JP2002211122A - インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法およびインクジェット記録用カートリッジ - Google Patents

インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法およびインクジェット記録用カートリッジ

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JP2002211122A
JP2002211122A JP2001013597A JP2001013597A JP2002211122A JP 2002211122 A JP2002211122 A JP 2002211122A JP 2001013597 A JP2001013597 A JP 2001013597A JP 2001013597 A JP2001013597 A JP 2001013597A JP 2002211122 A JP2002211122 A JP 2002211122A
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Japan
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ink
ink jet
jet recording
silicon
recording
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Application number
JP2001013597A
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English (en)
Inventor
Tomoko Sekine
朋子 関根
Akihiko Goto
明彦 後藤
Nobutaka Osada
延崇 長田
Kiyofumi Nagai
希世文 永井
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクと接する部材の一部がシリコンまたは
シリコン酸化物で形成されるインクジェットプリンタに
おいて、シリコンやシリコン酸化物の溶出によって生じ
る種種の問題点を解消することのできるインクジェット
記録用インク組成物を得る。 【解決手段】 インクと接する部材の少なくとも一部が
シリコンまたはシリコン酸化物で形成されたインクジェ
ットプリンタに使用されるインクであって、少なくとも
着色剤を内包したマイクロカプセルを含み、かつゼータ
電位が−20V以下であるインクジェット記録用インク
を主要な構成とする。その他13項ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
に関し、更に詳しくは、インクと接する部材の少なくと
も一部がシリコンまたはシリコン酸化物で形成されるイ
ンクジェットプリンタに用いるインク及びインクジェッ
ト記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液体状のインクをノズルから吐出させて
画像の記録を行なうインクジェット記録法は、普通紙へ
の印字が可能なこと、カラー化への対応が容易なこと、
駆動時の騒音、消費電力が低いことなどから、コンピュ
ーターで作製した文書や画像の出力用プリンターとして
近年急速に普及しつつある。そして、このインクジェッ
トプリンタの本体に関しては、インク吐出部の構造がイ
ンクの吐出特性、ひいては画像品質やプリンタとしての
信頼性に大きく影響するが、微細加工のしやすさ、加工
精度、プロセス等からシリコンやシリコン酸化物を使用
したヘッドが注目されている。
【0003】このようなインクジェットプリンタに用い
られるインクとしては、一般に溶媒に分散または溶解す
る着色剤および湿潤剤と溶媒より構成され、必要に応じ
て浸透剤、防カビ剤、防腐剤、分散剤等を含有するが、
これらのインクを上記のシリコンやシリコン酸化物を使
用したインクジェットプリンタに充填し長時間使用ある
いは放置すると、インクに接しているシリコンやシリコ
ン酸化物が溶出することがある。
【0004】そのような場合にはインクジェットプリン
タの設計精度が落ちるため、インク滴の大きさやインク
滴の吐出速度が変化し画像品質を低下させたり、最悪の
場合は吐出不良が発生する。また接合部でのシリコンや
シリコン酸化物の溶出により接合強度が低下するため、
吐出不良や最悪の場合、接合部が剥がれて故障するとい
った不具合も発生しやすい。
【0005】特に精密さが要求される液室部材を、単結
晶シリコンをエッチング処理することにより溝を形成し
たものでは、液室の寸法精度が落ちるため上述した問題
が顕著に発生する。
【0006】また、流体抵抗部が単結晶シリコンから形
成されたものでは、シリコンやシリコン酸化物の溶出に
より流体抵抗が変化してしまい、インク滴の大きさやイ
ンク滴の吐出速度の変化が顕著に起こり画像品質を低下
させたり、最悪の場合は吐出不良が発生する。
【0007】また、振動板が単結晶シリコンから形成さ
れたものでは、振動板の厚さが減少するため吐出不良が
発生したり、最終的には振動板が薄くなるため振動に耐
えられず破損するなどの問題が発生する。
【0008】さらに、ノズルが単結晶シリコンから形成
されたものでは、ノズルの径が大きくなるため、インク
滴の大きさやインク滴の吐出速度が変化したり吐出不良
が発生するため画像品質を低下させるといった問題が起
こる。
【0009】一方、シリコンやシリコン酸化物が溶出し
たインクは、着色剤の溶解あるいは分散安定性が低下し
着色剤が析出して目詰まり等を起こしやすい。また、溶
出してきたシリコンやシリコン酸化物自体も、水等の溶
媒の蒸発によって過飽和状態となってノズル表面等で析
出するために、さらに吐出不良を引き起こしやすくな
る。
【0010】現状ではこれら問題が解決されていないた
め、例えばあらかじめ充填されているインクが無くなっ
たときに一緒にヘッドも交換するなどインク吐出部を比
較的短期間しか使用することが出来なかった。
【0011】このような問題を解決するためインクジェ
ットプリンタとしては、特開平9−85949号公報や
WO98−42513号公報等にあるようにシリコンあ
るいはシリコン酸化物の上にSiN、TiN、TiO等
の無機物や有機物の層を設けて防止する方法がある。こ
れは、シリコンやシリコン酸化物の溶出を防止する効果
はあるものもあるが、製造で工程が増えるため多大なコ
ストがかかり、非常に高価なインクジェットプリンタと
なってしまう。またこれらの膜は、ピンホールが発生し
やすく均一に形成することは困難であり、膜に欠陥が生
じることが多い。またヘッドの方式や構造によっては、
膜の形成自体を工程に取り入れることが出来ない場合も
ある。
【0012】一方、インクとしては、特開平9−123
437号公報でインク中に尿素を添加することで、シリ
コンが溶出してもインク中に安定して溶解させ析出を防
止する方法が提案されているが、シリコンの溶出そのも
のを防止する効果はないためシリコンあるいはシリコン
酸化物を精度の求められる部分に使用することは出来な
い。
【0013】また、着色剤としては画像耐久性の良さか
ら顔料が多く用いられるようになってきているが、一般
的に吐出安定性が低いという問題点があった。これに対
し、最近では吐出不良の原因となりやすい顔料分散剤を
用いずに、顔料の表面を改質したり、顔料を樹脂で被覆
しマイクロカプセル型として分散性を付与した形の顔料
も開発されている(特開平10−183003、特開平
10−183003、特開平11−343439、特開
平11−349870、特開2000−007961号
公報)。しかし、これら公報では、本発明で問題として
いるヘッド部材からのシリコンやシリコン酸化物の溶出
に関しては全く触れられておらず、分散安定性や耐摩擦
性、耐水性等の向上のみが目的とされている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
インクと接する部材の一部がシリコンまたはシリコン酸
化物で形成されるインクジェットプリンタにおいて、該
シリコンやシリコン酸化物の溶出によって生じる種種の
問題点を解消することのできる新しいインクジェット記
録用インク組成物を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、下
記の手段により達成される。すなわち、本発明によれ
ば、第一に、請求項1では、インクと接する部材の少な
くとも一部がシリコンまたはシリコン酸化物で形成され
たインクジェットプリンタに使用されるインクであっ
て、少なくとも着色剤を内包したマイクロカプセルを含
み、かつゼータ電位が−20V以下であるインクジェッ
ト記録用インクを主要な特徴とする。
【0016】第二に、請求項2では上記請求項1に記載
のインクジェット記録用インクにおけるマイクロカプセ
ルが、親水性を付与した樹脂で形成されていることを特
徴とする。
【0017】第三に、請求項3では上記請求項1または
2に記載のインクジェット記録用インクにおけるマイク
ロカプセルに内包される着色剤が、顔料であることを特
徴とする。
【0018】第四に、請求項4では上記請求項3に記載
のインクジェット記録用インクにおける顔料を内包した
マイクロカプセルの平均粒子径が、0.01〜0.2μ
mであり、また顔料の含有量がインク全重量に対して
0.1〜10重量%であることを特徴とする。
【0019】第五に、請求項5では液室部材が単結晶シ
リコンをエッチング処理することにより溝が形成された
インクジェットプリンタと上記請求項1乃至4のいずれ
か1項記載のインクジェット記録用インクを用いて記録
を行うインクジェット記録方法を特徴とする。
【0020】第六に、請求項6では流体抵抗部が単結晶
