JP2016138253A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】写像性に優れているとともに光沢ムラが少ない画像を記録することが可能な水性インクを提供する。【解決手段】顔料、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクである。アセチレングリコール系界面活性剤が、HLB値が10以上のアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物であり、フッ素系界面活性剤が、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物であり、水溶性有機溶剤の25℃における比誘電率が20.0以上30.0以下であり、水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、フッ素系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、100倍以上200倍以下であり、寿命時間10ミリ秒における動的表面張力γ10が40mN/m以下であるとともに、静的表面張力γが25mN/m以上である。【選択図】図2

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方法に用いるインクとして、顔料を色材として含有するインク(顔料インク)が広く使用されるようになっている。写真などの光沢のある画像を得るために、顔料を樹脂(樹脂分散剤)で分散させた樹脂分散顔料を含有するインクが一般的に用いられている。樹脂分散顔料を含有するインクを用いると、インク中での顔料の形態が粒子であるために高い堅牢性を有する画像を記録することができる。しかし、顔料インクで記録した画像は、水性媒体中に染料が溶解している染料インクで記録した画像と比べて写像性が低いという課題がある。「写像性」は、画像表面に映った像の鮮明さや明瞭さの指標となる、光沢のある画像に対して一般的に用いられる特性の一つである。
上記課題を解決すべく、シリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤を添加してインクの表面張力を低下させ、記録媒体へのインクの濡れ性及び浸透性を向上させる手法が数多く提案されている。例えば、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤を含有したインク(特許文献1)や、蒸発前の表面張力が蒸発後の表面張力よりも大きくなるように調整したインク(特許文献2)が提案されている。また、インクの動的表面張力の変化を規定したインクが提案されている(特許文献3)。さらに、フッ素系界面活性剤、及び抑泡剤を含有するインクが提案されている(特許文献4)。
特開2012−184376号公報 特開2012−224658号公報 特開2014−025055号公報 特開2010−275377号公報
しかし、本発明者らの検討の結果、特許文献1〜3で提案されたインクを用いて光沢紙などの記録媒体に記録すると、インクの組成によっては画像の写像性が向上したが、多くの場合、画像の写像性が低下することがわかった。さらに、画像の写像性を向上しうるインクであっても、高濃度部分と低濃度部分の光沢の差が大きくなる(すなわち、光沢ムラが目立つようになる)ことが判明した。すなわち、写像性の向上や光沢ムラの抑制に関し、近年要求されている高い性能を満足する画像を記録することはできなかった。また、特許文献4で提案されたインクは、光沢ムラが目立ち、満足できる画像を記録することはできなかった。
したがって、本発明の目的は、写像性に優れているとともに光沢ムラが少ない画像を記録することが可能な水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料、前記顔料を分散するための水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記アセチレングリコール系界面活性剤が、グリフィン法により求められるHLB値が10以上のアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物であり、前記フッ素系界面活性剤が、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物であり、前記水溶性有機溶剤の25℃における比誘電率が20.0以上30.0以下であり、インク全質量を基準とした、前記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記フッ素系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、100倍以上200倍以下であり、寿命時間10ミリ秒における動的表面張力γ10が40mN/m以下であるとともに、静的表面張力γが25mN/m以上であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、写像性に優れているとともに光沢ムラが少ない画像を記録することが可能な水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。本発明における各種の物性値は、特に断りのない限り25℃における値である。
顔料インクを用いて写像性に優れた画像を記録するには、記録媒体へのインクの濡れ性と浸透性の両方を高める必要がある。一般的に、インクの表面張力を低くすることで、濡れ性と浸透性の両方を高めることができると考えられている。そこで、本発明者らは、写像性を向上させるべく、樹脂分散顔料を含有するインクにシリコーン系界面活性剤を添加して表面張力を低下させ、記録媒体に対するインクの濡れ性と浸透性を向上させることを試みた。しかし、予想に反して、シリコーン系界面活性剤を添加したインクを用いて記録した画像の写像性は低下した。解析の結果、記録媒体へのインクの浸透速度が想定よりも遅いのが原因となっていることがわかった。
記録媒体へのインクの浸透速度は、記録媒体の細孔や形成される顔料層の空隙に対するインクの毛管力で決まる。インクの毛管力は、インクの表面張力が小さくなれば弱くなり、毛管とインクの接触角が小さくなれば強くなる。しかし、毛管とインクの接触角も表面張力に依存し、表面張力が低下すれば接触角も小さくなる。すなわち、毛管力は、インクの表面張力そのものと、インクと毛管の接触角とのバランスによって定まる。通常、記録媒体へのインクの浸透速度はインクの表面張力を低下させれば向上する。しかし、シリコーン系界面活性剤の添加によって低下させようとするような極めて低い表面張力の領域では、表面張力を下げすぎると逆に毛管力が低下してしまい、結果として浸透速度も低下すると考えられる。
そこで、さらに検討を行ったところ、インクの静的表面張力が25mN/m未満であると、記録媒体へのインクの浸透速度が低下するとともに、画像の写像性が満足できないレベルにまで低下することが判明した。このため、本発明者らは、インクの静的表面張力を25mN/m以上とすることで、写像性が向上した画像を記録しうる浸透速度のインクが得られると推測した。
しかし、各種のシリコーン系界面活性剤を添加して静的表面張力を25mN/m以上に調整したインクを用いて画像を記録したところ、写像性が向上しない場合があった。解析の結果、浸透速度についてはいずれのインクについても問題はなかった。しかし、画像の写像性が向上しなかったインクは、付着直後の記録媒体に対する濡れ性が低いためにドットが濡れ広がらず、平滑な顔料層が形成されない場合があることが判明した。前述の通り、インクの表面張力が低いほど、記録媒体に対するインクの濡れ性は高い。しかし、静的表面張力が従来のインクより低いにも関わらず濡れ性が低い場合があることが上記のように判明した。そこで本発明者らは、インクの動的表面張力に着目してさらに解析を行った。その結果、記録媒体に付着した直後のインクの濡れ広がりが完了するまでの時間が約10ミリ秒であることを本発明者らは見出した。さらに、静的表面張力が25mN/m以上であっても写像性に優れた画像が得られなかったインクの10ミリ秒における動的表面張力が、想定よりも高いことがわかった。
動的表面張力は、動きがある状態での液体の表面張力であるので、新たに発生した界面に向かってインク中の界面活性剤の分子が配向する速度と関係があると言える。そして、界面活性剤の分子の気液界面への配向は、一般に界面活性剤の疎水性が高いほど速いとされている。そこで、疎水性の異なるシリコーン系界面活性剤を添加して、寿命時間10ミリ秒における動的表面張力を低下させたインクについて検討を行った。その結果、寿命時間10ミリ秒における動的表面張力γ10が40mN/m以下のインクを用いることで、付着直後の記録媒体に対する濡れ性が確保されることが判明した。そして、シリコーン系界面活性剤を添加して、動的表面張力γ10を40mN/m以下、かつ、静的表面張力を25mN/m以上に調整した、樹脂分散顔料を含有するインクを用いれば、画像の写像性が向上することがわかった。
しかし、高い写像性を有する画像では、インク付与量の多い部分と少ない部分との光沢性の差、すなわち、光沢ムラが目立つという新たな課題が発生した。光沢ムラについて解析したところ、インク付与量が少なく、形成された顔料層が薄い部分には樹脂分散剤がほとんど残存しておらず、インク付与量が多く、形成された顔料層が厚い部分に樹脂分散剤が残存していることがわかった。すなわち、顔料層中の残存樹脂量の違いがインク付与量の多い部分と少ない部分の光沢性の差となり、光沢ムラとして認識されることがわかった。
顔料層中の残存樹脂量がインク付与量によって異なるメカニズムについて、本発明者らは以下のように推測している。一般に、樹脂分散顔料を含有するインクに界面活性剤を添加すると、顔料の粒子表面において、樹脂分散剤と界面活性剤の吸着交換が生ずることがある。すなわち、界面活性剤を添加すると、顔料の粒子表面から樹脂分散剤が脱離しやすくなるため、記録媒体にインクが浸透する過程で樹脂分散剤が記録媒体中に沈んでしまうと考えられる。インク付与量が少ない部分では、先に記録媒体に付与されたインクにより形成される顔料層が存在しない場合が多く、記録媒体にインクが直接付着して浸透するため、樹脂分散剤の沈み込みが生じて顔料層中に樹脂分散剤が残りにくい。一方、インク付与量が多い部分では、先に記録媒体に付与されたインクにより形成される顔料層にインクが付着して浸透するため、顔料層による目止め作用が生じ、樹脂分散剤が顔料層中に残存する。このような相違がある結果、光沢ムラが生ずると考えられる。
そこで、本発明者らは光沢ムラの発生を抑制するため樹脂分散剤と界面活性剤の吸着交換に着目し、シリコーン系界面活性剤に代えてフッ素系界面活性剤を添加することについて検討を行った。フッ素系界面活性剤はシリコーン系界面活性剤と同様に界面活性能が高いため、インクの表面張力を下げるのに適した界面活性剤として知られている。これらの界面活性剤は、疎水部及び親水部の親水性が大きく異なることで、高い界面活性能を示す。したがって、界面活性能が高い界面活性剤は、その疎水性基が極めて高い疎水性を有するため、疎水性相互作用により顔料の粒子表面に吸着しやすい。
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子の高い電気陰性度により非常に強く電子を引き付けるため、疎水性基の分子間力が非常に弱く、顔料の粒子表面に吸着したとしても、容易に脱離する。このため、高い界面活性能を示すその他の界面活性剤と比較すると、フッ素系界面活性剤を用いれば、顔料の粒子表面から樹脂分散剤が脱離していない状態が保たれやすい。このため、インク付与量が少ない部分であっても顔料層中に樹脂分散剤が残存し、光沢ムラの発生を低減することができる。なかでも、ノニオン性であるとともに、フッ素原子が付加した炭素原子数の少ないフッ素系界面活性剤は、顔料の粒子表面に特に吸着しにくいと推測している。
上述の通り、フッ素原子は非常に強く電子を引き付けるので、電子の揺らぎによるファンデルワールス力が発生しにくい。このため、フッ素系界面活性剤などのフッ素含有化合物の分子間力は弱い。さらに、ノニオン性であれば水性媒体中で電離することもないため、特に電子が揺らぎにくい。一方、イオン性のフッ素系界面活性剤は親水性基が水性媒体中でイオン化するため、電子が揺らぎやすい。このため、分子間力が強まって顔料の粒子表面に吸着しやすくなる。また、顔料の粒子表面への界面活性剤の吸着は疎水性相互作用によって生じるので、フッ素原子が付加した炭素原子数が少なく、比較的疎水性の低いフッ素系界面活性剤であれば、顔料の粒子表面への吸着がさらに生じにくい。本発明の水性インクは、フッ素系界面活性剤として、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物を含有する。炭素原子数が6を超えるパーフルオロアルキル基は疎水性が高いため、疎水性相互作用により顔料の粒子表面に吸着しやすく、光沢ムラを抑制することができない。
パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物は、疎水性が比較的低い。界面活性剤の疎水性が低いと界面への配向速度が低下し、インクの動的表面張力が高くなる。すなわち、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物をインクに添加すれば、光沢ムラを有効に抑制しうると考えられるが、インクの動的表面張力γ10を40mN/m以下にすることが困難になる。そこで、本発明者らは、インクの動的表面張力γ10を40mN/m以下、かつ、静的表面張力を25mN/m以上にすべく、上記のフッ素系界面活性剤と、その他の界面活性剤とを併用することについて検討した。その結果、その他の界面活性剤として、グリフィン法により求められるHLB値が10以上のアセチレングリコール系界面活性剤が好適であることを見出した。さらに、上記のアセチレングリコール系界面活性剤がアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物であると、光沢ムラの抑制効果が得られることを見出した。
まず、インクの動的表面張力γ10を40mN/m以下、かつ、静的表面張力を25mN/m以上にするその他の界面活性剤として、HLB値が10以上のアセチレングリコール系界面活性剤が好適である理由について以下に説明する。インクの動的表面張力γ10を低下させるには、疎水性の高い界面活性剤を用いることが有効である。しかし、疎水性の高い界面活性剤は、顔料の粒子表面において樹脂分散剤と吸着交換を起こしやすい。このため、光沢ムラを抑制する観点からすると、疎水性の高い界面活性剤を用いることは好ましいとは言えない。すなわち、疎水性が低いにも関わらず、インクの動的表面張力を低下させうる界面活性剤が有用であること、及びそのような界面活性剤としてHLB値が10以上のアセチレングリコール系界面活性剤が好適であることを本発明者らは見出した。
アセチレングリコール系界面活性剤は、界面活性剤のなかでも比較的分子量が小さい割に、立体的な構造を有するのでミセルを形成しづらい。このため、疎水性が低くても界面への配向が速く、10ミリ秒程度の短い寿命時間の領域であっても動的表面張力を低下させる能力が高い。後述するように、光沢ムラを抑制する観点から、グリフィン法により計算されるアセチレングリコール系界面活性剤のHLB値は10以上であることを要する。また、アセチレングリコール系界面活性剤はフッ素系界面活性剤に比べて界面活性能が低く、インクの静的表面張力はフッ素系界面活性剤による界面活性能が支配的となる。このため、これらの2種の界面活性剤を併用しても、インクの静的表面張力を25mN/m以上にすることができる。
