JP6582451B2 - インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法 - Google Patents

インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6582451B2
JP6582451B2 JP2015046896A JP2015046896A JP6582451B2 JP 6582451 B2 JP6582451 B2 JP 6582451B2 JP 2015046896 A JP2015046896 A JP 2015046896A JP 2015046896 A JP2015046896 A JP 2015046896A JP 6582451 B2 JP6582451 B2 JP 6582451B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solvent
organic solvent
ink composition
mass
based ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015046896A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016165843A (ja
Inventor
伊東 淳
淳 伊東
長瀬 真
真 長瀬
健一郎 窪田
健一郎 窪田
小池 直樹
直樹 小池
圭司 飯田
圭司 飯田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2015046896A priority Critical patent/JP6582451B2/ja
Priority to US15/064,759 priority patent/US9868287B2/en
Publication of JP2016165843A publication Critical patent/JP2016165843A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6582451B2 publication Critical patent/JP6582451B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Preventing or detecting of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • B41J2/16535Cleaning of print head nozzles using wiping constructions
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Preventing or detecting of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • B41J2/16552Cleaning of print head nozzles using cleaning fluids
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Preventing or detecting of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Preventing or detecting of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • B41J2/16535Cleaning of print head nozzles using wiping constructions
    • B41J2002/1655Cleaning of print head nozzles using wiping constructions with wiping surface parallel with nozzle plate and mounted on reels, e.g. cleaning ribbon cassettes

Description

本発明は、インクジェット記録装置のメンテナンス方法、及びそれを実行可能なインクジェット記録装置に関する。
従来、インクジェット記録用ヘッドのノズルから吐出させた微小なインクの液滴によって画像や文字を記録する、いわゆるインクジェット記録装置が利用されている。このようなインクジェット記録装置による画像等の記録に用いるインクとしては、色材(例えば、顔料や染料)を有機溶剤及び水の混合物に溶解ないし分散させた水系インクや、色材を有機溶剤に溶解ないし分散させた溶剤系インク等、種々のものが用いられている。
このようなインクの中でも、グリコールエーテル系溶剤をベースとした溶剤系インクは、インク低吸収性の記録媒体(例えば、塩化ビニルフィルム)に対して乾燥性や耐水性の良好な優れた画像を記録できるという点で広く用いられている。また、エステル系溶剤や炭化水素系溶剤をベースとした溶剤系インクも、臭気の点では難があるが乾燥性が優れる点で広く用いられ、また、より沸点の高い溶剤は揮発性の低い溶剤系インクとして普通紙にも用いられている。
ところで、インクジェット記録装置を使用した場合に、ノズルの設けられたノズル形成部材にインクが付着する場合がある。ノズル形成部材に付着したインクは、これに含まれる水分やその他の揮発成分が蒸発することで、増粘したり固化することがある。また、紙や布帛等の記録媒体から生じた繊維屑や紙粉がノズル形成部材に付着する場合がある。このように、インク、紙、繊維及び埃等の異物がノズルやノズル近傍に付着すると、インクの正常な吐出が妨げられる場合がある。
このような吐出不良の問題に対して、例えば特許文献1には、ノズル形成部材に付着したインク滴を除去するために清掃手段として清掃布を用いることが開示されている。また、特許文献2には、ウェット液を記録ヘッド又はゴムワイパーに塗布してウェットワイピングを行うことが開示されている。特許文献3には、ノズル形成部材に付着したインクをロール状の清掃布で吸収させることや、清掃布を洗浄液などで湿潤状態とすることが開示されている。さらに、特許文献4には、クリーニング部材の払拭面に、液体供給部から液体が供給されることが開示されている。これにより、吐出面の乾燥が抑制され、吐出面におけるインクの固化を防ぎ、容易に拭き取ることができる。また、乾燥して固化したインクや増粘したインクであっても容易に拭き取ることができる。
特開2001−260368号公報 特開2009−101630号公報 特開2010−274533号公報 特開2013−132753号公報
しかしながら、特許文献1に記載のノズル形成部材の清掃方法では、ノズル形成面を清掃(クリーニング)するのに液体を用いないため、ノズル形成部材を傷つけてしまったり、清掃が不十分となることがあった。また、特許文献2に記載のノズル形成部材の清掃方
法では、清掃にゴムワイパーを用いているため、ノズル部材の清掃が不十分になったり、ノズル形成部材を傷付けてしまうことがあった。
一方、溶剤系インクは、上述したように優れた画像を記録できる反面、ノズル形成部材に付着した際に除去し難いという問題がある。そのため、特許文献3及び特許文献4に記載の洗浄液(液体)を用いてノズル形成部材の清掃を行っても、ノズル形成部材に付着した溶剤系インクを十分に除去できないという課題があった。特に、洗浄液(液体)と溶剤系インクとの相性によっては、満足できるような洗浄性が得られなかったり、溶剤系インクに含まれる成分の凝集が生じたりして、ノズル形成部材の清掃を行ったにもかかわらず、インクの吐出不良が発生してしまうことがあった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、インクジェット記録装置のノズル形成部材における、クリーニング性に優れ、溶剤系インクの凝集を抑制すると共に、長期放置環境にも対応可能なインクジェット記録装置のメンテナンス方法、及び該メンテナンス方法を実行可能なインクジェット記録装置を提供する。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法の一態様は、
エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含む溶剤系インク組成物を用いて記録を行うインクジェット記録装置において、
前記溶剤系インク組成物を吐出するヘッドのノズルが形成されたノズル形成部材を、含浸液を用い、かつ、液体吸収性の払拭部材により払拭する払拭工程を備え、
前記含浸液が、下記一般式(1)で表される化合物、エステル類、及び二塩基酸エステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有することを特徴とする。
1−O−(R2−O)n−R3 ・・・・・(1)
(上記一般式(1)において、R1は、水素原子、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。R2は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。R3は、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。nは、1以上9以下の整数を表す。)
適用例1のインクジェット記録装置のメンテナンス方法によれば、インクジェット記録装置のノズル形成部材における、クリーニング性に優れ、溶剤系インクの凝集を抑制すると共に、長期放置環境においても対応することが可能である。
[適用例2]
適用例1のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記含浸液に含有される前記有機溶剤として、標準沸点170℃以上の有機溶剤を含むことができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記溶剤系インク組成物に含有される前記有機溶剤として、標準沸点180℃以上の有機溶剤を含むことができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記溶剤系インク組成物に含有される前記有機溶剤の合計含有量が、溶剤系インク組成物の全質量に対して、40質量%以上であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記含浸液に含有される前記有機溶剤を、前記払拭部材100質量部に対して20質量部以上含浸した払拭部材により払拭することができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記払拭部材が布帛であることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記払拭部材が、出荷時において前記含浸液を含浸させているものであることができる。
