JP5227534B2 - 水系顔料分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
微小な粒径の固形分が液体中に分散した処理液から粗大粒子を除去する方法として、特許文献1には、周壁部に透過孔を有しない無孔壁バスケットを高速回転させて処理液を液分と固形分とに分離し、無孔壁バスケットを高速回転させた状態でスキミングパイプのノズルの先端を無孔壁バスケット内で形成された液分中に進入させて、運動エネルギーにより液分をスキミングして取り出す遠心分離方法が開示されている。しかしながら、特許文献1の方法では、排出液の泡立ちが起こり易く、フィルター濾過性が十分でない。
(1)顔料、塩生成基を有する水不溶性ポリマー、及び水を含有する分散体を、遠心分離機を用いて液分と固形分とに遠心分離し、液分の少なくとも一部を排出した後、残余の液分を回収する、水系顔料分散体の製造方法。
(2)前記(1)の製造方法により得られた水系顔料分散体。
(3)前記(2)の水系顔料分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
処理対象である分散体(以下、「原液分散体」ということがある)は、顔料、水不溶性ポリマー及び水を含有するものである。この原液分散体は、主として水不溶性ポリマーが顔料に吸着した顔料の水分散体、又は顔料を含有した水不溶性ポリマー粒子の水分散体からなる。
本明細書において、「水系」とは、分散体に含まれる媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、媒体が水のみの場合もあり、水と一種以上の有機溶媒との混合溶媒の場合も含まれる。
また、遠心分離後の「液分」とは、主として、水不溶性ポリマーが顔料に吸着した顔料の水分散体と、顔料に未吸着の水不溶性ポリマーや顔料を含有していない水不溶性ポリマー粒子が水中に分散した分散液を意味し、遠心分離後の「固形分」とは、主として前記原液分散体中の分散不良や凝集により生成した粗大粒子からなる固形分を意味する。この固形分は、遠心分離後にスラリー状ないしケーキ状となって、遠心分離機の側壁に付着している。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれも使用できる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されるものではなく、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーンオレンジ有機顔料等の有彩色顔料を用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー 13, 17, 74, 83, 97, 109, 110, 120, 128, 139, 151, 154, 155, 174, 180;C.I.ピグメント・レッド 48, 57:1, 122, 146, 176, 184, 185, 188, 202;C.I.ピグメント・バイオレット 19, 23;C.I.ピグメントブルー 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 16, 60;C.I.ピグメント・グリーン 7, 36からなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクとしてはカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
通常の顔料を自己分散型顔料とするには、上記のアニオン性親水基又はカチオン性親水基の必要量を、公知の方法、例えば、酸によってカルボキシル基を導入する方法、過硫酸化合物の熱分解によってスルホン基を導入する方法、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基等を有するジアゾニウム塩化合物によって上記のアニオン性親水基を導入する方法等により顔料表面に化学結合させればよい。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明においては、塩生成基を有する水不溶性ポリマー(以下、単に「ポリマー」ということがある)を用いる。ここで、「水不溶性」とは、対象ポリマーの未中和品を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が好ましくは10g以下、より好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であることをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基の種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられ、架橋剤との反応性の観点から、特にカルボキシ基が好ましい。
用いるポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ビニルポリマー等が挙げられるが、その分散安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマーとしては、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ということがある)と、(b)マクロマー(以下「(b)成分」ということがある)及び/又は(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ということがある)とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物A」ということがある)を共重合させてなるビニルポリマーが好ましい。このビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位を有する。より好適なビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位、又は(a)及び(c)成分由来の構成単位を主鎖として有し、(b)成分由来の構成単位を側鎖として有するグラフトポリマーである。
塩生成基含有モノマーとしては、特開平9−286939号公報段落〔0022〕等に記載されているカチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
(b)マクロマーの中では、顔料含有架橋コアシェルポリマー粒子の分散安定性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
また、それらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
CH2=C(CH3)−COOC3H6−〔Si(CH3)2O〕t−Si(CH3)3 (1)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
(b)成分として商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を示す。
(c)成分の中では、印字濃度向上の観点から、スチレン系モノマー(c−1成分)が好ましく、スチレン系モノマー(c−1成分)としては特にスチレン及び2−メチルスチレンが好ましい。(c)成分中の(c−1)成分の含有量は、印字濃度向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)成分としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。(c)成分中の(c−2)成分の含有量は、印字濃度及び光沢性の向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、(c−1)成分と(c−2)成分を併用することも好ましい。
