JP2018165314A - 水系インクジェットインク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係る水系インクジェットインク組成物の一態様は、
樹脂微粒子と、ノニオン性界面活性剤と、樹脂溶解性溶剤と、水と、を含む水系インクジェットインク組成物であって、
前記水系インクジェットインク組成物における、前記樹脂微粒子の酸価量と、前記水系インクジェットインク組成物が分散剤樹脂を含む場合には分散剤樹脂の酸価量との合計の
酸価量が、200(mgKOH/100gインク)以下であることを特徴とする。
上記適用例において、
ポリアルキレンオキシドのエーテル類、高級脂肪酸のエステル類、シリコーン系化合物、アセチレングリコール系化合物、フッ素系化合物からなる群から選択される少なくとも何れかを含むことができる。
上記適用例において、
前記水系インクジェットインク組成物における、前記樹脂微粒子の酸価量が、170(mgKOH/100gインク)以下であることができる。
上記適用例において、
前記水系インクジェットインク組成物における、前記分散剤樹脂の酸価量が、100(mgKOH/100gインク)以下であることができる。
前記分散剤樹脂として、酸価が、300(mgKOH/g)以下のものを含むことができる。
上記適用例において、
前記樹脂微粒子として、酸価が45(mgKOH/g)以下の樹脂からなる樹脂微粒子を含むことができる。
上記適用例において、
前記樹脂微粒子の樹脂として、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群から選択される何れか1種以上を含むことができる。
上記適用例において、
前記樹脂微粒子の含有量が、2質量%以上20質量%以下であることができる。
上記適用例において、
前記樹脂溶解性溶剤の含有量が、1質量%以上18質量%以下であることができる。
上記適用例において、
前記樹脂溶解性溶剤が、環状アミド類、アルコキシアミド類、環状エステル類およびエステル類からなる群から選択される何れか1種以上を含むことができる。
[適用例11]
上記適用例において、
標準沸点が280℃超の有機溶剤の含有量が3質量%以下であることができる。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例11のいずれか一例に記載の水系インクジェットインク組成物を
インクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程を備えることを特徴とする。
上記適用例において、
前記インク組成物付着工程は、加熱された記録媒体に対して行うことができる。
上記適用例において、
反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程を備えることができる。
上記適用例において、
前記記録媒体が、低吸収性記録媒体または非吸収記録媒体であることができる。
上記適用例において、
インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドからインクを排出する機構であって、前記インクジェットヘッドが備えるインク組成物を吐出して記録するための圧力発生手段以外の機構とを備えるインクジェット記録装置を用いて行い、
前記機構により行うクリーニング工程を行うことなく、記録を1時間以上行う制御を行うことができる。
く、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.1.インクジェット記録装置
本実施形態に係る記録方法が実施されるインクジェット記録装置の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態に係る記録方法に使用できるインクジェット記録装置は、以下の態様に限定されるものではない。
は難しい。この滞留部分26では、インク組成物が澱みやすく、インク乾燥物(樹脂溶着物)も溜まりやすい。そして、気泡が集まって空間ができた時に、圧力室21の壁面にインク乾燥物が付着しやすくなるが、本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物では、このような滞留部分26を有するインクジェットヘッド2を用いる場合においても、インク乾燥物が溜まりにくいインクである。
微粒子の樹脂によってインク膜が形成される。このようにして、記録媒体M上においてインク膜が強固に定着(接着)して造膜性が優れたものとなり、優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。硬化ヒーター5による乾燥温度は、好ましくは40℃以上120℃以下であり、より好ましくは60℃以上100℃以下であり、さらに好ましくは80℃以上90℃以下である。
