JP2003176432A - インクジェット記録用インク組成物及び記録方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録媒体上におけるフェザリングと混色のカ
ラーブリードそして裏抜けを軽減ないし解消し、これを
満足させた状態で、特に普通紙における印刷品質がシャ
ープでクリアになり記録画像が高発色で、かつ、ヘッド
ノズル目詰まりの生じないインクジェット記録用インク
及び記録方法を提供し、また、アルギン酸の添加効果を
利用することにより、画像濃度が高く、裏面濃度（裏写
り、裏抜け）の低い両面コピーの可能な画像を得ること
にあり、さらに、色調、耐光性に優れたインクジェット
用水性インクを得ること。 【解決手段】 少なくとも（Ａ１）染料、（Ｂ１）ｐＨ
７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下
（２０℃）のアルギン酸またはアルギン酸塩、（Ｃ）湿
潤剤、（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオールまたは
グリコールエーテル、（Ｅ）アニオンまたはノニオン系
界面活性剤、（Ｆ）水を主成分として含有することを特
徴とするインク組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用インク組成物、インク組成物セット、カートリッ
ジ、インクジェット記録用装置、インクジェット記録方
法及び形成された画像に関する。本発明によれば、特に
普通紙における高発色及び高画質印刷を実現し、更にカ
ラーブリードやフェザーリングや裏抜けを軽減ないし解
消することができる。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録用としては、従来よ
り様々な組成のインクが提案されている。最近の動向と
しては特にコピー用紙や再生紙も含む一般的に普通紙と
呼ばれる用紙に印刷した際の品質が重要視されている。
普通紙印刷に要求される品質は、一方では印刷物が高画
像品質（フェザリングがないこと）・高発色であるとい
うことであり、また他方では複数色の記録インクが抵触
することによって生じるにじみ（すなわち、カラーブリ
ード）がないことである。一般に、高画像品質・発色性
を向上させるにはインクの浸透性を抑制することが好ま
しいが、カラーブリードを軽減ないし解消するにはイン
クの浸透性を逆に大きくすることが好ましい。

【０００３】これらの課題を解決させるためのインクが
多岐にわたって提案されている。例えば、特開昭５４−
６２００５号公報では、インクにアルギン酸とポリエチ
レングリコールを加え、湿潤効果と粘度調整を可能にし
ている。また、特開平５−１９４８８４号公報では、イ
ンクに高分子コロイドと少なくとも一種の臨界ミセル濃
度以上の界面活性剤及び低蒸気圧溶媒を添加し、記録紙
でのブリードを軽減するとしている。

【０００４】一方、特開平６−８８０４８号公報では、
界面活性剤の添加量がインクに対して臨界ミセル濃度以
上及び純水に対して臨界ミセル濃度以下である記録イン
クを用い、界面活性剤の効果によって記録媒体とインク
とのにじみや色境界のブリードを防止するとしている。

【０００５】しかしながら、前記の従来技術では、依然
として前記の相矛盾する課題が充分には解消されていな
かった。具体的には、以下の点で課題が残されていた。
第一に、記録画像にフェザリングが発生し、記録画像の
発色が低い。すなわち、記録画像のフェザリングとカラ
ーブリードを改良する目的で浸透性を高めるために、イ
ンクの表面張力が著しく低下されているので、記録紙に
着弾したインクは紙繊維間に存在する微細孔に毛細管現
象によって侵入し、紙内部に深く浸透してしまう。その
ため、着弾されたインクの記録媒体上でのドット形状
が、ドット周辺部でシャープさに欠け、記録された画像
のエッジがぼやけ裏抜けが大きいので記録画像の高解像
度化への障害になっている。同時に、記録画像の発色が
低下してしまうという問題も生じている。

【０００６】一般的には、インクの浸透性を抑制すれ
ば、記録画像の発色性を高めると共に、着弾したドット
形状をシャープにすることができる。しかしながら、浸
透を抑制されたインクは、記録媒体上での乾燥性が低下
するので、カラー印刷のように複数のインクを用いた場
合には、記録媒体上に乾燥せずに残っているインクが相
互に混ざり合ってカラーブリードとなり、画像品質を劣
化させてしまう。このように、従来のインクでは、普通
紙への記録品位が未だ不充分な状態に留まっていた。

【０００７】また、第二の課題は、プリントヘッドノズ
ルに目詰まりが生じる点である。特開平５−１９４８８
４号公報に記載のインクには、高分子コロイドが含まれ
ているので、数日以上の長期にわたって印刷を行なわな
いとノズル近傍でインクの水分が蒸発し、高分子化合物
濃度が高まり、インクの粘度が急激に上昇し、さらには
高分子化合物が析出してしまう。こうした状態で、次の
機会に印刷を行なうと、ヘッドのノズルの目詰まりのた
めにインクを適正に吐出することができず、印刷品質を
著しく損なう結果となる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、記録媒体上におけるフェザリングと混色のカラーブ
リードそして裏抜けを軽減ないし解消し、これを満足さ
せた状態で、特に普通紙における印刷品質がシャープで
クリアになり記録画像が高発色で、かつ、ヘッドノズル
目詰まりの生じないインクジェット記録用インク及び記
録方法を提供し、また、アルギン酸の添加効果を利用す
ることにより、画像濃度が高く、裏面濃度（裏写り、裏
抜け）の低い両面コピーの可能な画像を得ることにあ
り、さらに、色調、耐光性に優れたインクジェット用水
性インクを得ることにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記課題は、第１の群の
本発明、第２の群の本発明、第３の群の本発明により達
成される。即ち、前記課題は、第１の群の本発明の、
（１）「（１）少なくとも（Ａ１）染料、（Ｂ１）ｐＨ
７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下
（２０℃）のアルギン酸またはアルギン酸塩、（Ｃ）湿
潤剤、（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオールまたは
グリコールエーテル、（Ｅ）アニオンまたはノニオン系
界面活性剤、（Ｆ）水を主成分として含有することを特
徴とするインク組成物」、（２）「前記（Ｂ１）アルギ
ン酸またはアルギン酸塩を０．１〜３．０ｗｔ％含有す
ることを特徴とする前記第（１）項に記載のインク組成
物」、（３）「前記（Ｂ１）アルギン酸と、アルカリ金
属、アルカノールアミン、少なくとも一つ以上の水酸基
で置換された第四級アンモニウム、アミノアルコールか
ら選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする
前記第（１）項又は第（２）項に記載のインク組成
物」、（４）「前記アルカリ金属がナトリウム、カリウ
ム、リチウムであることを特徴とする前記第（１）項乃
至第（３）項のいずれかに記載のインク組成物」、
（５）「前記アルカノールアミンがトリエタノールアミ
ンであることを特徴とする前記第（３）項に記載のイン
ク組成物」、（６）「前記アミノアルコールが、２−ア
ミノ−２−メチル−１，３−プロパンジオール、２−ア
ミノ−２−エチル−１，３−プロパンジオール、２−ア
ミノ−２−ヒドロキシメチル−１，３−プロパンジオー
ルであることを特徴とする前記（３）項に記載のインク
組成物」、（７）「前記少なくとも一つ以上の水酸基で
置換された第四級アンモニウムが下記構造式の化合物で
あることを特徴とする前記第（３）項に記載のインク組
成物；

【００１０】

【化１０】

【００１１】

【化１１】

【００１２】

【化１２】 」、（８）「前記（Ｂ１）アルギン酸として、アルギン
酸を構成するＤ−マンヌロン酸と−グルロン酸との比
（Ｄ−マンヌロン酸／Ｌ−グルロン酸）が、０．０５〜
０．８の範囲のアルギン酸を用いることを特徴とする前
記第（１）項乃至第（３）項のいずれかに記載のインク
組成物」、（９）「前記（Ｂ１）アルギン酸として、ア
ルギン酸を構成するＤ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸
との比（Ｄ−マンヌロン酸／Ｌ−グルロン酸）が、１．
５〜２．５の範囲のアルギン酸を用いることを特徴とす
る前記第（１）項乃至第（８）項のいずれかに記載のイ
ンク組成物」、（１０）「前記（Ｂ１）アルギン酸又は
アルギン酸塩と（Ｃ）湿潤剤との重量比が３：１０〜
１：５０であることを特徴とする前記第（１）項乃至第
（９）項のいずれかに記載のインク組成物」、（１１）
「前記（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオールまたは
グリコールエーテルが，２−エチル−１，３−ヘキサン
ジオールまたは２，２，４−トリメチル−１，３−ペン
タンジオールであることを特徴とする前記第（１）項乃
至第（１０）項のいずれかに記載のインク組成物」、
（１２）「前記（Ｅ）アニオンまたはノニオン系界面活
性剤が下記一般式（Ｉ）、（II）、（III）、（IV）、
（Ｖ）及び（VI）の界面活性剤から選ばれる少なくとも
一種よりなることを特徴とする前記第（１）項乃至第
（１０）項のいずれかに記載のインク組成物；

【００１３】

【化１３】 Ｒ_１−Ｏ−（ＣＨ_２ＣＨ_２Ｏ）ｍＣＨ_２ＣＯＯＭ ……（Ｉ） （Ｒ_１：炭素数６〜１４の分岐してもよいアルキル基、
ｍ：３〜１２、Ｍ：アルカリ金属イオン、第４級アンモ
ニウム、第４級ホスホニウム、アルカノールアミン）

【００１４】

【化１４】 （Ｒ_２：炭素数５〜１６の分岐したアルキル基、Ｍ：ア
ルカリ金属イオン、第４級アンモニウム、第４級ホスホ
ニウム、アルカノールアミン）

【００１５】

【化１５】 （Ｒは分岐しても良い６〜１４の炭素鎖、ｋ：５〜２
０）

【００１６】

【化１６】Ｒ−（ＯＣＨ_２ＣＨ_２）ｎＯＨ……（IV） （Ｒは分岐しても良い炭素数６〜１４の炭素鎖、ｎ：５
〜２０）

【００１７】

【化１７】 （Ｒ’は炭素数６〜１４の炭素鎖、ｍ≦２０、ｎ≦２
０）

【００１８】

【化１８】 （ｐ、ｑは０〜４０）」、（１３）「前記（Ｅ）アニオ
ンまたはノニオン系界面活性剤を０．１〜５．０ｗｔ％
含有することを特徴とする前記第（１）項乃至第（１
２）項のいずれかに記載のインク組成物」、（１４）
「前記（Ｃ）湿潤剤が、（Ｈ）グリセリン、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリプロピレングリコール、１，３−ブタンジオー
ル、２，３−ブタンジオール、１，４−ブタンジオー
ル、１，３−プロパンジオール、１，５−ペンタンジオ
ール、１，６−ヘキサンジオール、２−メチル−２，４
−ペンタンジオール、１，２，４−ブタントリオール、
１，２，６−ヘキサントリオール、トリメチロールプロ
パン、トリメチロールエタン、チオジグリコール及びペ
ンタエリスリトールから選ばれる少なくとも１種よりな
る（Ｈ）湿潤剤であることを特徴とする前記第（１）項
乃至第（１３）項のいずれかに記載のインク組成物」、
（１５）「前記（Ｈ）湿潤剤がグリセリンとグリセリン
以外の湿潤剤を混合した湿潤剤であることを特徴とする
前記第（１４）項に記載のインク組成物」、（１６）
「前記（Ｈ）湿潤剤を５〜４０ｗｔ％含有することを特
徴とする前記第（１４）項または第（１５）項に記載の
インク組成物」、（１７）「前記（Ａ１）染料濃度が１
〜１０ｗｔ％であることを特徴とする前記第（１）項乃
至第（１６）項のいずれかに記載のインク組成物」によ
り達成される。

【００１９】また、前記課題は、本発明の（１８）「２
色以上のインク組成物からなるカラーインクジェット記
録用インク組成物セットであって、前記インク組成物の
少なくとも１種が、前記第（１）項乃至第（１７）項の
いずれかに記載のインク組成物であることを特徴とする
カラーインクジェット記録用インク組成物セット」によ
り達成される。

【００２０】また、前記課題は、本発明の（１９）「前
記第（１）項乃至第（１７）項のいずれかに記載のイン
ク組成物又は前記第（１８）項に記載のインク組成物セ
ットを収納することを特徴とするインクカートリッ
ジ」、（２０）「インクを収容したインク収容部と該イ
ンクを吐出させるための記録ヘッド部を備えたインクジ
ェット記録用インクカートリッジにおいて、該インクが
前記第（１）項乃至第（１７）項のいずれかに記載のイ
ンク組成物又は前記第（１８）項に記載のインク組成物
セットであることを特徴とするインクジェット記録用イ
ンクカートリッジ」により達成される。

【００２１】また、前記課題は、本発明の（２１）「前
記第（１９）項又は第（２０）項に記載のインクカート
リッジが搭載されたことを特徴とするインクジェット記
録用装置」により達成される。

【００２２】また、前記課題は、本発明の（２２）「前
記第（１）項乃至第（１７）項のいずれかに記載のイン
ク組成物又は前記第（１８）項に記載のインク組成物セ
ットを用いて実施することを特徴とするインクジェット
記録方法」、（２３）「記録装置本体またはインクカー
トリッジに設けた記録ヘッドのノズルプレートの表面に
撥インク性皮膜層が共析メッキにより形成されたインク
ジェット記録装置と前記第（１）項乃至第（１７）項の
いずれかに記載のインク組成物又は前記第（１８）項に
記載のインク組成物セットを用いて記録することを特徴
とするインクジェット記録方法」により達成される。

【００２３】また、前記課題は、本発明の（２４）「前
記第（２２）項または第（２３）項に記載のインクジェ
ット記録方法によって形成されたことを特徴とする画
像」により達成される。

【００２４】また、前記課題は、第２の群の本発明の、
（２５）「少なくとも（Ａ）着色剤、（Ｂ）アルギン酸
またはアルギン酸塩、（Ｃ１）有機性・無機性比が３以
上の湿潤剤、（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオール
またはグリコールエーテル、（Ｅ）アニオンまたはノニ
オン系界面活性剤、（Ｆ）水を主成分として含有するこ
とを特徴とするインク組成物」、（２６）「前記（Ｂ）
アルギン酸またはアルギン酸塩が、（Ｂ１）ｐＨ７．０
で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下（２０
℃）のアルギン酸またはアルギン酸塩であることを特徴
とする前記第（２５）項に記載のインク組成物」、（２
７）「前記（Ｃ１）湿潤剤が、プロピレングリコール、
トリエチレングリコール、グリセリンから選ばれる１種
または複数種であることを特徴とする前記第（２５）項
又は第（２６）項に記載のインク組成物」、（２８）
「前記（Ｂ）アルギン酸またはアルギン酸塩を０．１〜
３．０ｗｔ％含有することを特徴とする前記第（２５）
項乃至第（２７）項のいずれかに記載のインク組成
物」、（２９）「前記（Ｂ）アルギン酸と、アルカリ金
属、アルカノールアミン、少なくとも一つ以上の水酸基
で置換された第四級アンモニウム、アミノアルコールか
ら選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする
前記第（２５）項又は第（２６）項に記載のインク組成
物」、（３０）「前記アルカリ金属がナトリウム、カリ
ウム、リチウムであることを特徴とする前記第（２９）
項に記載のインク組成物」、（３１）「前記アルカノー
ルアミンがトリエタノールアミンであることを特徴とす
る前記第（２９）項に記載のインク組成物」、（３２）
「前記アミノアルコールが、２−アミノ−２−メチル−
１，３−プロパンジオール、２−アミノ−２−エチル−
１，３−プロパンジオール、２−アミノ−２−ヒドロキ
シメチル−１，３−プロパンジオールであることを特徴
とする前記第（２９）項に記載のインク組成物」、（３
３）「前記少なくとも一つ以上の水酸基で置換された第
四級アンモニウムが下記構造式の化合物であることを特
徴とする前記第（２９）項に記載のインク組成物；

