JPH1046091A - 水系インク - Google Patents

水系インク

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Publication number
JPH1046091A
JPH1046091A JP20866596A JP20866596A JPH1046091A JP H1046091 A JPH1046091 A JP H1046091A JP 20866596 A JP20866596 A JP 20866596A JP 20866596 A JP20866596 A JP 20866596A JP H1046091 A JPH1046091 A JP H1046091A
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JP
Japan
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acid
ink
water
polyester polyamide
suspension
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Application number
JP20866596A
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English (en)
Inventor
Tadashi Sakuma
正 佐久間
Tetsuya Ueno
哲也 上野
Kuniyasu Kawabe
邦康 河辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙やOHPシート等の被印字物への定着性及
び耐水性の向上した水系インクの提供。 【解決手段】 本発明の水系インクは、染料又は顔料を
含有する、実質的に無色透明なポリエステルポリアミド
のサスペンションからなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被印字物への定着
性及び耐水性の向上した水系インクに関するものであ
り、特にインクジェット記録用インクとして有用な水系
インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】印字用
や筆記具用のインクにおいては、その製造や取扱性の簡
便の点から水系インクが用いられる場合が多い。例え
ば、近年のコンピュータの発達、普及によりプリンタ装
置も普及しており、そのようなプリンタ装置にも水系イ
ンクが盛んに用いられている。
【0003】代表的なプリンタ装置の一つであるインク
ジェットプリンタに使用されるインクには、ノズルにイ
ンクが目詰まりするのを防止するために、通常水に溶解
する水溶性染料が用いられる。水溶性染料を用いること
により、インクはノズルに目詰まりしにくくなるが、反
面、印刷物の耐水性が劣るという問題があった。
【0004】インクジェット記録用インクの耐水性を向
上させるために、インクとして顔料を用いたり(特開平
4−28776号公報、同4−189876号公報、同
4−359071号公報、同4−359072号公報
等)、非水系液媒体を用いたり(特開平4−26147
8号公報)すること等が提案されている。
【0005】しかしながら、インクとして顔料を用いる
と印刷物の彩度の低下を招くという問題やノズル内での
目詰まりといった問題が生ずるおそれがあり、また、紙
やOHPシート等の被印字物への定着性が不十分であ
り、印刷物としての記録保存性に問題があった。その他
の提案も未だ十分に耐水性及び/又は定着性の向上とい
う課題を解決しているとはいえない。その為、耐水性及
び/又は定着性の特性を十分に満足したインクは未だ得
られていない。
【0006】従って、本発明の目的は、紙やOHPシー
ト等の被印字物への定着性及び耐水性の向上した水系イ
ンクを提供することにある。
【0007】更に本発明の目的は、インクジェット記録
用インクとして特に有用な水系インクを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討した
ところ、水を主成分とする液媒体中に染料又は顔料が含
有された、特定のポリエステルポリアミドのサスペンシ
ョンからなる水系インクにより、上記目的を達成し得る
水系インクが得られることを知見した。
【0009】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
であり、染料又は顔料を含有する、実質的に無色透明な
ポリエステルポリアミドのサスペンションからなること
を特徴とする水系インクを提供することにより、上記目
的を達成したものである。
【0010】また本発明は、上記水系インクを用いるこ
とを特徴とするインクジェット記録用水系インクを提供
するものである。
【0011】更に、本発明は、上記水系インクにより記
録を行うことを特徴とする記録方法を提供するものであ
る。
【0012】
【作用】本発明の水系インクにおいては、被印字物上に
印字された染料又は顔料の上を上記ポリエステルポリア
ミドが被覆するか、或いは顔料又は染料に上記ポリエス
テルポリアミドが吸着することによって、インクの被印
字物への定着性及び耐水性が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の水系インクは、水を主成
分とする液媒体中に染料又は顔料が含有され且つポリエ
ステルポリアミドのサスペンションからなることを特徴
とするものである。そして、本発明の水系インクは、上
記ポリエステルポリアミドがミセルを形成し、水中にサ
スペンションとして存在してなるものである。即ち、本
発明の水系インクは、上記ポリエステルポリアミドがミ
セルを形成し、全体としてサスペンションの形態となっ
ており、該サスペンションを形成する水性の液媒体が染
料又は顔料によって着色されているものである。
【0014】上記ポリエステルポリアミドとしては、ミ
セルを形成し得るものであり、サスペンションを形成し
た場合に実質的に無色透明となるものであれば特に制限
無く用いることが出来る。かかる実質的に無色透明なポ
リエステルポリアミドのサスペンションを用いること
で、染料のもつ発色性や顔料のもつ色相を保ち、且つポ
リエステルポリアミドのサスペンションが顔料又は染料
を被覆するか、或いは顔料又は染料に吸着することによ
って被印字物への定着性や耐水性が向上する。好ましく
用いられるポリエステルポリアミドは、JIS K 0
070に基づく酸価が3〜70KOHmg/gであるポ
リエステルポリアミドである。特に好ましく用いられる
ポリエステルポリアミドは、下記式(1)で表されるジ
オール成分と、二価以上の多価カルボン酸、その酸無水
物及びその低級アルキルエステルからなる群から選ばれ
る一種以上の酸成分と、アミン誘導体とを共縮重合して
得られる酸価が3〜70KOHmg/gのポリエステル
ポリアミドである。
【0015】
【化3】
【0016】なお、本明細書において、ポリエステルポ
