JP2016112763A - インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法 - Google Patents

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知紀 篠田
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Abstract

【課題】白色顔料を多く含有する白色インク組成物を用いて記録を行う場合に、ノズル形成面に形成された撥液膜の剥離を低減するとともに、ノズル形成面のクリーニング性及びクリーニング後吐出性を良好な状態に保つことのできるインクジェット記録装置のメンテナンス方法を提供する。【解決手段】本発明に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法は、インクジェット記録装置は、白色インク組成物を吐出して記録媒体に記録を行うノズルが設けられたノズル形成面と、液体吸収性の払拭部材と、を備え、前記白色インク組成物は、白色顔料として金属酸化物をインク組成物に対する含有量として8質量%以上と、樹脂分散体と、シリコン系界面活性剤と、を含み、前記ノズル形成面を、シリコン系界面活性剤を含ませた前記払拭部材によって払拭する工程(a1)、あるいは、シリコン系界面活性剤を含む含浸液を用いて前記払拭部材によって払拭する工程(a2)のいずれか一方を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録装置及びそのメンテナンス方法に関する。
従来、インクジェット記録方式を用いた印刷方法は、インクの小滴を飛翔させて紙などの記録媒体上に付着させることにより行う。近年のインクジェット記録方式技術の革新的な進歩により、これまで写真やオフセット印刷が用いられていた高精細な画像記録(画像印刷)の分野においても、インクジェット記録方式を用いたインクジェット記録装置が利用されている。
インクジェット記録装置において、吐出されたインクに含まれる水分及び他の揮発性成分が蒸発すると、インクの粘度が上昇(増粘)する。増粘したインクはノズルで目詰まりを起こし、インクの吐出不良を発生させる。近年のインクジェット記録においては、高精細な記録を行うため、吐出されるインク滴の量は数pLの極微量であり、インクを吐出するノズルの径は小さくなり、インク吐出に要するエネルギーも小さくなっている。ノズル径が小さく、インクの吐出エネルギーも小さいため、ノズルの目詰まりによるインク吐出への影響が大きい。また、気泡がノズル内やインク供給路に混入して、吐出不良が生じる場合がある。さらに、紙を用いてインクジェット記録を行う場合、記録に伴う紙送り動作によって多量の紙粉を発生する。すると、発生した紙粉、さらには周囲の埃及び吐出に伴い発生する微量のインク小滴が、インクを吐出するプリントヘッドのノズルの形成面(以下、「ノズル形成面」という。)に付着することがある。インク、紙粉、及び埃などの異物がノズル及びその近傍に付着すると、インクの正常な吐出が妨げられる。
上記のようなインクの増粘、気泡混入、ノズル面(ノズル形成面)への異物付着による吐出不良を防止又は解消するために、クリーニング機構(回復機構)を備えたインクジェット記録装置が提案されている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、含浸液を含む吸収材料を用いてノズル形成面に付着したインクを払拭するワイピング機構を備えたインクジェット記録装置が開示されている。このようなインクジェット記録装置によれば、連続吐出安定性及びクリーニング性のいずれもが良好となる。
特開2014−108521号公報 特開2013−256102号公報
しかしながら、白色顔料を多く含有する白色インク組成物を用いて記録を行う場合には、ノズル形成面で白色顔料が固化して特に汚れ残りとなりやすい。そのため、従来のインクジェット記録装置に搭載されたワイピング機構を用いてインクを払拭した場合、その汚れ残りが砥粒として機能し、ノズル形成面に形成された撥液膜が剥離してしまうという課題が発生した。また、インクの拭き取り性にも劣っていた。特にミスト付着量が多い場合には、ノズル形成面に付着したインクを完全に拭き取ることが困難となり、インクの吐出安定性が悪化するという課題も発生した。ここで、「ミスト」とは、プリントヘッドから発生するものの記録媒体に到達せず、インクジェット記録装置の内部を浮遊する極めて微
小のインク滴のことをいう。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、白色顔料を多く含有する白色インク組成物を用いて記録を行う場合に、ノズル形成面に形成された撥液膜の剥離を低減するとともに、ノズル形成面のクリーニング性及びクリーニング後吐出性を良好な状態に保つことのできるインクジェット記録装置のメンテナンス方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法の一態様は、
インクジェット記録装置が、白色インク組成物を吐出して記録媒体に記録を行うノズルが設けられたノズル形成面と、液体吸収性の払拭部材と、を備え、
前記白色インク組成物は、白色顔料として金属酸化物をインク組成物に対する含有量として8質量%以上と、樹脂分散体と、シリコン系界面活性剤と、を含み、
前記ノズル形成面を、シリコン系界面活性剤を含ませた前記払拭部材によって払拭する工程(a1)、あるいは、シリコン系界面活性剤を含む含浸液を用いて前記払拭部材によって払拭する工程(a2)のいずれか一方を含むことを特徴とする。
[適用例2]
適用例1のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記工程(a1)において、前記払拭部材が水溶性有機溶剤をさらに含むことができる。
[適用例3]
適用例1のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記工程(a2)において、前記含浸液が水溶性有機溶剤をさらに含むことができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記白色インク組成物の全質量を100質量%としたときに、前記シリコン系界面活性剤の含有量が0.1質量%以上1.5質量%以下であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記樹脂分散体が、ガラス転移点が0℃以下の樹脂からなる樹脂分散体であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記白色インク組成物中の樹脂固形分含有量が8質量%以上であることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記樹脂分散体が、ウレタン樹脂からなる樹脂分散体であることができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記ノズル形成面が、前記白色インク組成物を吐出するノズルからなるノズル列を2列以上備え、2列以上のノズル列を用いて記録を行うことができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記記録媒体が布帛であることができる。
[適用例10]
適用例9のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記記録媒体への記録が、前記白色インク組成物の成分を凝集または増粘させる凝集剤を含む前処理液を該布帛へ付着させる工程を含むことができる。
[適用例11]
