JP5212675B2 - インク・メディアセット及びこれを用いた画像記録方法 - Google Patents

インク・メディアセット及びこれを用いた画像記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録用に適した顔料インクと専用メディアよりなるインク・メディアセット及び記録方法に関し、特に画像光沢、画像定着性、耐水・耐光性等の画像堅牢性に優れた画像が得られる顔料インクと専用メディアよりなるインク・メディアセット及び記録方法に関する。
インクジェットプリンタは、低騒音、低ランニングコストといった利点から目覚しく普及し、インクジェット専用記録媒体のみならず普通紙にも印字可能なカラープリンタも市場に盛んに投入されるようになった。しかしながら、画像の色再現性、耐久性、耐光性、画像の乾燥性、文字にじみ(フェザリング)、色境界にじみ(カラーブリード)、両面印刷性、吐出安定性など要求される全ての特性を満足することは非常に難しく、用途に応じて優先される特性から用いるインクが選択されている。特に、普通紙に高速印字するプリンタにおいては、これらの特性を満たすことは難しいものであった。
インクジェット記録に使用されるインクは、水を主成分とし、これに着色剤及び目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。着色剤としては、優れた発色性や安定性から染料が用いられている。しかしながら、染料系インクを用いて得られる画像の耐光性、耐水性等は劣るものである。耐水性については、インク吸収層を有するインクジェット専用記録媒体の改善によってある程度向上しているが、普通紙については満足なものではない。
近年、これらの問題点を改善するために、染料の代わりに有機顔料やカーボンブラック等の顔料を着色剤として用いる顔料インクが検討されている。顔料は水に不溶であるため、顔料を分散剤とともに混合、分散処理して水に安定分散させた水性インクとして用いられる。顔料を用いることで、耐水性、耐光性は付与されるが、他の特性を同時に達成できるものではない。特に、普通紙に高速印字した場合には高い画像濃度、発色性を得ることが困難で、文字にじみ、色境界にじみ、両面印刷性も充分には満足できるものではない。
また、インクジェット記録においてはインクジェット記録ヘッドの微細なノズルから安定なインク液滴の吐出が要求されるため、インクジェット記録ヘッドのオリフィスの乾燥によってインクの固化等が発生しないことが必要となる。しかしながら、上記した分散剤が含有されたインクをインクジェット記録に用いた場合には、分散剤を形成している樹脂等がオリフィス等に付着した後、再溶解されずに、目詰まりやインクの不吐出等が生じる場合がある。特に、印字を長期に休止した場合にノズル等の目詰まりが起こり易く、また、ノズルキャップ内や吸引用チューブ等の維持機構に増粘したインクが堆積し、維持機構の機能を損なう怖れがあるものであった。また、印字を一次休止した場合、あるいは空白のある文書や画像の印字中に空白に対応するノズルに印字の休止期間ができた場合にも、インク滴の噴射方向が乱れることによる印字不良(間欠吐出不良)等の問題が多発していた。また、分散剤を含む水性顔料インクは粘稠であり、長時間にわたる連続吐出及び高速印字を行なう際にノズル先端までの経路で抵抗を起こし、吐出が不安定になり、スムーズな記録が困難になるという問題もあった。
これらの問題点の改善を図るものとして、特開2000−212486号公報に顔料、顔料濃度、水溶性分散剤、浸透剤を特定したインク、更には特定の多価アルコールアルキルエーテル誘導体を含有するインク、これらのインクセットが開示されている。開示されたインクは超浸透性であるので高速印刷した場合においても乾燥性は充分であり、吐出安定性も確保されているが、普通紙における画像濃度、色再現性は染料系インクに比べて見劣りのするものであり、文字にじみ、色境界にじみ、両面印刷性は従来のインクジェット記録画像と比べると改善しているものの、市場で普通紙印刷に用いられている電子写真方式等の記録画像に比べて劣り、更に改善を必要とした。
また、画像の耐久性を改善するものとして、着色剤を水に不溶で分散性の樹脂に内包した着色剤内包樹脂分散体を含有するインクが開示されている。しかし、着色剤としてカーボンブラックを用いた場合に充分な画像濃度が得られないという問題がある。また、着色剤としてカラー有機顔料を用いた場合、従来公知のインク処方では染料インクに比べて普通紙上での画像濃度、色再現性は劣るものである。また、これらの着色剤内包樹脂分散型のブラックインクとカラーインクとを組み合わせたインクセットにおける、ブラックとイエロー間の色境界にじみも満足なものではない。
他の分散方式として、分散剤を使用することなく安定に分散させることができるいわゆる自己分散型顔料インクがある。黒色系顔料インクでは特開平5−186704号公報や特開平8−3498号公報で述べられているように、カーボンの表面に親水性基を導入することによって、分散剤を使用することなく安定に分散させることができるいわゆる自己分散型カーボンブラックが開発されている。さらに、カラー顔料系インクにおいても、特表2000−513396号公報に述べられているように、分散剤を使用することなく安定に分散させることのできるカラー顔料が開発されている。
これらの自己分散型顔料インクを組み合わせた場合には、普通紙におけるカラー画像の彩度が低く、また、光沢紙等の専用記録媒体上での耐擦過性が劣るものであった。耐擦過性を向上するために樹脂エマルジョンを添加した場合には、インクの分散安定性が低下し、吐出安定性を損なう欠点があった。