次に、本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物について説明する。本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、樹脂微粒子と、ノニオン性界面活性剤と、樹脂溶解性溶剤と、水と、を含む水系インクジェットインク組成物であって、前記水系インクジェットインク組成物における、前記樹脂微粒子の酸価量と、前記水系インクジェットインク組成物が分散剤樹脂を含む場合には分散剤樹脂の酸価量との合計の酸価量が、200(mgKOH/100gインク)以下であることを特徴とする。以下、本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物に含まれる成分および含まれ得る成分ついて詳細に説明する。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、樹脂を水に分散させた樹脂微粒子(すなわちエマルジョン状態、あるいはサスペンジョン状態にして)を含む。樹脂微粒子の樹脂成分は、インクを固化させ、さらにインク固化物を記録媒体上に強固に定着させる作用を有し、画像の耐擦性を向上させることができる。
にもポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂も好ましく、これらの中でも特に、樹脂微粒子の樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。
分散安定性が向上し、記録時の吐出安定性を確保しながら、成膜性に優れるとともに、記録媒体に定着することができ、また記録物表面における表面エネルギーが低下するため、耐擦性や耐張り付き性に優れた記録物が得られる水系インクジェットインク組成物とすることができる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、ノニオン性界面活性剤を含む。ノニオン性界面活性剤は、上述の樹脂微粒子を分散体(エマルジョン)状態とするための分散作用を有するものであり、本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物がノニオン性界面活性剤を含むことにより、インク組成物が樹脂溶解性溶剤を含む場合であっても、インク中の樹脂微粒子や、後述する顔料の樹脂分散剤の分散安定性が得られ、インクの保存安定性を向上させ、記録時の吐出信頼性を確保し、耐擦性や耐張り付き性に優れた画像を形成することができる。特に、インク組成物が、樹脂溶解性溶剤を含むものであり、かつ樹脂微粒子の樹脂の酸価量と分散剤樹脂の酸価量の合計の酸価量が200mg/KOH100gインク)以下の場合において、ノニオン性界面活性剤を含むことで、インクの保存安定性が優れ、吐出安定性が優れ、さらに耐張り付き性も優れる傾向がある。
レンオキシドのエーテル類、高級脂肪酸のエステル類の何れと、シリコーン系化合物、アセチレングリコール系化合物、フッ素系化合物の何れかと、を含むことが好ましい。
H−(O−R)n−O−
(ここでRはアルキレン基を示す。nは2以上の整数を表す。)
また、化学構造式が特定可能なものは計算で求めることができる。
L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、樹脂溶解性溶剤を含む。本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物が樹脂溶解性溶剤を含むことにより、記録媒体上で記録媒体の樹脂を溶解して造膜化を促進し、耐張り付き性に優れた画像を形成することができる。また、耐擦性に優れた画像を形成することができる。なお、耐張り付き性は、記録物の記録面に対し記録媒体を接触させた状態で長時間放置した場合に、記録面のインク塗膜が記録媒体に接着してしまい剥がれが発生するものであるが、インクの樹脂の溶解による造膜化が不十分な場合に発生すると推測する。また、記録面を記録媒体に接触させている期間に熱や大気中の水分などの影響を受けて張り付き易くなると推測され、この影響がインクの酸価量や界面活性剤の成分によっても異なると推測する。
を1グラム添加し、80℃において、1時間撹拌したときに、樹脂が溶解し、目視による観察で、樹脂が塊状や粒子として見えないものをいう。
R2O−CH2CH2−CO−NR3R4 ・・・(2)
(式(2)中、R2は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−エトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−ブトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−n−プロポキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−iso−プロポキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジエチルプロピオンアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−メチルエチルプロピオンアミド等が挙げられる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、分散剤樹脂を含んでもよい。分散剤樹脂は、インク組成物に含む他の成分を分散させる機能を有する樹脂である。他の成分としては例えばインク組成物に分散状態で存在する成分が挙げられ、例えば、顔料、樹脂などが挙げられる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は水を含有する。水は、水系インクジェットインク組成物の主となる媒体であり、加熱によって蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、顔料分散液およびこれを用いたインク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好適である。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、色材を含有してもよい。色材としては、染料や顔料等を挙げることができ、光やガス等に対して退色しにくい性質を有していることから顔料を用いることが好ましい。そのため、顔料を用いてインク非吸収性または低吸収性の記録媒体上に形成された記録物は、画質に優れるだけでなく、耐水性、耐ガス性、耐光性等に優れ、保存性が良好となる。