(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
CH2=C(R1)COO(R2O)qR3 (2)
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R2は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R3は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、qは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは1〜30の数を示す。)
(e)成分は、吐出性を向上するという優れた効果を発現する。
式(2)において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
R1の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
R2O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
R3の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。
上記(a)〜(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、特に顔料との相互作用を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、印字濃度向上の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(d)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(e)成分の含有量は、吐出性向上の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物A中における〔(a)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。〔(a)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性及び吐出性の観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。また、〔(a)成分+(d)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性及び吐出性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、得られる分散体の分散安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
塩生成基を有する水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物Aを共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物A1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
モノマー混合物Aの重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明で用いられる水不溶性ビニルポリマーは、(a)塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
本発明の水系顔料分散体は、次の工程(1)〜(3)により得ることが好ましい。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、顔料、水及び必要により中和剤を含有する混合物を分散処理して、分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から有機溶媒を除去して、原液分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた原液分散体を遠心分離処理する工程
工程(1)では、まず、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に顔料、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、前記有機溶媒に加えて混合し、水中油型の分散体を得ることが好ましい。混合物中、顔料は、5〜50重量%が好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、水は、10〜70重量%が好ましい。水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。有機溶媒は、水100gに対する溶解量が20℃において、5g以上のものが好ましく、10g以上のものが更に好ましく、より具体的には5〜80gのものが好ましく、10〜50gのものが更に好ましい。特に、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。中和剤としては、前記のものが挙げられる。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔荏原製作所株式会社、商品名〕、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス〔以上、特殊機化工業株式会社、商品名〕、クリアミックス〔エム・テクニック株式会社、商品名〕、ケイディーミル〔キネティック・ディスパージョン社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY〔白水化学株式会社、商品名〕、DeBEE2000 〔日本ビーイーイー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中では、混合物に含まれている顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
工程(2)では、工程(1)で得られた分散体から有機溶媒を留去して水系にすることで、所望の平均粒径を有する原液分散体を得ることができる。水分散体に含まれる有機溶媒の除去は、減圧蒸留等による一般的な方法により行うことができる。得られた水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下である。
原液分散体は、顔料又は水不溶性ポリマー粒子の固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、水不溶性ポリマーが顔料に吸着した顔料の水分散体の形態には特に制限はなく、例えば、水不溶性ポリマーが一般的なループ、トレイン、テイル型で吸着した分散形態等が挙げられる。また、顔料を含有した水不溶性ポリマー粒子の形態も特に制限はなく、例えば、水不溶性ポリマーに顔料が内包された粒子形態、水不溶性ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、水不溶性ポリマー粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれる。
