JPH1046082A - 水系インク - Google Patents

水系インク

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JPH1046082A
JPH1046082A JP20866496A JP20866496A JPH1046082A JP H1046082 A JPH1046082 A JP H1046082A JP 20866496 A JP20866496 A JP 20866496A JP 20866496 A JP20866496 A JP 20866496A JP H1046082 A JPH1046082 A JP H1046082A
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JP
Japan
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acid
ink
water
dye
polyester polyamide
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Application number
JP20866496A
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English (en)
Inventor
Tadashi Sakuma
正 佐久間
Tetsuya Ueno
哲也 上野
Kuniyasu Kawabe
邦康 河辺
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷物の耐水性及び定着性の向上した水系イ
ンクの提供。 【解決手段】 本発明の水系インクは、染料又は顔料を
吸着させたポリエステルポリアミドのサスペンションか
らなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被印字物への定着
性及び耐水性の向上した水系インクに関するものであ
り、特にインクジェット記録用インクとして有用な水系
インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】印字用
や筆記具用のインクにおいては、その製造や取扱性の簡
便の点から水系インクが用いられる場合が多い。例え
ば、近年のコンピュータの発達、普及によりプリンタ装
置も普及しており、そのようなプリンタ装置にも水系イ
ンクが盛んに用いられている。
【0003】代表的なプリンタ装置の一つであるインク
ジェットプリンタに使用されるインクには、ノズルにイ
ンクが目詰まりするのを防止するために、通常水に溶解
する水溶性染料が用いられる。水溶性染料を用いること
により、インクはノズルに目詰まりしにくくなるが、反
面、印刷物の耐水性に劣るという問題があった。
【0004】インクジェット記録用インクの耐水性を向
上させるために、インクとして顔料を用いたり(特開平
4−28776号公報、同4−189876号公報、同
4−359071号公報、同4−359072号公報
等)、非水系液媒体を用いたり(特開平4−26147
8号公報)、耐水性に優れた染料を用いたり(米国特許
第4963189号)すること等が提案されている。
【0005】しかしながら、インクとして顔料を用いる
と印刷物の彩度の低下を招くという問題やノズル内での
目詰まりといった問題が生ずるおそれがあり、また、紙
やOHPシート等の被印字物への定着性が不十分であ
り、印刷物としての記録保存性に問題があった。その他
の提案も未だ十分に耐水性及び定着性の両方の特性を十
分に満足したインクは得られていない。
【0006】従って、本発明の目的は、紙やOHPシー
ト等の被印字物への定着性及び耐水性の向上した水系イ
ンクを提供することにある。
【0007】更に本発明の目的は、インクジェット記録
用インクとして特に有用な水系インクを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明者は鋭意検討したところ、ポリエステルポリアミド
のミセルに染料又は顔料を吸着させることにより、該染
料及び該顔料の有する発色性が損なわれることなくイン
クの耐水性及び定着性が向上することを知見した。
【0009】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
であり、染料又は顔料を吸着させたポリエステルポリア
ミドのサスペンションからなることを特徴とする水系イ
ンクを提供することにより、上記目的を達成したもので
ある。
【0010】また本発明は、上記水系インクを用いるこ
とを特徴とするインクジェット記録用水系インクを提供
するものである。
【0011】更に、本発明は、上記水系インクの好まし
い製造方法として、下記式(1)で表されるジオール成
分と、二価以上の多価カルボン酸、その酸無水物及びそ
の低級アルキルエステルからなる群から選ばれる1種以
上の酸成分と、アミン誘導体とを共縮重合して得られる
酸価が3〜100KOHmg/gのポリエステルポリア
ミドを、染料又は顔料と共に溶剤に添加し、中和剤を加
えて該ポリエステルポリアミド中のカルボキシル基をイ
オン化し、次いで水を加えた後、上記溶剤を留去して水
系に転相することを特徴とする水系インクの製造方法を
提供するものである。
【0012】
【化3】
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の水系インクは、染料又は
顔料を吸着させたポリエステルポリアミドのサスペンシ
ョンからなることを特徴とするものである。即ち、上記
染料又は上記顔料は少なくともその一部がポリエステル
ポリアミドによって形成されるミセルに吸着されている
か、或いはそのミセル中に封入されている。即ち、本明
細書において「染料又は顔料を吸着させた」とは、染料
又は顔料の少なくとも一部がポリエステルポリアミドに
よって形成されるミセルに吸着されているか、或いはそ
のミセル中に封入されていることをいう。そして、本発
明の水系インクは、染料又は顔料を吸着させた上記ポリ
エステルポリアミドのミセルが水中にサスペンションと
して存在してなるものである。