等(以上商品名、エボニックジャパン株式会社製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等(以上商品名、コロンビアカーボン社製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等(以上商品名、キャボットジャパン株式会社製)が挙げられる。
耐擦性や耐張り付き性に優れた画像を形成することができる。
る表面処理手段としては、種々の公知の表面処理手段を適用することができる。例えば、市販の酸化カーボンブラックにオゾンや次亜塩素酸ソーダ溶液を作用し、カーボンブラックをさらに酸化処理してその表面をより親水化処理する手段(例えば、特開平7−258578号公報、特開平8−3498号公報、特開平10−120958号公報、特開平10−195331号公報、特開平10−237349号公報)、カーボンブラックを3−アミノ−N−アルキル置換ピリジウムブロマイドで処理する手段(例えば、特開平10−195360号公報、特開平10−330665号公報)、有機顔料が不溶又は難溶である溶剤中に有機顔料を分散させ、スルホン化剤により顔料粒子表面にスルホン基を導入する手段(例えば、特開平8−283596号公報、特開平10−110110号公報、特開平10−110111号公報)、三酸化硫黄と錯体を形成する塩基性溶剤中に有機顔料を分散させ、三酸化硫黄を添加することにより有機顔料の表面を処理し、スルホン基又はスルホンアミノ基を導入する手段(例えば、特開平10−110114号公報)等が挙げられるが、本発明で用いられる表面処理顔料のための作製手段はこれらの手段に限定されるものではない。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物は、上記の樹脂溶解性溶剤以外の有機溶剤を含有してもよい。インク組成物が有機溶剤を含有することにより、記録媒体上に吐出された水系インクジェットインク組成物の乾燥性が良好となり、耐擦性に優れた画像を得ることができる。
1,2−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール等を用いることが好ましい。
本実施形態に係るインクセットを構成する水系インク組成物は、上記のノニオン性界面活性剤の他に、界面活性剤を含有してもよい。この界面活性剤は、インク調製の際に表面調整剤などの目的で添加されるものや、インクに含む成分の乳化、分散のために用いられるものであってもよい。特に限定されないが、例えば、カチオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤などのイオン性界面活性剤があげられる。
本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物には、その保存安定性およびヘッドからの吐出安定性を良好に維持するため、目詰まり改善のため、又はインクの劣化を防止するため、消泡剤、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、有機溶剤ではない保湿剤、および分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、種々の添加剤を適宜添加することもできる。
られる。
本実施形態において、水系インクジェットインク組成物は、前述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
本実施形態において、水系インクジェットインク組成物は、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が18mN/m以上40mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましく、22mN/m以上33mN/m以下であることがさらに好ましい。表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
以外の樹脂微粒子(樹脂微粒子2、3・・・)も含む場合には、インク組成物100g中の樹脂微粒子の酸化量C=A1×B1+A2×B2+A3×B3+・・・となる。
K 0070化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」などに基づいて行うことができる。このような電位差滴定装置として例えば電位差自動滴定装置AT610(京都電子工業社製)があげられる。