リアミドのサスペンションが「実質的に無色透明」であ
るとは、ポリエステルポリアミドのサスペンションを含
有させても、染料の有する発色性及び顔料の有する色相
が損なわれることがないほどの無色透明である状態をい
う。より具体的には、液中の染料又は顔料濃度一定の条
件下で、液媒体中に染料又は顔料を含有させた液の光透
過率(A)と、液媒体中に染料又は顔料とポリエステル
ポリアミドのサスペンションとを加えた最終インクの光
透過率(B)とが、B/A≧0.75なる関係を満足す
る場合である。ここで、この条件を満足すれば、ポリエ
ステルポリアミドのサスペンションの粒子径及び光透過
率に特に制限はない。但し、特に好ましい条件は、平均
粒子径が0.50μm以下であり、光透過率が80%T
以上である。
【0017】以下、上記ポリエステルポリアミドについ
て詳述する。上述の通り、上記ポリエステルポリアミド
は、JIS K 0070に基づく酸価が3〜70KO
Hmg/gであることが好ましい。上記酸価が3KOH
mg/gに満たないと、染料又は顔料を安定に封入した
サスペンションが得られない場合があり、70KOHm
g/gを超えると、インクの耐水性及び定着性が劣る場
合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0018】上記式(1)で表されるジオール成分につ
いて説明すると、該ジオール成分は、特に制限されない
が、例えばビスフェノールAのアルキレンオキシド付加
物、好ましくはビスフェノールAのエチレンオキシド又
はプロピレンオキシド付加物であり、具体的には、ポリ
オキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン
(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプ
ロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン等を好ましく用いることができ
る。
【0019】共縮重合により上記ポリエステルポリアミ
ドを得るに際しては、上記式(1)で表されるジオール
成分とその他のアルコール成分とを併用することができ
る。この場合、上記式(1)で表されるジオール成分の
割合は、使用される全アルコール中、好ましくは40〜
100モル%である。その他の上記アルコール成分とし
ては、例えば、脂肪族ジオールや三価以上のアルコール
類が挙げられる。この場合、脂肪族ジオールの割合は、
使用される全アルコール中、好ましくは20モル%未満
であり、三価以上のアルコール類の割合は、使用される
全アルコール中、好ましくは60モル%未満である。上
記脂肪族ジオールとしては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレング
リコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリ
テトラメチレングリコール等が挙げられる。上記三価以
上のアルコール類としては、例えばソルビトール、1,
2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、
トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオ
ール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロー
ル、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,
2,4,−ブタントリオール、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン及び1,3,5−トリヒドロキ
シメチルベンゼン等が挙げられる。
【0020】次に、上記酸成分について説明すると、該
酸成分としては上述の通り二価以上の多価カルボン酸、
その酸無水物及びその低級アルキルエステルからなる群
から選ばれる一種以上が用いられる。
【0021】上記二価以上の多価カルボン酸としては、
二価のカルボン酸及び三価以上のカルボン酸が用いられ
る。上記二価のカルボン酸としては、特に制限されるも
のではないが、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラ
コン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチ
ン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク
酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、
イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−
オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、ダイマー
酸、イソオクチルコハク酸等が好ましく用いられる。一
方、三価以上のカルボン酸としては、特に制限されるも
のではないが、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボ
ン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,
2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタ
ントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン
酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレ
ンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサント
リカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタ
ン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロ
メリット酸、無水トリメリット酸、エンボール三量体酸
等が好ましく用いられる。また、これら二価以上の多価
カルボン酸の低級アルキルエステルとしては、好ましく
は炭素数1〜4のアルキルエステルが用いられる。就
中、上記多価カルボン酸として、マレイン酸、フマール
酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、コハク酸、ダイマー酸等の二価のカルボン酸、又は
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、無水トリメリッ
ト酸を用いることが好ましい。
【0022】次に、上記アミン誘導体について説明する
と、該アミン誘導体としては、上記ジオール成分及び上
記酸成分と共縮重合可能なアミン類であれば、特に制限
なく用いることができる。そのようなアミン類として
