JP4422316B2 - 記録液、記録液カートリッジ、記録装置及び記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自己分散型有機顔料、記録液、記録液カートリッジ、記録装置、記録方法及び記録媒体に関し、さらに詳しくは、印刷用、筆記用、記録計用、インクジェット記録用の記録液に用いて好適な自己分散型有機顔料、この顔料を含有する記録液、この記録液を収容したインクジェット記録用記録液カートリッジ、この記録液カートリッジを備えた記録装置、上記記録液又はカートリッジを用いる記録方法及びこの記録装置又は記録方法に用いられる記録媒体に関するものであり、特に、インクジェット記録方法を用いて普通紙に高速で印字した際にも、吐出安定性や保存安定性に優れ、かつ色調、耐水性、耐光性等の画像堅牢性の良好な画像を与えることのできる自己分散型有機顔料を含有する記録液、記録液カートリッジ、記録装置、記録方法及びこれらに用いられる記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録液(以下、インクということもある)をノズルから吐出させて画像の記録を行なうインクジェット記録法は、普通紙への印字が可能なこと、カラー化への対応が容易なこと、駆動時の騒音が少ないこと、消費電力が低いこと等から、コンピューターで作成した文書や画像の出力用プリンターとして、近年、急速に普及しつつある。
最近では、インクジェット記録技術の進歩により、表面に特殊加工を施した専用紙を用いて、写真並みの高品質画像が得られるようになってきているが、さらにオフィス用途のプリンターとしての開発も進められている。
この場合には、画像品質に加え、レーザープリンター並みの高速印字や、また、安価な記録媒体である普通紙を用いた場合においても、高い画像品質が得られることが必要である。
また、プリンターの高速化(水分蒸発の加速化)、一層の高解像度化(小液滴化のための小ノズル径化)に伴い、印字中や印字休止後の再吐出時のノズルの吐出信頼性を高める要求も、ますます増大してきている。
【0003】
現在、インクジェット記録方法には、着色剤として染料を用いたインクが多く用いられているが(特開平05−194889号公報、特開平09−003380号公報、特開平11−158424号公報)、染料を用いたインクは、発色が良好で、色再現域が広いものの、耐水性や耐光性等、画像の耐久性に劣るという欠点がある。
これに対し、顔料を用いたインクは、画像の耐久性にはきわめて優れているが、インクの吐出不良を生じ易いという問題がある。
顔料のビヒクルに対する分散安定性が不充分であると、顔料の凝集体が生成してヘッドノズルの目詰まりを引き起こすこととなる。
長時間の連続印字時は、ノズル先端におけるインクの水分蒸発によって系が不安定となるため、このような顔料の分散破壊がさらに生じ易い。
また、印字をしばらく休止した後、ノズル先端で生じた凝集体が新たに供給されるインクに対して容易に再分散しないと、印字再開時のインクの吐出悪化や噴射方向曲がりの原因ともになることが考えられる。
【0004】
このような顔料の分散安定性や再分散性を向上させるために、両親媒性の高分子物質又は界面活性剤等を顔料の表面に物理吸着させ、溶媒との親和性を高める方法が知られている(特開平08−253719号公報、特開平10−081843号公報、特開平11−012508号公報、特開平11−263930号公報)。
しかし、分散剤が顔料表面から脱離することによる分散安定性の低下や、水分蒸発時に脱離した分散剤分子相互の絡み合いによるノズル部分におけるインク粘度の上昇等、インクとしての信頼性は、いまだ十分なものではなかった。
このような分散剤を用いたタイプの分散体では、記録媒体へのインクの浸透性を調節するために、界面活性剤や多価アルコールが添加されるが(特開平06−008416号公報、特開平09−268266号公報、特開平10−046069号公報、特開平11−349871号公報)、この場合、さらに顔料の分散安定性が低くなり、画像品質とプリンターとしての信頼性を両立することはきわめて困難であった。
【0005】
一方、顔料の表面を改質するものとして、分子末端に親水性基を持った化合物を表面に化学的に結合させ、溶媒や分散剤との濡れ性を向上させるという方法も試みられている(特開平11−349848号公報、特開2000−007964号公報、特開2000−017187号公報)。
しかしながら、現在のところ、このような方法は、カーボンブラックを対象としており、カーボンブラックとは異なる有機顔料の表面改質には、そのまま採用することのできない方法であった。
また、同じような官能基を持った有機顔料であっても、その発色団に改質の影響が及ぶと、色調が大きく変化してしまうため、その微妙な反応の制御に多大の困難を強いられることとなっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の欠点を解消し、印刷用、筆記用、記録計用、インクジェット記録用の記録液に用いて好適な自己分散型有機顔料、この顔料を含有する記録液、この記録液を収容したインクジェット記録用記録液カートリッジ、この記録液カートリッジを備えた記録装置、上記記録液又はカートリッジを用いる記録方法及びこの記録装置又は記録方法に用いられる記録媒体を提供し、特にインクジェット記録方法を用いて普通紙に高速で印字した際にも、吐出安定性や保存安定性に優れ、かつ色調、耐水性、耐光性等の画像堅牢性の良好な画像を与えることのできる自己分散型有機顔料を含有する記録液、記録液カートリッジ、記録装置、記録方法及びこれらに用いられる記録媒体を提供することをその課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、着色剤及び水を含有する記録液における着色剤に着目し鋭意検討を重ねた結果、着色剤として、芳香族環を有する有機顔料に、連結基を介して親水性基が結合された自己分散型有機顔料が、印刷用、筆記用、記録計用、インクジェット記録用の記録液に用いて好適な自己分散型有機顔料となるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明によれば、第1に、芳香族環を有する有機顔料に、連結基を介して親水性基が結合されていることを特徴とする自己分散型有機顔料が提供され、第2に、着色剤及び水を含有する記録液であって、該着色剤が、第1の自己分散型有機顔料であることを特徴とする記録液が提供され、第3に、記録液を収容したインクジェット記録用記録液カートリッジであって、該記録液が、第2の記録液であることを特徴とする記録液カートリッジが提供され、第4に、記録液を収容した収容部を有する記録液カートリッジと記録液滴を吐出させるための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置又は記録液を収容した収容部と記録液滴を吐出させるための記録ヘッドとからなる記録液カートリッジを備えたインクジェット記録装置であって、該記録液が、第2の記録液であり、該記録液カートリッジが、第3の記録液カートリッジであることを特徴とする記録装置が提供され、第5に、記録信号に応じて、記録液を噴射して記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法において、該記録液として、第2の記録液又は該記録液カートリッジとして、第3の記録液カートリッジを用いることを特徴とする記録方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、第1に、芳香族環を有する有機顔料に、連結基を介して親水性基が結合されていることを特徴とする自己分散型有機顔料を提供する。
ここに、自己分散型有機顔料とは、特に分散剤を用いることなく、水性媒体中に安定的に分散させることができる顔料をいう。
この自己分散型有機顔料を開発すめため、本発明者らは、種々検討を重ねた結果、芳香族環を有する有機顔料を用い、この顔料に、連結基を介して親水性基を結合させることによって、自己分散性に優れ、さらに再分散性もきわめて良好な顔料となるということを見出した。
この自己分散型有機顔料は、印刷用、筆記用、記録計用、インクジェット記録用の記録液に用いて好適な顔料であり、長時間連続吐出時や印字休止後の再吐出時にも、ノズルの目詰まりや噴射曲がりといった吐出不良がなく、安定した印字を行うことができるものとなる。
さらに、ノズル部や維持機構部においてインクの主溶媒が蒸発し、顔料の緩やかな凝集体が形成されても、新しいインクがそこに供給されれば、直ちに再分散されるために、不具合の起こらない記録液となるのである。
【0010】
本発明の自己分散型有機顔料は、親水性基が顔料粒子の表面にのみ連結基を介して結合されているものである。
顔料分子の一つ一つに親水性基を結合させるという試みは、これまでにも行われていたが、これは顔料の染料化であって、反応の結果、顔料の長所である耐候性を大きく低下させるという問題があった。
また、顔料分子に直接、官能基を結合させると、発色団に影響を及ぼし、色調を変化させる可能性の高いものとなる。
本発明においては、顔料粒子の表面の分子にのみ親水性基を結合させるため、耐候性の低下や色調の変化を来すことなく、安定性を向上させることができるのである。
【0011】
本発明の自己分散型有機顔料と、処理を施さない顔料や従来の分散剤を用いるタイプの顔料とは、例えば、顔料の親水性度を測定することによって見分けることができる。
この顔料の親水性度は、アセトン/水混合溶液に対する顔料の分散安定性を観察することにより、簡単に測定することができる。
この測定は、まず、それぞれの顔料粉体又は顔料分散体を試験管等の容器に採り、これに顔料粉体又は顔料分散体に対し、24重量倍のアセトン/水混合溶液を滴下して軽く攪拌する。
粗顔料や分散剤を用いるタイプの顔料である場合は、アセトン比が高くなると顔料が凝集して沈降するが、自己分散型有機顔料にあっては、アセトンが95%であっても、安定して分散する。
【0012】
本発明の自己分散型有機顔料を製造する方法に特に制限はなく、芳香族環を有する有機顔料に、連結基を介して親水性基が結合される反応方法を採用すれば足りるが、この親水性基が、過酸化物の分解に由来するものであることが特に好ましい。
つまり、上記有機顔料表面に、過酸化物の分解によって発生した官能基を化学結合させることにより得ることができる。
