JP2017105134A - 記録装置のメンテナンス方法 - Google Patents

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明子 松▲崎▼
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Abstract

【課題】ポリマー粒子を含むインク組成物と凝集液とを用いて記録を行う場合に、クリーニング性が良好であり、優れた目詰まり回復性を得ることができる記録装置のメンテナンス方法を提供する。
【解決手段】色材とポリマー粒子とを含むインク組成物と該インク組成物の成分を凝集させることが可能な凝集剤を含有する凝集液との各々を吐出するノズルが形成されたノズル形成面37を有する記録用ヘッド2を備えるインクジェット記録装置1のメンテナンス方法であって、記録用ヘッド2が有するノズル形成面37を洗浄液及び吸収部材30を用いて払拭する払拭工程を有し、該ポリマー粒子はコアポリマーとシェルポリマーとを有するコア−シェル構造を有し、かつ該ポリマー粒子の酸価が20mgKOH/g以上であり、該シェルポリマーのガラス転移温度が該コアポリマーのガラス転移温度よりも高い、記録装置1のメンテナンス方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、記録装置のメンテナンス方法に関する。
従来、インクジェット記録方式を用いた印刷方法は、インクの小滴を飛翔させて紙等の被記録媒体上に付着させることにより行う。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまで写真やオフセット印刷が用いられていた高精細な画像記録(画像印刷)の分野においても、インクジェット記録方式を用いたインクジェット記録装置が利用されている。
インクジェット記録装置において、ノズル付近のインクに含まれる水分及び他の揮発性成分が蒸発すると、インクの粘度が上昇(増粘)する。増粘したインクはノズルで目詰まりを起こし、インクの吐出不良を発生させる。特に、プラスチック等の低吸収性又は非吸収性被記録媒体に印刷するインクは、乾燥速度が速くなるように調整されていることから、インクの固化によるノズルの目詰まりが生じやすい。
上記のようなインクの増粘による吐出不良を防止又は解消するために、ワイパー機構(回復機構)を備えたインクジェット記録装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、布ワイパーを用いてノズル面に付着したインクを拭き取る技術が開示されている。また、インクの拭き取りを容易にするために、布ワイパーに洗浄液を含ませている。
特開2013−256102号公報
しかしながら、低吸収性又は非吸収性被記録媒体に印刷するために調製されたインクは、洗浄液を含ませた布ワイパーを用いても容易には拭き取れないという問題が生じる可能性がある。このようなインクは、低吸収性又は非吸収性被記録媒体にインクを定着させるための樹脂を含んでおり、この樹脂がノズル面に固着すると、洗浄液を併用しても容易には拭き取れないからである。また、インクを、インクを凝集させる凝集液と共にインクジェット法で吐出させる方式を採用する場合には、該凝集液のミストがインクの吐出ノズルに飛散することに起因して、吐出不良が生じる場合がある。この場合には、インクの吐出ノズルでインクが凝集してしまい、拭き取りがより難しくなるというクリーニング性の不良を生じる。このクリーニング性の不良により、吐出ノズルに目詰まりが生じ、吐出できないノズルが発生するため十分な画質が得られない。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、ポリマー粒子を含むインク組成物と凝集液とを用いて記録を行う場合に、クリーニング性が良好であり、優れた目詰まり回復性を得ることができる記録装置のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のポリマー粒子を含むインク組成物と凝集液との各々を吐出するノズルが形成されたノズル形成面を有する記録用ヘッドを備える記録装置のメンテナンス方法であって、該記録用ヘッドが有するノズル形成面を、洗浄液及び吸収部材を用いて払拭する払拭工程を有するメンテナンス方法を用いることにより、クリーニング性、及び目詰まり回復性に優れることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、色材とポリマー粒子とを含むインク組成物と、該インク組成物の成分を凝集させることが可能な凝集剤を含有する凝集液と、の各々を吐出するノズルが形成されたノズル形成面を有する記録用ヘッドを備える記録装置のメンテナンス方法であって、前記記録用ヘッドが有するノズル形成面を、洗浄液及び吸収部材を用いて払拭する払拭工程を有し、前記ポリマー粒子は、コアポリマーとシェルポリマーとを有するコア−シェル構造を有し、かつ、前記ポリマー粒子の酸価が20mgKOH/g以上であり、前記シェルポリマーのガラス転移温度が前記コアポリマーのガラス転移温度よりも高い、記録装置のメンテナンス方法である。このようなメンテナンス方法が本発明の課題を解決できる要因は下記のように考えている。ただし、要因はこれに限定されない。すなわち、インク組成物及び凝集液を用いた記録装置において、凝集液のミストがインク組成物の吐出するノズルに飛散することに起因して、インク組成物の吐出するノズルに凝集物が発生する場合がある。本発明では、特にポリマー粒子の酸価が20mgKOH/g以上であることにより、上記凝集物が洗浄液に接触した際に再分散しやすいことに起因して、洗浄液及び吸収部材を用いて払拭する際に、優れたクリーニング性を得ることができる。また、優れたクリーニング性を得ることにより、吐出ノズルの凝集物を取り除くことができ、安定した吐出を容易に回復することができる。
また、本発明に係る記録装置のメンテナンス方法は、前記凝集剤は、多価金属塩、有機酸、及びカチオン性高分子からなる群より選択される1種又は2種以上であると好ましく、前記コアポリマーのガラス転移温度は60℃以下であり、かつ前記シェルポリマーのガラス転移温度は60℃以上であると好ましく、前記ポリマー粒子の酸価が、20mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であると好ましく、前記コアポリマーの酸価が、15mgKOH/g以下であると好ましく、前記シェルポリマーは、非水溶性を示し、かつ40℃における2−ピロリドンへの溶解量が1.0質量%以下であると好ましく、前記洗浄液は、水、水溶性有機溶剤、及び含窒素有機溶剤からなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を含有すると好ましく、前記水溶性有機溶剤は、ポリアルキレングリコール、及びアルカンジオールからなる群より選択される1種又は2種以上であるとより好ましく、前記インク組成物は、該インク組成物の総量に対して、前記ポリマー粒子を1.0質量%以上15質量%以下含有すると好ましく、前記記録装置の記録は、加熱した被記録媒体へ前記凝集液及び前記インク組成物を吐出して行うことができる。
本実施形態のインクジェット記録装置を示す模式図である。 インクジェット記録装置の記録用ヘッド及びメンテナンス装置の外観を示す斜視図である。 記録用ヘッドのノズル形成面を表す図面である。 ヘッドメンテナンス装置のワイパーユニットの斜視図である。 (a)はヘッドメンテナンス装置のワイパーカセットの正面図、(b)は筐体を省略したワイパーカセットの正面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
〔記録装置のメンテナンス方法〕
本実施形態の記録装置のメンテナンス方法(以下、単に「メンテナンス方法」ともいう。)は、色材とポリマー粒子とを含むインク組成物と、該インク組成物の成分を凝集させることが可能な凝集剤を含有する凝集液と、の各々を吐出するノズルが形成されたノズル形成面を有する記録用ヘッドを備える記録装置のメンテナンス方法である。また、本実施形態の記録装置のメンテナンス方法は、上記記録用ヘッドが有するノズル形成面を、洗浄液及び吸収部材を用いて払拭する払拭工程を有する。上記ポリマー粒子は、コアポリマーとシェルポリマーとを備えるコア−シェル構造を有し、かつ、該ポリマー粒子の酸価が20mgKOH/g以上であり、該シェルポリマーのガラス転移温度が該コアポリマーのガラス転移温度よりも高い。本実施形態のメンテナンス方法を用いることにより、記録装置のクリーニング性が良好となり、該記録装置を用いて記録を行った場合に、優れた目詰まり回復性を得ることができる。また、本実施形態のメンテナンス方法は、優れたクリーニング性に加えて、後述する撥液膜の保存性に優れ、ノズル拭き取り性に優れ、凝集液及びインク組成物の堆積物を発生し難くする。さらに、本実施形態のメンテナンス方法を採用した記録装置を用いて記録を行った場合、優れた画質(ベタムラ)及び耐擦性が得られ、それらに加えて、後述の実施例に示すように優れた画質(OD)も実現できる。
〔払拭工程〕
本実施形態に係る払拭工程では、後述する記録用ヘッドが有するノズル形成面を、後述する洗浄液及び吸収部材を用いて払拭し、ノズル形成面(及び必要に応じてノズル吐出口等を含むノズル。以下同様。)をクリーニングするものである。払拭の方法としては、洗浄液をノズル形成面に付着させ、そのノズル形成面を吸収部材で払拭する方法であってもよい。具体的には、特に限定されないが、例えば、吸収部材に予め洗浄液を付着させたものでノズル形成面を払拭する方法、ノズル形成面に予め洗浄液を付着させて、そのノズル形成面を吸収部材(洗浄液を付着していても付着していなくてもよい。)で擦る方法が挙げられる。このなかでも、洗浄効率の観点から、ノズル形成面に予め洗浄液を付着させて、そのノズル形成面を吸収部材で擦る方法が好ましい。また、吸収部材に予め洗浄液を付着させたものでノズル形成面を払拭する場合、吸収部材と洗浄液を別々に準備して払拭直前に吸収部材に洗浄液を付着させてもよく、洗浄液が付着した吸収部材を準備してもよい。洗浄液のノズル形成面又は吸収部材への付着方法としては、例えば、スプレー法、ローラー法、及び浸漬法が挙げられる。
払拭工程における払拭機構(クリーニング機構)としては、特に限定されないが、例えば、吸収部材と、ノズル形成面とを、相対的に互いに押圧する押圧部材を有する駆動機構が挙げられる。また、この駆動機構は、吸収部材及びヘッドの少なくとも一方を、他方に対して相対的に移動させ、吸収部材によってノズル形成面に付着したインク組成物を除去するクリーニング動作を行うものであってもよい。
払拭工程は、連続印刷後の度に行ってもよいし、連続印刷の途中で印刷を中断し行ってもよい。また、本実施形態の払拭工程を有する限りは、その工程全てにおいて洗浄液を用いる必要はなく、洗浄液を用いないクリーニングを併用してもよい。また、クリーニング復帰性の観点から、払拭方向は被記録媒体搬送方向と平行な方向が好ましい。また、被記録媒体搬送方向と平行な方向に払拭部材を往復させて払拭することが好ましい。
記録装置の記録は、加熱した被記録媒体へ凝集液及びインク組成物を吐出して行うことができる。なお、凝集液が被記録媒体上で加熱されることにより、蒸発した凝集液がインク組成物の吐出するノズルで凝集物を形成しやすくなるが、本実施形態の払拭工程により、吐出安定性を維持することができる。
〔インクジェット記録装置〕
本実施形態に係る記録装置は、例えばインクジェット記録装置である。図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の一例を示す模式図である。図1に示すように、インクジェット記録装置1は、記録用ヘッド2と、IRヒーター3と、プラテンヒーター4と、硬化ヒーター5と、冷却ファン6と、プレヒーター7と、通気ファン8とを備えている。
プレヒーター7は、被記録媒体Pに対し凝集液及びインク組成物が吐出される前に、被記録媒体を予め加熱するものである。
記録用ヘッド2は、被記録媒体Pに対し凝集液及びインク組成物を吐出するものである。記録用ヘッド2としては、従来公知の方式を使用できる。公知の方式の一例としては、例えば、圧電素子の振動を利用して液滴を吐出するもの、即ち電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するヘッドが挙げられる。
IRヒーター3及びプラテンヒーター4と、記録用ヘッド2からの凝集液又はインク組成物吐出時において、被記録媒体を加熱するものである。IRヒーター3は、記録用ヘッド2側から被記録媒体を加熱することができる。これにより、記録用ヘッド2も同時に加熱されやすいが、プラテンヒーター4等の被記録媒体の裏面から加熱される場合と比べて、被記録媒体の厚みの影響を受けずに昇温することができる。プラテンヒーター4は、記録用ヘッド2側と反対側から被記録媒体を加熱することができる。これにより、記録用ヘッド2が比較的加熱されにくくなる。
IRヒーター3及びプラテンヒーター4は、被記録媒体に対し凝集液又はインク組成物が吐出される際に、被記録媒体の表面温度は30℃以上となるように加熱する。より好ましい温度は30℃以上60℃以下である。これにより、被記録媒体に付着したインク組成物をより速やかに乾燥し、ブリードを一層抑制することができる。