原液分散体の平均粒径は、分散安定性、吐出性の観点から、好ましくは50〜200nm、更に好ましくは70〜170nm、特に好ましくは90〜150nmである。なお、平均粒径は実施例に記載の方法で測定する。
工程(3)では、工程(2)で得られた原液分散体を遠心分離処理する。遠心分離処理は、原液分散体を、遠心分離機を用いて液分と固形分とに遠心分離し、液分の少なくとも一部を排出した後、残余の液分を回収することにより行う。
本発明に用いる遠心分離機としては特に制限はないが、例えば、特開2003−93811号公報等に記載のバスケット型遠心分離機が好ましい。
バスケット型遠心分離機のバスケットのタイプにも特に制限はない。周壁部に透過孔を有しない無孔壁タイプのバスケットは、微小な固形分が液体中に分散してなる原液分散体から粗大粒子を分離する場合に液層部を保持できる容量が大きいため、特に好ましく用いられる。そのようなバスケットを備えた無孔壁バスケット型遠心分離機としては、例えば、株式会社関西遠心分離機械製作所製のKBS型、タナベウィルテック株式会社製のS型の遠心分離機等が挙げられる。
遠心分離機の運転方法にも特に制限はない。(i)原液分散体を供給しながら分離液層を排出する連続式、及び(ii)原液分散体を供給した後、分離液層が形成されたところで該液層を排出するバッチ式のいずれの運転方法であってもよい。
遠心分離の際には、遠心加速度と遠心分離時間との積は、固形分のバスケット内壁への付着を十分にし、無孔壁バスケットの回転を停止した際に液分と混合するのを回避する観点から、好ましくは1000G・h以上、より好ましくは1500G・h以上であり、また処理時間の短縮及び遠心分離機の耐久性の観点から、好ましくは4500G・h以下、より好ましくは4000G・h以下である。これらの観点から、遠心加速度と遠心分離時間の積は、好ましくは1000〜4500G・h、より好ましくは1500〜4000G・hである。
より具体的には、原液分散体のうち固形分を好ましくは5〜25重量%、液分を75〜95重量%、より好ましくは固形分を10〜20重量%、液分を80〜90重量%に分離した後、その液分の少なくとも一部、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは4〜18重量%、特に好ましくは5〜15重量%を排出した後、残余の液分を水系顔料分散体として回収する。
遠心分離機から排出する「液分の少なくとも一部」には、主として顔料に未吸着の水不溶性ポリマーや顔料を含有していない水不溶性ポリマー粒子が含まれている。この水不溶性ポリマー又は水不溶性ポリマー粒子が、水系顔料分散体又は水系インクのフィルター濾過性を著しく低下させることを見出し、これを効果的に取り除くことにより、得られる水系顔料分散体又は水系インクのフィルター濾過性を大幅に改善することができる。
この顔料に未吸着の水不溶性ポリマー又は顔料を含有していない水不溶性ポリマー粒子は比重が軽く、遠心分離中または遠心分離後には軽質成分として液分の表面(または上層)部に存在し、該表面部側から3〜20重量%を排出することにより、取り除くことができる。「液分の少なくとも一部」を排出した後、回収される「残余の液分」は、水不溶性ポリマーが顔料に吸着した顔料分散体又は顔料を含有した水不溶性ポリマー粒子が水中に安定に分散した水系顔料分散体となり、これが製品となる。
「固形分」は、主として顔料や顔料を含有した水不溶性ポリマー粒子同士が凝集した粗大粒子からなり、遠心分離後にスラリー状ないしケーキ状となって、遠心分離機の側壁に付着しているので、容易に取り除くことができる。
図1は、本発明で用いられる無孔壁バスケット型遠心分離機の無孔壁バスケットの一例を示す概略縦断面図であり、図2は、無孔壁バスケットの内壁に仕切板が配設されたときの一例を示す概略縦断面図である。
図1に示すように、遠心分離機の無孔壁バスケット1をモータ6により回転させ、無孔壁バスケット1の内側に保持された液分2と固形分3に分離する。次に、液分2に、液分取り出しパイプ(スキミングパイプ)4のノズル先端の開口部を挿入することにより、遠心分離機内の液相の表面部から、液分2(液分の少なくとも一部、好ましくは3〜20重量%)を取り出すことができる。液分の取り出しは、無孔壁バスケットの回転の運動エネルギーによってもよく、ポンプ等を用いてもよい。
この液分排出時の遠心分離機の回転速度は、遠心分離時の回転速度以下にすることが好ましく、より好ましくは遠心加速度が600G以上、更に好ましくは600〜2000G、特に好ましくは800〜1800Gの条件下で行う。
また、回転数を変化させた際に液分がスリップして分離した固形分を乱すのを防止する観点から、例えば、図2に例示するように、無孔壁バスケット1の内壁に仕切板5を配設してもよい。
前記のようにして得られる水系顔料分散体(「残余の液分」)は、そこに含まれている粗大粒子を除去するために、フィルターで濾過することが好ましい。用いられるフィルターの平均孔径は、3〜10μm、好ましくは3〜7μmである。
上記で得られた水系顔料分散体はそのまま水系インクとして用いることができるが、インクジェット記録用水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤、キレート剤等を添加することができる。
水系顔料分散体及び水系インクにおける平均粒径は、プリンターのノズルの目詰まり防止及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.03〜0.3μm、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。なお、平均粒径の測定は、実施例に記載の方法で行う。
水系顔料分散体(固形分濃度25%)の粘度(20℃)は、水系インクとした時に良好な粘度とするために、2〜6mPa・sが好ましく、2〜5mPa・sが更に好ましい。また、水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。なお、粘度の測定は、E型粘度計〔東機産業株式会社製、RE80型、測定時間1分、回転数100rpm、ロータは標準(1°34′×R24)〕を用いて測定する。
水不溶性ポリマーが顔料に吸着した水分散体中の水不溶性ポリマー粒子の含有量、又は顔料を含有した水不溶性ポリマー粒子の含有量は、通常、印字濃度及び吐出安定性の観点から、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%となるように調整することが望ましい。水系インクにおける顔料の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは0.4〜20重量%、より好ましくは0.8〜15重量%であり、水系インク中の水の含有量は、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%である。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定
カラムとして東ソー株式会社製、HLC−8120GPCを用い、溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリマーの重量平均分子量を測定した。
(2)平均粒径の測定