[適用例8]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のメンテナンス方法によりメンテナンスが行われることを特徴とする。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置を模式的に示す図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のノズル形成面を模式的に示す概略図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のワイパーユニットを模式的に示す斜視図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のワイパーカセットを模式的に示す正面図。
以下に本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本発明において「画像」とは、ドット群から形成されるパターンを示し、パターンは印字パターンや、絵や模様などのパターン、ベタパターンも含める。
1.メンテナンス方法
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法(以下、単に「メンテナンス方法」ともいう。)は、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含む溶剤系インク組成物を
用いて記録を行うインクジェット記録装置において、前記溶剤系インク組成物を吐出するヘッドのノズルが形成されたノズル形成部材を、含浸液を用い、かつ、液体吸収性の払拭部材により払拭する払拭工程を備え、前記含浸液が、下記一般式(1)で表される化合物、エステル類、及び二塩基酸エステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有することを特徴とする。
1−O−(R2−O)n−R3 ・・・・・(1)
(上記一般式(1)において、R1は、水素原子、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。R2は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。R3は、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。nは、1以上9以下の整数を表す。)
以下、本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法について、これを実施可能な装置構成、含浸液、溶剤系インク組成物の順に説明した上で、その工程を詳細に説明する。
1.1.装置構成
本実施形態に係るメンテナンス方法を実施可能なインクジェット記録装置は、溶剤系インク組成物を吐出するノズルが設けられたノズル形成部材と、液体吸収性の払拭部材と、を有する。このようなインクジェット記録装置としては、例えば、図1に示すようなインクジェットプリンターが挙げられる。図1に示すインクジェットプリンター1は、公知のインクジェットプリンターにヘッドメンテナンス装置26を組み込んだものである。
1.1.1.ノズル形成部材
ノズル形成部材のノズルが形成されている面(以下、「ノズル形成面」ともいう。)は、記録ヘッド22の記録媒体Pと対向する位置に設置される。図2は、ノズル形成面を模式的に示す概略図である。すなわち、図2は、記録ヘッド22を記録媒体P側から見た概略図となる。図2に示すように、ノズル形成面37には、溶剤系インク組成物(後述)を吐出するノズル(ノズル開口)38が複数設けられている。ノズル38は、所定方向に複数配列されることでノズル列36を構成する。図2に示すように、ノズル形成面37には、ノズル列36が複数設けられていてもよい。
ノズル形成面37には、撥液膜が設けられていてもよい。撥液膜は、撥液性を有している膜であれば特に制限されず、例えば、撥液性を有する金属アルコキシドの分子膜を成膜し、その後、乾燥処理、アニール処理等を経て形成することができる。金属アルコキシドの分子膜は撥液性を有していればいかなるものでもよいが、フッ素を含む長鎖高分子基(長鎖RF基)を有する金属アルコキシドの単分子膜又は撥液基(例えば、フッ素を含む長鎖高分子基)を有する金属酸塩の単分子膜であることが望ましい。金属アルコキシドとしては、特に限定されないが、その金属種としては、例えばケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムが一般的に用いられる。長鎖RF基としては、例えばパーフルオロアルキル鎖、パーフルオロポリエーテル鎖が挙げられる。この長鎖RF基を有するアルコキシシランとして、例えば、長鎖RF基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。撥液膜としては、特に限定されず、例えばSCA(silane coupling agent)膜や、特許第4424954号公報に記載されたものも用いることができる。なお、特に撥水性を有するものを撥水膜という。
また、撥液膜は、ノズルが形成された基板(ノズルプレート)に導電膜を形成し、その導電膜上に形成してもよいが、先にシリコン材料をプラズマ重合することにより下地膜(PPSi(Plasma Polymerization Silicone)膜)を成膜し、この下地膜上に形成してもよい。この下地膜を介することによりノズルプレートの
シリコン材料と撥液膜を馴染ませることができる。
撥液膜は、1nm以上30nm以下の厚さを有することが好ましく、1nm以上20nm以下の厚さを有することがより好ましく、1nm以上15nm以下の厚さを有することが特に好ましい。上記範囲であることにより、ノズル形成面が撥液性により優れる傾向にあり、膜の劣化が比較的遅く、より長期間撥液性を維持できる。また、コスト的にも膜形成の容易さにもより優れる。
ノズル形成面37には、ノズル形成面37の少なくとも一部を覆うノズルプレートカバー35が設けられていてもよい。図2の例では、ノズルプレートカバー35は、全てのノズル列36を囲むように設けられている。ノズルプレートカバー35は、複数のノズルチップ(以下、単に「チップ」という。)の組み合わせによって形成されるヘッドのノズル形成面において、当該チップを固定する役割、又は記録媒体が浮き上がってノズルに記録媒体が直接接触してしまうのを防止する役割のうち少なくともいずれかの役割を果たすために設けられているものである。そして、上記ノズルプレートカバー35は、ノズル形成面37の少なくとも一部を覆うことにより、側面から見たときに、ノズルから突出している状態で設けられる。当該ノズルプレートカバー35が設けられている場合に、ノズル形成面37とここから突出したノズルプレートカバー35との間の角(隙間)に溶剤系インク組成物が残りやすく、この残った溶剤系インク組成物の顔料等が固化することに起因して、キャップとノズル形成面37との密着が不十分になりキャッピング動作が不良となる問題が生じ得る。溶剤系インク組成物に含まれる樹脂の種類によっては特にその問題が顕著になる。そこで、当該ノズルプレートカバー35とノズル形成面37との間に、払拭部材が当接することにより、上記の隙間に堆積した溶剤系インク組成物を除去することができ、キャッピング動作が安定して良好なものとなる。
後述する払拭工程を実施する際に含浸液を用いることにより、ノズル形成部材に含浸液を付着させつつ、払拭が行われる。具体的には、払拭工程を実施する際に、公知の噴霧装置や塗布装置を用いてノズル形成部材及び/又は払拭部材に含浸液を付着させ、その上で払拭部材によりノズル形成部材の払拭を行うことで、払拭部材に含浸液が含浸する形態や、予め含浸液を払拭部材に含浸させ、含浸液を保持した払拭部材によってノズル形成部材の払拭を行うことで、ノズル形成部材に含浸液が付着する形態が挙げられる。
1.1.2.払拭部材
払拭部材は、ノズル形成部材を払拭して、ノズル及びノズル形成面に付着した付着物(例えば、溶剤系インク組成物、含浸液、繊維、紙、埃など)を吸収あるいは吸着することで、ノズル形成面をクリーニング(清掃)するために用いられる。これにより、ノズル形成面に付着した付着物が払拭部材の内部に吸収されるので、払拭部材の表面に当該付着物が残らない。そのため、撥水膜(ノズル形成面)が当該付着物によって傷付けられることを抑制できる。
払拭部材としては、液体吸収性であれば特に限定されるものではなく、例えば、布帛(織物、編み物、不織布等)、スポンジ、パルプ等が挙げられる。これらの中でも、布帛が好ましい。布帛であれば撓みやすく、ノズルプレートカバーが設けられている場合は、ノズル形成面に付着したインクをより拭き取りやすいためである。布帛を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、キュプラ、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、リヨセル、レーヨン等からなるものを挙げることができる。この際、含浸液によって劣化しにくい材料を選択することが好ましい。
払拭部材の厚さは、所望に応じて適宜設定することができ、例えば0.1mm以上3mm以下とすることができる。厚さが0.1mm以上であることにより、より含浸液を保持
しやすくなる。厚さが3mm以下であることにより、コンパクトな払拭部材となり、メンテナンスユニット全体が小型化でき、払拭部材の機械的搬送もより容易となる。
払拭部材の面密度は、0.005g/cm2以上0.15g/cm2以下であることが好ましく、0.02g/cm2以上0.13g/cm2以下であることがより好ましい。払拭部材の面密度が上記範囲であることにより、含浸液をより保持しやすくなる。さらに、含浸液の保持のため、払拭部材は面密度、厚さを設計しやすい布帛を用いることが好ましい。
払拭部材は、その出荷時(すなわち、インクジェットプリンターに付属の払拭部材や交換用払拭部材の出荷時)に含浸液を含浸させているものであることが好ましい。これにより、インクジェットプリンターのセットアップ後や払拭部材の交換後に、ノズル形成部材の払拭を直ちに行うことができる。また、インクジェットプリンターにノズル形成部材に対して含浸液を噴射したり塗布したりする機構を設ける必要がなくなる。ここで、「出荷時に含浸液を含浸させている」とは、払拭部材を備えたインクジェット記録装置を設置する時に既に当該払拭部材に含浸液を含浸させている状態や、払拭部材をインクジェット記録装置に設置する時に当該払拭部材に既に含浸液を含浸させている状態や、交換用の払拭部材に含浸液を含浸させている状態であることをいう。ここで、「インクジェット記録装置の設置」とは、当該インクジェット記録装置を初めて使用すべく用意することをいい、「払拭部材の設置」とは当該払拭部材を初めて使用すべく用意することをいう。本実施形態において、払拭部材を用いて行うノズル形成部材の払拭は、少なくともノズル形成部材を払拭部材によって拭くものであればよい。
1.1.3.駆動機構