次に、アセチレングリコール系界面活性剤として、HLB値が10以上のアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物を用いると、光沢ムラの抑制効果が得られる理由について以下に説明する。本発明者らは、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物の特性と、これらの2種の界面活性剤の相互作用によって、光沢ムラの抑制効果が得られると推測している。これらの2種の界面活性剤は、いずれもエチレンオキサイド基を親水基として有するため、水分子を介して相互に引き合う。アセチレングリコール系界面活性剤は界面への配向が速い。このため、インクが記録ヘッドから吐出され、記録媒体に付着し、浸透していく過程において、アセチレングリコール系界面活性剤とフッ素系界面活性剤は相互に引き合いながら速やかに界面に移動する。このため、これらの2種の界面活性剤が顔料に近接して存在する時間が短くなり、フッ素系界面活性剤が単独で存在する場合よりも、界面活性剤と樹脂分散剤との吸着交換が生じにくくなっている。但し、アセチレングリコール系界面活性剤の疎水性が高い(HLB値が10未満である)と、アセチレングリコール系界面活性剤と樹脂分散剤との吸着交換が生じてしまう。すなわち、分子間力が弱いフッ素系界面活性剤が、高い界面活性能を示す界面活性剤としては、比較的、樹脂分散剤と吸着交換しにくい特性を有する。これに加えて、フッ素系界面活性剤とアセチレングリコール系界面活性剤との相互作用によって樹脂分散剤との吸着交換がより生じにくくなる。これらの吸着交換の抑制作用が相まって、光沢ムラがある程度抑制される。
次に、本発明者らは、上記のフッ素系界面活性剤とアセチレングリコール系界面活性剤を含有するインクについて検討した。その結果、光沢ムラの抑制効果は認められたが、より高いレベルで光沢ムラが改善された画像を記録できないことが判明した。さらに検討した結果、以下に示す(i)及び(ii)の要件を満たすことで、より高いレベルで光沢ムラが改善されることがわかった。このように光沢ムラが改善されるメカニズムについて、本発明者らは以下のように推測している。
(i)25℃における比誘電率が20.0以上30.0以下の水溶性有機溶剤を含有させること。
(ii)上記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)を、フッ素系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、100倍以上200倍以下とする。
比誘電率が20.0以上30.0以下の水溶性有機溶剤は、フッ素原子を含む疎水性基との親和性は高いが、顔料の粒子表面との親和性は低いといった性質を有する。インクに添加した上記の水溶性有機溶剤はフッ素系界面活性剤との親和性が高いため、界面活性剤と顔料の粒子表面との疎水性相互作用を阻害して、界面活性剤と樹脂分散剤との吸着交換を抑制すると考えられる。
水溶性有機溶剤の比誘電率が20.0未満であると、フッ素系界面活性剤のパーフルオロアルキル基と顔料の粒子表面の両方に親和性が高いため、光沢ムラを改善することができない。一方、水溶性有機溶剤の比誘電率が30.0を超えると、水溶性有機溶剤とパーフルオロアルキル基の親和性が低く、光沢ムラを改善することができない。また、比誘電率20.0以上30.0以下の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、フッ素系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で100倍未満であると、水溶性有機溶剤が少なく、界面活性剤と樹脂分散剤との吸着交換を抑制することができない。このため、光沢ムラを抑制することができない。一方、比誘電率20.0以上30.0以下の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、フッ素系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で200倍を超えると、余剰の水溶性有機溶剤が存在することになる。このため、インクが記録媒体に付与される際に水分の蒸発が生じると、余剰分の水溶性有機溶剤が顔料の分散性を急激に不安定化させてしまい、写像性が低下する場合がある。
<インク>
本発明のインクは、顔料、顔料を分散するための水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクである。本発明のインクは、互いに接触した際に反応や増粘を生じる液体と併用する必要はない。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
(顔料)
本発明のインクは、色材として顔料を含有する。顔料としては、当該技術分野で公知のカーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料を挙げることができる。なかでも、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.05質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。
顔料の平均一次粒子径は、10nm以上300nm以下であることが好ましい。顔料の平均一次粒子径が10nm未満であると一次粒子同士の相互作用が強くなるため、インクの保存安定性がやや低下する場合がある。一方、顔料の平均一次粒子径が300nm超であると、画像の彩度や光沢性がやや低下する場合がある。
顔料は、水溶性樹脂によってインク中に分散されている。このような水溶性樹脂で分散された顔料(樹脂分散顔料)を色材として用いることで、画像の光沢性を向上させることができる。本発明における「水溶性樹脂によってインク中に分散された顔料(樹脂分散顔料)」としては、例えば、以下に示すものを挙げることができる。なかでも(1)又は(2)の態様が好ましく、(1)の態様がさらに好ましい。
(1)水溶性樹脂が顔料の粒子表面に物理吸着したもの
(2)顔料の粒子の表面に水溶性樹脂の有機基が化学的に結合して改質された樹脂結合型自己分散顔料
(3)水溶性樹脂で被覆したマイクロカプセル型顔料
(水溶性樹脂(樹脂分散剤))
本発明のインクは、インク中に顔料を分散するための水溶性樹脂(以下、「樹脂分散剤」とも記す)を含有する。この水溶性樹脂は、2種以上のモノマーに由来する2以上のユニットを有する共重合体である。樹脂分散剤が水不溶性であると、インクが記録媒体に付与され、水分の蒸発が生じた際に急激に増粘しやすいため、画像の写像性が低下する。水溶性樹脂は、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する樹脂であることが好ましい。また、水溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリルエステルに由来する(メタ)アクリル構造を持つユニット少なくとも有する、水溶性アクリル樹脂であることが好ましい。なお、以下の記載における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」を意味する。
親水性ユニット(酸基やヒドロキシ基などの親水性基を有するユニット)は、例えば、親水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。親水性基を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシ基を有する酸性モノマー、これらの酸性モノマーの無水物や塩などのアニオン性モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有するモノマー;メトキシ(モノ、ジ、トリ、ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有するモノマーなどを挙げることができる。
酸性モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンを挙げることができる。本発明のインクに用いる水溶性樹脂は、酸価を有するため、親水性ユニットには上述のアニオン性モノマーに由来するユニットが含まれる。水溶性樹脂は、通常、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物やアンモニア水などの中和剤により中和されることで水溶性を呈する。
