JP4755860B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents
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Description
その中でも、印字物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料系インクを用いるものが主流となってきている。(例えば、特許文献1〜4参照)
特許文献3には、光沢性を有する画像を形成するために、フタル酸ジエステル10〜1000ppmとラテックスを含有するインクが開示されている。しかしながら、フタル酸ジエステルの含有量が少なく、十分な機能が発揮されていない。
また、特許文献4には、インクジェットプリンターのヘッドの目詰まり防止等のために、水、着色剤、自己架橋性の樹脂微粒子、及びエマルジョン状油性物質を含有するインクが開示されている。
しかし、これらの水系インクは、印字濃度、写像性を十分に満足しうるものではない。
すなわち、本発明は、次の〔i〕〜〔iii〕を提供する。
〔i〕下記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステル、ポリマー粒子(B)、着色剤(C)並びに、水難溶性アミン及び/又は水難溶性アミンの塩(D)を含有してなるインクジェット記録用水分散体であって、水難溶性アミンは、20℃の水100gに溶解させたときの溶解量が20g以下である、総炭素数8〜24の脂肪族アミン及び下記式(12)で表されるアミンから選ばれる少なくとも1種である、インクジェット記録用水分散体。
(式中、R 1 、R 2 及びR 4 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐の炭化水素基を示す。R 1 、R 2 及びR 4 は同一でも異なっていてもよい。)
(式中、R 21 、R 22 及びR 23 の内、少なくとも1つは、エーテル結合を有する炭素数4〜18の炭化水素基を示し、残余のR 21 、R 22 及びR 23 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。)
〔ii〕前記〔i〕の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
〔iii〕下記工程(1)〜(3)を有する、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、着色剤、水難溶性アミン及び/又は水難溶性アミンの塩、及び水を含有する混合物を、分散処理する工程
ただし、水難溶性アミンは、20℃の水100gに溶解させたときの溶解量が20g以下である、総炭素数8〜24の脂肪族アミン及び下記式(12)で表されるアミンから選ばれる少なくとも1種である。
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去する工程
工程(3):工程(2)で得られた水分散体と下記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとを混合する工程
(式中、R 1 、R 2 及びR 4 はそれぞれ水素原子、炭素数1〜5の直鎖又は分岐の炭化水素基を示す。R 1 、R 2 及びR 4 は同一でも異なっていてもよい。)
(式中、R 21 、R 22 及びR 23 の内、少なくとも1つは、エーテル結合を有する炭素数4〜18の炭化水素基を示し、残余のR 21 、R 22 及びR 23 は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示す。)
また、本発明方法によれば、上記特性を付与しうる水分散体を効率的に製造することができる。
以下、各成分について説明する。
本発明で用いられる水不溶性有機化合物(A)は、ポリマー粒子(B)に含有されてその柔軟性を改良する働きを有すると考えられる。水不溶性有機化合物(A)がポリマー粒子(B)に柔軟性を付与することで、インクジェット記録装置のノズルから吐出されたポリマー粒子同士の融着性が高まり、ポリマー粒子が記録紙上に均一に拡散して、印字面が平滑になることで、印字物の写像性が向上すると考えられる。なお、水不溶性有機化合物(A)には、後記の水難溶性アミン及び/又はその塩(D)は含まない。
水不溶性有機化合物(A)は、インクの光沢性、写像性の向上の観点から、分子量100〜2,000のものが好ましく、分子量100〜1,000のものがより好ましい。
水100gに対する水不溶性有機化合物(A)の溶解量(20℃)は5g以下であり、好ましくは3g以下、更に好ましくは1g以下である。
ここで「LogP値」とは、水不溶性有機化合物の1−オクタノール/水の分配係数の対数値を意味し、KowWin(Syracuse Research Corporation,USA)のSRC's LOGKOW / KOWWIN Programにより、フラグメントアプローチで計算された数値を用いる(The KowWin Program methodology is describeC.In the following journal article: Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92.)。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している。LogP値は、一般に有機化合物の親疎水性の相対的評価に用いられる数値である。
1価カルボン酸としては、炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜10の直鎖又は分岐鎖の脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸等の直鎖脂肪族カルボン酸、ピバリン酸等の分岐脂肪族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、のような不飽和脂肪族カルボン酸)、炭素数6〜12の芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸)が挙げられる。多価カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸;フタル酸、トリメリット酸等の炭素数6〜12の芳香族カルボン酸、リン酸等が挙げられる。
これらの中では、1価カルボン酸と多価アルコールから得られるエステル又はエーテル、又は多価カルボン酸と1価アルコールから得られるエステル又はエーテルが好ましく、脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル基を2つ又はリン酸エステル基を3つ有することが更に好ましい。
これらの中では、前記(1)〜(3)、(5)及び(8)の化合物が好ましく、特に(1)脂肪族カルボン酸エステル、(2)芳香族カルボン酸エステル及び(3)リン酸エステルからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
R1、R2及びR4が炭化水素基である場合、印字物の光沢性、写像性を向上させる観点から、炭素数6以下の直鎖又は分岐の炭化水素基が好ましい。以下の式(2)〜(9)においても同様である。
R3は、アルキレン基又はアルケニレン基が好ましく、具体的には、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン墓、ブチレン基、ヘキシレン基、2−エチルヘキシレン基、オクチレン基、ドデシレン基等が挙げられ、炭素数2〜15のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜12のアルキレン基が更に好ましい。
前記置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子等のハロゲン原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、ラウリル等の炭素数1〜12のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基、フェニルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセチル、ベンゾイル基等のアシル基、アセチルオキシ基等のアシルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキソ基、エポキシ基、エーテル基、エステル基等が例示できる。これら置換基は1つであっても2つ以上を組み合わせてもよい。
(4)シクロアルカン(ケン)カルボン酸エステルの具体例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチルエステル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキサンエステル類、3,4−シクロヘキセンジカルボン酸ジブチルエステル、3,4−シクロヘキセンカルボン酸ジイソノニルエステル等のシクロヘキセンエステル等が挙げられる。
(5)オキシ酸エステルの具体例としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸メチル等が挙げられる。
(6)グリコールエステルの具体例としては、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキソエート)等が挙げられる。
(7)エポキシ系エステルの具体例としては、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等が挙げられる。
(8)スルホンアミドの具体例としては、o−及びp−トルエンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が挙げられる。
(9)ポリエステルの具体例としては、ポリ(1,2−ブタンジオールアジペート)、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)等が挙げられる。
(10)グリセリルエーテルの具体例として、炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するグリセリルモノエーテルが好ましい。アルキル基の炭素数は8〜30であるが、好ましくは8〜22、更に好ましくは8〜14である。
アルキル基として、例えば2−エチルヘキシル、(イソ)オクチル、(イソ)デシル、(イソ)ドデシル、(イソ)ミリスチル、(イソ)セチル、(イソ)ステアリル、(イソ)ベヘニル基が挙げられる。
アルキル基の位置については、特に制限はなく、1−アルキルグリセリルモノエーテル、2−アルキルグリセリルモノエーテルいずれであってもよい。
上記の水不溶性有機化合物(1)〜(10)は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、ポリマー粒子(B)は、水不溶性有機化合物(A)との相互作用により、写像性を向上させるために用いられる。
ポリマー粒子(B)を構成するポリマーは、水不溶性有機化合物(A)を含有しやすくするために、水不溶性ポリマーであることが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
水不溶性ビニルポリマーは、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物等)の付加重合により得られるポリマーであり、主鎖は炭素原子からなる。
水不溶性ビニルポリマーとしては、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ということがある)、並びに(b)マクロマー(以下「(b)成分」ということがある)及び/又は(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ということがある)を含有するモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ということがある)を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーが好ましい。この水不溶性ビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位を有する。
塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9−286939号公報5頁7欄24行〜8欄29行に記載されているもの等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
(b)マクロマーの中では、ポリマー粒子の分散安定性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマー(b−1)としては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
また、それらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー(b−1)、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレート(b−2)の含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
