JP4177008B2 - インク組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用に適したインク組成物の製造方法に関し、インクの保存安定性に優れ、特に印字時のヘッドの目詰まりがなく吐出安定性に優れ、耐水・耐光性等の画像堅牢性に優れた画像が得られ、普通紙においても良好な色調の高品位画像が得られるインク組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは低騒音、低ランニングコストといった利点から目覚しく普及し、普通紙に印字可能なカラープリンタも市場に盛んに投入されるようになった。しかしながら、画像の色再現性、耐久性、耐光性、画像の乾燥性、文字にじみ(フェザリング)、色境界にじみ(カラーブリード)、両面印刷性、吐出安定性などの要求される全ての特性を満足することは非常に難しく、用途に応じて優先される特性から用いるインクが選択されている。
【0003】
インクジェット記録に使用されるインクは水を主成分とし、これに着色剤及び目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。着色剤としては、優れた発色性や安定性から染料が用いられている。しかしながら、染料系インクを用いて得られる画像の耐光性、耐水性等は劣るものである。耐水性については、インク吸収層を有するインクジェット専用記録紙の改善によってある程度向上しているが、普通紙については満足できるものではない。
【0004】
近年、これらの問題点を改善するために、染料の代わりに有機顔料やカーボンブラック等の顔料を着色剤として用いる顔料インクが検討されている。有機顔料やカーボンブラックは水に不溶であるため、これらを水系ビヒクル中に分散させるためには界面活性剤や高分子分散剤を用いて分散させる方法が一般的に用いられている。
【0005】
しかしながら、これらの分散体を使ったインクを普通紙に印字すると、染料ほどではないものの耐水性は悪く、さらに、インクが紙の中に浸透しやすいため表の濃度が低く、裏抜けが大きくなるという問題点が指摘されている。
【0006】
インクジェット記録においてはインクジェット記録ヘッドの微細なノズルから安定なインク液滴の吐出が要求されるため、インクジェット記録ヘッドのオリフィスの乾燥によってインクの固化等が発生しないことが必要となる。
【0007】
しかしながら、上記した分散剤が含有されたインクをインクジェット記録に用いた場合には、分散剤を形成している樹脂等がオリフィス等に付着した後、再溶解されずに、目詰まりやインクの不吐出等が生じる場合がある。とくに、印字を長期に休止した場合にノズル等の目詰まりが起こり易く、また、ノズルキャップ内や吸引用チューブ等の維持機構に増粘したインクが堆積し、維持機構の機能を損なう怖れがあるものであった。
【0008】
また、印字を一次休止した場合、あるいは空白のある文書や画像の印字中に空白に対応するノズルに印字の休止期間ができた場合にも、インク滴の噴射方向が乱れることによる印字不良(間欠吐出不良)等の問題が多発していた。又、分散剤を含む水性顔料インクは粘稠であり、長時間にわたる連続吐出及び高速印字を行う際にノズル先端までの経路で抵抗を起こし、吐出が不安定になり、スムーズな記録が困難になるという問題もあった。
【0009】
他の分散方式として、分散剤を使用することなく安定に分散させることができるいわゆる自己分散型顔料インクがある。黒色系顔料インクでは、カーボンの表面に親水性基を導入することによって、分散剤を使用することなく安定に分散させることができるいわゆる自己分散型カーボンブラックが開発されている。さらに、カラー顔料系インクにおいても、分散剤を使用することなく安定に分散させることのできるカラー顔料が開発されている。
【0010】
しかし、これらの自己分散型顔料インクは、普通紙におけるカラー画像の彩度が低く、また、専用光沢紙上での耐擦過性が劣るものであった。耐擦過性を向上するために樹脂エマルジョンを添加した場合には、インクの分散安定性が低下し、吐出安定性を損なう欠点もあった。
【0011】
上記のような問題点を解消する方法として、顔料粒子を樹脂で被覆する、いわゆるマイクロカプセルあるいはエマルジョンタイプの分散体を用いたインクジェットインクが提案されている。樹脂で強固に顔料を覆っているため分散状態は長期にわたって安定であり、吐出の不安定さは改善されたとはいうものの、実用化するためにはまだ不安定であると言わざるをえない。
【0012】
インクジェットインク用のマイクロカプセル化顔料の作成方法としては、主に転相乳化法と酸析法が提案されている。転相乳化法は水と相溶性が小さく水より沸点の低い有機溶剤中に樹脂と顔料を分散し、樹脂を親水化した後に水を加えて乳化させ、有機溶剤を留去することで水系に転相するという手順を踏む。
【0013】
しかし、有機溶剤中で顔料を平均粒径で100nm近くまで微分散し、かつ樹脂の官能基を親水化した後は水系に顔料を100nm前後で微分散させるような樹脂の設計が非常に困難であることと、有機溶剤を用いるという点で環境に対する負荷が大きくなるという点で好ましい方法ではない。
【0014】
これに対し、酸析法は水系に樹脂と顔料を分散し、酸を加えて樹脂を疎水化することで顔料粒子上に樹脂を強く吸着させ、水洗いの後に塩基を加えて再び親水化することで水系に分散させるという手順を踏む。有機溶剤を使用しないため環境への負荷は小さく、樹脂の設計も容易であるため転相乳化法に比べてより小粒径の顔料分散体が作成可能であるというメリットがある。インクジェット用インクの酸析法による作成は、特開平9−31360号公報、特開平9−104834号公報、特開平9−151342号公報、特開平9−217019号公報、特開平11−172180号公報、特開平11−199783号公報、特開2000−219841号公報に記載されている。