疎水性ユニット(酸基やヒドロキシ基などの親水性基を有しないユニット)は、例えば、疎水性基を有するモノマーを重合することで形成することができる。疎水性基を有するモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有するモノマー(すなわち、(メタ)アクリルエステル系モノマー)などを挙げることができる。
水溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来するユニットを親水性ユニットとして有するとともに、脂肪族基又は芳香環を有するモノマーに由来するユニットを疎水性ユニットとして有することが好ましい。さらに、水溶性樹脂は、メタアクリル酸に由来するユニットを親水性ユニットとして有するとともに、スチレン及びα−メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来するユニットを疎水性ユニットとして有することが好ましい。これらの水溶性樹脂は、顔料との相互作用が特に生じやすいために好適である。
水溶性樹脂(樹脂分散剤)の分子構造は特に限定されず、直鎖状、分鎖状、ランダム共重合体、及びブロック共重合体などのいずれであってもよい。
顔料が樹脂によって分散されているか否か、また、複数種の樹脂を含有するインクについて、顔料分散させている樹脂の種類がいずれのものであるかについては、以下に示す方法で判断することができる。インクを濃縮又は希釈して全固形分の含有量が10質量%程度になるように調製した液体を、12,000rpmで1時間遠心分離する。これにより、水溶性有機溶剤や分散に寄与しない樹脂などが含まれる液層と、顔料を含む沈降成分とを分離し、沈降成分を回収する。このようにして回収した沈降成分に含まれている樹脂が、顔料を分散させている樹脂であると判断することができる。すなわち、沈降成分に主成分として含まれている樹脂が、顔料の分散に寄与する樹脂(樹脂分散剤)である。一方、液層に主成分として含まれている樹脂は、顔料の分散に寄与しない樹脂である。本発明のインクにおいては、顔料を含む沈降成分に主成分として含まれている樹脂が、水溶性樹脂であることを要する。
樹脂が水溶性であるか否かについては、以下に示す方法にしたがって判断することができる。まず、酸価相当のアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)により中和された樹脂を含む液体(樹脂固形分:10質量%)を用意する。次いで、用意した液体を純水で10倍(体積基準)に希釈して試料溶液を調製する。そして、試料溶液中の樹脂の粒子径を動的光散乱法により測定した場合に、粒子径を有する粒子が測定されない場合に、その樹脂は水溶性であると判断することができる。この際の測定条件は、例えば、以下のようにすることができる。
[測定条件]
SetZero:30秒
測定回数:3回
測定時間:180秒
粒度分布測定装置としては、動的光散乱法による粒度分析計(例えば、商品名「UPA−EX150」、日機装製)などを使用することができる。勿論、使用する粒度分布測定装置や測定条件などは上記に限られるものではない。
水溶性樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上350mgKOH/g以下であることが好ましく、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。水溶性樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、インクの吐出性がやや低下する場合がある。一方、水溶性樹脂の酸価が350mgKOH/g超であると、インクの保存安定性がやや低下する場合がある。水溶性樹脂の酸価は、電位差滴定により求めることができる。
水溶性樹脂の重量平均分子量Mwは、1,000以上30,000以下であることが好ましく、3,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。また、水溶性樹脂の多分散度(重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn))は、1.0以上3.0以下であることが好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及び多分散度Mw/Mnは、JISハンドブック化学分析 K0124に準拠し、サイズ排除クロマト法(GPC法)により測定することができる。
インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上3.00質量%以下であることがさらに好ましい。また、顔料に吸着している水溶性樹脂の量が比較的少ないと、顔料から水溶性樹脂が脱離しにくくなるため、光沢ムラが生じにくくなる。このためには、インク中の顔料の含有量(質量%)は、水溶性樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下であることが好ましく、2.0倍以上7.0倍以下であることがさらに好ましい。上記の質量比率が10.0倍超であると、樹脂分散剤の脱離が光沢性に影響を及ぼすため、光沢ムラの抑制効果が低下する場合がある。一方、上記の質量比率が1.0倍未満であると、インク中の固形分が増加することによって、画像の写像性が低下する場合がある。
(フッ素系界面活性剤)
本発明のインクは、フッ素系界面活性剤を含有する。このフッ素系界面活性剤は、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物である。また、パーフルオロアルキル基の炭素原子数は、2以上であることが好ましく、4以上であることがさらに好ましい。このようなフッ素系界面活性剤としては、市販品を用いることができる。ノニオン性のフッ素系界面活性剤の具体例としては、以下商品名で、メガファックF−470、F−444(以上、DIC製);サーフロンS−141、S−145(以上、旭硝子製);ゾニールFS−3100(デュポン製)などを挙げることができる。パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物の分子構造が分岐状であると、疎水性基であるパーフルオロアルキル基と親水性基であるエチレンオキサイド基との極性の差が大きいために分子間力が強まり、顔料の粒子の表面に吸着しやすくなる。このため、光沢ムラの抑制効果が低下する場合がある。したがって、直鎖状のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物を用いることがより好ましい。
インク中のフッ素系界面活性剤の含有量は、インクの動的表面張力γ10が40mN/m以下、かつ、静的表面張力γが25mN/m以上となる範囲で決定することが好ましい。具体的には、インク中のフッ素系界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上0.20質量%以下であることが好ましい。
(アセチレングリコール系界面活性剤)
本発明のインクは、アセチレングリコール系界面活性剤であるアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物を含有する。アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物としては、下記一般式(I)で表される化合物を用いることが好ましい。下記一般式(I)中のx+yは、親水性基であるエチレンオキサイド基の付加数を示し、自然数である。x+yは5以上であることが好ましく、6以上であることがさらに好ましい。また、x+yは50以下であることが好ましく、30以下であることがさらに好ましい。
Figure 2016138253
(前記一般式(I)中、x+yは自然数を表す)