CH2=C(CH3)−COOC3H6−〔Si(CH3)2O〕t−Si(CH3)3 (10)
(式中、tは8〜40の数を示す。)
(b)成分として商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート(c−1)としては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。
スチレン系モノマー(b−1)としては、特にスチレン及び2−メチルスチレンが好ましい。(c)疎水性モノマー中の(b−1)成分の含有量は、印字濃度向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(b−2)としては、特にベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。(c)疎水性モノマー中の(b−2)成分の含有量は、印字濃度の向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。また、(b−1)成分と(b−2)成分を併用することも好ましい。
(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
CH2=C(R11)COO(R12O)pR13 (11)
(式中、R11は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R12は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R13は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは1〜30の数を示す。)
(e)成分は、水系インクの印字濃度、写像性向上するという優れた効果を有する。
式(11)において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
R11の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
R12O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシ(イソ)プロピレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらオキシアルキレンの1種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルキレン基が挙げられる。
R13の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。
上記(a)〜(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%である。
(b)成分の含有量は、特に着色剤を含有したポリマー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(d)成分の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(e)成分の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、得られる分散安定性、の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
本発明で用いられるビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
なお、ビニルポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
着色剤(C)は、特に制限はなく、顔料、疎水性染料、水溶性染料等を用いることができるが、耐水性、分散安定性及び耐擦過性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。中でも、難溶性のアミン又はその塩を用いることで、分散性が向上するため、顔料を用いることが好ましい。顔料の分散性が向上することで、印字濃度、写像性がより向上する。
顔料及び疎水性染料は、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、ポリマーを用いて、インク中で安定な微粒子にする必要がある。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、着色剤(C)がポリマー粒子(B)に含有されてなるものが好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、C.I.ピグメント・グリーン等の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。
油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、C.I.ソルベント・オレンジ等の各品番製品が挙げられ、オリエント化学株式会社、CASF社等から市販されている。
分散染料としては、例えば、C.I.ディスパーズ・イエロー、C.I.ディスパーズ・オレンジ、C.I.ディスパーズ・レッド、C.I.ディスパーズ・バイオレット、C.I.ディスパーズ・ブルー、C.I.ディスパーズ・グリーン等の各品番製品が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及び7、及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
酸性染料としては、例えば、C.I.アシッド・イエロー、C.I.アシッド・ブラック、C.I.アシッド・オレンジ、C.I.アシッド・レッド、C.I.アシッド・バイオレット、C.I.アシッド・ブルー、C.I.アシッド・グリーン等の各品番製品が挙げられる。
反応染料としては、例えば、C.I.リアクティブ・ブラック、C.I.リアクティブ・イエロー、C.I.リアクティブ・オレンジ、C.I.リアクティブ・レッド、リアクティブ・バイオレット、C.I.リアクティブ・ブルー、C.I.リアクティブ・グリーン等の各品番製品が挙げられる。
