JP4020126B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は液体吐出装置に関し、特に、例えばインクジェットプリンタ等のように、液体吐出部から液体を吐出して紙、布、不織布、プラスチックフィルム等の記録媒体に液体の吐出痕跡を記録する液体吐出装置に関する。
例えば布用のインクジェットプリンタでは、液体吐出部すなわちプリントヘッドのノズルからプラテン上の布帛(記録媒体)にインク滴(液体)を吐出して、絵柄をプリントするようになっている。カラープリントの場合、プリントヘッドは、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、クロの4原色の各々についてのインクヘッドを有し、各インクヘッドから吹きつけるインクドットの組合せによって、多様な色彩および絵柄を表現している。インクドットの色の組合せおよびそれらが形成する絵柄は、制御装置(コンピュータ)から供給される作画データによって指定される。
絵柄を構成するインクドットの密度は、通常、数百〜千数百dpiとなっている。そのようなプリントを可能にするプリントヘッドは、ノズルの径が極めて小さく、インクの染料や顔料またはゴミ等の付着により吐出不良が生じ易いので、適宜プリントヘッドの清掃を行なうようにしている。
プリントヘッドの清掃装置を備えた液体吐出装置の従来例の1つとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。この装置では、多孔質材料で構成されたクリーニングローラをプリントヘッドに接触させ、プリントヘッドの走行にともなうノズル面でのクリーニングローラの転がりを利用してノズル面の汚れを吸い取るようにしている。
また、プリントヘッド清掃装置を備えた液体吐出装置の他の従来例として、例えば特許文献2に記載されたようなものがある。この装置では、多孔質材料で構成されたクリーニングブレードに洗浄液を含ませてプリントヘッドに接触させ、プリントヘッドの走行を利用してプリントヘッドの前面を払拭するようにしている。
特開平4−185450号公報 特開平6−079880号公報
上記従来例では、プリントヘッドを位置が固定のクリーニングローラまたはクリーニングブレードに接触させ、プリントヘッドの走行に基づく吸引ないし払拭作用を利用してインク吐出面の清掃を行なうようにしているが、プリントヘッドの走行速度は、プリント時の主走査速度と同じかあるいは違えたとしてもさほど大きくは変えられないので、与えられた走行速度の範囲内で所望の清掃が行なえるようにしなければならず、クリーニングローラまたはクリーニングブレードの材質や形状、あるいは洗浄液の選定に苦心するという問題があった。
特に、特許文献1に記載の従来例では、プリントヘッド面でのクリーニングローラの転がりを利用するので、ノズル面の汚れの吸い取りはできるとしても固着した汚れのかき取りはできないため、クリーニング効果が不十分であり、また、特許文献2に記載の従来例では、洗浄液の供給と汚れの吸引のための機構が複雑となる上に、いつもクリーニングブレードの同じ接触面を使用するので必ずしも十分な清掃効果が得られない。
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、液体吐出部の清掃を適切に行なう液体吐出装置を実現することである。
本発明の目的は、以下の各構成により達成される。
(請求項1)
液体吐出部から液体を吐出して記録媒体に液体の吐出痕跡を記録する液体吐出装置であって、
前記液体吐出部の移動方向と対向する方向に回転する液体含浸性を有する円筒状の払拭部材の外周面で前記液体吐出部を払拭する払拭手段と、
前記払拭部材に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを具備することを特徴とする液体吐出装置。
(請求項2)
前記洗浄液供給手段は、前記払拭部材を洗浄液に浸すことにより、前記払拭部材に洗浄液を供給する洗浄液収容容器であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
(請求項3)
前記払拭手段での払拭動作中に液体吐出部より液体を吐出させる手段を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
(請求項4)
前記払拭部材は外径が5〜50mm、内径が1〜40mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項5)