【0015】
しかし、これらは有機顔料やカーボンブラックに対しての請求に留まり、本発明のような無機有機複合顔料に対するものではない。
【0016】
近年、無機顔料粒子の周りを有機顔料で覆う複合顔料が提案されている。特開平11−323174号公報、特開平11−338191号公報、特開2000−351914号公報には無機顔料の周りを、ポリシロキサンやオルガノシランで被覆し、さらにその表面にカーボンブラック粒子を付着させた複合顔料を用いた黒色トナーが開示されている。また、特開2001−172526号公報にはポリシロキサンやオルガノシランで被覆した無機顔料の表面に黄色の有機顔料を付着させた黄色顔料が開示され、特開2001−181533号公報、特開2001−226609号公報には青色の有機顔料を付着させた緑色顔料が開示されている。
【0017】
これらに用いられている無機顔料の芯物質は0.1〜2.0μmであり、インクジェットに用いるには大きすぎる。インクジェットに用いることができる粒子はノズルに詰まりを発生させないという理由から平均粒径で200nm以下であることが望ましく、実使用上は平均粒径で100nm前後のものが使用されている。この複合顔料の芯物質として10〜50nmの無機顔料粒子を用いれば、有機顔料を被覆した状態でも100nm未満の着色顔料を得ることは可能であり、戸田工業(株)により10〜20nmの複合顔料色材が実用化されている。
【0018】
また、特開2001−192582号公報には金属酸化物の表面に染料を付着させて、さらにイオン性基を有する有機化合物で覆うことで、粒径がナノメーターサイズで、粒径の揃った色材がえられ、それをインクジェットインクに用いることが開示されている。染料を用いたインクにくらべて耐水性は改善されているものの、耐光性は染料インクよりも悪くなってしまい、実使用に耐えるものではない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の欠点を解消したインクジェット記録用顔料分散体の製造方法を提供し、特にインクジェット記録方法を用いて普通紙に高速で印字した際にも、吐出安定性や保存安定性に優れ、かつ耐水性や耐光性などの画像の堅牢性を与えることのできるインクジェット記録用顔料分散体の製造方法を提供することをその目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、インクジェット記録用インク組成物の製造方法において、少なくとも、無機顔料粒子を有機色材で包含した複合顔料粒子と樹脂と水を含有するインク組成物であって、前記樹脂が前記複合顔料粒子を包含してなる体積平均粒子径が20〜200nmの樹脂分散粒子として水系ビヒクル中に分散しているインク組成物の製造方法であって、前記樹脂にポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂及びアクリル系樹脂の内から選ばれた少なくとも1種のカルボキシル基を有する樹脂を用い、該樹脂のカルボキシル基の一部又はすべてを塩基性化合物で中和する工程と、水系ビヒクル中で上記複合顔料粒子と共に混練する工程と、酸性化合物を添加することで該樹脂を該複合顔料粒子に固着させる工程を経ることにより、該複合顔料粒子を包含した樹脂粒子を水系ビヒクル中に分散させることを最も主要な特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載のインク組成物の製造方法において、上記無機顔料粒子が、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化鉄、水酸化鉄及び酸化スズの内から選ばれた少なくとも1種の酸化物の粒子であることを主要な特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2に記載のインク組成物の製造方法において、上記有機色材が、水に不溶性又は難溶性の色材から選ばれた色材であることを主要な特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明では、請求項3に記載のインク組成物の製造方法において、上記有機色材が、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、モノアゾイエロー系顔料、ジスアゾイエロー系顔料及び複素環式イエロー系顔料の内から選ばれた少なくとも1種の顔料であることを主要な特徴とする。
【0025】
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物の製造方法において、上記樹脂のカルボキシル基に基づく酸価が50〜150であることを主要な特徴とする。
【0028】
請求項6記載の発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物の製造方法において、上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液を水洗いし、塩基性化合物を添加することにより、pHを7〜10とすることを主要な特徴とする。
【0029】