例えば、粗顔料と過酸化物を適当な溶媒中で反応させ、反応物を濾過、洗浄して未反応物や副生成物を除去し、洗浄後は半乾燥させたペレット状、又は完全に乾燥させた粉体として取得する。
【0013】
より具体的には、顔料を溶媒に分散させ、これに固体状の過酸化物又は適当な溶媒に溶解させた過酸化物を投入する。
次いで、攪拌しながら加熱又は紫外線等のエネルギー線を照射して、溶液中にラジカルを発生させ、試薬の反応性に応じて、アルゴン又は窒素雰囲気下に6〜48時間程度、反応させる。
ラジカルが未反応で失活することを防止するために、反応途中で過酸化物を追加してもよい。
【0014】
過酸化物としては、下記一般式(1)〜(5)で表される化合物の少なくとも1種を、好ましいものとして挙げることができる。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(式中、R1〜R4は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環を含む官能基又はアルキレンオキサイド基を示し、各式において少なくとも一つは、分子末端に−CO2M、−SO3M又は−PO3M2で示される官能基を少なくとも一つ有している。Mは水素、アルカリ金属、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム又はアルカノールアミンを示す。nは1〜20の整数である。)
分子末端に−CO2M、−SO3M又は−PO3Mを有するアルキル基、アルコキシ基、アリール基は、直鎖式、分岐式又は環式であってもよい。また、R1〜R4は、同一であっても別異であってもよい。
アルカリ金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウムが好ましい。
【0015】
上記一般式(1)〜(5)で表される化合物は、導入を望む官能基や導入率等に対応して、単独で又は組み合わせて用いることもできる。
上記一般式(1)〜(5)で表される化合物の具体例を遊離酸型で示すと、次のとおりであるが、これらに限定されるものではない。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【0016】
本発明に用いる顔料は、芳香族環を有する有機顔料であれば特に制限はないが、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、アゾ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、インジゴ顔料、キノフタロン顔料、ピロロピロール顔料が好ましい。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、53、55、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、138、150、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、104、105、106、108、112、114、122、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等を挙げることができる。
【0017】
上記一般式(1)〜(5)で表される化合物は、分子中央に−O−O−基を有し、これに隣接した連結基を介して分子末端に親水性基を有している。
これらの化合物は、エネルギーの付与により、−O−O−基が開裂してラジカルを発生するため、このラジカルが上記有機顔料粒子の表面にある分子の芳香族環に結合し、親水性を付与するものである。
この場合、−O−O−基に隣接する連結基の構造により、発生するラジカルにはいくつかの構造が考えられる。
例えば、(R−COO)2は、次のように分解してラジカルを生じる。
(R−COO)2→R−COO・→R・+CO2
Rがアルキル基の場合、R−COO・は、直ちに脱炭酸し、主にR・が発生するが、Rがアリル基(アリール基)の場合、脱炭酸の活性エネルギーが高いため、R・又はR−COO・が発生する。
このように、発生するラジカルの構造は、開裂点の隣接官能基の影響を強く受けるものである。
しかし、このラジカルの開裂部の構造、つまり、顔料への反応点の構造は、顔料への反応性や結合後の顔料の分散安定性には特に影響を及ぼすことはないので、過酸化物の選定に当たっては考慮する必要はない。
【0018】
本発明は、第2に、着色剤及び水を含有する記録液であって、該着色剤が、第1の自己分散型有機顔料であることを特徴とする記録液を提供する。
この場合、自己分散型有機顔料の体積平均粒子径が、0.01〜1.0μmであることが好ましく、0.01〜0.2μmであることがより好ましい。
ここで、体積平均粒径とは、体積累積パーセント50%の値をいう。
体積累積パーセント50%の値を測定するには、例えば、インク中のブラウン運動を行っている粒子にレーザー光を照射し、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)と言われる方法を用いることができる。