硬化ヒーター5は、凝集液及びインク組成物が付着した被記録媒体を、加熱して乾燥するものである。硬化ヒーター5が、画像が記録された被記録媒体を加熱することにより、凝集液及びインク組成物中に含まれる水分等がより速やかに蒸発飛散して、インク組成物中に含まれるコアシェル樹脂によって被膜が形成される。このようにして、被記録媒体上においてインク乾燥物が強固に定着(接着)して、耐擦性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。硬化ヒーター5は、耐擦性の観点から、IRヒーター3及びプラテンヒーター4よりも被記録媒体を高い温度に加熱することが好ましく、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上120℃以下、さらに好ましくは70℃以上110℃以下に被記録媒体を加熱する。被記録媒体の加熱温度は、被記録媒体表面の温度を測定することによって得られる温度である。
冷却ファン6は、硬化ヒーター5による凝集液及びインク組成物の乾燥後、被記録媒体上の凝集液及びインク組成物を冷却することにより、被記録媒体上に密着性よく被膜を形成することができる。
通気ファン8は、被記録媒体Pに付着した凝集液及びインク組成物をより効率的に乾燥させるためのものである。
図2は、本実施形態のインクジェット記録装置の記録用ヘッド及びメンテナンス装置の外観を示す斜視図である。図2では、図1に示す記録部以外の構成、例えば、IRヒーター3や乾燥手段を除外して図解している。
図2に示すように、フレーム12内において被記録媒体Pが搬送される記録領域の右側に設けられたホームポジションHPには、記録用ヘッド2のクリーニングを行うためのヘッドメンテナンス装置26が設けられており、この装置内に払拭機構が備えられている。
図3は、記録用ヘッド2のノズル形成面(ノズルプレート)37を表す概略図である。記録用ヘッド2は、凝集液及びインク組成物を吐出するノズルの列36が複数設けられたノズル形成面37を有する。なお、図3において、ノズル列36における丸が、ノズルに相当する。ノズル形成面37は、凝集液及びインク組成物を吐出するノズルが複数設けられたものであれば特に限定されない。
ノズル形成面37には、ノズルプレートカバー35が設けられている。ノズル形成面37への上記ノズルプレートカバー35の設置パターンとしては、以下に限定されないが、例えば、図3(a)に示すような、各ノズル列36を囲むようにノズルプレートカバー35を設けるパターン(ノズル列36同士の間にもノズルプレートカバー35が設けられる。)、及び図3(b)に示すような、ノズル全体を囲むようノズルが存在する領域の周囲にノズルプレートカバー35を設けるパターン(ノズル列36同士の間にノズルプレートカバーは設けられない。)が挙げられる。
ノズルプレートカバー35は、複数のノズルチップ(以下、単に「チップ」という。)の組み合わせによって形成されるヘッドのノズル形成面において、当該チップを固定する役割、又は被記録媒体が浮き上がってノズルに被記録媒体が直接接触してしまうのを防止する役割のうち少なくともいずれかを果たすために設けられているものである。そして、上記ノズルプレートカバーは、ノズル形成面の少なくとも一部を覆うことにより、側面から見たときに、ノズルから突出している状態で設けられる。
(撥液膜)
ノズル形成面には、撥液膜(不図示)が設けられていることが好ましい。撥液膜は、撥液性を有している膜であれば特に制限されず、例えば、撥液性を有する金属アルコキシドの分子膜を成膜し、その後、乾燥処理、アニール処理等を経て形成することができる。金属アルコキシドの分子膜は撥液性を有していればいかなるものでもよいが、フッ素を含む長鎖高分子基(長鎖RF基)を有する金属アルコキシドの単分子膜、又は、撥液基(例えば、フッ素を含む長鎖高分子基)を有する金属酸塩の単分子膜であることが望ましい。金属アルコキシドとしては、特に限定されないが、その金属種としては、例えば、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムが一般的に用いられる。長鎖RF基としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキル鎖、及びパーフルオロポリエーテル鎖が挙げられる。この長鎖RF基を有するアルコキシシランとして、例えば、長鎖RF基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。撥液膜としては、特に限定されず、例えばSCA(silane coupling agent)膜や、特許第4424954号に記載されたものも用いることができる。なお、撥液膜のうち、特に撥水性を有するものを撥水膜という。
また、撥液膜は、ノズルプレートに導電膜を形成し、その導電膜上に形成してもよいが、先にシリコーン材料をプラズマ重合することにより下地膜(PPSi(Plasma Polymerization Silicone)膜)を成膜し、この下地膜上に形成してもよい。この下地膜を介することによりノズルプレートのシリコーン材料と撥液膜を馴染ませることができる。
撥液膜は、1.0nm以上30nm以下の厚さを有することが好ましく、1.0nm以上20nm以下の厚さを有することがより好ましく、1.0nm以上15nm以下の厚さを有することがさらに好ましい。厚さが上記範囲であることにより、ノズル形成面が撥液性により優れる傾向にあり、膜の劣化が比較的遅く、より長期間撥液性を維持できる。また、コスト的にも膜形成の容易さにもより優れる傾向にある。
ヘッドメンテナンス装置26は、ノズルの吐出口及びノズル形成面37に付着したインク組成物を拭き取るための装置である。図4は、ヘッドメンテナンス装置26のワイパーユニットの斜視図である。図5(a)は、ヘッドメンテナンス装置26のワイパーカセットの正面図であり、図5(b)は筐体を省略したワイパーカセットの正面図である。
ヘッドメンテナンス装置26は、記録用ヘッド2のノズル形成面37から凝集液及びインク組成物を払拭する吸収部材30を搭載したワイパーカセット31と、該ワイパーカセット31が着脱自在に装着されるワイパーホルダー32と、該ワイパーホルダー32を記録用ヘッド2のノズル列方向(図2においては記録媒体の搬送方向)に移動させる移動機構33とからなるワイパーユニット34を有している。なお、ヘッドメンテナンス装置26は、ワイパーユニット34以外に、記録用ヘッド2のノズル形成面37に対してノズルを囲うように当接可能に設けられるキャップ(図示略)と、そのキャップを介して記録用ヘッド2内から増粘等した凝集液及びインク組成物を廃インクとして吸引排出するために駆動される吸引ポンプ(図示略)を備えていてもよい。ここで、従来のメンテナンス方法では、凝集液及びインク組成物を廃インクとして吸引排出する吸引ポンプ及び廃インク貯蔵部は、それぞれに分離して設ける必要がある。このように分離しない場合には、吸引ポンプや廃インク貯蔵部(図示略)の中でインク組成物が凝集液により凝集して凝集物が発生し、吸引ポンプが詰まってしまうことや、廃インク貯蔵部内で固まってしまい取り出すことが難しくなってしまうからである。一方、本実施形態のメンテナンス方法では、凝集液及びインク組成物の凝集物が洗浄液により再分散することに起因して、廃インクとして吸引排出する吸引ポンプ及び廃インク貯蔵部を凝集液とインク組成物とで分離して設ける必要がなく、記録装置の小型化に有利である。
図5(a)及び(b)に示すように、ワイパーカセット31の外装を構成する略矩形箱状をなす筐体80の内側には、筐体80の短手方向となる前後方向へ水平に延びる軸線を有した一対のローラー81,82が筐体80の長手方向となる左右方向に距離をおいて収容されている。この一対のローラー81,82の間には、記録用ヘッド2のノズル形成面37から凝集液及びインク組成物を払拭するための長尺状の吸収部材30が掛装されている。そして、この一対のローラー81,82のうち、記録用ヘッド2が被記録媒体Pに対して記録を実行する記録領域寄りとなる左方側に設けられた第1のローラーとしての繰り出しローラー81は、巻装した未使用の吸収部材30を繰り出す。一方、この一対のローラー81,82のうち、記録用ヘッド2が被記録媒体Pに対して記録を実行する記録領域とは反対寄りとなる右方側の第2のローラーとしての巻き取りローラー82は、繰り出しローラー81から巻き解かれて払拭に使用された使用済みの吸収部材30を巻き取る。なお、繰り出しローラー81及び巻き取りローラー82は互いに略同一の高さに位置している。また、筐体80の外側に露出した繰り出しローラー81の軸線方向の一端部(前端部)には、繰り出し歯車が繰り出しローラー81と一体回転可能に設けられている。また、筐体80の外側に露出した巻き取りローラー82の軸線方向の両端部には、巻き取り歯車84,85が巻き取りローラー82と一体回転可能に設けられている。
また、筐体80の内側には、繰り出しローラー81から巻き取りローラー82に至る吸収部材30の繰り出し経路上に、複数(本実施形態では4つ)のローラー86,88,89及び押圧部材87が設けられている。これらのローラー86,88,89及び押圧部材87は、繰り出しローラー81及び巻き取りローラー82と平行に前後に延びており、その前後方向の両端が筐体80の側壁部に設けられた軸受け部等によって回動自在に支持されている。
具体的には、繰り出しローラー81の右斜め上方に設けられた押圧部材87には、吸収部材30において繰り出しローラー81から繰り出される部分が巻き掛けられている。押圧部材87における軸線方向両端の軸部87aは、筐体80の前後両側の外側面に固定された棒ばね90によって下方から支持されている。棒ばね90は、その長手方向の中間位置で押圧部材87の軸部87aを下方から支持している。なお、押圧部材87の軸部87aは、筐体80に設けられた軸受け孔91に対して前後に挿通されており、棒ばね90から作用する上方への付勢力に従って軸受け孔91の上側の孔縁に密着している。そして、押圧部材87の軸部87aは、棒ばね90と軸受け孔91の孔縁との間で上下両側から回動自在に支持されている。また、押圧部材87における周面の最上部は筐体80の上面よりも上方に位置しており、吸収部材30において押圧部材87に巻き掛けられた部分は筐体80の上面から上方に突出している。また、押圧部材87における周面の最上部は、記録用ヘッド2のノズル形成面よりも上方に位置している。
ヘッドメンテナンス装置26は、棒ばね90による上方への付勢力により、吸収部材30を、ノズル形成面22に対して押圧して押圧荷重を加えることができる。なお、押圧荷重を印加する機構は、吸収部材をある一定の荷重でノズル形成面に押圧する出来るものであれば、ばねだけではなく、ゴムを用いても良いし、これらを用いずに電気的に機械部材を制御して荷重を印加する等の方法で荷重をかけても良い。
また、押圧部材87の鉛直下方には、吸収部材30において押圧部材87から繰り出される部分を巻き掛ける中継ローラー89が設けられている。また、中継ローラー89に対して吸収部材30を挟んで反対側となる位置には、中継ローラー89との間で吸収部材30を挟持する挟持ローラー92が設けられている。また、筐体80の底壁内面と挟持ローラー92との間には付勢部材としてのばね部材93が介設されている。そして、挟持ローラー92は、ばね部材93によって中継ローラー89に接近する方向に付勢されている。
なお、中継ローラー89において筐体80の側壁部から外側に露出した軸線方向の一方側の軸部89aの端部には、中継歯車94が中継ローラー89と一体回転可能に設けられている。また、挟持ローラー92における軸線方向両端の軸部92aは、筐体80の側壁部に弾性片部を切り抜き形成した際に形成された切り欠き溝状の軸受け部から外側に端部が露出している。
また、繰り出しローラー81から巻き取りローラー82に至る吸収部材30の繰り出し経路上において、繰り出しローラー81と押圧部材87との間、及び、押圧部材87と中継ローラー89との間には、吸収部材30に対してテンションを付与するテンションローラー86,88が設けられている。なお、テンションローラー86,88における軸線方向両端の軸部86a,88aは、筐体80の側壁部に設けられた円形凹状の軸受け部から外側に端部が露出している。
押圧部材87は、特に限定されないが、例えば、弾性部材によって被覆されたものが好ましい。弾性部材のショアA硬度は10以上60以下であることが好ましく、10以上50以下であることがより好ましい。これにより、押圧時に押圧部材87及び吸収部材30が撓み、ノズル形成面37からなる凹凸面に対して吸収部材30を奥に押し込むことができる。特に、ノズルプレートカバーがある場合には、ノズル形成面37とここから突出したノズルプレートカバーとの間の角(隙間)に対して吸収部材を奥に押し込むことができ、凝集液及びインク組成物の堆積を抑制できる。そのため、クリーニング性がより向上する。
(吸収部材)
吸収部材30は、ノズル形成面37(及び必要に応じてノズル吐出口等を含むノズル。以下同様。)に付着した凝集液及びインク組成物を吸収できるものであれば特に制限されない。これにより、ノズル形成面37を清掃(クリーニング)した場合に、インク組成物が吸収部材中に吸収され、吸収部材の表面にインク組成物が残らない。そのため、増粘したインク組成物により撥水膜が傷つけられることを抑制できる。