は、例えば、エチレンジアミン、ペンタメチレンンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、イミノビスプロピルアミン、フェニレンジアミン、
キシリレンジアミン及びトリエチレンテトラミン等のポ
リアミン;6−アミノカプロン酸及びε−カプロラクタ
ム等のアミノカルボン酸類;並びにプロパノールアミン
等のアミノアルコール等が挙げられる。
【0023】上記ポリエステルポリアミドは、上記ジオ
ール成分と上記酸成分と上記アミン誘導体とを共縮重合
して得られるものである。かかる共縮重合の方法に特に
制限は無く、公知の方法が用いられる。
【0024】上記ポリエステルポリアミドの酸価は、例
えば、上記ジオール成分と上記酸成分と上記アミド成分
との添加比率を変えたり、カルボン酸エステルを用いた
り、一価のアルコールで酸を封鎖したりすることによっ
て調整することができる。
【0025】上記ポリエステルポリアミドは、その数平
均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで
ポリスチレン換算する)が500〜100000、特に
1000〜10000であることが、印刷後のインクの
定着性及び耐水性並びにサスペンションの形成性や、特
にインクジェット記録用インクとして用いる場合にプリ
ンタヘッドへの焦げ付きが防止される点から好ましい。
【0026】また、本発明の水系インクを、特にインク
ジェット記録用インクとして用いる場合には、上記ポリ
エステルポリアミドは、DSC(示差走査熱計量)によ
り測定されるTg(ガラス転移点)が、圧電素子を用い
たインクジェット記録方式では20℃以上であることが
好ましく、熱エネルギーを用いたインクジェット記録方
式では30℃以上であることが好ましく、特に圧電素子
方式及び熱エネルギー方式の両方式において40℃以上
150℃以下であることが好ましい。Tgが上記条件の
下限値に満たないと、上記ポリエステルポリアミドがプ
リンタのノズル内で固化し、ノズルの詰まりが起こる場
合がある。また、本発明の水系インクを用いて印刷され
た紙を重ね置きするとインクの紙写りが起こる場合があ
る。なお、上記ポリエステルポリアミドのTgは、例え
ば、上記ジオール成分と上記酸成分と上記アミン誘導体
との添加比率を変えることにより調整することができる
【0027】上記ポリエステルポリアミド中における、
上記式(1)で表されるジオール成分と上記酸成分と上
記アミン誘導体とのモル比は、該ポリエステルポリアミ
ドの酸価、数平均分子量及びTg等の値にもよるが、例
えばTgが20℃以上となる範囲で上記成分を自由に組
み合わせて選択してよい。成分比の特に好ましい例とし
ては、上記酸成分は、上記式(1)で表されるジオール
成分1モルに対して、0.6〜1.2モルであることが
好ましく、0.8〜1.1モルであることが更に好まし
い。一方、上記アミン誘導体は、上記式(1)で表され
るジオール成分1モルに対して、0.05〜0.50モ
ルであることが好まししい。
【0028】上記ポリエステルポリアミドのサスペンシ
ョンの平均粒子径は、0.005〜0.5μmであるこ
とが好ましい。上記平均粒子径が0.005μmに満た
ないとインクのにじみが発生する場合があり、0.5μ
mを超えるとサスペンション自身の分散安定性が低下す
るおそれがあるので上記範囲内とすることが好ましい。
上記平均粒子径は、0.01〜0.3μmであることが
更に好ましい。上記平均粒子径は、例えば、後述する転
相乳化の条件を変えること等によって調整することがで
きる。
【0029】本発明の水系インクにおいては、上記ポリ
エステルポリアミドは、該インク中に0.5〜50重量
%配合されることが好ましく、2〜30重量%配合され
ることが更に好ましい。上記ポリエステルポリアミドの
配合量が0.5重量%に満たないと、十分な耐水性及び
定着性が発現せず、50重量%を超えると、サスペンシ
ョンのインクとしての保存安定性が低下したり、特にイ
ンクジェットプリンタで用いるときにノズル先端部での
インク蒸発に伴うインクの増粘やサスペンションの凝集
が起こることによってプリンタヘッドの目詰まりが起こ
るおそれがあるので、上記範囲内とすることが好まし
い。
【0030】次に、上記染料及び上記顔料について説明
する。上記染料は、その種類に特に制限は無く、例え
ば、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染料及び塩基
性染料等を挙げることができる。上記分散染料として
は、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具
体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、4
2、54、64、79、82、83、93、99、10
0、119、122、124、126、160、18
4:1、186、198、199、204、224及び
237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、3
1:1、33、49、54、55、66、73、11
8、119及び163;C.I.ディスパーズレッド5
4、60、72、73、86、88、91、92、9
3、111、126、127、134、135、14
3、145、152、153、154、159、16
4、167:1、177、181、204、206、2
07、221、239、240、258、277、27
8、283、311、323、343、348、356
及び362;C.I.ディスパーズバイオレッド33;
C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、
113、128、143、148、154、158、1
65、165:1、165:2、176、183、18
5、197、198、201、214、224、22
5、257、266、267、287、354、35
8、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグ
リーン6:1及び9等が挙げられる。上記油性染料とし
ては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい
具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラッ
ク3、7、27、29及び34;C.I.ソルベント・
イエロー14、16、19、29、56、82及び16
2;C.I.ソルベント・レッド1、3、8、18、2
4、27、43、51、72、73、132及び21
8;C.I.ソルベント・バイオレット3;C.I.ソ
ルベント・ブルー2、11及び70;C.I.ソルベン
ト・グリーン3及び7;並びにC.I.ソルベント・オ
レンジ2等が挙げられる。上記直接染料としては、以下
に限定されるものではないが、特に好ましい具体例とし
ては、例えば、C.I.ダイレクト・ブラック19など
が挙げられる。上記酸性染料としては、以下に限定され
るものではないが、特に好ましい具体例としては、例え
ば、C.I.アシッド・ブラック2及び52;C.I.