重ね合わせて保管した場合に張り付きやすくなる傾向にある。これに対し、本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物では、上記のノニオン性界面活性剤を含み、樹脂微粒子と分散剤樹脂の合計の酸価量を所定範囲とすることにより、両者、つまりインク全体の吐出安定性を良好なものとすることができ、耐擦性や耐張り付き性に優れた記録物が得られる水系インクジェットインク組成物とすることができる。
次に、インクジェット記録方法で用いられる反応液について説明する。以下、本実施形態で用いられる反応液に含まれ得る成分ついて詳細に説明する。
本実施形態で用いられる反応液は、インク組成物の成分を凝集させる凝集剤を含有することが好ましい。反応液が凝集剤を含むことにより、後述するインク組成物付着工程において、凝集剤と水系インクジェットインク組成物に含まれる樹脂とが速やかに反応する。そうすると、インク組成物中の顔料や樹脂の分散状態が破壊され、顔料や樹脂が凝集する。そして、この凝集物が顔料の記録媒体への浸透を阻害するため、記録画像の画質の向上の点で優れたものとなると考えられる。
CP−7010、CP−7020、CP−7030、CP−7040、CP−7050、CP−7060、CP−7610(以上商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、スーパーフレックス 600、610、620、630、640、650(以上商品名、第一工業製薬株式会社製)、ウレタンエマルジョン WBR−2120C、WBR−2122C(以上商品名、大成ファインケミカル株式会社製)等を用いることができる。
Q−101、Q−311、Q−501、ハイマックス SC−505、SC−505(以上商品名、ハイモ株式会社製)等を用いることができる。
本実施形態で用いられる反応液は、水を主溶媒とする水系であることが好ましい。この水は、反応液を記録媒体に付着させた後、乾燥により蒸発飛散する成分である。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、反応液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止できるので好適である。反応液に含まれる水の含有量は、反応液の全質量(100質量%)に対して、例えば、40質量%以上とすることができ、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは40質量%以上である。
本実施形態で用いられる反応液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより、記録媒体に対する反応液の濡れ性を向上させたりすることができる。有機溶剤としては、上述の水系インクジェットインク組成物で例示する有機溶剤と同様のものを使用できる。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量(100質量%)に対して、例えば、10質量%以上80質量%以下とすることができ、好ましくは15質量%以上70質量%以下である。
本実施形態で用いられる反応液には、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤を添加することにより、反応液の表面張力を低下させ、記録媒体との濡れ性を向上させることができる。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーンン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、後述の水系インクジェットインク組成物で例示する界面活性剤と同様のものを使用できる。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、反応液の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上5質量%以下とすることができる。
本実施形態で用いられる反応液には、必要に応じて、上記のようなpH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を添加してもよい。
本実施形態で用いられる反応液は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。上記の各成分を十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒子および異物を除去するためにろ過を行って、目的の反応液を得ることができる。
本実施形態で用いられる反応液は、インクジェットヘッドで吐出させる場合には、20℃における表面張力が18mN/m以上40mN/mであることが好ましく、20mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましく、22mN/m以上33mN/m以下であることがさらに好ましい。表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを反応液で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
上述の水系インクジェットインク組成物は、インク乾燥性を有するため、インク吸収性、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対する記録において、画質や耐擦性に優れた画像を得ることができる。特に、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対する記録において画質や耐擦性に優れた画像を得ることができ、好ましく用いることができる。
フィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上述の本実施形態に係る水系インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程を備えることを特徴とする。以下、本実施形態に係るインクジェット記録方法について、図面を参照しながら説明する。
反応液付着工程は、例えば、水系インクジェットインク組成物の付着より前に、水系インクジェットインク組成物と反応する上述の反応液を記録媒体へ付着させる工程である。反応液を記録媒体へ付着させることにより、耐擦性や画質を向上させることができる。
であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、38℃以下であることがさらに好ましい。また、反応液を付着させる際の記録媒体Mの表面温度の下限値は、30℃以上であることが好ましく、32℃以上であることがより好ましい。反応液を付着させる際の記録媒体Mの表面温度が前記範囲にある場合には、反応液を記録媒体Mに均一に塗布することができ、耐擦性や画質を向上させることができる。また、インクジェットヘッド2への熱による影響を抑えることができる。
インク組成物付着工程は、上述の水系インク組成物をインクジェットヘッド2から吐出させて付着させる工程であり、この工程により、記録媒体Mの表面にインク組成物からなる画像が形成される。また、反応液付着工程を有する場合には、インクと反応液が記録媒体M上で反応し、画質が向上する。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記インク組成物付着工程の後、図1に示す硬化ヒーター5により水系インクジェットインク組成物が付着した記録媒体Mを加熱する二次加熱工程を有していてもよい。これにより、記録媒体M上の水系インクジェットインク組成物に含まれる樹脂等が溶融してインク膜が形成される。このようにして、記録媒体M上においてインク膜が強固に定着(接着)して、耐擦性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、インクを吐出して記録するための圧力発生手段以外の手段により、つまり、インクジェットヘッド2が備える記録のためにインクを吐出するための機構ではない他の機構により、インク組成物や反応液を排出させるクリーニング工程を備えていてもよい。
ェットヘッド2の目詰まりを抑制して吐出安定性が得られ、耐擦性や耐張り付き性に優れた良好な画像を記録することができる。
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
表1〜3に記載の配合割合になるように各成分を混合攪拌して、実施例1〜20および比較例1〜9の各インクを得た。なお、表1〜3中の数値は全て質量%を示し、純水はインクの全質量が100質量%となるように添加した。また、顔料、分散剤樹脂および樹脂微粒子については、固形分換算した値を示す。
<顔料>
・顔料1:カーボンブラック。
・顔料2:カルボニル基含有自己分散顔料、キャボット社製、商品名「Cab−O−Jet300」
なお、顔料1については分散剤樹脂を用いて顔料分散液としてから用いた。
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレートモノマーとスチレンの共重合体のスチレン・アクリル系樹脂である。分散剤樹脂1は下記方法により調製した。
イオン交換水80gに、N,N−ジメチルアミノエタノール0.6gを溶解させ、顔料15gと、上記調製した分散剤樹脂を顔料に対する質量比が表1〜3の値となるような各例毎の質量と、加え、ジルコニアビースを用いてペイントシェーカーにて分散し、顔料分散液を得た。なお、この分散剤樹脂はエマルジョンではなく、上述の樹脂微粒子の樹脂とは性質が異なるものである。
スチレンとアクリル酸とアクリレートモノマーの共重合体である。樹脂微粒子1の調成は下記のように行った。
・界面活性剤1:ポリオキシエチレンステアリルエーテル HLB13.9(商品名「エマルゲン320P」、花王株式会社製、ポリアルキレンオキシドのエーテル類)
・界面活性剤2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキルの炭素数12〜13)(商品名「ニューコール2310」、日本乳化剤社製、ポリアルキレンオキシドのエーテル類)
・界面活性剤3:ポリオキシエチレンソルビタンオレエート(ニューコール85、日本乳化剤社製、高級脂肪酸のエステル類)
・界面活性剤4:アセチレンジオール系界面活性剤(商品名「ダイノール607」、エアープロダクツジャパン株式会社製)
・界面活性剤5:シリコーン系界面活性剤(商品名「BYK348」、ビックケミージャパン株式会社製)
・界面活性剤6:シリコーン系界面活性剤(商品名「BYK333」、ビックケミージャパン株式会社製)
・界面活性剤7:フッ素系界面活性剤(商品名「サーフロンS−211」、AGCセイカケミカル株式会社製)
・界面活性剤8:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル界面活性剤(商品名「プライサーフA219B」、第一工業製薬株式会社製)
