | |
JP5392132B2 (ja) | ワイプユニット及び該ワイプユニットを備えたインクジェットプリンタ | |
JP5146041B2 (ja) | インクジェットプリンタ及びインクジェットヘッド洗浄液 | |
JP2012232424A (ja) | インクジェット記録装置及びメンテナンス方法 | |
US10005284B2 (en) | Liquid ejecting apparatus and cleaning device | |
JP2012179825A (ja) | インクジェット記録方法 | |
JP5402978B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2013056454A (ja) | インクジェット記録装置用洗浄液セット、インクジェット記録装置用インクセット及びインクジェット記録装置の洗浄方法 | |
WO2011040146A1 (ja) | インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法 | |
WO2013153910A1 (ja) | インクジェット記録装置 | |
US20070109346A1 (en) | Ink jet printing apparatus, method of manufacturing ink absorber, and ink absorber | |
US11130343B2 (en) | Wiping device, liquid discharging device, and wiping method | |
JP2003205619A (ja) | インクジェットプリンタ | |
JP2011126147A (ja) | インクジェット記録方法 | |
JP2003182092A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2003200582A (ja) | インクジェットプリンタ | |
JP2003182098A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP4518345B2 (ja) | インクジェット記録方法 | |
CN115139678B (zh) | 印刷方法,印刷装置 | |
JP2003165232A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2007297558A (ja) | 記録液、これを用いた記録方法及び液体カートリッジ | |
JP2021000759A (ja) | 廃液収集装置、液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法 | |
JP2023090210A (ja) | 印刷方法、処理液とインクのセット、及び印刷物の製造方法 | |
JP2022181622A (ja) | 液体吐出装置、及び液体吐出手段の払拭方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130325 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20130416 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130709 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130909 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131001 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131014 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |