JP5475399B2 - インクジェット記録用水分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、ピグメント・イエロー74を用いた、印字濃度、保存安定性に優れたインクジェット記録用水分散体及び水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインクの液滴を記録部材に直接吐出、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式はフルカラー化が容易でかつ安価、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触という数多くの利点があるため普及が著しい。中でも印字物の耐光性や耐水性の観点から顔料系インクが主流となってきており、家庭用インクジェットプリンターにおいて好適に使用されている。
近年は家庭用からオフィス用、商業印刷用へもインクジェットプリンターの使用範囲が拡大し、高速化が技術の潮流となっている。そのため、インク液滴量を増やしたり、印字ヘッドの改良等により、印字回数を減らして高速化する方法が採用されている。
高速化印字においては、従来のように2度打ち、3度打ちができないため、1回の印刷で高い印字濃度が発現できるインクが要望されている。
C.I.ピグメント・イエロー74(以下、「PY−74」ともいう)は、発色性に優れた顔料であるが、ビジネス用途のような高速印刷において発色性が不十分であるという欠点がある。そこで、PY−74の改良や、PY−74の誘導体を含むインクの印字濃度等を改良する提案がなされている。
例えば、特許文献1には、透明でかつ濃度が優れた印刷インキを提供することを課題として、特定のアセトアセトアニリド誘導体を含むカップラー成分と、2−メトキシ−4−ニトロアニリンをジアゾ化してなるジアゾ成分とをカップリングしてなるPY−74が開示されている。
特許文献2には、透明でかつ濃度が優れた印刷インキを提供することを課題として、2−メトキシアセトアセトアニリドからなるカップラー成分と、アニリン誘導体をジアゾ化したジアゾ成分とをカップリングしてなるPY−74が開示されている。
特許文献3には、普通紙に印字した際の高い印字濃度を満足しつつ、専用紙に印字した際の優れた光沢性を達成することができるインクジェット記録用水系インクを提供することを課題として、PY−74等の黄色有機顔料と、特定のアゾ化合物とを含有する水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体であって、該水不溶性ビニルポリマーが、ベンジルメタクリレート等に由来の構成単位を有するインクジェット記録用水分散体及び水系インクが開示されている。
特開2003−165919号公報 特開2003−165920号公報 特開2006−124584号公報
本発明は、高速印刷に対応した高印字濃度を有し、保存安定性に優れ、インクにした時に低粘度化でき、かつ吸光特性変化の少ないインクジェット記録用水分散体及び水系インクを提供することを課題とする。
顔料としてPY−74だけを用いた水系インクでは、印字濃度が低く、高速印刷に適していなかった。また、PY−74と前記の顔料誘導体とを用いたインクでは、印字濃度をある程度向上させることができても、保存安定性において充分とは言えなかった。とりわけ高速化印字に対応した、高顔料含有量のインクでは、保存安定性の更なる向上が望まれている。
本発明者は、スルホンアミド基とスルホン酸基とを有するPY−74骨格を有する顔料誘導体を含有する水系インクが、印刷した際の印字濃度が高く、固形分が高くとも保存安定性に優れ、インクにした時に低粘度化できるため、吐出性に優れ、且つ吸光特性変化の少ないことを見出した。これは、共存するスルホンアミド基はスルホン酸基よりも疎水的であるため、スルホンアミド基とスルホン酸基とを有するPY−74骨格を有する顔料誘導体がPY−74の顔料をより微細に分散することができるのと同時に、保存中にPY−74からの脱離、溶解が抑制されるものと考えられる。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)C.I.ピグメント・イエロー74(A)と、下記式(1)で表されるアゾ化合物(B)との顔料混合物がポリマーで分散されてなり、該(A)と(B)との合計顔料固形分量が15〜35重量%である、インクジェット記録用水分散体。
Figure 0005475399
(式中、R10及びR20は、それぞれ独立に、メトキシ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基を示し、R10及びR20の少なくとも一方は、スルホン酸基とスルホン酸アミド基とを有する。)
(2)C.I.ピグメント・イエロー74(A)と、前記式(1)で表されるアゾ化合物(B)との顔料混合物がポリマーで分散されてなり、該(A)と(B)との合計顔料固形分量が3〜20重量%である、インクジェット記録用水系インク。
本発明によれば、高速印刷に対応した高印字濃度を有し、保存安定性に優れ、インクにした時に低粘度化でき、かつ吸光特性変化の少ないインクジェット記録用水分散体及び水系インクを提供することができる。
本発明のインクジェット記録用水分散体は、C.I.ピグメント・イエロー74(A)と、前記式(1)で表される1種以上のアゾ化合物(B)との顔料混合物がポリマーで分散されてなり、該(A)と(B)との合計顔料固形分量が15〜35重量%であることを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録用水系インクは、C.I.ピグメント・イエロー74(A)と、前記式(1)で表される1種以上のアゾ化合物(B)との顔料混合物がポリマーで分散されてなり、該(A)と(B)との合計顔料固形分量が3〜20重量%であることを特徴とする。
以下、本発明に用いられる各成分等について説明する。
<C.I.ピグメント・イエロー74(A)>
C.I.ピグメント・イエロー74(A)(以下、「PY74(A)」ともいう)としては、アセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料が挙げられる。その化学名は、2−[(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)アゾ]−N−(2−メトキシフェニル)−3−オキソブタンアミドであり、下記式(2)で表される構造を有する化合物である。
PY74(A)は、DIC株式会社、大日精化工業株式会社、山陽色素株式会社等のメーカから入手可能である。
Figure 0005475399
<アゾ化合物(B)>
本発明においては、PY74(A)を微細化し、保存安定性を向上させるために、下記式(1)で表されるアゾ化合物(B)(以下、単に「アゾ化合物(B)」ともいう)が用いられる。
Figure 0005475399
(式中、R10及びR20は、それぞれ独立に、メトキシ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基を示し、R10及びR20の少なくとも一方は、スルホン酸基とスルホン酸アミド基とを有する。)
アゾ化合物(B)は、PY74(A)の分散性を向上させる観点から、(イ)R10が、スルホン酸基とスルホンアミド基とを有するフェニル基であり、R20が、フェニル基であるか、又はメトキシ基及びニトロ基から選ばれる一種以上の置換基を有するフェニル基である化合物、(ロ)R10が、フェニル基であるか、又はメトキシ基及びニトロ基から選ばれる一種以上の置換基を有するフェニル基であり、R20が、スルホン酸基とスルホンアミド基とを有するフェニル基である化合物が挙げられる。
(イ)の場合、R20はオルト位にメトキシ基を有するフェニル基が好ましい。
(ロ)の場合、下記式(3)で表わされるアゾ化合物が好ましい。
Figure 0005475399
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基又はアミノアルキル基を示し、R3は、単結合、メチレン基又はエチレン基を示す。)
前記式(3)で表わされるアゾ化合物(B)は、スルホンアミド基(−SO2NR12)とスルホン酸基(−R3−SO3H)とが置換した構造を有する。
ここで、R1及びR2は、印字濃度、保存安定性及び汎用性の観点から、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基又はアミノアルキル基であるが、当該置換基としては、スルホン酸基、カルボキシキ基、ヒドロキシ基が挙げられる。
1及びR2であるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
1及びR2であるアミノアルキル基としては、−(CH2kNR45で表わされるものが好ましい。ここで、kは1〜4の整数、R4及びR5は独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。また、R4及びR5のアルキル基は、炭素数1〜3のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を示す。
すなわち、前記スルホンアミド基(−SO2NR12)の中では、−NR12で表されるアミン残基として、印字濃度、保存安定性、インクにした時の低粘度化、吸光特性変化抑制の観点から、前記の−NH(CH2kNR45が好ましい。
前記アミン残基の具体例としては、N-アミノエチル基(エチレンジアミン由来)、N-アミノプロピル基(1,3−プロパンジアミン由来)、N−メチル−アミノエチル基(N−メチルエチレンジアミン由来)、N−メチル−アミノプロピル基(N−メチルプロパンジアミン由来)、N,N−ジメチルアミノエチル基(N,N−ジメチルエチレンジアミン由来)、3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−(2−ジメチルアミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−アルキル(炭素数1〜12)−3−アミノプロピル基、N,N−ジメチルアミノプロピル基(N,N−ジメチルー1,3−プロパンジアミン)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピル基等が挙げられる。
これらの中でも、インクにした時の低粘度化、吸光特性変化抑制の観点から、N−アルキル(炭素数1〜3)−3−アミノプロピル基、及びN,N−ジアルキル(炭素数1〜3)−3−アミノプロピル基が好ましい。
スルホン酸基(−R3−SO3H)としては、スルホン酸基(−SO3H)、メチレンスルホン酸基(−CH2−SO3H)、エチレンスルホン酸基(−CH2CH2−SO3H)が挙げられるが、スルホン酸基(−SO3H)がより好ましい。R3が単結合の場合、ベンゼン環に直接スルホン酸基(−SO3H)が結合することを意味する。
本発明においては、PY74(A)とアゾ化合物(B)との顔料混合物が用いられる。該顔料混合物中の硫黄量は、印字濃度、保存安定性、吸光特性変化抑制の観点から、好ましくは0.25〜0.7重量%、より好ましくは0.25〜0.5重量%、更に好ましくは0.3〜0.5重量%であり、該顔料混合物中のアゾ化合物(B)量は、印字濃度、保存安定性、吸光特性変化抑制の観点から、好ましくは0.5〜7モル%、より好ましくは1〜5モル%ある。
顔料混合物の平均一次粒子径は、印字濃度、インクにした時の粘度低減の観点から、好ましくは10〜50nm、より好ましくは15〜40nm、更に好ましくは20〜35nmである。顔料混合物中の硫黄量、平均一次粒子径の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
<ポリマー>
本発明の水分散体及び水系インクは、ポリマーとして、水不溶性ポリマー(x)を単独で含有するか、又は水不溶性ポリマー(x)と水溶性ポリマー(y)との両者を含有することが好ましい。
ここで、「水不溶性ポリマー(x)」及び「水溶性ポリマー(y)」とは、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、該ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和したもの10gに、25℃の純水100gを加え、十分撹拌したときに、全て溶解すれば、該ポリマーは本発明における「水溶性ポリマー(y)」である。なお、市販のポリマーを用いる場合、又は合成時に酢酸又は水酸化ナトリウム以外の中和剤で中和されたポリマーは、100%の中和度に満たない場合、酢酸又は水酸化ナトリウムを加え、100%中和として前記溶解性を判断する。
前記の溶解性試験を行い、100%の中和度で溶解しない部分があるポリマーの場合、純水がポリマー内に浸透し難いため、次のような手順(具体的には実施例の方法)で、水不溶性ポリマー(x)と水溶性ポリマー(y)とに分離することができる。
すなわち、予めポリマーをメチルエチルケトン等の有機溶媒に溶解しておき、その100%中和品を純水中に滴下し、有機溶媒を除去して濃度を10重量%にした水分散物を、遠心分離によって分離し、沈殿したポリマーを「水不溶性ポリマー(x)」、溶解しているポリマーを「水溶性ポリマー(y)」とする。但し、ポリマー中の「水不溶性ポリマー(x)」及び「水溶性ポリマー(y)」の各々の重量%は、小数点一桁目を四捨五入する。
(水不溶性ポリマー(x))
本発明には、顔料混合物を微粒化し、分散性を向上して、主に保存安定性を向上すると共に、印字濃度を高める観点から、水不溶性ポリマー(x)を用いることが好ましい。水不溶性ポリマー(x)としては、ビニル単量体の付加重合により得られるビニルポリマーやウレタン結合を有するウレタンポリマーが好ましく、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と(b)疎水性モノマー(以下「(b)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニルポリマーがより好ましい。
〔(a)塩生成基含有モノマー〕
(a)塩生成基含有モノマーは、得られるポリマー粒子の分散性を高める観点から用いられる。
(a)塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマーが挙げられ、アニオン性モノマーが好ましい。
塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられるが、中でもカルボキシ基が好ましい。
カチオン性モノマーの代表例としては、アミン含有モノマー、アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、ポリマー粒子の分散性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
〔(b)疎水性モノマー〕
(b)疎水性モノマーは、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられ、顔料混合物との親和性を高め、分散性、保存安定性を高める観点から、芳香族基含有モノマーが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
芳香族基含有モノマーとしては、スチレン系モノマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン及び2−メチルスチレンが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(b)成分の中では、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、水不溶性ポリマー(x)との親和性を高める観点から、水不溶性ポリマー(x)と後述する水溶性ポリマー(y)における(b)成分は同一であることが好ましい。
更に、任意である(c)マクロマー(以下「(c)成分」ともいう)由来の構成単位を有していてもよく、(a)成分由来の構成単位、(b)成分由来の構成単位、及び(c)成分由来の構成単位を全て含むものが好ましい。
〔(c)マクロマー〕
(c)マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から用いられる。
片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。その数平均分子量は、500〜100,000であり、1,000〜10,000が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(c)マクロマーとしては、ポリマーのPY74(A)への親和性を高める観点から、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー、及びシリコーン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から、スチレン系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。共重合される他のモノマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレート又はアクリロニトリル等が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン等が挙げられる。
スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亜合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアリールアルキル基又はアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。共重合される他のモノマーとしては、スチレン系モノマー及びアクリロニトリル等が挙げられる。
マクロマーはシリコーン系マクロマーであってもよく、シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
水不溶性ポリマー(x)における(c)マクロマーとしては、後述する水溶性ポリマー(y)との親和性を高める観点から、水溶性ポリマー(y)における(b)疎水性モノマーと同一のモノマーの重合体を用いることが好ましく、スチレン系マクロマーであることがより好ましい。
〔(d)ノニオン性モノマー〕
モノマー混合物には、更に、(d)ノニオン性モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
(d)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(n=1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(n=1〜15)−ポリプロピレングリコール(n=1〜15)−メタクリレート等が挙げられる。
商業的に入手しうる(d)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−40G、同90G、同230G、日油株式会社のブレンマーPE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE−600B等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
水不溶性ポリマー(x)中の(a)〜(d)成分に由来する構成単位の含有量は以下のとおりである。
(a)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマー粒子の分散性を高める観点から、好ましくは4〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。
(b)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(c)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(d)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマー粒子の分散性を高める観点から、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは17〜50重量%である。
また、(a)成分がアニオン性モノマーである場合の酸価は、50〜200が好ましく、50〜160が更に好ましい。
水不溶性ポリマー(x)の重量平均分子量は、水分散体及び水系インクの保存安定性の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、2万〜30万が特に好ましい。なお、該ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(水溶性ポリマー(y))
本発明には、顔料混合物の微粒化し、分散性を向上して、主にインクを低粘度化し、顔料混合物の吸光特性変化を抑制する観点から、水不溶性ポリマー(x)と共に水溶性ポリマー(y)を併用することが好ましい。水溶性ポリマー(y)としては、ビニル単量体の付加重合により得られるビニルポリマーやウレタン結合を有するウレタン系ポリマーが好ましく、(a)塩生成基含有モノマー(前記の(a)成分と同じ)と(b)疎水性モノマー(前記の(b)成分と同じ)を含むモノマー混合物(前記の「モノマー混合物」と同じ)を共重合させてなるビニルポリマーがより好ましい。
〔(a)塩生成基含有モノマー〕
水溶性ポリマー(y)における(a)塩生成基含有モノマーの具体例、好適例は前記と同様である。それらの中では、ポリマー粒子の分散性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましく、水への溶解性の観点から、アクリル酸が更に好ましい。
〔(b)疎水性モノマー〕
水溶性ポリマー(y)における(b)疎水性モノマーの具体例、好適例は前記と同様である。それらの中では、ポリマーの顔料混合物への親和性を高める観点から、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、前記のとおり、水不溶性ポリマー(x)との親和性を高める観点から、水不溶性ポリマー(x)と水溶性ポリマー(y)における(b)成分は同一であることが好ましい。
水溶性ポリマー(y)は、(a)成分に由来する構成単位を、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは15〜40重量%含有し、(b)成分に由来する構成単位を、好ましくは15〜95重量%、より好ましくは25〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%含有し、(b)成分に由来する構成単位としては、スチレンモノマーに由来する構成単位が好ましく、スチレンモノマーに由来する構成単位を、水溶性ポリマー(y)の全モノマー中、好ましくは50〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%含有する。
水溶性ポリマー(y)は、分散性の観点から、その重量平均分子量が、好ましくは1000〜300,000、より好ましくは10,000〜200,000である。なお、該ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、(a)成分がアニオン性モノマーである場合の酸価は、好ましくは150〜300KOHmg/g、より好ましくは170〜250KOHmg/gである。
水溶性ポリマー(y)の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社のジョンクリル(登録商標)57J、同60J、同61J、同63J、同70J、同PD−96J、同501J等が挙げられる。
〔ポリマーの製造〕
本発明で用いられる水不溶性ポリマー(x)及び水溶性ポリマー(y)(以下、両者を総称して、単に「ポリマー」ともいう)は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜3の脂肪族アルコール;炭素数3〜8のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、アゾ化合物や有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概にはいえないが、通常、重合温度は好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、公知の方法により生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明で用いられるポリマーは、(a)塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を中和剤により中和して用いることが好ましい。塩生成基がアニオン性基である場合、中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。
該ポリマーの塩生成基の中和度は、ポリマー粒子(A)のインク中での分散安定性の観点から、10〜300%であることが好ましく、20〜200%がより好ましく、30〜150%が更に好ましい。
ここで、塩生成基がアニオン性基の場合の中和度は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