【００２５】

【化１９】

【００２６】

【化２０】

【００２７】

【化２１】 」、（３４）「前記（Ｂ）アルギン酸として、アルギン
酸を構成するＤ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸との比
（Ｄ−マンヌロン酸／Ｌ−グルロン酸）が、０．０５〜
０．８の範囲のアルギン酸を用いることを特徴とする前
記第（２５）項乃至第（３３）項のいずれかに記載のイ
ンク組成物」、（３５）「前記（Ｂ）アルギン酸とし
て、アルギン酸を構成するＤ−マンヌロン酸とＬ−グル
ロン酸との比（Ｄ−マンヌロン酸／Ｌ−グルロン酸）
が、１．５〜２．５の範囲のアルギン酸を用いることを
特徴とする前記第（２５）項乃至第（３３）項のいずれ
かに記載のインク組成物」、（３６）「前記（Ｂ）アル
ギン酸またはアルギン酸塩と前記（Ｃ１）湿潤剤との重
量比が３：１０〜１：５０であることを特徴とする前記
第（２５）項乃至第（３５）項のいずれかに記載のイン
ク組成物」、（３７）「前記（Ｄ）炭素数８以上１１以
下のポリオールまたはグリコールエーテルが２−エチル
−１，３−ヘキサンジオールまたは２，２，４−トリメ
チル−１，３−ペンタンジオールであることを特徴とす
る前記第（２５）項乃至第（３６）項のいずれかに記載
のインク組成物」、（３８）「前記（Ｅ）アニオンまた
はノニオン系界面活性剤が下記一般式（Ｉ）、（II）、
（III）、（IV）、（Ｖ）及び（VI）の界面活性剤から
選ばれる少なくとも一種よりなることを特徴とする前記
第（２５）項乃至第（３７）項のいずれかに記載のイン
ク組成物；

【００２８】

【化２２】 Ｒ_１−Ｏ−（ＣＨ_２ＣＨ_２Ｏ）ｍＣＨ_２ＣＯＯＭ ……（Ｉ） （Ｒ_１：炭素数６ 〜１４ の分岐してもよいアルキル
基、ｍ：３〜１２、Ｍ：アルカリ金属イオン、第４級ア
ンモニウム、第４級ホスホニウム、アルカノールアミ
ン）

【００２９】

【化２３】 （Ｒ_２：炭素数５〜１６の分岐したアルキル基、Ｍ：ア
ルカリ金属イオン、第４級アンモニウム、第 級ホスホ
ニウム、アルカノールアミン）

【００３０】

【化２４】 （Ｒは分岐しても良い６〜１４の炭素鎖、ｋ：５〜２
０）

【００３１】

【化２５】Ｒ−（ＯＣＨ_２ＣＨ_２）ｎＯＨ……（IV） （Ｒは分岐しても良い炭素数６〜１４の炭素鎖、ｎ：５
〜２０）

【００３２】

【化２６】 （Ｒ’は炭素数６〜１４の炭素鎖、ｍ≦２０、ｎ≦２
０）

【００３３】

【化２７】 （ｐ、ｑは０〜４０）」、（３９）「前記（Ｅ）アニオ
ンまたはノニオン系界面活性剤を０．１〜５．０ｗｔ％
含有することを特徴とする前記第（２５）項乃至第（３
８）項のいずれかに記載のインク組成物」により達成さ
れる。

【００３４】また、前記課題は、本発明の（４０）「２
色以上のインク組成物からなるカラーインクジェット記
録用インク組成物セットであって、前記インク組成物の
少なくとも１種が、前記第（２５）項乃至第（３９）項
のいずれかに記載のインク組成物であることを特徴とす
るカラーインクジェット記録用インク組成物セット」に
より達成される。

【００３５】また、前記課題は、本発明の（４１）「前
記第（２５）項乃至第（３９）項のいずれかに記載のイ
ンク組成物又は前記第（４０）項に記載のインク組成物
セットを収納することを特徴とするインクカートリッ
ジ」、（４２）「インクを収容したインク収容部と該イ
ンクを吐出させるための記録ヘッド部を備えたインクジ
ェット記録用インクカートリッジにおいて、該インクが
前記第（２５）項乃至第（３９）項のいずれかに記載の
インク組成物又は前記第（４０）項に記載のインク組成
物セットであることを特徴とするインクジェット記録用
インクカートリッジ」により達成される。

【００３６】また、前記課題は、本発明の（４３）「前
記第（４１）項又は第（４２）項に記載のインクカート
リッジが搭載されたことを特徴とするインクジェット記
録用装置」により達成される。

【００３７】また、前記課題は、本発明の（４４）「前
記第（２５）項乃至第（３９）項のいずれかに記載のイ
ンク組成物又は前記第（４０）項に記載のインク組成物
セットを用いて実施することを特徴とするインクジェッ
ト記録方法」、（４５）「記録装置本体またはインクカ
ートリッジに設けた記録ヘッドのノズルプレートの表面
に撥インク性皮膜層が共析メッキにより形成されたイン
クジェット記録装置と前記第（２５）項乃至第（３９）
項のいずれかに記載のインク組成物又は前記第（４０）
項に記載のインク組成物セットを用いて記録することを
特徴とするインクジェット記録方法」により達成され
る。

【００３８】また、前記課題は、本発明の（４６）「前
記第（４４）項または第（４５）項に記載のインクジェ
ット記録方法によって形成されたことを特徴とする画
像」により達成される。

【００３９】さらに、前記課題は、第３の群の本発明
の、（４７）「インクジェット記録用インクにおいて、
（Ａ）着色剤として（Ａ２）反応染料系マゼンタ色素を
含有し、（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度
が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）のアルギン酸またはアル
ギン酸塩、（Ｃ）湿潤剤、（Ｄ）炭素数８以上で１１以
下のポリオールまたはグリコールエーテル、（Ｅ）アニ
オンまたはノニオン系界面活性剤、（Ｆ）水を主成分と
して含有することを特徴とするインク組成物」、（４
８）「アルカリ金属、アルカノールアミン、少なくとも
一つ以上の水酸基で置換された第四級アンモニウム、ア
ミノアルコールから選ばれる少なくとも一種を併有する
ことを特徴とする第（４７）項に記載のインク組成
物」、（４９）「前記アルカリ金属がナトリウム、カリ
ウム、リチウムであることを特徴とする前記第（４８）
項に記載のインク組成物」、（５０）「前記アルカノー
ルアミンがトリエタノールアミンであることを特徴とす
る前記第（４８）項に記載のインク組成物」、（５１）
「前記アミノアルコールが、２−アミノ−２−メチル−
１，３−プロパンジオール、２−アミノ−２−エチル−
１，３−プロパンジオール、２−アミノ−２−ヒドロキ
シメチル−１，３−プロパンジオールであることを特徴
とする前記第（４８）項に記載のインク組成物」、（５
２）「前記少なくとも一つ以上の水酸基で置換された第
四級アンモニウムが下記構造式の化合物であることを特
徴とする前記第（４８）項に記載のインク組成物；

【００４０】

【化２８】

【００４１】

【化２９】

【００４２】

【化３０】 」、（５３）「前記（Ｄ）炭素数８以上で１１以下のポ
リオールまたはグリコールエーテルが２−エチル−１，
３−ヘキサンジオールまたは２，２，４−トリメチル−
１，３−ペンタンジオールであることを特徴とする前記
第（４７）項乃至第（５２）項のいずれかに記載のイン
ク組成物」、（５４）「前記（Ｅ）アニオンまたはノニ
オン系界面活性剤が下記一般式（Ｉ）、（II）、（II
I）、（IV）、（Ｖ）及び（VI）の界面活性剤から選ば
れる少なくとも一種よりなることを特徴とする前記第
（４７）項乃至第（５３）項のいずれかに記載のインク
組成物；

【００４３】

【化３１】 Ｒ_１−Ｏ−（ＣＨ_２ＣＨ_２Ｏ）ｍＣＨ_２ＣＯＯＭ ……（Ｉ） （Ｒ_１：炭素数６〜１４の分岐してもよいアルキル基、
ｍ：３〜１２、Ｍ：アルカリ金属イオン、第４級アンモ
ニウム、第４級ホスホニウム、アルカノールアミン）

【００４４】

【化３２】 （Ｒ_２：炭素数５〜１６の分岐したアルキル基、Ｍ：ア
ルカリ金属イオン、第４級アンモニウム、第４級ホスホ
ニウム、アルカノールアミン）

【００４５】

【化３３】 （Ｒは分岐しても良い６〜１４の炭素鎖、ｋ：５〜２
０）

【００４６】

【化３４】Ｒ−（ＯＣＨ_２ＣＨ_２）ｎＯＨ……（IV） （Ｒは分岐しても良い炭素数６〜１４の炭素鎖、ｎ：５
〜２０）

【００４７】

【化３５】 （Ｒ’は炭素数６〜１４の炭素鎖、ｍ≦２０、ｎ≦２
０）

【００４８】

【化３６】 （ｐ、ｑは０〜４０）」、（５５）「前記（Ｅ）アニオ
ンまたはノニオン系界面活性剤を０．１〜５．０ｗｔ％
含有することを特徴とする前記第（４７）項乃至第（５
４）項のいずれかに記載のインク組成物」により達成さ
れる。

【００４９】また、前記課題は、本発明の（５６）「２
色以上のインク組成物からなるカラーインクジェット記
録用インク組成物セットであって、前記インク組成物の
少なくとも１種が、前記第（４９）項乃至第（５５）項
のいずれかに記載のインク組成物であることを特徴とす
るカラーインクジェット記録用インク組成物セット」、
（５７）「シアンインクがＣ．Ｉ．ダイレクトブルー１
９９であり、イエローインクがＣ．Ｉ．ダイレクトイエ
ロー１４２及びＣ．Ｉ．アシッドイエロー２３の混合物
であり、黒インクが顔料インクであり、マゼンタインク
が反応染料系マゼンタ色素であることを特徴とする前記
第（４７）項乃至第（５５）項のいずれかに記載のイン
ク組成物であることを特徴とするカラーインクジェット
記録用インク組成物セット」により達成される。

【００５０】また、前記課題は、本発明の（５８）「前
記第（４７）項乃至第（５５）項のいずれかに記載のイ
ンク組成物若しくは前記第（５６）項又は第（５７）項
のいずれかに記載のインク組成物セットを収納すること
を特徴とするインクカートリッジ」、（５９）「インク
を収容したインク収容部と該インクを吐出させるための
記録ヘッド部を備えたインクジェット記録用インクカー
トリッジにおいて、該インク若しくはインク組成物セッ
トが、前記第（４８）項乃至第（５５）項のいずれかに
記載のインク組成物若しくは前記第（５６）項又は第
（５７）項に記載のインク組成物セットであることを特
徴とするインクジェット記録用インクカートリッジ」に
より達成される。

【００５１】また、前記課題は、本発明の（６０）「前
記第（５８）項又は第（５９）項に記載のインクカート
リッジが搭載されたことを特徴とするインクジェット記
録用装置」により達成される。

【００５２】また、前記課題は、本発明の（６１）「前
記第（４７）項乃至第（５５）項のいずれかに記載のイ
ンク組成物若しくは前記第（５６）項又は第（５７）項
に記載のインク組成物セットを用いて実施することを特
徴とするインクジェット記録方法」、（６２）「記録装
置本体またはインクカートリッジに設けた記録ヘッドの
ノズルプレートの表面に撥インク性皮膜層が共析メッキ
により形成されたインクジェット記録装置と前記第（４
７）項乃至第（５５）項のいずれかに記載のインク組成
物若しくは前記第（５６）項又は第（５７）項のいずれ
かに記載のインク組成物セットを用いて記録することを
特徴とするインクジェット記録方法」により達成され
る。

【００５３】また、前記課題は、本発明の（６３）「前
記第（６１）項または第（６２）項に記載のインクジェ
ット記録方法によって形成された画像」により達成され
る。

【００５４】以下、本発明を詳細に説明する。 ［第１の群の本発明］第１の群の本発明においては、
（Ａ１）染料、（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液
の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）の超低粘度アルギ
ン酸またはアルギン酸塩、（Ｃ）湿潤剤、（Ｄ）炭素数
８以上１１以下のポリオールまたはグリコールエーテ
ル、（Ｅ）アニオンまたはノニオン系界面活性剤、
（Ｆ）水を主成分として含有するインクジェット記録用
インク組成物に係る。

【００５５】第１の群の本発明のインク組成物におい
て、前記染料（Ａ１）の含有量は、染料の種類、溶媒又
は分散媒成分の種類、及び／又は要求特性等によって異
なり、特に限定されるものではないが、インク組成物全
重量に対して、好ましくは１．０〜１０．０重量％、よ
り好ましくは２．０〜５．０重量％の範囲である。（Ａ
１）染料の含有量が１．０重量％未満になると印刷物の
発色が薄くなることがあり、１０．０重量％を越えると
プリンタヘッドからの吐出不良が起きることがある。
（Ａ１）染料の含有量が２．０重量％以上であると発色
性の点でより好ましく、５．０重量％以下であると吐出
性の点でより好ましい。

【００５６】第１の群の本発明に用いる（Ａ１）染料に
関しては、特にその種類を限定することなく、酸性染
料、直接染料、反応性染料、塩基性染料が使用できる。
本発明において好ましく用いられる（Ａ１）染料の具体
例としては、以下のものが挙げられる。具体例を以下に
提示するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。酸性染料、食用染料としては、 Ｃ．Ｉ．アシッドイエロー １７，２３，４２，４４，
７９，１４２、 Ｃ．Ｉ．アシッドレッド １，８，１３，１４，１８，
２６，２７，３５，３７，４２，５２，８２，８７，８
９，９２，９７，１０６，１１１，１１４，１１５，１
３４，１８６，２４９，２５４，２８９、 Ｃ．Ｉ．アシッドブルー ９，２９，４５，９２，２４
９、 Ｃ．Ｉ．アシッドブラック １，２，７，２４，２６，
９４、 Ｃ．Ｉ．フードイエロー ３，４、 Ｃ．Ｉ．フードレッド ７，９，１４、 Ｃ．Ｉ．フードブラック １，２、