本実施形態で用いられるインクジェット記録装置は、後述する払拭工程を行うための駆動機構を有していてもよい。駆動機構は、払拭部材及び記録ヘッドのうち少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、払拭部材によってノズル形成部材に付着した付着物を払拭する払拭工程を行うための手段である。駆動機構は、払拭部材とノズル形成部材とを50gf以上500gf以下(好ましくは75gf以上300gf以下)で相対的に押圧させる押圧部材を有するものが好ましい。押圧力が50gf以上であることにより、クリーニング性がより良好となる。さらに、ノズルプレートとノズルプレートカバー間に段差がある場合でも、その隙間にインクが付着、堆積することを防ぐ、又はその隙間から除去することに優れたものとなる。また、押圧力が500gf以下であることにより、撥液膜の保存性に一層優れたものとなる。駆動機構は、特に限定されないが、例えば、ノズル形成部材に接する側とは反対の側から払拭部材を押圧して、払拭部材とノズル形成部材とを接触させるものとすることができる。また、記録ヘッドが駆動して、払拭部材とノズル形成部材とを接触させるものとすることもできる。なお、ここでいう荷重とは、駆動機構全体からノズル形成部材に印加される荷重の総和である。
さらに、駆動機構は、払拭部材及び記録ヘッドを1cm/s以上10cm/s以下の速度で相対的に移動させるものであることが好ましい。上記範囲の速度であることにより、クリーニング性と撥液膜の保存性がより向上する。なお、当該清掃動作の速度は、通常記録ヘッドが画像を記録する際に移動する速度と比較しておおよそ5分の1から20分の1程度の遅い速度となるが、この速度関係に限定されるわけではない。
押圧部材は、特に限定されないが、例えば、弾性部材によって被覆されたものが好ましい。弾性部材のショアA硬度は10以上60以下であることが好ましく、10以上50以下であることがより好ましい。これにより、押圧時に押圧部材及び払拭部材が撓み、ノズル形成面からなる凹凸面に対して払拭部材を奥に押し込むことができる。特に、ノズルプレートカバーがある場合には、ノズル形成面とここから突出したノズルプレートカバーと
の間の角(隙間)に対して払拭部材を奥に押し込むことができ、インクの堆積を抑制できる。その結果、クリーニング性が一層向上する。
1.2.含浸液
本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法には、含浸液が用いられる。含浸液は、少なくとも後述する払拭工程を実施する際に、ノズル形成部材に供給される。具体的には、含浸液は、払拭工程を実施する際に公知の噴霧装置などを用いてノズル形成部材に供給され付着するものであってもよいし、払拭工程を実施する際に払拭部材に含浸させておくことでノズル形成部材に付着するものであってもよい。
以下、含浸液に含まれ得る成分について詳細に説明する。
1.2.1.有機溶剤
本実施形態で用いられる含浸液は、下記一般式(1)で表される化合物、エステル類、及び二塩基酸エステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤(以下、「第1特定有機溶剤」ともいう。)を含有する。これらの第1特定有機溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。第1特定有機溶剤は、ノズル形成部材に付着した溶剤系インク組成物を溶解(軟化)させる作用に優れるので、溶剤系インク組成物に含まれる成分が凝集してしまうことを抑制できる上に、ノズル形成部材のクリーニング性も向上できる。
<一般式(1)で表される化合物>
1−O−(R2−O)n−R3 ・・・・・(1)
上記一般式(1)において、R1は、水素原子、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。R2は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。R3は、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。nは、1以上9以下の整数を表す。
1及びR3における「アリール基」としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基、ベンジルフェニル基、ビフェニル基等が挙げられる。また、R1及びR3における「炭素数1以上6以下のアルキル基」としては、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R2における「炭素数2以上4以下のアルキレン基」としては、例えば、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
上記一般式(1)中、R1は、水素原子または炭素数2以上4以下のアルキル基であることが好ましい。また、上記一般式(1)中、R3は、炭素数2以上4以下のアルキル基であることが好ましい。これにより、溶剤系インク組成物を溶解(軟化)させる作用が向上して、クリーニング性が一層良好となる。
上記一般式(1)中、nは3以上6以下の整数であることが好ましい。これにより、溶剤系インク組成物を溶解(軟化)させる作用が向上して、クリーニング性が一層良好となる。
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、アルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノエチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
<エステル類>
エステル類(R−CO−OR’)としては、例えば、Rが、水素原子、アルキル基、アリール基またはグリコールエーテル基であり、R’がアルキル基、アリール基である有機溶剤が挙げられる。このようなエステル類としては、グリコールエーテルエステル類を用いることが好ましく、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートなどが挙げられる。
<二塩基酸エステル類>
二塩基酸エステル類としては、ジカルボン酸(例えば、グルタル酸、アジピン酸、コハ
ク酸等の脂肪族ジカルボン酸)のモノエステル、ジエステル等が挙げられる。具体的には、ジメチル−2−メチルグルタレート等が挙げられる。
上記の第1特定有機溶剤の中でも、溶剤系インク組成物を溶解(軟化)させる作用に優れているという点から、上記一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。
上記の第1特定有機溶剤としては、標準沸点が170℃以上であるものを用いることが好ましく、210℃以上であるものを用いることがより好ましく、250℃以上であるものを用いることが特に好ましい。その上限値は、450℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましく、350℃以下であることがさらに好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。標準沸点が上記範囲の第1特定有機溶剤を用いることで、含浸液の乾燥に伴うノズルの目詰まりの発生を低減できるので、溶剤系インク組成物の吐出安定性が一層良好となる。また、後述する払拭工程でのノズル形成部材の乾燥を抑制できるので、特にノズル形成面における耐擦性も向上する。
上記の第1特定有機溶剤には、20℃における蒸気圧が1hPa以下であるものを用いることが好ましく、0.5hPa以下であるものを用いることがより好ましく、0.1hPa以下であるものを用いることがより一層好ましく、0.01hPa以下であるものを用いることが特に好ましい。蒸気圧が上記範囲の第1特定有機溶剤を用いることで、含浸液の乾燥に伴うノズルの目詰まりの発生を低減できるので、溶剤系インク組成物の吐出安定性が良好となりやすい。
また、上記の第1特定有機溶剤としては、20℃における表面張力が25mN/m以上35mN/m以下であるものを用いることが好ましい。これにより、後述する溶剤系インク組成物との相溶性が向上するので、クリーニング性が一層向上する傾向にある。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを有機溶剤で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
含浸液中の第1特定有機溶剤の含有量は、含浸液の全質量(100質量%)に対して、その下限値が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。第1特定有機溶剤の含有量が30質量%以上であることで、ノズル形成部材のクリーニング性が一層向上する。第1特定有機溶剤の含浸液に対する含有量の上限は特に限られるものではなく100質量%でもよい。
含浸液を含浸させた払拭部材を用いて後述する払拭工程を行う場合には、払拭部材に含浸させる含浸液の含有割合は、前記払拭部材100質量部に対して、第1特定有機溶剤が20質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることが特に好ましい。その上限値は、150質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることがより好ましい。20質量部以上であることで、ノズル形成部材に付着して固化した溶剤系インク組成物をより溶解(軟化)することができ、クリーニング性に優れ、長期放置時でのクリーニング性も良好となる。150質量部以下であることで、払拭部材に溶剤系インク組成物が吸収されやすくなるので、インクの拭き残りによるノズルの吐出異常や不吐出が生じ難くなり、インクの吐出安定性が良好となる。
本実施形態で用いられる含浸液は、上記の第1特定有機溶剤以外の有機溶剤を含有してもよい。このような有機溶剤としては、後述する溶剤系インク組成物で例示する有機溶剤を挙げることができる。
1.2.2.その他の成分
本実施形態で用いられる含浸液には、さらに、界面活性剤、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤・防かび剤及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を添加することができる。
1.3.溶剤系インク組成物
本実施形態に係るメンテナンス方法が適用されるインクジェット記録装置は、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する溶剤系インク組成物を用いて記録媒体上に画像の記録を行うものである。