シリコンをエッチング処理することにより形成されたイ
ンクジェットプリンタと上記請求項1乃至4のいずれか
1項記載のインクジェット記録用インクを用いて記録を
行うインクジェット記録方法を特徴とする。
【0021】第七に、請求項7では振動板が単結晶シリ
コンをエッチング処理することにより形成されたインク
ジェットプリンタと上記請求項1乃至4のいずれか1項
記載のインクジェット記録用インクを用いて記録を行う
インクジェット記録方法を特徴とする。
【0022】第八に、請求項8ではノズルが単結晶シリ
コンをエッチング処理することにより形成されたインク
ジェットプリンタと上記請求項1乃至4のいずれか1項
記載のインクジェット記録用インクを用いて記録を行う
インクジェット記録方法を特徴とする。
【0023】第九に、請求項9ではインクを収容したイ
ンク収容部からなるインクジェット記録用インクカート
リッジにおいて、該インクが上記請求項1乃至4のいず
れか1項記載のインクジェット記録用インクであること
を特徴とする。
【0024】第十に、請求項10ではインクを収容した
インク収容部と、インク液滴を吐出させるための記録ヘ
ッド部からなるインクジェット記録用カートリッジにお
いて、該インクが上記請求項1乃至4のいずれか1項記
載のインクジェット記録用インクであることを特徴とす
る。
【0025】第十一に、請求項11では上記請求項10
記載のインクジェット記録用カートリッジにおいて、液
室部材が単結晶シリコンをエッチング処理することによ
り溝が形成された記録ヘッド部を備えていることを特徴
とする。
【0026】第十二に、請求項12では上記請求項10
記載のインクジェット記録用カートリッジにおいて、流
体抵抗部が単結晶シリコンをエッチング処理することに
より形成された記録ヘッド部を備えていることを特徴と
する。
【0027】第十三に、請求項13では上記請求項10
記載のインクジェット記録用カートリッジにおいて、振
動板が単結晶シリコンをエッチング処理することにより
形成された記録ヘッド部を備えていることを特徴とす
る。
【0028】第十四に、請求項14では上記請求項10
記載のインクジェット記録用カートリッジにおいて、ノ
ズルが単結晶シリコンをエッチング処理することにより
形成された記録ヘッド部を備えていることを特徴とす
る。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明は、上述のように、インク
と接する部材の少なくとも一部がシリコンまたはシリコ
ン酸化物で形成されたインクジェットプリンタに使用さ
れるインクであって、着色剤を内包したマイクロカプセ
ルを含み、ζ電位が−20V以下であるインクを特徴と
するもので、これによればインクと接するシリコンやシ
リコン酸化物の溶出による吐出不良を防止することが可
能であるのみならず、インクジェット記録専用紙だけで
なく普通紙においても充分な画像堅牢性と優れた品質を
持つ画像が形成される。
【0030】以下に本発明を詳細に説明する。まず本発
明に用いられる着色剤は、顔料や油溶性染料といった疎
水性の着色剤を、親水性を付与したマイクロカプセルに
包含させ該着色剤を水中に分散可能な状態にしたものが
用いられる。従来はこのような着色剤のマイクロカプセ
ル化は、着色剤の分散安定性や定着性などを改良するた
めに行われていたが、本発明によれば着色剤をマイクロ
カプセルに内包させることにより、シリコンやシリコン
酸化物の溶出を抑えることができる。
【0031】本発明において、着色剤を内包したマイク
ロカプセルを用いることによりシリコンやシリコン酸化
物の溶出が抑制される理由は完全に明らかではないが、
顔料の周りに分散剤を吸着させたタイプのインクでは分
散剤の脱離や不足などにより、導電性である顔料の表面
がむき出しになるとシリコン系部材と電気的な接触を起
こし部材表面の溶出が起きる。一方、 マイクロカプセル
により顔料が被覆されている場合には、マイクロカプセ
ル壁によって顔料が絶縁されている状態であるため、部
材との電気的な接触が起こらず、シリコンやシリコン酸
化物の溶出が抑制されるものと考えられる。さらに、こ
の着色剤はマイクロカプセル化により顔料が樹脂により
被覆されているため、記録媒体へ付着した際の定着性や
着色剤の凝集力が高く、堅牢性、鮮明性に優れた画像を
形成することができる。
【0032】また、本発明においては、インク中の分散
粒子のゼータ電位が−20mV以下、すなわち絶対値に
して20mV以上であることにより、さらにシリコンや
シリコン酸化物の溶出を抑制することができる。これ
は、部材のシリコン、及びシリコン酸化物表面は負のゼ
ータ電位を持っているため、同極性に帯電したマイクロ
カプセルが近づくと斥力が働くために部材との電気的な
接触が更に妨げられるからである。ゼータ電位が−20
mVより高いと、マイクロカプセルと部材の接触頻度が
高くなり、着色剤が完全にマイクロカプセル樹脂に被覆
されていなかった場合など、部材からのシリコンやシリ
コン酸化物の溶出を防ぎきれないことがある。また、イ
ンク中の分散粒子間の静電的な反発力がなくなり、粒子
間の凝集が進むことで分散系が不安定になるといった問
題も生じ易い。
【0033】マイクロカプセルを水性媒体中に安定に分
散させるには、親水性の低いマイクロカプセルを分散剤
を用いて分散する方法と、マイクロカプセル自体に親水
性を付与して水中に分散する方法があるが、本発明では
後者の方法が好ましい。着色剤を被覆している樹脂に親
水性を持たせ分散剤の使用量を減らすと、従来のように
分散剤を用いた場合に問題となる、顔料からの分散剤の
脱離による吐出不良や、インク中に溶解している分散剤
による蒸発時の粘度上昇等が起こりにくいためである。
【0034】このようなマイクロカプセル化した着色剤
の調製法としては特に制限はなく、以下に示すような公
知の方法を用いることができるが、これらに限るもので
はない。着色剤をマイクロカプセル化する際には、有機
相に着色剤とカプセル壁形成樹脂を溶解又は分散させた
後、水相へ転相することにより転相乳化させる方法、樹
脂を有機相に存在させ、これを着色剤の表面に析出させ
てカプセル壁を形成させるIn−Situ重合法、樹脂
を有機相及び水相の両方に存在させ、両相の界面で反応
させてカプセル壁を形成する界面重合法、着色剤が溶解
又は分散した高分子水溶液から水溶液のpH、温度、濃
度等変化により高分子の溶解度を低下させ、これを着色
剤表面に析出させることでカプセル壁を形成させるコア
セルベーション法等があり、マイクロカプセル形成後は
油性溶剤を除去することでカプセル分散水溶液を得るこ
とができる。
【0035】本発明の好ましい態様によれば上記の様に
して得られる着色剤を内包する樹脂の平均粒子径として
は0.01〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.2
μmの範囲にあることが好ましい。ここでいう平均粒径
とは、体積累積パーセント50%の値をさす。体積累積
パーセント50%の値を測定するには、例えば、インク
中のブラウン運動を行っている粒子にレーザー光を照射
し、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光
の周波数)の変化量から粒子径を求める動的光散乱法
(ドップラー散乱光解析)といわれる方法を用いること
ができる。
【0036】本発明のマイクロカプセル化に用いられる
樹脂としては、親水性基としてのモノマーと疎水性基と
してのモノマーとの重合体及びその塩が挙げられる。ア
ニオン性の親水基を有するモノマーとしては、一般的に
スルホン酸系モノマー、カルボン酸系モノマーが挙げら
れる。スルホン酸系モノマーとしては、スチレンスルホ
ン酸及びその塩、ビニルスルホン酸及びその塩等が挙げ
られる。カルボン酸系モノマーとしては、α、β−エチ
レン性不飽和カルボン酸、α、β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタ
クリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン
酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、
フマル酸誘導体等が挙げられる。疎水性成分としてのモ
ノマーには、スチレン、スチレン誘導体、ビニルトルエ
ン、ビニルトルエン誘導体、ビニルナフタレン、ビニル
ナフタレン誘導体、ブタジエン、ブタジエン誘導体、イ
ソプレン、イソプレン誘導体、エチレン、エチレン誘導
体、プロピレン、プロピレン誘導体、イソシアネート、
イソシアネート誘導体、アクリル酸のアルキルエステ
ル、メタクリル酸のアルキルエステル等が挙げられる。
【0037】塩としては、水素、アルカリ金属、アンモ
ニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ホスホニウム
イオン、スルホニウムイオン、オキソニウムイオン、ス
チボニウムイオン、スタンノニウム、ヨードニウム等の
オニウム化合物が挙げられる。また上記重合体及びその
塩に、ポリオキシエチレン基、水酸基、アクリルアミ
ド、アクリルアミド誘導体、ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、エトキシエチルメタクリレート、ブトキシ
エチルメタクリレート、エトキシトリエチレンメタクリ
レート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレー
ト、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルアルコ
ール、及びアルキルエーテル等を適宜付加してもよい。
【0038】本発明において好ましく用いられる疎水性
着色剤の具体例として、油溶性染料としてはC.I.ソ