アセチレングリコール系界面活性剤の、グリフィン法により求められるHLB値は10以上である。アセチレングリコール系界面活性剤のHLB値が10未満であると疎水性が高いために、顔料の粒子表面において樹脂分散剤との吸着交換が生じてしまい、画像に光沢ムラが生じやすくなる。後述するように、HLB値は20以下である。一般式(I)で表される化合物の場合、HLB値が10以上であることを満たすためには、x+yは5以上であることを要する。
グリフィン法によるHLB値は、下記式(1)より算出することができる。グリフィン法により求められるHLB値は、界面活性剤の親水性や親油性の程度を表す物性値であり、0乃至20の値をとる。HLB値が小さいほど親油性が高く、HLB値が大きいほど親水性が高い。
HLB値=20×界面活性剤の親水性基の式量/界面活性剤の分子量・・・(1)
一般式(I)で表される化合物などのアセチレングリコール系界面活性剤としては、市販品を用いることができる。アセチレングリコール系界面活性剤の具体例としては、以下商品名で、アセチレノールE60、アセチレノールE100(以上、川研ファインケミカル製);サーフィノール465、サーフィノール485(以上、日信化学工業製)などを挙げることができる。インク中のアセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、インクの動的表面張力γ10が40mN/m以下、かつ、静的表面張力γが25mN/m以上となる範囲で決定することが好ましい。具体的には、インク中のアセチレングリコール系界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上1.00質量%以下であることが好ましい。
(水溶性有機溶剤)
本発明のインクは、25℃における比誘電率が20.0以上30.0以下の水溶性有機溶剤(以下、「特定の水溶性有機溶剤」とも記す)を含有する。インク全質量を基準とした、上記特定の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、フッ素系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、100倍以上200倍以下である。また、インク中の上記特定の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上20.00質量%以下であることが好ましく、5.00質量%以上15.00質量%以下であることがさらに好ましい。比誘電率が20.0以上30.0以下の水溶性有機溶剤の具体例としては、1,3−ブタンジオール(30.0)、1,2−プロパンジオール(28.8)、1,2,6−ヘキサントリオール(28.5)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(28.3)、2−ピロリドン(28.0)、1,5−ペンタンジオール(27.0)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(23.9)、エチルアルコール(23.8)、トリエチレングリコール(22.7)などを挙げることができる(括弧内の数値は25℃における比誘電率を表す)。
水及び水溶性有機溶剤の比誘電率は、誘電率計(例えば、商品名「BI−870」(BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION製)など)を用いて測定することができる。なお、25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率は、50質量%水溶液の比誘電率を測定し、下記式(2)から算出することができる。
εsol=2ε50%−εwater ・・・(2)
εsol:25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率
ε50%:25℃で固体の水溶性有機溶剤の50質量%水溶液の比誘電率
εwater:水の比誘電率
25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率を50質量%水溶液の比誘電率から算出する理由は、以下に示す通りである。25℃で固体の水溶性有機溶剤のうち、水性インクの構成成分となりうるものには、50質量%を超える高濃度水溶液の調製が困難なものがある。一方、10質量%以下の低濃度水溶液では水の比誘電率が支配的となり、水溶性有機溶剤の確からしい(実効的な)比誘電率の値を得ることは困難である。そこで、本発明者らが検討を行ったところ、インクに用いる25℃で固体の水溶性有機溶剤のほとんどが、測定対象となる水溶液を調製可能であり、かつ、算出される比誘電率も本発明の効果と整合することが判明した。以上の理由により、本発明においては50質量%水溶液の比誘電率から、25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率を算出して用いることとした。25℃で固体の水溶性有機溶剤であっても、水への溶解度が低く、50質量%水溶液を調製できないものについては、飽和濃度の水溶液を利用し、上記のεsolを算出する場合に準じて算出した比誘電率の値を便宜的に用いる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する水性インクである。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、前述の25℃における比誘電率が20.0以上30.0以下の水溶性有機溶剤(特定の水溶性有機溶剤)以外の水溶性有機溶剤(その他の水溶性有機溶剤)を併用することができる。その他の水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下、さらには15.00質量%以上40.00質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、高いレベルのインクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。
水溶性有機溶剤の具体例としては、先に挙げた特定の水溶性有機溶剤も含めると、以下に示すものなどを挙げることができる(括弧内の数値は25℃における比誘電率を表す)。メチルアルコール(33.1)、エチルアルコール(23.8)、n−プロピルアルコール(12.0)、イソプロピルアルコール(18.3)、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4の1価アルコール類。1,2−プロパンジオール(28.8)、1,3−ブタンジオール(30.0)、1,4−ブタンジオール(31.1)、1,5−ペンタンジオール(27.0)、1,2−ヘキサンジオール(14.8)、1,6−ヘキサンジオール(7.1)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(28.3)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(23.9)などの2価アルコール類。1,2,6−ヘキサントリオール(28.5)、グリセリン(42.3)、トリメチロールプロパン(33.7)、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類。エチレングリコール(40.4)、ジエチレングリコール(31.7)、トリエチレングリコール(22.7)、テトラエチレングリコール(20.8)、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのアルキレングリコール類。ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(9.4)などのグリコールエーテル類。数平均分子量600のポリエチレングリコール(11.5)、同1,000のポリエチレングリコール(4.6)、ポリプロピレングリコールなどの数平均分子量200乃至1,000のポリアルキレングリコール類。2−ピロリドン(28.0)、N−メチル−2−ピロリドン(32.0)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン、尿素(110.3)、エチレン尿素(49.7)、トリエタノールアミン(31.9)などの含窒素化合物類。ジメチルスルホキシド(48.9)、ビス(2−ヒドロキシエチルスルホン)などの含硫黄化合物類。インクに含有させる水溶性有機溶剤としては、比誘電率が3.0以上であるもの、120.0以下であるもの、25℃での蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