適用例1ないし適用例10のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記白色インク組成物の記録媒体の付着領域への付着量が100mg/inch以上であることができる。
[適用例12]
適用例1ないし適用例11のいずれか一例のインクジェット記録装置のメンテナンス方法において、前記ノズル形成面が撥液膜を有することができる。
[適用例13]
本発明に係るインクジェット記録装置の一態様は、
適用例1ないし適用例11のいずれか一例のメンテナンス方法によりメンテナンスを行うことを特徴とする。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置を模式的に示す図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のノズル形成面を模式的に示す概略図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のワイパーユニットを模式的に示す斜視図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のワイパーカセットを模式的に示す正面図。
以下に本発明の幾つかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.インクジェット記録装置のメンテナンス方法
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法は、白色インク組成物をノズルから吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置に関するものである。具体的には、前記インクジェット記録装置が、白色インク組成物を吐出して記録媒体に記録を行うノズルが設けられたノズル形成面と、液体吸収性の払拭部材と、を備えている。前記白色インク組成物は、白色顔料として金属酸化物をインク組成物に対する含有量として8質量%以上と、樹脂分散体と、シリコン系界面活性剤と、を含んでいる。そして、前記ノズル形成面を、シリコン系界面活性剤を含ませた前記払拭部材によって払拭
する工程(a1)、あるいは、シリコン系界面活性剤を含む含浸液を用いて前記払拭部材によって払拭する工程(a2)のいずれか一方を含む。
以下、本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法について、これを実施可能な装置の構成、含浸液、白色インク組成物の順に説明した上で、その工程を詳細に説明する。
1.1.装置構成
図1は、本実施形態に係るメンテナンス方法が実施されるインクジェット記録装置を模式的に示す図である。図1に示すように、インクジェット記録装置1は、白色インク組成物を吐出するための記録ヘッド22と、ヘッドメンテナンス装置26と、を有する。すなわち、図1に示すインクジェット記録装置1は、公知のインクジェットプリンターの構成にヘッドメンテナンス装置26を組み込んだものである。記録ヘッド22の記録媒体Pと対向する面には、ノズル形成面(図示せず)が形成されている。
1.1.1.ノズル形成面
図2は、記録ヘッド22を記録媒体P側から見たときのノズル形成面を模式的に示す概略図である。図2に示すように、ノズル形成面37には、白色インク組成物(後述)を吐出するノズル(ノズル開口部)38が複数設けられている。ノズル38は、所定方向に複数配列されることでノズル列36を構成する。図2に示すように、ノズル形成面37には、ノズル列36が複数設けられていてもよい。
ノズル形成面37には、撥液膜が設けられていてもよい。撥液膜としては、撥液性を有している膜であれば特に制限されず、例えば、撥液性を有する金属アルコキシドの分子膜を成膜し、その後、乾燥処理、アニール処理等を経ることにより形成することができる。金属アルコキシドの分子膜は、撥液性を有していればいかなるものでもよいが、フッ素を含む長鎖高分子基(長鎖RF基)を有する金属アルコキシドの単分子膜又は撥液基(例えば、フッ素を含む長鎖高分子基)を有する金属酸塩の単分子膜であることが望ましい。金属アルコキシドとしては、特に限定されないが、その金属種としては、例えば、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムが一般的に用いられる。長鎖RF基としては、例えば、パーフルオロアルキル鎖、パーフルオロポリエーテル鎖が挙げられる。この長鎖RF基を有するアルコキシシランとしては、例えば、長鎖RF基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。撥液膜としては、特に限定されず、例えばSCA(silane coupling agent)膜や、特許第4424954号公報に記載されたものを用いることができる。
また、撥液膜は、ノズルが形成された基板(ノズルプレート)に導電膜を形成し、その導電膜上に形成してもよいが、先にシリコン材料をプラズマ重合することにより下地膜(PPSi(Plasma Polymerization Silicone)膜)を成膜し、この下地膜上に形成してもよい。この下地膜を介することによりノズルプレートのシリコン材料と撥液膜を馴染ませることができる。
撥液膜の厚さは、好ましくは1nm以上30nm以下、より好ましくは1nm以上20nm以下、特に好ましくは1nm以上15nm以下である。撥液膜の厚さが上記範囲であることにより、ノズル形成面37が撥液性により優れる傾向にあり、膜の劣化が比較的遅く、より長期間撥液性を維持できる。また、コスト的にも膜形成の容易さにもより優れる。
ノズル形成面37には、ノズル形成面37の少なくとも一部を覆うノズルプレートカバー35が設けられていてもよい。図2の例では、ノズルプレートカバー35は、全てのノ
ズル列36(ノズル38)を囲むように設けられている。ノズルプレートカバー35は、複数のノズルチップ(以下、単に「チップ」という。)の組み合わせによって形成されるヘッドのノズル形成面において、当該チップを固定する役割、又は記録媒体が浮き上がってノズルに記録媒体が直接接触してしまうのを防止する役割のうち少なくともいずれかを果たすために設けられているものである。
本実施形態に係るメンテナンス方法は、後述する払拭工程を実施する際に含浸液を用いることで、ノズル形成面に含浸液が付着しつつ、払拭が行われるものである。具体的には、(1)払拭工程を実施する際に、公知の噴霧装置や塗布装置を用いてノズル形成面及び/又は払拭部材に含浸液を付着させ、その上で払拭部材によりノズル形成面の払拭を行う形態や、(2)予め含浸液を含浸させておいた払拭部材を搭載させ、含浸液を保持した払拭部材によってノズル形成面の払拭を行う形態のいずれであってもよい。
1.1.2.払拭部材
払拭部材は、ノズル形成面を払拭して、ノズルおよびノズル形成面に付着した付着物(例えば、白色インク組成物、含浸液、繊維、紙、埃など)を吸収あるいは吸着することで、ノズルおよびノズル形成面をクリーニング(清掃)するために用いられる。これにより、白色インク組成物に含まれる白色顔料が払拭部材の内部に吸収されるので、払拭部材の表面に白色顔料が残らない。その結果、撥液膜(ノズル形成面)が白色顔料によって剥離されることを低減できる。
払拭部材としては、液体吸収性であれば特に限定されるものではなく、例えば、布帛(織物、編み物、不織布等)、スポンジ、パルプ等が挙げられる。これらの中でも、布帛が好ましい。布帛であれば撓みやすく、ノズルプレートカバーが設けられている場合は、特に、ノズル形成面に付着したインクをより拭き取りやすいためである。布帛を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、キュプラ、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、リヨセル、レーヨン等からなるものを挙げることができる。この際、含浸液によって劣化しにくい材料を選択することが好ましい。