吸収部材30としては、特に限定されないが、例えば、布帛、スポンジ、及びパルプが挙げられる。このなかでも、布帛が好ましい。布帛であれば撓みやすく、ノズルプレートカバー35が設けられている場合は特に、ノズル形成面37に付着したインクをより拭き取りやすい。また、布帛としては、特に限定されないが、例えば、キュプラ、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、リヨセル、及びレーヨンからなる群より選択される1種以上の素材からなるものを挙げることができる。この際、特に吸収部材の素材が不織布(ポリエステル)やキュプラであると毛羽立ちが少ないので、ノズルからインクを吸引し難く、よりドット抜けを引き起こしにくいため好ましい。
吸収部材30の厚さは、0.1mm以上3mm以下であることが好ましい。厚さが0.1mm以上であることにより、より凝集液及びインク組成物を保持しやすくなる。厚さが3mm以下であることにより、コンパクトな吸収部材となり、クリーニングユニット全体を小型化でき、吸収部材の機械的搬送もより容易となる。
吸収部材30の面密度は、0.005g/cm2以上0.15g/cm2以下が好ましい。より好ましくは、0.02g/cm2以上0.13g/cm2以下である。上記範囲であることにより、洗浄液をより保持しやすくなる。さらに、洗浄液の保持のため、吸収部材として、面密度、厚さを設計しやすい不織布を用いることが好ましい。
(洗浄液)
吸収部材30を用いた払拭動作において、洗浄液を併用する。洗浄液は、事前に吸収部材80に含浸させてもよいし、払拭動作の際に吸収部材30に塗布してもよいし、ノズル形成面37に直接塗布してもよい。洗浄液を使用することにより、ノズル形成面37に固着した凝集液及びインク組成物を溶解又は分散させて、凝集液及びインク組成物のクリーニング性を向上させることができ、撥水膜が損傷するのを抑制することができる。洗浄液は、浸透剤や保湿剤を含むことが好ましい。なお、洗浄液は、凝集液及びインク組成物中の固形成分を溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。
洗浄液の表面張力は45mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以下であることがより好ましい。表面張力が低いと吸収部材30へのインク組成物の浸透性が良好になり、拭き取り性が向上する。表面張力の測定方法としては、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定する方法が例示できる。
吸収部材80に洗浄液を含浸させる場合、洗浄液の含有量は、吸収部材100質量%に対して、10質量%以上200質量%以下であることが好ましく、10質量%以上120質量%以下であることが好ましく、30質量%以上100質量%以下がより好ましい。洗浄液の含有量が10質量%以上であることにより、インク組成物の固形分を溶解させ、インク組成物の拭き取り性を向上でき、また、撥水膜が損傷するのをより抑制できる。また、洗浄液の含有量が200質量%以下であることにより、ノズル形成面における洗浄液の残存を抑制でき、気泡が洗浄液と共にノズルに浸入することに起因するドット抜けや、洗浄液自体がノズルに浸入することに起因するドット抜けをより抑制できる。
そのほか、洗浄液に含まれ得る添加剤(成分)としては、特に限定されないが、例えば、樹脂、界面活性剤、水、水溶性有機溶剤、pH調製剤、及びキレート剤が挙げられる。上記の各成分は、1種単独で用いても2種以上の併用でもよく、含有量は特に制限されない。
洗浄液は、上述した成分の中でも、水、及び水溶性有機溶剤からなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を含有することが好ましい。これにより、凝集液及びインク組成物の凝集物に対して親和性が向上することに起因して、クリーニング性により優れる傾向にある。また、同様の観点から、上記水溶性有機溶剤は、後述するポリアルキレングリコール、アルカンジオール、及び含窒素有機溶剤からなる群より選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。
洗浄液が消泡剤を含むと、クリーニング処理後のノズル形成面37に残った洗浄液が泡立つことを効果的に防止することができる。また、洗浄液はポリエチレングリコールやグリセリン等の酸性の保湿剤を多量に含む場合があるが、その場合に洗浄液がpH調整剤を含むと、酸性の洗浄液がインク組成物(通常、pH7.5以上の塩基性)に接触することが回避できる。これにより、インク組成物が酸性側にシフトすることを防止でき、インク組成物の保存安定性がより保たれる。
また、洗浄液に含まれ得る保湿剤としては、一般にインク等に使用可能なものであれば特に制限されることなく使用できる。保湿剤としては、特に限定されないが、1気圧下相当での沸点が、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上の高沸点保湿剤を用いることができる。当該沸点が上記範囲内であると、洗浄液中の揮発成分が揮発することを防止でき、洗浄液と接触するインク組成物を確実に湿潤させて効果的に払拭することができる。
高沸点保湿剤として、特に限定されないが、例えば、ポリアルキレングリコール、及びアルカンジオールが挙げられる。ポリアルキレングリコール、及びアルカンジオールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、グリセリン、メソエリスリトール、及びペンタエリスリトールが挙げられる。
保湿剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。保湿剤の含有量は、洗浄液により作用効果の低下をより有効かつ確実に抑制すると共に、保湿剤による作用効果をより有効かつ確実に発揮する観点から、洗浄液の総質量(100質量%)に対して、10質量%以上100質量%以下が好ましい。なお、保湿剤の含有量が洗浄液の総質量に対して100質量%とは、洗浄液の全成分が保湿剤であることを示す。
洗浄液に含まれ得る添加剤のうち浸透剤について説明する。浸透剤としては、一般にインク等に使用可能なものであれば特に制限されることなく使用できるが、水90質量%、浸透剤10質量%の溶液において、該溶液の表面張力が45mN/m以下となるものを浸透剤として採用することもできる。浸透剤としては、特に限定されないが、例えば、炭素数5〜8のアルカンジオール類、グリコールエーテル類、アセチレングリコール系界面活性剤、シロキサン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤からなる群より選択される一種以上が挙げられる。また、表面張力の測定は上記した方法で行うことができる。
また、洗浄液中の浸透剤の含有量は、1.0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以上25質量%以下であることが好ましい。1.0質量%以上であることにより、拭き取り性により優れる傾向にあり、また、40質量%以下であることにより、浸透剤がノズル近傍のインクに含まれる顔料にアタックをし、分散安定性が壊れ凝集を起こすことを回避できる。
炭素数5〜8のアルカンジオール類としては、特に限定されないが、例えば、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、及び2,2−ジメチル−1,3−ヘキサンジオールが挙げられる。炭素数5〜8のアルカンジオール類は、1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
グリコールエーテル類としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、及びジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテルが挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
含窒素有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、2−ピロリドン、及びN,N'−ジメチルプロピレン尿素が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017105134
ここで、式(1)中、m及びnは0≦m+n≦50の関係を満たし、R1、R2、R3、及びR4は各々独立してアルキル基(好ましくは炭素数1〜6のアルキル基)を示す。
式(1)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤の中でも、好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールが挙げられる。式(1)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品を利用することも可能であり、その具体例としてはサーフィノール82、104、440、465、485、又はTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(商品名)(以上、日信化学社製)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で用いても又は2種以上を併用してもよい。
シロキサン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、下記式(2)又は(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2017105134
ここで、式(2)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7(以下、「R1〜R7」と表記する。)は、各々独立して、炭素数が1〜6のアルキル基、好ましくはメチル基を示す。j及びkは、各々独立して1以上の整数を示すが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1又は2であり、j=k=1若しくはk=j+1の関係を満足することが好ましい。また、gは0以上の整数を示し、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。さらに、p及びqはそれぞれ0以上の整数を示し、好ましくは1〜5を示す。ただし、p+qは1以上の整数であり、好ましくは2〜4である。
式(2)で表されるシロキサン系界面活性剤としては、R1〜R7がすべてメチル基を示し、jが1〜2を示し、kが1〜2を示し、gが1〜2を示し、pが1以上5以下の整数を示し、qが0である化合物が好ましい。
Figure 2017105134
ここで、式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、aは2〜18の整数を示し、mは0〜50の整数を示し、nは1〜5の整数を示す。
式(3)で表されるシロキサン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シロキサン系界面活性剤による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、Rが水素原子又はメチル基を示し、aが7〜11の整数を示し、mが30〜50の整数を示し、nが3〜5の整数を示す化合物、Rが水素原子又はメチル基を示し、aが9〜13の整数を示し、mが2〜4の整数を示し、nが1〜2の整数である化合物、Rが水素原子又はメチル基を示し、aが6〜18の整数を示し、mが0の整数を示し、nが1の整数である化合物、Rが水素原子を示し、aが2〜5の整数を示し、mが20〜40の整数を示し、nが3〜5の整数である化合物が好ましい。
シロキサン系界面活性剤は商業的に入手可能で、市販されているものを用いてもよく、例えば、オルフィンPD−501(日信化学工業株式会社製)、オルフィンPD−570(日信化学工業株式会社製)、BYK−347(ビックケミー株式会社製)、BYK−348(ビックケミー株式会社製)等を用いることができる。上記シロキサン系界面活性剤は、一種単独で用いても又は二種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤は、WO2010/050618及びWO2011/007888に開示されている通り、低吸収性、非吸収性の記録媒体に対して良好な濡れ性を奏するものとして知られている。フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。
上記以外にもフッ素系界面活性剤として、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えばS・144、S・145(旭硝子株式会社製);FC・170C、FC・430、フロラード・FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO・100、FSN、FSN・100、FS・300(Dupont社製);FT・250、251(株式会社ネオス製)が挙げられる。これらの中でも、Dupont社製のFSO、FSO・100、FSN、FSN・100、FS・300が好ましい。フッ素系界面活性剤は、一種単独で用いても又は二種以上を併用してもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、ノズル形成面37の払拭動作において、押圧部材87によりノズル形成面37に吸収部材80を押し当てた状態において、移動機構33により吸収部材80を含むワイパーカセット31を移動させるか、記録用ヘッド31の駆動機構により記録用ヘッド31を移動させることにより、インクの拭き取りを行う。このため、押圧部材87、移動機構33、記録用ヘッド31の駆動機構が、本実施形態における駆動機構に相当する。