前記払拭部材は連続気泡を有する多孔質材料を用いて構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項6)
前記多孔質材料は平均気孔率が70%以上であることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
(請求項7)
前記多孔質材料は平均気孔径が400μm以下であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の液体吐出装置。
(請求項8)
前記払拭手段は前記払拭部材を前記液体吐出部に接触および離間させる進退手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項9)
前記洗浄液供給手段は前記液体吐出部が吐出する液体と性状が類似した洗浄液を供給するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項10)
前記払拭部材に含浸した前記洗浄液の一部を前記払拭部材から除去することにより前記払拭部材における前記洗浄液の含浸量を調節する含浸量調節手段、
を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項11)
前記含浸量調節手段は前記払拭部材の外径を部分的に減少させるものであることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
(請求項12)
前記含浸量調節手段は前記払拭部材をその肉厚の50%以下、0.5mm以上部分的に減少させるものであることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
(請求項13)
前記含浸量調節手段は含浸量調節部材を前記払拭部材に接触および離間させる進退手段を備えることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項14)
前記払拭手段は前記含浸量調節手段で前記洗浄液の含浸量が調節された前記払拭部材で前記液体吐出部を払拭するものであることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項15)
前記洗浄液を回収する洗浄液回収手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項16)
布帛の捺染に用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
(請求項17)
前記含浸量調節手段は、前記払拭部材に含浸した前記洗浄液の一部を前記払拭部材から絞り出すことにより、除去することを特徴とする請求項10乃至請求項16のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
以上詳細に説明したように、請求項1の発明では、洗浄液を含浸した払拭部材を液体吐出部の移動方向と対向する方向に回転させて液体吐出部を払拭し、液体吐出部の清掃を行なうようにしたので、液体吐出部の清掃を適切に行なう液体吐出装置を実現することができる。
また、請求項2の発明では、液体吐出部を払拭して汚れを吸い取った払拭部材は、洗浄液収容容器内の洗浄液に浸ることにより汚れを落とすとともに洗浄液を吸収し、常に清浄化された払拭部材で液体吐出部を清掃できる。
また、請求項3の発明では、洗浄液が吐出口から液体吐出部内に逆流することに伴う吐出不良、吐出口部分が乾燥することによる吐出不良を防止することができる。
また、請求項4の発明では、外径が5〜50mm、内径が1〜40mmの払拭部材を用いることにより適切な液体含浸性および払拭性を実現することができる。
また、請求項5の発明では、連続気泡を有する多孔質材料を用いた払拭部材により適切な液体含浸性および払拭性を実現することができる。
また、請求項6の発明では、平均気孔率が70%以上の多孔質材料を用いることにより適切な液体含浸性および払拭性を実現することができる。
また、請求項7の発明では、平均気孔径が400μm以下の多孔質材料を用いることにより適切な液体含浸性および払拭性を実現することができる。
また、請求項8の発明では、進退手段により、払拭部材を清掃時に液体吐出部に接触させ非清掃時には離間させることができる。