酸価は、ポリマーの構成単位から計算で算出することができるし、適当な溶媒(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
〔顔料混合物を含有するポリマー粒子〕
本発明の水分散体及び水系インクにおいては、前記顔料混合物がポリマーで分散されてなるが、前記顔料混合物がポリマーに含有された「顔料混合物を含有するポリマー粒子」、又は「顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子」を含む形態であることが好ましい。
顔料混合物を含有するポリマー粒子(以下、単に「ポリマー粒子(A)」ともいう)は、顔料混合物を水不溶性ポリマー(x)単独、又は水不溶性ポリマー(x)及び水溶性ポリマー(y)で分散処理して得ることができる。
顔料混合物の分散剤として、水不溶性ポリマー(x)単独で用いることにより、又は水溶性ポリマー(y)及び水不溶性ポリマー(x)を併用することにより、印字濃度が高く、固形分濃度が高くとも保存安定性に優れるインクジェット記録用水分散体及び水系インクを得ることができる。更に、水不溶性ポリマー(x)と水溶性ポリマー(y)とを併用する場合は、インクを更に低粘度化でき、顔料の吸光特性変化を抑制し、保存安定性を向上させることができる。これは、水不溶性ポリマー(x)が顔料混合物の表面を被覆して顔料混合物を微細に分散させることができ、水溶性ポリマー(y)により、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子を安定化するためと考えられる。
水不溶性ポリマー(x)に対する顔料混合物の重量比〔顔料混合物/水不溶性ポリマー(x)〕は、印字濃度と保存安定性との観点から、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、2〜6が更に好ましい。
水溶性ポリマー(y)に対する顔料混合物の重量比〔顔料混合物/水溶性ポリマー(y)〕は、インクの低粘度化、及び吸光特性変化抑制の観点から、15〜25が好ましく、17〜25がより好ましく、17〜23が更に好ましい。
分散に用いる水不溶性ポリマー(x)と水溶性ポリマー(y)の合計量[(x)+(y)]に対する顔料混合物の重量比〔顔料混合物/[(x)+(y)]〕は、印字濃度と保存安定性に加えて、インクの低粘度化、及び吸光特性変化抑制の観点から、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜95/5が更に好ましい。
水溶性ポリマー(y)に対する水不溶性ポリマー(x)の重量比〔(x)/(y)〕は、印字濃度と保存安定性に加えて、インクの低粘度化、及び吸光特性変化抑制の観点から、2.0〜5.0であり、2.5〜4.5が好ましく、3.0〜4.0がより好ましい。
ポリマー粒子(A)は、後述する水分散体の製造法1又は2に記載した工程(1)(2)、又は工程(I)(II)を有する方法によって、水分散体として製造することが効率的で好ましい。
〔顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子〕
本発明の水分散体及び水系インクにおいては、粘度を低く保ちながら、印字濃度を向上させる観点から、水不溶性ポリマー(x)、又は水溶性ポリマー(y)及び水不溶性ポリマー(x)が架橋処理されてなる架橋ポリマーを含むものであることが好ましい。
架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%であるが、架橋率は、後述する方法で求めることができる。
該架橋ポリマー粒子は、後述の水系インクの製造方法に記載した、工程(3)、又は工程(III)を有する方法によって、水分散体として製造することが効率的で好ましい。
〔インクジェット記録用水分散体の製造法1〕
本発明において、ポリマーとして、水不溶性ポリマー(x)を用いる場合は、下記工程(1)〜(2)を有する方法によれば、インクジェット記録用水分散体を効率的に製造することができる。更に下記工程(3)を有することにより、水不溶性ポリマー(x)が架橋処理されてなる架橋ポリマーを含む架橋ポリマー粒子を含有するインクジェット記録用水分散体を効率的に製造することができる。
工程(1):水不溶性ポリマー(x)、有機溶媒、顔料混合物、水、及び必要に応じて中和剤を含有する混合物を分散処理して、顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子の水分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子のポリマーを架橋剤で架橋させて、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得る工程
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記工程(1)〜(2)又は工程(1)〜(3)で得られた分散体に、必要に応じて水系インクに通常用いられる湿潤剤等の添加剤を添加して得ることができる。
工程(1)
工程(1)では、まず、水不溶性ポリマー(x)を有機溶媒に溶解させ、次に顔料混合物、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。水不溶性ポリマー(x)の有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、中和剤、水、顔料混合物の順に加えることが好ましい。
混合物中、顔料混合物は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、水不溶性ポリマー(x)は、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
水不溶性ポリマー(x)の量に対する顔料混合物の量の重量比〔顔料混合物/水不溶性ポリマー(x)〕は、前記のとおりが好ましい。
ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましい。中和剤を用いて中和する場合の中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。好ましくは、水100gに対する溶解量が20℃において、好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上であり、より具体的には、好ましくは5〜80g、更に好ましくは10〜50gのものであり、特に、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけで顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(1)の分散における温度は、0〜40℃が好ましく、5〜30℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料混合物の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
工程(2)
工程(2)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去することで、顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子の水分散体を得ることができる。得られた顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよく、架橋工程を後に行う場合は、必要により架橋後に再除去すればよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子の水分散体は、顔料混合物を含有する該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料混合物と水不溶性ポリマー(x)により粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに顔料混合物が内包された粒子形態、該ポリマー中に顔料混合物が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に顔料混合物が露出された粒子形態等が含まれ、これらの混合物も含まれる。
工程(3)
工程(3)は、工程(2)で得られた顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー(x)粒子のポリマーを架橋剤で架橋させて、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得る工程である。工程(3)は、水系インクの粘度を低減し、印字濃度を向上させる観点から、行うことが好ましい。