払拭部材の厚さは、所望に応じて適宜設定することができ、例えば0.1mm以上3mm以下とすることができる。厚さが0.1mm以上であることにより、より含浸液を保持しやすくなる。厚さが3mm以下であることにより、コンパクトな払拭部材となり、メンテナンスユニット全体が小型化でき、払拭部材の機械的搬送もより容易となる。
払拭部材の面密度は、好ましくは0.005g/cm以上0.15g/cm以下、より好ましくは0.02g/cm以上0.13g/cm以下である。上記範囲であることにより、含浸液をより保持しやすくなる。さらに、含浸液の保持の点で、払拭部材は面密度、厚さを設計しやすい布帛を用いることが好ましい。
払拭部材は、出荷時に含浸液を保持していることが好ましい。これにより、ノズル形成面の払拭を直ちに行うことができ、またノズル形成面に含浸液を噴射したり塗布する機構を設ける必要がなくなる。ここで、「出荷時に含浸液を保持している」とは、払拭部材を備えたインクジェット記録装置を設置する時に既に当該払拭部材が含浸液を保持している状態や、払拭部材をインクジェット記録装置に設置する時に払拭部材が既に含浸液を保持している状態であることや、交換用の払拭部材が含浸液を保持している状態であることをいう。ここで、「インクジェット記録装置の設置」とは、当該インクジェット記録装置を初めて使用すべく用意することをいい、「払拭部材の設置」とは当該払拭部材を初めて使用すべく用意することをいう。本実施形態において、払拭部材を用いて行うノズル形成面の払拭は、少なくともノズル形成面を払拭部材によって拭くものであればよい。払拭によってノズル形成面に付着した付着物の少なくとも一部を払うことが好ましい。
1.1.3.駆動機構
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、駆動機構を有していてもよい。駆動機構は、払拭部材及び記録ヘッドのうち少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、払拭部材によってノズル形成面に付着した付着物を除去する払拭工程を実行させるための手段である。駆動機構は、払拭部材とノズル形成面とを50gf以上500gf以下(好ましくは75gf以上300gf以下)で相対的に押圧させる押圧部材を有するものが好ましい。押圧力が50gf以上であることにより、クリーニング性が良好となる。さらに、ノズルプレートとノズルプレートカバー間に段差がある場合でも、その隙間にインクが付着、堆積することを防ぐ、又はその隙間から除去することに優れたものとなる。また、押圧力が500gf以下であることにより、撥液膜の保存性に一層優れたものとなる。駆動機構は、特に限定されないが、例えばノズル形成面に接する側とは反対の側から払拭部材を押圧して、払拭部材とノズル形成面を接触させるものとすることができる。また、記録ヘッドが駆動して、払拭部材とノズル形成面を接触させるものとすることもできる。なお、ここでいう荷重は、駆動機構全体からノズル形成面に印加される荷重の総和である。
さらに、駆動機構は、払拭部材及び記録ヘッドを1cm/s以上10cm/s以下の速度で相対的に移動させるものであることが好ましい。上記範囲であることにより、クリーニング性と撥液膜の保存性がより向上する。なお、当該清掃動作の速度は、通常記録ヘッドが画像を記録する際に移動する速度と比較しておおよそ5分の1から20分の1程度の遅い速度となるが、この速度関係に限定されるわけではない。
押圧部材は、特に限定されないが、例えば弾性部材によって被覆されたものが好ましい。弾性部材のショアA硬度は10以上60以下であることが好ましく、10以上50以下であることがより好ましい。これにより、押圧時に押圧部材及び払拭部材が撓み、ノズル形成面からなる凹凸面に対して払拭部材を奥に押し込むことができる。その結果、クリーニング性が一層向上する。
1.2.含浸液
本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法には、含浸液が用いられる。含浸液は、少なくとも後述する払拭工程を実施する際に、ノズル形成面及び/又は払拭部材に供給される。具体的には、含浸液は、払拭工程を実施する際に公知の噴霧装置などを用いてノズル形成面及び/又は払拭部材に供給され付着するものであってもよいし、払拭工程を実施する際に予め払拭部材に保持させておくことでノズル形成面に付着するものであってもよい。払拭部材に含浸液が含まれることで、白色顔料が吸収部材の表面から内部へ移動しやすくなるため、吸収部材の表面に白色顔料が残りにくくなる。これにより、ノズル形成面に形成された撥液膜の剥離を低減することができる。また、ノズル形成面のクリーニング性及びクリーニング後吐出性を良好な状態に保つことができる。
25℃における含浸液の表面張力は、好ましくは45mN/m以下、より好ましくは35mN/m以下である。25℃における含浸液の表面張力が前記範囲内にあると、払拭部材への白色顔料の浸透性が良好になり、ノズル形成面のクリーニング性が向上する。表面張力の測定方法としては、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学株式会社製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定する方法が挙げられる。
含浸液の払拭部材に対する含浸量は、払拭部材100質量部に対して、好ましくは10質量部以上200質量部以下、より好ましくは10質量部以上120質量部以下、特に好ましくは30質量部以上100質量部以下である。含浸量が10質量部以上であることにより、白色インク組成物を払拭部材の内側へ浸透させやすく、撥水膜が損傷するのをより
低減することができる。また、200質量部以下であることにより、ノズル形成面における含浸液の残存をより抑制でき、気泡が含浸液と共にノズルに浸入することに起因するドット抜けや、含浸液自体がノズルに浸入することに起因するドット抜けをより抑制できる。
以下、含浸液に含まれる成分および含まれ得る成分について説明する。
<水溶性有機溶剤>
含浸液は、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤としては、一般にインク等に使用可能なものであれば特に制限されないが、標準沸点が好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上の高沸点の水溶性有機溶剤であることがより好ましい。水溶性有機溶剤の標準沸点が上記範囲内であると、含浸液中の揮発成分が揮発することを防止でき、含浸液と接触する白色インク組成物を確実に膨潤させて効果的に払拭することができる。
高沸点の水溶性有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。水溶性有機溶剤の含有量は、含浸液の全質量を100質量%としたときに、好ましくは70質量%以上99質量%以下、より好ましくは75質量%以上90質量%以下である。
<シリコン系界面活性剤>
含浸液は、シリコン系界面活性剤を含有する。後述する白色インク組成物にもシリコン系界面活性剤が配合されている。そのため、含浸液に含まれる界面活性剤を白色インク組成物に含まれるシリコン系界面活性剤と同系統の界面活性剤とすることで、含浸液と白色インク組成物との親和性が向上し、払拭部材への白色インク組成物の浸み込みが良好となり、ノズル形成面でのクリーニング性が改善される。