アシッド・イエロー23;C.I.アシッド・レッド5
1、87及び92;並びにC.I.アシッド・ブルー
1、9及び74などが挙げられる。上記塩基性染料とし
ては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい
具体例としては、例えば、C.I.ベーシック・イエロ
ー2及び11;C.I.ベーシック・レッド1及び1
3;C.I.ベーシック・バイオレット1、3、7及び
10;並びにC.I.ベーシック・ブルー5、7、9及
び26などが挙げられる。
【0031】一方、上記顔料も、その種類に特に制限は
なく、従来公知の有機及び無機顔料がすべて使用でき
る。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔
料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン
顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔
料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジ
ゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の
多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ
等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリ
ンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、
酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられ
る。また、カラーインデックスに記載されていない顔料
であっても水相に分散可能なら、いずれも使用できる。
更に、上記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処
理したものや、グラフトカーボン等も勿論使用可能であ
る。上記顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン
顔料、アントラキノン顔料、カーボンブラック系顔料を
用いることが好ましい。
【0032】本発明においては、上記染料及び顔料をそ
れぞれ単独で用いてもよく、或いは両者を組み合わせて
用いても良い。両者を組み合わせて用いる場合には、染
料と顔料との混合比(重量)は、前者:後者=10:9
0〜90:10の範囲で自由に選択して良い。尚、本明
細書において、「顔料」とは、水や溶剤、油などに不溶
の微粒子状の固体をいい、これに対して、「染料」と
は、水や溶剤に溶解した状態で染色されるものをいう
〔カラーケミカル事典1988年3月第1刷、(株)シ
ーエムシー、有機合成化学協会編、P45〜)。
【0033】上記染料又は顔料は、本発明の水系インク
中に1〜30重量%配合されることが好ましく、1.5
〜25重量%配合されることが更に好ましい。上記染料
又は顔料の配合量が1重量%に満たないと印字濃度が不
十分であり、30重量%を超えて使用しても印字濃度の
大幅な向上が図れないので、上記範囲内とすることが好
ましい。
【0034】本発明の水系インクは、水(望ましくは、
イオン交換水)を主成分とする液媒体中に染料又は顔料
が含有された、ポリエステルポリアミドのサスペンショ
ンからなることを特徴とするものである。そして、本発
明の水系インクには、かかる成分の他に従来公知の各種
添加剤、例えば多価アルコール類のような湿潤剤、分散
剤、シリコーン系等の消泡剤、カチオン、アニオン或い
はノニオン系の各種界面活性剤等の表面張力調整剤、ク
ロロメチルフェノール系等の防黴剤及び/又はEDTA
等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等を含有
してもよい。
【0035】ここで、上記湿潤剤としては、特に制限さ
れるものではないが、例えばエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール及びポリエチ
レングリコール等のグリコール類;グリセリン;ジエチ
レングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビト
ール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチ
ルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノエチルエーテル、及びプロピレングリ
コールモノメチルエーテル等の多価アルコールのエーテ
ル類、アセテート類;チオジグリコール;N−メチル−
2−ピロリドン;1,3−ジメチルイミダゾリジノン;
トリエタノールアミン;ホルムアミド;ジメチルホルム
アミド等の含窒素化合物類、ジメチルスルホキシドの一
種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤
剤の配合量に特に制限はないが、本発明の水系インク中
に好ましくは0.1〜50重量%配合することができ、
更に好ましくは0.1〜30重量%配合することができ
る。
【0036】また、上記分散剤としては、特に制限され
るものではないが、例えば、アニオン界面活性剤とし
て、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩、アルカン又はオレフィンスルホン酸
塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアル
キル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ア
ルキルリン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸塩、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホコ
ハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩よ
りなる群から選ばれる界面活性剤や、高級脂肪酸とアミ
ノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等を用いることができる。
好ましく用いられるアニオン界面活性剤は、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩(とりわけ直鎖アルキルのもの)、
アルカン又はオレフィンスルホン酸塩(とりわけ第2級
アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸
塩)、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンア
ルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩
(とりわけポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エ
ステル塩)、アルキルリン酸塩(とりわけモノアルキル
のもの)、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホ
コハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩
よりなる群から選ばれる界面活性剤であり、特に好まし
くは、アルキルベンゼンスルホン酸塩(とりわけ直鎖ア
ルキルのもの)、ポリオキシエチレンアルキル又はアル
キルアリールエーテル硫酸エステル塩(とりわけポリオ
キシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩)、及び
アルキル硫酸エステル塩である。これらは単独で又は二
種以上を組み合わせて用いることができる。また、カチ
オン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、第4級アンモ
ニウム塩、スルホニウム塩、及びホスフォニウム塩等を
