JP2020001200A - 液体組成物、処理液、液体組成物付与装置、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

液体組成物、処理液、液体組成物付与装置、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 例えば、液体組成物を記録媒体に付与した後、液体組成物が付与された記録媒体の領域にローラなどの部材が接触する場合、その部材に液体組成物が付着する付着性の課題がある。また、液体組成物中に多価金属塩を含む場合、多価金属塩の結晶が生じる結晶化の課題がある。【解決手段】 多価金属塩、プロピレングリコール、及び沸点が250℃以上の有機溶剤である有機溶剤A、を含有する液体組成物であって、前記プロピレングリコールの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で0.50以上1.10以下であり、前記有機溶剤Aの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で2.00以上4.30以下である液体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、液体組成物、処理液、液体組成物付与装置、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
ポスター等の耐水性、及び耐光性が要求される用途で用いるインクとして、顔料等の色材を用いたインクが知られている。このようなインクを、インクジェット記録方式により、商業印刷などに用いられるコート紙等の低吸収性の記録媒体に吐出した場合、隣接する液滴同士が記録媒体上で合一し、ビーディング等の画像不良が発生する。ビーディングの画像不良を解消する方法としては、インク中の色材を凝集させる作用を有する多価金属塩等を含む処理液を、インクを吐出する前の記録媒体に塗布する方法などが知られている。
特許文献1には、樹脂粒子、水、多価金属塩等の水溶性塩、プロピレングリコール等の有機溶剤などを含む被印刷物の表面処理用液体組成物が開示されている。
しかしながら、例えば、液体組成物を記録媒体に付与した後、液体組成物が付与された記録媒体の領域にローラなどの部材が接触する場合、その部材に液体組成物が付着する付着性の課題がある。また、液体組成物中に多価金属塩を含む場合、多価金属塩の結晶が生じる結晶化の課題がある。
請求項1に係る発明は、多価金属塩、プロピレングリコール、及び沸点が250℃以上の有機溶剤である有機溶剤A、を含有する液体組成物であって、前記プロピレングリコールの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で0.50以上1.10以下であり、前記有機溶剤Aの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で2.0以上4.30以下である。
本発明の液体組成物は、液体組成物が付与された領域に部材が接触する場合であっても、その部材に液体組成物が付着することを抑制し、更に、液体組成物中における多価金属塩の結晶化を抑制する優れた効果を奏する。
図1は、画像形成装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
<<液体組成物>>
本実施形態の液体組成物は、多価金属塩、及び有機溶剤を含み、必要に応じて水、及び界面活性剤などのその他の成分を含むことが好ましい。有機溶剤としては、プロピレングリコール、及び沸点が250℃以上の有機溶剤を含み、必要に応じて他の有機溶剤を含んでもよい。また、液体組成物の用途としては特に限定されないが、例えば、記録媒体に対して色材等を含有するインクが付与される前に、記録媒体に対して付与される処理液などであることが好ましい。なお、以降の説明において「液体組成物」を「処理液」と称する場合がある。
<多価金属塩>
多価金属塩は、液体組成物がインクと接触したときに、インク中の色材との電荷的な作用によって会合し、色材の凝集体を形成させ、色材を液相から分離させて記録媒体に対する定着を促進させる。また、液体組成物中に多価金属塩を含有させることで、インク吸収性の低い記録媒体を用いたとしてもビーディングを抑制でき、高画質な画像を形成できる。また、多価金属塩は、カチオンポリマー等の凝集剤と異なり、液体組成物を記録媒体に付与した後であって、インクが付与されるまでの間において、液体組成物が付与された記録媒体の領域に部材が接触する場合であっても、その部材に液体組成物が付着することを抑制することができる。
多価金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適切に選択することができ、例えば、チタン化合物、クロム化合物、銅化合物、コバルト化合物、ストロンチウム化合物、バリウム化合物、鉄化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ニッケル化合物などの塩が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。これらのなかでも、顔料を効果的に凝集させることができる点から、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ニッケル化合物の塩が好ましく、カルシウム化合物、マグネシウム化合物のアルカリ土類金属塩がより好ましい。
マグネシウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適切に選択することができ、例えば、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、珪酸マグネシウムなどが挙げられる。カルシウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適切に選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウムなどが挙げられる。バリウム化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適切に選択することができ、例えば、硫酸バリウムなどが挙げられる。亜鉛化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適切に選択することができ、例えば、硫化亜鉛、炭酸亜鉛などが挙げられる。アルミニウム化合物としては、特に制限はなく、目的として適切に選択することができ、例えば、珪酸アルミニウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、沸点が250℃以上の有機溶剤である有機溶剤Aが含まれた液体組成物への溶解性が特に高い、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウムなどが好ましい。
また、多価金属塩は、液体組成物全量に対して0.8モル/L以上1.4モル/L以下含まれることが好ましい。0.8モル/L以上であると、低吸収性の記録媒体を用いた場合であってもビーディングの不具合を十分制御することができ、1.4モル/L以下だと、液体組成物の保存安定性が向上する。
また、多価金属塩は、液体組成物全量に対して3.0質量%以上含まれることが好ましく、5.5質量%以上含まれることがより好ましく、7.0質量%以上含まれることが更に好ましい。また、多価金属塩は、液体組成物全量に対して20.0質量%以下含まれることが好ましく、15.0質量%以下含まれることがより好ましく、14.0質量%以下含まれることが更に好ましい。多価金属塩の液体組成物全量に対する含有量が3.0質量%以上であるとビーディングの発生をより抑制することができる。また、含有量が20.0質量%以下であると液体組成物中において多価金属塩が析出して結晶化することをより抑制することができる。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、プロピレングリコール、及び沸点が250℃以上の有機溶剤である有機溶剤Aを含み、必要に応じて他の有機溶剤を含んでもよい。
−プロピレングリコール−
本実施形態の液体組成物は、プロピレングリコールを含む。プロピレングリコールを含むことで、液体組成物を記録媒体に付与した後であって、インクが付与されるまでの間において、液体組成物が付与された記録媒体の領域に部材が接触する場合であっても、その部材に液体組成物が付着することを抑制することができる。これは、液体組成物がプロピレングリコールを含むことで、液体組成物が乾燥して形成される乾燥膜におけるタック力を低下させることができるためである。
なお、液体組成物を付与する対象の一例である記録媒体が低吸収性である場合や液体組成物が付与された記録媒体の領域に接触する部材の表面が60℃以上100℃以下に加熱されている場合などにおいて、部材に対する液体組成物の付着が顕著になる。従って、特にそのような場合に液体組成物にプロピレングリコールを含ませることが好ましい。
また、プロピレングリコールは、液体組成物全量に対して3.0質量%以上含まれることが好ましく、4.0質量%以上含まれることがより好ましく、4.5質量%以上含まれることが更に好ましい。また、プロピレングリコールは、液体組成物全量に対して15.0質量%以下含まれることが好ましく、10.0質量%以下含まれることがより好ましく、9.0質量%以下含まれることが更に好ましい。プロピレングリコールの液体組成物全量に対する含有量が3.0質量%以上であると液体組成物が乾燥して形成される乾燥膜におけるタック力をより低下させることができ、部材に液体組成物が付着することをより抑制することができる。
また、プロピレングリコールの含有量は、多価金属塩の含有量に対して、質量基準で0.50以上1.10以下含まれ、0.56以上0.85以下含まれることが好ましい。プロピレングリコールの含有量が多価金属塩の含有量に対して0.50以上であると液体組成物が乾燥して形成される乾燥膜におけるタック力を低下させることができ、部材に液体組成物が付着することをより抑制することができる。
−有機溶剤A−
本実施形態の液体組成物は、沸点が250℃以上の有機溶剤である有機溶剤Aを含む。有機溶剤Aを含むことで、多価金属塩の液体組成物に対する溶解性を向上させることができ、液体組成物中における多価金属塩の結晶化を抑制することができる。また、有機溶剤Aの沸点は、260℃以上であることが好ましく、270℃以下であることがより好ましく、280℃以上であることが更に好ましく、290℃以上であることが特に好ましい。また、また、有機溶剤Aの沸点は、350℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましい。
有機溶剤Aとしては、例えば、グリセリン(沸点:290℃)、トリエチレングリコール(沸点287℃)などが挙げられるが、これらの中でもグリセリンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、複数種類を用いてもよい。
また、有機溶剤Aは、液体組成物全量に対して10.0質量%以上含まれることが好ましく、15.0質量%以上含まれることがより好ましく、20.0質量%以上含まれることが更に好ましい。また、プロピレングリコールは、液体組成物全量に対して45.0質量%以下含まれることが好ましく、40.0質量%以下含まれることがより好ましく、35.0質量%以下含まれることが更に好ましい。有機溶剤Aの液体組成物全量に対する含有量が10.0質量%以上であると液体組成物中における多価金属塩の結晶化をより抑制することができる。
