JP4705842B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Description

本発明はインクジェット記録用水系インク、そのインクに用いられる水分散体、及びその製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能で、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
特に印字物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料系インクを用いるものが主流となってきている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、ビニルポリマーに顔料を含有させた水系インクであって、高印字濃度を付与するために、ビニルポリマーとしてマクロマーを用いたグラフトポリマーが開示されている。
特許文献2には、印字濃度と定着性を両立させるために、色材の種類・量及びポリマー種類が異なる2種以上の分散体を含む水性インクが開示されている。
特許文献3及び4には、2以上の粒径範囲にそれぞれ粒度分布のピークを有する顔料粒子を用いたインクジェット記録用インクが開示されている。
特許文献5には、印字濃度と定着性を両立させるために、顔料、水溶性有機溶媒、水溶性樹脂及び水からなり、顔料として平均粒子径が異なる2種を用いるインクジェット記録用インクが開示されている。
しかし、これらの水系インクでは、いずれも印字濃度が未だ十分でなく、また、光沢性、写像性についても更なる性能の向上が求められている。
国際公開第00/39226号パンフレット 特開2004-250587号公報 特開2003−138177号公報 特開2003−238859号公報 特開2003−335992号公報
本発明は、高い印字濃度を満足しつつ、専用紙に印字した際の光沢性、写像性に優れたインクジェット記録用水系インク、そのインクに用いられる水分散体、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体に、少なくとも2種類の平均粒径の異なる水不溶性ポリマー粒子を含ませることにより、十分な印字濃度に加えて、光沢性、写像性を付与することができることを見出した。
すなわち、本発明は次の(1)〜(4)を提供する。
(1)着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であって、該水不溶性ポリマー粒子が、平均粒径の異なる少なくとも2種の水不溶性ポリマー粒子(A)及び(B)を混合して得られる水分散体であり、該ポリマー粒子(A)の平均粒径が70〜200nmであり、該ポリマー粒子(B)の平均粒径が15〜110nmであり、該ポリマー粒子(A)の平均粒径が該ポリマー粒子(B)の平均粒径より大であって、該ポリマー粒子(A)の平均粒径と該ポリマー粒子(B)の平均粒径の差が10nm以上であり、〔該ポリマー粒子(A)/該ポリマー粒子(B)〕の重量比が20/80〜80/20である、インクジェット記録用水分散体。
(2)前記(1)の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
(3)着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を少なくとも2種混合することによる水分散体の製造方法であって、第1の水分散体中の水不溶性ポリマー粒子(A)の平均粒径が70〜200nmであり、第2の水分散体中の水不溶性ポリマー粒子(B)の平均粒径が15〜110nmであり、該ポリマー粒子(A)の平均粒径が該ポリマー粒子(B)の平均粒径より大であって、該ポリマー粒子(A)の平均粒径と該ポリマー粒子(B)の平均粒径の差が10nm以上であり、〔該ポリマー粒子(A)/該ポリマー粒子(B)〕の重量比が20/80〜80/20である、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
(4)前記(3)の製造方法によって得られた水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
本発明のインクジェット記録用水分散体を含有する水系インクは、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であり、高い印字濃度を満足しつつ、専用紙に印字した際の光沢性、写像性に優れた水系インクである。
本発明の製造方法によれば、前記インクジェット記録用水分散体及び水系インクを効率よく製造することができる。
(水不溶性ポリマー)
本発明の水分散体、水系インクには、耐擦過性に優れ、低粘度で優れた吐出性を得る観点から、着色剤を水不溶性ポリマー粒子に含有させた水分散体を用いる。
本発明において、水不溶性ポリマー粒子(A)及び(B)を構成する水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。本発明において、水不溶性ポリマーとは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。上記溶解量は、水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水不溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量をいう。
水不溶性ポリマーは、十分な印字濃度や分散安定性を発現させる観点から、マクロマー(b)由来の構成単位を含む水不溶性グラフトポリマーであることが好ましい。特に、水不溶性ポリマーは、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と、疎水性モノマー(c)由来の構成単位を含むポリマーを主鎖に有し、マクロマー(b)由来の構成単位を側鎖に有する、水不溶性グラフトポリマーであることが好ましい。
このような水不溶性グラフトポリマーとしては、塩生成基含有モノマー(a)(以下「(a)成分」ということがある)、マクロマー(b)(以下「(b)成分」ということがある)、及び疎水性モノマー(c)(以下「(c)成分」ということがある)を含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を共重合してなる水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
(a)塩生成基含有モノマー
上記(a)成分は、得られる分散体の分散安定性を高める等の観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
(a)成分としては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9−286939号公報5頁7欄24行〜8欄29行に記載されているもの等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出性等の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸がより好ましい。
上記(a)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(b)成分は、印字濃度や着色剤を含有した水不溶性ポリマー微粒子の分散安定性を高める等の観点から用いられ、数平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000で、片末端に不飽和基等の重合性官能基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。
なお、(b)成分の数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶媒として50ミリモル/Lの酢酸を含有するテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定することができる。
(b)成分のマクロマーとしては、下記(b−1)スチレン系マクロマー、(b−2)アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー、(b−3)芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー、(b−4)シリコン系マクロマー等が挙げられる。
(b−1)スチレン系マクロマー
スチレン系マクロマーとは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー(b−1 モノマーという)由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。スチレン系モノマーの中ではスチレンが好ましい。