顔料の体積平均粒子径が、0.01μm未満では顔料の長所である耐候性が低下し、1.0μmを越えると、保存安定性、吐出安定性が低くなることがあるので望ましくない。
【0019】
また、自己分散型有機顔料の含有量が、重量基準で記録液に対し、0.1〜10%であることが好ましく、1.0〜5.0%がより好ましい。
顔料の含有量が、0.1%未満では、普通紙に印字した際に十分な彩度や画像濃度が得られず、10%を越えると、画像の明度が低下したり、吐出時にヘッドノズルの目詰まり等を生じることがあるので望ましくない。
【0020】
本発明の記録液には、ノズル部での目詰りを防ぐため、また、記録液の溶解安定性を向上させるために、湿潤剤として水溶性有機溶媒を添加することが好ましい。
この湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリコール等の含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられ、これらを単独で又は複数を混合して用いることができる。
これら湿潤剤の含有量としては、記録液に対し、重量基準でl〜50%、好ましくは5〜30%である。
【0021】
本発明の記録液には、記録液を記録媒体に浸透しやすくするために、ジオール類を加えることができる。
このジオール類としては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
これらジオール類は、単独で又は複数を混合して用いることができ、記録紙表面に対する記録液の濡れ性を向上し、記録紙への浸透速度を高めることが可能となる。
さらに、従来の浸透性を高めた記録液に比べ、画像滲じみ等の画質低下や裏抜けをきわめて少なくすることができる。
ジオール類添加量は、記録液に対し、重量基準で0.01〜5%が好ましい。ジオール類添加量が、0.01%未満では、添加効果は得られず、5%を越えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生を招くことがあるので望ましくない。
【0022】
また、本発明の記録液には、記録媒体への浸透性、また、ノズル材への濡れ性を調整するために、種々の界面活性剤を添加することが可能である。
界面活性剤の例としては、アルキルアリルまたはアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等といったアニオン系界面活性剤、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等といったカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グリコキシド等といったノニオン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン等といった両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等を挙げることができ、これらは単独で又は複数を混合して用いられる。
これら界面活性剤の添加量は、記録液に対し、重量基準で0.01〜5.0%であり、好ましくは、0.5〜3%である。
界面活性剤の添加量が、0.01%未満では、添加効果がなく、5.0%を越えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生を招くことがあるので望ましくない。
【0023】
さらに、本発明の記録液には、上記着色剤、溶剤の外に、従来知られている添加剤、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、顔料定着剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、水溶性高分子化合物、着色剤溶解剤等を適宜、添加することができる。
【0024】
本発明の記録液は、直径が20μm以下のノズルを持ったヘッドを用いて印字する際に、高画質化と信頼性の両立という効果を特に発揮する。
高解像度の画像を形成するには、記録液をできる限り小滴で記録紙に着弾させることが必要であり、ノズル径としては20μm以下であることが望ましい。
しかし、ノズル径を小さくすると、記録液の水分蒸発時に発生した凝集体が詰まりやすくなるため、信頼性は低下する。
特に、従来の分散剤をるタイプの顔料分散体とジオール成分を組み合わせ、高温で記録液を長時間保存した場合に、この傾向が顕著であった。
これは、高温において、ジオール成分が顔料からの分散剤の脱離を促進するためではないかと考えられる。
しかし、本発明の分散剤を用いないタイプの顔料では、同様の処方であっても分散剤に由来する粘度上昇や顔料の凝集が抑えられるため、ノズル細密化及びジオール成分添加による高画質化と吐出時の信頼性を両立することができるものである。
【0025】
本発明は、第3に、記録液を収容したインクジェット記録用記録液カートリッジであって、該記録液が、第2の記録液であることを特徴とする記録液カートリッジを提供する。
この記録液カートリッジは、記録液を収容した収容部と記録液滴を吐出させるための記録ヘッド部とからなる記録液カートリッジであることが好ましく、該記録液が、第2の記録液である記録液カートリッジとするものである。