また、請求項9の発明では、液体吐出部が吐出する液体と性状が類似した洗浄液を用いることにより、液体吐出部が吐出する液体に対する洗浄液の影響を軽減することができる。
また、請求項10の発明では、含浸量調節手段で払拭部材中の洗浄液の含浸量を調節することにより、適切な清掃を実現する。
また、請求項11の発明では、含浸量調節手段で払拭部材の外径を部分的に減少させることにより洗浄液を適量絞り出すことができる。
また、請求項12の発明では、含浸量調節手段で払拭部材の肉厚をその50%以下、0.5mm以上部分的に減少させることにより、適切な洗浄液の含浸量調節を実現することができる。
また、請求項13の発明では、進退手段により、含浸量調節部材を清掃時に払拭部材に接触させ非清掃時に離間させることができる。
また、請求項14の発明では、調節された量の洗浄液を含浸した払拭部材で液体吐出部を払拭することにより、液体吐出部の清掃を適切に行なうことができる。
また、請求項15の発明では、回収手段により余分なあるいは使用済みの洗浄液を回収することができる。
また、請求項16の発明では、布帛の捺染を行う液体吐出装置を実現することができる。
また、請求項17の発明では、絞り出しにより払拭部材中の洗浄液の含浸量が適正化され、適正な量の洗浄液を含浸した払拭部材で液体吐出部を払拭することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。また、記録媒体が布である例について説明するが、記録媒体は布に限るものではなく、不織布、紙、プラスチックフィルム、その他液体の吐出痕跡を担持可能な全ての媒体を含むものである。
図1〜図3にインクジェットプリンタの外観図を示す。図1は正面図、図2は平面図、図3は右側面図である。本装置は本発明の液体吐出装置の実施の形態の一例である。先ず、全体構成を説明する。図1〜図3に示すように、本装置はフレーム001、カバー002およびヘッドクリーニング部003を有する。以下に述べる各コンポーネントがこのフレーム001ないしヘッドクリーニング部003の中に組み込まれている。
布帛の元巻きロール10が軸11を水平にして元巻きロール装填部20に装填されている。布帛は本発明における記録媒体の実施の形態の一例である。元巻きロール10の上側にはプラテンローラ30が元巻きロール10と平行に設置されている。プラテンローラ30は元巻きロール10の幅より広い幅を有する。
プラテンローラ30の軸31は両端でプラテンローラ支持部32によって支持されている。プラテンローラ支持部32にはプラテンローラ30を回転させるための図示しない駆動部が設けられている。
プラテンローラ30にはその背後からニップローラ40が接触している。ニップローラ40は、プラテンローラ30との間に布帛を挟圧して、プラテンローラ30による布帛の搬送が確実に行われるようにするものである。ニップローラ40の軸は回転自在に支持されている。ニップローラ40の幅はプラテンローラ30の幅に等しくなっている。
プラテンローラ30の上側にはヘッドキャリッジ50が設けられている。ヘッドキャリッジ50には、後述するように、例えばカラープリントのための4原色に対応した複数のインクヘッドおよびそれらの駆動回路がそれぞれ搭載されている。インクヘッドは、本発明における液体吐出部の実施の形態の一例である。インクヘッドのインク吐出面(ノズル面)はプラテンローラ30に対面している。なお、プリントヘッドについては後にあらためて説明する。
複数のインクヘッドには、図示しないインク供給系を通じて、インクカートリッジ60からそれぞれインクが供給されるようになっている。インクは、本発明における液体の実施の形態の一例である。インクカートリッジ60はカバー002に着脱可能に搭載されている。
ヘッドキャリッジ50は図示しないレール上に装架され、図示しない駆動部により駆動されてプラテンローラ30の軸に平行に往復運動(走査)を行いながらプラテンローラ30上の布帛にインクを吐出し、インクジェットプリント(捺染)を行なうようになっている。
ヘッドキャリッジ50は、インクカートリッジ60が搭載されているカバー002の内部空間にホームポジションを有する。ヘッドキャリッジ50はプリントを行わないときはそこで待機するようになっている。
ヘッドキャリッジ50に搭載されているインクヘッドを清掃するため、後述するように、ヘッドクリーニング装置が、ヘッドキャリッジ50のホームポジション付近に配設されている。ヘッドクリーニング装置はカバー002ないしヘッドクリーニング部003の内部空間に設けられている。ヘッドクリーニング装置については、後にあらためて説明する。