スチレン系マクロマーは、例えば、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。片末端に存在する重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、これらを共重合させることで、スチレン系マクロマー由来の構成単位を有する水不溶性グラフトポリマーを得ることができる。
他のモノマーとしては、例えば、(1)アクリロニトリル、後述の(2)(メタ)アクリル酸エステル類(b−2 モノマー)、及び(3)スチレン以外の芳香環含有(メタ)アクリレート系モノマー(b−3 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又はスチレン系マクロマー中、スチレン系モノマー由来の構成単位の含有量は、耐擦過性の観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6、AS−6S、AN−6、AN−6S、HS−6、HS−6S等が挙げられる。
(b−2)アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーとは、ヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基を有する、(メタ)アクリル酸エステル(b−2 モノマーという)由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
b−2 モノマー由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得られ、例えば、メチルメタクリレート系マクロマー、ブチルアクリレート系マクロマー、イソブチルメタクリレート系マクロマー、ラウリルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーは、片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。他のモノマーとしては、前記の(1)スチレン系モノマー(b−1 モノマー)、後記の(3)スチレン以外の芳香環含有(メタ)アクリレート系モノマー(b−3 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又はアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、最も多く、耐擦過性の観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
(b−3)芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー
芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーとは、芳香環含有(メタ)アクリレート(b−3 モノマーという)由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。
芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、下記式(1)で表されるモノマーが好ましい。
CH2=CR1COOR2 (1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は、置換基を有していてもよい、炭素数7〜22のアリールアルキル基又は炭素数6〜22のアリール基を示す。)
具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p−ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート等が挙げられる。これらの中では、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
芳香環含有(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有する芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する芳香環含有(メタ)アクリレートの単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、芳香環含有(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。他のモノマーとしては、前記の(1)スチレン系モノマー(b−1 モノマー)、(2)(メタ)アクリル酸エステル(b−2 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又は芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー中、芳香環含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、最も多い。
(b−4)シリコン系マクロマー
本発明で用いられる水不溶性グラフトポリマーは、オルガノポリシロキサン鎖を側鎖として有していてもよい。この側鎖は、例えば、好ましくは下記式(2)で表される、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)−COOC3H6−〔Si(CH3)2−O〕t−Si(CH3)3 (2)
(式中、tは8〜40の数を示す)
本発明に用いられるポリマーが、水不溶性グラフトポリマーである場合、主鎖と側鎖との重量比[主鎖/側鎖]は、分散安定性を向上させるために、1/1〜20/1であることが好ましく、3/2〜15/1が更に好ましく、2/1〜10/1が特に好ましい。なお、重合性官能基は側鎖に含有されるものとして計算する。
上記の中では、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが着色剤との親和性が高く、分散安定性を向上させる観点から好ましい。
上記(c)成分の疎水性モノマーは、耐水性、耐擦過性、光沢性の向上等の観点から用いられ、アルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、芳香環含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、メチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチル(メタ)アクリルアミド、t-ブチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ドデシル(メタ)アクリルアミドなどの、炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
芳香環含有モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアリールエステル、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等の炭素数6〜22の芳香族炭化水素基を有するビニルモノマーが好ましく挙げられる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方の場合を含むことを示す。
(c)成分としては、印字濃度、耐擦過性向上等の観点から、芳香環含有モノマーが好ましく、中でもスチレン系モノマー(c−1)成分が好ましく、スチレン及び2−メチルスチレンが更に好ましい。(c)成分中における(c−1)成分の含有量は、印字濃度、耐擦過性向上等の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、(c)成分としては、水系インクの光沢性、写像性向上等の観点から、芳香環含有モノマーが好ましく、中でも(メタ)アクリル酸のアリールエステル(c−2)成分が好ましく、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基を有する(メタ)アクリレート、又は、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。このようなモノマーとしては、具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。(c)成分中の(c−2)成分の含有量は、光沢性の向上等の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
上記(c)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、(c−1)成分と(c−2)成分を併用することも好ましい。
本発明においては、上記(a)、(b)、(c)各成分を含むモノマー混合物は、さらに、水酸基含有モノマー(d)(以下「(d)成分」ということがある)を含有することが好ましい。
(d)成分は、分散安定性を高めるものである。(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
上記モノマー混合物は、さらに、下記式(3)で表されるモノマー(e)(以下「(e)成分」ということがある)を含有することができる。