【００５７】直接性染料としては、 Ｃ．Ｉ．ダイレクトイエロー １，１２，２４，２６，
３３，４４，５０，８６，１２０，１３２，１４２，１
４４、 Ｃ．Ｉ．ダイレクトレッド １，４，９，１３，１７，
２０，２８，３１，３９，８０，８１，８３，８９，２
２５，２２７、 Ｃ．Ｉ．ダイレクトオレンジ ２６，２９，６２，１０
２、 Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー １，２，６，１５，２２，
２５，７１，７６，７９，８６，８７，９０，９８，１
６３，１６５，１９９，２０２、 Ｃ．Ｉ．ダイレクトブラック １９，２２，３２，３
８，５１，５６，７１，７４，７５，７７，１５４，１
６８，１７１、

【００５８】塩基性染料としては、 Ｃ．Ｉ．ベーシックイエロー １，２，１１，１３，１
４，１５，１９，２１，２３，２４，２５，２８，２
９，３２，３６，４０，４１，４５，４９，５１，５
３，６３，６４，６５，６７，７０，７３，７７，８
７，９１、 Ｃ．Ｉ．ベーシックレッド ２，１２，１３，１４，１
５，１８，２２，２３，２４，２７，２９，３５，３
６，３８，３９，４６，４９，５１，５２，５４，５
９，６８，６９，７０，７３，７８，８２，１０２，１
０４，１０９，１１２、 Ｃ．Ｉ．べ−シックブルー １，３，５，７，９，２
１，２２，２６，３５，４１，４５，４７，５４，６
２，６５，６６，６７，６９，７５，７７，７８，８
９，９２，９３，１０５，１１７，１２０，１２２，１
２４，１２９，１３７，１４１，１４７，１５５、 Ｃ．Ｉ．ベーシックブラック ２，８、

【００５９】反応性染料としては、 Ｃ．Ｉ．リアクティブブラック ３，４，７，１１，１
２，１７、 Ｃ．Ｉ．リアクティブイエロー １，５，１１，１３，
１４，２０，２１，２２，２５，４０，４７，５１，５
５，６５，６７、 Ｃ．Ｉ．リアクティブレッド １，１４，１７，２５，
２６，３２，３７，４４，４６，５５，６０，６６，７
４，７９，９６，９７、 Ｃ．Ｉ．リアクティブブルー １，２，７，１４，１
５，２３，３２，３５，３８，４１，６３，８０，９
５、等が好ましく、なかでも特に酸性染料および直接性
染料が好ましく用いられる。

【００６０】一般に染料は顔料に比べて色調に優れるも
のの、耐水性、および耐光性に劣っている。また、溶解
状態であるだけに特に浸透系のインクにおいては裏面ま
で浸透しやすく裏面の濃度が高くなりがちである。この
ような染料系のインクにおいて特に本発明が有効であ
る。

【００６１】（Ｂ１）アルギン酸、特に低粘度のアルギ
ン酸が紙面表の画像濃度の増加、裏面濃度低下に優れた
効果を有する。浸透系の顔料系インクの場合、アルギン
酸を加えるとドットの広がりが押さえられむしろ画像濃
度に悪影響を及ぼす場合もある。この点、染料の場合、
もともと水溶解性が高く、ドットが過剰に染み込みやす
くまた広がりやすくなるためアルギン酸で紙面上で染み
込みを抑制することが必要となる。場合によっては少量
の顔料も混在させて適度な耐水、耐光性に設計すること
も可能である。

【００６２】第１の群の本発明のインク組成物は、前記
ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以
下（２０℃）の超低粘度アルギン酸またはアルギン酸塩
を含有する。

【００６３】ここで加える（Ｂ１）アルギン酸は従来の
アルギン酸とは分子量と粘度の点で全く異なる。すなわ
ち従来のアルギン酸は分子量が数万から数十万であり、
インク中への添加量も０．０２から多くて０．５ｗｔ％
迄しか添加できなかった。しかし、本発明における前記
（Ｂ１）アルギン酸は、分子量数千から数万で、ｐＨ
７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下
（２０℃）の超低粘度アルギン酸であり、インクへの添
加量は５．０ｗｔ％でも充分に溶解する。添加量は、好
ましくは０．１〜３．０ｗｔ％であり、より好ましくは
０．５〜２．０ｗｔ％である。本発明では、インク中に
多量にアルギン酸を添加できることで、アルギン酸の効
果をこれまでにないほど顕著に発揮することができた。
アルギン酸の効果については下記に述べる。

【００６４】一般的に、アルギン酸またはアルギン酸塩
は、それを含む水溶液中でマグネシウム以外の多価金属
カチオン（例えば、カルシウム又はアルミニウム）と容
易に反応してゲル化し、前記水溶液を増粘させることが
知られている。また、本発明者らの調査によれば、一般
的な普通紙には、１価のカチオン（例えば、ナトリウ
ム）の他に多価金属カチオン（例えば、カルシウム又は
アルミニウム）等が含有されていることが確認されてい
る。従って、本発明の水性インク組成物を普通紙上に吐
出すると、普通紙上の多価金属カチオンがインク組成物
によって溶出され、アルギン酸またはアルギン酸塩のゲ
ル化反応が促進される。インク組成物は急激なゲル化に
よって増粘し、普通紙の平面方向への広がりや垂直方向
への浸透が抑制される。こうして、普通紙上ではフェザ
リング及びブリードが防止ないし軽減され、ドット形状
がシャープになり、更に高発色化に対して好影響を与え
ることができる。すなわち、紙面上での拡張（広がり）
や浸透などの現象は、一般には浸透剤によって制御され
ているが、本発明のインク組成物では（Ｂ１）アルギン
酸またはアルギン酸塩の添加によって制御することがで
き、更に前記のような印刷品質の向上をも達成すること
ができる。

【００６５】前記（Ｂ１）超低粘度アルギン酸またはア
ルギン酸塩としては、例えば、分子量数千から数万のア
ルギン酸のアルカリ金属塩（例えば、ナトリウム塩又は
カリウム塩）、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム
塩を用いることができる。置換アンモニウム塩は、例え
ば、炭素数１〜４の低級アルキル基（特にメチル基又は
エチル基）の１種、又は同一若しくは異なる低級アルキ
ル基２種以上でモノ−又はジ−置換、特にはトリ−置換
された４級アンモニウム塩である。またアルカノールア
ミンとの併有も好ましい。アルカノールアミンにはトリ
エタノールアミン等がある。また少なくとも二つ以上の
アミノアルコールで置換された第四級アミンとの併有も
好ましい。この化合物としては、２−アミノ−２−メチ
ル−１，３−プロパンジオール、２−アミノ−２−エチ
ル−１，３−プロパンジオール、２−アミノ−２−ヒド
ロキシメチル−１，３−プロパンジオール、構造式
（８）、構造式（９）、構造式（１０）等がある。

【００６６】インク組成物中のアルギン酸は、アルカリ
金属塩よりもアルカノールアミンや少なくとも一つ以上
の水酸基で置換された第四級アンモニウムやアミノアル
コールとの併有の形で存在するほうが、アルギン酸の溶
解性の向上、アルギン酸の熱的安定性の向上、ヘッド部
材や液室部材を腐食させないという安定性（特にシリコ
ン液室の場合）がもたらされインク組成物の安定性が向
上し好ましい。

【００６７】具体的にはアルドリッチの試薬、大日本製
薬（株）製のマニュコールＤＭＦ（Ｍ／Ｇ比１．３）や
マニュゲルＧＭＢ（Ｍ／Ｇ比０．７）、ダックアルギン
〔紀文フードケミファ（株）の登録商標〕等を使用する
ことができる。本発明はそれらＭ／Ｇ比を有し、かつ前
記第（１）項の条件を満たす低粘度アルギン酸に相当す
る。

【００６８】該（Ｂ１）アルギン酸またはアルギン酸塩
の含有量は、使用するアルギン酸塩の分子量によって異
なり、特に限定されるものではないが、インク組成物全
重量に対して、好ましくは０．１〜５．０重量％、より
好ましくは０．５〜２．０重量％の範囲である。該（Ｂ
１）アルギン酸またはアルギン酸塩の含有量が０．１重
量％未満になるとゲル化の程度が弱くなることがあり、
５．０重量％を越えるとインクを吐出することができな
くなる程度にまで増粘することがある。該（Ｂ１）アル
ギン酸またはアルギン酸塩の含有量が０．５重量％以上
になるとゲル化が促進されてブリードが防止される点で
より好ましく、２．０重量％以下であるとインク粘度
（すなわち、吐出安定性）の点でより好ましい。

【００６９】本発明者等は、アルギン酸またはアルギン
酸塩によるゲル化のメカニズムを更に検討し、アルギン
酸を構成するＤ−マンヌロン酸〔Ｍ〕とＬ−グルロン酸
〔Ｇ〕との比（Ｄ−マンヌロン酸／Ｌ−グルロン酸）
〔以下、Ｍ／Ｇ比と称することがある〕に着目し、種々
のＭ／Ｇ比を有するアルギン酸塩を用いて評価した結
果、カラーブリード及びフェザリング（紙の繊維に沿っ
た単色インクのにじみ）の抑制が一層良好になるＭ／Ｇ
比範囲が存在することを見い出した。

【００７０】すなわち、本発明のインク組成物におい
て、前記（Ｂ１）アルギン酸またはアルギン酸塩とし
て、Ｍ／Ｇ比が好ましくは０．０５〜０．８及び１．５
〜２．５、より好ましくは０．１〜０．７及び１．６〜
２．０の範囲のアルギン酸塩を用いると、インク組成物
の浸透を抑え、紙の上でのインク組成物の流動性を小さ
くすることができ、従って、発色性を改良しながらフェ
ザリング及びカラーブリードを減少させるという相反す
る課題を同時に解決することができる。この傾向は、
０．０５〜０．８の範囲で顕著であるが、更に耐熱性考
慮した保存性を考えるとＭ比が多い１．５〜２．５の範
囲が画像品質と保存性の観点から優れているといえる。
この間の数値は画像品質と保存性の両方の特性が両立で
きない範囲である。

【００７１】アルギン酸塩のＭ／Ｇ比は、酸加水分解に
よって測定することができる。また、特定のＭ／Ｇ比を
有するアルギン酸塩は、抽出する海草類の種類によって
選択することができる。

【００７２】本発明のインク組成物に含まれる該（Ｂ
１）アルギン酸またはアルギン酸塩は、前記のような優
れた効果をもたらすが、その一方で、記録ヘッドのノズ
ル近傍でインク組成物の水分が蒸発すると、アルギン酸
塩によりインク組成物が急激に増粘し、更にはインク組
成物の固化が起こり、ノズルからのインク組成物の吐出
不良やノズル目詰まりの原因となることも分かった。本
発明のインク組成物においては、この欠点を、液状湿潤
剤の添加によって解消することができる。

【００７３】液状湿潤剤とは、常温で液体状の湿潤剤で
あり、特には高沸点低揮発性の水溶性有機溶媒（例え
ば、沸点が２００℃以上の水溶性有機溶媒）を用いるこ
とができる。水溶性有機溶媒としては、例えば、多価ア
ルコール類、特には、炭素数２〜１０の２価〜５価アル
コール類；含窒素炭化水素溶媒、例えば、ホルムアミド
類、イミダゾリジノン類、ピロリドン類、あるいはアミ
ン類；含硫黄炭化水素溶媒を挙げることができ、それら
の溶媒を１種又はそれ以上組み合わせて用いることがで
きる。

【００７４】第１の群の本発明のインク組成物は水を液
媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性
にするため、インクの乾燥を防止するために、また、溶
解安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶
性有機溶媒が使用される。これら水溶性有機溶媒は複数
混合して使用してもよい。

【００７５】好ましい水溶性高沸点低揮発性有機溶剤の
具体例を挙げれば以下のとおりである。エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、１，５−ペンタンジオー
ル、１，６−ヘキサンジオール、グリセロール、１，
２，６−ヘキサントリオール、１，２，４−ブタントリ
オール、１，２，３−ブタントリオール、ペトリオール
等の多価アルコール類；エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル
等の多価アルコールアルキルエーテル類；エチレングリ
コールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ
ベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル
類；２−ピロリドン、Ｎ−メチル−２−ピロリドン、Ｎ
−ヒドロキシエチル−２−ピロリドン、１，３−ジメチ
ルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチ
ロラクトン等の含窒素複素環化合物；ホルムアミド、Ｎ
−メチルホルムアミド、Ｎ，Ｎ−ジメチルホルムアミド
等のアミド類；モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエ
チルアミン、トリエチルアミン等のアミン類；ジメチル
スルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫
黄化合物類；プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等
である。

【００７６】これら有機溶媒の中でも、特にグリセリ
ン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、トリプロピレングリコール、１，３−
ブタンジオール、２，３−ブタンジオール、１，４−ブ
タンジオール、１，３−プロパンジオール、１，５−ペ
ンタンジオール、１，６−ヘキサンジオール、２−メチ
ル−２，４−ペンタンジオール、１，２，４−ブタント
リオール、１，２，６−ヘキサントリオール、トリメチ
ロールプロパン、トリメチロールエタン、チオジグリコ
ール及びペンタエリスリトールが好ましい。これらは溶
解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れ
た効果が得られる。

【００７７】その他の湿潤剤としては、糖を含有してな
るものが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖
類、オリゴ糖類（三糖類及び四糖類を含む）及び多糖類
が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フル
クトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラ
クトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、ス
クロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げ
られる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シ
クロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在す
る物質を含む意味に用いることとする。

【００７８】また、これらの糖類の誘導体としては、前
記した糖類の還元糖（例えば、糖アルコール（一般式Ｈ
ＯＣＨ_２（ＣＨＯＨ）ｎＣＨ_２ＯＨ（ここでｎ＝２乃至
５の整数を表わす。）で表わされる。）、酸化糖（例え
ば、アルドン酸、ウロン酸など）、アミノ酸、チオ酸な
どが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例
としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
これら糖類の含有量は、インク組成物の０．１乃至４０
重量％、好ましくは０．５乃至３０重量％の範囲が適当
である。

【００７９】（Ａ１）染料と（Ｃ）湿潤剤の比は、ヘッ
ドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。染料固
形分が高いのに湿潤剤の配合量が少ないとノズルプレー
ト上で染料の乾燥が進み吐出不良をもたらす。（Ｃ）湿
潤剤の配合量は５乃至４０ｗｔ％であり、これに対して
（Ａ１）染料濃度は、好ましくは１乃至１０ｗｔ％、よ
り好ましくは２乃至５ｗｔ％であるので、（Ｃ）湿潤剤
と染料固形分の両者の比は０．５乃至４０となるが、好
ましくは１．０乃至２０の範囲である。この範囲にある
インクは、乾燥性や保存試験や信頼性試験が非常に良好
である。