プラテンローラ30には、例えば図3に2点鎖線で示すように、布帛が背後から前側に向けて掛け回される。プラテンローラ30の前下方にはガイド70が設けられ、前側に排出された布帛をこのガイドに沿って垂下させるようにしている。
フレーム001の背後には制御部80が設けられている。制御部80によってプラテンローラ30の回転、ヘッドキャリッジ40の走査、インクヘッドのインク吐出および後述するヘッドクリーニング装置のヘッドクリーニング動作等が制御される。制御部80は例えばマイクロプロセッサ等を用いて構成される。
制御部80には操作部90を通じて操作者から各種の指令が与えられるようになっている。操作部90には図示しない適宜の操作キーや表示器等が設けられている。操作者の指令の基づく制御部80の制御動作により、インクジェットプリントおよび後に述べるインクヘッドの清掃が実行される。制御部80による制御の下で、ヘッドクリーニングは、例えば、本装置の稼働前のインクヘッドからのインク押し出しに続いて行なわれ、また、稼働中にも所定の時間(例えば30分)ごとに行なわれる。さらに、操作者の指令に基づき随時に行なうこともできる。
次に、プリントヘッドおよびヘッドクリーニング装置について説明する。図4に、プリントヘッドおよびヘッドクリーニング装置の模式的構成を示す。同図に示すように、例えば4個のインクヘッド51〜54が、ヘッドキャリッジ50に1列に搭載されてプリントヘッド500を構成している。インクヘッド51〜54に対応して図示しない駆動回路がヘッドキャリッジ50に搭載されている。
インクヘッド51〜54の配列方向は、ヘッドキャリッジ50の走査方向すなわち図4における左右方向に一致している。4個のインクヘッド51〜54はインクの4原色、例えば、シアン、マゼンタ、イエローおよびクロにそれぞれ対応している。
インクヘッド51〜54はいずれも複数(例えば64個)の図示しないノズルを有する。これらノズルは、インクヘッド51〜54のノズル面上で、へッドキャリッジ50の走査方向と直交する方向に配列されている。配列のピッチは例えば360dpiのドット分解能を可能にするピッチとなっている。
インクヘッド51〜54には、図示しない管路を通じてそれぞれインクが供給されるようになっている。また、図示していないが、プリントヘッド500の上部には、ヘッドキャリッジ50の移動によるインク圧力の変化を緩和するためのダンパーないしバッファが設けられることがある。
インクヘッド51〜54のインク吐出面はクリーニングローラ301で清掃するようになっている。クリーニングローラ301は、本発明における払拭手段の実施の形態の一例である。クリーニングローラ301は、ローラ軸302に円筒状の払拭部材303を同軸的に装着したものとなっている。払拭部材303は、本発明における払拭部材の実施の形態の一例である。払拭部材303は、クリーニングローラ301の軸方向にインクヘッド51〜54の長さを上まわる長さを有する。クリーニングローラ301は、少なくとも払拭部材303が交換可能な構成にすることが払拭部材303の消耗への対処が容易になる点で好ましい。
また、クリーニングローラ301による払拭動作時に図示しない制御手段によりインクヘッド51〜54のノズルよりインクを吐出させる構成としてもよい。この構成とすることにより、洗浄液がインク吐出口からインクヘッド(ノズル)内に逆流することに伴う印字不良、ノズル部分が乾燥することによるインク吐出不良を防止することができる。
払拭部材303は、スポンジ状の柔軟な多孔質材料により構成されている。そのような多孔質材料としては、例えばプラスチックポリマー等からなる連続気泡を有する多孔質材料が用いられる。多孔質材料は、平均気孔率が70%以上、プロシメータで測定した平均気孔径が400μm以下であることが、良好な清掃を行なう点で好ましい。
ここで、平均気孔率は、気体置換法の一つで圧力変化ボイルの気体法則から試料体積(真体積)を求め、この試料の見かけの体積との比により求めることができる。
具体的には、真体積をマイクロメリテックス アキュピック1330にて測定し、平均気孔率={(見かけの体積)・(真の体積)}/(見かけの体積)×100(%)の式により求める。
また、平均気孔径は、試料の電子顕微鏡写真で確認された気孔の内、大きい順に数個(5〜10個、ものによって違う)を、写真にプリントされたメジャーにて測定した平均値を採用することにより求めることもできる。