本発明において「溶剤系インク組成物」とは、有機溶剤を主要な溶媒として、水を主要な溶媒としないインクである。好ましくは、インク中の水の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましく0.05質量%未満であり、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに一層好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。あるいは、実質的に水を含有しないインクとしてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。溶剤系インク組成物中の有機溶剤の含有量は、色材や樹脂などの有機溶剤以外の他の成分を含む場合は、当該他の成分を除く残りの残量とすることができ、例えば、70質量%以上、さらには80質量%以上とすることができ、含有量の上限は、100質量%以下、さらには、99質量%以下とすることができる。
溶剤系インク組成物は、有機溶剤を主溶媒としていることから、耐水性に優れた画像を形成することができ、低吸収性の記録媒体に付着した際の乾燥性に優れるという利点がある一方、ノズル形成部材に付着しやすかったり、除去しにくかったりするという問題があった。このような問題に対して、上述した含浸液を用いて溶剤系インク組成物の付着したノズル形成材料を払拭すれば、含浸液の作用によりノズル形成部材を付着物のない状態に保つことが容易となる。
以下、溶剤系インク組成物に含まれ得る成分について、詳細に説明する。
1.3.1.有機溶剤
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤(以下、「第2特定有機溶剤」ともいう。)を含有する。第2特定有機溶剤を含有することにより、普通紙に対するインクの浸透性を高めることができる。また、乾燥性に優れているため、記録された画像の乾燥性を向上させることができ、例えば普通紙のカールの発生や記録物のローラー転写汚れなどを抑制できる。
また、第2特定有機溶剤は、前述の含浸液に含まれる第1特定有機溶剤と馴染みやすい性質があるため、後述の払拭工程において含浸液と溶剤系インク組成物とが混じり合うことによって凝集物が発生するのを抑制できる。
<エステル系溶剤>
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、カプリル酸メチル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノ
ール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリス(2−エチルヘキサン酸)トリメチロールプロパン、トリス(2−エチルヘキサン酸)グリセリル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
<炭化水素系溶剤>
炭化水素系溶剤としては、脂肪族炭化水素(例えば、パラフィン、イソパラフィン)、脂環式炭化水素(例えば、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、テトラリン等)等が挙げられる。このような炭化水素系溶剤としては、市販品を用いてもよく、IPソルベント1016、IPソルベント1620、IPクリーンLX(以上全て、出光興産株式会社製の商品名)、Isopar(アイソパー)G、Isopar L、Isopar H、Isopar M、Exxsol D40、Exxsol D80、Exxsol D100、Exxsol D130、Exxsol D140(以上全て、Exxon社製の商品名)、NSクリーン100、NSクリーン110、NSクリーン200、NSクリーン220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)等の脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素や、ソルベッソ200(Exxon社製の商品名)等の芳香族炭化水素が挙げられる。
<アルコール系溶剤>
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、イソアミルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、アリルアルコール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物に含まれる第2特定有機溶剤の合計含有量は、溶剤系インク組成物の全質量(100質量%)に対して、その下限値が40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。また、上限値は、100質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。第2特定有機溶剤の合計含有量が40質量%以上であることで、記録された画像の乾燥性を向上させることができ、普通紙のカールの発生や記録物のローラー転写汚れなどを効果的に抑制できる。また、含浸液と混じり合うことにより発生する凝集を効果的に予防することができる。
溶剤系インク組成物に含まれる第2特定有機溶剤は、標準沸点が180℃以上のものであることが好ましい。その上限値は、450℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましく、350℃以下であることがさらに好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。標準沸点が180℃以上であることで、溶剤系インク組成物の吐出ヘッドでの乾燥を防ぐことができるため、吐出ヘッドからの吐出安定性が良好となる。また、標準沸点が450℃以下であることで、インクの乾燥性と耐乾燥性とのバランスが良好となる。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、上記第2特定有機溶剤以外の有機溶剤を含有してもよい。このような有機溶剤としては、例えば、環状ラクトンやグリコールエーテル類等が挙げられる。
<環状ラクトン>
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、環状ラクトンを含有することも好ましい。環状ラクトンを含有することにより、特に低吸収性記録媒体(例えば、塩化ビニル系樹脂)の一部を溶解して記録媒体の内部に溶剤系インク組成物を浸透させることができる。このように記録媒体の内部に溶剤系インク組成物が浸透することで、記録媒体上に記録した画像の耐擦性を向上させることができる。
本明細書における「低吸収性記録媒体」とは、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体のことをいい、少なくとも記録面がこの性質を備えていればよい。この定義によれば、本発明における「低吸収性記録媒体」には、水を全く吸収しない非吸収性記録媒体も含まれる。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
低吸収性記録媒体としては、具体的には、低吸収性の材料を含むシート、フィルム、繊維製品等が挙げられる。また、低吸収性記録媒体は、基材(例えば、紙、繊維、皮革、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等)の表面に、低吸収性の材料を含む層(以下、「低吸収性層」ともいう)を備えたものであってもよい。低吸収性の材料としては、特に限定されないが、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
本発明における「環状ラクトン」とは、環内にエステル基(−CO−O−)を有する環状化合物の総称をいう。環状ラクトンとしては、上記定義に含まれるものであれば特に制限されないが、炭素数2以上9以下のラクトンであることが好ましい。このようなラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン等が挙げられるが、これらの中でもγ−ブチロラクトンが特に好ましい。上記例示した環状ラクトンは、1種単独又は2種以上混合して使用することができる。
環状ラクトンを含有する場合には、その含有量は、溶剤系インク組成物の全質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。その上限値は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。環状ラクトンの含有量が1質量%以上であることで、画像の耐擦性が一層向上する傾向にある。一方、40質量%以下であることで、画像の光沢性が向上する傾向にある。
<グリコールエーテル類>
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、グリコールエーテル類を含有することも好ましい。グリコールエーテル類を含有することにより、記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を制御することができる。グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレング
リコールモノエーテルやアルキレングリコールジエーテル等が挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
グリコールエーテル類を含有する場合には、その含有量は、溶剤系インク組成物の全質量に対して、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。グリコールエーテル類の含有量が5質量%以上であることで、画像の光沢性やドットサイズが良好になる傾向にあり、30質量%以下であることで、画像の印刷ムラの発生を低減できる傾向がある。
1.3.2.色材
色材としては、染料を用いてもよく、無機顔料及び有機顔料等の顔料を用いることもできるが、耐光性等の観点から顔料を用いることが好ましい。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等)、染料レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また、無機顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
色材の含有量は、所望に応じて適宜設定でき、特に限定されるものではないが、通常、溶剤系インク組成物の全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である。
また、色材として顔料を使用する場合には、顔料分散剤を使用して、インク中での顔料の分散性を高めることも好ましい。このような顔料分散剤としては、例えば、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192、2091、2095(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。顔料分散剤を使用する場合の含有量は、含有される顔料に応じて適宜選択することができるが、溶剤系インク組成物中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