CH2=C(R3)COO(R4O)p5 (3)
(式中、R3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R4はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R5はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは平均付加モル数を示し、1〜60、好ましくは1〜30の数である。)
(e)成分は、水性インクの吐出安定性を高め、連続印字してもヨレの発生を抑制する等の優れた効果を発現するものである。
式(3)において、R4又はR5が有してもよいヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子又は硫黄原子が挙げられる。
4又はR5で示される基の代表例としては、炭素数6〜30の芳香族基、炭素数3〜30のヘテロ環基、炭素数1〜30のアルキレン基等が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。これらの基は2種以上を組合わせたものであってもよい。置換基としては、芳香族基、ヘテロ環基、アルキル基、ハロゲン原子、アミノ基等が挙げられる。
上記R4としては、炭素数1〜24の置換基を有していてもよいフェニレン基、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキレン基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキレン基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキレン基が好ましく挙げられる。R4O基の特に好ましい具体例としては、オキシエチレン基、オキシ(イソ)プロピレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基又はこれらオキシアルキレンの1種以上からなる炭素数2〜7のオキシアルキレン基やオキシフェニレン基が挙げられる。
5としては、フェニル基、炭素数1〜30、好ましくは分岐鎖を有していても良い炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基又はヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が好ましく挙げられる。R5のより好ましい例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、(イソ)ブチル基、(イソ)ペンチル基、(イソ)ヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。
(e)成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(上記式(3)におけるpが1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(p=1〜30)、メトキシポリプロピレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(p=1〜30、その中のエチレングリコール部分は1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、メトキシポリエチレングリコール(p=1〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。
商業的に入手しうる(d)、(e)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M-40G, 90G, 230G, 日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、 PE-90, 200, 350, PME-100, 200, 400, 1000、PP-1000, PP-500, PP-800, AP-150, AP-400, AP-550, AP-800, 50PEP-300, 50POEP-800B等が挙げられる。
上記(d)成分及び(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(a)〜(e)成分のモノマー混合物中における含有量は次のとおりである。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性等の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、印字濃度や、着色剤を含有した水不溶性ポリマー微粒子の分散安定性等の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%である。
(c)成分の含有量は、耐水性、耐擦過性、印字濃度、写像性、光沢性等の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(a)成分の含有量と、(b)成分と(c)成分の合計含有量との重量比((a)/[(b)+(c)])は、得られる水系インクの長期保存安定性、吐出性等の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
(d)成分の含有量は、吐出性、分散安定性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜30重量%である。
(e)成分の含有量は、吐出性、分散安定性等の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
(a)成分と(d)成分との合計含有量は、水中での安定性、耐水性等の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
また、(a)成分と(e)成分の合計含有量は、水中での分散安定性、吐出性等の観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。
(a)成分と(d)成分と(e)成分との合計含有量は、水中での分散安定性及び吐出性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。
本発明の水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、前記モノマー混合物を共重合させることによって製造されるが、これらの重合法の中では、溶液重合法の場合に、特に高印字濃度や高写像性等の本発明の効果が好適に得られる。
溶液重合法で用いる溶媒としては、水不溶性ポリマーと親和性の高い極性有機溶媒が好ましく、水に対する溶解度が20℃において、5〜50重量%のものが好ましい。極性有機溶媒としては、例えば、ブトキシエタノール等の脂肪族アルコール;トルエン、キシレン等の芳香族類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ブトキシエタノール、又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、tert−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。重合の際には、更に、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
得られるポリマーの重量平均分子量は、着色剤の分散安定性、耐水性、吐出性等の観点から5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000がさらに好ましく、10,000〜300,000が特に好ましい。
なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイドを含有するジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
水不溶性ポリマー溶液の固形分は、3〜30%が好ましく、5〜20%がより好ましく、10〜15%が最も好ましい。
上記水不溶性ポリマーは、塩生成基含有モノマー(a)由来の塩生成基を有している場合は、中和剤により中和して用いる。中和剤としては、水不溶性ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
水不溶性ポリマーの中和度は、好ましくは10〜200%、より好ましくは20〜150%、特に好ましくは50〜150%である。
中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合、中和度は下記式によって求めることができる。
[[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]]×100
酸価やアミン価は、水不溶性ビニルポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
(着色剤)