ここで、押圧部材87は、線圧が8.0gf/cm以上150gf/cm以下となるように、吸収部材30とノズル形成面37とを相対的に押圧することが好ましい。より好ましくは、線圧30gf/cm以上120gf/cm以下である。線圧が8.0gf/cm以上であることにより、インク拭き取り性により優れる。更に、ノズルプレートとノズルプレートカバー間に段差がある場合でも、その隙間にインクが付着、堆積することを防ぐ、又は隙間から除去することにより優れる。また、線圧が150gf/cm以下であることにより、撥液膜の保存性に一層優れる。なお、ノズル形成面37に対して記録用ヘッド2を押圧させるように記録用ヘッド2を駆動させてもよい。
払拭動作において、吸収部材30及び記録用ヘッド2を1.0cm/s以上10cm/s以下の速度で相対的に移動させることが好ましい。移動の速度が上記範囲であることにより、クリーニング性と撥液膜の保存性とがより向上する。なお、当該払拭動作の速度は、通常記録用ヘッドが画像を記録する際に移動する速度と比較しておおよそ5分の1から20分の1程度の遅い速度となるが、この速度関係に限定されるわけではない。
〔インク組成物〕
本実施形態のインク組成物は、色材とポリマー粒子とを含む。また、上記ポリマー粒子は、コアポリマーとシェルポリマーとを有するコア−シェル構造を有し、ポリマー粒子の酸価が20mgKOH/g以上であり、かつシェルポリマーガラス転移温度がコアポリマーのガラス転移温度よりも高い。
<色材>
色材としては、顔料を用いることができる。顔料としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ブラックインクに使用されるカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、白色の中空樹脂粒子及び高分子粒子が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:2、48:5、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、上記以外の顔料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
インク組成物において、色材の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは0.2質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上7.5質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上7.5質量%以下である。色材の含有量が上記範囲内であることにより、発色性がより向上する傾向にある。
<ポリマー粒子>
本実施形態のポリマー粒子は、コアポリマーとシェルポリマーとを備えるコア−シェル構造を有し、シェルポリマーのガラス転移温度は、コアポリマーのガラス転移温度よりも高い。「コア−シェル構造」とは、シェルポリマーの空隙内部にコアポリマーが形成されている構造をいう。よって、コアポリマーの表面をシェルポリマーが覆う構造のみならず、シェルポリマーによる3次元網目構造の空隙内部の一部にコアポリマーが充填されている構造も含まれる。したがって、本明細書における「コアシェル構造」とは、コア部とシェル部との境界が厳密に明確でないポリマー粒子も含まれる。
コアポリマーのガラス転移温度は、好ましくは0℃以上60℃以下である。コアポリマーのガラス転移温度が60℃以下であることにより、シェルポリマーが軟化した後、容易にコアポリマーが流出できるため、耐擦性により優れる傾向にある。また、コアポリマーのガラス転移温度が0℃以上であることにより、インク組成物の保存安定性により優れる傾向にある。
ガラス転移点(以下、「Tg」ともいう)は、示差走査熱量分析(DSC)により測定される。具体的には、後述する実施例に記載の方法による。また、公知である重合性単量体の単独重合体のTgから計算式を用いて算出し、ガラス転移点を制御するための指標とすることができる。コアポリマー及び後述するシェルポリマーに含まれる樹脂が共重合体である場合、共重合体のガラス転位温度(Tg)は、各種単独重合体のTgn(単位:K)と、単量体の質量分率(Wn)とから下記FOX式によって算出することができる。
Figure 2017105134
ここで Wn ;各単量体の質量分率
Tgn;各単量体のホモポリマーのTg(単位:K)
Tg ;共重合体のTg(単位:K)
換言すれば、コアポリマー又はシェルポリマーのガラス転移点は、ポリマーが単独重合体である場合にはその単独重合体を選択することにより制御できる。また、ポリマーが共重合体である場合には上記単独重合体のTgと上記FOX式とを考慮することにより制御することができる。
コアポリマーの酸価は、特に限定されないが、好ましくは0mgKOH/g以上20mgKOH/g未満であり、より好ましくは0mgKOH/g以上15mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは5.0mgKOH/g以上13mgKOH/g以下である。コアポリマーは酸価を有しないことも好ましい。コアポリマーの酸価は、それに用いられるモノマーの種類及び使用量から算出して求められる。具体的には、後述する実施例に記載の方法と同様に求める。また、コアポリマーは、構成単位として、少なくとも芳香族モノマー単位を含有することが好ましい。これにより、コアポリマーは芳香族モノマー単位を含有しないポリマーよりも疎水性となるので、被記録媒体上でより疎水性の被膜を形成できる。この結果、記録物の耐擦性をより向上することができる傾向にある。ここで、「構成単位」とは、ポリマーを構成する単位であり、「モノマー単位」とは、そのモノマーに由来する構成単位をいう。
芳香族モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、及びジビニルベンゼンが挙げられる。
また、コアポリマーは、特に限定されないが、構成単位として、例えば、親水性(メタ)アクリレートモノマー単位、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー単位、(メタ)アクリルアミドモノマー単位又はそのN−置換誘導体単位、及びカルボン酸モノマー単位の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
親水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、及び(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。この中でも、メチル(メタ)アクリレート、及びエチル(メタ)アクリレートが好ましい。ここで「親水性」とは、水100mL(20℃)に対する溶解度が0.3g以上であることをいう。コアポリマーが親水性(メタ)アクリレートモノマーをモノマー単位として含有することにより、コアポリマーを製造する際の重合反応性に優れる傾向にある。
炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、及びベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数が3以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。ここで「疎水性」とは、水100mL(20℃)に対する溶解度が0.3g未満であることをいう。
環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルアミドモノマー又はそのN−置換誘導体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、及びN,N−ジメチルアクリル(メタ)アミド等の(メタ)アクリルアミド又はそのN−置換誘導体が挙げられる。
上述したように、コアポリマーにはカルボン酸モノマーを用いないことが好ましいが、記録物の耐擦性を所定水準以上に維持できる程度にカルボン酸モノマーを用いることもできる。カルボン酸モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、及びイタコン酸が挙げられる。この中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。ここで、「カルボン酸モノマー単位」とは、カルボキシル基と重合性不飽和基を有する重合性モノマー単位をいう。
上記モノマーは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
コアポリマーが疎水性モノマー単位を含有する場合、コアポリマーの全構成単位のうち、疎水性モノマー単位の含有量は、90質量%以上が好ましい。疎水性モノマー単位の含有量が上記範囲であることにより、加熱処理等を行うことによって被記録媒体上に記録された画像の表面に疎水性被膜が形成されるので、耐擦性がより向上する傾向にある。
シェルポリマーのガラス転移温度は、好ましくは60℃以上150℃以下である。シェルポリマーのガラス転移温度が60℃以上であることにより、高温の環境下でインク組成物を吐出する場合に、コア−シェル型の構造を崩壊させずにポリマー粒子を記録用ヘッドから吐出することが可能となる。その結果、ノズル内におけるポリマー粒子の付着をより抑制できるため、ノズルの目詰まりをより抑制できる傾向にある。また、シェルポリマーのガラス転移温度が150℃以下であることにより、被記録媒体上でシェルポリマーが軟化しやすいため、耐擦性により優れる傾向にある。被記録媒体上にインク組成物を着弾した後、シェルポリマーのガラス転移温度よりも高い温度に被記録媒体上のインク組成物を加熱することにより、軟化したシェルポリマーからコアポリマーが流出し、コアポリマー及びシェルポリマーによる被膜が被記録媒体上に形成される。このとき、軟化状態のコアポリマーが被記録媒体上に広がりつつ密着することにより、乾燥後の耐擦性により優れた被膜が形成される傾向にある。また、シェルポリマーのガラス転移温度が150℃以下であることにより、被記録媒体上でシェルポリマーが軟化しやすいため、耐擦性により優れる傾向にある。
本実施形態のインク組成物を吐出安定性に優れたものにする観点から、シェルポリマーのガラス転移温度は、コアポリマーのガラス転移温度よりも高い。また、同様の観点から、コアポリマーのガラス転移温度は60℃以下であり、かつシェルポリマーのガラス転移温度は60℃以上であることが好ましい。さらに、コアポリマーのガラス転移温度とシェルポリマーのガラス転移温度との差は、10℃以上であることがさらに好ましく、30℃以上であることがよりさらに好ましく、50℃以上であることがさらにより好ましい。
ポリマー粒子の酸価は、20mgKOH/g以上であり、好ましくは20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、より好ましくは30mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは30mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であり、よりさらに好ましくは30mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であり、さらにより好ましくは30mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である。ポリマー粒子の酸価が20mgKOH/g以上であることにより、必要十分な親水性を確保し、クリーニング性に優れる。ポリマー粒子の酸価は、後述する実施例に記載の方法と同様に求める。
ポリマー粒子の酸価は、コアポリマーの酸価よりも高いことが好ましい。ポリマー粒子の方がコアポリマーよりも親水性が高くなる傾向にあるため、ポリマー同士の凝集をより抑制すると共に、耐擦性をより高めることができる。また、同様の観点から、ポリマー粒子の酸価は20mgKOH/g以上であるか、コアポリマーの酸価は15mgKOH/g以下であるか、あるいは、それらの両方であることが好ましい。これにより、親水性化合物を含有する洗浄液に接触した際にポリマー粒子を保護できる傾向にあり、かつ洗浄液に対してインク組成物が再分散しやすいことに起因して、クリーニング性に優れる。