また、該記録ヘッド部のノズル径が、20μm以下である記録液カートリッジが望ましい。
【0026】
図1に、本発明の記録液カートリッジの1例を示す。
記録液カートリッジ1は、シリアルタイプのものであり、インクジェットヘッド2と、このインクジェットヘッド2に供給されるインクを収容する記録液タンク3と、この記録液タンク3内を密閉する蓋部材とにより、主要部が構成されている。
インクジェットヘッド2には、記録液を吐出するための多数のノズル4が形成されている。
記録液は記録液タンク3から、記録液供給管(図示していない)を介して、共通液室(図示していない)へと導かれ、電極5より入力される記録装置本体からの電気信号に応じて、ノズル4より吐出される。
【0027】
本発明は、第4に、記録液を収容した収容部を有する記録液カートリッジと記録液滴を吐出させるための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置又は記録液を収容した収容部と、記録液滴を吐出させるための記録ヘッドとからなる記録液カートリッジを備えたインクジェット記録装置であって、該記録液が、第2の記録液であり、該記録液カートリッジが、第3の記録液カートリッジであることを特徴とする記録装置を提供する。
【0028】
図2は本発明に係るインクジェット記録装置の機構部の概略図である。このインクジェット記録装置の機構部は、両側の側板17,18間に主支持ガイドロッド19及び従支持ガイドロッド20を略水平な位置関係で横架し、これらの主支持ガイドロッド19及び従支持ガイドロッド20でキャリッジユニット21を主走査方向に摺動自在に支持している。
キャリッジユニット21には、それぞれイエロー(Y)インク、マゼンタ(M)インク、シアン(C)インク、ブラック(Bk)インクをそれぞれ吐出する4個のヘッド2y,2m,2c,2kを、その吐出面(ノズル面)2aを下方に向けて搭載し、またキャリッジユニット21にはヘッド2(符号「2」は、「2y,2m,2c,2k」のいずれか又は総称である。)の上側に4個のヘッド2に各々インクを供給するための各色のインク供給体である4個のインクカートリッジ1y,1m,1c,1kを交換可能に搭載している。
そして、キャリッジユニット21は主走査モータ22で回転される駆動プーリ(駆動タイミングプーリ)23と従動プーリ(アイドラプーリ)24との間に張装したタイミングベルト25に連結して、主走査モータ22を駆動制御することによってキャリッジ21、即ち4個のヘッド2を主走査方向に移動するようにしている。
また、側板17,18をつなぐ底板26上にサブフレーム27,28を立設し、このサブフレーム27,28間に用紙30を主走査方向と直交する副走査方向に送るための搬送ローラ29を回転自在に保持している。そして、サブフレーム28側方に副走査モータ31を配設し、この副走査モータ31の回転を搬送ローラ29に伝達するために、副走査モータ31の回転軸に固定したギヤ32と搬送ローラ29の軸に固定したギヤ33とを備えている。
さらに、側板17とサブフレーム26との間には、ヘッド2の信頼性維持回復機構(以下、「サブシステム」という。)34を配置している。サブシステム34は、各ヘッド2の吐出面をキャッピングする4個のキャップ手段35をホルダ36で保持し、このホルダ36をリンク部材37で揺動可能に保持して、キャリッジユニット21の主走査方向の移動でホルダ36に設けた係合部38にキャリッジユニット21が当接することで、キャリッジユニット21の移動に従ってホルダ36がリフトアップしてキャップ手段35でヘッド2の吐出面2aをキャッピングし、キャリッジユニット21が印写領域側へ移動することで、キャリッジユニット21の移動に従ってホルダ36がリフトダウンしてキャップ手段35がヘッド2の吐出面2aから離れるようにしている。
なお、キャップ手段35は、それぞれ吸引チューブ39を介して吸引ポンプ40に接続すると共に、大気開放口を形成して、大気開放チューブ及び大気開放バルブを介して大気連通している。また、吸引ポンプ40は吸引した廃液をドレインチューブ等を介して図示しない廃液貯留槽に排出する。
さらに、ホルダ36の側方には、ヘッド2の吐出面2aをワイピングする維持部材、発泡部材或いはゴム等の弾性部材からなるワイピング手段であるワイパブレード41をブレードアーム42に取付け、このブレードアーム42は揺動可能に軸支し、図示しない駆動手段で回動されるカムの回転によって揺動させるようにしている。
このように構成したこの記録装置では、ヘッド2(キャリッジユニット21)を主走査方向に移動走査させながら、用紙30を副走査方向に搬送して、各ヘッドのノズルから所要の色のインク滴を吐出させることによって、用紙30上に所要のカラー画像(モノクロ画像を含む。)を記録する。
【0029】
また、大気開放口10は、図3に示すように、酸素透過率が100ml/m2以上のフィルム状シール部材11を上蓋部材12に貼着してシールしている。
このシール部材11は、大気開放口10と共にその周囲に形成した複数本の溝48をもシールする大きさとなっている。