直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクト・ブラック、C.I.ダイレクト・イエロー、C.I.ダイレクト・オレンジ、ダイレクト・レッド、ダイレクト・バイオレット、C.I.ダイレクト・ブルー、C.I.ダイレクト・グリーン等の各品番製品が挙げられる。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明で用いられる水難溶性アミン及び/又はその塩(D)は、水不溶性有機化合物(A)と共に用いることで、写像性を向上させることができると考えられる。水難溶性アミン及び/又はその塩(D)により、水不溶性有機化合物(A)の効果がより一層向上され、印字面がより平滑になることで、写像性が向上すると考えられる。特に、低〜中印字濃度領域においては、ノズルから吐出したインクのドットが印刷紙上に個別に存在するため、インクドットの一つ、一つの平滑性がより求められるが、本発明の水系インクでは、この低〜中印字濃度領域でも写像性が優れていることが特徴である。
本発明における水難溶性のアミン又はその塩(D)は、水への難溶性を示すものであれば特に限定されず、任意のものを用いることができる。より具体的には、20℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が20g以下であるものが好ましく、その溶解量が2g以下であるものが更に好ましい。なお、アミンは、塩となっていてもよいが、溶解度は塩を形成していないアミンとして測定する。
これらの水難溶性のアミンは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
第一級アミンとしては、炭素数6〜24、好ましくは炭素数6〜22、更に好ましくは炭素数8〜18のアルキルアミンが挙げられる。より具体的には、ヘキシルアミン(1.9g/100g)、n−オクチルアミン(0.02g/100g)、2−エチルへキシルアミン(0.25g/100g)、t−オクチルアミン、デシルアミン、イソデシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等が挙げられる。ここで、( )内は、20℃の水100gに溶解させたときの溶解量を示し、以下も同様である。
また、第三級アミンとしては、総炭素数6〜44、好ましくは総炭素数8〜36、更に好ましくは総炭素数8〜24のトリアルキルアミンが挙げられる。より具体的には、トリエチルアミン(17g/100g)、トリプロピルアミン(0.25g/100g)、トリブチルアミン(0.0386g/100g)、トリアミルアミン、トリへキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、トリドデシルアミン、ジメチル−n−オクチルアミン、ジメチル−2−エチルヘキシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルステアリルアミン等が挙げられる。
また(i)脂肪族アミンは、デカンジアミン、ドデカンジアミン等のジアミンやトリアミン等の多価アミンであってもよい。
芳香族アミンの具体例としては、2−エチルピリジン(4.5g/100g)、4−エチルピリジン(4.7g/100g)、アニリン(3.6g/100g)、N,N−ジメチルアニリン等の炭素数6〜22のアリール基(アルキルアリール基、アリールアルキル基を含む)を有するアミン、フェニルイミダゾール等が挙げられる。
また(ii)芳香族アミンは、N,N−ジエチル−P−フェニレンジアミン、1,8−ジアミノナフタレン等のジアミンやトリアミン等の多価アミンであってもよい。
本発明においてエーテル結合を有する炭化水素基としては、エトキシプロピル基、ブトキシプロピル基、2−エチルヘキシルオキシプロピル基、ラウリルオキシプロピル基等が挙げられる。また、アミド結合を有する炭化水素基としては、2−アセトアミノ−2−メチル−エチル基等が挙げられる。
残余のR21、R22及びR23は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜22の炭化水素基又は水素原子であるが、インクの保存安定性の点より、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基、又は水素原子が好ましい。
本発明における一般式(12)で表わされる水難溶性のアミンの具体例としては、ブトキシプロピルアミン、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン(1.5g/100g)、ラウロキシプロピルアミン(0.1g/100g)等が挙げられる。これらの中では、特に2−エチルヘキシロキシプロピルアミンが好ましい。
水難溶性アミン及び/又はその塩(D)は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明の水分散体又は水系インク中の(A)〜(D)成分の含有量及びそれらの割合は次のとおりである。
水不溶性有機化合物(A)の含有量は、写像性の向上の観点から、好ましくは0.11〜10重量%、より好ましくは0.15〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%である。
ポリマー粒子(B)の含有量〔水不溶性有機化合物(A)、着色剤(C)、並びに水難溶性アミン及び/又はその塩(D)を除いた固形分量。以下同じ。〕は、印字濃度の観点から、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。
着色剤(C)の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、特に好ましくは2〜20重量%である。
水難溶性アミン及び/又はその塩(D)の含有量は、写像性の観点から、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
〔水不溶性有機化合物(A)/着色剤(C)〕の重量比は、保存安定性、印字濃度の観点から、好ましくは1/40〜5/1、より好ましく1/30〜1/1である。
〔着色剤(C)/[水難溶性アミン及び/又はその塩(D)]〕の重量比は、着色剤の分散性、写像性の観点から、好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜99/1、特に好ましくは95/5〜99/1である。
〔ポリマー粒子(B)/着色剤(C)〕の重量比は、保存安定性、印字濃度の観点から、好ましくは5/95〜90/10、より好ましくは10/90〜75/25である。
本発明の水分散体及び水系インクの表面張力(20℃)は、水分散体としては、好ましくは30〜65mN/m、更に好ましくは35〜60mN/mであり、水系インクとしては、好ましくは25〜50mN/mであり、更に好ましくは27〜45mN/mである。
本発明の水分散体の10重量%の粘度(20℃)は、水系インクとした際に好ましい粘度とするために、2〜6mPa・sが好ましく、2〜5mPa・sが更に好ましい。また、本発明の水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。