ここで、架橋剤としては、ポリマーの塩生成基と反応する官能基を有する化合物が好ましく、該官能基を分子中に2以上、好ましくは2〜6有する化合物がより好ましい。
この架橋剤は、ポリマーの表面を効率よく架橋する観点から、25℃の水100gに溶解させたときの溶解量が、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。また、架橋剤の分子量は、インクの粘度及び印字濃度の観点から、好ましくは120〜2000、より好ましくは150〜1500、更に好ましい150〜1000である。
(架橋剤)
架橋剤の好適例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(b)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
(c)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー。
これらの中では、(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
架橋剤の使用量は、インク中でのポリマー粒子(A)のインクの粘度の観点から、〔架橋剤/ポリマー〕の重量比で0.1/100〜50/100が好ましく、0.5/100〜40/100がより好ましく、1/100〜30/100が更に好ましく、2/100〜25/100が特に好ましい。
また、架橋剤の使用量は、該ポリマー1g当たりに対して、架橋剤の反応性基のモル数として、0.01〜10mmolと反応する量であることが好ましく、0.05〜5mmolであることがより好ましく、0.1〜2mmolと反応する量であることが更に好ましい。
工程(3)で得られた、架橋ポリマー粒子の水分散体における架橋ポリマーは、架橋ポリマー1g当たり、中和された塩生成基(好ましくはカルボキシ基)を0.5mmol以上含有することが好ましい。かかる架橋ポリマーは、水分散体中で解離して、塩生成基同士の電荷反発により、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の安定性に寄与すると考えられる。
ここで、下記式(3)から求められる架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。架橋率は、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できるポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数/ポリマーが有する架橋剤と反応し得る反応性基のモル数]×100 (3)
式(3)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
なお、ポリマーの架橋は、工程(1)で得られた顔料混合物を含有するポリマー粒子の分散体と架橋剤とを混合して行うこともできる。この場合は、該架橋工程で得られた架橋ポリマー粒子の水分散体から、有機溶媒を除去する工程を前記工程(2)と同様に行うことにより、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。
〔インクジェット記録用水分散体の製造法2〕
本発明において、ポリマーとして、水溶性ポリマー(y)と水不溶性ポリマー(x)を用いる場合は、下記工程(I)〜(II)を有する方法によれば、インクジェット記録用水分散体を効率的に製造することができる。更に下記工程(III)を有することにより、水溶性ポリマー(y)及び水不溶性ポリマー(x)が架橋処理されてなる架橋ポリマーを含む架橋ポリマー粒子を含有するインクジェット記録用水分散体を効率的に製造することができる。
工程(I):顔料混合物を水溶性ポリマー(y)及び水で分散し、水分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた水分散体に水不溶性ポリマー(x)を添加して更に分散し、顔料混合物を含有するポリマー粒子(A)を含む分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた分散体、又は該分散体から溶媒を除去して得られた水分散体に、架橋処理を行う工程
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記工程(I)〜(II)又は工程(I)〜(III)で得られた分散体に、必要に応じて水系インクに通常用いられる湿潤剤等の添加剤を添加して得ることができる。
工程(I)
工程(I)は、顔料混合物を水溶性ポリマー(y)で分散し、水分散体を得る工程であるが、まず、水溶性ポリマー(y)、顔料混合物、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を混合し、混合物を得、該混合物を分散機にて分散する方法が好ましい。
混合物中、顔料混合物は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、水溶性ポリマー(y)は、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
水溶性ポリマー(y)と顔料混合物との好ましい重量比は前述のとおりである。
中和剤を用いて中和する場合、最終的に得られる水分散体のpHが7〜11であるように中和することが好ましい。中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。また、水溶性ポリマー(y)を予め中和しておいてもよい。
なお、有機溶媒は前記と同様のものが挙げられる。
工程(I)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけで顔料混合物粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、顔料混合物粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(I)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、1〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、製造法1で用いる前記の高速撹拌混合装置を用いることができる。
本分散の剪断応力を与える手段としては、製造法1で用いると同様のものが挙げられる。これらの中では、顔料混合物粒子を小粒子径化する観点及び分散体を安定化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましい。
工程(II)
工程(II)は、工程(I)で得られた水分散体に水不溶性ポリマー(x)を添加して更に分散し、顔料混合物を含有するポリマー粒子(A)を含む分散体を得る工程であるが、工程(I)で得られた水分散体、水不溶性ポリマー(x)、有機溶媒、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を含有する混合物を調製し、分散する方法が好ましく、水不溶性ポリマー(x)、有機溶媒及び水を含有する水不溶性ポリマー(x)の分散体を用いることが好ましい。
前記混合物中、顔料混合物は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、水不溶性ポリマー(x)は、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
水不溶性ポリマー(x)と顔料混合物との好ましい重量比は、前記のとおりである。
中和剤を用いて中和する場合、最終的に得られる水分散体のpHが7〜11であるように中和することが好ましい。また、アニオン性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒の具体例、好適例は、製造法1で用いる前記の有機溶媒と同様である。
工程(II)における混合物の分散方法は、工程(I)と同様に、特に制限はなく、本分散だけでポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行ってもよい。工程(II)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、前記の混合撹拌装置等が好ましく用いられる。