シェルポリマーは、構成単位として、少なくとも芳香族モノマー単位を含有することが好ましい。シェルポリマーが構成単位として芳香族モノマーを含有することにより、詳細な作用機序は不明なものの、吐出曲がりが抑制される傾向にある。特に、小ドットのときにインク液滴が曲がりやすいことから、本実施形態の一態様によればこの吐出曲がりが抑制される。したがって、本実施形態のインク組成物の一態様は、特に一つのノズルからインクドットをマルチサイズに吐出できるヘッドに適している。また、シェルポリマーが比較的固い芳香族モノマー単位を含有することにより、被記録媒体上に形成された被膜の耐擦性をより向上することができる傾向にある。
また、シェルポリマーは、構成単位として、(メタ)アクリレートモノマー単位及びカルボン酸モノマー単位を含有することが好ましい。このようなポリマーを用いることにより、シェルポリマーの表面にカルボキシル基を存在させることができる。これにより、ポリマー粒子の分散安定性がより向上するとともに、インク組成物の粘度が比較的低くなるため、吐出安定性がより向上する傾向にある。上記(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、親水性(メタ)アクリレートモノマー、炭素数が3以上のアルキル基を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマー、及び環状構造を有する疎水性(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。(メタ)アクリレートモノマー及びカルボン酸モノマーの具体例は、コアポリマーに含まれる樹脂を構成するモノマーについて上述したものと同様のものが挙げられ、モノマーは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シェルポリマーがカルボン酸モノマー単位と芳香族モノマー単位とを含有する場合、シェルポリマーにおいて、カルボン酸モノマー単位に対する芳香族モノマー単位の比率(芳香族モノマー/カルボン酸モノマー)は、好ましくは0.15以上である。これにより、芳香族モノマーによる耐擦性の向上と、カルボン酸モノマーによる再分散性とのバランスに優れたインク組成物が得られる。
シェルポリマーが(メタ)アクリレートモノマー単位と不飽和カルボン酸モノマー単位とを含有する場合、シェルポリマーの全構成単位のうち、(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位及び不飽和カルボン酸モノマー単位の合計含有量は、20質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上80質量%以下がより好ましく、35質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。これにより、ポリマー粒子の分散安定性が更に向上するとともに、インク組成物の粘度がより低くなるため、吐出安定性が更に向上する傾向にある。
シェルポリマーが親水性モノマー単位を含有する場合、シェルポリマーの全構成単位のうち、親水性モノマー単位の含有量は、20質量%以上90質量%以下が好ましく、30質量%以上80質量%以下がより好ましく、35質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。親水性モノマー単位の含有量が上記下限値以上であることにより、シェルポリマーが水和性を有するので、インク組成物中におけるポリマー粒子の分散安定性がより向上する傾向にある。また、ポリマー粒子がノズルに付着することをより効果的に抑制することができるので、記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性がより良好となる傾向にある。一方、親水性モノマー単位の含有量が上記上限値以下であることにより、記録用ヘッド内及び被記録媒体上で水の乾燥が進み有機溶剤の占有率が高くなった場合でも、ポリマー粒子の分散が安定し、ポリマー粒子同士の凝集をより抑制できる傾向にある。
シェルポリマーが疎水性モノマー単位を含有する場合、シェルポリマーの全構成単位のうち、疎水性モノマー単位の含有量は、10質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上70質量%以下がより好ましく、30質量%以上65質量%以下がさらに好ましい。疎水性モノマー単位の含有量が上記下限値以上であることにより、記録用ヘッド内及び被記録媒体上で水の乾燥が進み有機溶剤の占有率が高くなった場合でも、ポリマー粒子の分散が安定し、ポリマー粒子同士の凝集をより抑制できる傾向にある。一方、疎水性モノマー単位の含有量が上記上限値以下であることにより、シェルポリマーが水和性を有するので、インク組成物中におけるポリマー粒子の分散安定性がより向上する傾向にある。また、ポリマー粒子がノズルに付着することをより効果的に抑制することができるので、記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性がより良好となる傾向にある。
シェルポリマーは、非水溶性を示し、かつ40℃における2−ピロリドンへの溶解量が、2−ピロリドンの量を基準として、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.0質量%以上0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以上0.3質量%以下である。40℃以下における2−ピロリドンへの溶解量が1.0質量%以下であることにより、インク組成物中の水分が揮発した場合においてもポリマー粒子の溶解が抑制され、ポリマー粒子の再分散性を確保し、クリーニング性が良好となる傾向にある。ここで、「非水溶性を示す」とは、水に対しての溶解量が0.1質量%以下であることを意味する。また、40℃における2−ピロリドンへの溶解量は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
好ましくは、ポリマー粒子は、コアポリマー及びシェルポリマーを合わせて、構成単位として芳香族モノマーを10質量%以上80質量%以下(ポリマー粒子全体の質量を基準)含む。比較的固い芳香族モノマーを10質量%以上80質量%以下含むことにより、被記録媒体上に形成された記録物の耐擦性)をより向上できる傾向にある。また、芳香族モノマーを80質量%以下含むことにより、吐出安定性をより向上できる傾向にある。
ポリマー粒子の平均粒子径は、好ましくは50nm以上300nm以下であり、より好ましくは60nm以上250nm以下である。このようにポリマー粒子の平均粒子径が250nm以下であることにより、記録物の優れた光沢性が得られやすく、インク組成物の被記録媒体上での成膜性により優れる傾向にある。また、ポリマー粒子の平均粒子径が300nm以下であることにより、凝集しても大きな塊ができにくいことから、ノズルの目詰まりをより抑制することができる傾向にある。さらに、ポリマー粒子の平均粒子径が300nm以下であることにより、インク組成物の粘度を比較的高めることができ、記録用ヘッド内においてインク組成物の温度が上昇しても、インク吐出性が不安定になる程に粘度が低下してしまうことを抑制することができる傾向にある。一方、ポリマー粒子の平均粒子径が50nm以上であることにより、ポリマー粒子の調製がより容易になる傾向にある。
本明細書における平均粒子径は、特に明示がない限り体積基準のものである。測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製のマイクロトラックUPA)が挙げられる。
ポリマー粒子におけるコアポリマーの質量とシェルポリマーの質量との関係は、(コアポリマーの質量)<(シェルポリマーの質量)となる関係であると好ましい。さらに好ましくは、シェルポリマーの質量を100質量%とした場合、コアポリマーの質量は40質量%以上80質量%以下であると好ましい。これによりコアポリマーの質量とシェルポリマーの質量とのバランスがより良好となるため、インク組成物の定着性もより良好となり、吐出安定性に更に優れ、縦アライメント不良が発生しにくい傾向にある。ここで、「縦アライメント不良」とは、インクの連続吐出において、長時間吐出することによってノズル周辺でインクが部分的に固化し、吐出方向が曲がりきれいな縦線が印刷できなくなる現象である。
インク組成物中のポリマー粒子の含有量(固形分換算)は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、1.0質量%以上15質量%以下が好ましく、1.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、2.0質量%以上5.0質量%以下がさらに好ましい。ポリマー粒子の含有量が1.0質量%以上であることにより、耐擦性及び密着性により優れる傾向にある。また、ポリマー粒子の含有量が15質量%以下であることにより、吐出安定性により優れる傾向にある。
<ポリマー粒子の製造方法>
本実施形態のポリマー粒子の製造方法は、特に限定されず、乳化剤を用いる乳化重合方法や、乳化剤を実質的に用いないソープフリー重合により形成する方法が挙げられる。ソープフリー重合とは、乳化剤を実質的に用いずにコア−シェルポリマーを製造する重合方法をいう。ここでいう「乳化剤」とは、合成で使用される界面活性剤という意味である。また、ソープフリー重合としては、例えば、溶液中における乳化剤の含有量が1質量%以下の存在下でポリマー粒子を重合することが挙げられる。ソープフリー重合では、例えば、(メタ)アクリル酸モノマー単位を含有するシェルポリマーを形成し、そのシェルポリマーの中にコアを形成する。また、ソープフリー重合を用いてポリマー粒子を製造した場合、平均粒子径が非常に小さくなり、インク組成物の吐出安定性や光沢性がより向上する傾向にある。
合成に使用される界面活性剤としては、特に限定されないが、アニオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤が好適である。アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ドデシルベンザンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、及びポリオキシエチレンアルキルアミドが挙げられる。
重合で用いられる重合開始剤としては、特に限定されないが、親水性開始剤が用いられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び過酸化水素水が挙げられる。
以下に、ソープフリー重合の方法の一例について説明するが、重合方法は以下に制限されない。例えば、ジャケット付重合反応槽内にイオン交換水、重合開始剤を入れ、重合槽内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧に戻し、重合反応槽内を窒素雰囲気にする。その窒素雰囲気下において、まず重合反応槽内を所定の温度にした後、シェルポリマーの構成要素となるモノマーを含むプレエマルジョン溶液を一定量ずつ滴下することにより重合反応させて、シェルポリマーを合成する。次に、得られたシェルポリマーの空隙を重合場として、コアポリマーを重合し、本実施形態に係るポリマー粒子を合成する。具体的には、シェルポリマーを含有する水系分散媒体中に上述の疎水性モノマーを含むモノマー混合物を滴下し、コアポリマーを重合し、ポリマー粒子とする。このように、シェルポリマーをコアポリマーの重合場とする場合、モノマー混合物には乳化剤を用いる必要がなくなる。
<水>
本実施形態の水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、凝集液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。これにより貯蔵安定性がより向上する傾向にある。
〔有機溶剤〕
本実施形態の有機溶剤は、標準沸点が150℃以上250℃以下であると好ましい。また、標準沸点が280℃以上のアルキルポリオールの含有量が、上記インク組成物の総量に対して、0.5質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以下であるとさらに好ましい。これにより、被記録媒体に着弾したインク組成物の乾燥性をより高い水準で得ることができることに起因して、優れた耐擦性及び画質(ブリードの抑制)が得られる。ここで、インク組成物が有機溶剤を2種以上含む場合の有機溶剤の標準沸点は、有機溶剤に含有される各種溶剤の標準沸点の加重平均を意味する。
有機溶剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、環状窒素化合物、非プロトン性極性溶剤、モノアルコール、アルキルポリオール、及びグリコールエーテルが挙げられる。本実施形態の有機溶剤は、これらの有機溶剤の中から、該有機溶剤の標準沸点が150℃以上250℃以下であるように各種溶剤を適宜選択して用いると好ましい。また、インク組成物は、標準沸点が280℃以上の有機溶剤を含有しないことがより好ましいが、その含有量が該インク組成物の総量に対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であるとさらに好ましい。また、インク組成物は、標準沸点が250℃超の有機溶剤を含有しないことがより好ましいが、その含有量が該インク組成物の総量に対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であるとさらに好ましい。