また、有機溶剤Aの含有量は、多価金属塩の含有量に対して、質量基準で2.00以上4.30以下含まれ、3.00以上4.30以下含まれることが好ましい。有機溶剤Aの含有量が多価金属塩の含有量に対して2.00以上であると液体組成物中における多価金属塩の結晶化をより抑制することができる。
−他の有機溶剤−
本実施形態の液体組成物は、プロピレングリコール、及び沸点が250℃以上の有機溶剤である有機溶剤A以外に、その他の有機溶剤を含むことができる。その他の有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物類、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
有機溶剤の液体組成物中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適切に選択することができるが、液体組成物の乾燥性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水などの純水、超純水などが挙げられる。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。水の含有量としては、液体組成物の全量に対して、65質量%以下が好ましく、30質量%以上50質量%以下がより好ましい。水の含有量が65質量%以下であると、水が蒸発した際の液体組成物の粘度上昇、ゲル化、不溶物の析出などの発生を抑制しやすい。
<界面活性剤>
界面活性剤は、液体組成物の表面張力を下げ、各種記録媒体への濡れ性を向上させ、液体組成物をムラなく塗布することができる効果を有する。界面活性剤は、液体組成物を適度に濡れやすくすることによって、各種記録媒体に対する浸透速度を速めることができる。
仮に液体組成物の浸透性が低い場合には記録媒体表面付近に液体組成物が多く溜まり、インク中の色材と当接した際に、色材が過剰に凝集し、ドット径の減少によるベタ画像の埋まり不足が発生することがある。また、記録媒体表面に色材が過剰に溜まることによって、定着性低下などの不具合が発生することもある。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
液体組成物中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
<液体組成物の物性>
液体組成物の物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
液体組成物の25℃での粘度は、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
液体組成物の表面張力としては、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
液体組成物のpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
−タック力−
キャストコート紙に対して、23℃、湿度65%の環境下において、0.12mg/cmとなるように液体組成物を付与してから80℃で15秒加熱したとき、液体組成物を付与した領域におけるタック力は50mN以下であることが好ましく、45mN以下であることがより好ましい。また、タック力は低いほど好ましいが、10mN以上としてもよい。タック力が50mN以下であることにより、液体組成物を記録媒体に付与した後であって、インクが付与されるまでの間において、液体組成物が付与された記録媒体の領域に部材が接触する場合であっても、その部材に液体組成物が付着することを抑制することができる。
タック力の測定には、タッキング試験機TAC−II(株式会社レスカ製)を用いることができる。また、キャストコート紙とは、記録媒体の一種であり、キャストコート層を有する記録媒体である。キャストコート層を有する記録媒体は、用紙に塗料を塗布した後、光沢クロムメッキされている平滑なキャストドラムにて加熱乾燥させた記録媒体である。市販されているキャストコート紙としては、例えば、ミラーコート・ゴールド、ミラーコート・プラチナ、両面クロームカラー、エスプリコートC、エスプリコートFPとエスプリコート等が挙げられるが、本実施形態ではエスプリC 157g/m(日本製紙グループ社製)を用いてタック力を測定する。
タック力を50mN以下とする手法としては、特に制限は無いが、例えば、液体組成物中におけるプロピレングリコールの含有量を調整する手法、液体組成物中における有機溶剤Aの含有量を調整する手法、液体組成物中における多価金属塩とプロピレングリコールの含有量の質量比を調整する手法、液体組成物中における多価金属塩と有機溶剤Aの含有量の質量比を調整する手法、及び上記手法に加えて界面活性剤の種類や量を調整する手法などが挙げられる。これらの手法は、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
<<インク>>
インクは、記録媒体に対して液体組成物が付与された後に、液体組成物が付与された領域に対し、必要に応じて付与される。インクは、目的に応じて、有機溶剤、水、色材、樹脂、及び界面活性剤などのその他の成分を含む。なお、水、界面活性剤などのその他の成分については、液体組成物と同様のものを使用することができるので、その説明を省略する。
<有機溶剤>
使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等が挙げられる。
アミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
その他の有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤として、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、顔料として、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料を分散してインクを得る方法としては、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