本分散の剪断応力を与える手段としては、前記の混練機、高圧ホモジナイザー、メディア式分散機が挙げられる。これらの中では、ポリマー粒子(A)を小粒子径化する観点及び分散体を安定化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
(溶媒除去工程)
前記水系インクの製造方法においては、任意の工程として、工程(II)の後に、工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去して水系にすることで、ポリマー粒子(A)の水分散体を得ることができる。本工程は工程(II)の後に行ってもよい。
得られたポリマー粒子(A)の水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよく、架橋工程を後に行う場合は、必要により架橋後に追加で除去すればよい。最終的に得られたポリマー粒子(A)の水分散体中の残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られたポリマー粒子(A)の水分散体は、該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子(A)の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料混合物とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに顔料混合物が内包された粒子形態、該ポリマー中に顔料混合物が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に顔料混合物が露出された粒子形態等が含まれる。
工程(III)
工程(III)は、工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体、又は該分散体から溶媒を除去して得られた水分散体に架橋処理を行う工程である。前記工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体、又は工程(II)で得られた分散体に溶媒が含まれている場合、該分散体から溶媒を除去して得られたポリマー粒子(A)の水分散体に架橋剤を添加して、水不溶性ポリマー(x)及び水溶性ポリマー(y)を架橋した架橋ポリマー粒子を含有する水分散体を得ることができる。工程(III)は、水系インクの粘度を低減し、印字濃度を向上させる観点から、行うことが好ましい。
ポリマーの架橋は、前記工程(II)で得られた顔料混合物を含有するポリマー粒子(A)の分散体と架橋剤とを混合して行う場合は、該架橋工程で得られた架橋ポリマー粒子の分散体から、有機溶媒を除去する工程を前記溶媒除去工程と同様に行うことによっても、水分散体を得ることができる。
ここで、架橋剤の具体例、好適例としては、前記と同様のものが挙げられる。
架橋剤の使用量、架橋ポリマー1g当たりの中和された塩生成基(好ましくはカルボキシ基)量、架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、前記と同じである。
<インクジェット記録用水分散体>
本発明のインクジェット記録用水分散体は、前記顔料混合物を水不溶性ポリマー(x)で分散されてなる水分散体であって、好ましくは顔料混合物を含有するポリマー粒子(A)を含有する水分散体、又は該ポリマーを架橋剤で架橋して得られる水分散体であって、好ましくは顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子を含有する水分散体である。
好ましい態様として、本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記顔料混合物を水不溶性ポリマー(x)及び水溶性ポリマー(y)で分散されてなる水分散体であって、好ましくは顔料混合物を含有するポリマー粒子(A)を含有する水分散体、又は該ポリマーを架橋剤で架橋して得られる水分散体であって、好ましくは顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子を含有する水分散体である。
本発明の水分散体は、前記顔料混合物の含有量が高くとも、保存安定性に優れている。
本発明の水分散体中、前記顔料混合物の含有量は、保存安定性の観点から、好ましくは15〜35重量%、より好ましくは20〜30重量%、更に好ましくは21〜28重量%である。
本発明の水分散体中、ポリマー(水不溶性ポリマー(x)+水溶性ポリマー(y))の含有量は、保存安定性の観点から、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%、更に好ましくは3〜8重量%である。
本発明の水分散体中、水の含有量は、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%、更に好ましくは50〜65重量%である。
該水分散体の好ましい表面張力(20℃)は、30〜70mN/m、より好ましくは35〜65mN/mである。
該水分散体の30重量%(固形分)の粘度(20℃)は、好ましくは1〜12mPa・s、より好ましくは2〜11mPa・s、更に好ましくは2〜8mPa・s、特に好ましくは2〜6mPa・sである。
<インクジェット記録用水系インク>
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記水分散体を含有する水系インクである。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、前記の製造方法で得られた水分散体を含有するものであるが、さらに水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等を添加することができる。
湿潤剤又は浸透剤としては、グリセリン、トリエチレングリコール等が好ましく用いられ、界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド10モル付加物等が好ましく用いられる。
本発明の水系インクは、顔料の含有量が高くても、粘度が低く、保存安定性に優れている。
本発明の水系インク中、PY74(A)とアゾ化合物(B)との合計顔料固形分量は、水系インクの印字濃度と保存安定性と低粘度化の観点から、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%、更に好ましくは8〜15重量%、特に好ましくは8〜12重量%である。
なお、本発明においては、本発明の目的を阻害しない限り、その他の着色剤を用いることができる。その他の着色剤としては、PY74(A)以外の有機顔料や無機顔料、疎水性染料等を用いることができる。
本発明の水系インク中、ポリマー(水不溶性ポリマー(x)+水溶性ポリマー(y))の含有量は、水系インクの印字濃度と保存安定性とを高める観点から、好ましくは0.5〜6重量%、より好ましくは1〜5重量%、更に好ましくは1〜4重量%である。
本発明の水系インク中、水の含有量は、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%、更に好ましくは50〜65重量%である。
本発明の水系インクを適用するインクジェット記録方式は特に制限されないが、顔料混合物等の分散性色材やポリマー粒子等を含有する分散液の吐出に適したピエゾ方式のインクジェットプリンターに好適である。
以下の調製例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、顔料混合物の硫黄量、ポリマーの重量平均分子量、平均粒径、粘度等の測定方法は以下のとおりである。
(1)顔料混合物の硫黄量の測定方法
燃焼イオンクロマトグラフィー装置(株式会社三菱化学アナリテック製)を用いて行った。
(2)ポリマーの重量平均分子量
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α-M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(3)ポリマーの水不溶性/水溶性比率
(i)水溶性ポリマーの場合
水溶性ポリマー(ジョンクリル61J、(a)アクリル酸/(b)スチレン=25/75(重量比)、BASFジャパン株式会社製、重量平均分子量16000、アンモニア100%中和品)の水溶液に純水を添加し、ポリマー濃度を10重量%としたポリマー溶液は全て溶解していた。
(ii)水不溶性ポリマーの場合