ルベントイエロー1,2,3,13,19,22,2
9,36,37,38,39,40,43,44,4
5,47,62,63,71,76,81,85,86
等。C.I.ソルベントレッド8,27,35,36,
37,38,39,40,58,60,65,69,8
1,86,89,91,92,97,99,100,1
09,118,119,122等。C.I.ソルベント
ブルー14,24,26,34,37,38,39,4
2,43,45,48,52,53,55,59,67
等。C.I.ソルベントブラック3,5,7,8,1
4,17,19,20,22,24,26,27,2
8,29,43,45等が挙げられる。
【0039】また、顔料としては、ファーネスブラッ
ク、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネル
ブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブ
ラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラ
ック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック
(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげ
られる。さらに、C.I.ピグメントイエロー1、3、
12、13、14、17、24、34、35、37、4
2(黄色酸化鉄)、53、55、81、83、95、9
7、98、100、101、104、408、109、
110、117、120、138、150、153、
C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、3
6、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、
3、5、17、22、23、31、38、48:2、4
8:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:
3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:
1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:
1、63:2、64:1、81、83、88、101
(べんがら)、104、105、106、108(カド
ミウムレッド)、112、114、1I2(キナクリド
ンマゼンタ)、123、146、149、166、16
8、170、172、177、178、179、18
5、190、193、209、219、C.I.ピグメ
ントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:
1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブル
ー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、
15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、
17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリ
ーン1、4、7、8、10、17、18、36、等があ
る。
【0040】また、それぞれのインクに含まれる顔料は
インク全重量に対して0.1〜10重量%であることが
好ましく、さらには1.0〜5.0%の範囲であること
が好ましい。顔料の含有量がこれよりも少ないと普通紙
に印字した際に十分な彩度や画像濃度が得られず、これ
より多い場合には画像の明度が低下したり吐出時にヘッ
ドノズルの目詰まりなどが起こる可能性がある。
【0041】本発明のインクには、ノズル部での目詰り
を防ぐため、またインクの溶解安定性を向上するために
湿潤剤として水溶性有機溶媒を添加することが望まし
い。例としては、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセ
リン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−
ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペ
トリオール等の多価アルコール類、エチレングリコール
モノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノメ
チルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレング
リコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモ
ノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテ
ル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、
N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメ
チルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブ
チロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノール
アミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジ
エチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチ
ルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオ
ジグリコール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネ
ート、炭酸エチレン等が挙げられ、これらを単独あるい
は複数混合して用いることができる。これら多価アルコ
ールのインク中の含有量としてはl〜50重量%、より
好ましくは5〜30重量%である。
【0042】本発明のインクには、記録媒体への浸透
性、またノズル材への濡れ性を調整するために種々の界
面活性剤を添加することが可能である。界面活性剤の例
としては、アルキルアリルまたはアルキルナフタレンス
ルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アル
キルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル
スルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、ア
ルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエー
テルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカ
ンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スル
ホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、
高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等といっ
たアニオン系界面活性剤、アルキルアミン塩、ジアルキ
ルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第
4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダ
ゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等とい
ったカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチ
レン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコー
ル、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖
エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエ
ーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエー
テル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエー
テル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド、ポ
リオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソル
ビトール脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコキシ
ド等といったノニオン系界面活性剤、イミダゾリニウム
ベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラ
ウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミ
ノエチル)グリシン等といった両性界面活性剤、フッ素
系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等が単独、あるい
は複数混合して用いられる。インク組成物中でのこれら
界面活性剤の添加量は0.01重量%〜5.0重量%で
あり、好ましくは0.5重量%〜3重量%である。0.