用いることができる。これらは単独で又は二種以上を組
み合わせて用いることができる。また、ノニオン界面活
性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸エステル及びアルキル(ポリ)グリコキシドよ
りなる群から選ばれる界面活性剤等を用いることができ
る。好ましく用いられるノニオン界面活性剤は、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン
アルキルアリールエーテルより選ばれる界面活性剤等で
ある。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用い
ることができる。また、両性界面活性剤として、アミノ
酸型又はベタイン型化合物等を用いることができる。
【0037】また、高分子分散剤として、ゼラチン、カ
ゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、サ
ポニン等のグルコキシド、アルキルセルロース、カルボ
キシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロー
ス等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラ
ック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−ア
クリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共
重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナ
フタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスル
ホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリリン酸等の陰イオン性
高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリアルキレングリコール等の非イオン性高分子等
が挙げられ、使用に際しては、これらの一種又は二種以
上を用いることができる。就中、下記式(2)で表され
る化合物を用いることが、サスペンションの平均粒子径
を小さくし得る点から特に好ましい。
【0038】
【化4】
【0039】上記式(2)において、R’としては、好
ましくは水素原子が用いられる。また、R”としては、
好ましくはメチレン基が用いられる。また、Mとして
は、好ましくはナトリウム及びカリウム等のアルカリ金
属のイオンが用いられる。また、lは、好ましくは10
0〜800である。また、上記式(2)で表される化合
物は、そのHLB値が5〜15であることが、分散剤と
しての効果が発現し、サスペンションの平均粒子径の増
大抑制効果がある点から好ましい。
【0040】上記式(2)で表される化合物としては市
販品も使用することができる。そのような市販品として
は、例えば花王(株)製の分散剤デモールSNB,M
S,N,SSL,ST,P(商品名)が挙げられる。
【0041】上記式(2)で表される化合物の配合量に
特に制限はないが、本発明の水系インク中に、0.01
〜10重量%配合されることが好ましい。該化合物の配
合量が0.01重量%に満たないとサスペンションの小
粒子径化が困難であり、10重量%を超えるとサスペン
ションの平均粒子径が増大したりサスペンション安定性
が低下し、ゲル化するおそれがあるので、上記範囲内と
することが好ましい。更に好ましくは、上記式(2)で
表される化合物の配合量は、本発明の水系インク中に、
0.1〜1重量%である。
【0042】また、上記消泡剤としては、特に制限され
ないが、下記式(3)で表される化合物、就中、下記式
(4)で表わされる化合物を用いることが、インク調製
の際における泡の発生の抑制及びインクの表面張力の調
整の点から特に好ましい。
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】上記式(3)においてR1 、R2 、R3
びR4 は好ましくは同一の又は異なるC1 〜C5 の低級
アルキル基又はフェニル基であり、m及びnは、好まし
くは10〜100の整数であり、R5 及びR6 は好まし
くは同一の又は異なるC1 〜C5 の低級アルキル基又は
フェニル基である。
【0046】上記式(3)又は(4)で表される化合物
としては市販品も使用することができる。そのような市
販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、
66、69、KS68、604、607A、602、6
03、KM73、73A、73E、72、72A、72
C、72F、82F、70、71、75、80、83
A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品
名)等が挙げられる。
【0047】上記式(3)又は(4)で表される化合物
の配合量に特に制限はないが、本発明の水系インク中
に、0.001〜2重量%配合されることが好ましい。
該化合物の配合量が0.001重量%に満たないとイン
ク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡が除
去が難しく、2重量%を超えると泡の発生は抑えられる
ものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質
の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすること
が好ましい。更に好ましくは、上記式(3)又は(4)
で表される化合物の配合量は、本発明の水系インク中
に、0.005〜0.5重量%である。
【0048】また、上記表面張力調整剤としては、上述
のシリコーン系消泡剤や、カチオン、アニオン或いはノ
ニオン系の各種界面活性剤を使用することができる。特
に、上記式(3)又は(4)で表されるシリコーン系消
泡剤や、下記式(5)で表されるアルキルフェノールの
エチレンオキサイド化合物、下記式(6)で表されるア
セチレングリコールのエチレンオキサイド付加物を用い
ることが泡の発生の抑制、インクの表面張力の調整のし
やすさ、及びインク吐出性、にじみが少ない、印字濃度
ムラがない等の点で好ましい。
【0049】
【化7】
【0050】
【化8】
【0051】上記表面張力調整剤の使用に際しては、こ
れらの化合物の一種又は二種以上を用いることができ、
本発明の水系インク中に0.005〜15重量%配合す
ることが望ましい。該配合量が、0.005%に満たな
いと、上記特性を発現することができないことがあり、
15重量%を超えると、反対ににじみや印字濃度ムラ等
が発生して印字品質が低下したり、インクの液安定性が
低下することがあるので、上記範囲内とすることが望ま
しい。
【0052】本発明の水系インクは、特にインクジェッ
トプリンタで用いたときの吐出の安定性の点から、その
20℃における粘度が0.5〜5cpsであることが好
ましく、更に好ましくは1〜3cpsである。また、本
発明の水系インクは、その20℃における表面張力が、
被印字物への浸透性の点から、25〜50dyn/cm
であることが好ましく、更に好ましくは30〜45dy
n/cmである。
【0053】本発明の水系インクは、特にインクジェッ
ト記録用水系インクとして有用である。この場合、上記
水系インクは、圧電式及び熱ジェット式のインクジェッ
トプリンターの何れにも使用することができる。
【0054】次に、上記ポリエステルポリアミドのサス
ペンションの好ましい製造方法について説明する。上記
ポリエステルポリアミドのサスペンションは、好ましく
は以下に述べるいわゆる転相乳化によって製造される。
【0055】ここで、転相乳化は、上記式(1)で表さ
れるジオール成分と、二価以上の多価カルボン酸、その
酸無水物及びその低級アルキルエステルからなる群から
選ばれる一種以上の酸成分と、アミン誘導体とを共縮重
合して得られる酸価が3〜70KOHmg/gのポリエ
ステルポリアミドを、溶剤に溶解させ、中和剤を加えて
該ポリエステルポリアミド中のカルボキシル基をイオン