【００８０】本発明者らが見い出したところによれば、
液状湿潤剤成分が少なくともグリセリンを含み、しかも
グリセリンが第１の群の本発明のインク組成物全体の２
重量％以上の量で含有されていると、特に記録媒体上に
おける混色のカラーブリードが軽減ないし解消され、こ
れを満足させた状態で、特に普通紙における記録画像が
高発色性となり、印刷品質がシャープでクリアになり、
更にヘッドノズル目詰まりの生じないインクジェット記
録用インク組成物を得ることができる。グリセリン含有
量の上限は特に限定されないが、増粘による吐出不良防
止の観点から１５重量％以下であることが好ましい。

【００８１】前記のグリセリン以外の液状湿潤剤の含有
量は、使用する液状湿潤剤の種類やグリセリンの含有量
などによって異なり、特に限定されるものではないが、
インク組成物全重量に対して、５乃至４０重量％、好ま
しくは３０重量％以下、より好ましくは１５〜２５重量
％の範囲である。従って、前記のグリセリンを含めた液
状湿潤剤の含有量は、使用する液状湿潤剤の種類やグリ
セリンの含有量などによって異なり、特に限定されるも
のではないが、インク組成物全重量に対して、好ましく
は５〜４０重量％、より好ましくは１５〜３０重量％の
範囲である。前記のグリセリンを含めた湿潤剤の含有量
が５重量％未満になると目詰りを生じることがあり、４
０重量％を越えると増粘による吐出不良の起きることが
ある。

【００８２】更に、前記（Ｂ１）アルギン酸またはアル
ギン酸塩とグリセリンとの重量比が１：２〜１：５０と
なる量で両者を含有すると、目詰まり復帰性が一層良好
になるので好ましい。前記の重量比が１：２未満である
と目詰まり復帰性に充分な効果が得られないことがあ
り、また１：５０を越えるとインク粘度が高くなり過ぎ
実用的ではなくなる場合がある。

【００８３】第１の群の本発明のインク組成物では、常
温で固体（特に粉末や結晶状）の固体湿潤剤を前記（Ｂ
１）アルギン酸またはアルギン酸塩と併用することによ
り、フェザリングとカラーブリードの抑制と高発色性の
点で相乗効果を得ることができる。すなわち、該（Ｂ
１）アルギン酸またはアルギン酸塩を含有することによ
り得られるフェザリングとカラーブリードの抑制と高発
色性が、固体湿潤剤を併用することにより、一層向上す
る。この作用機序は、固体湿潤剤が記録媒体（例えば印
刷用普通紙）上に残留して（Ａ１）染料を記録媒体中に
浸透させないことによるものと考えられる。

【００８４】固体湿潤剤としては、吸湿性が高く、水性
インク組成物や水に易溶で、かつインク組成物に湿潤性
を付与することのできる化合物、例えば、１，６−ヘキ
サンジオール、尿素；シクロデキストリン、例えば、ヒ
ドロキシプロピル−β−シクロデキストリン；トリメチ
ロール置換の炭素数２〜４の低級アルカン化合物、例え
ば、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパ
ン；５〜７員のラクタム化合物、例えば、カプロラクタ
ムなどのほか、ショ糖や果糖などの単糖類又は多糖類を
使用することができる。固体湿潤剤の含有量は、前記の
液状湿潤剤の種類や含有量によって異なり、特に限定さ
れるものではないが、インク組成物全重量に対して、好
ましくは３０重量％以下、より好ましくは１．０〜２０
重量％である。含有量が１．０重量％未満であるとフェ
ザリングとカラーブリードの抑制と高発色効果が不充分
になることがあり、３０重量％を越えると増粘により吐
出不良を起こすことがある。また、固体湿潤剤の含有量
は、グリセリンを含む（Ｈ）液状湿潤剤との合計で、イ
ンク組成物の好ましくは４０重量％以下、より好ましく
は１５〜３０重量％である。グリセリンを含む（Ｈ）液
状湿潤剤との合計量が４０重量％を越えると吐出不良を
起こすことがある。

【００８５】（Ｅ）アニオンまたはノニオン系界面活性
剤は特に限定されないが、アニオン性界面活性剤として
は、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸
塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩な
どが挙げられる。

【００８６】非イオン性界面活性剤としては、例えば、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオ
キシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。

【００８７】アセチレングリコール系界面活性剤は、
２，４，７，９−テトラメチル−５−デシン−４，７−
ジオール、３，６−ジメチル−４−オクチン−３，６−
ジオール、３，５−ジメチル−１−ヘキシン−３−オー
ルなどのアセチレングリコール系（例えばエアープロダ
クツ社（米国）のサーフィノール１０４、８２、４６
５、４８５あるいはＴＧなど）を用いることができる
が、特にサーフィノール４６５、１０４やＴＧが良好な
印字品質を示す。前記界面活性剤は、単独または二種以
上を混合して用いることができる。

【００８８】本発明における表面張力は紙への浸透性を
示す指標であり、特に表面形成されて１秒以下の短い時
間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的
表面張力とは異なる。測定法としては特開昭６３−３１
２３７号公報等に記載の従来公知の方法で１秒以下の動
的な表面張力を測定できる方法であればいずれも使用で
きるが、第１の群の本発明ではＷｉｌｈｅｌｍｙ式の吊
り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は４
０ｍＮ／ｍ²以下が好ましく、より好ましくは３５ｍＮ
／ｍ²以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。

【００８９】本発明に用いる（Ｄ）炭素数８以上１１以
下のポリオールまたはグリコールエーテル（Ｄ）は、２
５℃の水中において０．１乃至４．５重量％未満の間の
溶解度を有する部分的に水溶性のポリオール及び／また
はグリコールエーテルを記録用インク全重量に対して
０．１乃至１０．０重量％添加することによって、該イ
ンクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも
吐出安定性及び周波数安定性が得られることが分かっ
た。 （１）２−エチル−１，３−ヘキサンジオール 溶解
度：４．２％（２０℃）、（２）２，２，４−トリメチ
ル−１，３−ペンタンジオール 溶解度：２．０％（２
５℃）、

【００９０】２５℃の水中において０．１乃至４．５重
量％未満の間の溶解度を有する浸透剤は溶解度が低い代
わりに浸透性が非常に高いという長所がある。従って、
２５℃の水中において０．１乃至４．５重量％未満の間
の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他
の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のインク
を作製することが可能となる。

【００９１】第１の群の本発明による好ましいインク組
成物は、（Ａ１）染料１．０〜１０．０重量％、より好
ましくは２．０〜５．０重量％；（Ｂ１）ｐＨ７．０で
１０ｗｔ％中和粘度が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）のア
ルギン酸またはアルギン酸塩０．１〜３．０重量％、よ
り好ましくは０．５〜２．０重量％；（Ｃ）湿潤剤（グ
リセリン含有）５重量％以上、より好ましくは１５〜３
０重量％；（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオールま
たはグリコールエーテル１．０〜２．０重量％；（Ｅ）
アニオンまたはノニオン系界面活性剤０．１〜５．０重
量％、より好ましくは０．５〜３．０重量％；及び
（Ｆ）水を含む。したがって、主成分として含有すると
は、これら（Ａ１）、（Ｂ１）、（Ｃ）、（Ｄ）、
（Ｅ）、（Ｆ）の合計量が５０％を越える割合であるこ
とを意味する。本発明におけるこれら成分の合計含有量
は、６０％以上であることが好ましく、より好ましくは
７０％以上である。

【００９２】第１の群の本発明のインクジェット記録用
インク組成物は、前記の各成分を含有するが、その他に
従来公知の各種添加剤、例えば、前記（Ｈ）液状湿潤剤
以外の水溶性有機溶媒、各種の分散剤、粘度調整剤、及
び／又は蛍光増白剤等を必要に応じて含有することがで
きる。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポ
リビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性樹
脂等の水溶性の天然又は合成高分子化合物を挙げること
ができる。更に、ｐＨ調整剤としての緩衝液、防カビ剤
等を含有することもできる。

【００９３】例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸
ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、２−ピリジンチオ
ール−１−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウ
ム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使
用できる。

【００９４】ｐＨ調整剤としては、調合されるインクに
悪影響をおよぼさずにｐＨを７以上に調整できるもので
あれば、任意の物質を使用することができる。その例と
して、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の
アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモ
ニウム、第４級アンモニウム水酸化物、第４級ホスホニ
ウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。

【００９５】キレート試薬としては、例えば、エチレン
ジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウ
ム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウ
ム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル
二酢酸ナトリウム等がある。

【００９６】防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、
チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジ
イソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエ
リスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライ
ト等がある。その目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水
溶性赤外線吸収剤等を添加することができる。

【００９７】また、比抵抗調整剤、例えば、無機塩類、
例えば、アルカリ金属ハロゲン化物又はハロゲン化アン
モニウム（例えば、塩化リチウム、塩化アンモニウム、
塩化ナトリウム）等を含有させることにより、記録液を
帯電するタイプのインクジェット記録方法に使用される
記録液を調製することができる。

【００９８】なお、前記の各成分の配合比を調整して、
熱的な物性値（蒸発熱、沸点、融点、比熱、熱膨張係
数、及び／又は熱伝導率等）を調整することにより、熱
エネルギーの作用によって記録液を吐出させるタイプの
インクジェット記録方法に適応するインク組成物を調製
することもできる。

【００９９】また、本発明のインク組成物の粘度を、好
ましくは２０ｍＰａ・ｓ以下、より好ましくは１５ｍＰ
ａ・ｓ以下に調整し、ヘッドからの安定吐出、及びヘッ
ドへの安定なインク供給を確保することができる。

【０１００】本発明のインクジェット記録用インク組成
物は、前記の各配合成分を任意の順序で適宜混合し、溶
解（又は分散）させた後、不純物などを濾過して除去す
ることにより、調製することができる。また、染料を適
宜選択し、更に必要により、選択された前記染料との組
み合わせで他の配合成分を適宜選択し、カラーインクジ
ェット記録用の本発明によるイエローインク組成物、マ
ゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックイ
ンク組成物、ブルーインク組成物、グリーンインク組成
物、又はレッドインク組成物を調製することができる。

【０１０１】本発明によるインクジェット記録方法は、
前記の本発明によるインク組成物１種又はそれ以上を用
いるかぎり特に限定されないが、特に少なくとも２色以
上のインク組成物を用いて実施するカラーインクジェッ
ト記録方法において、２色以上の前記の本発明によるイ
ンク組成物を用いるのが好ましい。すなわち、前記のイ
エローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシア
ンインク組成物、並びに場合によりブラックインク組成
物を組み合わせたインクセットを用い、レッド画像、グ
リーン画像及びブルー画像を形成し、更に３色のインク
組成物を重ねるか又は別に用いるブラックインク組成物
によってブラック画像を形成するカラーインクジェット
記録方法が好ましい。また、前記の各色のインク組成物
に加えて、ブルーインク組成物、グリーンインク組成
物、及び／又はレッドインク組成物を用いて各種画像を
形成するカラーインクジェット記録方法も本発明に含ま
れる。

【０１０２】本発明では界面活性剤を使用することで記
録紙への濡れ性を改善することができる。好ましい界面
活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢
酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
ブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤
が挙げられる。より具体的には（Ｅ）アニオン系界面活
性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸
塩（Ｉ）、及び／または炭素鎖が５乃至７の分岐したア
ルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸（II）が挙げ
られ、これらを用いることで普通紙特性も改善され、さ
らに着色剤の分散安定性が得られる。

【０１０３】

【化３７】 Ｒ_１−Ｏ−（ＣＨ_２ＣＨ_２Ｏ）ｍＣＨ_２ＣＯＯＭ……（Ｉ） （Ｒ_１：炭素数６〜１４の分岐してもよいアルキル基、
ｍ：３〜１２、Ｍ：アルカリ金属イオン、第４級アンモ
ニウム、第４ 級ホスホニウム、アルカノールアミン）

【０１０４】

【化３８】 （Ｒ_２：炭素数５〜１６の分岐したアルキル基、Ｍ：ア
ルカリ金属イオン、第４級アンモニウム、第４級ホスホ
ニウム、アルカノールアミン）

【０１０５】さらに本発明の界面活性剤の対イオンとし
てリチウムイオン及び下記一般式で示される第４級アン
モニウム、第４級ホスホニウムを用いることにより界面
活性剤が優れた溶解安定性を示す。好ましい非イオン系
の界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテルである一般式（III）、アセチレングリコー
ル系界面活性剤である一般式（IV）の活性剤が挙げられ
る。これらを併用することによりさらに相乗効果として
浸透性があげられ、これにより色境界にじみが低減さ
れ、また文字にじみも少ないインクが得られる。

【０１０６】

【化３９】 （Ｒは分岐しても良い６〜１４の炭素鎖、ｋ：５〜２
０）

【０１０７】

【化４０】Ｒ−（ＯＣＨ_２ＣＨ_２）ｎＯＨ……（IV） （Ｒは分岐しても良い炭素数６〜１４の炭素鎖、ｎ：５
〜２０）

【０１０８】

【化４１】 （Ｒ’は炭素数６〜１４の炭素鎖、ｍ≦２０、ｎ≦２
０）

【０１０９】

【化４２】 （ｐ、ｑは０〜４０）

【０１１０】以上の所謂普通紙に記録することにより高
画質、高解像の記録画像を形成する記録方式を提供する
ことができる。ただし、ｐＨが９以上では保存時に（I
I）の活性剤では分解による物性変化が起こりやすいた
め（II）を用いる場合はｐＨを６乃至９とすることが好
ましい。

【０１１１】なお、このインクのｐＨを６以上にするこ
とによりインクの保存安定性が得られ、また、オフィス
で使用されているコピー用紙や用箋等はｐＨが５乃至６
のものが多く、これらの記録紙にインクを９乃至６０μ
ｍの微細な吐出口より吐出し重量が３ｎｇ乃至５０ｎｇ
の液滴として５乃至２０ｍ／ｓで飛翔させ、単色での付
着量を１．５ｇ／ｍ^２から３０ｇ／ｍ^２としてＪＩＳ
Ｐ−８１２２試験法によるステキヒトサイズ度が３秒以
上の所謂普通紙に記録することにより高画質、高解像の
記録画像を形成する記録方式を提供することができる。
ただし、ｐＨが９以上では保存時に（II）の活性剤では
分解による物性変化が起こりやすいため（II）を用いる
場合はｐＨを６乃至９とすることが好ましい。

【０１１２】本発明に用いることができる（Ｉ）、（I
I）、（III）、（IV）、（Ｖ）、（VI）の添加量は０．
０５〜１０重量％の間でプリンターシステムにより要求
されるインク特性に対し所望の浸透性を与えることが可
能である。ここで０．０５％以下ではいずれの場合も２
色重ね部の境界でのにじみが発生し、１０重量％以上添
加する場合は化合物自体が低温で析出しやすことがあり
信頼性が悪くなる。表１に、本発明に用いる界面活性剤
（Ｉ）、（II）を具体的に遊離酸型で示す。