ここで、含浸液に含まれるシリコン系界面活性剤は、白色インク組成物に含まれるシリコン系界面活性剤と必ずしも同一種である必要はなく、同系統であればよい。同系統のシリコン系界面活性剤とは、具体的には以下に例示されるシリコン系界面活性剤から選択される2種以上の組合せのことをいう。
シリコン系界面活性剤は、グリフィン法によるHLB値が5以上であることが好ましい。HLB値が5未満であると、疎水性が強くなりすぎて、界面活性作用が低下する傾向がある。そのため、クリーニング性が低下する場合がある。
シリコン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−349、BYK−3455(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF
−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
含浸液に含まれるシリコン系界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。含浸液中のシリコン系界面活性剤の含有量は、含浸液の全質量を100質量%としたときに、好ましくは1質量%以上25質量%以下、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
<その他の成分>
含浸液に含まれ得る添加剤(成分)としては、例えば、樹脂、消泡剤、水、及びpH調整剤が挙げられる。
1.3.白色インク組成物
本実施形態に係るメンテナンス方法が適用されるインクジェット記録装置は、白色インク組成物を用いて記録媒体に画像の記録を行うものである。白色インク組成物の記録媒体への付着領域への付着量としては、記録物の白さを確保する観点から、好ましくは30mg/inch以上、より好ましくは50mg/inch以上300mg/inch以下、特に好ましくは100mg/inch以上300mg/inch以下である。
本実施形態で用いられる白色インク組成物は、白色顔料、樹脂分散体、及びシリコン系界面活性剤を含有する。以下、白色インク組成物に含まれる各成分、白色インク組成物の物性の順に説明する。
<白色顔料>
白色インク組成物には、白色顔料として金属酸化物が8質量%以上含まれている。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、及び酸化ジルコニウムが挙げられる。
白色インク組成物は、主に明度の低い記録媒体(例えば黒色や濃紺の布帛)の下地層を形成する用途で使用されることが多い。下地層を形成する場合には、多くの白色顔料を記録媒体に定着させる必要があることから、白色インク組成物中の白色顔料の含有割合を多くせざるを得ない。さらに、記録物の白さを確保するためには、白色インク組成物の打ち込み量を多くする必要がある。
白色インク組成物中の白色顔料の含有割合を多くする場合、白色インク組成物中の金属酸化物の含有割合を8質量%以上とすることにより、記録物の白さを確保することができる。白色インク組成物中の金属酸化物の含有割合を8質量%未満とすると、記録物に必要とされる白さを確保することができない。その一方で、白色インク組成物中の金属酸化物の含有割合を8質量%以上とすると、ノズル形成面に白色顔料が残存しやすくなるため、残存した白色顔料が砥粒として機能してしまい、ノズル形成面に形成された撥液膜の剥離が発生しやすいといった課題が発生する。
また、白色インク組成物の打ち込み量の観点では、ノズル形成面に形成された複数のノズル列から白色インク組成物を吐出することにより打ち込み量を多くすることができる。図2に示す例によれば、ノズル形成面37が、白色インク組成物を吐出するためのノズル列36を2列以上備えるようにして、その2列以上のノズル列36を用いて記録を行うことにより、打ち込み量を多くすることができる。特に布帛に対する白色印刷の場合には、通常のカラー印刷よりも約4倍程度のインク量が必要とされるため、ノズル列を複数(通
常は4列)使用することが一般的である。この場合、白色インク組成物の吐出量自体が増加するため、ノズル形成面での白色顔料の付着やミストといった問題が発生しやすい。
前記のような場合であっても、本実施形態に係るメンテナンス方法によれば、白色インク組成物中に含まれる界面活性剤と含浸液中に含まれる界面活性剤とが同系統のシリコン系界面活性剤であるため、白色インク組成物と含浸液との親和性が向上し、ノズル形成面での白色インク組成物のクリーニング性が良好となる。その結果、白色顔料の固形分量が多い白色インク組成物でも、白色顔料が直接ノズル形成面へ接触する機会が減り、ノズル形成面に形成された撥液膜の剥離を効果的に低減することができる。
<樹脂分散体>
樹脂分散体は、樹脂被膜を形成することで、前記白色顔料を記録媒体上へ定着させるための成分である。特に記録媒体が布帛である場合には、耐洗濯性に優れたものとなる。なお、白色インク組成物中に水溶性樹脂をそのまま添加することもできるが、白色インク組成物の粘度上昇を抑制する観点から、樹脂分散体を使用することが好ましい。樹脂分散体としては、樹脂エマルジョンであることが好ましい。
樹脂分散体に含まれる樹脂としては、特に制限されないが、例えば(メタ)アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、フルオレン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、及び酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、記録媒体が布帛である場合には、白色顔料の定着性に優れている観点から、ウレタン樹脂であることが好ましい。
樹脂分散体に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)は、0℃以下であることが好ましく、−20℃以下であることがより好ましい。樹脂のガラス転移温度が前記範囲内にあると、記録媒体が布帛である場合には、特に耐洗濯性に優れたものとなる。その一方で、樹脂のガラス転移温度が前記範囲内にあると、ノズル形成面のクリーニング性が低下する傾向がある。しかしながら、本実施形態に係るメンテナンス方法によれば、ノズル形成面のクリーニング性に非常に優れていることから、0℃以下のガラス転移温度を有する樹脂を問題なく使用することができる。なお、本明細書中におけるガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量測定法により測定された値である。
白色インク組成物中の樹脂固形分含有量は、好ましくは8質量%以上、より好ましくは8.5質量%以上、特に好ましくは9質量%以上である。白色インク組成物中の樹脂固形分含有量が前記範囲内にあることで、白色顔料の記録媒体上への定着性が良好となり、記録媒体が布帛である場合には、特に耐洗濯性に優れたものとなる。その一方で、白色インク組成物中の樹脂固形分含有量が前記範囲内にあると、ノズル形成面のクリーニング性が低下する傾向がある。しかしながら、本実施形態に係るメンテナンス方法によれば、ノズル形成面のクリーニング性に非常に優れていることから、白色インク組成物中の樹脂固形分含有量を8質量%以上としても問題なく使用することができる。
<シリコン系界面活性剤>
白色インク組成物は、シリコン系界面活性剤を含有する。前述の含浸液にもシリコン系界面活性剤が配合されている。そのため、白色インク組成物に含まれる界面活性剤を含浸液に含まれるシリコン系界面活性剤と同系統の界面活性剤とすることで、含浸液と白色インク組成物との親和性が向上し、払拭部材への白色インク組成物の浸み込みが良好となり、ノズル形成面でのクリーニング性が改善される。