分散剤として、竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
顔料分散体に対し、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、インク中の固形分の粒径の最大頻度が最大個数換算で20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<インクの物性>
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<<記録媒体>>
記録媒体としては、特に制限なく用いることができ、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、低浸透性基材(低吸収性記録媒体または低吸収性基材とも称する)に対して特に好適に用いることができる。
低浸透性基材とは、水透過性、吸収性、又は吸着性が低い表面を有する基材を意味し、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。低浸透性基材としては、商業印刷に用いられるコート紙や、古紙パルプを中層、裏層に配合して表面にコーティングを施した板紙のような記録媒体等が挙げられる。このように低浸透性の記録媒体を用いた場合、液体組成物を記録媒体に付与した後であって、インクが付与されるまでの間において、液体組成物が付与された記録媒体の領域にローラ等の部材が接触するとき、その部材に液体組成物が付着しやすくなる。そのため、低吸収性の記録媒体に対して本願の液体組成物を使用することで、部材に対する液体組成物の付着を抑制することができるので好ましい。
<低浸透性基材>
低浸透性基材としては、例えば、支持体と、支持体の少なくとも一方の面側に設けられた表面層と、を有し、更に必要に応じてその他の層を有するコート紙などの記録媒体が挙げられる。
支持体と表面層を有する記録媒体においては、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録媒体への転移量は、2mL/m以上35mL/m以下が好ましく、2mL/m以上10mL/m以下がより好ましい。
接触時間100msでのインク及び純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、画像形成後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
動的走査吸液計にて測定した接触時間400msにおける純水の記録媒体への転移量は、3mL/m以上40mL/m以下が好ましく、3mL/m以上10mL/m以下がより好ましい。
接触時間400msでの転移量が少ないと、乾燥性が不十分となり、多すぎると、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。接触時間100ms及び400msにおける純水の記録媒体への転移量は、いずれも記録媒体の表面層を有する側の面において測定することができる。
ここで、動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88頁〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。
紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサーで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水又はインクの転移量を測定することができる。
接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量としては、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
−支持体−
支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50μm〜300μmが好ましい。 また、支持体の坪量は、45g/m〜290g/mが好ましい。
−表面層−
表面層は、顔料、バインダー(結着剤)を含有し、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有する。
顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。無機顔料の添加量は、バインダー100質量部に対し50質量部以上が好ましい。
有機顔料としては、例えば、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。有機顔料の添加量は、表面層の全顔料100質量部に対し2質量部〜20質量部が好ましい。
バインダーとしては、水性樹脂を使用することが好ましい。水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかを好適に用いることができる。水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンなどが挙げられる。
表面層に必要に応じて含有される界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、非イオン活性剤のいずれも使用することができる。