化し、次いで水を加えた後、上記溶剤を留去して水系に
転相することからなる。
【0056】先ず、上記ポリエステルポリアミドを、溶
剤に溶解させる。この場合、該ポリエステルポリアミド
は、該溶剤100重量部に対して、5〜50重量部溶解
させることがサスペンション形成の点から好ましい。上
記溶剤としては、特に制限されるものでないが例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプ
ロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプ
ロピルケトン等のケトン系溶剤が挙げられ、これらのう
ちメチルエチルケトンが好ましく用いられる。
【0057】次に、上記ポリエステルポリアミドの溶液
に中和剤を加える。これにより、該ポリエステルポリア
ミド中のカルボキシル基をイオン化する。該中和剤とし
ては、該ポリエステルポリアミド中のカルボキシル基を
イオン化し得るものであれば特に制限無く用いることが
できる。そのような中和剤としては、例えばアンモニア
水、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリ
ウム等の一価の無機塩のアルカリ水溶液、アリルアミ
ン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エ
チルヘキシルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジ
イソブチルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミ
ン、トリ−n−オクチルアミン、t−ブチルアミン、s
ec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプ
ロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、n−プ
ロパノールアミン、ブタノールアミン、2−アミノ−4
−ペンタノール、2−アミノ−3−ヘキサノール、5−
アミノ−4−オクタノール、3−アミノ−3−メチル−
2−ブタノール、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールア
ミン、イソプロパノールアミン、ネオペンタノールアミ
ン、ジグリコールアミン、エチレンジアミン、1,3−
ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,6
−ジアミノヘキサン、1,9−ジアミノノナン、1,1
2−ジアミノドデカン、二量体脂肪酸ジアミン、2,
2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,
4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、N−アミノ
プロピルピペラジン、N−アミノプロピルジピペリジプ
ロパン、ピペラジン等のアミン類等を挙げることができ
る。特に、上記中和剤として水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、トリエチルアミン及びジメチルエタノールア
ミンを用いると得られるサスペンションの粒子径がより
小粒子径化し且つサスペンションの安定性が一層向上す
るので好ましい。就中、上記中和剤として水酸化ナトリ
ウム及び水酸化カリウムを用いると得られるサスペンシ
ョンの耐熱性も向上するのでより好ましい。上記中和剤
の使用量は、少なくとも上記ポリエステルポリアミド中
のカルボキシル基をイオン化できる量であれば良い。
【0058】上記中和剤の添加後、上記溶液に水を加え
て転相を起こさせる。これにより、ポリエステルポリア
ミドのサスペンションが水相中に生じる。加える水の量
は、上記中和剤添加後の上記溶液100重量部に対して
100〜300重量部であることが好ましい。この場
合、水に上記式(2)で表される化合物を添加したもの
を、上記溶液に添加すると、サスペンションの平均粒子
径を小さくすることができるので好ましい。また、水に
上記式(3)又は(4)で表される化合物を添加したも
のを、上記溶液に添加すると、泡の発生を抑制すること
ができ、更には表面張力を調整することができるので好
ましい。上記式(2)で表される化合物の添加量は、上
述の通り最終的に得られるインク中に0.01〜10重
量%となるような量であることが好ましい。一方、上記
式(3)又は(4)で表される化合物の添加量は、上述
の通り最終的に得られるインク中に0.001〜2重量
%となるような量であることが好ましい。
【0059】転相が完了した後、系を減圧下に加熱する
ことにより、上記溶剤を除去すると共に、所定量の水を
除去することにより、所望の濃度を有するポリエステル
ポリアミドのサスペンションが得られる。上記転相乳化
によって得られたポリエステルポリアミドのサスペンシ
ョンは、実質的に無色透明である。このようにして得ら
れたポリエステルポリアミドのサスペンション中には、
上記ポリエステルポリアミドが、固形分濃度として1〜
40重量%存在することが好ましく、5〜30重量%存
在することが一層好ましい。上記固形分濃度が40重量
%を超えると、上記ポリエステルポリアミドのサスペン
ションの保存安定性が低下するので、上記範囲内とする
ことが好ましい。
【0060】次に、本発明の水系インクの好ましい調製
方法について説明すると、本発明の水系インクは、所定
の固形分濃度を有する実質的に無色透明な上記ポリエス
テルポリアミドのサスペンション(必要に応じて上記分
散剤や上記消泡剤等の添加剤を含む)と、水を主成分と
する液媒体中に所定濃度の染料又は顔料が含有されたイ
ンクとを所定の配合割合で混合することによって調製さ
れる。両者の配合割合は、最終的に得られる水系インク
中における上記染料又は上記顔料及び上記ポリエステル
ポリアミドの濃度が上述の好ましい範囲内となるような
割合である。上記混合には、従来公知の装置、例えばボ
ールミル、ダイノーミル、サンドミル、アトライター、
バスケットミル、ロールミル等を使用することができ
る。また、本発明の水系インクの調製に際しては、粗大
粒子を除去することが好ましい。例えば、混合後のイン
クをフィルターにより加圧濾過したり或いは遠心分離器
で処理して、好ましくは2μm以上、更に好ましくは1
μm以上、一層好ましくは0.5μm以上の粒子を除去
することにより、目詰まりのないインクが得られる。
【0061】本発明によれば、上記水系インクにより記
録を行うことを特徴とする記録方法が提供される。かか
る記録方法に特に制限は無く、例えば、インクジェット
記録方法(上記水系インクをインク液滴としてノズルか
ら被記録部材に吐出させて記録を行う方法)の他に一般
の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具を用いた
記録方法等が挙げられる。この場合、染料又は顔料を含
有する、水を主成分とするインク(水系インク)に対し
て、上記ポリエステルポリアミドのサスペンションを記
録を行う前に加えて得られた水系インクにより記録を行
うことができる。ここで、「記録を行う前に加えて」と
は、染料又は顔料を含有するインク及び上記ポリエステ
ルポリアミドのサスペンションを別個に製造しておき、
記録を行う直前に、該インクに該ポリエステルポリアミ
ドのサスペンションを加えて記録する場合と、例えば既
製の市販インク等に上記ポリエステルポリアミドのサス
ペンションを加えて記録する場合とを含むものである。
尚、水系インクの製造時に上記ポリエステルポリアミド
のサスペンションを同時に加えても良い。
【0062】本発明の水系インクは、上述の通りインク
ジェット記録用水系インクとして特に有用であるが、そ
の他のインクとして、例えば、一般の万年筆、ボールペ
ン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能
である。
【0063】
【実施例】次に、実施例により、本発明の水系インクの
有効性を例示する。しかしながら、本発明は、かかる実
施例に制限されるものでないことはいうまでもない。
【0064】〔実施例1〕ポリオキシプロピレン(2.