【0014】上記ポリエステルポリアミドとしては、染
料又は顔料を吸着し得るミセルを形成し得るものである
ことが好ましいが、染料又は顔料をその内部に全て若し
くは一部でも封入し得るミセルを形成し得るものであっ
ても、本発明の効果を損なわない範囲で特に制限無く用
いることが出来る。
【0015】かかるポリエステルポリアミドとして本発
明において好ましく用いられるものは、JIS K 0
070に基づく酸価が3〜100KOHmg/gのポリ
エステルポリアミドであり、特に好ましく用いられるも
のは、下記式(1)で表されるジオール成分と、二価以
上の多価カルボン酸、その酸無水物及びその低級アルキ
ルエステルからなる群から選ばれる1種以上の酸成分
と、アミン誘導体とを共縮重合して得られる酸価が3〜
100KOHmg/gのポリエステルポリアミドであ
る。
【0016】
【化4】
【0017】以下、上記ポリエステルポリアミドについ
て詳述する。上述の通り、上記ポリエステルポリアミド
は、JIS K 0070に基づく酸価が3〜100K
OHmg/gであり、特に3〜70KOHmg/gであ
ることが好ましい。上記酸価が3KOHmg/gに満た
ないと、染料又は顔料を安定に吸着させたサスペンショ
ンが得られない場合があり、100KOHmg/gを超
えると、インクの耐水性又は定着性が劣る場合があるの
で、上記範囲内とすることが好ましい。
【0018】上記式(1)で表されるジオール成分につ
いて説明すると、該ジオール成分は、特に制限されない
が、例えばビスフェノールAのアルキレンオキシド付加
物、好ましくはビスフェノールAのエチレンオキシド又
はプロピレンオキシド付加物であり、具体的には、ポリ
オキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン
(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプ
ロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン等を好ましく用いることができ
る。
【0019】共縮重合により上記ポリエステルポリアミ
ドを得るに際しては、上記式(1)で表されるジオール
成分とその他のアルコール成分とを併用することができ
る。この場合、上記式(1)で表されるジオール成分の
割合は、使用される全アルコール中、好ましくは40〜
100モル%である。その他の上記アルコール成分とし
ては、例えば、脂肪族ジオールや三価以上のアルコール
類が挙げられる。この場合、脂肪族ジオールの割合は、
使用される全アルコール中、好ましくは20モル%未満
であり、三価以上のアルコール類の割合は、使用される
全アルコール中、好ましくは60モル%未満である。上
記脂肪族ジオールとしては、例えばエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレング
リコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリ
テトラメチレングリコール等が挙げられる。上記三価以
上のアルコール類としては、例えばソルビトール、1,
2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、
トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオ
ール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロー
ル、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,
2,4,−ブタントリオール、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン及び1,3,5−トリヒドロキ
シメチルベンゼン等が挙げられる。
【0020】次に、上記酸成分について説明すると、該
酸成分としては上述の通り二価以上の多価カルボン酸、
その酸無水物及びその低級アルキルエステルからなる群
から選ばれる一種以上が用いられる。
【0021】上記二価以上の多価カルボン酸としては、
二価のカルボン酸及び三価以上のカルボン酸が用いられ
る。上記二価のカルボン酸としては、特に制限されるも
のではないが、例えばマレイン酸、フマール酸、シトラ
コン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフ
タル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチ
ン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク
酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、
イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−
オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、ダイマー
酸、イソオクチルコハク酸等が好ましく用いられる。一
方、三価以上のカルボン酸としては、特に制限されるも
のではないが、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボ
ン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,
2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタ
ントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン
酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレ
ンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサント
リカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタ
ン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロ
メリット酸、無水トリメリット酸、エンボール三量体酸
等が好ましく用いられる。また、これら二価以上の多価
カルボン酸の低級アルキルエステルとしては、好ましく
は炭素数1〜4のアルキルエステルが用いられる。就
中、上記多価カルボン酸として、マレイン酸、フマール
酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、コハク酸、ダイマー酸等の二価のカルボン酸、又は
1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、無水トリメリッ
ト酸を用いることが好ましい。
【0022】次に、上記アミン誘導体について説明する
と、該アミン誘導体としては、上記ジオール成分及び上
記酸成分と共縮重合可能なアミン類であれば、特に制限
なく用いることができる。そのようなアミン類として
は、例えば、エチレンジアミン、ペンタメチレンンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、イミノビスプロピルアミン、フェニレンジアミン、
キシリレンジアミン及びトリエチレンテトラミン等のポ
リアミン;6−アミノカプロン酸及びε−カプロラクタ
ム等のアミノカルボン酸類;並びにプロパノールアミン
等のアミノアルコール等が挙げられる。
【0023】上記ポリエステルポリアミドは、上記ジオ
ール成分と上記酸成分と上記アミン誘導体とを共縮重合
して得られるものである。かかる共縮重合の方法に特に
制限は無く、公知の方法が用いられる。
【0024】上記ポリエステルポリアミドの酸価は、例
えば、上記ジオール成分と上記酸成分と上記アミド成分
との添加比率を変えたり、カルボン酸エステルを用いた
り、一価のアルコールで酸を封鎖したりすることによっ
て調整することができる。
【0025】上記ポリエステルポリアミドは、その数平
均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで
ポリスチレン換算する)が500〜100000、特に
1000〜10000であることが、印刷後のインクの
定着性及び耐水性並びにサスペンションの形成性や、特
にインクジェット記録用インクとして用いる場合にプリ
ンタヘッドへの焦げ付きが防止される点から好ましい。
【0026】また、本発明の水系インクを、特にインク
ジェット記録用インクとして用いる場合には、上記ポリ
エステルポリアミドは、DSC(示差走査熱計量)によ
り測定されるTg(ガラス転移点)が、圧電素子を用い
たインクジェット記録方式では20℃以上であることが
好ましく、熱エネルギーを用いたインクジェット記録方
式では30℃以上であることが好ましく、特に圧電素子
方式及び熱エネルギー方式の両方式において40℃以上
150℃以下であることが好ましい。Tgが上記条件の
下限値に満たないと、上記ポリエステルポリアミドがプ
リンタのノズル内で固化し、ノズルの詰まりが起こる場
合がある。また、本発明の水系インクを用いて印刷され
た紙を重ね置きするとインクの紙写りが起こる場合があ
る。なお、上記ポリエステルポリアミドのTgは、例え
ば、上記ジオール成分と上記酸成分と上記アミン誘導体
との添加比率を変えることにより調整することができる
【0027】上記ポリエステルポリアミド中における、
上記式(1)で表されるジオール成分と上記酸成分と上
記アミン誘導体とのモル比は、該ポリエステルポリアミ
ドの酸価、数平均分子量及びTg等の値にもよるが、例
えばTgが20℃以上となる範囲で上記成分を自由に組
み合わせて選択してよい。成分比の特に好ましい例とし
ては、上記酸成分は、上記式(1)で表されるジオール
成分1モルに対して、0.6〜1.2モルであることが
好ましく、0.8〜1.1モルであることが更に好まし
い。一方、上記アミン誘導体は、上記式(1)で表され
るジオール成分1モルに対して、0.05〜0.50モ
ルであることが好まししい。
【0028】上記ポリエステルポリアミドのサスペンシ
ョンの平均粒子径は、0.005〜0.5μmであるこ
とが好ましい。上記平均粒子径が0.005μmに満た
ないとインクのにじみが発生する場合があり、0.5μ
mを超えるとサスペンション自身の分散安定性が低下す
るおそれがあるので上記範囲内とすることが好ましい。
上記平均粒子径は、0.01〜0.3μmであることが
更に好ましい。上記平均粒子径は、例えば、後述する転
相乳化の条件を変えること等によって調整することがで
きる。
【0029】本発明の水系インクにおいては、上記ポリ
エステルポリアミドは、該インク中に0.5〜50重量
%配合されることが好ましく、2〜30重量%配合され
ることが更に好ましい。上記ポリエステルポリアミドの
配合量が0.5重量%に満たないと、十分な耐水性及び
定着性が発現せず、50重量%を超えると、サスペンシ
ョンのインクとしての保存安定性が低下したり、特にイ
ンクジェットプリンタで用いるときにノズル先端部での
インク蒸発に伴うインクの増粘やサスペンションの凝集
が起こることによってプリンタヘッドの目詰まりが起こ
るおそれがあるので、上記範囲内とすることが好まし
い。
【0030】次に、上記ポリエステルポリアミドのミセ
ルによって吸着される染料及び顔料について説明する。
上記染料としては、上記ポリエステルポリアミドによっ
て吸着され得る染料であれば特に制限無く用いることが
でき、例えば、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染
料及び塩基性染料等を挙げることができ、良好な吸着性
の観点から油性染料及び分散染料を用いることが特に好
ましい。上記分散染料としては、以下に限定されるもの
ではないが、特に好ましい具体例としては、C.I.デ
ィスパーズイエロー5、42、54、64、79、8
2、83、93、99、100、119、122、12
4、126、160、184:1、186、198、1
99、204、224及び237;C.I.ディスパー
ズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、
55、66、73、118、119及び163;C.