表面層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、支持体上に表面層を構成する液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。表面層を構成する液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、固形分で、0.5g/m〜20g/mが好ましく、1g/m〜15g/mがより好ましい。
<<画像形成方法>>
画像形成方法は、上記の液体組成物を記録媒体に対して付与する液体組成物付与工程と、記録媒体の液体組成物が付与された領域にインクを付与するインク付与工程と、を有することが好ましい。
<液体組成物付与工程>
液体組成物を記録媒体に対して付与する方法としては、例えば、液体吐出方式、塗布方式などが挙げられる。
液体吐出方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧電素子アクチュエータを用いる方式、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータを用いる方式、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドを用いる方式などが挙げられる。
塗布方法としては、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、ワイヤーバー塗布法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。これらの中でも、ワイヤーバー塗布法、ローラ塗布法が特に好ましい。
液体組成物付与工程における、記録媒体に対する液体組成物の付与量としては、0.1g/m以上30.0g/m以下が好ましく、0.2g/m以上10.0g/m以下がより好ましい。付与量が、0.1g/m以上であると、画像品質を向上することができ、30.0g/m以下であると、特にインク吸収性の低い記録媒体の場合には、液体組成物の乾燥性を向上でき、カールの発生を防止できる。
液体組成物付与工程において液体組成物を付与された記録媒体は、必要に応じて、液体組成物付与工程後であって後述のインク付与工程前に、記録媒体を加熱して液体組成物を乾燥させる加熱工程が行われてもよいが、加熱工程を行わなくてもよい。
なお、加熱工程は、ロールヒーター、ドラムヒーター、温風などの公知の加熱手段により記録媒体を加熱して記録媒体に付与された液体組成物を乾燥させる工程であって、加熱手段による加熱温度は、60℃以上であることが好ましく、100℃以下であることが好ましい。
<インク付与工程>
インクは、液体組成物が付与された後の記録媒体に付与される。また、インクは、記録媒体の液体組成物が付与された領域に対して付与される。
インクを記録媒体に対して付与する方法としては、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられるが、インクジェット法が好ましい。
<<画像形成装置>>
画像形成装置は、液体組成物が収容された液体組成物収容手段と、収容された液体組成物を記録媒体に対して付与する液体組成物付与手段と、液体組成物が付与された領域にインクを付与するインク付与手段と、を有することが好ましい。
図1を用いて、画像形成装置の一実施形態について説明する。図1は、画像形成装置の一例を示す模式図である。
図1に示す画像形成装置101は、インク付与手段の一例であって、インクを吐出するヘッドを集積した複数のヘッドユニット110K、110C、110M、110Yと、それぞれのヘッドユニットに対応し、ヘッドのメンテナンスを行う複数のメンテナンスユニット111K、111C、111M、111Yと、インク収容手段の一例であって、インクを収容し且つ供給する複数のインクカートリッジ107K、107C、107M、107Yと、インクカートリッジから供給されるインクの一部を貯蔵し、ヘッドに適切な圧力でインクを供給する複数のサブインクタンク108K、108C、108M、108Yと、を有する。
また、画像形成装置101は、記録媒体114を吸引ファン120によって吸着し搬送する搬送ベルト113と、搬送ベルト113を支える搬送ローラ119、121と、搬送ベルト113が適切な張力を保つようにコントロールするテンションローラ115と、搬送ベルト113が適切な平面性を保つためのプラテン124、及びプラテンローラー118と、記録媒体114を吸着するための静電帯電を与える帯電ローラ116と、記録媒体114を押さえる排紙コロ117と、排紙した記録媒体114をストックしておく排紙トレイ104を有する排紙機構と、画像形成する記録媒体114をストックする給紙トレイ103と、給紙トレイより一枚ずつ記録媒体114を送り出す分離パッド112、122と、送られてきた記録媒体114を帯電ベルトに確実に吸着させるカウンターローラ123と、手差しにて給紙した場合に用いられる手差しトレイ105と、を有する。
また、画像形成装置101は、メンテナンス後に排出される廃液を回収する廃液タンク109と、装置を操作し装置状態を表示することができる操作パネル106と、有する。
ヘッドユニット110K、110C、110M、110Yのノズル列は、記録媒体114の搬送方向に直行するように配列されており、記録領域以上の長さのノズル列を形成している。
記録媒体114は、給紙トレイから分離コロにより一枚に分離され、加圧コロにて搬送ベルトに密着されることで搬送ベルト上に固定され、ヘッドユニット下を通過する際に液滴を吐出されることで、液滴により形成されるドットの集合体である画像を形成され、分離爪にて搬送ベルトから分離され、排紙ローラと排紙コロに支えられて排紙トレイに排出される。