本発明の水分散体に用いられる着色剤は、特に制限はなく、顔料、疎水性染料、水溶性染料(酸性染料、反応染料、直接染料等)等を用いることができるが、耐水性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。中でも、近年要求が強い高耐候性等を発現させるため、顔料を用いることが好ましい。
顔料及び疎水性染料は、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、水不溶性ポリマーを用いて、インク中で安定な微粒子にすることが好ましい。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、本発明においては水不溶性ポリマー粒子中に顔料及び/又は疎水性染料を含有させることが好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されるものではなく、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーンオレンジ有機顔料等の有彩色顔料を用いることができる。
本発明においては、ポリマー粒子(A)及び(B)という少なくとも2種類の平均粒径の異なるポリマー粒子用いることにより、印刷物上で、インクジェットノズルから射出された水系インク中に含まれるポリマー粒子の充填性が良くなり、有彩色顔料を用いた際にも、カラーの光沢性、写像性に優れ、鮮明な画像を得ることができると考えられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー13, 17, 74, 83, 97, 109, 110, 120, 128, 139, 151, 154, 155, 174, 180; C.I.ピグメント・レッド 48, 57:1, 122, 146, 176, 184, 185, 188, 202; C.I.ピグメント・バイオレット19, 23; C.I.ピグメントブルー15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 16, 60; C.I.ピグメント・グリーン7, 36等の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
疎水性染料は、水不溶性ポリマー粒子中に含有させることができるものであればよく、その種類には特に制限がない。疎水性染料は、水不溶性ポリマー中に効率よく染料を含有させる観点から、水不溶性ポリマーの製造時に使用する有機溶媒(好ましくメチルエチルケトン)に対して、2g/L以上、好ましくは20〜500g/L(25℃)溶解するものが望ましい。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。
油溶性染料としては、C.I.ソルベント・ブラック 3, 7, 27, 29, 34, 45、C.I.ソルベント・イエロー 14, 16, 29, 56, 82, 83:1、C.I.ソルベント・レッド 1, 3, 8, 18, 24, 27, 43, 49, 51, 72, 73、C.I.ソルベント・バイオレット 3、C.I.ソルベント・ブルー 2, 4, 11, 44, 64, 70、C.I.ソルベント・グリーン 3, 7、C.I.ソルベント・オレンジ 2 等が挙げられる。
分散染料としては、C.I.ディスパーズ・イエロー 5, 42, 54, 64, 79, 82, 83, 93, 99, 100, 119, 122, 124, 126, 160, 184:1, 186, 198, 199, 204, 224, 237、C.I.ディスパーズ・オレンジ13, 29, 31:1, 33, 49, 54, 55, 66, 73, 118, 119, 163、C.I.ディスパーズ・レッド54, 60, 72, 73, 86, 88, 91, 93, 111, 126, 127, 134, 135, 143, 145, 152, 153, 154, 159, 164, 167:1, 177, 181, 204, 206, 207, 221, 239, 240, 258, 277, 278, 283, 311, 323, 343, 348, 356, 362、C.I.ディスパーズ・バイオレット33、C.I.ディスパーズ・ブルー56, 60, 73, 87, 113, 128, 143, 148, 154, 158, 165, 165:1, 165:2, 176, 183, 185, 197, 198, 201, 214, 224, 225, 257, 266, 267, 287, 354, 358, 365, 368、C.I.ディスパーズ・グリーン6:1, 9 等が挙げられる。
これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及び7、及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の水分散体及び水系インク中における着色剤の含有量は、分散安定性、印字濃度を高める等の点から、1〜30重量%が好ましく、2〜20重量%が更に好ましく、2〜10重量%が特に好ましい。
本発明に用いられる水不溶性ポリマーと着色剤の量比については、印字濃度を高める等の観点から、水不溶性ポリマーに対する着色剤の重量比(着色剤/水不溶性ポリマー)が、50/50〜90/10であることが好ましく、更に50/50〜80/20であることが更に好ましい。
(水不溶性有機化合物)
本発明のインクジェット記録用水分散体、水系インクには、光沢性、写像性を向上させる観点から、水不溶性有機化合物を含有させてなるものが好ましい。水不溶性有機化合物は、印字面での着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の平滑性を高め、印刷物の光沢性、写像性を向上させると考えられる。
〔水不溶性有機化合物/水不溶性ポリマー〕の重量比は、光沢性及び写像性の向上の観点から、1/100〜5/1が好ましく、より好ましくは1/50〜2/1、更に好ましくは1/50〜1/1、特に好ましくは1/30〜1/1、最も好ましくは1/10〜1/1である。
本発明の水分散体又は水系インク中、水不溶性有機化合物の含有量は、写像性及び光沢性の向上の観点から、0.11〜10重量%が好ましく、0.15〜5重量%が更に好ましく、0.2〜3重量%が最も好ましい。
水不溶性有機化合物は、インクの光沢性、写像性の向上の観点から、分子量100〜2,000のものが好ましく、分子量100〜1,000のものがより好ましい。
水不溶性有機化合物の水100gの溶解量(20℃)は5g以下であり、好ましくは3g以下、更に好ましくは1g以下である。
水不溶性有機化合物は、ポリマーの柔軟性を向上させるため、そのLogP値が−1〜11であることが好ましく、1〜9がより好ましく、1.5〜8が更に好ましく、2〜7が特に好ましい。
ここで「LogP値」とは、水不溶性有機化合物の1−オクタノール/水分配係数の対数値を意味し、KowWin(Syracuse Research Corporation,USA)のSRC's LOGKOW / KOWWIN Programにより、フラグメントアプローチで計算された数値を用いる(The KowWin Program methodology is described in the following journal article: Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92.)。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している。LogP値は、一般に有機化合物の親疎水性の相対的評価に用いられる数値である。
水不溶性有機化合物は、水不溶性ポリマー粒子に含有させ易くするため、エステル化合物、エーテル化合物、又はアミド化合物であることが好ましく、分子中に、エステル又はエーテル結合を2個以上有する、エステル又はエーテル化合物(A)、あるいは分子中に、エステル又はエーテル結合を1個以上と、カルボン酸残基、スルホン酸残基、リン酸残基、エポキシ基及び水酸基からなる群から選ばれる1種以上の官能基を1個以上有する、エステル又はエーテル化合物(B)がより好ましい。
(A)化合物のエステル又はエーテル結合は、2〜3個が好ましい。(B)化合物のエステル又はエーテル結合は、1〜3個が好ましく、官能基数は、1〜3個が好ましい。
これらの中では、1価カルボン酸又はその塩と多価アルコールから得られるエステル、多価酸(多価カルボン酸、リン酸)又はその塩と1価アルコールから得られるエステル、又は多価アルコールのエーテル化合物が好ましく、脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル基を2つ又はリン酸エステル基を3つ有することが更に好ましい。塩として、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