本発明のインクは、さらに、グリフィン法により求められるHLB値が15以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有することが好ましい。上述の通り、HLB値は20以下である。また、本発明のインクはこのポリオキシエチレンアルキルエーテルを、インク全質量を基準として、0.10質量%以上1.00質量%以下含有することが好ましい。上記のポリオキシエチレンアルキルエーテルを所定量含有させることで、さらに優れた光沢ムラの抑制効果を得ることができる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、顔料の分散剤としても一般に使用される界面活性剤であるため、樹脂分散剤とある程度類似する性質を有しており、樹脂分散剤との親和性が高いと推測される。したがって、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、顔料の粒子の表面から脱離した樹脂分散剤との親和性が高く、インクが記録媒体に浸透する過程で脱離した樹脂分散剤を増粘させる。これにより、形成される顔料層中により多くの水溶性樹脂が残存し、さらに優れた光沢ムラの抑制効果を得ることができると考えられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのHLB値が15未満であると疎水性が高いため、樹脂分散剤との吸着交換(すなわち樹脂分散剤の脱離)が促進され、光沢ムラの抑制効果が低下する場合がある。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量が0.10質量%未満であると、少なすぎるために光沢ムラの抑制効果が低下する場合がある。一方、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量が1.00質量%を超えると、写像性が低下する場合がある。これは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが記録媒体へのインクの浸透速度を緩和する効果を有するため、インクの表面張力を低下させることによる浸透速度向上が抑制されるからである。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、下記式で表される構造を有する。
R−O−(CH2CH2O)n−H
(上記式中、Rは炭化水素基を表し、nは自然数を表す)
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、疎水性基である上記式中のR(炭化水素基)の炭素原子数が、界面活性能を有するような範囲であることが好ましい。具体的には、上記式中のR(炭化水素基)の炭素原子数は、12乃至22であることが好ましい。このようなR(炭化水素基)の具体例としては、ラウリル基(12)、セチル基(16)、ステアリル基(18)、オレイル基(18)、ベヘニル基(22)などを挙げることができる(括弧内の数値は炭化水素基の炭素原子数を表す)。また、上記式中のnは、親水性基であるエチレンオキサイド基の付加数を示し、自然数である。nは10乃至50であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及びその他の樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。但し、ポリオレフィン系などのワックス粒子のような固体成分が存在すると、画像の写像性がやや低下する場合があるため、インクには含有させないことが好ましい。さらに、本発明のインクには、所定の動的表面張力及び静的表面張力を満たす限り、前述のフッ素界面活性剤及びアセチレングリコール系界面活性剤以外の一般的な界面活性剤を含有させることも可能である。なお、これらの添加剤は、一般的にインク中の含有量もかなり少なく、本発明の効果への影響も小さい。このため、本発明においては、これらの添加剤は「水溶性有機溶剤」に含めず、比誘電率を算出する対象としない。
(インクの動的表面張力)
本発明のインクの寿命時間10ミリ秒における動的表面張力γ10は40mN/m以下である。動的表面張力γ10が40mN/m超であると、記録媒体に付着した直後のインクの濡れ性が不十分になり、画像の写像性が向上しない。インクの動的表面張力γ10は、30mN/m以上であることが好ましい。
本発明でインクの特性を規定するのに利用する動的表面張力とは、最大泡圧法により求められるものである。最大泡圧法とは、測定対象の液体中に浸したプローブ(細管)の先端に発生させた気泡を放出するために必要な最大圧力を測定して、この最大圧力から液体の表面張力を求める方法であり、プローブの先端に連続的に気泡を発生させながら最大圧力を測定する。この際、プローブの先端に新たな気泡の表面が発生した時点から、最大泡圧(気泡の曲率半径とプローブ先端部分の半径が等しくなる時点)に達するまでの時間を、寿命時間と呼ぶ。
(インクの静的表面張力)
本発明のインクの静的表面張力γは25mN/m以上である。静的表面張力γが25mN/m未満であると、インクの浸透速度が低下して画像の写像性が低下する。インクの静的表面張力γは30mN/m以下であることが好ましい。静的表面張力γが30mN/mを超えると、インクの浸透性が低下し、画像の写像性が向上しにくくなる場合がある。本発明でインクの特性を規定するのに利用する静的表面張力とは、プレート法により求められるものである。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
本発明のインクを用いて記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、普通紙や、コート層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。特に、インク中の顔料粒子の少なくとも一部を記録媒体の表面やその近傍に存在させることができる、コート層を有する記録媒体を用いることが好ましい。このような記録媒体は、画像を記録した記録物の使用目的などに応じて選択することができる。例えば、写真画質の光沢感を有する画像を得るのに適している光沢紙や、絵画、写真、及びグラフィック画像などを好みに合わせて表現するために、基材の風合い(画用紙調、キャンバス地調、和紙調など)を生かしたアート紙などを用いることができる。なかでも、コート層の表面が光沢性を持つ、いわゆる光沢紙を用いることが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<樹脂分散剤の準備>
市販の樹脂を用いるか、又は常法により合成した樹脂を用いて、以下の樹脂分散剤を準備した。
(樹脂分散剤1)
市販のスチレン−アクリル酸共重合体(商品名「ジョンクリル680」、BASF製)を樹脂分散剤1として準備した。この樹脂分散剤1に、酸価の0.85当量の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を加えて、樹脂分散剤1の含有量(固形分)が20.0%である水溶液を得た。
(樹脂分散剤2及び3)