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン1050g、フマール酸280g、6−アミノカプロ
ン酸55g、ハイドロキノン1.5gをガラス製2リッ
トルの4つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製攪
拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管をこれに取り
つけた。マントルヒーター中で、窒素気流下にて220
℃にて攪拌しつつ反応せしめた。重合度はASTM E
28−67に準ずる軟化点より追跡を行い、軟化点が1
02℃に達した時反応を終了した。得られたポリエステ
ルポリアミドは淡黄色の固体であり、DSCによるTg
は63.0℃であった。また、JIS K 0070に
基づく該ポリエステルポリアミドの酸価は25.2KO
Hmg/gであり、数平均分子量(ゲルバーミエーショ
ンクロマトグラフィーでポリスチレン換算)は3,80
0であった。次に、上記ポリエステルポリアミド150
g、及びメチルエチルケトン500gをセパラブルフラ
スコに入れ、フラスコ内をN2 置換後、攪拌して上記ポ
リエステルポリアミドをメチルエチルケトンに完全溶解
させた。引き続き、トリエチルアミン9.54gを加え
て上記ポリエステルポリアミド中のカルボキシル基をイ
オン化した。更に、イオン交換水960gを滴下して撹
拌した後、減圧下で40℃に加熱してメチルエチルケト
ンを除去し、実質的に無色透明なポリエステルポリアミ
ドのサスペンション(平均粒径;0.06μm、20重
量%)を得た。
【0065】このようにして得られたポリエステルポリ
アミドのサスペンション30gと、キャノン製の市販の
マイクロバブルジェットプリンター(型番BJC−60
0J、熱ジェット式インクジェットプリンター)に使用
される純正インク(水性染料系インク、染料濃度2.4
重量%)70gとを混合し、得られた混合液を5ミクロ
ンのフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除
去してインクジェット用水系インクを得た。得られたイ
ンクを用い、上記マイクロバブルジェットプリンターで
印字し、にじみ、耐水性及び定着性を下記の方法で評価
した。その結果を表1に示す。
【0066】<にじみ>PPC用再生紙〔日本加工製紙
(株)社製〕に英数文字を印字し、1時間以上放置した
後、顕微鏡及び目視で文字のシャープさや文字より発生
するヒゲ状のにじみの度合を評価した。 ○:文字がシャープでヒゲ状のにじみもない △:文字がシャープさがなく、にじみも少し発生 ×:文字がシャープさがなく、にじみも多い <耐水性>PPC用再生紙〔日本加工製紙(株)社製〕
にベタ印字し、1時間以上放置した後、静水中に垂直に
10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。室内にて
自然乾燥させた後、ベタ印字部及び印字されていない白
色部の光字濃度をマクベス濃度計RD918(マクベス
社製)で測定した。 <定着性>インクジェット専用OHPシート(MJOH
PS1N、Epson製)上にベタ印字し、印字面上に
消しゴム(幅18.5mm)を傾斜度45°で固定し、
その上に荷重1kgを載せ、ベタ印字面の上を5往復こ
すり、その時の印字面の状態を目視で観察した。 ○:印字面にキズ、ハガレがない △:印字面にキズが入る ×:印字面ハガレが発生する
【0067】〔実施例2〕実施例1におけるフマール酸
の代わりにフマール酸と無水トリメリット酸との1:1
混合物を用い、実施例1における6−アミノカプロン酸
の代わりにエチレンジアミンを用いる以外は実施例1と
同様の操作によりポリエステルポリアミド(JIS K
0070に基づく酸価;28KOHmg/g、、数平
均分子量;3,100)を得た。このポリエステルポリ
アミドを用いて、中和アミンとして、トリエチルアミン
の代わりに水酸化ナトリウム3.30gを用いる以外
は、実施例1と同様の操作により実質的に無色透明なポ
リエステルポリアミドのサスペンション(平均粒子径;
0.05μm、20重量%)を得た。通常インクジェッ
ト記録用インクに使用されている水溶性染料、及び上記
ポリエステルポリアミドのサスペンションを含む以下の
成分をボールミルを用いて12時間混合し、得られた混
合液を5ミクロンのフィルターによって濾過し、ゴミ及
び粗大粒子を除去してインクジェット用黄色水系インク
を得た。得られたインクを用いて実施例1と同様の評価
を行った。その結果を表1に示す。 ・C.I.アシッド・イエロー 4g ・ジエチレングリコール 7.5g ・グリセリン 7.5g ・上記ポリエステルポリアミドのサスペンション 80.60g ・アセチレノールEL 0.40g
【0068】〔実施例3〕次に下記成分を配合し、ダイ
ミノールを用いて以下の条件で分散処理を行った。 <配合組成> ・C.I.ピグメント・ブルー15:3 200g ・スチレン−無水マレイン酸共重合体 30g (酸価130、数平均分子量1万) ・エタノールアミン 40g ・ジエチレングリコール 200g ・グリセリン 50g ・イオン交換水 820g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 30g 〔花王(株)製エマルゲン985(商品名)〕 ・アセチレノールEL 30g <分散処理条件> ・粉砕メディア :チタニアビーズ ・粉砕メディアのサイズ :φ0.8mm ・粉砕メディアの充填率 :80% ・吐出速度 :100g/min ・パス回数 :8回 分散処理後、更に遠心分離処理(20000rpm、1
5分間)により、粗大粒子を除去した。次いで、実施例
2で得られた得られたポリエステルポリアミドのサスペ
ンション600gを添加混合し、更に5ミクロンのフィ
ルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して、
インクジェット用水系青色インクを得た。得られたイン
クを用い、キャノン製の市販のマイクロバブルジェット
プリンター(型番BJC−600J)で印字し、実施例
1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0069】〔比較例1〕実施例1におけるインクジェ
ット用水系インクの調製に用いたキャノン製マイクロバ
ブルジェットプリンター(型番BJC−600J)に使
用される純正インク(水性染料系インク、染料濃度2.