具体的な材料としては、ベルイータ(商品名、鐘紡株式会社)やルビーセルPロール(商品名、トーヨーポリマー株式会社)が特に良好な清掃効果が得られる。また、磨耗粉等のゴミを自ら出さないすなわち自塵性がない点でも清掃部材として好適である。払拭部材303は、インクヘッド51〜54の大きさに応じて、外径が5〜50mm、内径が1〜40mmとするのが良好な清掃を行なう点で好ましい。
クリーニングローラ301は、図示しない支持手段により回転可能に支持され、また、図示しない駆動部で駆動されて、図における反時計方向に回転するようになっている。クリーニングローラ301は、外周の標高がインクヘッド51〜54のインク吐出面の標高を越えるように、図における上下方向の位置決めがなされている。これにより、クリーニングローラ301はその回転によってインクヘッドのインク吐出面を払拭できるようになっている。図では、クリーニングローラ301がインクヘッド53のインク吐出面を払拭する状態を示している。なお、クリーニングローラ301の外周の標高がインクヘッド51〜54のインク吐出面の標高を越える量は、払拭部材303の肉厚の60%以下、特に、払拭部材303の肉厚の半分を超えない範囲で適宜に設定するのが好ましい。また、さらには、絞りローラ309の食い込み量との関係から、払拭部材303の肉厚の35%以上60%以下、特に好ましくは、40%以上50%以下が好ましい。
クリーニングローラ301は、インクヘッドに接触する側とは反対側(下部)が洗浄液304に浸るようになっている。洗浄液304としては、例えば純水等が用いられる。洗浄性を高めるために表面活性剤等を適宜に添加しても良いが、インクヘッド51〜54中のインクと性状が類似した液体を用いることが好ましく、インクと同じ試剤の液体を用いることが、インクの性状の類似性を良くする点で特に好ましい。ここで、インクと性状が類似した液体とは、インクと混ざっても凝集を起こさず、かつインクの粘度や表面張力といった特性を大きく変化させないような液体をいう。そのような液体としては、例えば、染料または顔料を除いたインク液が適当である。また、防腐剤等を入れることが洗浄液の長期保存の点で好ましい。
洗浄液304は容器305に収容されている。容器305は、本発明における洗浄液供給手段の実施の形態の一例である。容器305には、供給口306を通じて図示しない洗浄液貯蔵部から洗浄液が供給されるようになっている。容器305の外側に外容器307が設けられ、洗浄液の補給に伴って容器305から溢れた使用済みの洗浄液を受けるとともに、排出口308を通じて図示しない廃液貯蔵部に排出するようになっている。外容器307は、本発明における洗浄液回収手段の実施の形態の一例である。容器305および外容器307は支持板312上に配設されている。支持板312上には、また、クリーニングローラ301を支持する図示しない支持機構も搭載されている。
クリーニングローラ301の下部が洗浄液304に浸ることにより、多孔質材料からなる払拭部材303は洗浄液304を吸収する。洗浄液304を吸収した払拭部材303の回転移動の下流において、絞りローラ309が払拭部材303を半径方向に押圧している。絞りローラ309は、本発明における含浸量調節手段ないし含浸量調節部材の実施の形態の一例である。絞りローラ309の径はクリーニングローラ301の径よりも小さくなっている。
絞りローラ309は、払拭部材303よりも硬い材料、例えば硬質ゴムやステンレススチール等で構成されている。絞りローラ309は、支持腕310の一端に回転可能に支持されている。支持腕310の中間部は支持板312に設けられたピン313に長穴314で係合している。支持腕310の他端は図示しない絞り量調節装置からの調節力が作用するようになっている。絞り量調節装置は制御部80によって制御される。
この調節力によって絞りローラ309が、払拭部材303に適量食い込むように押圧される。この食い込み量は、0.5mm〜払拭部材303の肉厚の60
%が好ましく、特に0.5mm〜払拭部材303の肉厚の50%の範囲で調節することが、洗浄液の絞り量を適正化する点で好ましい。なお、絞りローラ309に代えて、箆状の絞り板を用いるようにしても良い。以上のクリーニングローラ301乃至支持板312はヘッドクリーニング装置300を構成する。
絞りローラ309の押圧による絞り作用により、払拭部材303に吸収された洗浄液304の一部が絞り出される。このような絞り出しにより払拭部材303中の洗浄液の含浸量が適正化され、適正な量の洗浄液を含浸した払拭部材303でインクヘッド53のインク吐出面を払拭する。