1.3.3.樹脂
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、上述の色材を記録媒体に定着させるための樹脂(以下、「定着樹脂」ともいう。)を含有してもよい。
定着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロースアセテートブチレート等の繊維系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂及び塩化ビニル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましく、塩化ビニル樹脂がより好ましい。これらの定着樹脂を含有することにより、記録媒体への定着性を向上でき、また耐擦性も向上する。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物中における定着樹脂の固形分含有量は、好ましくは0.05質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。定着樹脂の含有量が前記範囲であると、記録媒体に対して優れた定着性が得られる。
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂としては、従来公知の重合性モノマーからなる共重合体を使用することができる。重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチル、イタコン酸モノn−ブチル等のカルボキシ基含有モノマーの他、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、水酸基含有アリル化合物、三級アミノ基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等を単独または複数組み合わせて用いることができる。
上記のアクリル樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えばアクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル
樹脂)、パラペットG−1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味するものとし、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味するものとする。
<塩化ビニル樹脂>
塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニルと、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、マレイン酸、ビニルアルコール等の他のモノマーとの共重合体が挙げられるが、これらの中でも塩化ビニル及び酢酸ビニルに由来する構成単位を含む共重合体(以下、「塩酢ビ共重合体」ともいう。)が好ましく、ガラス転移温度が60〜80℃である塩酢ビ共重合体がより好ましい。
塩酢ビ共重合体は、常法によって得ることができ、例えば懸濁重合によって得ることができる。具体的には、重合器内に水と分散剤と重合開始剤を仕込み、脱気した後、塩化ビニル及び酢酸ビニルを圧入し懸濁重合を行うか、塩化ビニルの一部と酢酸ビニルを圧入して反応をスタートさせ、残りの塩化ビニルを反応中に圧入しながら懸濁重合を行うことができる。
塩酢ビ共重合体は、その構成として、塩化ビニル単位を70〜90質量%含有することが好ましい。上記範囲であれば、溶剤系インク組成物中に安定して溶解するため長期の保存安定性に優れる。さらには、吐出安定性に優れ、記録媒体に対して優れた定着性を得ることができる。
また、塩酢ビ共重合体は、塩化ビニル単位及び酢酸ビニル単位とともに必要に応じて、その他の構成単位を備えていても良く、例えばカルボン酸単位、ビニルアルコール単位、ヒドロキシアルキルアクリレート単位が挙げられ、とりわけビニルアルコール単位が好ましく挙げられる。前述の各単位に対応する単量体を用いることで得ることができる。カルボン酸単位を与える単量体の具体例としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。ヒドロキシアルキルアクリレート単位を与える単量体の具体例としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの単量体の含有量は、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、例えば単量体全量の15質量%以下の範囲で共重合させることができる。
また、塩酢ビ共重合体は市販されているものを用いてもよく、例えば、ソルバインCN、ソルバインCNL、ソルバインC5R、ソルバインTA5R、ソルバインCL、ソルバインCLL(以上、日信化学工業株式会社製)、カネビニールHM515(株式会社カネカ製)などが挙げられる。
これらの樹脂の平均重合度は、特に限定されないが、好ましくは150〜1100、より好ましくは200〜750である。これらの樹脂の平均重合度が上記範囲である場合、本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物中に安定して溶解するため、長期の保存安定性に優れる。さらには、吐出安定性に優れ、記録媒体に対して優れた定着性を得ることができる。なお、これらの樹脂の平均重合度は、比粘度を測定し、これから算出されるものであり、「JIS K6720−2」に記載の平均重合度算出方法に準じて求めることができる。
また、これらの樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは10000〜50000、より好ましくは12000〜42000である。なお、数平均分子量は、GPCによって測定することが可能であり、ポリスチレン換算とした相対値として求めるこ
とができる。
1.3.4.界面活性剤
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物には、表面張力を低下させて記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−315、315N、347、348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン誘導体としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA−10R、A−13R(いずれも日油株式会社製)、フローレンTG−740W、D−90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンCX−100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物中における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上2質量%以下である。
1.3.5.その他の成分
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物には、必要に応じて、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を添加することができる。
1.3.6.溶剤系インク組成物の調製方法
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行うことができる。
1.3.7.溶剤系インク組成物の物性
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、溶剤系インク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げて
いき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
1.4.メンテナンス方法の払拭工程
本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法は、上述した含浸液が供給されたノズル形成部材を払拭部材によって払拭する払拭工程を備える。この払拭工程では、上述した含浸液を用いてノズル形成部材を払拭するので、ノズル形成部材のクリーニング性が優れたものとなる。
以下、払拭工程の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。図3は、ヘッドメンテナンス装置26の一例であるワイパーユニット34を模式的に示す斜視図である。図4(a)は、ワイパーカセット34の正面図であり、図4(b)は筐体を省略したワイパーカセット34の正面図である。
図1に示すように、フレーム12内において記録用紙Pが搬送される記録領域の右側に設けられたホームポジションHPには、記録ヘッド22のメンテナンスを行なうためのヘッドメンテナンス装置26が設けられている。
ヘッドメンテナンス装置26は、記録ヘッド22のノズル形成部材から溶剤系インク組成物を払拭する払拭部材30を搭載したワイパーカセット31と、該ワイパーカセット31が着脱自在に装着されるワイパーホルダー32と、該ワイパーホルダー32を記録ヘッド22のノズル列方向(図1においては記録媒体の搬送方向)に移動させる移動機構33とからなるワイパーユニット34を有している。なお、ヘッドメンテナンス装置26は、ワイパーユニット34以外に、記録ヘッド22のノズル形成部材に対してノズルを囲うように当接可能に設けられるキャップ(図示略)と、そのキャップを介して記録ヘッド22内から増粘等した溶剤系インク組成物を廃インクとして吸引排出するために駆動される吸引ポンプ(図示略)を備えていてもよい。なお、本実施形態に係る駆動機構は、含浸液を含む払拭部材とノズル形成部材のノズル形成面とを押圧するための機構であり、少なくとも図4(a)における押圧部材87と、棒ばね90とからなり、移動機構33も含まれうる。
図4に示すように、ワイパーカセット31の外装を構成する略矩形箱状をなす筐体80の内側には、筐体80の短手方向となる前後方向へ水平に延びる軸線を有した一対のローラー81,82が筐体80の長手方向となる左右方向に距離をおいて収容されている。この一対のローラー81,82の間には、記録ヘッド22のノズル形成面からインクを払拭するための長尺状の払拭部材30が掛装されている。そして、この一対のローラー81,82のうち、記録ヘッド22が記録用紙(記録媒体)Pに対して記録を実行する記録領域寄りとなる左方側に設けられた第1のローラーとしての繰り出しローラー81は、巻装した未使用の払拭部材30を繰り出す。一方、この一対のローラー81,82のうち、記録ヘッド22が記録用紙Pに対して記録を実行する記録領域とは反対寄りとなる右方側の第2のローラーとしての巻き取りローラー82は、繰り出しローラー81から巻き解かれて払拭に使用された使用済みの払拭部材30を巻き取る。なお、繰り出しローラー81及び巻き取りローラー82は互いに略同一の高さに位置している。また、筐体80の外側に露出した繰り出しローラー81の軸線方向の一端部(前端部)には、繰り出し歯車が繰り出しローラー81と一体回転可能に設けられている。また、筐体80の外側に露出した巻き取りローラー82の軸線方向の両端部には、巻き取り歯車84,85が巻き取りローラー82と一体回転可能に設けられている。