【０１１３】

【表１】

【０１１４】［第２の群の本発明］第２の群の本発明の
課題は、アルギン酸の添加効果を利用することにより、
画像濃度が高く、裏面濃度（裏写り）の低い両面コピー
の可能な画像を得ることにある。従来、アルギン酸を添
加すると一般に噴射安定性が劣るという欠点があった
が、第２の群の本発明は、アルギン酸添加系に特有な噴
射安定な湿潤剤を特定することにより、上記欠点を解決
した。第２の群の本発明によれば、基本的に、少なくと
も（Ａ）着色剤、（Ｂ）アルギン酸またはアルギン酸
塩、（Ｃ１）有機性・無機性比が３以上の湿潤剤、
（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオールまたはグリコ
ールエーテル、（Ｅ）アニオンまたはノニオン系界面活
性剤、（Ｆ）水を主成分として含有することを特徴とす
るインク組成物が提供される。このうち、第１の群の本
発明と異なる部分について、以下、詳細に説明する。

【０１１５】第２の群の本発明は、着色剤の種類（染
料、顔料）を問わない。本発明における（Ａ）着色剤
は、（Ａ１）染料であってもそれ以外の着色料であって
もよい。（Ａ１）染料としては、第１の群の本発明にお
ける染料と同様なものが使用できる。顔料としては特に
限定はないが通常のインクジェット用の顔料インクが用
いられる。顔料表面に親水基を付与した自己分散性の顔
料、あるいは顔料を水溶性樹脂あるいは界面活性剤によ
り分散したインク、あるいはポリマー微粒子に水不溶性
または難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジ
ョン型のインクジェット用顔料インク、あるいは顔料を
親水性基を有する樹脂で被服したマイクロカプセル型の
顔料インクが使用可能である。

【０１１６】前記（Ｂ）アルギン酸の種類としての限定
も特にないが第１の群の本発明について説明した（Ｂ
１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・
ｓ以下（２０℃）のアルギン酸またはアルギン酸塩が粘
度上昇が抑制されるため有利である。

【０１１７】第２の群の本発明において、前記（Ｃ１）
湿潤剤の有機性・無機性比は以下の文献に従い計算す
る。「 有機概念図_ 基礎と応用」、甲田善生、三共出版（198
4） 計算結果例を以下の表２に示す。

【０１１８】

【表２】

【０１１９】［第３の群の本発明］第３の本発明によれ
ば，基本的に、インクジェット記録用インクにおいて、
（Ａ）着色剤として（Ａ２）反応染料系マゼンタ色素を
含有し、（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度
が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）のアルギン酸またはアル
ギン酸塩、（Ｃ）湿潤剤、（Ｄ）炭素数８以上で１１以
下のポリオールまたはグリコールエーテル、（Ｅ）アニ
オンまたはノニオン系界面活性剤、（Ｆ）水を少なくと
も含有することを特徴とするインク組成物が提供され
る。また、インクの組み合わせとしてはシアンインクが
Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー１９９であり、イエロイーイ
ンクがＣ．Ｉ．ダイレクトイエロー１４２及びＣ．Ｉ．
アシッドイエロー２３の混合物であり、黒インクが顔料
インクであり、マゼンタインクがの反応染料系マゼンタ
色素であるインクセットが優れていた。このうち、第１
の群の本発明および第２の群の本発明と異なる部分につ
いて、以下に詳細に説明する。

【０１２０】従来のマゼンタインクのうち、顔料インク
は色調鮮明性で劣り、染料インクでも色調が良好で耐光
性等総合的に優れたものがない。本発明はマゼンタイン
クであるが、シアン、イエローインクに関しては限定し
ていない。染料としては他に第１の群の本発明および第
２の群の本発明で用いる（Ａ１）染料が使用可能であ
る。顔料としては特に限定はないが、通常のインクジェ
ット用の顔料インクが用いられる。黒インクとしては顔
料インクが好ましい。その例としては、顔料表面に親水
基を付与した自己分散性の顔料、あるいは顔料を水溶性
樹脂あるいは界面活性剤により分散したインク、あるい
はポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有
させてなるポリマーエマルジョン型のインクジェット用
顔料インク、あるいは顔料を親水性基を有する樹脂で被
服したマイクロカプセル型の顔料インクが使用可能であ
る。

【０１２１】この第３の群の本発明においては、好まし
い態様としてアルギン酸を添加したものが挙げられる
が、第１の群の本発明で用いる低粘度アルギン酸、即ち
（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰ
ａ・ｓ以下（２０℃）のアルギン酸またはアルギン酸塩
が粘度上昇が抑制されるため有利である。

【０１２２】

【発明の実施の形態】次に、本発明の記録液を収容した
記録液カートリッジおよび記録液カートリッジを具備す
るインクジェット記録装置について、図面を参照して説
明するが、以下は構成例のひとつに過ぎず、本発明にな
んら限定を加えるものではない。

【０１２３】図１は、本発明の記録液を収容した記録液
収容部を備えたインクカートリッジを搭載するシリアル
型インクジェット記録装置の機構部の概略正面図であ
る。このインクジェット記録装置の機構部は、両側の側
板（１）、（２）間に主支持ガイドロッド（３）及び従
支持ガイドロッド（４）を略水平な位置関係で横架し、
これらの主支持ガイドロッド（３）及び従支持ガイドロ
ッド（４）でキャリッジユニット（５）を主走査方向に
摺動自在に支持している。キャリッジユニット（５）に
は、それぞれイエロー（Ｙ）インク、マゼンタ（Ｍ）イ
ンク、シアン（Ｃ）インク、ブラック（Ｂｋ）インクを
それぞれ吐出する４個のヘッド（６）を、その吐出面
（ノズル面）（６ａ）を下方に向けて搭載し、またキャ
リッジユニット（５）のヘッド（６）の上側には４個の
ヘッド（６）に各々インクを供給するための各色のイン
ク供給体である４個のインクカートリッジ（７ｙ）、
（７ｍ）、（７ｃ）、（７ｋ）を交換可能に搭載してい
る。そして、キャリッジユニット（５）は主走査モータ
（８）で回転される駆動プーリ（駆動タイミングプー
リ）（９）と従動プーリ（アイドラプーリ）（１０）と
の間に張装したタイミングベルト（１１）に連結して、
主走査モータ（８）を駆動制御することによってキャリ
ッジ（５）、即ち４個のヘッド（６）を主走査方向に移
動するようにしている。

【０１２４】また、側板（１）、（２）をつなぐ底板
（１２）上にサブフレーム（１３）、（１４）を立設
し、このサブフレーム（１３）、（１４）間に用紙（１
６）を主走査方向と直交する副走査方向に送るための搬
送ローラ（１５）を回転自在に保持している。そして、
サブフレーム（１４）側方に副走査モータ（１７）を配
設し、この副走査モータ（１７）の回転を搬送ローラ
（１５）に伝達するために、副走査モータ（１７）の回
転軸に固定したギヤ（１８）と搬送ローラ（１５）の軸
に固定したギヤ（１９）とを備えている。

【０１２５】さらに、側板（１）とサブフレーム（１
２）との間には、ヘッド（６）の信頼性維持回復機構
（以下、「サブシステム」という。）（２１）を配置し
ている。サブシステム（２１）は、各ヘッド（６）の吐
出面をキャッピングする４個のキャップ手段（２２）を
ホルダ（２３）で保持し、このホルダ（２３）をリンク
部材（２４）で揺動可能に保持して、キャリッジユニッ
ト（５）の主走査方向の移動でホルダ（２３）に設けた
係合部（２５）にキャリッジユニット（５）が当接する
ことで、キャリッジユニット（５）の移動に従ってホル
ダ（２３）がリフトアップしてキャップ手段（２２）で
インクジェットヘッド（６）の吐出面（６ａ）をキャッ
ピングし、キャリッジユニット（５）が印写領域側へ移
動することで、キャリッジユニット（５）の移動に従っ
てホルダ（２３）がリフトダウンしてキャップ手段（２
２）がインクジェットヘッド（６）の吐出面（６ａ）か
ら離れるようにしている。

【０１２６】なお、キャップ手段（２２）は、それぞれ
吸引チューブ（２６）を介して吸引ポンプ（２７）に接
続すると共に、大気開放口を形成して、大気開放チュー
ブ及び大気開放バルブを介して大気に連通している。ま
た、吸引ポンプ（２７）は吸引した廃液を、ドレインチ
ューブ等を介して図示しない廃液貯留槽に排出する。さ
らに、ホルダ（２３）の側方には、インクジェットヘッ
ド（６）の吐出面（６ａ）をワイピングする繊維部材、
発泡部材或いはゴム等の弾性部材からなるワイピング手
段であるワイパブレード（２８）をブレードアーム（２
９）に取り付け、このブレードアーム（２９）は揺動可
能に軸支し、図示しない駆動手段で回動されるカムの回
転によって揺動させるようにしている。

【０１２７】次に、インクカートリッジ（７）につい
て、図２、図３を参照して説明する。ここで、図２は、
記録装置に装填する前のインクカートリッジの外観斜視
図、図３はインクカートリッジの正断面図を表わしたも
のである。インクカートリッジ（７）は、図３に示すよ
うに、カートリッジ本体（４１）内に所要の色のインク
を吸収させたインク吸収体（４２）を収容してなる。カ
ートリッジ本体（４１）は、上部に広い開口を有するケ
ース（４３）の上部開口に上蓋部材（４４）を接着又は
溶着して形成したものであり、例えば樹脂成型品からな
る。また、インク吸収体（４２）は、ウレタンフォーム
体等の多孔質体からなり、カートリッジ本体（４１）内
に圧縮して挿入した後、インクを吸収させている。カー
トリッジ本体（４１）のケース（４３）底部には記録ヘ
ッド（６）へインクを供給するためのインク供給口（４
５）を形成し、このインク供給口（４５）内周面にはシ
ールリング（４６）を嵌着している。また、上蓋部材
（４４）には大気開放口（４７）を形成している。そし
て、カートリッジ本体（４１）には、装填前の状態で、
インク供給口（４５）を塞ぐと共に装填時や輸送時など
のカートリッジ取り扱い時、或いは真空包装時による幅
広側壁に係る圧力でケース（４３）が圧縮変形されて内
部のインクが漏洩することを防止するため、キャップ部
材（５０）を装着している。

【０１２８】また、大気開放口（４７）は、図２に示す
ように、酸素透過率が１００ｍｌ／ｍ^２以上のフィルム
状シール部材（５５）を上蓋部材（４４）に貼着してシ
ールしている。このシール部材（５５）は大気開放口
（４７）と共にその周囲に形成した複数本の溝（４８）
をもシールする大きさにしている。このように大気開放
口（４７）を酸素透過率が１００ｍｌ／ｍ^２以上のシー
ル部材（５５）でシールすることで、インクカートリッ
ジ（７）を透気性のないアルミラミネートフィルム等の
包装部材を用いて減圧状態で包装することにより、イン
ク充填時やインク吸収体（４２）とカートリッジ本体
（４１）との間に生じる空間（Ａ）（図３参照）にある
大気のためにインク中に気体が溶存したときでも、シー
ル部材（５５）を介してインク中の空気が真空度の高い
カートリッジ本体（４１）外の包装部材との間の空間に
排出され、インクの脱気度が向上する。

【０１２９】また、図４は、本発明の記録液を収容した
記録液収容部と、記録液滴を吐出させるためのヘッド部
を備えた記録カートリッジの構成例を示したものであ
る。すなわち、記録ユニット（３０）は、シリアルタイ
プのものであり、インクジェットヘッド（６）と、この
インクジェットヘッド（６）に供給される記録液を収容
するインクタンク（４１）と、このインクタンク（４
１）内を密閉する蓋部材とで主要部が構成される。イン
クジェットヘッド（６）には、記録液を吐出するための
多数のノズル（３２）が形成されている。記録液はイン
クタンク（４１）から、図示しないインク供給管を介し
て、やはり図示しない共通液室へと導かれ、電極（３
１）より入力される記録装置本体からの電気信号に応じ
て、ノズル（３２）より吐出される。このようなタイプ
の記録ユニットは、構成上、安価に製造できるタイプの
ヘッド、いわゆるサーマル方式、バブル方式と呼ばれ
る、熱エネルギーを駆動の動力源とするヘッドに適した
構造である。

【０１３０】ここでは、前述のようなシリアル型インク
ジェット記録装置を説明したが、本発明の記録液は、ノ
ズルを千鳥など任意の配列で、目的とする画像の解像度
と同じか数分の１程度の密度に集積し、記録媒体の幅以
上に配列させた、いわゆるラインヘッドを有する記録装
置に適用することも可能である。また、ここでいう記録
装置とは、ＰＣやデジカメ用の出力プリンタのみなら
ず、ファックスやスキャナ、電話などと組み合わせた複
合的な機能を有する装置であっても構わない。

【０１３１】

【実施例】［第１の群の本発明の例］以下に、実施例に
よって本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下
の実施例によって限定されるものではない。なお、以下
の実施例において、アルギン酸としては、紀文フードケ
ミファ（株）製の超低粘度アルギン酸を使用した。これ
のＤ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸との比（Ｄ−マン
ヌロン酸／Ｌ−グルロン酸）はおよそ０．４７である。
それらの粘度〔１０ｗｔ％水溶液の中和粘度（２０
℃）〕は５．０ｍＰａ・ｓ以下であった。各実施例で
は、下記の配合成分を混合して６０℃で２時間攪拌した
後、０．８μｍ径のメンブランフィルタを用い、２ｋｇ
／ｃｍ^２の圧力で加圧濾過し、インク組成物を得た。な
お、実施例に記載の各成分の量（％）は重量基準であ
る。

【０１３２】＜超低粘度アルギン酸水溶液の作製方法＞
超低粘度アルギン酸は、紀文フードケミファ（株）製の
超低粘度アルギン酸を使用した。このアルギン酸を構成
するＤ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸との比（Ｄ−マ
ンヌロン酸／Ｌ−グルロン酸）：Ｍ／Ｇ比はおよそ０．
４７であった。２００ｍｌのビーカーにイオン交換水５
５ｇを入れ、スターラーで撹拌しながら超低粘度アルギ
ン酸２０ｇを徐々に加えた。この時点でアルギン酸は充
分に溶解できておらず、ｐＨは１．８であった。この水
溶液にコリン（トリメチル−２−オキシエチルアンモニ
ウムハイドロオキサイド：構造式８のもの）の４６ｗｔ
％水溶液を徐々に撹拌しながら加えた。添加に伴い水溶
液の色が茶色に変色した。ｐＨが１０．３になったとこ
ろで添加を中止した。この後、撹拌を３時間続け３時間
経過後のｐＨを測定したところ７．７に低下していたの
で、同様にコリン（トリメチル−２−オキシエチルアン
モニウムハイドロオキサイド：構造式８のもの）の４６
ｗｔ％水溶液を添加しｐＨを１０．５にした。この水溶
液にイオン交換水を加えアルギン酸の固形分濃度が２０
ｗｔ％になるようにした。実施例ではこのアルギン酸水
溶液をそのままであるいは希釈して使用した。対カチオ
ンを他の化合物とする場合も同様に作製した。その他の
併有する化合物のアルギン酸水溶液も同様にして作製し
た。