インク吐出面を払拭して汚れを吸い取った払拭部材303は、洗浄液304に浸ることにより汚れを落とすとともに洗浄液を吸収する。そして絞りローラ309で所定量絞られて再度インク吐出面を払拭する。以上の動作を連続的に行なうことによりインクヘッド53のインク吐出面を清掃する。
なお、払拭部材303の材質、気孔率、気孔径等を適宜に選定することにより、また、クリーニングローラ301の回転速度を適宜に設定することにより、絞りローラ309無しでも払拭部材303中の洗浄液の含浸量を適正にすることが可能であり、その場合には絞りローラ309を省略することが可能である。
布帛の捺染装置において、インクが分散型インクである場合は、顔料がノズルの回りに付着し易いので、インク吐出面の清掃はプリント品質の維持に特に効果的である。また、インク吐出面とクリーニングローラ301を相対移動させることが、クリーニング効果を高める上で好ましい。そのためのクリーニングローラ301の回転速度は、その径に応じて1〜300rpmの範囲で適宜に選ぶことが好ましい。また、そのときのクリーニングローラ301の周速度は800mm/s以下、好ましくは5〜55mm/sとするのが適切な清掃を行なう点で好ましい。
インク吐出面の清掃はヘッドキャリッジ50を走行させながら行なっても良いし、ヘッドクリーニング装置300を移動させながら行なっても良い。これによりインクヘッド51〜54のインク吐出面が順次に清掃される。その場合、ヘッドキャリッジ50とヘッドクリーニング装置300との相対移動速度は1〜100mm/sの範囲で適宜に選ぶことが適切な清掃を行なう点で好ましい。
以上により、インク吐出面とクリーニングローラ301との間の相対移動速度は、900mm/s以下が好ましい。相対移動速度をこの範囲にすることにより、インク吐出面の摩擦や洗浄液の撥ね飛ばしを防止することができる。なお、相対的な走行方向はクリーニングローラ301の回転方向に対向する方向とするのが、清掃効果を高める点で好ましい。また、清掃は、ヘッドキャリッジ50またはヘッドクリーニング装置300を各インクヘッドがクリーニングローラ301に接触する位置で停止させながら間欠的に相対走行させて行なうようにしても良いのは勿論である。
ヘッドクリーニング装置300では、クリーニングローラ301の回転につれて絶えず新たなローラ面がインク吐出面の汚れを運び去るので、従来のクリーニングブレードのようにいつもブレードの同じ面で払拭するものに比べて、はるかに汚れ払拭能力が高まる。
また、クリーニングローラ301の回転につれて絶えず循環するその外周面でインク吐出面を払拭するので、従来のクリーニングブレードのようにいつもブレードの同じ面で払拭するものに比べて、同じ延べ払拭面積当たりの払拭部材の磨耗がはるかに少ないという利点がある。このため、磨耗による払拭部材303の交換の頻度を大幅に低下させることができる。
また、クリーニングローラ301の回転速度を選ぶことにより、最適な清掃条件を容易に実現することができる。すなわち、ヘッドキャリッジ50の走行速度ばかりでなく、クリーニングローラ301の回転速度をも選べるので、清掃条件調節の自由度が増し、最適な清掃を行なうことが容易になる。
さらに、絞りローラ309による洗浄液の絞り量調節を組み合わせることにより、清掃条件調節の自由度をもう1つ増やすことができ、最適な清掃を行なうことが一層容易になる。また、絞られた洗浄液304が容器305に戻されて再利用されるので、洗浄液304の利用効率が高いという利点も有する。
支持板312は1対のカム315,316によって高さを上下できるようになっている。これにより、ヘッドクリーニング装置300が全体として上下する。カム315,316は、本発明における進退手段の実施の形態の一例である。図4では上に持ち上げた状態を示している。下に下げた状態では図5に示すようになり、クリーニングローラ301がインクヘッドから離間する。非清掃時はこの状態で待機する。このとき、ピン313と長穴314との係合を利用して支持腕310を揺動させ、図示のように絞りローラ309による払拭部材303の押圧を解除するのが、無用な押圧による払拭部材303の変形等を避ける点で好ましい。支持腕310を揺動させる機構は、本発明における進退手段の実施の形態の一例である。