更に、図1に示す画像形成装置101は、液体組成物で記録媒体表面を処理する機構として液体組成物付与装置の一例である塗布機構130を有しており、ローラ塗布機構を採用している。液体組成物は、液体組成物収容手段の一例である液体組成物収容タンク135に収容され、汲み上げローラ137でローラ表面に汲み上げられ、膜圧制御ローラ138に転写される。続いて、液体組成物付与手段の一例である塗布ローラ136に転写された液体組成物は、塗布用カウンターローラ139との間に通す記録媒体114に転写され、塗布される。なお、液体組成物付与装置は、少なくとも液体組成物付与手段を有する装置であり、単独の独立した装置、他の装置、手段と一体化した装置、画像形成装置に組み込まれて一体化した装置などのいずれであってもよい。
塗布ローラ136に転写される液体組成物の塗布量は、塗布ローラ136とのニップ厚を制御することにより行う。液体組成物を塗布したくない時は、塗布ローラ136に液体組成物が残らないように、可動ブレード134を塗布ローラ136に押し付け、塗布ローラ表面の液体組成物を掻き取ることができる。これにより、液体組成物が塗布ローラ136に残留することで発生する乾燥による増粘や、塗布用カウンターローラ139との固着、塗布ムラなどの機能障害を未然に防ぐことができる。
また、図1のように、給紙部を上下で1つずつ設け、液体組成物を塗布する場合には下の給紙部を、液体組成物を塗布しない場合には上の給紙部を使用するといった方式にしても良い。
上記ローラ塗布以外に、液体組成物を吐出方式でスプレー塗布することも可能である。例えば、110Kと同様のヘッドに液体組成物を充填し、インクと同様に記録媒体114へ吐出させることができ、吐出量や吐出位置の制御を高精度でかつ容易に行うことができる。また、ローラ塗布方式とスプレー塗布方式を併用しても良い。
何れの方式を用いても液体組成物を任意の位置に任意の量だけ塗布することができる。
また、本実施形態の画像形成装置101では、記録媒体114の搬送経路において、塗布ローラ136が設けられた位置およびヘッドユニット110K、110C、110M、110Yが設けられた位置の間に、液体組成物が付与された領域に直接接触する部材の一例であるローラ200を有する。ローラ200は記録媒体の搬送に用いられるが、記録媒体114に付与された液体組成物を加熱することで乾燥させる加熱手段を備えていてもよい。また、ローラ200自体は加熱手段を有さないが、ローラ200に近接する位置に加熱手段が設けられていることによりローラ200が加熱されている場合であってもよい。本実施形態は、このような装置構成を有していたとしても、液体組成物がローラ200に付着することを抑制することができる。また、ローラ200の表面における温度は60℃以上100℃以下であることが好ましい。ローラ200の表面における温度がこの範囲であることにより、液体組成物がローラ200に付着することを更に抑制することができる。
また、熱風送風ファン150により、液体組成物及びインクが付着した記録媒体を加熱することによって、乾燥促進により定着性を向上させることができる。なお、本実施形態では、加熱処理を印刷後の記録媒体に対して熱風ファンにて行っているが、画像形成前または画像形成後のいずれの記録媒体に対して行ってもよいし、その方式も熱風ファンだけではなく、加熱ローラなどの手段によって行ってもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<共重合体Aの合成例>
攪拌装置、滴下装置、温度センサー及び上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を備えた自動重合反応装置(轟産業社製:重合試験機DSL−2AS型)の反応容器に、メチルエチルケトンを550g仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に加温した後、滴下装置によりメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルを75.0g、メタクリル酸を77.0g、スチレンを80.0g、メタクリル酸ブチルを150.0g、アクリル酸ブチルを98.0g、メタクリル酸メチルを20.0g及び「パーブチル(登録商標)O」(日本油脂社製)40.0gの混合溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に同温度で15時間反応を継続させて、酸価100、重量平均分子量21,000、Tg(計算値)31℃のアニオン性基含有スチレン−アクリル系共重合体Aのメチルエチルケトン溶液を得た。反応終了後、メチルエチルケトンの一部を減圧留去し、不揮発分を50%に調整した共重合体A溶液を得た。
<顔料分散体の調製例>
−顔料分散体1の調製−
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、カーボンブラック(商品名:Raven1080、コロンビヤンカーボン日本株式会社製)を1,000g、共重合体A溶液を800g、10%水酸化ナトリウム水溶液を143g、メチルエチルケトンを100g、及び水を1,957g仕込み、撹拌混合した。混合液を、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(三井鉱山株式会社製:SCミルSC100)に通し、循環方式(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)により6時間分散した。分散装置の回転数は2,700回転/分間とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。分散終了後、混合槽より分散原液を抜き取り、次いで、水10,000gで混合槽及び分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。ガラス製蒸留装置に希釈分散液を入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。室温まで冷却後、撹拌しながら10%塩酸を滴下してpH4.5に調整した後、固形分をヌッチェ式濾過装置(日本化学機械製造社製、加圧濾過機)で濾過、水洗した。ケーキを容器に取り、20%水酸化カリウム水溶液200gを加えた後、ディスパ(特殊機化工業株式会社製、TKホモディスパー)にて分散し、更に水を加えて不揮発分を調整して、不揮発分20質量%のカーボンブラックが水酸化カリウム中で中和されたカルボキシル基含有スチレン−アクリル系共重合体で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した顔料分散体1を得た。