01重量%未満では添加した効果は無く、5.0重量%
より多い添加では記録媒体への浸透性が必要以上に高く
なり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題があ
る。
【0043】本発明のインクには上記着色剤、溶剤の他
に従来知られている添加剤、例えば防腐防黴剤、pH調
整剤、キレート試薬、防錆剤や、その他目的に応じて紫
外線吸収剤、赤外線吸収剤、水溶性高分子化合物、着色
剤溶解剤などを添加することができる。
【0044】次に、本発明のインクを収容したインク収
容部と、インク滴を吐出させるための記録ヘッドとを有
するインクカートリッジを備えたインクジェット記録装
置を添付図面を参照して説明するが、以下は構成例の一
つに過ぎず、本発明に何ら限定を加えるものではない。
【0045】図1は本発明のインクを収容したインク収
容部を備えたインクカートリッジを搭載するシリアル型
インクジェット記録装置の機構部の概略正面図である。
このインクジェット記録装置の機構部は、両側の側板
1,2間に主支持ガイドロッド3及び従支持ガイドロッ
ド4を略水平な位置関係で横架し、これらの主支持ガイ
ドロッド3及び従支持ガイドロッド4でキャリッジユニ
ット5を主走査方向に摺動自在に支持している。キャリ
ッジユニット5には、それぞれイエロー(Y)インク、
マゼンタ(M)インク、シアン(C)インク、ブラック
(Bk)インクをそれぞれ吐出する4個のヘッド6を、
その吐出面(ノズル面)6aを下方に向けて搭載し、ま
たキャリッジユニット5のヘッド6の上側には4個のヘ
ッド6に各々インクを供給するための各色のインク供給
体である4個のインクカートリッジ7y,7m,7c,
7kを交換可能に搭載している。そして、キャリッジユ
ニット5は主走査モータ8で回転される駆動プーリ(駆
動タイミングプーリ)9と従動プーリ(アイドラプー
リ)10との間に張装したタイミングベルト11に連結
して、主走査モータ8を駆動制御することによってキャ
リッジ5、即ち4個のヘッド6を主走査方向に移動する
ようにしている。また、側板1,2をつなぐ底板12上
にサブフレーム13,14を立設し、このサブフレーム
13,14間に用紙16を主走査方向と直交する副走査
方向に送るための搬送ローラ15を回転自在に保持して
いる。そして、サブフレーム14側方に副走査モータ1
7を配設し、この副走査モータ17の回転を搬送ローラ
15に伝達するために、副走査モータ17の回転軸に固
定したギヤ18と搬送ローラ15の軸に固定したギヤ1
9とを備えている。
【0046】さらに、側板1とサブフレーム13との間
には、ヘッド6の信頼性維持回復機構(以下、「サブシ
ステム」という。)21を配置している。サブシステム
21は、各ヘッド6の吐出面をキャッピングする4個の
キャップ手段22をホルダ23で保持し、このホルダ2
3をリンク部材24で揺動可能に保持して、キャリッジ
ユニット5の主走査方向の移動でホルダ23に設けた係
合部25にキャリッジユニット5が当接することで、キ
ャリッジユニット5の移動に従ってホルダ23がリフト
アップしてキャップ手段22でインクジェットヘッド6
の吐出面6aをキャッピングし、キャリッジユニット5
が印写領域側へ移動することで、キャリッジユニット5
の移動に従ってホルダ23がリフトダウンしてキャップ
手段22がインクジェットヘッド6の吐出面6aから離
れるようにしている。なお、キャップ手段22は、それ
ぞれ吸引チューブ26を介して吸引ポンプ27に接続す
ると共に、大気開放口を形成して、大気開放チューブ及
び大気開放バルブを介して大気に連通している。また、
吸引ポンプ27は吸引した廃液をドレインチューブ等を
介して図示しない廃液貯留槽に排出する。さらに、ホル
ダ23の側方には、インクジェットヘッド6の吐出面6
aをワイピングする繊維部材、発泡部材或いはゴム等の
弾性部材からなるワイピング手段であるワイパブレード
28をブレードアーム29に取付け、このブレードアー
ム29は揺動可能に軸支し、図示しない駆動手段で回動
されるカムの回転によって揺動させるようにしている。
【0047】次に、インクカートリッジ7について図
2、図3を参照して説明する。ここで、図2は記録装置
に装填する前のインクカートリッジの外観斜視図、図3
はインクカートリッジの正断面図である。インクカート
リッジ7は、図3に示すように、カートリッジ本体41
内に所要の色のインクを吸収させたインク吸収体42を
収容してなる。カートリッジ本体41は、上部に広い開
口を有するケース43の上部開口に上蓋部材44を接着
又は溶着して形成したものであり、例えば樹脂成型品か
らなる。また、インク吸収体42は、ウレタンフォーム
体等の多孔質体からなり、カートリッジ本体41内に圧
縮して挿入した後、インクを吸収させている。
【0048】カートリッジ本体41のケース43底部に
は記録ヘッド6へインクを供給するためのインク供給口
45を形成し、このインク供給口45内周面にはシール
リング46を嵌着している。また、上蓋部材44には大
気開放口47を形成している。そして、カートリッジ本
体41には、装填前の状態で、インク供給口45を塞ぐ
と共に装填時や輸送時などのカートリッジ取扱い時、或
いは真空包装時による幅広側壁に係る圧力でケース43
が圧縮変形されて内部のインクが漏洩することを防止す
るため、キャップ部材50を装着している。また、大気
開放口47は、図2に示すように、酸素透過率が100
ml/m2以上のフィルム状シール部材55を上蓋部材
44に貼着してシールしている。このシール部材55は
大気開放口47と共にその周囲に形成した複数本の溝4
8をもシールする大きさにしている。このように大気開
放口47を酸素透過率が100ml/m2 以上のシール
部材55でシールすることで、インクカートリッジ7を
透気性のないアルミラミネートフィルム等の包装部材を
用いて減圧状態で包装することにより、インク充填時や
インク吸収体42とカートリッジ本体41との間に生じ
る空間A(図3参照)にある大気のためにインク中に気
体が溶存したときでも、シール部材55を介してインク
中の空気が真空度の高いカートリッジ本体41外の包装
部材との間の空間に排出され、インクの脱気度が向上す
る。
【0049】本発明のインクを収容したインク収容部
と、インク滴を吐出させるためのヘッド部を備えたイン
クカートリッジの構成例を図4に示し、説明する。すな
わち、インクカートリッジ30は、シリアルタイプのも
のであり、インクジェットヘッド6と、このインクジェ
ットヘッド6に供給されるインクを収容するインクタン
ク41と、このインクタンク41内を密閉する蓋部材と
で主要部が構成される。インクジェットヘッド6には、
インクを吐出するための多数のノズル32が形成されて
いる。インクはインクタンク41から、図示しないイン
ク供給管を介して、やはり図示しない共通液室へと導か
れ、電極31より入力される記録装置本体からの電気信
号に応じて、ノズル32より吐出される。
【0050】インク滴を吐出させるためのヘッド部につ
いて、図5に構成例を示し説明する。図5は静電方式の
ヘッド部全体の断面側面図である。この構成例のヘッド
は3枚のシリコンの単結晶基板101,102(102
a及び102b),103を重ねて接合した積層構造の
ものである。シリコンの単結晶基板の使用は、インクを
吐出させるための薄い振動板(数μm程度の厚さ)をエ
ッチングで作製する際に加工上好適であり、また、数μ
m程度のギャップを高精度に後述する陽極接合で形成す
る際にも好都合な材料である。さらにまた、静電気力を
働かせて振動板を振動させる際には、電極に電圧を印加