大塚電子株式会社製のELS−8000を用いて測定した。測定条件は、温度が25℃、入射光と検出器との角度が90°、積算回数が200回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。また標準物質としてセラディン(Seradyn)社製のユニフォーム・マイクロパーティクルズ(平均粒径204nm)を用いた。
(3)ポリマー濃度及び顔料濃度の測定
株式会社島津製作所製、X線光電子分光分析装置(ESCA)「ESCA−1000」を用いて、測定試料をマイカ基板上に3回塗布して乾燥後、Mgを対極として電子線加速電圧10kV、電流10mAの条件にて発生したX線を照射し、発生する光電子のスペクトルを測定(光電子取出し角:45°)し、ピーク強度(面積)から算出した。
(4)濾過量の測定
水系顔料分散体の濾過性を平均孔径が5μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フィルム株式会社製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ株式会社製〕で濾過し、フィルター1個が目詰まりするまでの通液量を測定して評価した。
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、及び表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部、及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、表1に示す固形分含有量(有効分含有量)のポリマー溶液を得た。このポリマーの重量平均分子量を測定した結果を表1に示す。
(b)AS−6S
スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
(d)M−90G
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=9、末端メチル基):新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G
(e)PP−800
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=13、末端水酸基):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800
粗製キナクリドン顔料〔大日本インキ工業株式会社製、C.I.ピグメント・レッド122〕300部、塩化ナトリウム3000部、及びジエチレングリコール200部をステンレス鋼製の5L容量のニーダーに入れ、80℃で5時間混練した。得られた混練物を取り出し、温水30Lに投入し、約1時間攪拌した後、水洗・濾過した。その後、前記と同様の水洗を5回行い、塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した含水率が50%の顔料を得、真空乾燥機で乾燥した。得られたマゼンタ顔料の平均一次粒径は約70nmであった。
製造例1で得られた塩生成基を有する水不溶性ポリマーのメチルエチルケトン溶液(非蒸発成分濃度30%)10部、製造例2で得られたマゼンタ顔料9部、5規定の水酸化ナトリウム水溶液0.7部、及びイオン交換水34部をディスパーで混合した後、高圧ホモジナイザー〔マイクロフルイディクス(Microfluidics)社製、商品名:マイクロフルイダイザー〕を用いて圧力200MPa、処理数10回の条件下で分散処理した。
得られた分散処理品50部にイオン交換水23部を加え、撹拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、固形分濃度が25%の原液分散体を得た。この原液分散体の平均粒径は125μmであった。
製造例3において、マゼンタ顔料の代わりにC.I.ピグメント・イエロー74顔料〔大日精化株式会社製、ファーストイエロー031〕を用い、高圧ホモジナイザーを用いて圧力150MPaの条件下で分散処理した以外は、製造例3と同様の操作を行って、固形分濃度が25重量%の原液分散体を得た。この原液分散体の平均粒径は118μmであった。
製造例3において、マゼンタ顔料の代わりにC.I.ピグメント・バイオレット15:4顔料〔東洋インキ製造株式会社製、LIONOL BLUE FG-7400-G〕を用い、高圧ホモジナイザーを用いて圧力180MPaの条件下で分散処理した以外は、製造例3と同様の操作を行って、固形分濃度が25重量%の原液分散体を得た。この原液分散体の平均粒径は106μmであった。
実施例1〜4
製造例3で得られたマゼンタ顔料水分散体4kg(比重1.088)を無孔壁バスケット型遠心分離機(株式会社関西遠心分離機製作所製、型番:KBS−10型、バスケットの内径26cm、高さ16cm)に仕込んだ。
遠心分離を3215rpm(1504G)で145分間行った。バスケット回転状態での分離液層の厚さは計算上では約3.2cmであった。次に回転数を表2に示す条件にし、スキミングパイプを液表面から液中に挿入して液を遠心分離機の外に排出した。なお分離液の表面部分から排出した液を液分1とし、続いて排出した液を液分2としてそれぞれ分取した。また遠心分離機に残った固形分も分取した。結果を表2に示す。
比較例1〜2
実施例1において、製造例3で得られた顔料水分散体を用いて、液分1を排出せず、表2に示す条件にした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表2に示す。
実施例5〜7及び比較例3〜4
実施例1において、製造例4で得られた顔料水分散体を用いて、表3に示す条件にした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
(水系シアン顔料分散体の製造)
実施例1において、製造例5で得られた顔料水分散体を用いて、表4に示す条件にした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表4に示す。
2:液分
3:固形分
4:液分取り出しパイプ
5:仕切板
6:モータ
Claims (8)
- 顔料、未中和品を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下である、塩生成基を有する水不溶性ポリマー、及び水を含有する分散体を、遠心分離機を用いて液分と固形分とに遠心分離し、表面部側から液分の3〜20重量%を排出した後、残余の液分を回収する、水系顔料分散体の製造方法。
- 遠心加速度が600G以上の条件下で、液分の3〜20重量%を排出する、請求項1に記載の水系顔料分散体の製造方法。
- 遠心分離機がバスケット型遠心分離機である、請求項1又は2に記載の水系顔料分散体の製造方法。
- 遠心分離機が無孔壁バスケット型遠心分離機である、請求項1〜3のいずれかに記載の水系顔料分散体の製造方法。
- 遠心分離機がバスケット内に仕切り板を有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載の水系顔料分散体の製造方法。
- 遠心分離時の遠心加速度が500〜5000Gであり、遠心加速度と遠心分離時間の積が1000〜4500G・hである、請求項1〜5のいずれかに記載の水系顔料分散体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる水系顔料分散体。
- 請求項7に記載の水系顔料分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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