この他、ブラックインクとカラーインクとからなるインクセットとして、自己分散型カーボンブラックを有するブラックインクと、このブラックインクの色材に対して逆極性の色材を含有するカラーインクとからなるインクセットが特開平10−140064号公報に開示されている。また、特開2000−191972号公報には着色剤内包樹脂分散型インクにおいてインクのイオン性の異なるインクセットが開示されている。しかし、これらのインクセットを用いた印刷物は、色境界にじみは改善されるものの、他の普通紙特性は依然として満足なものではなかった。
一方、インクジェット記録に用いられるメディアとして、通常の紙やインクジェット専用コート紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなるインク受容層を有するメディアが知られている。これらメディアの基材は、従来、紙が一般的に用いられ、基材の紙にインクの溶媒吸収層としての役割を持たせていた。近年、銀塩写真に近い画質が求められる中、基材として写真印画紙と同様な非吸収性のレジンコート紙等が用いられるようになり、メディア表面の質感が光沢のあるものが望まれている。このため、インク受容層に求められるインク吸収能力や表面の平滑度が重要になり、気相法シリカやアルミナ微粒子をインク受容層に含有させ、表面平滑度が高く、インク受容層の空隙率を高める改良がなされている。
例えば、特開平6−79967号公報には、アルミナ水和物を含有するインク受理層が最表層にあるキャスト光沢紙が開示されているが、最表面に大きなひび割れが多く、記録時にインクがにじんだり、基材がインク中の溶媒を吸収してカールやコックリングも生じやすいという欠点を有している。また、特開2000−351267号公報には初期の画質ばかりでなく、画像堅牢性を銀塩写真並に近づけるため、顔料インクの吸収性と定着性が良好な記録媒体と記録方法が開示されているが、自己分散型顔料や界面活性剤分散型顔料のように分散剤にポリマーを含まない顔料インクについては画像の光沢がメディア表面より低下したり、擦過性等の画像定着性がなく、さらなる改良が望まれている。
発明が解決しようとする課題
本発明は、このような従来の欠点を解消し、インクジェット記録用カラー顔料インクと専用メディアよりなるインク・メディアセット、およびこのインク、メディアを用いて好適な記録方法を提供し、特に光沢感のある鮮明な画像で、擦過性等物理的な定着性が強く、また、耐水性や耐光性などの画像堅牢性に優れた画像を提供できるインク・メディアセット、画像記録方法を提供することをその課題とするものである。
課題を解決するための手段
本発明者らは上記課題について鋭意検討を行なった結果、ポリマー微粒子に色材を含有させたエマルジョンを用いて特定の湿潤剤、浸透剤、水溶性有機溶剤から構成したインクと、基材上に多孔性粒子とバインダーを含有する空隙型インク受容層を設け、インク受容層表面の光沢度を特定の範囲としたメディアのインク・メディアセットを用いることで、画像定着性、耐光性、耐水性などの画像堅牢性に優れた写真画像を得られることを見い出して本発明に至った。
本発明の特徴はインクがポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンを含有し、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、およびトリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上の湿潤剤を含有し、炭素数8以上で11以下のポリオールまたはグリコールエーテル、アニオンまたはノニオン系界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を少なくとも含有し、25℃におけるインク粘度が5mPa・s以上であり、メディアが基材上に多孔性粒子とバインダーを含有する空隙型インク受容層を設けたものであり、該インク受容層表面の60度光沢が10〜80であるインク・メディアセットにある。
インク受容層表面の60度光沢が10未満では写真画質としての光沢感が足りず、80より大きいと画像部光沢が低下し、非画像部とのバランスを損なうことになる。インク受容層表面とはこの場合、メディア印字面となるが、この表面のベック平滑度が300秒以上であることが好ましい。300秒以下であると、画素が不均一に拡がったり、真円度を損ない易くなり、写真階調のノイズになりやすいため好ましくない。
メディアのインク受容層は、インクを素早く吸収し、色材を定着できるようにするため比表面積の大きな無機酸化物等の多孔性粒子を含有することが好ましく、具体的にはシリカまたはアルミナが挙げられる。特にシリカの中でも、気相法により得られる平均1次粒径が30nm以下で、BET比表面積が250m/g以上の合成シリカはインクの吸収性と光沢性が高いため好ましい。またアルミナとしては、β−アルミナ、γ−アルミナ等が使用できる。また表面をアルミニウム塩で処理したシリカ粒子も好ましく使用することができる。
インク受容層中のバインダーとしては、透明性が高くインク溶媒のより高い浸透性が得られる親水性バインダーが好ましく用いられる。親水性バインダーの使用にあたっては、親水性バインダーがインク溶媒の初期浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、室温付近で膨潤しにくい親水性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