4重量%)をそのまま用いて実施例1と同様の評価を行
った。その結果を表1に示す。
【0070】〔比較例2〕実施例2におけるインクジェ
ット用水系インクの調製に用いたポリエステルポリアミ
ドのサスペンションに代えて同量の水を用いる以外は実
施例2と同様の操作によりインクジェット用水系インク
を得た。得られたインクジェット用水系インクを用いて
実施例1と同様の評価をした。その結果を表1に示す。
【0071】〔比較例3〕実施例3におけるインクジェ
ット用水系インクの調製に用いたポリエステルポリアミ
ドのサスペンションに代えて同量の水を用いる以外は実
施例3と同様の操作によりインクジェット用水系インク
を得た。得られたインクジェット用水系インクを用いて
実施例1と同様の評価をした。その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】表1に示す結果から明らかなように、従来
の配合の染料系インク(比較例1及び2)では耐水性が
劣り、また顔料系インク(比較例3)では定着性が劣る
ことが分かる。即ち、従来の配合のインクでは耐水性及
び定着性の両方の特性を満足することができないのに対
して、実質的に無色透明なポリエステルポリアミドのサ
スペンションを含有する本発明の水系インク(実施例1
〜3)では、にじみが防止され、また耐水性及び紙やO
HPシート等の被印字物への定着性が両方とも一層向上
していることが分かる。また、本発明の水系インク(実
施例1〜3)は、インク吐出量、印字濃度及び目詰まり
防止性にも優れるものであった。
【0074】
【発明の効果】本発明の水系インクによれば、紙やOH
Pシート等の被印字物への定着性及び耐水性が一層向上
する。特に、染料を用いた場合にはインクの耐水性が極
めて向上し、にじみが防止され、顔料を用いた場合には
被印字物へのインクの定着性が極めて向上する。上記水
系インクはインクジェット記録用水系インクとして特に
有用であり、また、一般の万年筆、ボールペン、サイン
ペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染料又は顔料を含有する、実質的に無色
    透明なポリエステルポリアミドのサスペンションからな
    ることを特徴とする水系インク。
  2. 【請求項2】 上記ポリエステルポリアミドのJIS
    K 0070に基づく酸価が3〜70KOHmg/gで
    ある、請求項1記載の水系インク。
  3. 【請求項3】 上記ポリエステルポリアミドが、下記式
    (1)で表されるジオール成分と、二価以上の多価カル
    ボン酸、その酸無水物及びその低級アルキルエステルか
    らなる群から選ばれる一種以上の酸成分と、アミン誘導
    体とを共縮重合して得られる、請求項1又は2記載の水
    系インク。 【化1】
  4. 【請求項4】 上記サスペンションが、下記式(1)で
    表されるジオール成分と、二価以上の多価カルボン酸、
    その酸無水物及びその低級アルキルエステルからなる群
    から選ばれる一種以上の酸成分と、アミン誘導体とを共
    縮重合して得られる酸価が3〜70KOHmg/gのポ
    リエステルポリアミドを、溶剤に溶解させ、中和剤を加
    えて該ポリエステルポリアミド中のカルボキシル基をイ
    オン化し、次いで水を加えた後、上記溶剤を留去して水
    系に転相することにより得られる、請求項1〜3の何れ
    かに記載の水系インク。 【化2】
  5. 【請求項5】 上記ポリエステルポリアミドの数平均分
    子量が500〜100000である、請求項1〜4の何
    れかに記載の水系インク。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の水系イン
    クを用いることを特徴とするインクジェット記録用水系
    インク。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5の何かに記載の水系インク
    により記録を行うことを特徴とする記録方法。
  8. 【請求項8】 染料又は顔料を含有するインクに対し
    て、上記サスペンションを記録を行う前に加えて得られ
    た水系インクにより記録を行う、請求項7に記載の記録
    方法。
JP20866596A 1996-08-07 1996-08-07 水系インク Pending JPH1046091A (ja)

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