このように、大気開放口10を酸素透過率が100ml/m2以上のシール部材でシールすることで、記録液カートリッジ14を透気性のないアルミラミネートフィルム等の包装部材を用いて減圧状態で包装することにより、記録液充填することにより、記録液充填時や記録液吸収体15とカートリッジ本体16との間に生じる空間A(図4参照)にある大気のために、記録液中に気体が溶存したときでも、シール部材11を介して記録液中の空気が真空度の高の高いカートリッジ本体16外の包装部材との間の空間に排出され、記録液の脱気度が向上する。
【0030】
本発明は、第5に、記録信号に応じて、記録液を噴射して記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法において、第2の記録液又は第3の記録液カートリッジを用いることを特徴とする記録方法を提供する。
この記録方法には、記録信号に応じた熱エネルギーを記録液に作用させ、該記録液を噴射させることにより記録媒体上に画像を形成するものである方法を含むものである。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。
なお、「%」とあるのは重量基準である。
【0032】
実施例1
〔自己分散型有機顔料1の調製〕
C.I.PR122 10g
イオン交換水
上記の組成物を窒素雰囲気下で徐々に加熱しながら24時間還流攪拌し、その間に1.2g(0.01モル)の上記化合物(1)−1を水溶液の形態で3回に分けて滴下した。
次いで、24時間攪拌還流した後、未反応物や副反応生成物を除去し、自己分散型有機顔料1を得た。
〔記録液(インク1)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、0.8μmのテフロンフィルターで濾過し、インク1を得た。
(インク1)
自己分散型有機顔料1 5.0%
トリエチレングリコール 20.0%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
イオン交換水 残量
【0033】
実施例2
〔自己分散型有機顔料2の調製〕
C.I.PB15:3 10g
上記化合物(2)−1 1.4g
イオン交換水
上記組成物を用い、実施例1と同様にして、自己分散型有機顔料2を得た。
〔記録液(インク2)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、実施例1と同様にして、インク2を得た。
(インク2)
自己分散型有機顔料2 5.0%
オルフィンE1010 0.5%
N−メチル−2ピロリドン 20.0%
イオン交換水 残量
【0034】
実施例3
〔自己分散型有機顔料3の調製〕
C.I.PY74 10g
上記化合物(3)−1 1.3g
イオン交換水
上記組成物を用い、実施例1と同様にして、自己分散型有機顔料3を得た。
〔記録液(インク3)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、実施例1と同様にして、インク3を得た。
(インク3)
自己分散型有機顔料3 5.0%
1,2−ペンタンジオール 0.5%
ジエチレングリコール 20.0%
イオン交換水 残量
【0035】
実施例4
〔自己分散型有機顔料4の調製〕
C.I.PV19 10g
上記化合物(4)−1 2g
イオン交換水
上記組成物を用い、実施例1と同様にして、自己分散型有機顔料4を得た。
〔記録液(インク4)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、実施例1と同様にして、インク3を得た。
(インク3)
自己分散型有機顔料4 5.0%
サーフィノール465 0.5%
1,5−ペンタンジオール 0.2%
グリセリン 20.0%
イオン交換水 残量
【0036】
実施例5
〔自己分散型有機顔料5の調製〕
C.I.PY97 10g
化合物5−1 1.5g
イオン交換水
上記組成物を用い、実施例1と同様にして、自己分散型有機顔料5を得た。
〔記録液(インク5)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、実施例1と同様にして、インク3を得た。
(インク5)
自己分散型有機顔料5 5.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 0.5%
チオジグリコール 3.0%
エチレングリコール 15.0%
イオン交換水 残量
【0037】
比較例1
〔顔料分散液1の調製〕
下記の組成物をホモジナイザーを用いて粗分散を行ない、次にナノマイザーを用いて分散し、顔料分散液1を得た。
C.I.PR122 10.0%
スチレン−無水マレイン酸共重合体 5.0%
イオン交換水 残量
〔記録液(インク6)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、0.8μmのテフロンフィルターで濾過し、インク6を得た。
顔料分散液1 50.0%
トリエチレングリコール 20.0%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
イオン交換水 残量
【0038】
比較例2
〔顔料分散液2の調製〕