メディアの基材としては公知の紙、合成紙、樹脂被覆紙、フィルム等いずれも使用することができるが、好ましくは非インク吸収性の基材が好ましい。特に写真印画紙用に使用されるようなレジンコート紙が写真画質を再現するメディア基材としてより好ましい。
また本発明のインク・メディアセットに用いられるインクは、普通紙に対しても好ましく用いることができる。この場合、25℃における表面張力が40mN/m以下の低表面張力の水性インクを用いることが好ましい。これは本発明者らが、記録画像の乾燥性を改善するために種々の手段について検討を行なった結果、インクの表面張力を40mN/m以下になるように調整すればほとんどの普通紙に対しても速やかな浸透乾燥が可能であることを見い出したことに基づくものである。また、インクの表面張力を40mN/m以下にすることで、インクのヘッド部材への濡れが良くなり8cps(25℃)以上の高粘度インクでも周波数応答性が向上し、吐出安定性が格段に向上したことによる。この低表面張力のインクは炭素数8以上、11以下のポリオールまたはグリコールエーテルと、アニオンまたはノニオン系界面活性剤を用いることにより達成できる。
また、インクは5cps以上、好ましくは8cps(25℃)以上の高粘度インクを用いることにより印字品位が格段に向上する。従来のインクジェットプリンターに用いられてきた3cps(25℃)程度の低粘度インクではインク中の水分が約70%であるが、8cps(25℃)程度の高粘度インクでは約50%以下になり、インク滴が紙面上に着弾するときの水分蒸発率が2.0〜3.0倍も高くなる。このために高濃度の顔料が紙面上で凝集する速さも速くなり滲み(フェザリング)がほとんどなくなる。
また、インク中の色材を含有するポリマーエマルジョン濃度が固形分で8wt%以上、好ましくは10wt%以上にすることが好ましい。ポリマーエマルジョン濃度あるいは顔料濃度を高めることにより、インクの粘度が高くなり、顔料が紙表面で凝集しとどまり易くなり発色濃度、色調が向上するとともにフェザリングもほとんどなくなる。
またインク中に従来用いられてきたエチレングリコール(ジエチレングリコール)とグリセリンの混合した低粘度の湿潤剤よりも、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上の高粘度の湿潤剤とグリセリンの混合した高粘度の湿潤剤を用いることが好ましい。高粘度の湿潤剤を用いると、高顔料濃度と相まって高粘度のインクを達成できる。
また本発明の特徴は、前記インク・メディアセットを用いたインクジェット記録方法にもある。この場合、記録信号に応じてインクを噴射し、メディア上に画像を得るが、インクを噴射させるため、熱エネルギーを作用させることも可能である。また、これらの記録方法により得られる画像部の60度光沢が、非画像部より低下しないことが好ましく、そのためインクのメディアに対する最大付着量は40g/m以内であることが好ましい。付着量が40g/mを越えるとインクがあふれたり、にじみ出したりするため好ましくない。
また、インクが少なくともシアン、マゼンタ、イエローの3色を備えた複数のカラーインクでメディア上にフルカラー画像を形成することが好ましく、特にカーボンブラックを色材とするブラックインクを用いずに無彩色画像を形成できることが好ましい。ブラックインクが染料では、画像堅牢性に乏しく、カーボンブラックは人体への影響が懸念されており、環境上できるだけその使用量を少なくする検討が始まっている。前記フルカラー、無彩色画像を形成するため、複数のカラーインクはメディア上で混色させることが好ましいが、混色画像部では明度の低いインクからメディア上に付与することが好ましい。明度の高いインクから付与すると濃度むらや色境界にじみが起こりやすく好ましくない。
次に、インクについて詳細に説明する。
本発明で使用するインク組成物は、次の構成よりなるインク粘度5cps以上、好ましくは8cps(25℃)以上の記録用インクである。印字するための着色材、それを分散させるための水とを必須成分とし、必要に応じて添加される湿潤剤、水溶性有機溶剤、アニオンまたはノニオン系界面活性剤、エマルジョン、防腐剤、pH調製剤から構成される。湿潤剤1と2を混合するのは各々の湿潤剤の特徴を活かすためと、粘度調製ができるためであるが、湿潤剤1と2を必ず併有するわけではない。
▲1▼ 着色剤
▲2▼ 湿潤剤1(グリセリン)
▲3▼ 湿潤剤2(1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上)
▲4▼ 水溶性有機溶剤
▲5▼ アニオンまたはノニオン系界面活性剤
▲6▼ 炭素数8以上、11以下のポリオールまたはグリコールエーテル
▲7▼ 防腐剤
▲8▼ pH調製剤
▲9▼ 純水
以下、各インクの構成要素について説明する。
色材としては、ポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有させたポリマーエマルジョンからなる。本発明において、「色材を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態およびポリマー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。この場合、本発明のインクに配合される色材はすべてポリマー微粒子に封入または吸着されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、該色材がエマルジョン中に分散していてもよい。上記色材としては、水不溶性若しくは水難溶性であって、上記ポリマーによって吸着され得る色材であれば特に制限なく用いられる。本発明において、水不溶性若しくは水難溶性とは、20℃で水100重量部に対して、色材が10重量部以上溶解しないことをいい、溶解するとは、目視で水溶液表層または下層に色材の分離や沈降が認められないことをいう。上記色材としては、例えば、油溶性染料、分散染料等の染料や、顔料等が挙げられる。良好な吸着・封入性の観点から油溶性染料及び分散染料が好ましいが、得られる画像の耐光性からは顔料が好ましく用いられる。