【０１３３】実施例１ 下記処方のインク組成物を作製し、ｐＨが９になるよう
にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン／２−アミノ
−２−ヒドロキシメチル−１，３−プロパンジオール１
０％水溶液にて調整した。その後、平均孔径０．８μｍ
のメンブレンフィルターで濾過を行ないインク組成物を
得た。 （イエローインク） ダイレクトイエロー１４２を１部およびアシッドイエロー２３を１部の組成 の含有固形分５％の水溶液 ４５．０％ コリン調合超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （マゼンタインク） 下記構造の化合物 ２部

【０１３４】

【化４３】 下記構造のアゾ化合物（２） １部

【０１３５】

【化４４】 C.I.アシッドバイオレット１０２が１部の混合水溶液（１２％） ３３．０％ コリン調合超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （シアンインク） C.I.ダイレクトブルー１９９の１０．２５％水溶液 ４４．０％ コリン調合超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量

【０１３６】比較例１ 実施例１においてアルギン酸を添加しない以外は実施例
１と同様にしてインクを作成した。

【０１３７】実施例２ 下記組成物を用いる以外は実施例１と同様にし、ｐＨを
水酸化リチウムで９にしてインク組成物を調整した。ま
たアルギン酸水溶液も水酸化リチウムで調合した。 （イエローインク） C.I.ダイレクトイエロー１４２ １．０％ C.I.アシッドイエロー２３ １．０％ 水酸化リチウムで調合した超低粘度アルギン酸（固形分濃度１０％） ２０．０％ １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （マゼンタインク） 実施例１で使用した混合マゼンタ染料（１２％水溶液） ３７．５％ 水酸化リチウムで調合した超低粘度アルギン酸（固形分濃度１０％） １０．０部 １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （シアンインク） C.I.ダイレクトブルー１９９の１０．２５％水溶液 ４４．０％ 水酸化リチウムで調合した超低粘度アルギン酸（固形分濃度１０％） １０．０部 １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量

【０１３８】比較例２ 実施例２においてアルギン酸を添加しない以外は実施例
２と同様にしてインクを作成した。

【０１３９】実施例３ 下記組成物を用いる以外は実施例１と同様にし、ｐＨを
トリス（ヒドロキシメチル）アミノメタン／２−アミノ
−２−ヒドロキシメチル−１，３−プロパンジオール１
０％水溶液で９にしてインク組成物を調整した。 （イエローインク） C.I.ダイレクトイエロー１４２ １．０％ C.I.アシッドイエロー２３ １．０％ コリンで調合した超低粘度アルギン酸（固形分濃度１０％） ２０．０％ １，３−ブタンジオール ２２．５％ グリセロール ７．５％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （マゼンタインク） 実施例１で使用した混合マゼンタ染料（１２％水溶液） ３７．５％ 水酸化リチウムで調合した超低粘度アルギン酸（固形分濃度１０％） ５．０部 １，３−ブタンジオール ２２．５％ グリセロール ７．５％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （シアンインク） C.I.ダイレクトブルー１９９の１０．２５％水溶液 ４４．０％ 水酸化リチウムで調合した超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ２０．０部 １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ ポリオキシアルキレン誘導体デイスパノールＴＯＣ（日本油脂） ５．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量

【０１４０】比較例３ アルギン酸を添加しない以外は実施例３と同様にしてイ
ンクを作成した。

【０１４１】実施例４ 下記組成物を用いる以外は実施例１と同様にし、ｐＨを
トリス（ヒドロキシメチル)アミノメタン／２−アミノ
−２−ヒドロキシメチル−１，３−プロパンジオール１
０％水溶液で９にしてインク組成物を調整した。 （イエローインク） C.I.ダイレクトイエロー１３２ １．１２５％ C.I.アシッドイエロー２３ １．１２５％ コリン調合超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １，６−ヘキサンデイオール １５．０％ グリセロール ５．０％ 表１に記載の具体例（Ｉ−１）の活性剤 ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （マゼンタインク） C.I.アシッドレッド５２ １．０％ 下記構造のアゾ化合物（１） ２．０％

【０１４２】

【化４５】 コリン調合超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １，６−ヘキサンデイオール １５．０％ グリセロール ５．０％ 表１に記載の具体例（Ｉ−１）の活性剤 ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （シアンインク） C.I.ダイレクトブルー１９９の１０．２５％水溶液 ４４．０％ コリン調合超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １．６−ヘキサンデイオール １５．０％ グリセロール ５．０％ 表１に記載の具体例（Ｉ−１）の活性剤 ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量

【０１４３】実施例５ 下記組成物を用いる以外は実施例１と同様にし、水酸化
リチウムでｐＨ＝９．５に調合してインクを作成した。 （イエローインク） ゼネカ株式会社製造、Ｐｒｏ−Ｊｅｔ Ｆａｓｔ Ｙｅｌｌｏｗ ２（固形 分として）２．０％ コリン調合超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １，３−ブタンデイオール １５．０％ グリセロール ５．０％ 表１に記載の具体例（Ｉ−１）の活性剤 ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （マゼンタインク） C.I.アシッドレッド５２ １．０％ 下記構造のアゾ化合物（１） ２．０％

【０１４４】

【化４６】 コリン調合超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ 表１に記載の具体例（Ｉ−１）の活性剤 ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量 （シアンインク） ゼネカ株式会社製造、Ｐｒｏ−Ｊｅｔ Ｆａｓｔ Ｃｙａｎ ２（固形分と して） ２．０部 超低粘度アルギン酸（固形分濃度２０％） ５．０％ １，３−ブタンジオール １５．０％ グリセロール ５．０％ 表１に記載の具体例（Ｉ−１）の活性剤 ２．０％ ２−エチル−１，３−ヘキサンジオール ２．０％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２％ イオン交換水 残量

【０１４５】比較例４ アルギン酸として下記組成物を用いる以外は実施例１と
同様にし、ｐＨを水酸化リチウムで９にしてシアンのみ
インク組成物を調製した。アルギン酸ナトリウム（マニ
ュゲルＧＭＢ） ０．１％

【０１４６】比較例５ アルギン酸として下記組成物を用いる以外は実施例１と
同様にし、ｐＨを水酸化リチウムで９にしてシアンのみ
インク組成物を調製した。アルギン酸ナトリウム（マニ
ュコールＤＭＦ） ０．１５％

【０１４７】実施例１乃至５とシアン、マゼンタ、イエ
ロー染料インク及び比較例１乃至５のインク組成物の染
料濃度、（Ｃ）湿潤剤濃度及びインク粘度を表３に示
す。

【０１４８】

【表３】

【０１４９】次に、上記実施例１乃至５及び比較例１乃
至５について下記の試験を行なった。 １）画像の鮮明性 リコー製インクジェットプリンターＩＰＳＩＯ Ｊｅｔ
３００のヘッドの駆動電圧を変え、べた及び文字を印字
した。印字乾燥後、２色重ね部境界の滲み、画像滲み、
色調、画像濃度を目視及び反射型カラー分光測色濃度計
（Ｘ−Ｒｉｔｅ社製）により総合的に調べ、評価基準に
したがって判定した。用いた印刷試験用紙を以下に示
す。 マイペーパー（株式会社ＮＢＳリコー製） 紙源Ｓ・再生紙（株式会社ＮＢＳリコー製） ＰＢ紙（キャノン株式会社製） マルチエース（富士ゼロックスオフィスサプライ株式
会社製） Ｘｅｒｏｘ ４０２４紙（富士ゼロックスオフィスサ
プライ株式会社製）

【０１５０】判定基準 ◎：全紙滲みの発生なく鮮明な印刷である。 ○：一部の用紙（再生紙）にひげ状の滲みの発生があ
る。 △：全紙にひげ状の滲みの発生がある。 ×：文字の輪郭がはっきりしないほど滲みが発生してい
る。画像濃度・裏抜け濃度はマイペーパー紙の値

【０１５１】２）画像の乾燥性 印字後の画像に一定条件で濾紙を押しつけインクが濾紙
に転写しなくなるまでの時間を測定した。いずれの紙で
も１０秒以内で乾燥した場合に○と判定した。

【０１５２】３）保存安定性 各インクをポリエチレン容器に入れ、−２０℃、５℃、
２０℃、７０℃でそれぞれの条件下で３カ月保存し、保
存後の表面張力、粘度、及び沈殿物析出の有無を調べ
た。どの条件で保存しても、物性等の大きな変化がない
ものを○とした。

【０１５３】４）印字休止時の信頼性 リコー製プリンターＩＰＳＩＯ Ｊｅｔ３００のヘッド
を用いてプリンター動作中にキャップ、クリーニング等
が行なわれないでどれだけ印字休止しても復帰できるか
を調べ、どれだけの時間（秒）で噴射方向がずれるか、
あるいは吐出液滴の重量が変化するかでその信頼性を評
価した結果を表４に示す。画像濃度、裏抜け濃度は実施
例と対応する比較例で噴射電位を一定にするか、あるい
は１滴あたりの滴量を一定にした測定値を示した。（紙
はマイペーパーの値）

【０１５４】

【表４−１】 表中の裏抜けの列の数字は裏面から確認される表面印写
ベタ画像の濃度（裏面濃度）の数字を示す。

【０１５５】

【表４−２】 表中の裏抜けの列の数字は裏面から確認される表面印写
ベタ画像の濃度（裏面濃度）の数字を示す。

【０１５６】［第２の群の本発明の例］

【０１５７】実施例６ 表５に示す処方によりインク組成物を作製し、ｐＨが１
０になるように水酸化リチウムにて調整した。

【０１５８】

【表５】 ＊数字は重量％（残りは水）

【０１５９】

【化４７】

【０１６０】実施例７ 湿潤剤（Ｃ１）をプロピレングリコールに変更した以外
は、実施例６と同様にしてインク組成物を調整した。

【０１６１】実施例８ 湿潤剤（Ｃ１）をトリエチレングリコールに変更した以
外は、実施例６と同様にしてインク組成物を調整した。

【０１６２】実施例９ 湿潤剤（Ｃ１）をトリメチロールプロパンに変更した以
外は、実施例６と同様にしてインク組成物を調整した。

【０１６３】比較例６ 湿潤剤（Ｃ１）を３−メチルペンタン−１，３，５−ト
リオールに変更した以外は、実施例６と同様にしてイン
ク組成物を調整した。

【０１６４】比較例７ 湿潤剤（Ｃ１）を１，３−ブタンジオールに変更した以
外は、実施例６と同様にしてインク組成物を調整した。

【０１６５】比較例８ 湿潤剤（Ｃ１）を１，５−ペンタンジオールに変更した
以外は、実施例６と同様にしてインク組成物を調整し
た。

【０１６６】比較例９ 湿潤剤（Ｃ１）を１，６−ヘキサンジオールに変更した
以外は、実施例６と同様にしてインク組成物を調整し
た。結果を表６に示す。

【０１６７】粒度分布はインク原液のまま粒度分析計Ｕ
ＰＡ９３４０で測定した。大部分は溶解しているが少量
の不溶粒子の粒径に相当する。

【０１６８】リコー製インクジェットプリンターＩＰＳ
ｉＯ Ｊｅｔ３００のヘッドの駆動電圧、周波数、パル
ス幅を変え、ワンパス印字でべた及び文字を印字した。

【０１６９】表面の画像濃度及び裏面の画像濃度（裏面
濃度）を反射型カラー分光測色濃度計（Ｘ−Ｒｉｔｅ社
製）により調べた。

【０１７０】また、非吐出のままキャリッジ走査を行な
い、ヘッドを乾燥させ、その後印写して正常な印字が可
能か実験を行なった。表６に示したように無機性／有機
性比が３以上の湿潤剤の場合、安定な吐出が可能である
が、３以下の湿潤剤が存在する場合、噴射安定性が保た
れない。ここでの噴射乱れは本実施例６〜９、比較例６
〜９内での相対的な評価である。ろ過困難とは０．８μ
ｍフィルターろ過を行なった場合にフィルター詰まりが
頻繁であることをいう。表６では３−メチルペンタン
１，３，５−トリオール及び１，３−ブタンジオールが
噴射乱れ、ろ過困難とあるが本実施例、比較例内での相
対的な評価でありこの溶媒が使用できないことを意味し
ない。３−メチルペンタン１，３，５−トリオール及び
１，３−ブタンジオールは１，５−ペンタンジオール、
１，６−ヘキサンジオールに比べると印写は容易であり
短時間の非吐き出し走査後であれば安定に印写可能であ
る。

【０１７１】

【表６】 Ｄ５０：マイクロトラックＵＰＡで測定した平均粒子径
（Ｄ５０％）。ここでは原液を希釈しないで測定した。

【０１７２】実施例１０ ＜黒顔料作成＞次亜塩素酸処理したカーボンブラック１ 市販のｐＨ２．５の酸性カーボンブラック（キャボット
社製、商品名モナーク１３００）３００ｇを水１０００
ミリリットルに良く混合した後に次亜塩素酸ソーダ（有
効塩素濃度１２％）４５０ｇを滴下して、１００〜１０
５℃で８時間撹拌した。この液に更に次亜塩素酸ソーダ
（有効塩素濃度１２％）１００ｇを加え、横型分散機で
３時間分散した。得られたスラリーを水で１０倍に希釈
し、水酸化リチウムにてｐＨを調整し、電導度０．２ｍ
Ｓ／ｃｍまで限外濾過膜にて脱塩濃縮し、顔料濃度１５
％のカーボンブラック分散液とした。遠心処理により粗
大粒子を除き、さらに１ミクロンのナイロンフィルター
で濾過し、カーボンブラック分散液１とした。マイクロ
トラックＵＰＡで測定した平均粒子径（Ｄ５０％）は９
５ｎｍであった。

【０１７３】＜カラー顔料作成＞ 表面化学処理したカラー顔料分散液（イエロー分散液
１、マゼンタ分散液１、シアン分散液１） イエロー顔料としてＣ．Ｉ．ピグメントイエロー１２８
を低温プラズマ処理し、カルボン酸基を導入した顔料を
作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外
濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度１５％のイエロー顔料分
散液１とした。平均粒子径７０ｎｍであった。同様にマ
ゼンタ顔料としてＣ．Ｉ．ピグメントマゼンタ１２２を
用いて顔料濃度１５％のマゼンタ顔料分散液１を作製し
た。平均粒子６０ｎｍであった。同様にシアン顔料とし
てＣ．Ｉ．ピグメントシアン１５：３を用いて顔料濃度
１５％のシアン顔料分散液１を作製した。平均粒子径８
０ｎｍであった。これらの顔料を使用して実施例７及び
比較例７と同様の液を作成し評価したところ、実施例１
０の顔料インクの場合も実施例７と同様にプロピレング
リコール、グリセリン、トリエチレングリコールを用い
た場合にアルギン酸を添加しても噴射安定性が保たれ
た。