本発明のインクジェット記録用水分散体の製造方法に、特に限定はない。
着色剤(C)が、疎水性染料又は顔料の場合は、疎水性染料又は顔料がポリマー粒子(B)に含有されてなるものが、分散安定性の観点から好ましい。そのような水分散体は、下記工程(1)〜(3)により、好適に製造することができる。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、着色剤、水難溶性アミン及び/又はその塩、及び水を含有する混合物を、分散処理する工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去する工程
工程(3):工程(2)で得られた水分散体と水不溶性有機化合物(A)(ただし、水難溶性アミン及び/又はその塩(D)を除く。以下同じ。)とを混合する工程
工程(1)では、まず、前記水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、水難溶性アミン及び/又はその塩(D)、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、前記有機溶媒に加えて混合し、水中油型の分散体を得る。混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、7〜30重量%が更に好ましく、有機溶媒は、5〜70重量%が好ましく、8〜30重量%が更に好ましく、ポリマーは、1〜40重量%が好ましく、2〜15重量%が更に好ましく、水難溶性アミン及び/又はその塩(D)は、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%が更に好ましく、水は、10〜80重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には特に限定はない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。
着色剤(C)が水溶性染料又は自己分散型顔料の場合は、前記工程(1)〜(3)において、着色剤、水難溶性アミン及び/又はその塩(D)を用いずに、ポリマー粒子の水分散体を得、そのポリマー粒子(B)と水不溶性有機化合物(A)と着色剤(C)とを混合することで本発明の水分散体を得ることができる。
得られる水分散体及び水系インクにおける、水不溶性有機化合物(A)を含有するポリマー粒子の平均粒径は、プリンターのノズルの目詰まり防止及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.03〜0.3μm、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。着色剤が更に含有されても、上記と同じであることが好ましい。平均粒径の測定法は、前記のとおりである。
製造例1
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマーの重量平均分子量を前記方法により測定した。その結果を表1に示す。
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6(S)(50%トルエン溶液、固形分15部)数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=9):新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=9):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.15部(中和度60%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にジメチルキナクリドン顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19〔PV19〕、クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Hostaperm Red E5B02)72.8部、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン(溶解量:1.5g/100g水)2.2部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5Dm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料含有グラフトポリマー粒子の水分散体を得た。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体38.5部、及びジ−n−ブチルフタレート(LogP値=4.61)1部を混合し、攪拌した。この混合液に、グリセリン10部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGMBE)7部、サーフィノール465 1部、プロキセルXL2 0.3部及びイオン交換水42.2部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表2に示す水系インクを得た。
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.15部(中和度60%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にジアゾ顔料(C.I.ピグメント・イエロー74〔PY74〕、山陽色素株式会社製、商品名:FY7413)72.8部、2−エチルヘキシロキシプロピルアミン2.2部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が22%の顔料含有グラフトポリマー粒子の水分散体を得た。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体35.0部及びジ−n−ブチルフタレート(LogP値=4.61)1部を混合し、攪拌した。この混合液に、グリセリン10部、TEGMBE7部、サーフィノール465 1部、プロキセルXL2 0.3部及びイオン交換水46.7部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表2に示す水系インクを得た。