樹脂微粒子と分散剤樹脂の酸化量を測定し、各インクについて、各酸価量を算出した。さらに、インク保存性試験を行った。結果を表1〜3に記載する。
樹脂の酸価の測定は、電位差自動滴定装置AT610(京都電子工業社製)を用いて行った。
ガラス瓶にインク組成物を8分目まで入れ、70℃の恒温環境に3日間保持し、保管前後の粘度および粒径変化を観察し、以下の基準で評価した。なお、粘度変化は、室温におけるインク粘度を粘度計(Physica社製 製品名「MCR−300」)を用いて測定し、下記式により粘度の変化を算出して評価した。
[(保管後の粘度−初期粘度)/(初期粘度)]×100(%)
粒径変化は、保管前後のインク中の粒子径分布における体積平均径(MV)をそれぞれ測定し、下記式により粘度の変化を算出して評価した。
[(保管後のMV−初期MV)/(初期MV)]×100(%)
粒子径分布における体積平均径の測定には、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(日機装株式会社製、形式「ナノトラックUPA−EX150」)を使用した。
(評価基準)
A:粘度変化≦20%、粒径変化≦30%
B:粘度変化≦20%、30%<粒径変化≦50%
C:粘度変化>20%、粒径変化>50%
表4に記載の組成にしたがって、各成分を混合・攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、反応液1〜3を調製した。なお、表4中の数値は全て質量%を示し、純水は反応液の全質量が100質量%となるように添加した。
・ダイノール607(商品名、エアープロダクツジャパン社製、アセチレンジオール系界面活性剤)
・カチオマスター(登録商標)PD(商品名、四日市合成株式会社製、アミン・エピクロロヒドリン縮合型のポリマー水溶液、カチオン性樹脂)
・酢酸カルシウム(多価金属塩)。酢酸カルシウム1水和物を用いたが表中は酢酸カルシウムとしての固形分である。
・酢酸(有機酸)
表1〜3に記載の各インクについて、インクジェット記録方法の評価試験を行った。
インクジェットプリンター(商品名「SC−S50650」、セイコーエプソン株式会社製)改造機を用いて印字評価を行った。まず、ヘッドにインクと反応液を充填し、まず反応液を720×720dpiの解像度、1.0mg/inch2の付着量でインクジェット塗布した。次に、反応液付着面に、ヘッドに充填したインクを720×720dpiの解像度、10.0mg/inch2の付着量でインクジェット塗布した。インクジェット塗布の際にはプラテンヒーターを作動させて、記録媒体の表面温度が表1〜3に記載の一次加熱温度となるように調整した。記録後、プリンターから記録媒体を排出し、80℃×5分で乾燥させた。なお、インクジェットプリンターは、ノズルからインクを吸引して排出させる吸引クリーニング機構を備えるものであった。
<記録媒体>
・記録媒体1:アクリルフィルム(商品名「AF1020」、スリーエムジャパン株式会社製)
・記録媒体2:ポリ塩化ビニル(商品名「IJ180−10」、スリーエムジャパン株式会社製)
上記3.4.1.記録試験の記録条件で2時間連続して記録を行った。記録後、360個のノズル中、何本のノズルが不吐出かを判定し、以下の基準で評価した。なお、記録中、吸引クリーニング動作は行わなかった。
(評価基準)
A:不吐出ノズル(ノズル抜け)の数が0個
B:不吐出ノズルの数が1〜10個
C:不吐出ノズルの数が11個以上
上記3.4.1.記録試験の記録条件で記録した後、ノズル表面を水で濡らした不織布で軽く1回拭き、ノズル抜けを発生させた状態を作り、30℃30%RH環境にて放置した。その後、吸引クリーニング動作を行い、吐出が回復する回数を評価し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:1回のクリーニングで95%以上のノズルが回復する
B:3回のクリーニングで95%以上のノズルが回復する
C:3回のクリーニングで回復するノズルが95%未満
上記3.4.1.記録試験の印字条件にて、20×80mmベタパターンを作成し、学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業社製)を用いて耐擦性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録媒体の表面を、白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重300gをかけて30往復擦った。そして、記録媒体の表面における画像(塗膜)のはがれ具合を目視で観察し、以下の基準で評価した。(評価基準)
A:印字面のにじみ、剥がれなし
B:印字面の剥がれ面積が5%未満
C:印字面の剥がれ面積が5%以上10%未満
D:印字面の剥がれ面積が10%以上
上記3.4.1.記録試験の条件で30×30mmのベタパターンを作成し、目視にて印刷ムラの有無を確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:ベタパターン内にインクの濃さが不均一になっている様子(ムラ)が観察されない
B:ベタパターン内に細かな不均一さが認められる
C:ベタパターン内に大きなムラが認められる
D:ベタパターン内に白抜け部分が認められる。