1価カルボン酸としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の直鎖脂肪族カルボン酸、ピバリン酸等の分岐脂肪族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、のような不飽和脂肪族カルボン酸)、炭素数6〜12の芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸)が挙げられ、多価酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸;フタル酸、トリメリット酸等の炭素数6〜12の芳香族カルボン酸、リン酸等が挙げられる。
1価アルコールとしては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族アルコール(例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール)、炭素数6〜12の芳香族アルコール(例えば、フェノール)が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の炭素数2〜12の多価アルコールが挙げられる。脂肪酸やアルコールとしては飽和又は不飽和のいずれのものも使用できる。
水不溶性有機化合物の具体例としては、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族ジ又はトリカルボン酸エステル、リン酸エステル、シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステル、オキシ酸エステル、グリコールエステル、エポキシ系エステル、スルホンアミド、ポリエステル、グリセリルアルキルエーテル、グリセリルアルキルエステル、グリコールアルキルエーテル、グリコールアルキルエステル、トリメチロールプロパンのエーテル又はエステル、ペンタエリスリトールのエーテル又はエステル等が挙げられる。これらの中では、脂肪族ジカルボン酸エステル、芳香族ジ又はトリカルボン酸エステル及びリン酸エステルからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、ジエチルセバケート、ジブチルセバケート、ジイソブチルセバケート等の炭素数6〜10の脂肪族二塩基酸のジエステルが特に好ましい。
芳香族ジ又はトリカルボン酸エステルとしては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジ−n−ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート等の炭素数1〜5の脂肪族アルコール残基を有するフタル酸ジエステル、オクチルベンジルフタレート、ステアリルベンジルフタレート等の炭素数3〜18のアルキル基を有するベンジルフタレート、及びジブチルトリメリテート、ジイソブチルトリメリテート等の炭素数3〜5の脂肪族アルコール残基を有するトリメリット酸ジエステルが特に好ましい。
リン酸エステルとしては、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート等の炭素数5〜9のアルコキシアルキル基を有するリン酸エステル、トリブチルホスフェート等の炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基を有するリン酸エステル、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等の炭素数7〜12の芳香族炭化水素基を有するリン酸エステルが挙げられる。特にリン酸ジ又はトリエステルが好ましい。
(水分散体の製造方法)
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子(A)及び(B)の水分散体は、次の工程(1)及び(2)により得ることが好ましい。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、着色剤、水及び必要により中和剤を含有する混合物を、分散処理する工程
工程(2):前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)では、まず、前記水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、前記有機溶媒に加えて混合し、水中油型の分散体を得ることが好ましい。混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、水は、10〜70重量%が好ましい。水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ビニルポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられ、水に対する溶解度が20℃において、50重量%以下でかつ10重量%以上のものが好ましい。
アルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。これらの溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
中和剤としては、水不溶性ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。
中和剤としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の塩基が挙げられる。
前記工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行うことが好ましい。工程(2)で、所望の平均粒径の水不溶性ポリマー粒子が得られるように微粒化させる。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔荏原製作所株式会社、商品名〕、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス〔以上、特殊機化工業株式会社、商品名〕、クリアミックス〔エム・テクニック株式会社、商品名〕、ケイディーミル〔キネティック・ディスパージョン社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY〔白水化学株式会社、商品名〕、DeBEE2000 〔日本ビーイーイー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中では、混合物に含まれている顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散体から有機溶媒を留去して水系にすることで、所望の平均粒径を有する着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る。水分散体に含まれる有機溶媒の除去は、減圧蒸留等による一般的な方法により行うことができる。得られた水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、通常0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下である。更に、所望の粒径を有する、着色剤を含有するポリマー粒子を得るために、該水分散体を遠心分離を行い、分別することもできる。得られた水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体をろ過することで、粗大粒子を除去することが好ましい。粗大粒子は、存在しないか、存在してもわずかであるが、プリンターのノズルが詰まらないようにするために、フィルターの粒径は、好ましくは1〜10μm、更に好ましくは3〜7μmとする。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有する水不溶性ポリマーの固体分が水を主溶媒とする中に分散しているものである。ここで、着色剤を含む水不溶性ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤と水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、水不溶性ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、水不溶性ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、水不溶性ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
(2種以上の水不溶性ポリマー粒子を含有する水分散体、及び水系インク)
本発明の水分散体中に含まれる、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子は、平均粒径の異なる少なくとも2種以上の水不溶性ポリマー粒子(A)及び(B)〔以下、単にポリマー粒子(A)、ポリマー粒子(B)という〕を混合して得られる。2種以上であれば、3種、4種などであってもよい。このように平均粒径が異なるポリマー粒子(A)及び(B)を用いることにより、印刷物上で、インクジェットのノズルから射出された水系インク中に含まれるポリマー粒子の充填性が良くなり、光沢性、写像性を向上させることができると考えられる。