また、筐体80の内側には、繰り出しローラー81から巻き取りローラー82に至る払拭部材30の繰り出し経路上に、複数(本実施形態では4つ)のローラー86,88,8
9及び押圧部材87が設けられている。これらのローラー86,88,89及び押圧部材87は、繰り出しローラー81及び巻き取りローラー82と平行に前後に延びており、その前後方向の両端が筐体80の側壁部に設けられた軸受け部等によって回動自在に支持されている。
具体的には、繰り出しローラー81の右斜め上方に設けられた押圧部材87には、払拭部材30において繰り出しローラー81から繰り出される部分が巻き掛けられている。押圧部材87における軸線方向両端の軸部87aは、筐体80の前後両側の外側面に固定された棒ばね90によって下方から支持されている。棒ばね90は、その長手方向の中間位置で押圧部材87の軸部87aを下方から支持している。なお、押圧部材87の軸部87aは、筐体80に設けられた軸受け孔91に対して前後に挿通されており、棒ばね90から作用する上方への付勢力に従って軸受け孔91の上側の孔縁に密着している。そして、押圧部材87の軸部87aは、棒ばね90と軸受け孔91の孔縁との間で上下両側から回動自在に支持されている。また、押圧部材87における周面の最上部は筐体80の上面よりも上方に位置しており、払拭部材30において押圧部材87に巻き掛けられた部分は筐体80の上面から上方に突出している。また、押圧部材87における周面の最上部は、記録ヘッド22のノズル形成面よりも上方に位置している。
棒ばね90、押圧部材87を少なくとも含む本実施形態の駆動機構は、棒ばね90による上方への付勢力により、含浸液を含む払拭部材30を、ノズル形成面22に対して押圧して押圧荷重を加えることができる。本実施形態の押圧荷重はばね荷重を指す。なお、押圧荷重を印加する機構は、払拭部材をある一定の荷重でノズル形成面に押圧できるものであれば、ばねだけではなく、ゴムを用いても良いし、これらを用いずに電気的に機械部材を制御して荷重を印加する等の方法で荷重をかけても良い。
また、押圧部材87の鉛直下方には、払拭部材30において押圧部材87から繰り出される部分を巻き掛ける中継ローラー89が設けられている。また、中継ローラー89に対して払拭部材30を挟んで反対側となる位置には、中継ローラー89との間で払拭部材30を挟持する挟持ローラー92が設けられている。また、筐体80の底壁内面と挟持ローラー92との間には付勢部材としてのばね部材93が介設されている。そして、挟持ローラー92は、ばね部材93によって中継ローラー89に接近する方向に付勢されている。
なお、中継ローラー89において筐体80の側壁部から外側に露出した軸線方向の一方側(図4では後方側)の軸部89aの端部には、中継歯車94が中継ローラー89と一体回転可能に設けられている。また、挟持ローラー92における軸線方向両端の軸部92aは、筐体80の側壁部に弾性片部を切り抜き形成した際に形成された切り欠き溝状の軸受け部から外側に端部が露出している。
また、繰り出しローラー81から巻き取りローラー82に至る払拭部材30の繰り出し経路上において、繰り出しローラー81と押圧部材87との間、及び、押圧部材87と中継ローラー89との間には、払拭部材30に対してテンションを付与するテンションローラー86,88が設けられている。なお、テンションローラー86,88における軸線方向両端の軸部86a,88aは、筐体80の側壁部に設けられた円形凹状の軸受け部から外側に端部が露出している。
本実施形態に係るメンテナンス方法は、記録媒体を30℃以上(より好ましくは、35℃以上50℃以下)に加熱して画像の記録を行うインクジェット記録装置に対しても好適に使用される。このようなインクジェット記録装置は、加熱に起因するノズル詰まりが発生しやすいが、本実施形態に係るメンテナンス方法では、上述した含浸液を用いた払拭工程を実施するので、ノズル詰まり等の不具合の発生を効果的に抑制できる。
2.実施例
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
2.1.インク組成物の評価
2.1.1.インク組成物の調製
表1の組成となるように各成分を混合し十分に攪拌した後、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することにより、各インク組成物を得た。なお、インク1〜インク7は溶剤系インク組成物であり、インク8は水系インク組成物である。
なお、表1中で使用した成分のうち、化合物名以外で記載されているものについては以下の通りである。
<色材>
・PB−15:3(C.I.ピグメントブルー15:3)
<顔料分散剤>
・Solsperse37500(商品名、Lubrizol社製)
・Solsperse20000(商品名、Lubrizol社製)
<エステル系溶剤>
・PGmME−AC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
<炭化水素系溶剤>
・ナフテゾール160(商品名、JX日鉱日石エネルギー株式会社、ナフテン系溶剤)
<環状ラクトン>
・GBL(γ−ブチロラクトン)
<グリコールエーテル系溶剤>
・DEGBME(ジエチレングリコールブチルメチルエーテル)
・TetraEGmBE(テトラエチレングリコールモノブチルエーテル)
<界面活性剤>
・BYK340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)
・BYK331(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)<樹脂>
・HM515(商品名「カネビニールHM515」、株式会社カネカ製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)
・SF−470(商品名「スーパーフレックス470」、第一工業製薬株式会社製、水系ポリウレタン樹脂)
2.1.2.インク組成物の評価試験
インク組成物の評価試験は、空調設備と加湿器を利用して、環境試験室を所定の温度及び湿度となるように調整し、当該環境試験室内に設置したセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター「SC−S30650」(商品名)を改造したものを用いた。具体的には、当該プリンターに上記のヘッドメンテナンス装置26(図1等参照)を組み込んだものを用いた。
各評価は、上記のプリンターのプラテンにヒーターを設けたものを用いて、記録媒体の記録側表面温度が所定の温度となるようにヒーターで加熱しながら記録を行った。なお、温度及び湿度は、ヒーター等のインクジェットプリンター自身の発熱の影響を受けない筐体の上に設置した温湿度センサーによって測定した。
<凝集ムラ>
上記プリンターを用いて各インク組成物を、表面温度を30℃とした塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に100%濃度で記録解像度720×720dpiのベタパターンを記録した。その記録物を、24時間、25℃65%RH(相対湿度)にて乾燥させた。その後、目視にて記録物の記録面を観察することにより凝集ムラの評価を行った。評価基準は以下の通りである。
A:パターンの端部に滲みが無く、パターン内部に凝集ムラが無い。
B:パターンの端部に滲みが見られるが、パターン内部には凝集ムラが無い。
C:パターンの内部に若干の凝集ムラが見られる。
D:パターンの内部に凝集ムラがかなり見られる。
<耐擦性>
上記プリンターを用いて各インク組成物を、表面温度を30℃とした塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に100%濃度で記録解像度720×720dpiのベタパターンを記録した。その記録物を、25℃65%RH(相対湿度)にて1日間、乾燥させた。次いで、JIS L 0849に基づいて、I型試験機にて乾式試験を行った。その後、試験綿布のODをスペクトロリーノ(グレタグマクベス社製)にて測定して耐擦性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
A:0.1以下
B:0.1超0.2以下
C:0.2超0.3以下
D:0.3超
<乾燥性>
上記プリンターを用いて各インク組成物を、表面温度を30℃とした塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に100%濃度で記録解像度720×720dpiのベタパターンを記録した。その記録物を25℃で5分間乾燥させた。次いで、巻き取り装置を用いて巻き取った後の記録面のスリ痕を観察した。この観察は、レーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製、形式VK−8700 Generation2)にて表面粗さを測定することにより、スリ痕のある面積の割合を算出した。評価基準は以下の通りである。
A:スリ痕面積が印刷領域の10%以下
B:スリ痕面積が印刷領域の10%超20%以下
C:スリ痕面積が印刷領域の20%超
<吐出安定性>
360個のノズルから正常に吐出することを確認してから、ノズルプレートを25℃65%RHで1時間開放した後、ノズルの吐出具合を検査した。評価基準は以下の通りである。
A:吐出不良(不吐出や飛行曲がり)が2個以内。
B:吐出不良が3〜5個。
C:吐出不良が6個以上。
2.1.3.インク組成物の評価結果
各インク組成物の組成及び評価試験の結果を下表1に示す。
Figure 0006582451
表1に示すように、溶剤系インク組成物(インク1〜7)は、水系インク組成物(インク8)と比較して、記録された画像の凝集ムラ、耐擦性、表面乾燥性に優れ、吐出安定性の点でも良好となることがわかった。
2.2.含浸液の調製
下表2に示す配合量で、各成分を混合し、十分に撹拌して、含浸液1〜14を得た。
Figure 0006582451
なお、表2中で使用した成分のうち、化合物名以外で記載されたものについては以下の通りである。
・オルフィンE1010(商品名、日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
2.3.メンテナンス方法に関する評価
2.3.1.払拭条件