有機溶剤は、環状窒素化合物及び非プロトン性極性溶剤の少なくともいずれかを含有することが好ましい。インク組成物は環状窒素化合物又は非プロトン性極性溶剤を含有することにより、ポリマー粒子の見かけのガラス転位温度を低温側に移行させることができ、本来よりもコアポリマー及びシェルポリマーを低い温度で軟化させることができることから、被記録媒体へのインク組成物の定着性を向上させることができる傾向にある。これにより、特に、被記録媒体がポリ塩化ビニルからなる場合に、被記録媒体へのインク組成物の定着性を向上させることができる。
非プロトン性極性溶剤としては、特に限定されないが、例えば、環状ケトン化合物、鎖状ケトン化合物、及び鎖状窒素化合物が挙げられる。また、環状窒素化合物及び非プロトン性極性溶剤としては、ピロリドン系、イミダゾリジノン系、スルホキシド系、ラクトン系、アミドエーテル系の溶剤が代表例として挙げられる。具体的には、これらの中でも2−ピロリドン、N−アルキル−2−ピロリドン、1−アルキル−2−ピロリドン、γ‐ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、及び1,2−ジメチルイミダゾールが好ましい。
モノアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、及びtert−ペンタノールが挙げられる。
アルキルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ジプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール(1,3−プロパンジオール)、イソブチレングリコール(2−メチル−1,2−プロパンジオール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、及び1,8−オクタンジオールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、特に限定されないが、例えば、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、及びジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルが挙げられる。
有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは5.05質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。有機溶剤の含有量が上記範囲内であることにより、被記録媒体に付着したインク組成物の乾燥性がより向上する傾向にある。
<ワックス>
本実施形態のインク組成物は、ワックスをさらに含むことが好ましい。記録用ヘッドが加熱された場合、水分の蒸発に伴いポリマー粒子が凝集固着し、記録用ヘッドのノズル目詰まりをひきおこして、安定した吐出が妨げられる可能性がある。これに対してワックスを含むことにより、水分蒸発の際のポリマー粒子の凝集が抑制される傾向にある。これにより、記録用ヘッドのノズルへのポリマー粒子の固着による、吐出不良、目詰まりを抑制することができ、ひいては記録安定性に優れるインク組成物となる。また、高温記録時において、ワックスはポリマー粒子による被膜が脆くなりすぎることを抑制する傾向にある。そのため、高温記録したとしても耐擦性が劣化しにくいインク組成物となる。
ワックスの融点は、好ましくは50℃以上200℃未満であり、より好ましくは70℃以上180℃以下である。融点が上記範囲であることにより、記録安定性により優れ、高温記録時においても耐擦性がより劣化しにくい記録物を得ることができる傾向にある。なお、融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。また、ワックスの融点は、例えば、そのワックスを構成する複数の構成単位の比率を調整することで制御することができる。
ワックス粒子の平均粒子径は、0.02μm以上0.5μm以下が好ましく、0.04μm以上0.3μm以下がより好ましい。平均粒子径が上記範囲であることにより、記録安定性により優れ、高温記録時においても耐擦性がより劣化しにくいものとなる傾向にある。なお、平均粒子径はポリマー粒子について述べたのと同様の方法により測定することができる。
ワックスとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルワックス、ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス、及びパラフィンワックスが挙げられる。ポリエチレンワックスとしては、特に限定されないが、例えば、AQUACER593 ポリオレフィンワックス(BYK社製)、ノプコートPEM―17(サンノプコ社製)ポリロンL787、ポリロンL788(以上、中京油脂社製)、及びケミパールW4005(三井化学社製)が挙げられる。ワックスは、常法により合成されたものであってもよい。ワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
インク組成物中のワックスの含有量(固形分換算)は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは0.1質量%以上2.5質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上2.0質量%以下である。ワックスの含有量が上記範囲内であることにより、記録安定性により優れ、高温記録時においても耐擦性がより劣化しにくいものとなる傾向にある。
<界面活性剤>
インク組成物は、光沢性の観点から、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される1種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)、サーフィノール104、465、61、DF110D(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S−144、S−145(以上商品名、旭硝子株式会社製);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(以上商品名、住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(以上商品名、Dupont社製);FT−250、251(以上商品名、株式会社ネオス製)が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン系化合物、及びポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(以上商品名、ビックケミー社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学社製)等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは0.05質量%以上2.5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下である。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、被記録媒体に付着したインク組成物の濡れ性がより向上する傾向にある。
<pH調整剤>
本実施形態のインク組成物は、pH調整剤をさらに含んでもよい。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モルホリン、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びエチレンジアミン四酢酸ナトリウムが挙げられる。
pH調整剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。pH調整剤の含有量は特に制限されず、必要に応じて適宜決定すればよい。
インク組成物は、その他の成分として、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム)等の、種々の添加剤を適宜含有することもできる。
〔凝集液〕
本実施形態の凝集液は、上述したインク組成物を凝集又は増粘させることが可能な凝集剤を含有する。本実施形態のインク組成物は、当該凝集液と共に後述する記録方法に用いられることで、本発明の作用効果を奏する。凝集液は、該凝集液中の凝集剤がインク組成物と相互作用することにより、インク組成物に含まれる成分を凝集させインク組成物を増粘又は不溶化する。これにより、その後に付着させるインク組成物の着弾干渉、滲みを防止でき、ラインや微細像等を均質に描画することができる。
<凝集剤>
凝集剤は、特に限定されないが、有機酸、多価金属塩、及びカチオン性化合物からなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましい。これにより、ベタムラ及びブリードがより抑制される傾向にある。インク組成物に含まれる成分のうち、凝集剤により凝集する成分としては、上述の顔料とポリマー粒子に用いられるコアポリマー及びシェルポリマー、並びにワックスとが挙げられる。
有機酸としては、特に限定されないが、カルボン酸であると好ましく、例えば、マレイン酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸、及びクエン酸が挙げられる。このなかでも、1価又は2価以上のカルボン酸が好ましい。このようなカルボン酸を含むことにより、ポリマー及びワックスの凝集効果がより向上し、ひいては発色性により優れる傾向にある。なお、有機酸は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
多価金属塩としては、特に限定されないが、本発明による効果をより有効かつ確実に奏する観点から、無機酸の多価金属塩又は有機酸の多価金属塩が好ましい。このような多価金属塩としては、特に限定されないが、例えば、周期表の第2族のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13族からの土類金属(例えば、アルミニウム)、及びランタニド類(例えば、ネオジム)の塩が挙げられる。また、これら多価金属の塩としては、カルボン酸塩(例えば、蟻酸、酢酸、安息香酸塩)、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、多価金属塩としては、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硫酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましい。なお、多価金属塩は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
カチオン性化合物としては、特に限定されないが、例えば、カチオン性ポリマー及び水溶性金属化合物が挙げられる。本発明による効果をより有効かつ確実に奏する観点から、カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン及びポリアリルアミンなどのアリルアミン系樹脂、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。同様の観点から、これらのカチオンポリマーの重量平均分子量は、5000以上が好ましく、更に5000〜10万程度が好ましい。カチオンポリマーの重量平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定される。
凝集剤の含有量は、凝集液の総量(100質量%)に対して、1.0質量%以上20質量%以下が好ましく、2.0質量%以上17.5質量%以下がより好ましく、3.0質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。凝集剤の含有量が上記範囲内であることにより、ベタムラ、ブリードがより抑制される傾向にある。
本実施形態で用いる凝集液は、上述したインク組成物に用いられるのと同様の界面活性剤、有機溶剤及び水を含んでもよい。また、その凝集液は、その他の成分として、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤等の、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
〔記録方法〕
本実施形態の記録方法は、上述したインクジェット記録装置を用いて行われる。インクジェット記録方法は、凝集液及びインク組成物を加熱した被記録媒体へ付着させる付着工程を有することができる。具体的には、IRヒーター3又はプラテンヒーター4により被記録媒体Pを加熱する加熱工程と、記録用ヘッド2のノズル形成面37のノズルから上記凝集液及びインク組成物を吐出して、被記録媒体P上に付着させる付着工程とを有する。また、硬化ヒーター5等により被記録媒体P上に付着した凝集液及びインク組成物を乾燥させる乾燥工程をさらに有することもできる。これにより、凝集液及びインク組成物中に含まれる水分等がより速やかに蒸発飛散して、インク組成物中に含まれるコアシェル樹脂によって被膜が形成される。このようにして、被記録媒体上においてインク乾燥物が強固に定着(接着)して、耐擦性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。