製造例1で得られた水不溶性ポリマーのメチルエチルケトン溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、100%中和とし、ポリマー純分換算で10gを量り取った。これを純水中に滴下し、ロータリーエバポレーターで、メチルエチルケトン及び水の一部を除去し、ポリマー濃度を10重量%とした分散物を上記(i)と同条件で遠心分離(株式会社久保田製作所製、テーブルトップ遠心機2100を使用。回転数:4000r/m、時間:20分、温度:20℃)し、沈降した部分を水不溶性ポリマー(x-2)、溶解部分を水溶性ポリマー(y-2)とすると、水不溶性ポリマー(x-2)/水溶性ポリマー(y-2)比率=小数点一桁目を四捨五入すると100/0であった。
(4)顔料混合物の平均一次粒子径の測定
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて100個の顔料混合物の長径を測定した。
(5)粘度の測定
水系インク(固形分含有量:10重量%)の粘度をE型粘度計(東機産業株式会社製、型番:RE80型)を用いて、標準ローター(1°34′×R24)を使用し、測定温度20℃、測定時間1分、回転数100rpmの条件で測定した。
(6)保存安定性
スクリュー管に固形分30%の顔料混合物含有(架橋)ポリマー粒子の水分散体及び水系インクを充填、密閉し、70℃の恒温槽にて1週間保存した。保存前後の粘度を上記(5)により測定し、下記計算式により粘度変化率(%)の値として求め、保存安定性の評価を行った。
粘度変化率(%)=100−〔[保存後の粘度]/[保存前の粘度]〕×100
(評価基準)
A:粘度の変化率が±10%以内
B:粘度の変化率が±10%を超えて、±15%以内
C:粘度の変化率が±15%を超える
(7)印字濃度の評価
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて、実施例記載の水系インクを市販の上質普通紙(ゼロックス株式会社製、商品名:XEROX 4200)にベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン、1回の印字〕し、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:スペクトロアイ)で印字物(5.1cm×8.0cm)の中心及び四隅の計5点を測定し、その平均値を求めた。
(8)吸光特性の変化
前記(6)保存安定性で用いた水系インクを水で1万倍に希釈し、その希釈液の吸収スペクトルを分光光度計(株式会社日立製作所製、型番:U−3010)を用いて、吸収波長400〜600nmの範囲にわたって測定した。70℃で一週間保存前の吸収スペクトルの最大吸収波長に対する変化量を算出し、下記の基準により吸光特性の変化を評価した。
(評価基準)
A:最大吸収波長の変化が0.1nm以下
B:最大吸収波長の変化が0.1nmを超えて、2nm以下
C:最大吸収波長の変化が2nmを超える
製造例1(水不溶性ポリマーの製造)
反応容器内に、MEK(メチルエチルケトン)20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示すモノマー混合物200部のうち10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマー混合物の残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、MEK60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を撹拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ビニル系水不溶性ポリマー溶液(ポリマー固形分40%)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に示す。
Figure 0005475399
なお、表1に示すモノマーの詳細は、以下のとおりである。
・(c)スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
・(d)ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=13):日油株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800
・(d)フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=6、プロピレンオキシド平均付加モル数=6):日油株式会社製、商品名:ブレンマー43PAPE−600B
製造例2(PY74(A)とアゾ化合物(B−1)との顔料混合物の製造)
(1)2−メトキシ−4−ニトロアニリン168部(1モル)を水2000部と35%塩酸260部とからなる溶液に溶解し、これに氷1000部を加え0℃に冷却した。水200部と亜硝酸ナトリウム70部からなる溶液を加え、3℃以下で60分間撹拌してジアゾ成分を得た。
(2)一方、2−メトキシアセトアセトアニリド200部(0.966モル)、及び下記式(4)で表される化合物7.9部(0.019モル)を水5000部と水酸化ナトリウム10部とからなる溶液に溶解した。これに80%酢酸200部を少しづつ加えて懸濁液としカップラー成分とした。
Figure 0005475399
(3)上記(2)で得られたカップラー成分に、上記(1)で得られたジアゾ成分を60分かけて加えた。この間のカップリング反応は約20℃に保持した。得られた顔料混合物スラリーを90℃まで加熱し30分保持後、濾過、水洗、圧搾、90℃で15時間乾燥し、500部のモノアゾ顔料であるピグメント・イエロー74(A)と下記式(5)で表されるアゾ化合物(B−1)の顔料混合物を得た。この顔料混合物を粉砕して顔料混合物粉末とした。
Figure 0005475399
実施例1
(1)顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー粒子の分散体の調製(工程(1))
製造例1で得られた水不溶性ポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をMEK78.6部と混合し、その中に製造例2(3)で得られた顔料混合物100部を加えよく混合し、更に5N水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水溶液を各々7.0部と6.0部(中和度60%)を加え、ディスパー(浅田鉄工株式会社製、ウルトラディスパー)を用いて、20℃でディスパー翼を7000rpmで回転させ60分間撹拌した。得られた混合物をイオン交換水にて20%水溶液になるように希釈し、それをマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
(2)顔料混合物を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体の調製(工程(2))
前記(1)で得られた分散体にイオン交換水250部を加え、撹拌した後、減圧下で60℃でMEKを完全に除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が30%の顔料混合物を含有するビニル系ポリマー粒子の水分散体を得た。
(3)顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体の調製(工程(3))
前記(2)で得られた水分散体40部に、架橋率が40モル%となるように架橋剤(商品名:デナコールEX321、エポキシ当量140、水100部への溶解量約27部(25℃)、ナガセケムテックス株式会社製)を0.33部、水を0.77部加えて、密閉下、90℃下で1.5時間撹拌を行った。撹拌後、冷却し、5.0μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を用いて濾過を行い、固形分濃度が30%の顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。(顔料混合物の固形分量:24%)
(4)水系インクの調製
得られた水分散体41.7部(顔料混合物の固形分量:24%)に、以下の混合溶液を添加し、顔料混合物固形分換算が10.0部となるように水系インクを調製した。