して静電気力を発生させる必要性があるが、シリコンは
半導体であり、低抵抗とすることができるため、振動板
側の電極の代用をすることができ、振動板側に個別に電
極を設ける必要性がない等の利点を有する。
【0051】その中間の第1基板101は、底壁を振動
板105とする液室106を構成する凹部と、凹部の後
部に設けられた流体抵抗部7を構成するインク流入口の
ための細溝と、液室106にインクを供給するための共
通のインクキャビティ108を構成する凹部を有する。
次に、第1基板101の下面に接合される下側の第2基
板102は102bの単結晶シリコン基板上に102a
のシリコン酸化膜を設けたものである。前記第1基板1
02aには振動板105とほぼ同じ形状の電極121が
形成される。電極121は(電極)端子部123を有
し、電極の(電極)端子部123を除き、電極121及
び電極のリード部全体を絶縁膜122で被覆している。
第2基板はシリコン以外にも例えばパイレックス(登録
商標)ガラス等を使用したものも知られている。次に、
第1基板101の上面に接合される上側の第3基板10
3によって、前記ノズル孔104,インク吐出室10
6,流体抵抗部107及びインクキャビティ108が構
成される。そして基板103にはインクキャビティ10
8に連通するインク供給口131を穿設する。インク供
給口131は図示しない接続パイプ及びチューブを介し
て図示しないインクカートリッジに接続される。第3基
板はシリコン以外にも、例えばガラス,ニッケル、プラ
スチック,ステンレス等を使用したものも知られてい
る。
【0052】上記のようにして構成された静電気力を利
用する構成例のインクジェットヘッドでは、電極121
に発振回路142より正のパルス電圧を印加すると、電
極121の表面がプラス電位に帯電し、対応する振動板
105の下面がマイナス電位に帯電して、振動板105
が静電気の吸引作用により下方へ撓む。次に、電極12
1へのパルス電圧の印加をOFFすると、撓んだ振動板
105が復元するため、液室106内の圧力が急激に上
昇し、ノズル孔104よりインク液滴141が形成さ
れ、図示しない受像体に向けてインク吐出が行われる。
そして、さらに、振動板105が再び下方へ撓むことに
より、インクがインクキャビティ108より流体抵抗部
107を通じて液室106内に補給される。発振回路1
42には、上記のようにパルス電圧をON/OFFさせ
るものや交流電源等が用いられる。記録にあたっては、
それぞれのノズル孔104の電極121に印加すべき電
気パルスを制御して行う。
【0053】本発明のインクは、上記の構成例のような
プリンタに使用されるシリコン及びシリコン酸化物の溶
出を抑制でき、プリンタの設計精度の低下によるインク
滴の大きさや吐出速度の変化による画像品質の低下、吐
出不良の発生、結合部の接合強度の低下による故障とい
った問題を防止し、またインクへのシリコン溶出による
目詰まりを防止することができる。
【0054】[実施例]以下に本発明の実施例および比
較例を示す。尚、特に記載の無い限り添加比率は有効成
分の重量%を指す。 (評価方法) 1) 信頼性試験 実施例および比較例それぞれで調製したインクを前記し
た図5に示す構成のヘッドを搭載したプリンタを用いて
印字試験を実施し、信頼性試験を行った。尚、図5の構
成のヘッドは、下記の条件で作製したものを用いた。第
1基板101は両面研磨された(110)面方位のp型
単結晶シリコンウェハ、第2基板は両面研磨された(1
00)面方位のp型単結晶シリコンウェハ102bと熱
酸化膜102aからなり、これら基板をマスク及びアル
カリ液による異方性エッチングを施すことにより図5に
示したように液室106,流体抵抗部107及びインク
キャビティ108等に相当する各凹部を形成し、更に電
極121,電極リード部,電極端子123、絶縁膜12
2を形成した。振動板105の厚さは20μmで、熱酸
化処理によりシリコン酸化物の膜を1000Å設けた。
さらに、図5のように第1基板101の上側に、両面研
磨された(100)面方位のn型単結晶シリコンウェハ
に異方性のドライエッチングによりノズル孔104,イ
ンク供給口131等を形成し、第3基板103を接合
し、発振回路142等を図のように接続して電極端子1
23に正のパルス電圧を印加して印字した。よってイン
クと接する面は、振動板が110面の上に熱酸化処理に
よりシリコン酸化物の膜を1000Å設けた面、液室が
100面、110面及び111面のシリコン、ノズルが
100面及び異方性のドライエッチの面のシリコン、流
体抵抗部が100面、110面のシリコンからなる。
【0055】また、プリンタの印字条件は下記の通りで
行った。 駆動周波数:12KHz 駆動電圧:23v ノズル直径:30μm 液滴体積:30pl/dot ノズル数:48ノズル ドット密度:600dpi
【0056】2) 印字休止後印字試験、シリコン接液
性 上記プリンタにインクを充填したまま50℃、60%R
Hの環境下に1か月間プリンターを放置した後、印字を
行い正常な印字が可能か否かを試験した。また、シリコ
ンの厚さ変化量及び酸化膜の膜厚変化量を測定した。
【0057】3) 画像濃度・裏抜け濃度 実施例1〜4、比較例1〜6で作製したインクを用い
て、市販のコピー用紙3種、ボンド紙3種上に各色のベ
タ印字を行なった。印字した画像サンプルの反射濃度を
X−Rite社製反射型カラー分光測色濃度計で測定
し、画像濃度・裏抜け濃度を調べた。裏抜け濃度は測定
値から地肌濃度を引いたものである。その結果、印字面
濃度ODが黒ではOD≧1.35、カラーではOD≧
0.9となるもの、また裏抜け濃度ODrが黒ではOD
r≦0.05、カラーではODr≦0.04となるもの
を○印で示した。
【0058】4) 画像滲みの評価 実施例1〜4、比較例1〜6で作製したインクを用いて
市販普通紙に文字を印刷し、その輪郭の滲み具合を評価
した。 ○:にじみが殆ど目立たない △:やや滲みが目立つ ×:滲みがひどく、画質を損ねている
【0059】5) インクの保存安定性 実施例および比較例の各イエローインクをポリエチレン
製の容器に入れ、−20℃、4℃、20℃、50℃、7
0℃、それぞれの条件下で3か月間保存し、保存前後の
粘度、表面張力、電気伝導度の変化および平均粒径を調
べた。どの条件下で保存しても、物性変化がなく、平均
粒径が1μm以下だったものを問題なしとした。
【0060】6) 画像の耐光性 画像サンプルをフェードメーター(キセノン・アーク
灯、63℃)に120時間かけ、光照射前後の画像濃度
をX−Rite社製反射型カラー分光測色濃度計で測定
した。 褪色率(%)=[1−(光照射後の画像濃度/光照射前
の画像濃度)]×100
【0061】7) 画像の耐水性 画像サンプルを25℃の純水に5分間浸し、浸水前後の
画像濃度をX−Rite社製反射型カラー分光測色濃度
計で測定した。 褪色率(%)=[1−(浸水後の画像濃度/浸水前の画
像濃度)]×100
【0062】8) ゼータ電位 Matec Applled Sciences社製E
SA−8000を用いて作製したインク中の分散粒子の
ゼータ電位を求めた。
【0063】9) 初期平均粒子径 Leeds&Northrup社製MICROTRAC
UPA150を用いて平均粒子径を求めた。
【0064】実施例1 以下に示した組成物を充分に攪拌した後ナノマイザーを
用いて分散し、水を加えて転相乳化を行った後加熱しな
がら有機溶媒と水の一部を除去して、最終的には固形分
10%のマイクロカプセル分散溶液を得た。 (マイクロカプセル溶液1) スチレン−アクリル酸−メタアクリル酸樹脂 20.0% カーボンブラック 20.0% メチルエチルケトン 55.0% ジメチルエタノールアミン 5.0% 次に下記処方の組成物を混合した後、0.8μmのテフ
