JP6582451B2 - インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法 - Google Patents
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Description
法では、清掃にゴムワイパーを用いているため、ノズル部材の清掃が不十分になったり、ノズル形成部材を傷付けてしまうことがあった。
本発明に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法の一態様は、
エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含む溶剤系インク組成物を用いて記録を行うインクジェット記録装置において、
前記溶剤系インク組成物を吐出するヘッドのノズルが形成されたノズル形成部材を、含浸液を用い、かつ、液体吸収性の払拭部材により払拭する払拭工程を備え、
前記含浸液が、下記一般式(1)で表される化合物、エステル類、及び二塩基酸エステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有することを特徴とする。
R1−O−(R2−O)n−R3 ・・・・・(1)
(上記一般式(1)において、R1は、水素原子、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。R2は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。R3は、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。nは、1以上9以下の整数を表す。)
適用例1のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記含浸液に含有される前記有機溶剤として、標準沸点170℃以上の有機溶剤を含むことができる。
適用例1または適用例2のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記溶剤系インク組成物に含有される前記有機溶剤として、標準沸点180℃以上の有機溶剤を含むことができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記溶剤系インク組成物に含有される前記有機溶剤の合計含有量が、溶剤系インク組成物の全質量に対して、40質量%以上であることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記含浸液に含有される前記有機溶剤を、前記払拭部材100質量部に対して20質量部以上含浸した払拭部材により払拭することができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記払拭部材が布帛であることができる。
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、
前記払拭部材が、出荷時において前記含浸液を含浸させているものであることができる。
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のメンテナンス方法によりメンテナンスが行われることを特徴とする。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法(以下、単に「メンテナンス方法」ともいう。)は、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含む溶剤系インク組成物を
用いて記録を行うインクジェット記録装置において、前記溶剤系インク組成物を吐出するヘッドのノズルが形成されたノズル形成部材を、含浸液を用い、かつ、液体吸収性の払拭部材により払拭する払拭工程を備え、前記含浸液が、下記一般式(1)で表される化合物、エステル類、及び二塩基酸エステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有することを特徴とする。
(上記一般式(1)において、R1は、水素原子、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。R2は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。R3は、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。nは、1以上9以下の整数を表す。)
本実施形態に係るメンテナンス方法を実施可能なインクジェット記録装置は、溶剤系インク組成物を吐出するノズルが設けられたノズル形成部材と、液体吸収性の払拭部材と、を有する。このようなインクジェット記録装置としては、例えば、図1に示すようなインクジェットプリンターが挙げられる。図1に示すインクジェットプリンター1は、公知のインクジェットプリンターにヘッドメンテナンス装置26を組み込んだものである。
ノズル形成部材のノズルが形成されている面(以下、「ノズル形成面」ともいう。)は、記録ヘッド22の記録媒体Pと対向する位置に設置される。図2は、ノズル形成面を模式的に示す概略図である。すなわち、図2は、記録ヘッド22を記録媒体P側から見た概略図となる。図2に示すように、ノズル形成面37には、溶剤系インク組成物(後述)を吐出するノズル(ノズル開口)38が複数設けられている。ノズル38は、所定方向に複数配列されることでノズル列36を構成する。図2に示すように、ノズル形成面37には、ノズル列36が複数設けられていてもよい。
シリコン材料と撥液膜を馴染ませることができる。
払拭部材は、ノズル形成部材を払拭して、ノズル及びノズル形成面に付着した付着物(例えば、溶剤系インク組成物、含浸液、繊維、紙、埃など)を吸収あるいは吸着することで、ノズル形成面をクリーニング(清掃)するために用いられる。これにより、ノズル形成面に付着した付着物が払拭部材の内部に吸収されるので、払拭部材の表面に当該付着物が残らない。そのため、撥水膜(ノズル形成面)が当該付着物によって傷付けられることを抑制できる。
しやすくなる。厚さが3mm以下であることにより、コンパクトな払拭部材となり、メンテナンスユニット全体が小型化でき、払拭部材の機械的搬送もより容易となる。
本実施形態で用いられるインクジェット記録装置は、後述する払拭工程を行うための駆動機構を有していてもよい。駆動機構は、払拭部材及び記録ヘッドのうち少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、払拭部材によってノズル形成部材に付着した付着物を払拭する払拭工程を行うための手段である。駆動機構は、払拭部材とノズル形成部材とを50gf以上500gf以下(好ましくは75gf以上300gf以下)で相対的に押圧させる押圧部材を有するものが好ましい。押圧力が50gf以上であることにより、クリーニング性がより良好となる。さらに、ノズルプレートとノズルプレートカバー間に段差がある場合でも、その隙間にインクが付着、堆積することを防ぐ、又はその隙間から除去することに優れたものとなる。また、押圧力が500gf以下であることにより、撥液膜の保存性に一層優れたものとなる。駆動機構は、特に限定されないが、例えば、ノズル形成部材に接する側とは反対の側から払拭部材を押圧して、払拭部材とノズル形成部材とを接触させるものとすることができる。また、記録ヘッドが駆動して、払拭部材とノズル形成部材とを接触させるものとすることもできる。なお、ここでいう荷重とは、駆動機構全体からノズル形成部材に印加される荷重の総和である。