なお、カム315,316の回転は、クリーニングローラ301の駆動源と共通の駆動源を利用し、クラッチ機構を介在させることにより、1つの方向の回転でクリーニングローラ301を駆動し、他の方向の回転でカム315,316を駆動するようにしても良い。
なお、ヘッドクリーニング装置300は、上下移動に代えて図4における紙面に垂直な方向への移動により、クリーニングローラ301をヘッドキャリッジ50の走行経路から外すことでインクヘッドから離間させるようにしても良い。
クリーニングローラ301の払拭部材303に対する洗浄液304の供給は、例えば図6に示すように、ローラ軸302に流通路332を設け、この流通路332を通じて払拭部材303に内側から洗浄液304を供給するようにしても良い。あるいは、例えば図7に示すように、洗浄液304を一旦吸収体333に吸収させ、それを払拭部材303に移転するようにしても良い。または、例えば図8に示すように、給液ノズル334から払拭部材303に洗浄液304を供給するようにしても良い。これらはいずれも払拭部材303を浸す洗浄液容器が不要になる点で好ましい。
使用済みの洗浄液の排出は、例えば図9に示すように、容器305の最も深い位置に設けた排出口308’を通じて排出するようにしても良い。これは、使用済みの洗浄液304を容器305の底に沈澱した汚れとともに排出する点で好ましい。なお、排出は弁338を適時に開くことにより行なう。
また、クリーニングローラ301により、インクヘッド51〜54のインク吐出面を清掃する間は、インクヘッド(ノズル)内の圧力を高くするとにより、クリーニングローラ301の払拭部材303に含浸されている洗浄液がインク吐出口からインクヘッド(ノズル)内に逆流することを防止することでき、また、さらには、デキャップを防止することができる。特に、インク吐出部とクリーニングローラ301との接触中は、インクヘッド(ノズル)内の圧力を高くすることが好ましい。
そのために、例えば、クリーニングローラ301により、インクヘッド51〜54のインク吐出面を清掃する間、特に、インク吐出面とクリーニングローラ301との接触中に、インク吐出部からインクを吐出させるように制御部80によりインクヘッドを制御すれば良い。
絞りローラ309により払拭部材303から絞り出された洗浄液は、例えば図10に示すように、吸収体335に吸収させるようにしても良い。吸収体335は例えば多孔質材料を用いて構成される。あるいは高吸水性ポリマーからなる吸収剤を用いるようにしても良い。これらは、洗浄液304の流動性を無くして処分する点で好ましい。
クリーニングローラ301を回転させる駆動力は、例えば図11に示すように、ヘッドキャリッジ50の走行を利用して行なうようにしても良い。すなわち、同図に示すように、クリーニングローラ301のローラ軸302に歯車322を同軸的に設け、この歯車322に係合するラック501をヘッドキャリッジ50に設け、ヘッドキャリッジ50の走行に伴ってクリーニングローラ301を回転させ、払拭部材303でインク吐出面を払拭するようにしても良い。これは、駆動源であるモータ等を共用することにより部品点数を削減する点で好ましい。なお、ラック501と歯車322との間に他の歯車を介在させ、ヘッドキャリッジ50の移動量当たりのクリーニングローラ301の回転量を大きくし、あるいは、クリーニングローラ301の回転方向がヘッドキャリッジ50の走行方向と対向するようにすることが、払拭部材303による払拭性を高める点で好ましい。
本発明の実施の形態の一例の装置の正面図である。 本発明の実施の形態の一例の装置の平面図である。 本発明の実施の形態の一例の装置の側面図である。 本発明の実施の形態の一例の装置におけるヘッドクリーニング装置の模式的構成図である。 本発明の実施の形態の一例の装置におけるヘッドクリーニング装置の模式的構成図である。 本発明の実施の形態の一例の装置における洗浄液供給機構の一例の模式的構成図である。 本発明の実施の形態の一例の装置における洗浄液供給機構の一例の模式的構成図である。 本発明の実施の形態の一例の装置における洗浄液供給機構の一例の模式的構成図である。 本発明の実施の形態の一例の装置における洗浄液回収機構の一例の模式的構成図である。 本発明の実施の形態の一例の装置における洗浄液回収機構の一例の模式的構成図である。 本発明の実施の形態の一例の装置におけるクリーニングローラ駆動機構の一例の模式的構成図である。
符号の説明
001 フレーム
002 カバー
003 ヘッドクリーニング部
10 元巻きロール
20 元巻きロール装填部
30 プラテンローラ
32 プラテンローラ支持部