払拭に関する評価は、下表3及び下表4に示す払拭条件にしたがって行った。なお、「布帛」には、セルロース長繊維不織布(商品名「ベンリーゼ」)を用い、これに含浸液を含浸させた。一方、「ブレードワイパー」には、フッ素系エラストマーを用いた。払拭動作は、払拭部材(布帛またはブレードワイパー)をノズルプレート(ノズル形成面)に接触させて、払拭部材の裏からノズルプレートに押圧部材で押圧した状態で、ノズルが並ぶノズル列の方向と交差する方向に、払拭部材をノズルプレートに対し1方向に20cm移動させた。払拭部材はロール状になっており、新しい部分を引き出して次回の払拭に用いた。
2.3.2.払拭に関する評価試験
<クリーニング性>
上記で調製したインク組成物をプリンターにセットして、10分間連続印刷をした。この連続印刷では、インク組成物を吐出させた際の記録媒体の表面温度が30℃となるようにした。次いで、下表3または下表4に示す払拭条件にしたがって、ノズル形成面を払拭する払拭動作(払拭工程)を行った。ここまでの動作を1セットとして、50セット繰り返し行った。終了後、ノズルプレートの汚れや異物の残り具合を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
A:汚れ(インクの拭き残りや異物など)が見られない。
B:ノズルプレートの端部近くなど一部に若干の汚れが見られる。
C:ノズルプレートの全体に汚れが見られる。
<混合試験(凝集)>
各例に用いる含浸液とインク組成物とを1:5の質量比で混合し、ガラス容器に密封して、40℃、7日間放置後における凝集物の発生の有無を目視で確認した。評価基準は以下の通りである。
A:凝集が見られない。
B:凝集が見られる。
<長期クリーニング性>
上記のクリーニング性試験において、払拭部材に含浸液を含浸させてから常温で1ヶ月放置させた払拭部材を用いたこと以外は同様に行った。評価基準は以下の通りである。
A:汚れ(インクの拭き残りや異物など)が見られない。
B:ノズルプレートの端部近くなど一部に若干の汚れが見られる。
C:ノズルプレートの全体に汚れが見られる。
2.3.3.メンテナンス方法に関する評価結果
メンテナンス方法に関する評価条件及び評価結果を下表3及び下表4に示す。
Figure 0006582451
Figure 0006582451
表3に示すように、第2特定有機溶剤を含有する溶剤系インク組成物の記録後に、第1特定有機溶剤を含有する含浸液を含浸させた布帛によりノズル形成面のクリーニングを行
うことにより、クリーニング性及び長期クリーニング性が良好となることがわかった。また、第1特定有機溶剤を含有する含浸液は、第2特定有機溶剤を含有する溶剤系インク組成物の凝集物を発生させないこともわかった。
一方、比較例1及び比較例2では、第1特定有機溶剤を含有しない含浸液を用いて払拭を行ったため、クリーニング性及び長期クリーニング性が大幅に低下することがわかった。また、第1特定有機溶剤を含有しない含浸液は、第2特定有機溶剤を含有する溶剤系インク組成物の凝集を発生させてしまうこともわかった。
比較例3では、溶剤系インク組成物ではなく水系インク組成物を用いて記録を行った場合、第1特定有機溶剤を含有する含浸液を含浸させた布帛によりノズル形成面のクリーニングを行っても、クリーニング性及び長期クリーニング性に優れないことがわかった。また、第1特定有機溶剤を含有する含浸液と水系インク組成物とを混合すると、凝集物を発生させてしまうこともわかった。
また、比較例4では、含浸液を用いなかったため、クリーニング性及び長期クリーニング性が大幅に低下すると共に、乾燥した布帛がノズル形成面を傷付けてしまうことがわかった。比較例5では、含浸液を含浸しないブレードワイパーを用いて払拭を行ったため、クリーニング性及び長期クリーニング性が低下すると共に、ノズル形成面を傷付けてしまうことがわかった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
P…記録用紙、HP…ホームポジション、1…インクジェットプリンター、12…フレーム、22…記録ヘッド、26…ヘッドメンテナンス装置、30…払拭部材、31…ワイパーカセット、32…ワイパーホルダー、33…移動機構、34…ワイパーユニット、35…ノズルプレートカバー、36…ノズル列、37…ノズル形成面、38…ノズル、80…筐体、81…第1のローラーとしての繰り出しローラー、82…第2のローラーとしての巻き取りローラー、84…動力伝達歯車としての巻き取り歯車、85…動力伝達歯車としての巻き取り歯車、86…テンションローラー、86a…軸部、87…押圧部材、87a…軸部、88…テンションローラー、88a…軸部、89…巻き掛けローラーとしての中継ローラー、89a…軸部、90…棒ばね、91…軸受け孔、92…挟持ローラー、92a…軸部、93…付勢部材としてのばね部材、94…中継歯車

Claims (12)

  1. 機溶剤を含む溶剤系インク組成物を用いて記録を行うインクジェット記録装置のメンテナンス方法であって、
    前記溶剤系インク組成物を吐出するヘッドのノズルが形成されたノズル形成部材を、含浸液を用い、かつ、液体吸収性の払拭部材により払拭する払拭工程を備え、
    前記溶剤系インク組成物は、有機溶剤の合計含有量が、溶剤系インク組成物の全質量に対して、70質量%以上であり、
    前記溶剤系インク組成物に含有される有機溶剤が、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される標準沸点が180℃以上の有機溶剤を、少なくとも含み、
    前記含浸液が、下記一般式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する、インクジェット記録装置のメンテナンス方法。
    1−O−(R2−O)n−R3 ・・・・・(1)
    (上記一般式(1)において、R1は、水素原子を表す。R2は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。R3は、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。nは、1以上9以下の整数を表す。)
  2. 前記含浸液に含有される前記有機溶剤として、標準沸点が170℃以上の有機溶剤を含む、請求項1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  3. 前記溶剤系インク組成物に含有される前記有機溶剤として、標準沸点180℃以上450℃以下の有機溶剤を含む、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  4. 前記溶剤系インク組成物に含有される前記有機溶剤の合計含有量が、溶剤系インク組成物の全質量に対して、40質量%以上である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  5. 前記含浸液に含有される前記有機溶剤として、標準沸点が210℃以上の有機溶剤を含む、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  6. 前記溶剤系インク組成物に含有される水の含有量が3質量%以下である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  7. 前記溶剤系インク組成物に含有される有機溶剤の合計含有量が、溶剤系インク組成物の全質量に対して、80質量%以上である、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  8. 前記含浸液に含有される前記有機溶剤の合計含有量が、30質量%以上である、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  9. 前記含浸液に含有される前記有機溶剤を、前記払拭部材100質量部に対して20質量部以上含浸した払拭部材により払拭する、請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  10. 前記払拭部材が布帛である、請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  11. 前記払拭部材が、出荷時において前記含浸液を含浸させているものである、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のメンテナンス方法によりメンテナンスが行われる、インクジェット記録装置。
JP2015046896A 2015-03-10 2015-03-10 インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法 Active JP6582451B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015046896A JP6582451B2 (ja) 2015-03-10 2015-03-10 インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法
US15/064,759 US9868287B2 (en) 2015-03-10 2016-03-09 Ink jet recording apparatus and method for maintaining the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015046896A JP6582451B2 (ja) 2015-03-10 2015-03-10 インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016165843A JP2016165843A (ja) 2016-09-15
JP6582451B2 true JP6582451B2 (ja) 2019-10-02

Family

ID=56887336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015046896A Active JP6582451B2 (ja) 2015-03-10 2015-03-10 インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9868287B2 (ja)
JP (1) JP6582451B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6997965B2 (ja) * 2018-03-29 2022-01-18 株式会社リコー 画像形成装置
JP7147512B2 (ja) * 2018-11-29 2022-10-05 株式会社リコー インクジェット印刷装置、インクジェット印刷方法、及び払拭部材

Family Cites Families (35)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55101461A (en) * 1979-01-30 1980-08-02 Canon Inc Cleaning protector for outlet orifice of recorder