下記の組成物を用い、比較例1と同様にして、顔料分散液2を得た。
C.I.PB15:3 10.0%
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド 5.0%
イオン交換水 残量
〔記録液(インク7)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、比較例1と同様にして、インク7を得た。
顔料分散液2 50.0%
オルフィンE1010 0.5%
Nメチル2ピロリドン 20%
イオン交換水 残量
【0039】
比較例3
〔顔料分散液3の調製〕
下記の組成物を用い、比較例1と同様にして、顔料分散液3を得た。
C.I.PY74 10.0%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル 5.0%
イオン交換水 残量
〔記録液(インク8)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、比較例1と同様にして、インク8を得た。
顔料分散液3 50.0%
1,2−ペンタンジオール 0.5%
ジエチレングリコール 20.0%
イオン交換水 残量
【0040】
比較例4
〔顔料分散液4の調製〕
下記の組成物を用い、比較例1と同様にして、顔料分散液4を得た。
C.I.PV19 10.0%
ジポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸 5.0%
イオン交換水 残量
〔記録液(インク9)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、比較例1と同様にして、インク9を得た。
顔料分散液4 50.0%
サーフィノール465 0.5%
1,5−ペンタンジオール 0.2%
グリセリン 20.0%
イオン交換水 残量
【0041】
比較例5
〔顔料分散液5の調製〕
下記の組成物を用い、比較例1と同様にして、顔料分散液5を得た。
C.I.PY97 10.0%
ジポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸 5.0%
イオン交換水 残量
〔記録液(インク10)の調製〕
次に、下記処方の組成物を混合した後、比較例1と同様にして、インク10を得た。
顔料分散液5 50.0%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 0.5%
チオジグリコール 3.0%
エチレングリコール 15%
イオン交換水 残量
【0042】
比較例6
〔記録液(インク11)の調製〕
下記処方の組成物を混合した後、0.8μmのテフロンフィルターで濾過し、インク11を得た。
自己分散型有機顔料1 12.0%
トリエチレングリコール 20.0%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1.0%
イオン交換水 残量
【0043】
〔評価〕
(1)吐出安定性
実施例及び比較例で得られたインクを、ノズル径18μmのヘッドを搭載したリコー製Ipsio300を用いて印字試験を実施し、信頼性試験を行った。
上記プリンタにインクを充填し、25℃50%RHの環境下で60分間、連続印字を行い、正常に吐出が行われるか、また、上記プリンタにインクを充填したまま50℃、60%RHの環境下に1か月間、プリンターを放置した後、印字を行い、正常な印字が可能か否かを試験した。
それぞれの試験において、1つのインクサンプルについて、3台のプリンターを使用し試験した。
評価レベルは、次のとおりである。
○:両方の試験において、それぞれ3台のプリンターとも、正常に印字できた場合。
×:3台中、1台又は2台で正常印字ができなかった場合。
【0044】
(2)保存試験
実施例及び比較例で得られたインクを、ポリエチレン製の容器に入れ、−20℃、4℃、20℃、50℃、70℃、それぞれの条件下で3か月間保存し、そのインクをカートリッジに充填して、ノズル径18μmのヘッドを搭載したリコー製Ipsio300を用いて印字を行い、正常な印字が可能か否かを試験した。
それぞれの試験において、1つのインクサンプルについて、3台のプリンターを使用し試験した。
評価レベルは、次のとおりである。
○:両方の試験において、それぞれ3台のプリンターとも、正常に印字できた場合。
×:3台中、1台又は2台で正常印字ができなかった場合。
【0045】
(3)画像濃度及び裏抜け濃度
実施例及び比較例で得られたインクを用いて、市販のコピー用紙3種、ボンド紙3種上に各色のベタ印字を行なった。
印字した画像サンプルの反射濃度をX−Rite社製反射型カラー分光測色濃度計で測定し、画像濃度及び裏抜け濃度を調べた。
裏抜け濃度は、測定値から地肌濃度を引いたものである。
評価レベルは、次のとおりである。
◎:OD≧1.0、Odr≦0.02となるもの。
○:印字面濃度ODがOD≧0.9となるもの、また、裏抜け濃度ODrがODr≦0.04となるもの。
【0046】
(4)画像の耐光性
画像サンプルをフェードメーター(キセノン・アーク灯、63℃)に120時間かけ、光照射前後の画像濃度をX−Rite社製反射型カラー分光測色濃度計で測定した。