本実施形態の付着工程は、凝集液を被記録媒体に対して付着させる凝集液付着工程と、本実施形態のインク組成物を被記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程を有してもよい。
凝集液付着工程は、凝集液を被記録媒体に対して付着させる工程である。凝集液を付着させる手段としては、特に限定されないが、例えば、ローラー塗布、スプレー塗布、インクジェット方式を利用することができる。このなかでも、インクジェット方式により付着させることが好ましい。凝集液をインクジェット方式により付着させることにより、メディアの面質変化の抑制や、耐擦性がより向上する傾向にある。
被記録媒体に対する凝集液の付着量は、固形分量換算で、好ましくは0.01mg/inch2以上1.0mg/inch2以下であり、より好ましくは0.01mg/inch2以上0.50mg/inch2以下であり、さらに好ましくは0.01mg/inch2以上0.1mg/inch2以下である。付着量が上記範囲内であることにより、得られる記録物のベタムラや罫線玉がより抑制される傾向にある。
凝集液付着工程の後にインク組成物付着工程を設ける場合、凝集液付着工程の終了からインク組成物付着工程の開始までの時間間隔は、好ましくは10秒以下であり、より好ましくは0.10秒以上10秒以下であり、さらに好ましくは0.10秒以上8.0秒以下であり、特に好ましくは0.10秒以上5.0秒以下であり、極めて好ましくは0.10秒以上3.0秒以下である。凝集液付着工程の終了からインク組成物付着工程の開始までの時間間隔が10秒以下であることにより、凝集液とインク組成物との反応効率がより向上し、得られる記録物の画質がより向上する傾向にある。特に、インク組成物による被膜の膜厚が小さいときには、時間間隔が短いほうが好ましい。
〔インク組成物付着工程〕
インク組成物付着工程は、インク組成物を被記録媒体に対して付着させる工程であり、上述した凝集液付着工程と同時に又は凝集液付着工程の前後に行うことができるが、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、凝集液付着工程の後に設けることが好ましい。インク組成物を付着させる手段としては、特に限定されないが、例えば、ローラー塗布、スプレー塗布、インクジェット方式を利用することができる。このなかでも、インクジェット方式により付着させることが好ましい。インク組成物をインクジェット方式により付着させることにより、メディアの面質変化の抑制や、耐擦性がより向上する傾向にある。
インク組成物及び凝集液を付着させた記録領域を乾燥させた後の乾燥膜の膜厚は、好ましくは0.10〜3.0μmであり、より好ましくは0.10〜2.0μmであり、さらに好ましくは0.10〜1.0μmである。乾燥膜の膜厚が0.10μm以上であることにより、得られる記録物のベタムラや罫線玉がより抑制される傾向にある。また、乾燥膜の膜厚が3.0μm以下であることにより、得られる記録物の光沢度変化がより抑制される傾向にある。ここで、「記録領域」とは、被記録媒体表面上の画像が形成される領域をいう。
被記録媒体に対するポリマー粒子の付着量は、固形分量換算で、好ましくは0.01mg/inch2以上0.75mg/inch2以下であり、より好ましくは0.02mg/inch2以上0.6mg/inch2以下であり、さらに好ましくは0、05mg/inch2以上0.5mg/inch2以下である。付着量が0.01mg/inch2以上であることにより、得られる記録物のベタムラや罫線玉がより抑制される傾向にある。また、記録領域に対するポリマー粒子の付着量が0.75mg/inch2以下であることにより、得られる記録物の光沢性がより優れる傾向にある。
〔被記録媒体〕
被記録媒体としては、例えば、吸収性、低吸収性、又は非吸収性被記録媒体が挙げられる。このなかでも、被記録媒体が、低吸収被記録媒体又は非吸収性被記録媒体であることが好ましい。低吸収被記録媒体又は非吸収性被記録媒体を用いた場合、その表面でインク組成物が弾かれて凝集剤が均一に塗布しにくいため、ベタムラやブリードがより生じやすい。ところが、本実施形態においては、凝集液によりインク組成物が弾かれることを防止できるため、特に有用である。また、低吸収被記録媒体又は非吸収性被記録媒体を用いた場合、凝集剤がその被記録媒体に浸透せず被記録媒体表面に残存しやすいため、記録面のべたつきや耐擦性が悪化する傾向がある。ところが、本実施形態においては、上述のインク組成物を用いることにより凝集液の使用量を低減できるため、記録面のべたつきを改善することができ、特に有利である。
ここで、「低吸収性被記録媒体」又は「非吸収性被記録媒体」は、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である被記録媒体をいう。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
また、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体は、記録面の水に対する濡れ性によって分類することができる。具体的には、被記録媒体の記録面に0.5μLの水滴を滴下し、接触角の低下率(着弾後0.5ミリ秒における接触角と5秒における接触角の比較)を測定することによって被記録媒体を特徴付けることができる。より具体的には、被記録媒体の性質として、「非吸収性被記録媒体」の非吸収性は上記の低下率が1%未満のことを指し、「低吸収性被記録媒体」の低吸収性は上記の低下率が1%以上5%未満のことを指す。また、吸収性とは上記の低下率が5%以上のことを指す。なお、接触角はポータブル接触角計 PCA−1(協和界面科学株式会社製)等を用いて測定することができる。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インク組成物の浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙が挙げられる。
低吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面に油性インクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。
さらに上記の被記録媒体以外にも、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、ガラスなどのインク非吸収性又は低吸収性の記録媒体を用いることもできる。
特に、被記録媒体は、ロール状であることが好ましい。ロール状の被記録媒体は、記録する際、被記録媒体に対して記録用ヘッドを相対的に一回走査し、巻取りローラーで巻き取るような態様で用いることができる。このような被記録媒体を用いる場合、使用する着色インクの種類数が多いなどの理由で1回の送給で全色記録できず何度も記録を行う場合において、複数回、被記録媒体に対して記録用ヘッドを相対的に一回走査し、巻取りローラーで巻き取る操作を繰り返すことで記録物を得ることができる。しかしながら、ロール状であるがゆえに、記録物中のポリマーで形成されている層にクラックが生じやすい傾向にある。クラックが生じた場合には、クラックに凝集液が浸透するなどの理由により、得られる記録物の画質が低下する傾向にある。ところが、本実施形態の記録方法により得られるインク組成物による被膜は、クラックが生じにくいものである。そのため、このような形状を有する被記録媒体を用いる場合、本発明が特に有用である。
本実施形態のインク組成物は、被記録媒体への吐出時又は吐出後に加熱されるものであることが好ましい。上述したように加熱された状態の被記録媒体に適用することにより、画像の滲みが防止された、耐擦性に優れた記録物を形成することができる。また、本実施形態の凝集液及びインク組成物を用いて、加熱された被記録媒体上に付着させて記録を行うことにより、インク組成物が被記録媒体に付着した際にシェルポリマーが軟化し、コアポリマーが流出し、より耐擦性に優れる被膜を形成することができる。
また、インク組成物を吐出する時に被記録媒体が加熱されている場合には、その輻射熱によりヘッドが加温される。しかし、本実施形態に係るインク組成物によれば、記録用ヘッドが加温されるような場合においてもノズル目詰まりを抑制することができ、吐出安定性を向上させることができる。同様の観点から、インク組成物を吐出する時の被記録媒体の表面温度は30〜50℃が好ましく、より好ましくは30〜40℃であり、さらに好ましくは30〜38℃であり、特に好ましくは32〜38℃である。また、インク組成物吐出後に加熱する場合には、インク組成物吐出時における被記録媒体の温度よりも、高い温度で加熱することが好ましい。
被記録媒体を加熱するには、例えば、プラテンヒーターや赤外線放射が用いられる。また、本実施形態のインク組成物は、本発明の作用効果をより有効かつ確実に発揮する点から、インクジェット記録方法に用いられるインク組成物であることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、下記において、「コア−シェル構造を有するポリマー粒子」を「コアシェル型ポリマー粒子」という。
[コアシェル型ポリマー粒子の水分散液用の材料]
スチレン(Tg:80℃)
ベンジルメタクリレート(Tg:54℃)
n−ブチルアクリレート(Tg:−55℃)
メチルアクリレート(Tg:10℃)
メチルメタクリレート(Tg:105℃)
メタクリル酸(Tg:227℃)
アクリル酸(Tg:106℃)
[コアシェル型ポリマー粒子の水分散液の調製]
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器を準備した。その反応容器にイオン交換水100質量部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気下、70℃で、重合開始剤の過硫酸アンモニウムを0.2部添加した。次いで、スチレン20.0質量部、メチルアクリレート17.0質量部、メチルメタクリレート35.0質量部、及びメタクリル酸5.0質量部を含有するモノマー溶液を準備した。そのモノマー溶液を、上記反応容器に滴下して反応させてシェルポリマーを重合し調製した。その後、過硫酸カリウム0.2質量部、スチレン40.0質量部、及びn−ブチルアクリレート20.0質量部の混合液を上記反応容器に滴下して70℃で攪拌しながら重合反応させた。その後、水酸化ナトリウムで中和しpHを8〜8.5の範囲に調整して0.3μmのフィルターでろ過することにより、コアシェル型ポリマー粒子の水分散液(ポリマー粒子A)を調製した。
反応容器に、撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、および温度計を備えた反応容器を準備した。その反応容器にイオン交換水900質量部及びラウリル硫酸ナトリウム4.0質量部を入れ、撹拌しつつ窒素置換しながら70℃まで昇温した。反応容器内の温度を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム2.0質量部を添加し、溶解した。その後、予めイオン交換水100質量部、スチレン40.0質量部、及びn−ブチルアクリレート20.0質量部を撹拌混合して作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に3時間かけて滴下した。更に、予めイオン交換水100質量部、スチレン20質量部、メチルアクリレート17.0質量部、メチルメタクリレート35質量部、及びメタクリル酸3.0質量部を撹拌混合して作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に3時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間の熟成を行った。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水とを添加して固形分を40質量%、pHを8に調整し、コアシェル型ポリマー粒子の水分散液(ポリマー粒子B)を調製した。
表1に示すようにシェルポリマー及びコアポリマーを構成するモノマーの含有割合(単位:質量部)を変えた以外は、ポリマー粒子Bを調製するのと同様の方法にて、ポリマー粒子C〜Gを調製した。なお、シェルポリマーを構成する成分が記載されていないポリマー粒子(E)の調製では、一段階で重合反応させて、単層のポリマー粒子を調製した。
〔平均粒子径〕
上記で得られたポリマー粒子を「マイクロトラックUPA」(日機装株式会社)により測定して、コアシェル型ポリマー粒子の平均粒子径φ(nm)を求めた。
〔ポリマー粒子の酸価〕
ポリマー粒子について、京都電子工業社(Kyoto Electronics Manufacturing Co.,Ltd.)製の「AT610」を用いて測定を行い、以下の数式に数値をあてはめて酸価を算出した。
酸価(mgKOH/g)=(EP1−BL1)×FA1×C1×K1/SIZE