ロン(登録商標)フィルターでろ過し、顔料含有量3%
のインクを作製した。 (インク1) (マイクロカプセル溶液1) 20.0% N−メチル−2−ピロリドン 5.0% ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0% イオン交換水 残量 初期印字試験では、表1に示したような鮮明な画像が得
られた。印字休止後の印字でもなんらの回復手段を用い
ることなく正常な印字が可能であった。シリコン接液性
では、シリコンの厚さ変化量は100面が約0.18μ
m、110面が約0.08μm、111面が約0.05
μmであり、液室、流体抵抗部、ノズルとして問題の無
い厚さの変化量であった。また、110面のシリコン酸
化膜の膜厚変化量は約5Åであり、振動板として問題の
無い膜厚変化量であった。また、インクの保存性に問題
はなかった。
【0065】実施例2 以下に示した組成物を攪拌し、水酸化ナトリウムを中和
剤として水中で転相乳化を行い、その後メチルエチルケ
トンを除去し、固形分濃度30wt%のマイクロカプセ
ル分散体を得た。 (マイクロカプセル液2) C.I.ピグメントイエロー74 20.0% スチレンアクリル酸(酸価180、分子量25000) 30.0% グリセリン 2.0% メチルイソプロピルケトン 50.0% 次に下記処方の組成物を混合した後、0.8μmのテフ
ロンフィルターでろ過し、顔料含有量3%のインクを作
製した。 (インク2) (マイクロカプセル溶液2) 10.0% グリセリン 15.0% イソプロピルアルコール 5.0% イオン交換水 残量 初期印字試験では、表1に示したような鮮明な画像が得
られた。印字休止後の印字でもなんらの回復手段を用い
ることなく正常な印字が可能であった。シリコン接液性
では、シリコンの厚さ変化量は100面が約0.13μ
m、110面が約0.06μm、111面が約0.03
μmであり、液室、流体抵抗部、ノズルとして問題の無
い厚さの変化量であった。また、110面のシリコン酸
化膜の膜厚変化量は約4Åであり、振動板として問題の
無い膜厚変化量であった。また、インクの保存性に問題
はなかった。
【0066】実施例3 以下の組成物を混合後、ホモジナイザーを用いて乳化分
散し、この乳化分液に対してトリエチレンジアミンの1
0%水溶液を攪拌しながら添加した後、加熱し固形分濃
度30wt%のマイクロカプセル分散体を得た。 (マイクロカプセル液3) C.I.ピグメントレッド122 10.0% ポリイソシアネート 10.0% 酢酸エチル 50.0% ポリビニルアルコール 3.0% イオン交換水 残量 次に下記処方の組成物を混合した後、0.8μmのテフ
ロンフィルターでろ過し、顔料含有量3%のインクを作
製した。 (インク3) (マイクロカプセル溶液3) 20.0% ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 0.8% トリエチレングリコール 10.0% イオン交換水 残量 初期印字試験では、表1に示したような鮮明な画像が得
られた。印字休止後の印字でもなんらの回復手段を用い
ることなく正常な印字が可能であった。シリコン接液性
では、シリコンの厚さ変化量は100面が約0.14μ
m、110面が約0.09μm、111面が約0.05
μmであり、液室、流体抵抗部、ノズルとして問題の無
い厚さの変化量であった。また、110面のシリコン酸
化膜の膜厚変化量は約5Åであり、振動板として問題の
無い膜厚変化量であった。また、インクの保存性に問題
はなかった。
【0067】実施例4 以下に示した組成物のうち、C.I.ピグメントブルー
15:3とスチレン−アクリル酸−メタアクリル酸樹脂
を充分混練した後、残りの組成物と混合してからナノマ
イザーを用いて分散し、さらに転相乳化を行った後、有
機溶媒と水の一部を除去して固形分20%のマイクロカ
プセル分散溶液を得た。 (マイクロカプセル溶液4) C.I.ピグメントブルー15:3 10.0% スチレン−アクリル酸−メタアクリル酸樹脂 10.0% トリエタノールアミン 2.0% グリセリン 2.0% メチルエチルケトン 20.0% イソプロピルアルコール 10.0% イオン交換水 残量 次に下記処方の組成物を混合した後、0.8μmのテフ
ロンフィルターでろ過し、顔料含有量5%のインクを作
製した。 (インク4) (マイクロカプセル溶液4) 20.0% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0% チオジグリコール 10.0% N−メチル−2−ピロリドン 5.0% イオン交換水 残量 初期印字試験では、表1に示したような鮮明な画像が得
られた。印字休止後の印字でもなんらの回復手段を用い
ることなく正常な印字が可能であった。シリコン接液性
では、シリコンの厚さ変化量は100面が約0.22μ
m、110面が約0.15μm、111面が約0.08
μmであり、液室、流体抵抗部、ノズルとして問題の無
い厚さの変化量であった。また、110面のシリコン酸
化膜の膜厚変化量は約3Åであり、振動板として問題の
無い膜厚変化量であった。また、インクの保存性に問題
はなかった。
【0068】比較例1 下記の組成物をホモジナイザーを用いて粗分散を行な
い、次にナノマイザーを用いて分散し顔料分散液1を作
製した。 (顔料分散液1) 表面をプラズマ処理したカーボンブラック 10.0% スチレン無水マレイン酸共重合体 5.0% イオン交換水 残量 次に下記処方の組成物を混合した後、0.8μmのテフ
ロンフィルターでろ過し、インクを作製した。 (インク5) (顔料分散液1) 50.0% ジエチレングリコール 10.0% N−メチル−2−ピロリドン 5.0% ジエチレングリコールモノブチルエーテル 2.0% イオン交換水 残量 このインクを実施例1と同様にプリンタに充填して、印
字および保存試験を行った。このインクでは、実施例1
と同等の初期画像が得られたが、印字休止後噴射応答性
試験では、インクへのシリコンの溶出により顔料の分散
安定性が悪くなったために10/48ノズルに吐出不良
が発生した。シリコン接液性では、シリコンの厚さ変化
量は100面が約6.1μm、110面が約4.1μ
m、111面が約0.72μmであり、液室、流体抵抗
部、ノズルとして精度の問題が発生する変化量であり、
また110面のシリコン酸化膜は全て溶出しており、振
動板として問題となる変化量であった。インクの保存性
に問題はなかった。
【0069】比較例2 下記の組成物を用いて、比較例1と同様に顔料分散液と
インクを調整した。 (顔料分散液2) C.I.ピグメントイエロー13 10.0% ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド 5.0% イオン交換水 残量 (インク6) (顔料分散液1) 50.0% グリセリン 15.0% イソプロピルアルコール 5.0% イオン交換水 残量 このインクを実施例1と同様にプリンタに充填して、印
字および保存試験を行った。このインクでは、実施例1
と同等の初期画像が得られたが、印字休止後噴射応答性
試験では、インクへのシリコンの溶出により顔料の分散
安定性が悪くなったために25/48ノズルに吐出不良
が発生した。シリコン接液性では、シリコンの厚さ変化
量は100面が約7.9μm、110面が約3.9μ
m、111面が約0.64μmであり、液室、流体抵抗
部、ノズルとして精度の問題が発生する変化量であり、
また110面のシリコン酸化膜は全て溶出しており、1
0/48の振動板が、薄くなったために振動に耐えられ