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.15部(中和度60%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にジメチルキナクリドン顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19、クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Hostaperm Red E5C02)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が21%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体35.7部、及びジ−n−ブチルフタレート(LogP値=4.61)1部を混合し、攪拌した。この混合液に、グリセリン10部、TEGMBE7部、サーフィノール465 1部、プロキセルXL2 0.3部及びイオン交換水45.0部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5Dm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表2に示す水系インクを得た。
実施例2
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.15部(中和度60%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にジアゾ顔料(C.I.ピグメント・イエロー74〔PY74〕、山陽色素株式会社製、商品名:FY7413)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5Dm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体37.5部、グリセリン10部、TEGMBE7部、サーフィノール465 1部、プロキセルXL2 0.3部及びイオン交換水44.2部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表2に示す水系インクを得た。
(1)印字濃度
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて、市販の上質普通紙(セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA4250NT)にベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:フォト〕し、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD914) で5回測定し、平均値を求めた。
前記プリンターを用い、市販の専用紙(写真用紙<光沢>(60°光沢度が41)セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA450PSK)に印字面積率50%(実施例1はマゼンタでRGB(レッド・グリ−ン・ブルー)値がR:255、G:128、B:255、実施例2はイエローでRGB値がR:255、G:255、B:128になるように設定)で印字し、25℃で24時間放置後、45°の写像性C値(くし幅2.0mm)を写像性測定器(スガ試験機株式会社製、商品名:タッチパネル式写像性測定器 、品番:ICM−IT)で3回測定し、平均値を求めた。
写像性とは、印字物に像が反射した時の鮮明さ又は歪みを測定するものであり、数値が大きい方が、反射した像が鮮明で歪みが少なく、自然に見える。
Claims (10)
- 下記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステル、ポリマー粒子(B)、着色剤(C)並びに、水難溶性アミン及び/又は水難溶性アミンの塩(D)を含有してなるインクジェット記録用水分散体であって、水難溶性アミンは、20℃の水100gに溶解させたときの溶解量が20g以下である、総炭素数8〜24の脂肪族アミン及び下記式(12)で表されるアミンから選ばれる少なくとも1種である、インクジェット記録用水分散体。
- 着色剤(C)が前記ポリマー粒子(B)に内包されてなる、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体。
- 〔着色剤(C)/[水難溶性アミン及び/又は水難溶性アミンの塩(D)]〕の重量比が80/20〜99/1である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体。
- 前記芳香族カルボン酸エステルの含有量が0.11〜10重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- 水難溶性アミン及び/又は水難溶性アミンの塩(D)の含有量が0.1〜10重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- 前記芳香族カルボン酸エステルが、炭素数1〜5の脂肪族アルコール残基を有するフタル酸ジエステルである、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- 水難溶性アミンが、前記式(12)におけるR 21 、R 22 及びR 23 の内の1つがエーテル結合を有する炭素数6〜18の炭化水素基であり、残余が水素原子であるアミンである、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- ポリマー粒子(B)が、(a)塩生成基含有モノマー、並びに(b)マクロマー及び/又は(c)疎水性モノマーを含有するモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマー粒子である、請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
- 下記工程(1)〜(3)を有する、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、着色剤、水難溶性アミン及び/又は水難溶性アミンの塩、及び水を含有する混合物を、分散処理する工程
ただし、水難溶性アミンは、20℃の水100gに溶解させたときの溶解量が20g以下である、総炭素数8〜24の脂肪族アミン及び下記式(12)で表されるアミンから選ばれる少なくとも1種である。
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去する工程
工程(3):工程(2)で得られた水分散体と下記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとを混合する工程
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