請求項7記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法において、上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液に、混練処理を行うことを主要な特徴とする。
【0030】
請求項8記載の発明では、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法において、上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液から、ろ過、遠心分離処理を施すことで、1μm以上の粒子を除去することを主要な特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる複合顔料粒子は、無機顔料粒子の存在下で有機顔料を析出する方法や、無機顔料と有機顔料を機械的に混摩砕する方法等により作成することができる。必要に応じて、ポリシロキサン、アルキルシランから生成するオルガノシラン化合物の層を、無機顔料と有機顔料の中間に設けることで両者の接着性を向上させることが可能である。
【0032】
無機顔料としては、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化鉄、水酸化鉄、酸化スズ等が挙げられるが、粒子形状はアスペクト比が小さいものが好ましく、球形が最も好ましい。また、無機顔料の色は、カラーの色材を表面に吸着させる場合は、透明あるいは白色であることが好ましいが、黒の色材を表面に吸着させる場合は、黒色の無機顔料を用いても構わない。1次粒子径が200nm以下であること、望ましくは5〜50nmである。
【0033】
有機顔料としては、ブラック顔料としてのカーボンブラックが挙げられ、カラー顔料としては、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドン及び(チオ)インジゴイドが挙げられる。このなかでも、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、モノアゾイエロー系顔料、ジスアゾイエロー系顔料、複素環式イエロー顔料は、発色性の面で優れている。
【0034】
フタロシアニンブルーの代表的な例は、銅フタロシアニンブルー及びその誘導体(ピグメントブルー15)である。キナクリドンの代表的な例は、ピグメントオレンジ48、ピグメントオレンジ49、ピグメントレッド122、ピグメントレッド192、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントバイオレット19及びピグメントバイオレット42である。モノアゾイエローの代表的な例は、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー151である。ジスアゾイエローの代表的な例は、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17である。複素環式イエローの代表的な例は、ピグメントイエロー117及びピグメントイエロー138である。他の適切な着色顔料の例は、The Colour Index、第三版(The Society of Dyers and Colourists,1982)に記載されている。
【0035】
本発明で使用するカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、カルボキシル基含有化合物と水酸基含有化合物とを、カルボキシル基が残存するように、溶融法、溶剤法などのの方法によって脱水縮合反応を行って製造することができる。また本発明で使用するカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂は、カルボキシル基を導入する成分としてのジメチロールプロピオン酸のようなカルボキシル基及び水酸基を有する化合物を含有するポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させることによって製造することができる。
【0036】
カルボキシル基を有する樹脂中のカルボキシル基の量は、酸価が50〜150となる範囲が好ましい。本発明で使用する樹脂の酸価が150を越えると、親水性が高くなり、印字物の耐水性が低下する傾向にある。また、酸価が50よりも低いと、水への再分散性が低下するため好ましくない。
【0037】
上記複合顔料に対する上記樹脂の配合比は、10〜200重量%、特に約25〜150重量%であることが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、これらの色材を含有する樹脂微粒子の体積平均粒径はインク中において20〜200nmであり、より好ましくは30〜80nmである。
インク中の分散微粒子の含有量は固形分で2〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは4〜15重量%である。
【0038】
顔料を包含した樹脂微粒子を製造する方法として、一般的に、界面沈積法、界面重合法等が知られている。特にインクジェット用に用いられるのは界面沈積法の中の転相乳化法と酸析法である。中でも酸析法は、有機溶剤を使用しないため環境への負荷は小さく、樹脂の設計も容易であるため転相乳化法に比べてより小粒径の顔料分散体が作成可能であるというメリットがある。
【0039】
酸析法は一般的に、混練工程、酸析工程、水洗い工程、アルカリ化工程の各工程を踏む。
【0040】