US4479136A (en) * 1983-02-17 1984-10-23 Exxon Research & Engineering Co. Cleaning system and method for ink jet printer
JP3093454B2 (ja) * 1992-07-10 2000-10-03 キヤノン株式会社 インクジェットカラー記録方法、インクジェットカラー記録装置およびカラーブリード軽減方法
JP3483051B2 (ja) * 1994-08-30 2004-01-06 荒川化学工業株式会社 プリント基板用インキおよび電子部品用インキの除去用洗浄剤
JP2001260368A (ja) * 2000-03-16 2001-09-25 Konica Corp インクジェット式記録ヘッドを用いる画像形成装置および画像形成方法
US6613732B2 (en) * 2001-11-13 2003-09-02 Colgate-Palmolive Company Multilayer cleaning wipe
US6440925B1 (en) * 2001-11-13 2002-08-27 Colgate-Palmolive Company Cleaning wipe comprising antioxidizing agent
JP2004261974A (ja) * 2003-02-17 2004-09-24 Seiko Epson Corp 液体組成物
JP4424954B2 (ja) * 2003-09-24 2010-03-03 富士フイルム株式会社 インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2005111808A (ja) * 2003-10-07 2005-04-28 Seiko Epson Corp 液滴吐出ヘッドのクリーニング方法、ワイピング装置およびこれを備えた液滴吐出装置、並びに電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器
JP4940716B2 (ja) * 2005-03-18 2012-05-30 大日本印刷株式会社 感光性着色組成物用洗浄液
US20060252324A1 (en) * 2005-05-05 2006-11-09 Colgate-Palmolive Company Cleaning wipe
JP4872781B2 (ja) * 2007-04-25 2012-02-08 東洋インキScホールディングス株式会社 インクジェットプリンター用メンテナンス液
JP2009012224A (ja) 2007-07-02 2009-01-22 Seiko Epson Corp 流体吐出装置
KR20090011482A (ko) * 2007-07-26 2009-02-02 삼성전자주식회사 잉크젯 프린트헤드용 노즐 플레이트 표면의 세정 용액 및이를 이용한 노즐 플레이트 표면의 세정 방법
JP2009101630A (ja) * 2007-10-24 2009-05-14 Canon Inc インクジェット記録装置
KR20110008210A (ko) * 2008-05-09 2011-01-26 로디아 오퍼레이션스 그린 용매를 포함하는 세정 조성물 및 사용 방법
JP2010053277A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Konica Minolta Ij Technologies Inc 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2010089404A (ja) * 2008-10-09 2010-04-22 Seiko Epson Corp インクジェット式記録装置用メンテナンス液
KR20100041531A (ko) * 2008-10-14 2010-04-22 삼성전자주식회사 노즐 표면용 세척액 조성물
JP2010099874A (ja) * 2008-10-22 2010-05-06 Toyo Ink Mfg Co Ltd インクジェットプリンター用メンテナンス液
JP5220685B2 (ja) * 2009-05-28 2013-06-26 シャープ株式会社 ヘッドメンテナンス装置
JP5792439B2 (ja) * 2009-11-18 2015-10-14 理想科学工業株式会社 インクジェット用非水系インク組成物
JP2012179825A (ja) * 2011-03-02 2012-09-20 Konica Minolta Ij Technologies Inc インクジェット記録方法
EP2682269B1 (en) 2011-03-02 2015-10-07 Konica Minolta, Inc. Method for cleaning inkjet recording head, and method for forming image
JP6003050B2 (ja) * 2011-12-05 2016-10-05 セイコーエプソン株式会社 非水系洗浄液および洗浄方法
JP2013132753A (ja) * 2011-12-23 2013-07-08 Mimaki Engineering Co Ltd クリーニング部材、クリーニングシステム、クリーニング方法及び印刷装置
JP6007534B2 (ja) * 2012-03-22 2016-10-12 セイコーエプソン株式会社 メンテナンス装置及び液体噴射装置
JP6332908B2 (ja) 2012-03-29 2018-05-30 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法
JPWO2013153910A1 (ja) * 2012-04-10 2015-12-17 コニカミノルタ株式会社 インクジェット記録装置
JP6068026B2 (ja) * 2012-07-05 2017-01-25 理想科学工業株式会社 非水系顔料インク
JP2014080490A (ja) * 2012-10-16 2014-05-08 Seiko Epson Corp インクジェット用の洗浄液
JP6201291B2 (ja) * 2012-10-18 2017-09-27 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法
JP6142991B2 (ja) * 2013-03-29 2017-06-07 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録装置
JP2015214117A (ja) * 2014-05-13 2015-12-03 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録装置およびこれのメンテナンス方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20160263899A1 (en) 2016-09-15
US9868287B2 (en) 2018-01-16
JP2016165843A (ja) 2016-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9199469B1 (en) Ink jet recording apparatus and maintenance thereof
JP2016104521A (ja) インクジェット記録装置、インクジェット記録装置のメンテナンス方法、メンテナンス液、および液体セット
US9597877B2 (en) Ink jet recording apparatus
JP6065685B2 (ja) インクジェット記録用の非水系インク組成物、インクジェット記録方法
JP5146041B2 (ja) インクジェットプリンタ及びインクジェットヘッド洗浄液
US20130300799A1 (en) Ink jet recording apparatus
US9067415B2 (en) Ink-jet recording apparatus
JP2013056454A (ja) インクジェット記録装置用洗浄液セット、インクジェット記録装置用インクセット及びインクジェット記録装置の洗浄方法
EP2738002B1 (en) Ink jet recording apparatus
JP2012179825A (ja) インクジェット記録方法
JP2017105134A (ja) 記録装置のメンテナンス方法
JP7188017B2 (ja) 払拭装置、液体吐出装置、及び払拭方法
JP6582451B2 (ja) インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法
US9308729B2 (en) Ink jet recording apparatus
JP2015150824A (ja) インクジェット記録方法
JP2019104251A (ja) インクジェット装置
US7247198B2 (en) Water base for ink-jet recording and ink-jet recording method
KR20090099721A (ko) 노즐 표면용 세척액 조성물
US9889660B2 (en) Ink jet recording method using a printhead having a pressure chamber connected to a nozzle with a connection portion
JP2011161789A (ja) 流体噴射装置
JP2016112763A (ja) インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法
JP2021142645A (ja) インクジェット記録装置及びメンテナンス方法
JP5843062B2 (ja) インクジェット記録用非水系インク組成物およびインクジェット記録方法
JP7275819B2 (ja) 液体噴射装置、液体噴射装置のメンテナンス方法
JP2017141336A (ja) インクジェット用油性記録液及びインクジェット記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190306

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190806

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6582451

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150