常法により、酸価165mgKOH/gのベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(樹脂分散剤2)、及び酸価165mgKOH/gのスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(樹脂分散剤3)を合成した。得られた樹脂分散剤2及び3に、酸価の0.85当量の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水をそれぞれ加えて、樹脂分散剤の含有量(固形分)が20.0%である水溶液を得た。
(樹脂分散剤4)
特開2008−266363号公報の製造例1の記載を参考にし、酸価78mgKOH/g、重量平均分子量74,000の水不溶性ポリマーを合成した。得られた水不溶性ポリマーに、酸価の0.85当量となる水酸化カリウム水溶液、及び適量のイオン交換水を加えて、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である樹脂分散剤4の水分散液を得た。
(樹脂が水溶性であるか否かの確認)
樹脂分散剤1〜3の水溶液を純水で20倍(体積基準)に希釈した試料について、動的光散乱法による粒度分析計(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を用い、SetZero:30秒、測定回数:3回、測定時間:180秒の条件で粒子径を測定した。その結果、いずれの樹脂も粒子径は測定されず、水溶性であることが確認された。また、樹脂分散剤4の水分散液に、樹脂の酸価と当量となる水酸化カリウムをさらに添加して得た水分散液を、純水で20倍(体積基準)に希釈して試料を調製した。この試料について、樹脂分散剤1〜3の水溶液の場合と同様にして動的光散乱法による測定を行ったところ、粒子径が測定され、水不溶性であることが確認された。
<顔料分散液の調製>
表1の上段に示す各成分(単位:部)及び0.3mmのジルコニアビーズ85部を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れて、水冷しながら3時間分散させた。その後、遠心分離して粗大粒子を含む非分散物を除去した。次いで、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、顔料分散液1〜12を調製した。表1の下段には顔料の含有量P(%)、樹脂の含有量R(%)、及びP/Rの値(倍)を示す。なお、表1中の材料の詳細を以下に示す。
・C.I.ピグメントイエロー74(商品名「ハンザイエロー5GXB」、クラリアント製)
・C.I.ピグメントブルー15:3(商品名「ホスタパームブルーB2G」、クラリアント製)
・固溶体顔料(C.I.ピグメントレッド202及びC.I.ピグメントバイオレット19の固溶体、商品名「クロモフタルジェットマゼンタ2BC」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・C.I.ピグメントレッド254(商品名「イルガフォアレッドBT−CF」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・カーボンブラック(商品名「No.900」、三菱化学製)
Figure 2016138253
<界面活性剤>
インクの調製に用いた界面活性剤の特性を表2に示す。なお、表2中の「炭素数」は、パーフルオロアルキル基の炭素原子数を表す。
Figure 2016138253
<インクの調製>
(実施例1〜31、比較例1〜13)
表3−1〜3−5の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して各インクを調製した。括弧内に示す水溶性有機溶剤の比誘電率は、誘電率計(商品名「BI−870」、BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION製)を用いて求めた値であり、25℃で固体の場合は上記の式(2)を利用して算出した値である。表3−1〜3−5の下段には、各インク中のフッ素系ノニオン性界面活性剤の含有量(含有量F(%))、比誘電率が20.0以上30.0以下の水溶性有機溶剤の含有量(含有量S(%))、及びS/Fの値(倍)を示す。さらに、表3−1〜3−5の下段には、各インクの寿命時間10ミリ秒における動的表面張力(γ10(mN/m))、及び静的表面張力(γ(mN/m))を示す。動的表面張力γ10は、25℃で、最大泡圧法による動的表面張力計(商品名「BUBLE PRESSURE TENSIOMETER BP−2」、KRUSS製)を用いて測定した。また、静的表面張力γは、自動表面張力計(商品名「DY−300」、協和界面科学製)を用いて測定した。表3−1〜3−5中の「プロキセルGXL」(商品名)は、アーチケミカルズ製の防腐剤である。
Figure 2016138253
Figure 2016138253
Figure 2016138253
Figure 2016138253
Figure 2016138253
(比較例14)
特許文献1に記載された「Y−19」のインクを調製した。調製したインクの組成を以下に示す。また、インクの動的表面張力γ10は37mN/mであり、静的表面張力γは30mN/mであり、S/Fの値は500倍であった。なお、メガファックF−477は、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6を超えるものである。
・C.I.ピグメントイエロー155:3.00%
・樹脂分散剤(商品名「DISPERBYK−190」、ビックケミー製):1.60%(固形分)
・2−ピロリドン:10.00%
・1,2−ヘキサンジオール:7.00%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル:0.60%
・ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル:5.00%
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル:10.00%
・オルフィンE1010:1.00%
(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物、日信化学工業製、HLB13)
・メガファックF−477:0.02%
(含フッ素基・親水性基・親油性基含有オリゴマー、DIC製)
・添加樹脂:5.00%(固形分)
(メタクリル酸ブチル/アクリル酸共重合体)
・水:56.78%
(比較例15)
特許文献2に記載された「シアンインクC10」を調製した。調製したインクの組成を以下に示す。また、インクの動的表面張力γ10は41mN/mであり、静的表面張力γは30mN/mであった。
・C.I.ピグメントブルー15:3:4.00%
・樹脂分散剤(フローレンTG−750W、エボニックデグサ製):2.10%
・2−ピロリドン:5.00%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル:0.80%
・ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル:5.00%
・BYK DYNEWET800:1.00%
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、ビックケミー製)
・メガファックF−410:0.05%
(パーフルオロアルキルカルボン酸塩、DIC製)
・定着樹脂:5.00%(固形分)
(メタクリル酸メチル/アクリル酸−2−エチルへキシル/メタクリル酸共重合体)
・水:77.05%
(比較例16)
特許文献2に記載された「シアンインクC2」を調製した。調製したインクの組成を以下に示す。また、インクの動的表面張力γ10は45mN/mであり、静的表面張力γは32mN/mであり、S/Fの値は625倍であった。
・C.I.ピグメントブルー15:3:4.00%
・樹脂分散剤(フローレンTG−750W、エボニックデグサ製):2.10%
・2−ピロリドン:5.00%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル:0.80%
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル:5.00%