まず混合溶液は、水溶性有機溶媒である、1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製)2.0部、2−ピロリドン(和光純薬株式会社製)2.0部、グリセリン(花王株式会社製)2.0部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルトリグリコール、日本乳化剤株式会社製)10.0部、ノニオン界面活性剤である、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)0.5部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)0.5部、防腐剤であるプロキセルXL2(アビシア株式会社製、)0.3部、及びイオン交換水41部をマグネチックスターラーで撹拌しながら、混合し、更に室温で5分間撹拌して、混合溶液を得た。
次に予め用意した前記水分散体をマグネチックスターラーで撹拌しながら、前記混合溶液を添加し、5μmのフィルター(酢酸セルロース膜、ザルトリウス社製)で濾過し、水系インクを得た。
実施例2
(1)顔料混合物を水溶性ポリマーで分散した水分散体の調製(工程(I))
水溶性ポリマー(ジョンクリル61J:BASFジャパン株式会社製、重量平均分子量12600)31.85%水溶液24.8部にイオン交換水770.3部、25%アンモニア水溶液8.15部及びMEK99.4部を加え、水溶性ポリマーの水溶液を得た。
得られた水溶性ポリマー水溶液に、製造例2(3)で得られた顔料混合物を150部加え、ディスパー翼を用いて20℃で1時間混合後、さらにイオン交換水526部を加え、予備分散体を得た。
得られた予備分散体1580部をビーズミル型分散機(商品名:ウルトラ・アペックス・ミルUAM-05、寿工業株式会社製)を用いて、メディア粒子として粒径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズ充填率85体積%、撹拌翼周速8m/s、循環流量200cc/minの条件で24分間(ミル内における総平均滞留時間:3.75分)、循環方式による分散処理を行い、顔料混合物を水溶性ポリマーで分散した水分散体を得た。
(2)顔料混合物を水不溶性ポリマーと水溶性ポリマーで分散した水分散体の調製(工程(II))
次に、製造例1で得られた水不溶性ポリマー溶液75.80部にMEK5.88部を加え、そこに5N水酸化ナトリウム水溶液10.3部及びイオン交換水107.2部を加え、スターラーにより混合し水不溶性ポリマーの乳化液を調製した。
前記(1)で得られた顔料混合物を水溶性ポリマーで分散した水分散体をスターラーで混合しながら、前記で得られた水不溶性ポリマーの乳化液を添加して、混合物を得た。得られた混合物を高圧ホモジナイザー(商品名:マイクロフルイダイザー、Microfluidics 社製、圧力:150MPa、5パスの連続方式)を用いて、分散処理し、分散体を得た。
前記で得られた分散体を、減圧下、温水加熱媒体を用いてMEK及び一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度30%の水分散体を得た。
(3)顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体の調製(工程(III))
得られた固形分濃度30%の水分散体40部に、架橋率が54モル%となるように架橋剤(商品名:デナコールEX321L、エポキシ当量129、水100部への溶解量約27部(25℃)、ナガセケムテックス株式会社製)を0.445部加え、90℃下で1時間撹拌した。撹拌後、冷却し、5.0μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を用いて濾過し、固形分濃度が30%の顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得た(顔料混合物の固形分量:24%)。
(4)水系インクの調製
上記で得られた水分散体を、実施例1(4)と同様にして水系インクを得た。
比較例1
製造例2(1)において、前記式(4)で表される化合物の7.9部を、下記式(6)で表される化合物の6.6部(0.029モル)に変更した以外は、製造例2及び実施例1と同様にして、ピグメント・イエロー74(A)と下記式(7)で表されるアゾ化合物(B−2)の顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体及び水系インクを得た。
Figure 0005475399
Figure 0005475399
比較例2
製造例2(1)において、2−メトキシー4−ニトロアニリン168部を164部(0.976モル)に変更し、下記式(8)で表される化合物を8.9部(0.019モル)用いて、製造例2(1)と同様にしてジアゾ成分を得た。
製造例2(2)において、前記式(4)で表される化合物7.9部を用いずに、2−メトキシアセトアセトアニリド200部を208部(1モル)にした以外は、製造例2(2)と同様にして、ピグメント・イエロー74(A)と下記式(9)で表される化合物ピグメント・イエロー74誘導体(B−3)の顔料混合物を得た。
次に、実施例1と同様にして、顔料混合物を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体及び水系インクを得た。
Figure 0005475399
Figure 0005475399
Figure 0005475399
表2から、実施例1及び2の水分散体及び水系インクは、比較例1及び2の水分散体及び水系インクに比べて、高速印刷においても、印字濃度、保存安定性が優れていることが分かる。

Claims (9)

  1. C.I.ピグメント・イエロー74(A)と、下記式(1)で表されるアゾ化合物(B)との顔料混合物がポリマーで分散されてなり、該(A)と(B)との合計顔料固形分量が15〜35重量%である、インクジェット記録用水分散体。
    Figure 0005475399
    (式中、R10及びR20は、それぞれ独立に、メトキシ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基を示し、R10及びR20の少なくとも一方は、スルホン酸基とスルホン酸アミド基とを有する。)
  2. アゾ化合物(B)が下記式(3)で表されるものである、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体。
    Figure 0005475399
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基又はアミノアルキル基を示し、R3は、単結合、メチレン基又はエチレン基を示す。)
  3. 顔料混合物の硫黄量が0.25〜0.7重量%である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体。
  4. ポリマーが水不溶性ポリマー(x)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  5. ポリマーが水不溶性ポリマー(x)と水溶性ポリマー(y)とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  6. ポリマーが架橋剤で架橋されてなる架橋ポリマーである、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  7. 顔料混合物がポリマーに含有されたポリマー粒子を含む形態である、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  8. 顔料混合物の平均一次粒子径が50nm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  9. C.I.ピグメント・イエロー74(A)と、下記式(1)で表されるアゾ化合物(B)との顔料混合物がポリマーで分散されてなり、該(A)と(B)との合計顔料固形分量が3〜20重量%である、インクジェット記録用水系インク。
    Figure 0005475399
    (式中、R10及びR20は、それぞれ独立に、メトキシ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有していてもよいアリール基を示し、R10及びR20の少なくとも一方は、スルホン酸基とスルホン酸アミド基とを有する。)
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