<インクの調製例>
−インク1の調製−
グリセリン(関東化学社製)22.0質量%、1,3−ブタンジオール(東京化成工業社製)11.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(東京化成工業社製)2.0質量%、界面活性剤(商品名:E1010、日信化学工業株式会社製)2.0質量%、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール1.1質量%、プロキセルLV(アビシア社製)0.1質量%、2−アミノ−2−エチル−1、3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を1時間撹拌し均一に混合し、ロジン変性マレイン酸樹脂(ハリマ化成社製:ハリマックR−100)2.0質量%を加えて更に1時間撹拌し均一に混合した後、顔料分散体1を固形分量が8.0質量%になるように加えて更に1時間撹拌し均一に混合した。この混合物を平均孔径が0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去してインク1を得た。
得られたインク1の静的表面張力を、ウイルヘルミー型表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定したところ22mN/mであった。
−インク2の調製−
インク1の調製において、下記表1の組成に変更した以外は、インク1の調製と同様にして、インク2を得た。また、インク1と同様に静的表面張力を測定したところ35mN/mであった。なお、表1における組成の各数字の単位は「質量%」である。
<実施例1>
−液体組成物の調製−
グリセリン(関東化学社製)22.5質量%、プロピレングリコール(ADEKA社製)6.0質量%、硫酸マグネシウム・7水和物(昭和化学社製)22.5質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(東京化成工業社製)0.2質量%、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(商品名:エマルゲン103、花王株式会社製)0.1質量%、2-アミノ-2-エチル-1、3-プロパンジオール(東京化成工業社製)0.3質量%、プロキセルLV(アビシア社製)0.1質量%、ベンゾトリアゾール(城北化学工業社製)0.1質量%、及びイオン交換水を加えて合計を100質量%とし、1時間撹拌して均一に混合し、実施例1の液体組成物1を得た。
次に、作製した液体組成物1のタック力を測定した。キャストコート紙であるエスプリ C157g/m(日本製紙グループ社製)に対し、23℃、湿度65%の環境下において、バーコーターを用いて液体組成物1を0.12mg/cm付与し、その後80度で15秒加熱してからタック力を測定した。タック力の測定にはタッキング試験機TAC−II(株式会社レスカ製)を用いた。結果を表2に示す。
<実施例2〜7、比較例1〜9>
−液体組成物2〜16の調製−
液体組成物1の調製において、下記表2、3の組成に変更した以外は、液体組成物1の調整と同様にして、実施例2〜7の液体組成物2〜7、比較例1〜9の液体組成物8〜16を得た。なお、表2、3における組成の各数字の単位は「質量%」である。
また、液体組成物1と同様にして、実施例2〜7の液体組成物2〜7、比較例1〜9の液体組成物8〜16のタック力を測定した。結果を表2、3に示す。
なお、表2、3の各種計算結果は、硫酸マグネシウムのモル質量を120.37g/mol、硫酸マグネシウム・7水和物のモル質量を246.47g/molとして求めた。
なお、表2、3において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・トリエチレングリコール(三協化学社製)
・エチレングリコール(三協化学社製)
・1,3−プロパンジオール(東京化成工業社製)
・1,2−ブタンジオール(東京化成工業社製)
[液体組成物の付着性]
上記実施例1〜7、比較例1〜9で作製した液体組成物1〜16の付着性を評価した。キャストコート紙であるエスプリ C157g/m(日本製紙グループ社製)に対し、23℃、湿度65%の環境下において、バーコーターを用いて液体組成物を0.12mg/cm付与し、その後80度で15秒加熱した。次に、キャストコート紙の液体組成物を付与した領域に対し、80℃のアルミニウム製の金属板を100kgf/mで30秒間押圧しながら接触させた。その後、金属板に対する液体組成物の付着性を下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表4に示す。評価がB以上である場合を実用可能であると評価した。
(評価基準)
A:付着なし
B:1つ付着あり
C:2つ以上付着あり
[液体組成物の結晶化]
上記実施例1〜7、比較例1〜9で作製した液体組成物1〜16の結晶化を評価した。直径27mmの蓋なしのシャーレに、液体組成物を3.0g入れて、室温24℃、湿度44%の環境で結晶が発生するまで静置した。液体組成物の結晶化を下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表4に示す。評価がB以上である場合を実用可能であると評価した。なお、「結晶が発生する」こととは、視認可能な結晶が発生することを示し、例えば、最長部の長さが0.1mm以上である結晶が発生することを示す。