耐ブロッキング性は、高温高湿環境において記録物のインク塗膜が引っ付きやすくなる特性である。上記3.4.1.記録試験の条件で得られた記録物について、記録面を同種の別の記録媒体の裏面に重ね合わせ、300g/cm2の荷重をかけ、35℃で湿度50%RHの環境で24時間保持した後、印字部の剥がれ状態について確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
A:印字部のはがれ無し
B:印字部のはがれ5%未満
C:印字部のはがれ5%以上10%未満
D:印字部のはがれが10%以上
上記インク組成物およびインクジェット記録方法の評価試験の結果を表1〜3に示す。
3、5は、ノニオン性界面活性剤を含有せず、保存安定性が劣った。
せる場合においても優れた吐出安定性が得られる点で、本発明の実施形態が特に有用であることがわかった。
Claims (16)
- 樹脂微粒子と、ノニオン性界面活性剤と、樹脂溶解性溶剤と、水と、を含む水系インクジェットインク組成物であって、
前記水系インクジェットインク組成物における、前記樹脂微粒子の酸価量と、前記水系インクジェットインク組成物が分散剤樹脂を含む場合には分散剤樹脂の酸価量との合計の酸価量が、200(mgKOH/100gインク)以下である、水系インクジェットインク組成物。 - 前記ノニオン性界面活性剤として、ポリアルキレンオキシドのエーテル類、高級脂肪酸のエステル類、シリコーン系化合物、アセチレングリコール系化合物、フッ素系化合物からなる群から選択される少なくとも何れかを含む、請求項1に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 前記水系インクジェットインク組成物における、前記樹脂微粒子の酸価量が、170(mgKOH/100gインク)以下である、請求項1または請求項2に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 前記水系インクジェットインク組成物における、前記分散剤樹脂の酸価量が、100(mgKOH/100gインク)以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 前記分散剤樹脂として、酸価が、300(mgKOH/g)以下のものを含む、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 前記樹脂微粒子として、酸価が60(mgKOH/g)以下の樹脂からなる樹脂微粒子を含む、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 前記樹脂微粒子の樹脂として、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂からなる群から選択される何れか1種以上を含む、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 前記樹脂微粒子の含有量が、2質量%以上20質量%以下である、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 前記樹脂溶解性溶剤の含有量が、1質量%以上18質量%以下である、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 前記樹脂溶解性溶剤が、環状アミド類、アルコキシアミド類、環状エステル類、エステル類からなる群から選択される何れか1種以上を含む、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 標準沸点が280℃超の有機溶剤の含有量が3質量%以下である、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物。
- 請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の水系インクジェットインク組成物をインクジェットヘッドから吐出して記録媒体へ付着させるインク組成物付着工程を備える、インクジェット記録方法。
- 前記インク組成物付着工程は、加熱された記録媒体に対して行う、請求項12に記載のインクジェット記録方法。
- 反応液を記録媒体へ付着させる反応液付着工程を備える、請求項12または請求項13に記載のインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体が、低吸収性記録媒体または非吸収記録媒体である、請求項12ないし請求項14のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
- インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドからインクを排出する機構であって、前記インクジェットヘッドが備えるインク組成物を吐出して記録するための圧力発生手段以外の機構とを備えるインクジェット記録装置を用いて行い、
前記機構により行うクリーニング工程を行うことなく、記録を1時間以上行う制御を行う、請求項12ないし15のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
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