混練工程は、塩基性化合物を加えてカルボキシル基を中和することで親水化した樹脂を水系媒体に溶解し、そこに顔料を加えて充分に湿潤させた後、ホモジナイザーによる高速撹拌、ビーズミルやボールミルのようなボールを用いた混練分散機、ロールミルのような剪断力を用いた混練分散機、超音波分散機等により、顔料粒子を樹脂にくるまれた状態で水系媒体中に分散させる工程である。
【0041】
加える塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのような無機塩、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の有機アミン類が挙げられる。また、分散補助剤として界面活性剤を加えることも可能であるが、印字品質や耐水性が低下しない範囲でできる限り少量に押さえることが必要である。
【0042】
酸析工程は、混練工程で得られた分散体に、酸を加えてカルボキシル基を酸化することで水に対して不溶化させ、樹脂が顔料粒子上に析出することでより強く吸着させる工程である。このとき顔料粒子は水系媒体の底にペースト状で沈降する。使用される酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸のような無機酸、蟻酸、酢酸のような有機酸などである。酸析後のpHは2〜6の範囲が好ましく、酸により変質しない範囲で添加する。
【0043】
水洗い工程は、前工程で得られた酸性の顔料ペーストを中性に戻す工程である。この工程では、顔料ペーストと水を分離するために吸引ろ過、加圧ろ過や遠心分離などを用いることができる。
【0044】
アルカリ化工程は、前工程でほぼ中性になった顔料ペーストに塩基性物質を加えて、再び親水化し、水系媒体中に分散させる工程である。塩基性物質としては混練工程の前に加えた無機塩や有機アミン類を用いることができる。
【0045】
ここまでの工程を経た時点で、所望の分散粒子径や粒子径分布が得られない場合が多い。これは、酸析工程で顔料ペーストを析出させた時に粒子同士が凝集をおこして、それがほぐれない状態であると推察できる。これを、ほぐして所望の分散粒子径や粒子径分布を得るために、再混練工程と粗大粒子カット工程を追加する必要がある。
【0046】
再混練工程は、前工程で得られた分散体を、混練工程で使うことのできる混練分散機を用いて分散する工程である。
【0047】
粗大粒子カット工程は、フィルターや遠心分離器を用いて、インクジェットノズルや供給経路の目詰まりの原因となる粗大粒子を除く工程である。
【0048】
湿潤剤と水溶性有機溶剤に関して、本発明のインク組成物の製造方法は水を液媒体として使用するものであるが、インクを所望の物性にするため、インクの乾燥を防止するために、また、分散安定性を向上するため等の目的で、例えば下記の水溶性有機溶媒が使用される。これら水溶性有機溶媒は複数混合して使用してもよい。
【0049】
湿潤剤と水溶性有機溶媒の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等である。
【0050】
これら有機溶媒の中でも、特にジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる。
【0051】
その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)及び多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
【0052】
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここでn=2〜5の整数を表す。)で表される。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。これら糖類の含有量は、インク組成物の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
【0053】
顔料と湿潤剤の比は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が高いのに湿潤剤の配合量が少ないとノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらす。湿潤剤の配合量は10〜50wt%であり、これに対して複合顔料粒子を包含するポリマー微粒子は8wt%以上、好ましくは8〜20wt%であるので、湿潤剤とポリマー微粒子固形分の両者の比は0.5〜6.25となるが、より好ましくは1.0〜3.0であり、最も好ましくは1.5〜2.5の範囲である。この範囲にあるインクは、乾燥性や保存試験や信頼性試験が非常に良好である。
【0054】
界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤が用いられる。色材の種類や湿潤剤、水溶性有機溶剤の組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択する。アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
【0055】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。前記界面活性剤は、単独又は二種以上を混合して用いることができる。
【0056】
本発明のインク組成物の製造方法において、インクには上記着色剤、溶媒、界面活性剤の他に従来より知られている添加剤を加えることができる。