本発明に用いられる上記の各染料は、ポリマー微粒子に効率的に含浸される観点から、有機溶剤、例えば、ケトン系溶剤に2g/リットル以上溶解することが好ましく、20〜600g/リットル溶解することが更に好ましい。
本発明に用いられる顔料は、カラー顔料として、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドンおよび(チオ)インジゴイドを含む。フタロシアニンブルーの代表的な例は銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体(ピグメントブルー15)を含む。キナクリドンの代表的な例はピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19およびピグメントバイオレット42を含む。アントラキノンの代表的な例はピグメントレッド43、ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)およびピグメントレッド226(ピラントロンレッド)を含む。ピレリンの代表的な例はピグメントレッド123(ベルミリオン)、ピグメントレッド149(スカーレット)、ピグメントレッド179(マルーン)、ピグメントレッド190(レッド)、ピグメントバイオレット、ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)およびピグメントレッド224を含む。チオインジゴイドの代表的な例はピグメントレッド86、ピグメントレッド87、ピグメントレッド88、ピグメントレッド181、ピグメントレッド198、ピグメントバイオレット36およびピグメントバイオレット38を含む。複素環式イエローの代表的な例はピグメントイエロー117およびピグメントイエロー138を含む。他の適切な着色顔料の例は、The Colour Index、第三版(TheSociety of Dyers and Colourists,1982)に記載されている。
なお、顔料を着色剤として用いる場合に補色、調色等のために上記染料を併用することもできる。
上記色材の配合量は、ポリマーの配合量との関係において、該ポリマーの重量に対して約10〜200重量%、特に約25〜150重量%であることが好ましい。
上記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー及びポリウレタン系ポリマー等を用いることができる。特に好ましく用いられるポリマーはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、2001−139849号公報に開示されているポリマーが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、これらの色材を含有するポリマー微粒子の平均粒子径はインク中において最も好ましくは0.16μm以下である。
インク中のポリマー微粒子の含有量は固形分で8〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは8〜12重量%程度である。
湿潤剤と水溶性有機溶剤に関して、本発明のインクは水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するために、また、分散安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶媒が使用される。これら水溶性有機溶媒は複数混合して使用してもよい。
湿潤剤と水溶性有機溶媒の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH(CHOH)nCHOH(ここでn=2〜5の整数を表わす。)で表わされる。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
顔料と湿潤剤の比は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が高いのに湿潤剤の配合量が少ないとノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらす。
湿潤剤の配合量は10〜50重量%であり、これに対して色材を含有するポリマー微粒子は8重量%以上、好ましくは8〜20重量%であるので、湿潤剤とポリマー微粒子固形分の両者の比は0.5〜6.25となるが、より好ましくは2.0〜6.0であり、最も好ましくは3.0〜5.0の範囲である。この範囲にあるインクは、乾燥性や保存試験や信頼性試験が非常に良好である。
界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤が用いられる。色材の種類や湿潤剤、水溶性有機溶剤の組み合わせによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択する。
アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。
前記界面活性剤は、単独または二種以上を混合して用いることができる。
本発明では界面活性剤を使用することで記録紙への濡れ性を改善することができる。好ましい界面活性剤としては界面ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。より具体的にはアニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩(I)、及び/または炭素鎖が5〜7の分岐したアルキル鎖を有するジアルキルスルホ琥珀酸(II)が挙げられ、これらを用いることで普通紙特性も改善されさらに着色剤の溶解・分散安定性が得られる。
【化1】
−O−(CHCHO)mCHCOOM……(I)
(R:炭素数6〜14の分岐してもよいアルキル基、m:3〜12、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン)
Figure 0005212675
(R:炭素数5〜16の分岐したアルキル基、M:アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、アルカノールアミン)
Figure 0005212675
(Rは分岐しても良い6〜14の炭素鎖、k:5〜20)
【化4】
R−(OCHCH)nOH……(IV)
(Rは分岐しても良い炭素数6〜14の炭素鎖、n:5〜20)
Figure 0005212675
Figure 0005212675
さらに本発明の界面活性剤の対イオンとしてリチウムイオン、及び下記一般式で示される第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムを用いることにより界面活性剤が優れた溶解安定性を示す。
好ましい非イオン系の界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである一般式(III)、アセチレングリコール系界面活性剤である一般式(VI)の活性剤が挙げられる。これらを併用することによりさらに相乗効果として浸透性が挙げられ、これにより色境界にじみが低減され、また文字にじみも少ないインクが得られる。
なお、このインクのpHを6以上にすることによりインクの保存安定性が得られ、また、オフィスで使用されているコピー用紙や用箋等はpHが5〜6のものが多く、これらの記録紙にインクを9〜60μmの微細な吐出口より吐出し重量が3ng〜50ngの液滴として5〜20m/sで飛翔させ、単色での付着量を1.5g/mから30g/mとしてJIS P−8122試験法によるステキヒトサイズ度が3秒以上の所謂普通紙に記録するこにより高画質、高解像の記録画像を形成する記録方式を提供することができる。ただし、pHが9以上では保存時に(II)の活性剤では分解による物性変化が起こりやすいため(II)を用いる場合はpHを6〜9とすることが好ましい。
本発明に用いることができる(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の添加量は0.05〜10重量%の間でプリンターシステムにより要求されるインク特性に対し所望の浸透性を与えることが可能である。ここで0.05%以下ではいずれの場合も2色重ね部の境界でのにじみが発生し、10重量%以上添加する場合は化合物自体が低温で析出しやすことがあり信頼性が悪くなる。
表1に、本発明に用いる界面活性剤(I)、(II)を具体的に遊離酸型で示す。
Figure 0005212675
本発明における表面張力は紙への浸透性を示す指標であり、特に表面形成されて1秒以下の短い時間での動的表面張力を示し、飽和時間で測定される静的表面張力とは異なる。測定法としては特開昭63−31237号公報等に記載の従来公知の方法で1秒以下の動的な表面張力を測定できる方法であれば使用できるが、本発明ではWilhelmy式の吊り板式表面張力計を用いて測定した。表面張力の値は40mJ/m以下が好ましく、より好ましくは35mJ/m以下とすると優れた定着性と乾燥性が得られる。
本発明に用いる炭素数8以上、11以下のポリオールまたはグリコールエーテルは、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する部分的に水溶性のポリオールおよび/またはグリコールエーテルを記録用インク全重量に対して0.1〜10.0重量%添加することによって、該インクの熱素子への濡れ性が改良され、少量の添加量でも吐出安定性および周波数安定性が得られることが分かった。
▲1▼2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 溶解度:4.2%(20℃)
▲2▼2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 溶解度:2.0%(25℃)
25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤は、溶解度が低い代わりに浸透性が非常に高いという長所がある。従って、25℃の水中において0.1〜4.5重量%未満の間の溶解度を有する浸透剤と他の溶剤との組み合わせや他の界面活性剤との組み合わせで非常に高浸透性のインクを作成することが可能となる。
本発明のインクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。