の間の角(隙間)に対して払拭部材を奥に押し込むことができ、インクの堆積を抑制できる。その結果、クリーニング性が一層向上する。
本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法には、含浸液が用いられる。含浸液は、少なくとも後述する払拭工程を実施する際に、ノズル形成部材に供給される。具体的には、含浸液は、払拭工程を実施する際に公知の噴霧装置などを用いてノズル形成部材に供給され付着するものであってもよいし、払拭工程を実施する際に払拭部材に含浸させておくことでノズル形成部材に付着するものであってもよい。
本実施形態で用いられる含浸液は、下記一般式(1)で表される化合物、エステル類、及び二塩基酸エステル類よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤(以下、「第1特定有機溶剤」ともいう。)を含有する。これらの第1特定有機溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。第1特定有機溶剤は、ノズル形成部材に付着した溶剤系インク組成物を溶解(軟化)させる作用に優れるので、溶剤系インク組成物に含まれる成分が凝集してしまうことを抑制できる上に、ノズル形成部材のクリーニング性も向上できる。
R1−O−(R2−O)n−R3 ・・・・・(1)
上記一般式(1)において、R1は、水素原子、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。R2は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。R3は、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。nは、1以上9以下の整数を表す。
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノエチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
エステル類(R−CO−OR’)としては、例えば、Rが、水素原子、アルキル基、アリール基またはグリコールエーテル基であり、R’がアルキル基、アリール基である有機溶剤が挙げられる。このようなエステル類としては、グリコールエーテルエステル類を用いることが好ましく、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートなどが挙げられる。
二塩基酸エステル類としては、ジカルボン酸(例えば、グルタル酸、アジピン酸、コハ
ク酸等の脂肪族ジカルボン酸)のモノエステル、ジエステル等が挙げられる。具体的には、ジメチル−2−メチルグルタレート等が挙げられる。
本実施形態で用いられる含浸液には、さらに、界面活性剤、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤・防かび剤及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を添加することができる。
本実施形態に係るメンテナンス方法が適用されるインクジェット記録装置は、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する溶剤系インク組成物を用いて記録媒体上に画像の記録を行うものである。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤(以下、「第2特定有機溶剤」ともいう。)を含有する。第2特定有機溶剤を含有することにより、普通紙に対するインクの浸透性を高めることができる。また、乾燥性に優れているため、記録された画像の乾燥性を向上させることができ、例えば普通紙のカールの発生や記録物のローラー転写汚れなどを抑制できる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、カプリル酸メチル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノ
ール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリス(2−エチルヘキサン酸)トリメチロールプロパン、トリス(2−エチルヘキサン酸)グリセリル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、脂肪族炭化水素(例えば、パラフィン、イソパラフィン)、脂環式炭化水素(例えば、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、テトラリン等)等が挙げられる。このような炭化水素系溶剤としては、市販品を用いてもよく、IPソルベント1016、IPソルベント1620、IPクリーンLX(以上全て、出光興産株式会社製の商品名)、Isopar(アイソパー)G、Isopar L、Isopar H、Isopar M、Exxsol D40、Exxsol D80、Exxsol D100、Exxsol D130、Exxsol D140(以上全て、Exxon社製の商品名)、NSクリーン100、NSクリーン110、NSクリーン200、NSクリーン220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)等の脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素や、ソルベッソ200(Exxon社製の商品名)等の芳香族炭化水素が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、イソアミルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、アリルアルコール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、環状ラクトンを含有することも好ましい。環状ラクトンを含有することにより、特に低吸収性記録媒体(例えば、塩化ビニル系樹脂)の一部を溶解して記録媒体の内部に溶剤系インク組成物を浸透させることができる。このように記録媒体の内部に溶剤系インク組成物が浸透することで、記録媒体上に記録した画像の耐擦性を向上させることができる。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、グリコールエーテル類を含有することも好ましい。グリコールエーテル類を含有することにより、記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を制御することができる。グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレング
リコールモノエーテルやアルキレングリコールジエーテル等が挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