印字濃度を満足させると共に、インクのノズルでの目詰まりを引き起こさず、分散安定性、光沢性、写像性を向上させる観点から、着色剤を含有するポリマー粒子(A)の平均粒径は70〜200nm、好ましくは80〜180nm、更に好ましくは90〜170nm、特に好ましくは90〜160nmであり、着色剤を含有するポリマー粒子(B)の平均粒径は15〜110nm、好ましくは30〜110nm、更に好ましくは40〜100nm、特に好ましくは50〜90nmであり、該ポリマー粒子(A)の平均粒径は、該ポリマー粒子(B)の平均粒径より大である。
更に、充填性を向上させるために、ポリマー粒子(A)とポリマー粒子(B)の平均粒径の差が10nm以上であり、好ましくは20nm以上、更に好ましくは40nm以上であり、製造上の観点から、150nm以下が好ましく、120nm以下が更に好ましい。
なお、平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定することができる。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力する。測定溶液の濃度は、通常5×10-3重量%程度で行う。
2種以上の水不溶性ポリマー粒子を含有する水分散体の製造方法に特に制限はないが、着色剤を含有するポリマー粒子(A)の水分散体と、着色剤を含有するポリマー粒子(B)の水分散体の少なくとも2種を混合する方法によれば、インクジェット記録用水分散体を効率よく製造することができる。
ポリマー粒子(B)に対するポリマー粒子(A)の重量比〔ポリマー粒子(A)/ポリマー粒子(B)〕は、光沢性、写像性を向上させる観点から、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20が更に好ましく、30/70〜70/30が特に好ましい。
ポリマー粒子(A)中の着色剤の含有率(着色剤の重量×100/着色剤と水不溶性ポリマーとの合計重量)、とポリマー粒子(B)の着色剤の含有率との差が、印字濃度、光沢性を高める等の観点から、10以下であることが好ましく、5以下であることが更に好ましい。
ポリマー粒子(A)のD10(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積10%の値)は、印字濃度の観点、製造のし易さから、10nm以上が好ましく、20nm以上がさらに好ましく、30nm以上が特に好ましい。
ポリマー粒子(A)のD50(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積50%の値)は、分散体の保存安定性の観点から、210nm以下が好ましく、190nm以下がさらに好ましく、170nm以下が特に好ましい。下限は、製造のし易さから、10nm以上が好ましい。
ポリマー粒子(A)のD90(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積90%の値)は、粗大粒子を減らして、分散体の保存安定性を高める観点から、350nm以下が好ましく、300nm以下が更に好ましく、270nm以下が特に好ましい。下限は、製造のし易さから、100nm以上が好ましい。
ポリマー粒子(B)のD10は、印字濃度の観点、製造のし易さから、5nm以上が好ましく、10nm以上がさらに好ましく、15nm以上が特に好ましく、20nm以上が最も好ましい。上限は、製造のし易さから、80nm以下が好ましい。
ポリマー粒子(B)のD50は、分散体の保存安定性の観点から、120nm以下が好ましく、110nm以下がさらに好ましく、100nm以下が特に好ましい。下限は、製造のし易さから、30nm以上が好ましい。
ポリマー粒子(B)のD90は、粗大粒子を減らして、分散体の保存安定性を高める観点から、230nm以下が好ましく、210nm以下が更に好ましく、200nm以下が特に好ましい。下限は、製造のし易さから、50nm以上が好ましい。
D10、D50及びD90の測定法は、上記の平均粒径の測定法と同じである。
また、着色剤が顔料である場合、ポリマー粒子(A)に含有される顔料の平均一次粒径は、該ポリマー粒子の粒径制御の容易さ、顔料の分散性、印字濃度、プリンターのノズルの目詰まり防止の観点から、50〜180nmが好ましく、70〜170nmが更に好ましく、90〜160nmが特に好ましい。
ポリマー粒子(B)に含有される顔料の平均一次粒径は、上記と同様の観点から、10〜100nmが好ましく、20〜90nmが更に好ましく、30〜80nmが特に好ましい。
ポリマー粒子(A)に含有される顔料の平均一次粒径とポリマー粒子(B)に含有される顔料の平均一次粒径とは、同一でも異なっていても良い。
顔料の平均一次粒径は、日本電子株式会社の透過電子顕微鏡の画像解析で500個測定し、平均を算出した、数平均粒径である。なお、着色剤に長径と短径がある場合は、長径を用いて算出した。
水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、そのまま水を主溶媒とする水系インクとして用いてもよいが、インクジェット記録用水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加してもよい。
また、水分散体及び水系インク中、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の含有量(固形分)は、通常、印字濃度及び吐出安定性の観点から、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%となるように調整することが望ましい。
本発明の水系インク中の着色剤の含有量は、好ましくは2〜10重量%,より好ましくは3〜8重量%である。
本発明の水分散体及び水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%,より好ましくは40〜80重量%である。
本発明の水分散体及び水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水分散体としては好ましくは30〜65mN/m、さらに好ましくは35〜60mN/mであり、水系インクとしては、好ましくは25〜50mN/mであり、さらに好ましくは27〜45mN/mである。
本発明の水分散体の20重量%(固形分)の粘度(20℃)は、水系インクとした際に好ましい粘度とするために、1〜12mPa・sが好ましく、1〜9mPa・sが更に好ましく、2〜6mPa・sが特に好ましい。
本発明の着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を上記の粘度とする観点から、混合する平均粒径の異なる水不溶性ポリマー粒子(A)及び(B)の水分散体の固形分20重量%における粘度(20℃)は、1〜12mPa・sが好ましく、1〜9mPa・sが更に好ましく、2〜6mPa・sが特に好ましい。
また、本発明の水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましく、2.5〜6mPa・sが特に好ましくい。粘度の測定方法は、実施例に記載する方法で行う。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。D10、D50、D90は、それぞれ、散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積10、50、90%の値である。
製造例1
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示す各モノマー合計の200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの重量平均分子量を前記方法により測定した。その結果を表1に示す。
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・(b)スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000 、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基、有効分:50%
・(d)ポリエチレングリコールモノメタクリレート:新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G(エチレンオキシド平均付加モル数=9)末端:水素原子
・(d)ポリプロピレングリコールモノメタクリレート:日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500(プロピレンオキシド平均付加モル数=9)末端:水素原子
Figure 0004705842
製造例2(水分散体A−1の製造)