そのほか、白色インク組成物に含まれるシリコン系界面活性剤の詳細については、上記
の含浸液に含まれるシリコン系界面活性剤と同様なので説明を省略する。
白色インク組成物に含まれるシリコン系界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。白色インク組成物中のシリコン系界面活性剤の含有量は、白色インク組成物の全質量を100質量%としたときに、好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。白色インク組成物に含まれるシリコン系界面活性剤の含有量が前記範囲内にあれば、含浸液との親和性が十分に高まるので、払拭部材への白色インク組成物の染み込みが良好となり、ノズル形成面でのクリーニング性が改善される。
<水>
本実施形態で使用される白色インク組成物は、水を主溶媒とする水系インク組成物であることが好ましい。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、白色インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
白色インク組成物中の水の含有量は、白色インク組成物の全質量を100質量%としたときに、例えば50質量%以上とすることができ、60質量%以上としてもよい。
<水溶性有機溶剤>
本実施形態で使用される白色インク組成物は、水以外の溶剤として水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。白色インク組成物に含まれ得る水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、ピロリドン誘導体、グリコールエーテル類等が挙げられる。
多価アルコール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、白色インク組成物をノズルから吐出させる際に、ノズル形成面において白色顔料の乾燥固化を低減させる作用を有する。白色インク組成物中の多価アルコール類の含有量は、白色インク組成物の全質量を100質量%としたときに、1質量%以上30質量%以下とすることができる。
ピロリドン誘導体としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、前記樹脂分散体に含まれる樹脂が記録媒体上で樹脂被膜を形成する際に、該樹脂の良好な溶解助剤として作用する。白色インク組成物中のピロリドン誘導体の含有量は、白色インク組成物の全質量を100質量%としたときに、1質量%以上10質量%以下とすることができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオ
クチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。グリコールエーテル類は、白色インク組成物の記録媒体に対する濡れ性を制御する作用を有する。白色インク組成物中のグリコールエーテル類の含有量は、白色インク組成物の全質量を100質量%としたときに、1質量%以上10質量%以下とすることができる。
<その他の成分>
本実施形態で使用される白色インク組成物には、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐・防かび剤、及び防錆剤など、所定の機能を付与するための成分を添加することができる。
<白色インク組成物の物性>
本実施形態で使用される白色インク組成物は、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態で使用される白色インク組成物の20℃における粘度は、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、例えば、粘弾性試験機MCR−300(商品名、Pysica社製)を用いて、20℃の環境下での粘度を測定することができる。
1.4.工程
本実施形態に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法は、インクジェット記録装置に備えられたノズル形成面を、シリコン系界面活性剤を含ませた前記払拭部材によって払拭する工程(a1)、あるいは、シリコン系界面活性剤を含む含浸液を用いて前記払拭部材によって払拭する工程(a2)のいずれか一方を含む。本実施形態に係るメンテナンス方法では、上記の工程(a1)及び工程(a2)のいずれの工程であっても、上記の含浸液を用いて上記の白色インク組成物が付着したノズル形成面を払拭するものであるため、ノズル形成面に形成された撥液膜の剥離を低減するとともに、ノズル形成面のクリーニング性及び連続吐出安定性を良好な状態に保つことができる。
本実施形態に係る払拭工程の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。図3は、ヘッドメンテナンス装置26の一例であるワイパーユニット34を模式的に示す斜視図である。図4(a)は、ワイパーカセット34の正面図であり、図4(b)は筐体を省略したワイパーカセット34の正面図である。
図1に示すように、フレーム12内において記録用紙Pが搬送される記録領域の右側に
設けられたホームポジションHPには、記録ヘッド22のメンテナンスを行なうためのヘッドメンテナンス装置26が設けられている。
ヘッドメンテナンス装置26は、記録ヘッド22のノズル形成面からインクを払拭する払拭部材30を搭載したワイパーカセット31と、該ワイパーカセット31が着脱自在に装着されるワイパーホルダー32と、該ワイパーホルダー32を記録ヘッド22のノズル列方向(図1においては記録媒体の搬送方向)に移動させる移動機構33とからなるワイパーユニット34を有している。なお、ヘッドメンテナンス装置26は、ワイパーユニット34以外に、記録ヘッド22のノズル形成面に対してノズルを囲うように当接可能に設けられるキャップ(図示せず)と、そのキャップを介して記録ヘッド22内から増粘等したインクを廃インクとして吸引排出するために駆動される吸引ポンプ(図示せず)を備えていてもよい。なお、本実施形態に係る駆動機構は、含浸液を含む払拭部材とノズル形成面とを押圧するための機構であり、少なくとも図4(a)における押圧部材87と、棒ばね90とからなり、移動機構33も含まれ得る。
図4に示すように、ワイパーカセット31の外装を構成する略矩形箱状をなす筐体80の内側には、筐体80の短手方向となる前後方向へ水平に延びる軸線を有した一対のローラー81,82が筐体80の長手方向となる左右方向に距離をおいて収容されている。この一対のローラー81,82の間には、記録ヘッド22のノズル形成面からインクを払拭するための長尺状の払拭部材30が掛装されている。そして、この一対のローラー81,82のうち、記録ヘッド22が記録用紙(記録媒体)Pに対して記録を実行する記録領域寄りとなる左方側に設けられた第1のローラーとしての繰り出しローラー81は、巻装した未使用の払拭部材30を繰り出す。一方、この一対のローラー81,82のうち、記録ヘッド22が記録用紙Pに対して記録を実行する記録領域とは反対寄りとなる右方側の第2のローラーとしての巻き取りローラー82は、繰り出しローラー81から巻き解かれて払拭に使用された使用済みの払拭部材30を巻き取る。なお、繰り出しローラー81及び巻き取りローラー82は互いに略同一の高さに位置している。また、筐体80の外側に露出した繰り出しローラー81の軸線方向の一端部(前端部)には、繰り出し歯車が繰り出しローラー81と一体回転可能に設けられている。また、筐体80の外側に露出した巻き取りローラー82の軸線方向の両端部には、巻き取り歯車84,85が巻き取りローラー82と一体回転可能に設けられている。