例えば、防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
【0057】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば、任意の物質を使用することができる。その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
【0058】
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
【0059】
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等がある。その目的に応じて水溶性紫外線吸収剤、水溶性赤外線吸収剤等を添加することができる。
【0060】
【実施例】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0061】
(合成例1)
(酸価70のポリウレタン樹脂)
温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置及び還流冷却管を備えた四つ口フラスコに下記原料を入れ、80℃で3時間反応させた後、ジブチル錫ジラウレート0.01重量部を加えて、更に同温度にて5時間反応させた。反応混合物を放冷した後、エチレンジアミン1重量部を加えて1時間反応させ、酸価が70、数平均分子量が11,000の樹脂溶液を得た。
<合成処方1>
メチルエチルケトン 90重量部
ジメチロールプロピオン酸 13重量部
ポリラクトンジオール 52重量部
イソホロンジイソシアネート 35重量部
【0062】
(合成例2)
(酸価130のポリエステル樹脂)
脱水管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに下記原料を入れ、脱水しながら3時間を掛けて180℃まで昇温させて脱水縮合反応を行い、酸価が130、数平均分子量が2,000、重量平均分子量が32,000の樹脂溶液を得た。
<合成処方2>
カージュラ E−10 10重量部
アジピン酸 27重量部
ヘキサヒドロ無水フタル酸 42重量部
ネオペンチルグリコール 2重量部
トリメチロールプロパン 26重量部
ジブチル錫ジオキサイド 0.1重量部
【0063】
(合成例3)
(酸価30のポリエステル樹脂)
脱水管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに下記原料を入れ、脱水しながら3時間を掛けて180℃まで昇温させて脱水縮合反応を行い、酸価が30、数平均分子量が2,300、重量平均分子量が27,000の樹脂溶液を得た。
<合成処方3>
カージュラ E−10 10重量部
アジピン酸 23重量部
ヘキサヒドロ無水フタル酸 35重量部
ネオペンチルグリコール 20重量部
トリメチロールプロパン 16重量部
ジブチル錫ジオキサイド 0.1重量部
【0064】
(実施例1)
<ミルベース処方>
<混練工程>
合成例1で作成した酸価70のポリウレタン樹脂に2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを加えて水に溶解させ、上記顔料を混合して充分に湿潤したところで、混練装置としてダイノーミル KDL A型(WAB製)にφ0.5mmジルコニアビーズを充填し、2000rpmで30分間混練を行ない、体積平均粒径211nmのミルベースを得た。
<酸析工程>
得られたミルベースに、1規定の塩酸を3重量部加えて撹拌したところ、体積平均粒径3201nm、pH2.3のペースト状のミルベースが得られた。
<水洗い−アルカリ化工程>
得られたミルベースにイオン交換水400重量部を加えて良く撹拌し、遠心分離器を用いて顔料ペーストと水に分離し、上澄み液を除去する操作を数回繰り返すことで、pHが5.5のミルベース100重量部を得た。ここに塩基性化合物として2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを1.0重量部加えて、pHを8.2とした。
<再混練工程>
再びダイノーミル KDL A型(WAB製)にφ0.5mmジルコニアビーズを充填し、2000rpmで30分間混練を行った。ミルベースを取り出して粒径を計測したところ、体積平均粒径134nm、1μm以上の粗大粒子比率が10%であった。
<粗大粒子カット工程>
遠心分離器を用いて1μm以上の粗大粒子を除去することで、体積平均粒径89nm、顔料濃度12%、100重量部の分散体Aを得た。
【0065】
<インクジェット用インク処方>
ミルベース 100重量部
グリセリン 10重量部
ジエチレングリコール 30重量部
2−ピロリドン 2重量部
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量部
プロキセルLV 0.2重量部
イオン交換水 55重量部
ミルベースを撹拌しながら上記物質を加えて、顔料濃度6%、体積平均粒径81nm、pH7.9のインクジェット印字用ブラックインクAを得た。
【0066】
(実施例2)
<ミルベース処方>
合成例1で作成した酸価70のポリウレタン樹脂に2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを加えて水に溶解させ、上記顔料を加えて、実施例1と同様の工程を実施することで、顔料濃度12%の分散体100重量部を得た。さらに、実施例1と同様のインクジェット用インク処方を用いて、顔料濃度6%のインクジェット印字用マゼンタインクを得た。