【０１７４】以下に、実施例７におけるインクをリコー
マイペーパーＴＡ紙に印写した際の裏面濃度と表の濃度
（ＯＤ）の関係を図５〜７に示す。図中の双−１は双方
向印字で各行１回印字、双−２は双方向印字で各行２回
印字の意味である。図より、画像濃度が充分高く、裏面
濃度が充分低くアルギン酸の添加効果が存在することが
わかる。

【０１７５】図８〜１０は、アルギン酸添加による効果
（画像濃度増加、裏面濃度低下）を比較するためのもの
で、インク処方は実施例６の処方の湿潤剤を１−３ブタ
ンジオール／グリセリン＝３／１（ｗｔ／ｗｔ）、湿潤
剤全量が２０ｗｔ％に変更し、アルギン酸添加量を固形
分で１ｗｔ％か無添加としたものである。一般に、アル
ギン酸を添加しないと、図８〜１０に示すように画像濃
度の割に裏面濃度の高い印写が得られてしまう。

【０１７６】［第３の群の本発明の例］ 実施例１１、１２及び比較例１１、１２ 表７に示す処方によりインク組成物を作製し、ｐＨ調整
剤としてトリシン（化学名：Ｎ−［Ｔｒｉｓ（ｈｙｄｒ
ｏｘｙｍｅｔｈｙｌ）ｍｅｔｈｙｌ］ｇｌｙｃｉｎｅ、
（ＨＯＣＨ_２）_３ＣＮＨＣＨ_２ＣＯＯＨ）を０．１ｇ添
加し、さらにＡＥＰＤでｐＨを約９．５に調整した。各
インク物性を表８示す。

【０１７７】

【表７】 ＊数字はすべて重量％

【０１７８】

【化４８】

【０１７９】

【表８】

【０１８０】実施例１１は、はアルギン酸を添加しない
場合のインクセットであり、比較例１１は他の染料マゼ
ンタインクである。実施例１２はアルギン酸を添加した
場合のインクセットであり、比較例１２は他の染料マゼ
ンタインクでアルギン酸を添加した場合である。

【０１８１】リコー製インクジェットプリンターＩＰＳ
ｉＯ Ｊｅｔ３００のヘッドの駆動電圧を変え（滴量変
化）、ワンパス印字でべた及び文字を印字した。印字乾
燥後、色調、画像濃度を目視及び反射型カラー分光測色
濃度計（Ｘ−Ｒｉｔｅ社製）により総合的に調べ、評価
基準にしたがって判定した。

【０１８２】評価結果 （色調）実施例１１と比較例１１の結果を図１１に示
す。図より、明らかに実施例１１のほうが色調領域が広
い（紙はリコー製普通紙：マイペーパーＴＡ）。実 施
例１２と比較例１２の結果を図１２に示すが、同様の結
果であった。

【０１８３】（耐光性）アトラス社製造キセノンウエザ
ーオメーターＣｉ３５ＡＷを使用して以下の条件で疲労
試験を行ない、反射型カラー分光測色濃度計（Ｘ−Ｒｉ
ｔｅ社製）にて、べた部反射濃度（Ｄ）を測定した。耐
光性として、次式により褪色率を算出した。結果を図１
３、１４に示す。

【０１８４】

【数１】褪色率＝（１−Ｄ／Ｄ_０）×１００（％） ここでＤ_０は初期画像濃度、Ｄは光褪色後の画像濃度で
ある。

【０１８５】条件 ブラックパネル温度：８９±３℃ 照射強度：０．３５±０．０２Ｗ／ｍ^２ 照射時間：３時間 図１３及び１４より、一般に耐光性は、濃度とともに褪
色率が低下するが、近い濃度でみるとで実施例１１及び
１２の染料のほうが比較例の染料よりも光褪色率が小さ
い（紙はマイペーパーＴＡ）ことがわかる。

【０１８６】実施例１３ ＜黒顔料作成＞次亜塩素酸処理したカーボンブラック分
散液１ 市販のｐＨ２．５の酸性カーボンブラック（キャボット
社製、商品名モナーク１３００）３００ｇを水１０００
ミリリットルに良く混合した後に次亜塩素酸ソーダ（有
効塩素濃度１２％）４５０ｇを滴下して、１００〜１０
５℃で８時間撹拌した。この液に更に次亜塩素酸ソーダ
（有効塩素濃度１２％）１００ｇを加え、横型分散機で
３時間分散した。得られたスラリーを水で１０倍に希釈
し、水酸化リチウムにてｐＨを調整し、電導度０．２ｍ
Ｓ／ｃｍまで限外濾過膜にて脱塩濃縮し、顔料濃度１５
％のカーボンブラック分散液とした。遠心処理により粗
大粒子を除き、さらに１ミクロンのナイロンフィルター
で濾過し、カーボンブラック分散液１とした。マイクロ
トラックＵＰＡで測定した平均粒子径（Ｄ５０％）は９
５ｎｍであった。

【０１８７】下記組成により、ｐＨを水酸化リチウムで
９にして黒顔料インク組成物を調製した。 次亜塩素酸処理処理したカーボンブラック分散液 １８．０ｗｔ％ （固形分として） １，４−ブタンジオール ２２．５ｗｔ％ グリセロール ７．５ｗｔ％ ２−エチル１，３−ヘキサンジオール ２．０ｗｔ％ ディスパノールＴＯＣ（日本油脂） １．０ｗｔ％ ２，２，４−トリメチル−１，３−ペンタンジオール ２．０ｗｔ％ プロキセルＬＶ（防腐剤） ０．２ｗｔ％ イオン交換水 残量 この黒顔料インクと実施例１１及び実施例１２のインク
セットにより普通紙でもブリードのない高画質な画像が
得られた。また、にじみの程度、裏面画像濃度の程度は
アルギン酸を添加した実施例１２のほうがアルギン酸の
ない実施例１１よりも良好であった。

【０１８８】

【発明の効果】以上、詳細且つ具体的な説明より明らか
なように、前記第（１）項記載の本発明のインク組成物
によれば、少なくとも（Ａ１）染料、（Ｂ１）ｐＨ７．
０で１０ｗｔ％中和粘度が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）
のアルギン酸またはアルギン酸塩、（Ｃ）湿潤剤、
（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオールまたはグリコ
ールエーテル、（Ｅ）アニオンまたはノニオン系界面活
性剤、（Ｆ）水を主成分として含有するインク組成物で
は、双方向ワンパス印字条件あるいは双方向２パス印字
条件において、普通紙にレーザープリンター並の画像濃
度が高く、うら抜けが少ない高品位画質を得ることがで
きる。アルギン酸がない場合に比べて画像濃度が高く、
うら抜けが少ないのは実施例から明らかである。また、
前記第（２）項記載の本発明のインク組成物によれば、
従来のアルギン酸は分子量が数万から数十万であり、イ
ンク中への添加量も０．０２から多くて０．５ｗｔ％迄
しか添加できなかったが、本発明におけるアルギン酸
は、分子量数千から数万で、（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０
ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）の超
低粘度アルギン酸であり、インクへの添加量は５．０ｗ
ｔ％でも充分に溶解する。添加量は、好ましくは０．１
〜３．０ｗｔ％であり、より好ましくは０．５〜２．０
ｗｔ％である。本発明では、インク中に多量にアルギン
酸を添加できることで、アルギン酸の効果をこれまでに
ないほどの顕著に発揮することができた。また、前記第
（３）項記載の本発明のインク組成物によれば、前記
（Ｂ１）低粘度アルギン酸と、アルカリ金属、アルカノ
ールアミン、少なくとも一つ以上の水酸基で置換された
第四級アンモニウム、アミノアルコールから選ばれる少
なくとも一種を併有することにより、アルギン酸の溶解
性の向上、アルギン酸の熱的安定性の向上、ヘッド部材
や液室部材を腐食させないという安定性（特にシリコン
液室の場合）がもたらされインク組成物の安定性が向上
する。また、前記第（４）項記載の本発明のインク組成
物によれば、アルカリ金属がナトリウム、カリウム、リ
チウムであることによりアルギン酸の溶解性の向上、ア
ルギン酸の熱的安定性の向上、ヘッド部材や液室部材を
腐食させないという安定性（特にシリコン液室の場合）
がもたらされインク組成物の安定性が向上する。また、
前記第（５）項記載の本発明のインク組成物によれば、
アルカノールアミンがトリエタノールアミンであること
によりアルギン酸の溶解性の向上、アルギン酸の熱的安
定性の向上、ヘッド部材や液室部材を腐食させないとい
う安定性（特にシリコン液室の場合）がもたらされイン
ク組成物の安定性が向上する。また、前記第（６）項記
載の本発明のインク組成物によれば、アミノアルコール
が２−アミノ−２−メチル−１，３−プロパンジオー
ル、２−アミノ−２−エチル−１，３−プロパンジオー
ル、２−アミノ−２−ヒドロキシメチル−１，３−プロ
パンジオールであることによりアルギン酸の溶解性の向
上、アルギン酸の熱的安定性の向上、ヘッド部材や液室
部材を腐食させないという安定性（特にシリコン液室の
場合）がもたらされインク組成物の安定性が向上する。
また、前記第（７）項記載の本発明のインク組成物によ
れば、少なくとも一つ以上の水酸基で置換された第四級
アンモニウムが構造式８、９、１０であることによりア
ルギン酸の溶解性の向上、アルギン酸の熱的安定性の向
上、ヘッド部材や液室部材を腐食させないという安定性
（特にシリコン液室の場合）がもたらされインク組成物
の安定性が向上する。また、前記第（８）項記載の本発
明のインク組成物によれば、カラーブリード及びフェザ
リング（紙の繊維に沿った単色インクのにじみ）の抑制
が一層良好になる、前記（Ｂ１）アルギン酸を構成する
Ｄ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸との比（Ｄ−マンヌ
ロン酸／Ｌ−グルロン酸）が存在することを見い出し
た。すなわち、Ｍ／Ｇ比が、０．０５〜０．８の範囲の
アルギン酸を用いることにより、インク組成物の浸透を
抑え、紙の上でのインク組成物の流動性を小さくするこ
とができ、発色性を改良しながらフェザリング及びカラ
ーブリードを減少させるという相反する課題を同時に解
決することができる。また、前記第（９）項記載の本発
明のインク組成物によれば、カラーブリード及びフェザ
リング（紙の繊維に沿った単色インクのにじみ）の抑制
が一層良好になる、前記（Ｂ１）アルギン酸を構成する
Ｄ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸との比（Ｄ−マンヌ
ロン酸／Ｌ−グルロン酸）が存在することを見い出し
た。すなわち、Ｍ／Ｇ比が、１．５〜２．５の範囲のア
ルギン酸を用いることにより、インク組成物の浸透を抑
え、紙の上でのインク組成物の流動性を小さくすること
ができ、発色性を改良しながらフェザリング及びカラー
ブリードを減少させるという相反する課題を同時に解決
することができる。この傾向は、０．０５〜０．８の範
囲で顕著であるが、更に耐熱性考慮した保存性を考える
とＭ 比が多い１．５〜２．５の範囲が画像品質と保存
性の観点から優れているといえる。この間の数値は画像
品質と保存性の両方の特性が両立できない範囲である。
また、前記第（１０）項記載の本発明のインク組成物に
よれば、アルギン酸またはアルギン酸塩と（Ｃ）湿潤剤
の重量比が３：１０〜１：５０となる量で両者を混合す
ると、目詰まり復帰性が一層良好になるので好ましい。
重量比が１：１０未満であると目詰まり復帰性に充分な
効果が得られないことがあり、また１：５０を超えると
インク粘度が高くなり過ぎ実用的ではなくなる場合があ
る。また、前記第（１１）項記載の本発明のインク組成
物によれば、前記（Ｄ）ポリオールまたはグリコールエ
ーテルが２−エチル−１，３−ヘキサンジオールまたは
２，２，４−トリメチル−１，３−ペンタンジオールで
あることから、インクの熱素子への濡れ性が改良され、
少量の添加量でも吐出安定性及び周波数安定することが
できた。また、前記第（１２）項、第（１３）項記載の
本発明のインク組成物によれば、前記（Ｅ）アニオンま
たはノニオン系界面活性剤が一般式（Ｉ）、（II）、
（III）、（IV）、（Ｖ）及び（VI）の界面活性剤であ
ることから、炭素数８以上、１１以下の（Ｄ）ポリオー
ルと（Ｉ）乃至（VI）の界面活性剤の相互作用により、
インクの表面張力が４０ｍＮ／ｍ以下となり、ほとんど
の被記録材に対して速やかに浸透定着する。また、ヘッ
ド部材への濡れがよくなり、インク組成物気泡排出性の
向上、周波数応答性の向上、吐出安定性が格段に向上す
る。また、前記第（１４）項記載の本発明のインク組成
物によれば、これらの湿潤剤は保湿性、インク粘度、吐
出安定性、周波数安定性、フェザリングとカラーブリー
ドの低減の点から好ましく、バランスのとれたインク組
成物が得られる。また、前記第（１５）項、第（１６）
項記載の本発明のインク組成物によれば、（Ｈ）湿潤剤
がグリセリンと前記グリセリン以外の湿潤剤のいずれか
１種との組み合わせであることから、高粘度のグリセリ
ンと低粘度の適切な（Ｈ）湿潤剤を混合したバランスの
とれた湿潤剤が得られる。粘度以外にも保湿性や吐出安
定性、周波数安定性、フェザリングとカラーブリード低
減の点からバランスのとれたインク組成物が得られる。
また、前記第（１７）項記載の本発明のインク組成物よ
れば、好ましい染料濃度が１乃至１０ｗｔ％であること
から、インクの粘度が高くなり、染料が紙面上で凝集し
易くなり画像濃度（ＯＤ）が向上すると共にフェザリン
グもほとんどなくなる。また、前記第（１８）項記載の
本発明のカラーインクジェット記録用インク組成物セッ
トによれば、カラーの発色性改善、カラーブリードの低
減、カラーの重ね印字の色むら改善、特に印字順序の違
いによるＲＧＢ発色性の色ずれの低減をもたらす。ま
た、前記第（１９）項、第（２０）項記載の本発明のカ
ートリッジによれば、高浸透特性で、かつ高い信頼性、
安全性と優れた画像特性が可能となるインクを収容した
記録液カートリッジが得られる。また、前記第（２１）
項記載の本発明のインクジェット記録用装置によれば、
上記本発明のインクを用いてインクジェット記録を行な
うことから、従来問題とされたフェザリングや印字濃度
の低下、カラーブリード等の画像品質の改良された高品
位の画質を得ることができる。また、前記第（２２）項
記載の本発明のインクジェット記録方法によれば、上記
本発明のインクを用いてインクジェット記録を行なうこ
とから、従来問題とされたフェザリングや印字濃度の低
下、カラーブリード等の画像品質の改良された高品位の
画質を得ることができる。また、前記第（２３）項記載
の本発明のインクジェット記録方法によれば、記録ヘッ
ドのノズルプレートの表面に撥インク性皮膜層が共析メ
ッキにより形成されたインクジェット記録装置と上記本
発明のインクを用いて記録することから、インク滴の大
きさの変化や吐出不良といった問題が防止されると共に
上述したフェザリングや印字濃度の低下、カラーブリー
ド等の発生がない高品位の画質を得ることができる。ま
た、前記第（２４）項記載の本発明のインクジェット記
録方法によって形成された画像はフェザリングや印字濃
度の低下、カラーブリード等の発生がない高品位の画質
である。さらに、第２群の本発明、すなわち前記第（２
５）項乃至第（４６）項記載の本発明のインク組成物
は、特定の湿潤剤を選択することにより噴射安定性が特
に優れたものである。さらに、第３群の本発明、すなわ
ち、前記第（４７）項乃至第（６３）項記載の本発明の
インク組成物は、マゼンタ画質が高色調、高耐光性であ
り、ポリオール添加により、高浸透、ブリード防止に効
果があり、アルギン酸の添加により、裏抜け防止、画像
濃度増加に優れたインク組成物が得られるという優れた
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した記録液を収容するインクカー
トリッジを搭載するシリアル型インクジェット記録装置
の構成例を示す概略正面図である。