40 ニップローラ
50 ヘッドキャリッジ
60 インクカートリッジ
70 ガイド
80 制御部
90 操作部
301 クリーニングローラ
302 ローラ軸
303 払拭部材
304 洗浄液
305 容器
309 絞りローラ
312 支持板
315,316 カム

Claims (17)

  1. 液体吐出部から液体を吐出して記録媒体に液体の吐出痕跡を記録する液体吐出装置であって、
    前記液体吐出部の移動方向と対向する方向に回転する液体含浸性を有する円筒状の払拭部材の外周面で前記液体吐出部を払拭する払拭手段と、
    前記払拭部材に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを具備することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記洗浄液供給手段は、前記払拭部材を洗浄液に浸すことにより、前記払拭部材に洗浄液を供給する洗浄液収容容器であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記払拭手段での払拭動作中に液体吐出部より液体を吐出させる手段を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記払拭部材は外径が5〜50mm、内径が1〜40mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  5. 前記払拭部材は連続気泡を有する多孔質材料を用いて構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  6. 前記多孔質材料は平均気孔率が70%以上であることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
  7. 前記多孔質材料は平均気孔径が400μm以下であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の液体吐出装置。
  8. 前記払拭手段は前記払拭部材を前記液体吐出部に接触および離間させる進退手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  9. 前記洗浄液供給手段は前記液体吐出部が吐出する液体と性状が類似した洗浄液を供給するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  10. 前記払拭部材に含浸した前記洗浄液の一部を前記払拭部材から除去することにより前記払拭部材における前記洗浄液の含浸量を調節する含浸量調節手段、
    を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  11. 前記含浸量調節手段は前記払拭部材の外径を部分的に減少させるものであることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
  12. 前記含浸量調節手段は前記払拭部材をその肉厚の50%以下、0.5mm以上部分的に減少させるものであることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
  13. 前記含浸量調節手段は含浸量調節部材を前記払拭部材に接触および離間させる進退手段を備えることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  14. 前記払拭手段は前記含浸量調節手段で前記洗浄液の含浸量が調節された前記払拭部材で前記液体吐出部を払拭するものであることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  15. 前記洗浄液を回収する洗浄液回収手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  16. 布帛の捺染に用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
  17. 前記含浸量調節手段は、前記払拭部材に含浸した前記洗浄液の一部を前記払拭部材から絞り出すことにより、除去することを特徴とする請求項10乃至請求項16のいずれか1つに記載の液体吐出装置。
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