その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。
その目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、実施例に記載の各成分の量(%)は重量基準である。
<参考例1>フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整
特開2001−139849号公報に記載の調整例3を追試して青色のポリマー微粒子分散体を得た。
ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
<参考例2>ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整
参考例1のフタロシアニン顔料をピグメントレッド122に変更した他は参考例1と同様にして赤紫色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
<参考例3>モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調整
参考例1のフタロシアニン顔料をピグメントイエロー74に変更した他は参考例1と同様にして黄色のポリマー微粒子分散体を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
<比較参考例1>ジアゾ化合物処理したカーボンブラック分散液1
表面積が230m/gでDBP吸油量が70ml/100gのカーボンブラック100gと、p−アミノ−N−安息香酸34gとを水750gに混合分散し、これに硝酸16gを滴下して70℃で撹拌した。5分後、50gの水に11gの亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液を加え、更に1時間撹拌した。得られたスラリーを10倍に希釈し遠心処理し粗大粒子を除き、pHをジエタノールアミンにて調整しpH8〜9とし、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度15%のカーボンブラック分散液とした。このものをポリプロピレンの0.5μmフィルターにてカーボンブラック分散液1とした。マイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は99nmであった。
(インク1)
下記処方のインク組成物を作成し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行ないインク組成物を得た。
Figure 0005212675
(インク2)
下記組成物を用いる以外はインク1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
参考例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子 8.0wt%[特調
Figure 0005212675
(インク3)
下記組成物を用いる以外はインク1と同様にし、pHを水酸化リチウムで9にしてインク組成物を調製した。
Figure 0005212675
(比較インク1)
下記組成物を用いる以外はインク1と同様にし、pHを水酸化ナトリウムで9にしてインク組成物を調製した。
Figure 0005212675
(実施メディア1)
レジンコート紙上に下記組成のインク受容層塗工液を調整し、乾燥塗工量20g/mとなるように塗布、乾燥しメディア1を作成した。(60度光沢 20、ベック平滑度747秒)
Figure 0005212675
(比較メディア2)
PET上に下記組成のインク受容層を調整し、乾燥塗工量20g/mとなるように塗布、乾燥し比較メディア2を作成した。(60度光沢 85、ベック平滑度20秒)
Figure 0005212675
次に、上記インク1〜3及び比較インク1について下記の試験を行なった。
1)画像の鮮明性
▲1▼インクジェットプリンターEM−900(セイコーエプソン株式会社製)にて、ヘッドの駆動電圧、周波数、パルス幅を変え、下記の各紙に印刷を行なった。印刷パターンは、イエロー、マゼンタ、シアンの各カラー顔料インクは100%dutyで印字し、本発明の黒インクを充填したブラックインクは文字を同時に印刷した。印字条件は、Mjが35pl、Vjが20m/sec、周波数が1kHz、記録密度は360dpi、ワンパス印字とした。
インク1、2、3を実施メディアに記録した画像を重ねたコンポジットKは目視にて黒色であった。またこの画像部光沢は30であり、耐光性は良好。クロックテストでの定着性も良好であった。一方、同インクを比較メディアに記録した画像ではクロックテストでの定着性が×であった。
比較インクを実施メディアに印字した画像のクロックテストでの定着性も×であった。
発明の効果
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、これまでの浸透系インクは速乾性と定着性に優れたる反面、フェザリングや印字濃度の低下、カラーブリード等の画像品質に問題があった。しかし、本発明による、色材を含有するポリマー微粒子が固形分で8wt%以上で、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上の湿潤剤を含むインク粘度が5.0cps以上、好ましくは8.0cps以上の高粘度のインク組成物では、Mjが5〜35pl、Vjが6〜20m/sec、周波数が1KHz以上、解像度が300dpi以上、ワンパス印字条件において、普通紙にレーザープリンター並の高品位画質を可能とすることができた。更に、紙面上に色材がとどまるため従来に比べて裏抜けが格段に少なくなり、両面印字が可能となった(裏抜け濃度:0.02〜0.04/従来0.15〜0.2)。