【図２】本発明の記録装置に装填する前のインクカート
リッジの外観斜視図である。

【図３】本発明のインクカートリッジの正断面図であ
る。

【図４】本発明の記録ヘッドと一体化された記録ユニッ
トの外観斜視図である。

【図５】第２群の本発明の実施例７のイエローインクに
おける裏面濃度と表の濃度（ＯＤ）の関係を示した図で
ある。

【図６】実施例７のマゼンタインクにおける裏面濃度と
表の濃度（ＯＤ）の関係を示した図である。

【図７】実施例７のシアンインクにおける裏面濃度と表
の濃度（ＯＤ）の関係を示した図である。

【図８】第１群の本発明における（Ｂ１）アルギン酸添
加による効果を示す図である。

【図９】（Ｂ１）アルギン酸添加による効果を示す他の
図である。

【図１０】（Ｂ１）アルギン酸添加による効果を示す他
の図である。

【図１１】第３群の本発明を説明する実施例１１及び比
較例１１の色調を対比した図である。

【図１２】実施例１２及び比較例１２の色調を対比した
図である。

【図１３】実施例１１及び実施例１２のマゼンタインク
の光褪色率を示した図である。

【図１４】比較例１１及び比較例１２のマゼンタインク
の光褪色率を示した図である。

【符号の説明】

１ 側板 ２ 側板 ３ 主支持ガイドロッド ４ 従支持ガイドロッド ５ キャリッジユニット ６ ヘッド ６ａ 吐出面（ノズル面） ７ インクカートリッジ ７ｙ イエローインクカートリッジ ７ｍ マゼンタインクカートリッジ ７ｃ シアンインクカートリッジ ７ｋ ブラックインクカートリッジ ８ 主走査モータ ９ 駆動プーリ（駆動タイミングプーリ） １０ 従動プーリ（アイドラプーリ） １１ タイミングベルト １２ 底板 １３ サブフレーム １４ サブフレーム １５ 搬送ローラ １６ 用紙 １７ 副走査モータ １８ ギヤ １９ ギヤ ２１ 信頼性維持回復機構（サブシステム） ２２ キャップ手段 ２３ ホルダ ２４ リンク部材 ２５ 係合部 ２６ 吸引チューブ ２７ 吸引ポンプ ２８ ワイピング手段（ワイパブレード） ２９ ブレードアーム ３０ 記録ユニット ３１ 電極 ３２ ノズル ４１ カートリッジ本体 ４２ インク吸収体 ４３ ケース ４４ 上蓋部材 ４５ インク供給口 ４６ シールリング ４７ 大気開放口 ４８ 溝 ５０ キャップ部材 ５５ フィルム状シール部材 Ａ 空間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有田 均 東京都大田区中馬込１丁目３番６号 株式 会社リコー内 Ｆターム(参考） 2C056 EA04 FC02 2C057 AF23 AP13 AP60 2H086 BA59 BA60 BA61 BA62 4J039 AB01 AE07 BC07 BC09 BC10 BC13 BC33 BC35 BC54 BE01 BE02 BE15 BE22 CA06 EA15 EA16 EA41 EA42 EA47 GA24

Claims (29)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも（Ａ１）染料、（Ｂ１）ｐＨ
   ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下
   （２０℃）のアルギン酸またはアルギン酸塩、（Ｃ）湿
   潤剤、（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオールまたは
   グリコールエーテル、（Ｅ）アニオンまたはノニオン系
   界面活性剤、（Ｆ）水を主成分として含有することを特
   徴とするインク組成物。
2. 【請求項２】 少なくとも（Ａ）着色剤、（Ｂ）アルギ
   ン酸またはアルギン酸塩、（Ｃ１）有機性・無機性比が
   ３以上の湿潤剤、（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポリオ
   ールまたはグリコールエーテル、（Ｅ）アニオンまたは
   ノニオン系界面活性剤、（Ｆ）水を主成分として含有す
   ることを特徴とするインク組成物。
3. 【請求項３】 インクジェット記録用インクにおいて、
   （Ａ）着色剤として（Ａ２）反応染料系マゼンタ色素を
   含有し、（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度
   が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）のアルギン酸またはアル
   ギン酸塩、（Ｃ）湿潤剤、（Ｄ）炭素数８以上で１１以
   下のポリオールまたはグリコールエーテル、（Ｅ）アニ
   オンまたはノニオン系界面活性剤、（Ｆ）水を少なくと
   も含有することを特徴とするインク組成物。
4. 【請求項４】 前記（Ｂ）アルギン酸またはアルギン酸
   塩が、ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ
   ・ｓ以下（２０℃）のアルギン酸またはアルギン酸塩で
   あることを特徴とする請求項２に記載のインク組成物。
5. 【請求項５】 前記（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水
   溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）のアルギン酸
   またはアルギン酸塩を０．１〜３．０ｗｔ％含有するこ
   とを特徴とする請求項１、３又は４に記載のインク組成
   物。
6. 【請求項６】 前記（Ｃ１）有機性・無機性比が３以上
   の湿潤剤が、プロピレングリコール、トリエチレングリ
   コール、グリセリンから選ばれる１種または複数種であ
   ることを特徴とする請求項２に記載のインク組成物。
7. 【請求項７】 前記（Ｂ）アルギン酸若しくはアルギン
   酸塩、又は（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘
   度が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）のアルギン酸若しくは
   アルギン酸塩と、アルカリ金属、アルカノールアミン、
   少なくとも一つ以上の水酸基で置換された第四級アンモ
   ニウム、アミノアルコールから選ばれる少なくとも一種
   を含有することを特徴とする請求項１乃至４のいずれか
   に記載のインク組成物。
8. 【請求項８】 前記アルカリ金属がナトリウム、カリウ
   ム、リチウムであることを特徴とする請求項７に記載の
   インク組成物。
9. 【請求項９】 前記アルカノールアミンがトリエタノー
   ルアミンであることを特徴とする請求項７に記載のイン
   ク組成物。
10. 【請求項１０】 前記アミノアルコールが、２−アミノ
    −２−メチル−１，３−プロパンジオール、２−アミノ
    −２−エチル−１，３−プロパンジオール、２−アミノ
    −２−ヒドロキシメチル−１，３−プロパンジオールで
    あることを特徴とする請求項７に記載のインク組成物。
11. 【請求項１１】 前記少なくとも一つ以上の水酸基で置
    換された第四級アンモニウムが下記構造式の化合物であ
    ることを特徴とする請求項７に記載のインク組成物。 【化１】 【化２】 【化３】
12. 【請求項１２】 前記（Ｂ）アルギン酸又は（Ｂ１）ｐ
    Ｈ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下
    （２０℃）のアルギン酸として、アルギン酸を構成する
    Ｄ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸との比（Ｄ−マンヌ
    ロン酸／Ｌ−グルロン酸）が、０．０５〜０．８の範囲
    のアルギン酸を用いることを特徴とする請求項１乃至４
    のいずれかに記載のインク組成物。
13. 【請求項１３】 前記（Ｂ）アルギン酸又は（Ｂ１）ｐ
    Ｈ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘度が５ｍＰａ・ｓ以下
    （２０℃）のアルギン酸として、アルギン酸を構成する
    Ｄ−マンヌロン酸とＬ−グルロン酸との比（Ｄ−マンヌ
    ロン酸／Ｌ−グルロン酸）が、１．５〜２．５の範囲の
    アルギン酸を用いることを特徴とする請求項１乃至４の
    いずれかに記載のインク組成物。
14. 【請求項１４】 前記（Ｂ）アルギン酸若しくはアルギ
    ン酸塩又は（Ｂ１）ｐＨ７．０で１０ｗｔ％水溶液の粘
    度が５ｍＰａ・ｓ以下（２０℃）のアルギン酸若しくは
    アルギン酸塩と、（Ｃ）湿潤剤又は（Ｃ１）有機性・無
    機性比が３以上の湿潤剤との重量比が３：１０〜１：５
    ０であることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに
    記載のインク組成物。
15. 【請求項１５】 前記（Ｄ）炭素数８以上１１以下のポ
    リオールまたはグリコールエーテルが２−エチル−１，
    ３−ヘキサンジオールまたは２，２，４−トリメチル−
    １，３−ペンタンジオールであることを特徴とする請求
    項１乃至４のいずれかに記載のインク組成物。
16. 【請求項１６】 前記（Ｅ）アニオンまたはノニオン系
    界面活性剤が下記一般式（Ｉ）、（II）、（III）、（I
    V）、（Ｖ）及び（VI）の界面活性剤から選ばれる少な
    くとも一種よりなることを特徴とする請求項１乃至４の
    いずれかに記載のインク組成物。 【化４】 Ｒ_１−Ｏ−（ＣＨ_２ＣＨ_２Ｏ）ｍＣＨ_２ＣＯＯＭ……（Ｉ） （Ｒ_１：炭素数６〜１４の分岐してもよいアルキル基、
    ｍ：３〜１２、Ｍ：アルカリ金属イオン、第４級アンモ
    ニウム、第４級ホスホニウム、アルカノールアミン） 【化５】 （Ｒ_２：炭素数５〜１６の分岐したアルキル基、Ｍ：ア
    ルカリ金属イオン、第４級アンモニウム、第４級ホスホ
    ニウム、アルカノールアミン） 【化６】 （Ｒは分岐しても良い６〜１４の炭素鎖、ｋ：５〜２
    ０） 【化７】Ｒ−（ＯＣＨ_２ＣＨ_２）ｎＯＨ……（IV） （Ｒは分岐しても良い炭素数６〜１４の炭素鎖、ｎ：５
    〜２０） 【化８】 （Ｒ’は炭素数６〜１４の炭素鎖、ｍ≦２０、ｎ≦２
    ０） 【化９】 （ｐ、ｑは０〜４０）
17. 【請求項１７】 前記（Ｅ）アニオンまたはノニオン系
    界面活性剤を０．１〜５．０ｗｔ％含有することを特徴
    とする請求項１乃至４のいずれかに記載のインク組成
    物。
18. 【請求項１８】 前記（Ｃ）湿潤剤又は（Ｃ１）有機性
    ・無機性比が３以上の湿潤剤が、（Ｈ）グリセリン、エ
    チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
    ングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレ
    ングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
    リコール、トリプロピレングリコール、１，３−ブタン
    ジオール、２，３−ブタンジオール、１，４−ブタンジ
    オール、１，３−プロパンジオール、１，５−ペンタン
    ジオール、１，６−ヘキサンジオール、２−メチル−
    ２，４−ペンタンジオール、１，２，４−ブタントリオ
    ール、１，２，６−ヘキサントリオール、トリメチロー
    ルプロパン、トリメチロールエタン、チオジグリコール
    及びペンタエリスリトールから選ばれる少なくとも１種
    よりなる潤滑剤であることを特徴とする請求項１乃至４
    のいずれかに記載のインク組成物。
19. 【請求項１９】 前記（Ｈ）湿潤剤がグリセリンとグリ
    セリン以外の湿潤剤を混合した湿潤剤であることを特徴
    とする請求項１乃至４のいずれかに記載のインク組成
    物。
20. 【請求項２０】 前記（Ｈ）湿潤剤を５〜４０ｗｔ％含
    有することを特徴とする請求項１８または１９に記載の
    インク組成物。
21. 【請求項２１】 前記（Ａ）着色剤濃度、（Ａ１）染料
    濃度又は（Ａ２）マゼンタ染料濃度が１〜１０ｗｔ％で
    あることを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載
    のインク組成物。
22. 【請求項２２】 ２色以上のインク組成物からなるカラ
    ーインクジェット記録用インク組成物セットであって、
    前記インク組成物の少なくとも１種が、請求項１乃至２
    １のいずれかに記載のインク組成物であることを特徴と
    するカラーインクジェット記録用インク組成物セット。
23. 【請求項２３】 シアンインクがＣ．Ｉ．ダイレクトブ
    ルー１９９であり、イエローインクがＣ．Ｉ．ダイレク
    トイエロー１４２及びＣ．Ｉ．アシッドイエロー２３の
    混合物であり、黒インクが顔料インクであり、マゼンタ
    インクが請求項３に記載の反応染料系マゼンタ色素であ
    ることを特徴とするカラーインクジェット記録用インク
    組成物セット。
24. 【請求項２４】 請求項１乃至２１のいずれかに記載の
    インク組成物若しくは請求項２２又は２３に記載のイン
    ク組成物セットを収納することを特徴とするインクカー
    トリッジ。
25. 【請求項２５】 インクを収容したインク収容部と該イ
    ンクを吐出させるための記録ヘッド部を備えたインクジ
    ェット記録用インクカートリッジにおいて、該インクが
    請求項１乃至２１のいずれかに記載のインク組成物若し
    くは請求項２２又は２３に記載のインク組成物セットで
    あることを特徴とするインクジェット記録用インクカー
    トリッジ。
26. 【請求項２６】 請求項２４又は２５に記載のインクカ
    ートリッジが搭載されたことを特徴とするインクジェッ
    ト記録用装置。
27. 【請求項２７】 請求項１乃至２１のいずれかに記載の
    インク組成物若しくは請求項２２又は２３に記載のイン
    ク組成物セットを用いて実施することを特徴とするイン
    クジェット記録方法。
28. 【請求項２８】 記録装置本体またはインクカートリッ
    ジに設けた記録ヘッドのノズルプレートの表面に撥イン
    ク性皮膜層が共析メッキにより形成されたインクジェッ
    ト記録装置と請求項１乃至２１のいずれかに記載のイン
    ク若しくは請求項２２又は２３に記載のインク組成物セ
    ットを用いて記録することを特徴とするインクジェット
    記録方法。
29. 【請求項２９】 請求項２７または２８に記載のインク
    ジェット記録方法によって形成された画像。