色材としては、染料を用いてもよく、無機顔料及び有機顔料等の顔料を用いることもできるが、耐光性等の観点から顔料を用いることが好ましい。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、上述の色材を記録媒体に定着させるための樹脂(以下、「定着樹脂」ともいう。)を含有してもよい。
アクリル樹脂としては、従来公知の重合性モノマーからなる共重合体を使用することができる。重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチル、イタコン酸モノn−ブチル等のカルボキシ基含有モノマーの他、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、水酸基含有アリル化合物、三級アミノ基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等を単独または複数組み合わせて用いることができる。
樹脂)、パラペットG−1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味するものとし、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味するものとする。
塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニルと、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、マレイン酸、ビニルアルコール等の他のモノマーとの共重合体が挙げられるが、これらの中でも塩化ビニル及び酢酸ビニルに由来する構成単位を含む共重合体(以下、「塩酢ビ共重合体」ともいう。)が好ましく、ガラス転移温度が60〜80℃である塩酢ビ共重合体がより好ましい。
とができる。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物には、表面張力を低下させて記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物には、必要に応じて、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を添加することができる。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行うことができる。
本実施形態で用いられる溶剤系インク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
いき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法は、上述した含浸液が供給されたノズル形成部材を払拭部材によって払拭する払拭工程を備える。この払拭工程では、上述した含浸液を用いてノズル形成部材を払拭するので、ノズル形成部材のクリーニング性が優れたものとなる。
9及び押圧部材87が設けられている。これらのローラー86,88,89及び押圧部材87は、繰り出しローラー81及び巻き取りローラー82と平行に前後に延びており、その前後方向の両端が筐体80の側壁部に設けられた軸受け部等によって回動自在に支持されている。
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
2.1.1.インク組成物の調製
表1の組成となるように各成分を混合し十分に攪拌した後、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することにより、各インク組成物を得た。なお、インク1〜インク7は溶剤系インク組成物であり、インク8は水系インク組成物である。
<色材>
・PB−15:3(C.I.ピグメントブルー15:3)
<顔料分散剤>
・Solsperse37500(商品名、Lubrizol社製)
・Solsperse20000(商品名、Lubrizol社製)
<エステル系溶剤>
・PGmME−AC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
<炭化水素系溶剤>
・ナフテゾール160(商品名、JX日鉱日石エネルギー株式会社、ナフテン系溶剤)
<環状ラクトン>
・GBL(γ−ブチロラクトン)
<グリコールエーテル系溶剤>
・DEGBME(ジエチレングリコールブチルメチルエーテル)
・TetraEGmBE(テトラエチレングリコールモノブチルエーテル)
<界面活性剤>
・BYK340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)
・BYK331(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)<樹脂>
・HM515(商品名「カネビニールHM515」、株式会社カネカ製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)
・SF−470(商品名「スーパーフレックス470」、第一工業製薬株式会社製、水系ポリウレタン樹脂)
インク組成物の評価試験は、空調設備と加湿器を利用して、環境試験室を所定の温度及び湿度となるように調整し、当該環境試験室内に設置したセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター「SC−S30650」(商品名)を改造したものを用いた。具体的には、当該プリンターに上記のヘッドメンテナンス装置26(図1等参照)を組み込んだものを用いた。
上記プリンターを用いて各インク組成物を、表面温度を30℃とした塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に100%濃度で記録解像度720×720dpiのベタパターンを記録した。その記録物を、24時間、25℃65%RH(相対湿度)にて乾燥させた。その後、目視にて記録物の記録面を観察することにより凝集ムラの評価を行った。評価基準は以下の通りである。
A:パターンの端部に滲みが無く、パターン内部に凝集ムラが無い。
B:パターンの端部に滲みが見られるが、パターン内部には凝集ムラが無い。
C:パターンの内部に若干の凝集ムラが見られる。
D:パターンの内部に凝集ムラがかなり見られる。
上記プリンターを用いて各インク組成物を、表面温度を30℃とした塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に100%濃度で記録解像度720×720dpiのベタパターンを記録した。その記録物を、25℃65%RH(相対湿度)にて1日間、乾燥させた。次いで、JIS L 0849に基づいて、I型試験機にて乾式試験を行った。その後、試験綿布のODをスペクトロリーノ(グレタグマクベス社製)にて測定して耐擦性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
A:0.1以下
B:0.1超0.2以下
C:0.2超0.3以下
D:0.3超