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.1部(中和度75%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にマゼンタ顔料(C.I.ピグメント・レッド122、大日本インキ株式会社製、顔料平均一次粒径130nm)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料含有グラフトポリマー粒子a−1の水分散体A−1を得た。得られたポリマー粒子a-1の平均粒径、D10、D50、D90を表2に記載する。
また、水分散体A−1の粘度を東機産業株式会社製、RE80L型粘度計(ローター1)を用い、20℃で100r/minの条件下測定した。水分散体A−1の〔顔料/水不溶性ポリマー〕の重量比を合せて表2に記載する。
製造例3(水分散体A−2の製造)
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.2部(中和度60%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にシアン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:4、東洋インキ製造株式会社製、顔料平均一次粒径60nm)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液を水分散体A−1の製造と同様に処理して、固形分濃度が20%の顔料含有ポリマー粒子a-2の水分散体A−2を得た。得られたポリマー粒子a-2の平均粒径、D10、D50、D90、及び水分散体A−2の粘度、〔顔料/水不溶性ポリマー〕の重量比を表2に記載する。
製造例4(水分散体B−1の製造)
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.1部(中和度75%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にマゼンタ顔料(C.I.ピグメント・レッド122、クラリアントジャパン株式会社製、顔料平均一次粒径45nm)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液を製造例2と同様に処理して、固形分濃度が20%の顔料含有ポリマー粒子b-1の水分散体B−1を得た。得られたポリマー粒子b-1の平均粒径、D10、D50、D90、及び水分散体B−1の粘度、〔顔料/水不溶性ポリマー〕の重量比を表2に記載する。
製造例5(水分散体B−2の製造)
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン45部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.2部(中和度60%)及びイオン交換水115部加えて塩生成基を中和し、更にシアン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:4、東洋インキ製造株式会社製、顔料平均一次粒径60nm)25部を加えたものを、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造株式会社製、model No.6TSG-1/4)に、ジルコニアビーズ(粒径:100μm)1000部とともに充填し、周速10m/s、温度10℃で3時間分散を行った。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で20パス分散処理した。
得られた分散液を水分散体A−1の製造と同様に処理して、固形分濃度が20%の顔料含有グラフトポリマー粒子b−2の水分散体B−2を得た。得られたポリマー粒子b−2の平均粒径、D10、D50、D90、及び水分散体B−2の粘度、〔顔料/水不溶性ポリマー〕の重量比を表2記載する。
製造例6(水分散体B−3の製造)
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー40部をメチルエチルケトン80部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)6.6部(中和度60%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にシアン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:4、東洋インキ製造株式会社製、顔料平均一次粒径60nm)60部を加えたものを、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造株式会社製、model No.6TSG-1/4)に、ジルコニアビーズ(粒径:100μm)1000部とともに充填し、周速10m/s、温度10℃で3時間分散を行った。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で20パス分散処理した。
得られた分散液を水分散体A−1の製造と同様に処理して、固形分濃度が20%の顔料含有グラフトポリマー粒子b−3の水分散体B−3を得た。得られたポリマー粒子b−3の平均粒径、D10、D50、D90、及び水分散体B−3の粘度、〔顔料/水不溶性ポリマー〕の重量比を表2記載する。
製造例7(水分散体B−4の製造)
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.2部(中和度60%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にシアン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:4、東洋インキ製造株式会社製、顔料平均一次粒径60nm)60部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で20パス分散処理した。
得られた分散液を水分散体A−1の製造と同様に処理して、固形分濃度が20%の顔料含有グラフトポリマー粒子b−4の水分散体B−4を得た。得られたポリマー粒子b−4の平均粒径、D10、D50、D90、及び水分散体B−4の粘度、〔顔料/水不溶性ポリマー〕の重量比を表2記載する。
製造例8(水溶性樹脂分散体Cの製造)
HPD96水溶液(固形分34%、ジョンソンポリマー株式会社製)を73.5部、イオン交換水190部加えて希釈し、更にシアン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:4、東洋インキ製造株式会社製、顔料平均一次粒径60nm)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液を水分散体A−1の製造と同様に処理して、固形分濃度が20%の水溶性樹脂分散体Cを得た。得られた分散体Cの平均粒径、D10、D50、D90、及び分散体Cの粘度、〔顔料/水不溶性ポリマー〕の重量比を表2記載する。
製造例9(水溶性樹脂分散体Dの製造)
ジョンクリル61J水溶液(固形分31%、ジョンソンポリマー株式会社製)を161部、イオン交換水78部加えて希釈し、更にマゼンタ顔料(C.I.ピグメント・レッド122、クラリアントジャパン株式会社製、顔料平均一次粒径45nm)50部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液を水分散体A−1の製造と同様に処理して、固形分濃度が20%の水溶性樹脂分散体Dを得た。得られた分散体Dの平均粒径、D10、D50、D90、及び分散体Dの粘度、〔顔料/水不溶性ポリマー〕の重量比を表2記載する。
Figure 0004705842
実施例1
製造例2により得られた水分散体A-1 30部、製造例4により得られた水分散体B-1 10部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。この混合液に、グリセリン10部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGMBE、浸透剤)7部、サーフィノール465(活性剤、アビシア社製)1部、プロキセルXL2(防腐剤、ZENECA社製)0.3部及びイオン交換水40.7部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表2に示す水系インクを得た。
また、製造例2により得られた水分散体A-1 30部、製造例4により得られた水分散体B-1 10部を混合した粘度を測定した結果、3.3mPa・sであり、A-1とB-1の粘度の加重平均である3.5mPa・sより低かった。
実施例2
製造例2により得られた水分散体A-120部、製造例4により得られた水分散体B-120部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