【0067】
(実施例3)
実施例2と同様のミルベース処方を用いて、実施例1と同様の方法で、混練〜アルカリ化の各工程を実施した。再混練の工程は混練時間を120分に変更した以外は実施例1と同様の方法を用いて行なった。次に、粗大粒子カットの工程を実施することで、顔料濃度12%の分散体100重量部を得た。さらに、実施例1と同様のインクジェット用インク処方を用いて、顔料濃度6%のインクジェット印字用マゼンタインクを得た。
【0068】
(実施例4)
<ミルベース処方>
合成例2で作成した酸価130のポリエステル樹脂に2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを加えて水に溶解させ、上記顔料を加えて、実施例3と同様の工程を実施することで、顔料濃度12%の分散体100重量部を得た。
さらに、実施例1と同様のインクジェット用インク処方を用いて、顔料濃度6%のインクジェット印字用マゼンタインクを得た。
【0069】
(実施例5)
<ミルベース処方>
合成例1で作成した酸価70のポリウレタン樹脂に2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを加えて水に溶解させ、上記顔料を加えて、実施例3と同様の工程を実施することで、顔料濃度12%の分散体100重量部を得た。さらに、実施例1と同様のインクジェット用インク処方を用いて、顔料濃度6%のインクジェット印字用シアンインクを得た。
【0070】
(比較例1)
<ミルベース処方>
合成例2で作成した酸価130のポリエステル樹脂に2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールを加えて水に溶解させ、上記顔料を加えて、実施例1と同様の工程を実施することで、顔料濃度12%の分散体100重量部を得た。
さらに、実施例1と同様のインクジェット用インク処方を用いて、顔料濃度6%のインクジェット印字用マゼンタインクを得た。
【0071】
▲1▼粒径測定
実施例及び比較例における、分散体の初期及び50℃で3ヶ月静置した時の体積平均粒径粒径と1μm以上の粗大粒子比率を表1に示す。粒径及び粒度分布の測定は、マイクロトラックUPAを用いた。
【0072】
▲2▼画像濃度測定
実施例及び比較例における、インクジェット用インクを、リコー製インクジェットプリンターIPSiO Jet300に充填し、ワンパスでべたを印字した。印刷試験用紙はマイペーパー(株式会社NBSリコー製)を使用し、印字乾燥後、画像濃度を反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)で測定した。測定結果を表1に示す。
【0073】
▲3▼吐出安定性評価
実施例及び比較例における、インクジェット用インクを、リコー製プリンターIPSiO Jet300を用に充填し、プリンター動作中にキャップ、クリーニング等が行われないでどれだけ印字休止しても復帰できるかを調べ、どれだけの時間(秒)で噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の重量が変化するかでその信頼性を評価し、その結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
表1の結果から、本発明による分散体の粒子径は20〜200nmの範囲にあり、1μm以上の粗大粒子がほとんど存在せず、しかも保存安定性が極めて良好であるといえる。特に粒径が100nm未満の分散体に関しては、インクジェット用インクとして使用した場合に、際だって良好な吐出安定性を示すことがわかる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、少なくとも、無機顔料粒子を有機色材で包含した複合顔料粒子と樹脂と水を含有するインク組成物であって、前記樹脂が前記複合顔料粒子を包含してなる体積平均粒子径が20〜200nmの樹脂分散粒子として水系ビヒクル中に分散しているインク組成物の製造方法であって、前記樹脂にポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂及びアクリル系樹脂の内から選ばれた少なくとも1種のカルボキシル基を有する樹脂を用い、該樹脂のカルボキシル基の一部又はすべてを塩基性化合物で中和する工程と、水系ビヒクル中で上記複合顔料粒子と共に混練する工程と、酸性化合物を添加することで該樹脂を該複合顔料粒子に固着させる工程を経ることにより、該複合顔料粒子を包含した樹脂粒子を水系ビヒクル中に分散させることを特徴とするインク組成物の製造方法により、画像濃度が高く、分散粒子径が小さくできるため、吐出安定性と保存安定性に優れ、またカルボキシル基を調節することで、耐水性、分散性を適度にして、優れたインクジェット用インクを作成することができる。
【0077】
請求項2によれば、上記無機顔料粒子が、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化鉄、水酸化鉄及び酸化スズの内から選ばれた少なくとも1種の酸化物の粒子であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物の製造方法により、粗大粒子が無く、経時変化も少なく、印字画像濃度高く、吐出安定性の高いインクジェット用インクを作成することができる。
【0078】