上記プリンターを用いて各インク組成物を、表面温度を30℃とした塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に100%濃度で記録解像度720×720dpiのベタパターンを記録した。その記録物を25℃で5分間乾燥させた。次いで、巻き取り装置を用いて巻き取った後の記録面のスリ痕を観察した。この観察は、レーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製、形式VK−8700 Generation2)にて表面粗さを測定することにより、スリ痕のある面積の割合を算出した。評価基準は以下の通りである。
A:スリ痕面積が印刷領域の10%以下
B:スリ痕面積が印刷領域の10%超20%以下
C:スリ痕面積が印刷領域の20%超
360個のノズルから正常に吐出することを確認してから、ノズルプレートを25℃65%RHで1時間開放した後、ノズルの吐出具合を検査した。評価基準は以下の通りである。
A:吐出不良(不吐出や飛行曲がり)が2個以内。
B:吐出不良が3〜5個。
C:吐出不良が6個以上。
各インク組成物の組成及び評価試験の結果を下表1に示す。
下表2に示す配合量で、各成分を混合し、十分に撹拌して、含浸液1〜14を得た。
・オルフィンE1010(商品名、日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
2.3.1.払拭条件
払拭に関する評価は、下表3及び下表4に示す払拭条件にしたがって行った。なお、「布帛」には、セルロース長繊維不織布(商品名「ベンリーゼ」)を用い、これに含浸液を含浸させた。一方、「ブレードワイパー」には、フッ素系エラストマーを用いた。払拭動作は、払拭部材(布帛またはブレードワイパー)をノズルプレート(ノズル形成面)に接触させて、払拭部材の裏からノズルプレートに押圧部材で押圧した状態で、ノズルが並ぶノズル列の方向と交差する方向に、払拭部材をノズルプレートに対し1方向に20cm移動させた。払拭部材はロール状になっており、新しい部分を引き出して次回の払拭に用いた。
<クリーニング性>
上記で調製したインク組成物をプリンターにセットして、10分間連続印刷をした。この連続印刷では、インク組成物を吐出させた際の記録媒体の表面温度が30℃となるようにした。次いで、下表3または下表4に示す払拭条件にしたがって、ノズル形成面を払拭する払拭動作(払拭工程)を行った。ここまでの動作を1セットとして、50セット繰り返し行った。終了後、ノズルプレートの汚れや異物の残り具合を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
A:汚れ(インクの拭き残りや異物など)が見られない。
B:ノズルプレートの端部近くなど一部に若干の汚れが見られる。
C:ノズルプレートの全体に汚れが見られる。
各例に用いる含浸液とインク組成物とを1:5の質量比で混合し、ガラス容器に密封して、40℃、7日間放置後における凝集物の発生の有無を目視で確認した。評価基準は以下の通りである。
A:凝集が見られない。
B:凝集が見られる。
上記のクリーニング性試験において、払拭部材に含浸液を含浸させてから常温で1ヶ月放置させた払拭部材を用いたこと以外は同様に行った。評価基準は以下の通りである。
A:汚れ(インクの拭き残りや異物など)が見られない。
B:ノズルプレートの端部近くなど一部に若干の汚れが見られる。
C:ノズルプレートの全体に汚れが見られる。
メンテナンス方法に関する評価条件及び評価結果を下表3及び下表4に示す。
うことにより、クリーニング性及び長期クリーニング性が良好となることがわかった。また、第1特定有機溶剤を含有する含浸液は、第2特定有機溶剤を含有する溶剤系インク組成物の凝集物を発生させないこともわかった。
Claims (12)
- 有機溶剤を含む溶剤系インク組成物を用いて記録を行うインクジェット記録装置のメンテナンス方法であって、
前記溶剤系インク組成物を吐出するヘッドのノズルが形成されたノズル形成部材を、含浸液を用い、かつ、液体吸収性の払拭部材により払拭する払拭工程を備え、
前記溶剤系インク組成物は、有機溶剤の合計含有量が、溶剤系インク組成物の全質量に対して、70質量%以上であり、
前記溶剤系インク組成物に含有される有機溶剤が、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、及びアルコール系溶剤よりなる群から選択される標準沸点が180℃以上の有機溶剤を、少なくとも含み、
前記含浸液が、下記一般式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する、インクジェット記録装置のメンテナンス方法。
R1−O−(R2−O)n−R3 ・・・・・(1)
(上記一般式(1)において、R1は、水素原子を表す。R2は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。R3は、アリール基または炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。nは、1以上9以下の整数を表す。) - 前記含浸液に含有される前記有機溶剤として、標準沸点が170℃以上の有機溶剤を含む、請求項1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記溶剤系インク組成物に含有される前記有機溶剤として、標準沸点180℃以上450℃以下の有機溶剤を含む、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記溶剤系インク組成物に含有される前記有機溶剤の合計含有量が、溶剤系インク組成物の全質量に対して、40質量%以上である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記含浸液に含有される前記有機溶剤として、標準沸点が210℃以上の有機溶剤を含む、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記溶剤系インク組成物に含有される水の含有量が3質量%以下である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記溶剤系インク組成物に含有される有機溶剤の合計含有量が、溶剤系インク組成物の全質量に対して、80質量%以上である、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記含浸液に含有される前記有機溶剤の合計含有量が、30質量%以上である、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記含浸液に含有される前記有機溶剤を、前記払拭部材100質量部に対して20質量部以上含浸した払拭部材により払拭する、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記払拭部材が布帛である、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 前記払拭部材が、出荷時において前記含浸液を含浸させているものである、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
- 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のメンテナンス方法によりメンテナンスが行われる、インクジェット記録装置。
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