また、製造例2により得られた水分散体A-1 20部、製造例4により得られた水分散体B-1 20部を混合した粘度を測定した結果、3.6mPa・sであり、A-1とB-1の粘度の加重平均である4.0mPa・sより低かった。
実施例3
製造例3により得られた水分散体A−2を25部、製造例5により得られた水分散体B−2を12.5部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
実施例4
製造例3により得られた水分散体A−2を25部、製造例6により得られた水分散体B−3を10.4部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
実施例5
製造例3に得られた水分散体A−2を25部、製造例7により得られた水分散体B−4を8.3部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
比較例1
製造例2により得られた水分散体A-1 40部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
比較例2
製造例3により得られた水分散体A−2を33.3部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
比較例3
製造例4により得られた水分散体B−1を40部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
比較例4
製造例5により得られた水分散体B−2を50部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
比較例5
製造例6により得られた水分散体B−3を41.7部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
比較例6
製造例7により得られた水分散体B−4を33.3部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
比較例7
製造例8により得られた水分散体Cを33.3部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
比較例8
製造例9により得られた水分散体Dを60部、及びジブチルセバケート1部を混合し、攪拌した。その後、実施例1と同様に処理して、表3に示す水系インクを得た。
製造例8により得られた水分散体Cと製造例9により得られた水分散体Dとを混合しても、各々の粘度の加重平均より、低くならなかった。
次に、各実施例及び各比較例で得られたインクの性能を以下の方法に従って測定した。その結果を表2に示す。
(1)印字濃度
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて、Xerox製4024用紙にベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:フォト〕し、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD914) で5回測定し、平均値を求めた。
(2)光沢性
前記プリンターを用い、市販の専用紙(写真用紙<光沢>(60°光沢度が41)セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA450PSK)にベタ印字し〔印字条件=用紙種類:フォトプリント紙、モード設定:フォト〕、25℃で24時間放置後、20°の光沢度を光沢計(日本電色工業株式会社製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG−1)で5回測定し、平均値を求めた。
(3)写像性
前記プリンターを用い、前記市販の専用紙に印字面積率100%(実施例1,2、比較例1,3はマゼンタでRGB(レッド・グリ−ン・ブルー)値がR:255、G:0、B:255、実施例3〜5、比較例2、4〜6はシアンでRGB値がR:0、G:255、B:255)と、印字面積率50%(実施例3〜5、比較例2、4〜6はシアンでRGB値がR:128、G:255、B:255)で印字し、25℃で24時間放置後、45°の写像性C値(くし幅2.0mm)を写像性測定器(スガ試験機株式会社製、商品名:タッチパネル式写像性測定器 、品番:ICM−IT)で3回測定し、平均値を求めた。
写像性とは、印字物に像が反射した時の鮮明さ又は歪みを測定するものであり、数値が大きい方が、反射した像が鮮明で歪みが少なく、自然に見える。
Figure 0004705842
表2及び3に示された結果から、実施例で得られたインクジェット用水系インクは、普通紙に印字した際の印字濃度、専用紙に印字した際の光沢性、写像性のバランスに優れたものであることが分る。
更に、本発明のインクジェット用水系インクは、耐擦過性にも優れる。本発明のインクジェット記録用水分散体は、低粘度化でき、吐出性に有利であり、水系インク中に着色剤を高濃度で配合することができる。一方比較例では印字濃度、光沢性、写像性のバランスが劣り、特に比較例7、8では、インクの粘度が高く、インクジェットのノズルから吐出することができなかった。

Claims (12)

  1. 着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であって、該水不溶性ポリマー粒子が、平均粒径の異なる少なくとも2種の水不溶性ポリマー粒子(A)及び(B)を混合して得られる水分散体であり、該ポリマー粒子(A)の平均粒径が70〜200nmであり、該ポリマー粒子(B)の平均粒径が15〜110nmであり、該ポリマー粒子(A)の平均粒径が該ポリマー粒子(B)の平均粒径より大であって、該ポリマー粒子(A)の平均粒径と該ポリマー粒子(B)の平均粒径の差が10nm以上であり、〔該ポリマー粒子(A)/該ポリマー粒子(B)〕の重量比が20/80〜80/20である、インクジェット記録用水分散体。
  2. 着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子における、〔着色剤/水不溶性ポリマー〕の重量比が50/50〜90/10である、請求項に記載のインクジェット記録用水分散体。
  3. 着色剤が顔料であり、前記ポリマー粒子(A)中の顔料の平均一次粒径が50〜180nmであり、前記ポリマー粒子(B)中の顔料の平均一次粒径が10〜100nmである、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体。
  4. 水不溶性ポリマーが、マクロマー由来の構成単位を含む水不溶性グラフトポリマーである、請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  5. 水不溶性ポリマーの重量平均分子量が5,000〜500,000である、請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  6. 前記ポリマー粒子(A)のD50(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積50%の値)が210nm以下、D90(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積90%の値)が350nm以下であり、前記ポリマー粒子(B)のD50が120nm以下、D90が230nm以下である、請求項1〜のいずれかに記載の水系インク用分散体。
  7. 着色剤が有彩色顔料である、請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  8. 固形分20重量%における粘度(20℃)が、1〜12mPa・sである、請求項1〜いずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  9. さらに水不溶性有機化合物を含有する、請求項1〜いずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
  11. 着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を少なくとも2種混合することによる水分散体の製造方法であって、第1の水分散体中の水不溶性ポリマー粒子(A)の平均粒径が70〜200nmであり、第2の水分散体中の水不溶性ポリマー粒子(B)の平均粒径が15〜110nmであり、該ポリマー粒子(A)の平均粒径が該ポリマー粒子(B)の平均粒径より大であって、該ポリマー粒子(A)の平均粒径と該ポリマー粒子(B)の平均粒径の差が10nm以上であり、〔該ポリマー粒子(A)/該ポリマー粒子(B)〕の重量比が20/80〜80/20である、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
  12. 請求項11に記載の製造方法によって得られた水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
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