また、筐体80の内側には、繰り出しローラー81から巻き取りローラー82に至る払拭部材30の繰り出し経路上に、複数(本実施形態では4つ)のローラー86,88,89及び押圧部材87が設けられている。これらのローラー86,88,89及び押圧部材87は、繰り出しローラー81及び巻き取りローラー82と平行に前後に延びており、その前後方向の両端が筐体80の側壁部に設けられた軸受け部等によって回動自在に支持されている。
具体的には、繰り出しローラー81の右斜め上方に設けられた押圧部材87には、払拭部材30において繰り出しローラー81から繰り出される部分が巻き掛けられている。押圧部材87における軸線方向両端の軸部87aは、筐体80の前後両側の外側面に固定された棒ばね90によって下方から支持されている。棒ばね90は、その長手方向の中間位置で押圧部材87の軸部87aを下方から支持している。なお、押圧部材87の軸部87aは、筐体80に設けられた軸受け孔91に対して前後に挿通されており、棒ばね90から作用する上方への付勢力に従って軸受け孔91の上側の孔縁に密着している。そして、押圧部材87の軸部87aは、棒ばね90と軸受け孔91の孔縁との間で上下両側から回動自在に支持されている。また、押圧部材87における周面の最上部は筐体80の上面よりも上方に位置しており、払拭部材30において押圧部材87に巻き掛けられた部分は筐体80の上面から上方に突出している。また、押圧部材87における周面の最上部は、記
録ヘッド22のノズル形成面よりも上方に位置している。
棒ばね90、押圧部材87を少なくとも含む本実施形態の駆動機構は、棒ばね90による上方への付勢力により、含浸液を含む払拭部材30を、ノズル形成面22に対して押圧して押圧荷重を加えることができる。本実施形態の押圧荷重はばね荷重を指す。なお、押圧荷重を印加する機構は、払拭部材をある一定の荷重でノズル形成面に押圧できるものであれば、ばねだけではなく、ゴムを用いても良いし、これらを用いずに電気的に機械部材を制御して荷重を印加する等の方法で荷重をかけても良い。
また、押圧部材87の鉛直下方には、払拭部材30において押圧部材87から繰り出される部分を巻き掛ける中継ローラー89が設けられている。また、中継ローラー89に対して払拭部材30を挟んで反対側となる位置には、中継ローラー89との間で払拭部材30を挟持する挟持ローラー92が設けられている。また、筐体80の底壁内面と挟持ローラー92との間には付勢部材としてのばね部材93が介設されている。そして、挟持ローラー92は、ばね部材93によって中継ローラー89に接近する方向に付勢されている。
なお、中継ローラー89において筐体80の側壁部から外側に露出した軸線方向の一方側(図4では後方側)の軸部89aの端部には、中継歯車94が中継ローラー89と一体回転可能に設けられている。また、挟持ローラー92における軸線方向両端の軸部92aは、筐体80の側壁部に弾性片部を切り抜き形成した際に形成された切り欠き溝状の軸受け部から外側に端部が露出している。
また、繰り出しローラー81から巻き取りローラー82に至る払拭部材30の繰り出し経路上において、繰り出しローラー81と押圧部材87との間、及び、押圧部材87と中継ローラー89との間には、払拭部材30に対してテンションを付与するテンションローラー86,88が設けられている。なお、テンションローラー86,88における軸線方向両端の軸部86a,88aは、筐体80の側壁部に設けられた円形凹状の軸受け部から外側に端部が露出している。
本実施形態に係るメンテナンス方法は、記録媒体を35℃以上(より好ましくは、35℃以上50℃以下)に加熱して画像の記録を行うインクジェット記録装置に対しても好適に使用される。このようなインクジェット記録装置は、加熱に起因するノズル詰まりが発生しやすいが、本実施形態に係るメンテナンス方法では、上述した含浸液を用いた払拭工程を実施するので、ノズル詰まり等の不具合の発生を効果的に抑制できる。
本実施形態に係るメンテナンス方法は、記録媒体として布帛を用いるインクジェット捺染を行う場合に特に優れた効果を発揮する。すなわち、インクジェット捺染において、白色インク組成物は、主に明度の低い(例えば黒色や濃紺)の布帛の下地層を形成する用途で使用されることが多い。そして、下地層を形成する場合には、多くの白色顔料を記録媒体に定着させる必要があることから、一般的に、白色インク組成物を布帛に付与する前に、白色インク組成物の成分を凝集又は増粘させる凝集剤を含む前処理液を布帛の表面に付着させる工程が行われる。
このような前処理液を用いる場合、記録中にノズル形成面が布帛に擦れたり、布帛の毛羽がノズル形成面に接触したりすることにより、ノズル形成面に白色インク組成物と前処理液との凝集物による汚れが発生しやすいことが明らかとなってきた。しかしながら、本実施形態に係るメンテナンス方法によれば、ノズル形成面のクリーニング性に非常に優れていることから、前処理液を使用したインクジェット捺染においても問題なく実施することができる。
前処理液に含まれる凝集剤としては、例えば多価金属塩が挙げられる。多価金属塩は、布帛の表面に付着した白色顔料を凝集させて、布帛の白色度を向上させる作用を有する。
多価金属塩とは、2価以上の金属イオンとアニオンから構成される化合物である。2価以上の金属イオンとしては、例えば、カルシウム、マグネシウム、銅、ニッケル、亜鉛、バリウム、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、クロム、コバルト、鉄等のイオンが挙げられる。これらの多価金属塩を構成する金属イオンの中でも、顔料等の凝集性に優れているという点から、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの少なくとも一方であることが好ましく、カルシウムイオンであることがより好ましい。
多価金属塩を構成するアニオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、水酸化物イオン等が挙げられる。これらの多価金属塩を構成するアニオンの中でも、臭気を抑制できるという観点から無機イオンであることが好ましく、変色等を抑制できるという観点から塩素イオンであることがより好ましい。
多価金属塩の具体例としては、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、硝酸銅等が挙げられる。これらの多価金属塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。多価金属塩は、水溶性(具体的には、20℃で水100mLに対する溶解度が10g以上)であることが好ましい。
前処理液に含まれる多価金属塩の濃度は、0.025mol/kg以上0.08mol/kg以下の範囲にあることが好ましく、0.03mol/kg以上0.07mol/kg以下の範囲内にあることがより好ましく、0.04mol/kg以上0.06mol/kgの範囲内にあることが特に好ましい。多価金属塩の濃度が前記範囲内にあることで、白色度及び洗濯堅牢性を高いレベルでバランスよく満たすことができる。なお、本発明において、前処理液に含まれる多価金属塩の濃度[mol/kg]は、前処理液に含まれる多価金属塩の物質量[mol]を、前処理液の全質量(すなわち、多価金属塩も含む)[kg]で除することで算出される。
前処理液には、水のほか、必要に応じて水溶性有機溶剤、界面活性剤、樹脂、糊剤、pH調整剤、防腐剤、防カビ剤等の成分を添加することができる。
2.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。本実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