上記の数式中、EP1はKOH水溶液(滴定液)の滴定量(単位:mL)、BL1はブランク値(0.0mL)、FA1は滴定液のファクター(1.00)、C1は濃度換算値(5.611mg/mL)(0.1mo1/L KOH 1mLの水酸化カリウム相当量)、K1は係数(1)、SIZEは試料採取量(単位:g)をそれぞれ表す。
〔コアポリマーの酸価〕
コアポリマーは、下記式から求めた。
コアポリマーの酸価(mgKOH/g)={コアポリマーに含まれるアニオン性基を有する成分の質量(質量部)/全コアポリマー(質量部)/アニオン性基を有する成分の分子量×56.11×1000
式中、アニオン性基を有する成分とは、メタクリル酸を示す。
〔Tg〕
上記で得られたポリマー粒子について、JIS K7121に準拠した示差走査熱量測定(DSC)を行い、コアポリマーを構成するポリマー及びシェルポリマーを構成するポリマーのガラス転移温度(Tg、単位:℃)をそれぞれ求めた。示差走査熱量計には、セイコー電子株式会社製、型式「DSC6220」を使用した。
〔2−ピロリドンへの溶解量〕
上記で得られたポリマー粒子を遠心分離にて分離及び乾燥させた後、2−ピロリドン10mL中に1.0質量%になるよう混合した。その後、40℃で3時間撹拌しながら保持した後、遠心分離にて分離し、上澄み液を採取した。その上澄み液の所定量を乾燥させて得られる固形分量を測定し、下記式により2−ピロリドンへの溶解量(2−P溶解量)を求めた。
(2−P溶解量:質量%)=(固形分量)/(採取した上澄み液の量)×100
表1に、ポリマー粒子A〜Gにおける、各モノマーの含有割合、平均粒子径、酸価、Tg、及び2−P溶解量を併記した。
Figure 2017105134
[インク組成物用の材料]
下記の記録物の作製において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔色材〕
カーボンブラック
〔有機溶剤〕
1,3−ブタンジオール(標準沸点:223℃)
2−ピロリドン(標準沸点:245℃)
〔ポリマー粒子〕
コアシェル型ポリマー粒子の水分散液A〜H
〔ワックス〕
AQUACER593(商品名、ビックケミー社製)
〔界面活性剤〕
BYK348(商品名、ビックケミー社製)
サーフィノールDF110D(商品名、Air Products社製)
〔pH調整剤〕
トリエタノールアミン
エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
[インク組成物の調製]
各材料を下記の表2に示す組成で混合し、十分に撹拌し、インク組成物を得た。なお、下記の表2中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
Figure 2017105134
[凝集液用の材料]
下記の実施例及び比較例において使用した凝集液用の主な材料は、以下の通りである。
〔凝集剤〕
硫酸マグネシウム
アリルアミン系樹脂(ニットーボーメディカル社製、商品名「PAA−HCL−01」
〔有機溶剤〕
1,3−ブタンジオール
2−ピロリドン
プロピレングリコール
〔界面活性剤〕
BYK348(商品名、ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤)
[凝集液の調製]
各材料を下記の表3に示す組成で混合し、十分に撹拌し、凝集液を得た。なお、下記の表3中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
Figure 2017105134
(インクジェット記録)
プリンターPX−H10000(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製)を改造したものを用いた(以下、「PX−H10000改造機」という)。改造部分は、撥水膜付きのシリコーンノズルプレートと、プラテンヒーターと、吸収部材と、駆動機構とを備えた点である。吸収部材としては、不織布のキュプラ〔密度0.01(g/cm2)、布厚4.0mm〕を用いた。駆動機構は、記録用ヘッド2のノズル形成面に接する側とは反対の側から、押圧部材を介して、吸収部材を所定の荷重(100gf/cm)で押圧してインク形成面に接触させ、吸収部材及び記録用ヘッドを相対的に移動させることで、吸収部材によってノズル形成面に付着した凝集液及びインク組成物を除去する払拭動作を行う機構とした。インク組成物を充填したノズル列と凝集液を充填したノズル列とを交互に配列した。ノズルから排出したインク組成物及び凝集液は、廃液流路を合流させ1つの廃液タンクにまとめて収容する構成とした。払拭動作において、下記の洗浄液を併用して用いた。洗浄液は、予め吸収部材に含浸させて用いた。
[洗浄液の調製]
各材料を下記の表4に示す組成で混合し、十分に撹拌し、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去し、凝集液を得た。なお、下記の表4中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
Figure 2017105134
〔記録物の作製〕
PX−H10000改造機(エプソン社製の商品名)に被記録媒体を移送し、ヘッドに充填した凝集液を、720×720dpiの解像度、3.7mg/inch2の付着量で、インクジェット方式により塗布した。次いで、記録用ヘッドに充填したインク組成物を、凝集液付着面に、720×720dpiの解像度、14.8mg/inch2の付着量でインクジェット方式により塗布し、被記録媒体上に記録物を得た。塗布している間は被記録媒体の表面温度が35℃となるように調整した。また、インク組成物を塗布した被記録媒体をプリンターから排出した後、その被記録媒体を60℃の環境に10分間静置して乾燥した。なお、被記録媒体として、コート紙(大王製紙株式会社製の商品名「エリーテルキャスト73」)を用いた。
〔撥液膜保存性〕
PX−H10000改造機を用い、上記記録物の作製を10分間連続で行い、吸引ポンプを用いたヘッド内の凝集液及びインク組成物を吸引する吸引動作を行い、その後に払拭動作を実行した。このサイクルを1回として、13000回繰り返した。その後、光学顕微鏡(ユニオン光学株式会社製高精度非接触段差測定機、製品名「ハイソメットII DH2」)にて、ノズル付近の撥液膜の状態を測定し、下記評価基準により撥液膜保存性を評価した。得られた結果を、表5に示す。
A:撥液膜の剥がれが実質的に観察できない。
B:撥液膜の剥がれが実質的に観察できる。
〔ノズル拭き取り性〕
PX−H10000改造機を用い、吸引ポンプを用いてヘッド内のインクを吸引する吸引動作を行い、その後に払拭動作を実行した。払拭動作実行後のノズルプレート面のインク付着物を目視で観察し、下記評価基準によりノズル拭き取り性を評価した。得られた結果を、表5に示す。
A:インクの拭き残しがほとんどみられない。
B:インクの拭き残しが多い。
〔クリーニング性〕
上記ノズル拭き取り性の評価後、ノズルチェックパターンを印刷し、ノズルが正常に吐出しているかを目視で確認し、下記評価基準によりクリーニング性を評価した。得られた結果を、表5に示す。
A:吐出不良のノズル数及び吐出方向がずれたノズル数が、全体のノズル数に対して2%以下である。
B:吐出不良のノズル数及び吐出方向がずれたノズル数が、全体のノズル数に対して2%を超える。
〔堆積物の有無〕
上記記録物の作製を2週間連続で行った後、PX−H10000改造機の廃液流路及び廃液タンクを確認し、堆積物の有無を目視で確認し、下記評価基準により堆積物の有無を評価した。得られた結果を、表5に示す。
A:堆積物が廃液流路及び廃液タンクのいずれにも認められない。
B:堆積物が廃液流路又は廃液タンクに認められる。
〔画質(OD)〕
得られた記録物について、光学濃度(OD値)をOD測定器(Spectrolino、グレタグマクベス社製の商品名)により測定し、下記評価基準により画質(OD)を評価した。得られた結果を、表5に示す。
(評価基準)
A:1.8以上
B:1.8未満
〔画質(ベタムラ)〕
5×5mmのベタパターンを作製すること以外は、上記〔記録物の作製〕と同様の方法により作製して得られた記録物について、目視にてそのベタムラを確認し、下記評価基準により画質(ベタムラ)を評価した。得られた結果を、表5に示す。
(評価基準)
A:ベタパターンの内部にムラ(インクによる着色が不均一に見える)が認められない。
B:ベタパターンの内部に大きな不均一さは認められないが、若干ムラ(細かな不均一さ)が認められる。
C:ベタパターンの内部にかなりムラ(大きな不均一さ)が認められる。
〔耐擦性〕
得られた記録物を、学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(テスター産業社製の商品名)に白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重300gをかけて記録物が剥がれるまで、又は、30往復擦った。そして、被記録媒体の記録物の剥がれを目視で観察し、下記評価基準により耐擦性を評価した。得られた結果を、表5に示す。
(評価基準)
A:30往復擦っても記録物の剥がれが認められない。
B:10往復以上29往復以下で記録物の剥がれが認められた。
C:9往復以下で記録物の剥がれが認められた。
Figure 2017105134
1…インクジェット記録装置、2…記録用ヘッド、3…IRヒーター、4…プラテンヒーター、5…硬化ヒーター、6…冷却ファン、7…プレヒーター、8…通気ファン、P…記録用紙、HP…ホームポジション、12…フレーム、26…ヘッドメンテナンス装置、30…吸収部材、31…ワイパーカセット、32…ワイパーホルダー、33…移動機構、34…ワイパーユニット、35…ノズルプレートカバー、36…ノズル列、37…ノズル形成面、80…筐体、81…第1のローラーとしての繰り出しローラー、82…第2のローラーとしての巻き取りローラー、84…動力伝達歯車としての巻き取り歯車、85…動力伝達歯車としての巻き取り歯車、86…テンションローラー、86a…軸部、87…押圧部材、87a…軸部、88…テンションローラー、88a…軸部、89…巻き掛けローラーとしての中継ローラー、89a…軸部、90…棒ばね、91…軸受け孔、92…挟持ローラー、92a…軸部、93…付勢部材としてのばね部材、94…中継歯車。

Claims (10)

  1. 色材とポリマー粒子とを含むインク組成物と、該インク組成物の成分を凝集させることが可能な凝集剤を含有する凝集液と、の各々を吐出するノズルが形成されたノズル形成面を有する記録用ヘッドを備える記録装置のメンテナンス方法であって、
    前記記録用ヘッドが有するノズル形成面を、洗浄液及び吸収部材を用いて払拭する払拭工程を有し、
    前記ポリマー粒子は、コアポリマーとシェルポリマーとを備えるコア−シェル構造を有し、かつ、前記ポリマー粒子の酸価が、20mgKOH/g以上であり、
    前記シェルポリマーのガラス転移温度が前記コアポリマーのガラス転移温度よりも高い、記録装置のメンテナンス方法。
  2. 前記凝集剤は、多価金属塩、有機酸、及びカチオン性高分子からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の記録装置のメンテナンス方法。
  3. 前記コアポリマーのガラス転移温度は60℃以下であり、かつ前記シェルポリマーのガラス転移温度は60℃以上である、請求項1又は2に記載の記録装置のメンテナンス方法。
  4. 前記ポリマー粒子の酸価が、20mgKOH/g以上120mgKOH/g以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録装置のメンテナンス方法。
  5. 前記コアポリマーの酸価が、15mgKOH/g以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録装置のメンテナンス方法。
  6. 前記シェルポリマーは、非水溶性を示し、かつ40℃における2−ピロリドンへの溶解量が1.0質量%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の記録装置のメンテナンス方法。
  7. 前記洗浄液は、水、及び水溶性有機溶剤からなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の記録装置のメンテナンス方法。
  8. 前記水溶性有機溶剤は、ポリアルキレングリコール、アルカンジオール、及び含窒素有機溶剤からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項7に記載の記録装置のメンテナンス方法。
  9. 前記インク組成物は、該インク組成物の総量に対して、前記ポリマー粒子を1.0質量%以上15質量%以下含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の記録装置のメンテナンス方法。
  10. 前記記録装置の記録は、加熱した被記録媒体へ前記凝集液及び前記インク組成物を吐出して行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の記録装置のメンテナンス方法。
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