(評価基準)
A:結晶が発生するまでの時間が200時間以上
B:結晶が発生するまでの時間が100時間以上、200時間未満
C:結晶が発生するまでの時間が100時間未満
[ビーディング性]
上記作製したインク1〜2、及び実施例1〜7、比較例1〜9で作製した液体組成物1〜16を用いて形成した画像におけるビーディング性を評価した。まず、キャストコート紙であるエスプリ C157g/m(日本製紙グループ社製)に対し、23℃、湿度65%の環境下において、バーコーターを用いて液体組成物を0.12mg/cm付与した。次に、上記作製したインクをインクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500、株式会社リコー製)に充填し、記録媒体の液体組成物を付与した領域に対してベタ画像を印刷し、80℃で2分間加熱乾燥させた。ベタ画像の濃度ムラ(ビーディング)を光学顕微鏡で40倍に拡大して観察し、下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表5に示す。評価がB以上である場合を実用上好ましいと評価した。
(評価基準)
A:ビーディングは観察されない
B:ビーディングが僅かに観察される
C:ビーディングがかなり観察される
101 画像形成装置
107K、107C、107M、107Y インクカートリッジ
110K、110C、110M、110Y ヘッドユニット
114 記録媒体
130 塗布機構
135 液体組成物収容タンク
136 塗布ローラ
200 ローラ
特開2017−222833号公報

Claims (13)

  1. 多価金属塩、プロピレングリコール、及び沸点が250℃以上の有機溶剤である有機溶剤A、を含有する液体組成物であって、
    前記プロピレングリコールの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で0.50以上1.10以下であり、
    前記有機溶剤Aの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で2.00以上4.30以下である液体組成物。
  2. 前記有機溶剤Aは、グリセリンである請求項1に記載の液体組成物。
  3. 前記多価金属塩の含有量は、前記液体組成物の全量に対して、5.5質量%以上14.0質量%以下である請求項1又は2に記載の液体組成物。
  4. 前記プロピレングリコールの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で0.56以上0.85以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体組成物。
  5. 前記有機溶剤Aの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で3.00以上4.30以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体組成物。
  6. 記録媒体に対してインクが付与される前に、前記記録媒体に対して付与される処理液であって、
    前記液体組成物は、多価金属塩、プロピレングリコール、及び沸点が250℃以上の有機溶剤である有機溶剤A、を含有し、
    前記プロピレングリコールの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で0.50以上1.10以下であり、
    前記有機溶剤Aの含有量は、前記多価金属塩の含有量に対して、質量基準で2.00以上4.30以下である処理液。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体組成物を収容した液体組成物収容手段と、前記液体組成物を記録媒体に付与する液体組成物付与手段と、を有する液体組成物付与装置。
  8. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体組成物を収容した液体組成物収容手段と、前記液体組成物を記録媒体に付与する液体組成物付与手段と、前記記録媒体の前記液体組成物を付与された領域に対してインクを付与するインク付与手段と、を有する画像形成装置。
  9. 請求項8に記載の画像形成装置の前記記録媒体の搬送経路において、前記液体組成物付与手段が設けられた位置および前記インク付与手段が設けられた位置の間に、前記液体組成物を付与された領域に接触する部材を有する画像形成装置。
  10. 前記部材は、ローラである請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記部材の表面温度は、60℃以上100℃以下である請求項9又は10に記載の画像形成装置。
  12. 前記記録媒体は、支持体と、前記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた塗工層と、を有し、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量が2ml/m以上35ml/m以下であり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量が3ml/m以上40ml/m以下である請求項8乃至11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  13. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体組成物を記録媒体に付与する液体組成物付与工程と、インクを前記液体組成物が付与された領域に対して付与するインク付与工程と、を有する画像形成方法。
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