2.1.前処理液の調製
表1に示す配合量で、多価金属塩、樹脂エマルジョン、界面活性剤、イオン交換水等を混合し、十分に撹拌して均一とすることにより、前処理液P1を得た。
Figure 2016112763
表1に記載した成分は、以下の通りである。
・硝酸カルシウム四水和物(Ca含量:17.0%、分子量:236.14)
・酢酸ビニル/アクリル樹脂(商品名「ビニブラン1245L」、日信化学工業株式会社製、固形分濃度40%)
・BYK−348(商品名、ビックケミ−・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)
・イオン交換水
2.2.白色インク組成物の調製
表2に示す配合量で、二酸化チタンスラリー、樹脂エマルジョン、有機溶剤、多価アルコール、界面活性剤、及びイオン交換水等を混合し、十分に撹拌した。その後、孔径5μmの金属フィルターにてろ過し、真空ポンプで減圧することで脱気処理を行い、白色インク組成物W1〜W6を得た。
Figure 2016112763
表2で記載した成分は、以下の通りである。
・二酸化チタンスラリー(商品名「Nano Tek(R) Slurry」、シーアイ化成株式会社製、二酸化チタン固形分含量20%、平均粒子径250nm)
・ウレタン樹脂エマルジョン(商品名「タケラック W6021」、三井化学ポリウレタン株式会社製、樹脂固形分含量30%、Tg−60℃)
・2−ピロリドン(水溶性有機溶剤、ピロリドン誘導体)
・グリセリン(水溶性有機溶剤、多価アルコール類)
・トリエチレングリコール(水溶性有機溶剤、多価アルコール類)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(水溶性有機溶剤、グリコールエーテル類)
・BYK−348(商品名、ビックケミ−・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)
・オルフィンE1010(商品名、日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
・イオン交換水
2.3.含浸液の調製
表3に示す配合量で、各成分を混合し、十分に撹拌して、含浸液1〜9を得た。なお、表3に記載した成分は、以下の通りである。
Figure 2016112763
表3に記載した成分は、以下の通りである。
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量Mw:200)
・BYK−348(商品名、ビックケミ−・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)
・BYK−349(商品名、ビックケミ−・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)
・BYK−3455(商品名、ビックケミ−・ジャパン株式会社製、シリコン系界面活性剤)
・オルフィンE1010(商品名、日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
2.4.インクジェット記録
プリンターPX−H10000(セイコーエプソン株式会社製)を改造したものを用いた(以下、「PX−H10000改造機」という)。改造部分は、撥液膜付きのシリコンノズルプレートを設けたプリントヘッドと、払拭部材と、弾性部材と、駆動機構とを備えた点である。また、布帛への記録が可能となるように、布帛を固定して搬送しながら記録が可能な支持体を設けた。
シリコンノズルプレートは単結晶シリコンで形成されたものを用いた。当該ノズル形成面は、化学気相蒸着(CVD)リアクターにSiCl及び水蒸気を導入することによって、CVD法により成膜された酸化シリコンの膜(SiO膜)を形成した。SiO膜の膜厚は50nmであった。さらに酸素プラズマ処理を行い、その後、C17SiClを用いて化学気相蒸着法(CVD)を行うことでSiO膜に撥水膜(厚さ10nm)を形成し、撥水膜付きのシリコンノズルプレートを製造した。
払拭部材としては、不織布のキュプラ[密度0.01(g/cm)、布厚0.4mm]を用いた。弾性部材としては、ショアA硬度30のローラーを用いた。ショアA硬度の測定は、発泡成形されたローラーの外層または発泡成形前の熱可塑性エラストマーを200℃の温度でプレス成形することでシート状のサンプルを作製し、そのシート状サンプルをATSM D−2240に規定された測定方法に準拠して行なった。
駆動機構は、記録ヘッドのノズル形成面に接する側とは反対の側から、押圧部材を介して、吸収部材を所定の荷重で押圧してインク形成面に接触させ、吸収部材及び記録ヘッドを相対的に移動させることで、払拭部材によってノズル形成面に付着した白色インク組成物を払拭する清掃動作を行なう機構とした。
2.5.記録物の作製
PX−H10000改造機の4ノズル列に上記で作製した白色インク組成物のいずれか1種を充填した。布帛としてPrintstarヘビーウェイトTシャツ黒色をA4サイズに切り、前処理として前処理液P1を2倍希釈したものを、付着量7mg/inchでスプレー塗布した。塗布後、布帛をオーブンで150℃×1分間乾燥させた。次いで、支持体に布帛を固定し、PX−H10000改造機にセットした。
布帛の前処理液を付着した記録領域に、白色インク組成物を1ノズル列からのインクの吐出による付着量として、31mg/inch、ドット解像度1440×1440dpiでベタパターンをインクジェット塗布した。なお、4ノズル列を使用する例の場合は、4つのノズル列で同等に吐出を行い、付着量を124mg/inchとし、2ノズル列を使用する例の場合は、2つのノズル列で同等に吐出を行い、付着量を62mg/inchとした。
白色インク組成物の付着後、支持体から布帛を取り出し、ヒートプレスで150℃×2分間乾燥させた。このようにして、実施例及び比較例の記録物を得た。
2.6.実施例1〜17、比較例1〜5
2.6.1.クリーニング性試験
PX−H10000改造機を用い、表4〜表5に示す白色インク組成物を用いて、20分連続で印刷を行った後、布ワイパでノズルプレートの払拭を行った。布ワイパは、布に対して表4〜表5の各含浸液を50質量%で含浸させたものを使用した。弾性部材をノズルプレート方向に押し当てる荷重を200gf、ワイピング速度を5cm/sとし、ノズル列と交差する方向に15cmの長さ払拭した。これを1セットとして、40セット繰り返した。完了後、ノズルプレートを目視で確認した。
A:ノズルプレートにインクに起因する付着物が残っていない。
B:ノズルプレートにインクに起因する付着物が若干残っている。
C:ノズルプレートにインクに起因する付着物がかなり残っている。
2.6.2.クリーニング後吐出性(ヨレ)
PX−H10000改造機を用い、前記「クリーニング性試験」と同じ内容で50セット完了後、ノズルの吐出試験を行った。360個のノズル中の飛行曲がりや不吐出の発生している異常ノズル数を確認した。
A:異常ノズルなし。
B:異常ノズル数1〜3個。
C:異常ノズル数4個以上。
2.6.3.撥液膜保存性
PX−H10000改造機を用い、吸引ポンプでノズルプレートのノズルからインクを吸引排出した後、前記「クリーニング性試験」の払拭と同様の操作を行うことを1セットとし、5000セット繰り返し行った。その後、光学顕微鏡(ユニオン光学株式会社の高精度非接触段差測定機“ハイソメットII” DH2)にて、ノズル付近の撥液膜の状態を評価した。
A:撥液膜の剥がれがない。
B:撥液膜の剥がれがノズルの縁にある。
C:撥液膜の剥がれがノズルプレートの全体にある。
2.6.4.記録物の白さ