請求項3によれば、上記有機色材が、水に不溶性又は難溶性の色材から選ばれた色材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク組成物の製造方法により、耐光性、耐水性が優れ吐出安定性の高いインクジェット用インクを作成することができる。
【0079】
請求項4によれば、上記有機色材が、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、モノアゾイエロー系顔料、ジスアゾイエロー系顔料及び複素環式イエロー系顔料から選ばれた顔料であることを特徴とする請求項3に記載のインク組成物の製造方法により、発色性のすぐれたインクジェット用インクを作成することができる。
【0081】
請求項5によれば、上記樹脂のカルボキシル基に基づく酸価が50〜150であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物の製造方法により、耐水性を向上し、再分散性を低下させないでインクを製造できるのですぐれたインクジェット用インクを作成することができる。
【0084】
請求項6によれば、上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液を水洗いし、塩基性化合物を添加することにより、pHを7〜10とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物の製造方法により、酸により変質しない安定性に優れるインクジェット用インクを作成することができる。
【0085】
請求項7によれば、上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液に、混練処理を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法により、分散粒子径が小さくできるため、より吐出安定性と保存安定性に優れるインクジェット用インクを作成することができる。
【0086】
請求項8によれば、上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液から、ろ過、遠心分離処理を施すことで、1μm以上の粒子を除去することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法により、詰まりの原因となる粗大粒子が存在せず、分散粒子径が小さくできるため、より吐出安定性と保存安定性に優れるインクジェット用インクを作成することができる。
Claims (8)
- 少なくとも、無機顔料粒子を有機色材で包含した複合顔料粒子と樹脂と水を含有するインク組成物であって、前記樹脂が前記複合顔料粒子を包含してなる体積平均粒子径が20〜200nmの樹脂分散粒子として水系ビヒクル中に分散しているインク組成物の製造方法であって、前記樹脂にポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂及びアクリル系樹脂の内から選ばれた少なくとも1種のカルボキシル基を有する樹脂を用い、該樹脂のカルボキシル基の一部又はすべてを塩基性化合物で中和する工程と、水系ビヒクル中で上記複合顔料粒子と共に混練する工程と、酸性化合物を添加することで該樹脂を該複合顔料粒子に固着させる工程を経ることにより、該複合顔料粒子を包含した樹脂粒子を水系ビヒクル中に分散させることを特徴とするインク組成物の製造方法。
- 上記無機顔料粒子が、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化鉄、水酸化鉄及び酸化スズの内から選ばれた少なくとも1種の酸化物の粒子であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物の製造方法。
- 上記有機色材が、水に不溶性又は難溶性の色材から選ばれた色材であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク組成物の製造方法。
- 上記有機色材が、カーボンブラック、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、モノアゾイエロー系顔料、ジスアゾイエロー系顔料及び複素環式イエロー系顔料の内から選ばれた少なくとも1種の顔料であることを特徴とする請求項3に記載のインク組成物の製造方法。
- 上記樹脂のカルボキシル基に基づく酸価が50〜150であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物の製造方法。
- 上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液を水洗いし、塩基性化合物を添加することにより、pHを7〜10とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク組成物の製造方法。
- 上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液に、混練処理を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物の製造方法。
- 上記複合顔料粒子を包含する樹脂粒子の水系分散液から、ろ過、遠心分離処理を施すことで、1μm以上の粒子を除去することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物の製造方法。
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