ず破損していた。インクの保存性に問題はなかった。
【0070】比較例3 下記の組成物を用いて、比較例1と同様に顔料分散液と
インクを調整した。 (顔料分散液3) C.I.ピグメントレッド122 10.0% ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル 5.0% イオン交換水 残量 (インク7) (顔料分散液3) 50.0% ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 0.8% トリエチレングリコール 10.0% イオン交換水 残量 このインクを実施例1と同様にプリンタに充填して、印
字および保存試験を行った。このインクでは、実施例1
と同等の初期画像が得られたが、印字休止後噴射応答性
試験では、インクへのシリコンの溶出により顔料の分散
安定性が悪くなったために12/48ノズルに吐出不良
が発生した。シリコン接液性では、シリコンの厚さ変化
量は100面が約7.2μm、110面が約3.3μ
m、111面が約0.81μmであり、液室、流体抵抗
部、ノズルとして精度の問題が発生する変化量であり、
また110面のシリコン酸化膜は全て溶出しており、振
動板として問題となる変化量であった。インクの保存性
に問題はなかった。
【0071】比較例4 下記の組成物を用いて、比較例1と同様に顔料分散液と
インクを調整した。 (顔料分散液4) C.I.ピグメントブルー15:3 10.0% ジポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸 5.0% イオン交換水 残量 (インク8) (顔料分散液4) 50.0% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0% チオジグリコール 10.0% N−メチル−2−ピロリドン 5.0% イオン交換水 残量 このインクを実施例1と同様にプリンタに充填して、印
字および保存試験を行った。このインクでは、実施例1
と同等の初期画像が得られたが、印字休止後噴射応答性
試験では、インクへのシリコンの溶出により顔料の分散
安定性が悪くなったために4/48ノズルに吐出不良が
発生した。シリコン接液性では、シリコンの厚さ変化量
は100面が約6.8μm、110面が約2.4μm、
111面が約0.70μmであり、液室、流体抵抗部、
ノズルとして精度の問題が発生する変化量であり、また
110面のシリコン酸化膜は全て溶出しており、振動板
として問題となる変化量であった。
【0072】比較例5 (インク9) (マイクロカプセル溶液1) 60.0% サーフィノール465 1.2% トリエタノールアミン 10.0% イオン交換水 残量 初期印字試験では、印字中に5/48ノズルが吐出不能
となったためクリーニング動作を3回行ったところ、全
ノズル吐出可能となり、表1に示したような画像が得ら
れた。印字休止後の印字では、印字前に7回のクリーニ
ング動作を行うことで全ノズルから吐出が可能になっ
た。シリコン接液性では、シリコンの厚さ変化量は10
0面が約0.38μm、110面が約0.19μm、1
11面が約0.11μmであり、液室、流体抵抗部、ノ
ズルとして問題の無い厚さの変化量であった。また、1
10面のシリコン酸化膜の膜厚変化量は約7Åであり、
振動板として問題の無い膜厚変化量であった。また、イ
ンクの保存性試験では保存後平均粒径が282nmに増
大した。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】以上のように、請求項1のインクジェッ
ト記録用インクによれば、少なくとも着色剤を内包した
マイクロカプセルを含み、かつζ電位が−20V以下で
あることから、プリンタに使用されるシリコン及びシリ
コン酸化物の溶出を抑制でき、プリンタの設計精度の低
下によるインク滴の大きさや吐出速度の変化による画像
品質の低下、吐出不良の発生、結合部の接合強度の低下
による故障といった問題を防止すると共にインクへのシ
リコン溶出による目詰まりを防止することができる。ま
た、耐水性・耐光性といった画像堅牢性に優れ、鮮明で
滲みのない画像を形成することができる。
【0075】請求項2のインクジェット記録用インクに
よれば、着色剤を内包したマイクロカプセルに親水性を
付与することから、カプセルの分散安定性を高め、目詰
まりや噴射方向曲がりのない吐出安定性の高い印字を行
うことができる。
【0076】請求項3のインクジェット記録用インクに
よれば、顔料を内包したマイクロカプセルを含有するこ
とにより、耐水性・耐光性といった画像堅牢性に優れた
画像を形成することができる。
【0077】請求項4のインクジェット記録用インクに
よれば、顔料を内包したマイクロカプセルの平均粒子径
が0.01〜0.2μmであり、また顔料の含有量がイ
ンク全重量に対して0.1〜10重量%であることか
ら、目詰まりや噴射方向曲がりのない吐出安定性の高い
印字を行うことができる。また顔料の分散安定性が阻害
されることなく保存安定性を示し、高い印字濃度と良好
な色調を持った画像を形成することができる。
【0078】請求項5のインクジェット記録方法によれ
ば、精密さが要求される液室部材のシリコン溶出を抑制
できので、液室容積が大きくなること無く所望の液室容
積を維持することができ、さらにインク滴の大きさや吐
出速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発生を
防止することができる。
【0079】請求項6のインクジェット記録方法によれ
ば、精密さが要求される流体抵抗部のシリコン溶出を抑
制できるので、流体抵抗が変化すること無く所望の流体
抵抗を維持することでき、さらにインク滴の大きさや吐
出速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発生を
防止することができる。
【0080】請求項7のインクジェット記録方法によれ
ば、精密さが要求される振動板のシリコン溶出を抑制で
きるので、振動板の厚さが減少すること無く所望の振動
板の厚さを維持することでき、さらにインク滴の大きさ
や吐出速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発
生、振動板の破損を防止することができる。
【0081】請求項8のインクジェット記録方法によれ
ば、精密さが要求されるノズルのシリコン溶出を抑制で
きるので、ノズルの径が拡大すること無く所望のノズル
径を維持することでき、さらにインク滴の大きさや吐出
速度の変化による画像品質の低下や吐出不良の発生を防
止することができる。
【0082】請求項9のインクジェット記録用カートリ
ッジによれば、インク収容部に上記本発明のインクが用
いられるため、プリンタに使用されているシリコンやシ
リコン酸化物の溶出が抑制され、画像品質の低下など上
述の問題が防止できるのみでなく、インク中へのシリコ
ン溶出による目詰まりが防止され、さらに、画像堅牢性
に優れ鮮明で滲みのない画像を形成することができる。
【0083】請求項10の記録ヘッド部を有するインク
ジェット記録用カートリッジによれば、インク収容部に
上記本発明のインクが用いられるため、記録ヘッドなど
に使用されているシリコンやシリコン酸化物の溶出が抑
制され、画像品質の低下など上述の問題が防止できるの
みでなく、インク中へのシリコン溶出による目詰まりが
防止され、さらに、画像堅牢性に優れ鮮明で滲みのない
画像を形成することができる。
【0084】請求項11の記録ヘッド部を有するインク
ジェット記録用カートリッジによれば、インク収容部に