この場合、褪色率は次式で表される。
褪色率(%)
=[1−(光照射後の画像濃度/光照射前の画像濃度)]×100
評価レベルは、次のとおりである。
○:退色率が5%未満のもの。
【0047】
(5)画像の耐水性
画像サンプルを25℃の純水に5分間浸し、浸水前後の画像濃度をX−Rite社製反射型カラー分光測色濃度計で測定した。
この場合、褪色率は次式で表される。
褪色率(%)=[1−(浸水後の画像濃度/浸水前の画像濃度)]×100
評価レベルは、次のとおりである。
○:退色率が5%未満のもの。
【0048】
(6)初期平均粒子径
Leeds & Northrup社製 MICROTRAC UPA150を用いて、初期平均粒子径を求めた。
【0049】
これらの結果を表1に示す。
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷用、筆記用、記録計用、インクジェット記録用の記録液に用いて好適な自己分散型有機顔料、この顔料を含有する記録液、この記録液を収容したインクジェット記録用記録液カートリッジ、この記録液カートリッジを備えた記録装置、上記記録液又はカートリッジを用いる記録方法及びこの記録装置又は記録方法に用いられる記録媒体が提供され、特にインクジェット記録方法を用いて普通紙に高速で印字した際にも、吐出安定性や保存安定性に優れ、かつ色調、耐水性、耐光性等の画像堅牢性の良好な画像を与えることのできる自己分散型有機顔料を含有する記録液、記録液カートリッジ、記録装置、記録方法及びこれらに用いられる記録媒体が提供され、これら記録分野に寄与するところはきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録液カートリッジの1例を示す図である。
【図2】本発明の記録液を収容した記録液収容部を備えた記録液カートリッジを搭載すシリアル型インクジェット記録装置の機構部の概略正面図である
【図3】本発明の記録液カートリッジの1例を示す図である。
【図4】本発明のインクを収容したインク収容部と、インク滴を吐出させるためのヘッド部を備えたインクカートリッジを示す図である。
【符号の説明】
1 カートリッジ本体
2 インクジェットヘッド
3 タンク
4 ノズル
5 電極
6 カートリッジ本体
7 記録液供給口
8 ケース
9 キャップ部材
10 大気開放口
11 シール部材
12 上蓋部材
13 溝
15 記録液吸収体
16 カートリッジ本体
Claims (10)
- 少なくとも、着色顔料と水を含む記録液において、該着色顔料が、芳香族環を有する有機顔料であって、該芳香族環に、下記(2)、(3)、及び(5)で表される官能基の少なくとも1種が結合されている有機顔料であることを特徴とする記録液。
- 該芳香族環を有する有機顔料が、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、アゾ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、インジゴ顔料、キノフタロン顔料及びピロロピロール顔料から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の記録液。
- 該自己分散型有機顔料の体積平均粒子径が、0.01〜1.0μmである請求項1または2のいずれかに記載の記録液。
- 該自己分散型有機顔料の含有量が、重量基準で記録液に対し、0.1〜10%である請求項1〜3に記載の記録液。
- 記録液を収容したインクジェット記録用記録液カートリッジであって、該記録液が、請求項1〜4のいずれかに記載の記録液であることを特徴とする記録液カートリッジ。
- 記録液を収容した収容部と記録液滴を吐出させるための記録ヘッド部とからなる記録液カートリッジであって、該記録液が、請求項1〜4のいずれかに記載の記録液であることを特徴とする記録液カートリッジ。
- 該記録ヘッド部のノズル径が、20μm以下である請求項6に記載の記録液カートリッジ。
- 記録液を収容した収容部を有する記録液カートリッジと記録液滴を吐出させるための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置又は記録液を収容した収容部と、記録液滴を吐出させるための記録ヘッドとからなる記録液カートリッジを備えたインクジェット記録装置であって、該記録液が、請求項1〜4のいずれかに記載の記録液であり、該記録液カートリッジが、請求項5〜7のいずれかに記載の記録液カートリッジであることを特徴とする記録装置。
- 記録信号に応じて、記録液を噴射して記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法において、請求項1〜4のいずれかに記載の記録液又は請求項5〜7のいずれかに記載の記録液カートリッジを用いることを特徴とする記録方法。
- 記録信号に応じた熱エネルギーを記録液に作用させ、該記録液を噴射させることにより記録媒体上に画像を形成するものである請求項9に記載の記録方法。
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