また、炭素数8以上、11以下のポリオールと(I)〜(VI)の界面活性剤の相互作用により、インクの表面張力が40mN/m以下となり、ポリマー微粒子が固形分で8wt%以上、8.0cps以上の高粘度であっても、ほとんどの被記録材に対して速やかに定着し、耐マーカー性も充分である。また、ヘッド部材への濡れがよくなり、インク組成物気泡排出性の向上、周波数応答性の向上、吐出安定性が格段に向上した。
また、本発明のインク組成物は、高顔料濃度で高粘度インクであるが、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上の湿潤剤の効果により、従来の高顔料・高粘度インクに比べノズルの目詰まりが無く、安定した印字が可能となった。
また、本発明のインク組成物は、高顔料濃度で高粘度インクであるが、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上の湿潤剤の効果により、従来の高顔料・高粘度インクに比べ保存安定性が格段に向上した。
また、本発明のインクセットによれば、上記のように構成したカラーインクと、上記の構成において色材を自己分散型カーボンブラックに置き換えた構成とするブラックインクと組み合わせることでブラック/カラー間の色境界にじみが殆どなく、レーザープリンター並の高品位画質を可能とすることができた。
また、本発明によれば、このように高浸透特性で、かつ高い信頼性、安全性と優れた画像特性が可能となる記録液を収容した記録液カートリッジおよびこのカートリッジを具備した記録装置が提供できるという優れた効果を奏する。

Claims (9)


  1. インクジェット記録用のインクとメディアからなるインク・メディアセットであって、前記インクは、少なくとも、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、およびプロピレングリコールから選ばれた少なくとも1種類を含有し、更にポリマーエマルジョン、界面活性剤、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、及び、水を含有し、25℃におけるインク粘度が5mPa・s以上であり、前記ポリマーエマルジョンは、ポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有させてなるものであり、インク中の、該ポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンの配合量が8〜20重量%であり、前記界面活性剤が、下記構造式(I−1)、(I−2)、(I−4)で表される界面活性剤のいずれかであり、前記メディアは、基材上に多孔性粒子とバインダーを含有する空隙型インク受容層を設けたものであり、該インク受容層表面の60度光沢が10〜80であることを特徴とするインク・メディアセット。
    【化1】
    Figure 0005212675

  2. 前記メディアのインク受容層表面のベック平滑度が300秒以上であることを特徴とする請求項1に記載のインク・メディアセット。
  3. 前記多孔性粒子がシリカ、またはアルミナであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク・メディアセット。
  4. 記録信号に応じてインクを噴射し、メディア上に画像を得るインクジェット記録方法において、請求項1乃至3のいずれかに記載のインク・メディアセットの組み合わせを用いることを特徴とする画像記録方法。
  5. 記録信号に応じた熱エネルギーをインクに作用させ、インクを噴射しメディア上に画像を形成することを特徴とする請求項4に記載の画像記録方法。
  6. 記録信号に応じてインクを噴射し、メディア上に画像を得るインクジェット記録方法において、インクのメディアに対する最大付着量が40g/m以内であり、インクの付着した画像部がインクの付着していない非画像部のインク受容層表面より、60度光沢が低下しないことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像記録方法。
  7. 前記インクが少なくともシアン、マゼンタ、イエローを備えた複数のカラーインクであり、該インクを用いてメディア上にフルカラー画像を形成することを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の画像記録方法。
  8. 前記インクが少なくともシアン、マゼンタ、イエローを備えた複数のカラーインクであり、さらにブラックインクを用いずに無彩色画像を形成することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の画像記録方法。
  9. 記録信号に応じて少なくともシアン、マゼンタ、イエローを備えた複数のカラーインクを噴射し、メディア上で前記カラーインクの少なくとも一部を混色させる記録方法において、混色画像部では明度の低いインクからメディア上に画像を形成することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像記録方法。
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