上記本発明のインクが用いられるため、精密さが要求さ
れる液室部材のシリコン溶出を抑制でき、液室容積が大
きくなること無く所望の液室容積を維持することができ
ると共にインク滴の大きさや吐出速度の変化による画像
品質の低下や吐出不良の発生を防止することができる。
【0085】請求項12の記録ヘッド部を有するインク
ジェット記録用カートリッジによれば、インク収容部に
上記本発明のインクが用いられるため、精密さが要求さ
れる流体抵抗部のシリコン溶出を抑制でき、流体抵抗部
が変化すること無く所望の流体抵抗を維持することでき
ると共にインク滴の大きさや吐出速度の変化による画像
品質の低下や吐出不良の発生を防止することができる。
【0086】請求項13の記録ヘッド部を有するインク
ジェット記録用カートリッジによれば、インク収容部に
上記本発明のインクが用いられるため、精密さが要求さ
れる振動板のシリコン溶出を抑制でき、振動板の厚さが
減少すること無く所望の振動板の厚さを維持することで
きると共にインク滴の大きさや吐出速度の変化による画
像品質の低下や吐出不良の発生、また振動板の破損を防
止することができる。
【0087】請求項14の記録ヘッド部を有するインク
ジェット記録用カートリッジによれば、インク収容部に
上記本発明のインクが用いられるため、精密さが要求さ
れるノズルのシリコン溶出を抑制でき、ノズル径が拡大
すること無く所望のノズル径を維持することできると共
にインク滴の大きさや吐出速度の変化による画像品質の
低下や吐出不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクカートリッジを搭載するシリアル型イン
クジェット記録装置の構成例を示す概略正面図。
【図2】記録装置に装填する前のインクカートリッジの
外観斜視図。
【図3】インクカートリッジの正断面図。
【図4】記録ヘッドと一体化されたインクカートリッジ
の外観斜視図。
【図5】記録ヘッド部全体の断面側面図。
【符号の説明】
3 ガイドロッド 4 従支持ガイドロッド 5 キャリッジユニット 6 ヘッド 7 インクカートリッジ 11 タイミングベルト 15 搬送ロ−ラ 16 用紙 21 信頼性維持回復機構 22 キャップ 23 ホルダ 26 吸引チューブ 27 吸引ポンプ 30 インクカートリッジ 31 電極 32 ノズル 41 カートリッジ本体 42 吸収体 43 ケース 45 インク供給口 46 シールリング 47 大気開放口 50 キャップ部材 55 フィルム状シール部材 101,102,103 単結晶基板 104 ノズル孔 105 振動板 106 液室 107 流体抵抗部 108 インクキャビテイ ー 121 電極 122 絶縁膜 123 端子部 131 インク供給口 141 インク液滴 142 発振回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 希世文 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C056 EA21 FC01 HA17 KC01 2H086 BA55 BA60 BA62 4J039 AD03 AD09 AD13 AD14 BE01 BE02 BE12 BE15 BE22 CA06 CA11 GA24

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクと接する部材の少なくとも一部が
    シリコンまたはシリコン酸化物で形成されたインクジェ
    ットプリンタに使用されるインクであって、少なくとも
    着色剤を内包したマイクロカプセルを含み、かつゼータ
    電位が−20V 以下であることを特徴とするインクジェ
    ット記録用インク。
  2. 【請求項2】 前記マイクロカプセルが親水性を付与し
    た樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載のインクジェット記録用インク。
  3. 【請求項3】 前記マイクロカプセルに内包される着色
    剤が顔料であることを特徴とする請求項1または2に記
    載のインクジェット記録用インク。
  4. 【請求項4】 顔料を内包したマイクロカプセルの平均
    粒子径が0.01〜0.2μmであり、また顔料の含有
    量がインク全重量に対して0.1〜10重量%であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録用
    インク。
  5. 【請求項5】 液室部材が単結晶シリコンをエッチング
    処理することにより溝が形成されたインクジェットプリ
    ンタと請求項1乃至4のいずれか1項記載のインクを用
    いて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方
    法。
  6. 【請求項6】 流体抵抗部が単結晶シリコンをエッチン
    グ処理することにより形成されたインクジェットプリン
    タと請求項1乃至4のいずれか1項記載のインクを用い
    て記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方
    法。
  7. 【請求項7】 振動板が単結晶シリコンをエッチング処
    理することにより形成されたインクジェットプリンタと
    請求項1乃至4のいずれか1項記載のインクを用いて記
    録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 【請求項8】 ノズルが単結晶シリコンをエッチング処
    理することにより形成されたインクジェットプリンタと
    請求項1乃至4のいずれか1項記載のインクを用いて記
    録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 【請求項9】 インクを収容したインク収容部からなる
    インクジェット記録用インクカートリッジにおいて、前
    記インクが請求項1乃至4のいずれか1項記載のインク
    であることを特徴とするインクインクジェット記録用カ
    ートリッジ。
  10. 【請求項10】 インクを収容したインク収容部と、イ
    ンク液滴を吐出させるための記録ヘッド部からなるイン
    クジェット記録用カートリッジにおいて、前記インクが
    請求項1乃至4のいずれか1項記載の水溶性インクであ
    ることを特徴とするインクジェット記録用カートリッ
    ジ。
  11. 【請求項11】 液室部材が単結晶シリコンをエッチン
    グ処理することにより溝が形成された記録ヘッド部を備
    えたことを特徴とする請求項10記載のインクジェット
    記録用カートリッジ。
  12. 【請求項12】 流体抵抗部が単結晶シリコンをエッチ
    ング処理することにより形成された記録ヘッド部を備え
    たことを特徴とする請求項10記載のインクジェット記
    録用カートリッジ。
  13. 【請求項13】 振動板が単結晶シリコンをエッチング
    処理することにより形成された記録ヘッド部を備えたこ
    とを特徴とする請求項10記載のインクジェット記録用
    カートリッジ。
  14. 【請求項14】 ノズルが単結晶シリコンをエッチング
    処理することにより形成された記録ヘッド部を備えたこ
    とを特徴とする請求項10記載のインクジェット記録用
    カートリッジ。
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