・ノベック4432:0.008%
(ノニオン性フッ素系界面活性剤、住友スリーエム製)
・定着樹脂:5.00%(固形分)
(メタクリル酸メチル/アクリル酸−2−エチルへキシル/メタクリル酸共重合体)
・水:78.092%
(比較例17)
特許文献3に記載された「インク4」を調製した。調製したインクの組成を以下に示す。また、インクの動的表面張力γ10は55mN/mであり、静的表面張力γは21mN/mであり、S/Fの値は19倍であった。
・C.I.ピグメントレッド122:3.00%
・樹脂分散剤:1.20%
(スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体)
・グリセリン:5.00%
・2−ピロリドン:5.00%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量600):4.00%
・メガファックF−440:0.27%
(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、DIC製、フッ素付加炭素数:6)
・フタル酸カリウム:1.00%
・水:80.53%
(比較例18)
特許文献3に記載された「インク12」を調製した。調製したインクの組成を以下に示す。また、インクの動的表面張力γ10は40mN/mであり、静的表面張力γは26mN/mであり、S/Fの値は67倍であった。
・C.I.ピグメントレッド122:3.00%
・樹脂分散剤:1.20%
(スチレン/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体)
・グリセリン:5.00%
・2−ピロリドン:5.00%
・ポリエチレングリコール(数平均分子量600):4.00%
・メガファックF−440:0.075%
(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、DIC製、フッ素付加炭素数:6)
・フタル酸カリウム:1.00%
・水:80.725%
(比較例19)
特許文献4に記載された「実施例1」のインクを調製した。調製したインクの組成を以下に示す。また、インクの動的表面張力γ10は30mN/mであり、静的表面張力γは25mN/mであり、S/Fの値は170倍であった。
・樹脂分散顔料:10.73%(固形分)
・グリセリン:17.00%
・3−メチル−1,3−ブタンジオール:17.00%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール:2.00%
・2,4,7,9−テトラメチルドデカン−4,7−ジオール:0.40%
・FS−3100:0.10%
(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、デュポン製、フッ素付加炭素数:6)
・プロキセルGXL(防腐剤、アーチケミカルズ製):0.05%
・pH調整剤(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール):0.30%
・水:52.42%
<評価>
熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro 9500」、キヤノン製)を用いて以下に示す評価を行った。上記のインクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義する。調製した各インクを用いて、記録デューティが10〜150%の範囲で10%刻みとした15種のベタ画像を8パスにて4種類の光沢紙に記録した。4種類の光沢紙としては、商品名「PT−101」、「PT−201」、「GL−101」(以上、キヤノン製)、及び商品名「クリスピア」(エプソン製)を用いた。本発明においては、以下に示す評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
(写像性)
記録デューティが100%であるベタ画像について、10cm間隔で配置した2本の蛍光灯を観察光源として使用し、2m離れた位置から画像に対して蛍光灯を投影した。画像に投影された蛍光灯の形状を、照明角度45度、観察角度45度の条件下、目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の写像性を評価した。なお、4種の光沢紙に記録したベタ画像のうち、最も評価が低かったものを評価結果として採用した。
AA:投影された2本の蛍光灯の境目がわかり、エッジ部分にぼやけが認められなかった。
A:投影された2本の蛍光灯の境目及びエッジ部分はわかったが、エッジ部分が若干ぼやけていた。
B:投影された2本の蛍光灯の境目はわかったが、エッジ部分がわからないほどぼやけていた。
C:投影された2本の蛍光灯の境目がわからなかった。
(光沢ムラ)
記録デューティが30%、50%、及び100%のベタ画像を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって光沢ムラを評価した。なお、4種の光沢紙に記録したベタ画像のうち、最も評価が低かったものを評価結果として採用した。
AA:各ベタ画像の光沢性に差がなく、光沢ムラが生じていなかった。
A:30%及び100%のベタ画像の光沢性にわずかに差があり、光沢ムラが少し生じていた。
B:50%及び100%のベタ画像の光沢性にわずかに差があり、光沢ムラが少し生じていた。
C:50%及び100%のベタ画像の光沢性に明らかに差があり、光沢ムラがかなり生じていた。
Figure 2016138253

Claims (7)

  1. 顔料、前記顔料を分散するための水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記アセチレングリコール系界面活性剤が、グリフィン法により求められるHLB値が10以上のアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物であり、
    前記フッ素系界面活性剤が、パーフルオロアルキル基の炭素原子数が6以下のパーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物であり、
    前記水溶性有機溶剤の25℃における比誘電率が20.0以上30.0以下であり、
    インク全質量を基準とした、前記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記フッ素系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、100倍以上200倍以下であり、寿命時間10ミリ秒における動的表面張力γ10が40mN/m以下であるとともに、静的表面張力γが25mN/m以上であることを特徴とする水性インク。
  2. 静的表面張力γが30mN/m以下である請求項1に記載の水性インク。
  3. インク全質量を基準とした、前記顔料の含有量(質量%)が、前記水溶性樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下である請求項1又は2に記載の水性インク。
  4. さらに、グリフィン法により求められるHLB値が15以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルを、インク全質量を基準として、0.10質量%以上1.00質量%以下で含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
  5. 前記水溶性樹脂が、水溶性アクリル樹脂である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
  6. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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