前記「記録物の作製」で得られた記録物の記録パターンのL値を、測色器(Gretag Macbeth Spectrolino、X−RITE社製)を用いて測定した。L値に基づいてパターンの白さを評価した。
AA:90以上。
A :80以上90未満。
B :70以上80未満。
C :70未満。
2.6.5.耐洗濯性
前記「記録物の作製」で得られた記録物を45℃の温水中で30分間、洗濯機(全自動洗濯機「AW−424V6型」、株式会社東芝製)を用いて撹拌した。撹拌後の記録物を目視にて観察した。
A:パターンの塗膜が剥がれていない。
B:パターンの塗膜の一部が剥がれ、下地の露出がパターンの10%未満である。
C:パターンの塗膜が大きく剥がれ、下地の露出がパターンの10%以上である。
2.6.6.評価結果
各実施例及び比較例で使用した前処理液、白色インク組成物、含浸液、印刷条件並びに
評価結果を表4〜表5に示す。
Figure 2016112763
Figure 2016112763
表4の実施例1〜16に示すように、白色インク組成物にシリコン系界面活性剤を添加し、含浸液にもシリコン系界面活性剤を添加することにより、含浸液と白色インク組成物との親和性が向上し、払拭部材への白色インク組成物の染み込みが良好となるので、ノズル形成面でのクリーニング性、クリーニング後吐出性及び撥液膜保存性が良好となることが明らかとなった。
実施例11〜13では、白色インク組成物を吐出するノズル列数を1列とした場合には、インク使用量が少なくなるため、クリーニング性、クリーニング後吐出性は他の実施例よりも向上することが分かった。すなわち、白色インク組成物は付着量が多いのでノズルプレートが汚れやすいが、本発明は、白色インク組成物の使用量が多い場合に特に有用であるといえる。
実施例14では、前処理液P1を使用しない場合には、クリーニング性がやや向上することが分かった。これは、前処理液P1を使用しないことにより、インク凝集物が形成されにくいことに起因するものと考えられる。
実施例15では、白色インク組成物W2に含まれる樹脂の量がやや少なめであるため、クリーニング性がやや向上することが分かった。実施例16では、白色インク組成物W3に含まれる白色顔料の量がやや少なめであるため、クリーニング性がやや向上することが分かった。実施例17では、白色インク組成物W4に含まれる樹脂の量を少なくすると、
実施例12との比較により、記録物の白さが低下してしまうことが分かった。
一方、比較例1及び比較例2では、含浸液にシリコン系界面活性剤ではなくアセチレングリコール系界面活性剤を添加しているため、クリーニング性、クリーニング後吐出性及び撥液膜保存性のいずれもが低下することが分かった。
比較例3では、白色顔料濃度が低めの白色インク組成物W5を使用しているため、記録物の白さが低下するとともに、耐洗濯性にも劣ることが分かった。
比較例5及び比較例6では、白色インク組成物W6にシリコン系界面活性剤ではなくアセチレングリコール系界面活性剤を添加しているため、クリーニング性、クリーニング後吐出性及び撥液膜保存性のいずれもが低下することが分かった。但し、比較例6の結果から、含浸液にもアセチレングリコール系界面活性剤を添加することで、クリーニング性がやや改善されることが分かった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
P…記録用紙、HP…ホームポジション、1…インクジェット記録装置、12…フレーム、22…記録ヘッド、26…ヘッドメンテナンス装置、30…払拭部材、31…ワイパーカセット、32…ワイパーホルダー、33…移動機構、34…ワイパーユニット、35…ノズルプレートカバー、36…ノズル列、37…ノズル形成面、38…ノズル、80…筐体、81…第1のローラーとしての繰り出しローラー、82…第2のローラーとしての巻き取りローラー、84…動力伝達歯車としての巻き取り歯車、85…動力伝達歯車としての巻き取り歯車、86…テンションローラー、86a…軸部、87…押圧部材、87a…軸部、88…テンションローラー、88a…軸部、89…巻き掛けローラーとしての中継ローラー、89a…軸部、90…棒ばね、91…軸受け孔、92…挟持ローラー、92a…軸部、93…付勢部材としてのばね部材、94…中継歯車

Claims (13)

  1. インクジェット記録装置のメンテナンス方法であって、
    前記インクジェット記録装置は、白色インク組成物を吐出して記録媒体に記録を行うノズルが設けられたノズル形成面と、液体吸収性の払拭部材と、を備え、
    前記白色インク組成物は、白色顔料として金属酸化物をインク組成物に対する含有量として8質量%以上と、樹脂分散体と、シリコン系界面活性剤と、を含み、
    前記ノズル形成面を、シリコン系界面活性剤を含ませた前記払拭部材によって払拭する工程(a1)、あるいは、シリコン系界面活性剤を含む含浸液を用いて前記払拭部材によって払拭する工程(a2)のいずれか一方を含む、インクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  2. 前記工程(a1)において、前記払拭部材が水溶性有機溶剤をさらに含む、請求項1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  3. 前記工程(a2)において、前記含浸液が水溶性有機溶剤をさらに含む、請求項1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  4. 前記白色インク組成物の全質量を100質量%としたときに、前記シリコン系界面活性剤の含有量が0.1質量%以上1.5質量%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  5. 前記樹脂分散体が、ガラス転移点が0℃以下の樹脂からなる樹脂分散体である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  6. 前記白色インク組成物中の樹脂固形分含有量が8質量%以上である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  7. 前記樹脂分散体が、ウレタン樹脂からなる樹脂分散体である、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  8. 前記ノズル形成面が、前記白色インク組成物を吐出するノズルからなるノズル列を2列以上備え、2列以上のノズル列を用いて記録を行う、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  9. 前記記録媒体が布帛である、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  10. 前記記録媒体への記録が、前記白色インク組成物の成分を凝集または増粘させる凝集剤を含む前処理液を該布帛へ付着させる工程を含む、請求項9に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  11. 前記白色インク組成物の記録媒体の付着領域への付着量が100mg/inch以上である、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  12. 前記ノズル形成面が撥液膜を有する、請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載のメンテナンス方法によりメンテナン
    スを行うインクジェット記録装置。
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