I.ディスパーズレッド54、60、72、73、8
6、88、91、92、93、111、126、12
7、134、135、143、145、152、15
3、154、159、164、167:1、177、1
81、204、206、207、221、239、24
0、258、277、278、283、311、32
3、343、348、356及び362;C.I.ディ
スパーズバイオレッド33;C.I.ディスパーズブル
ー56、60、73、87、113、128、143、
148、154、158、165、165:1、16
5:2、176、183、185、197、198、2
01、214、224、225、257、266、26
7、287、354、358、365及び368;並び
にC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げ
られる。上記油性染料としては、以下に限定されるもの
ではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、
C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29及び
34;C.I.ソルベント・イエロー14、16、1
9、29、56、82及び162;C.I.ソルベント
・レッド1、3、8、18、24、27、43、51、
72、73、132及び218;C.I.ソルベント・
バイオレット3;C.I.ソルベント・ブルー2、11
及び70;C.I.ソルベント・グリーン3及び7;並
びにC.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
上記直接染料としては、以下に限定されるものではない
が、特に好ましい具体例としては、例えば、C.I.ダ
イレクト・ブラック19などが挙げられる。上記酸性染
料としては、以下に限定されるものではないが、特に好
ましい具体例としては、例えば、C.I.アシッド・ブ
ラック2及び52;C.I.アシッド・イエロー23;
C.I.アシッド・レッド51、87及び92;並びに
C.I.アシッド・ブルー1、9及び74などが挙げら
れる。上記塩基性染料としては、以下に限定されるもの
ではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、
C.I.ベーシック・イエロー2及び11;C.I.ベ
ーシック・レッド1及び13;C.I.ベーシック・バ
イオレット1、3、7及び10;並びにC.I.ベーシ
ック・ブルー5、7、9及び26などが挙げられる。
【0031】本発明に用いられる染料は、後述する転相
乳化によって上記ポリエステルポリアミドに効率的に吸
着される観点から、溶剤、例えば、ケトン系溶剤に20
g/l以上溶解することが好ましく、100〜600g
/l溶解することが更に好ましい。
【0032】一方、上記顔料も、その種類に特に制限は
なく、従来公知の有機及び無機顔料がすべて使用でき
る。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔
料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン
顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔
料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジ
ゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の
多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ
等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリ
ンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、
酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられ
る。また、カラーインデックスに記載されていない顔料
であっても水相に分散可能なら、いずれも使用できる。
更に、上記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処
理したものや、グラフトカーボン等も勿論使用可能であ
る。上記顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン
顔料、アントラキノン顔料、カーボンブラック系顔料を
用いることが好ましい。
【0033】本発明においては、上記染料及び顔料をそ
れぞれ単独で用いてもよく、或いは両者を組み合わせて
用いても良い。両者を組み合わせて用いる場合には、染
料と顔料との混合比(重量)は、前者:後者=10:9
0〜90:10の範囲で自由に選択して良い。なお、本
明細書において、「顔料」とは、水や溶剤、油などに不
溶の微粒子状の固体をいい、これに対して、「染料」と
は、水や溶剤に溶解した状態で染色されるものをいう
〔カラーケミカル事典1988年3月第1刷、(株)シ
ーエムシー、有機合成化学協会編、P45〜〕。
【0034】上記染料又は顔料を吸着させたポリエステ
ルポリアミドのサスペンションの平均粒子径は、0.0
05〜0.5μmであることが好ましい。上記平均粒子
径が0.005μmに満たないとインクのにじみが発生
する場合があり、0.5μmを超えるとサスペンション
自身の分散安定性が低下するおそれがあるので上記範囲
内とすることが好ましい。上記平均粒子径は、0.01
〜0.3μmであることが更に好ましい。上記平均粒子
径は、例えば、後述する転相乳化の条件を変えること等
によって調整することができる。
【0035】本発明の水系インクにおいては、上記ポリ
エステルポリアミドは、該インク中に0.5〜50重量
%配合されることが好ましく、2〜30重量%配合され
ることが更に好ましい。上記ポリエステルポリアミドの
配合量が0.5重量%に満たないと、印字濃度が不十分
であり、50重量%を超えると、サスペンションのイン
クとしての保存安定性が低下したり、特にインクジェッ
トプリンタで用いるときにノズル先端部でのインク蒸発
に伴うインクの増粘やサスペンションの凝集が起こるこ
とによってプリンタヘッドの目詰まりが起こる場合があ
るので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0036】一方、上記染料又は顔料は、該インク中に
1〜30重量%配合されることが好ましく、1.5〜2
5重量%配合されることが更に好ましい。上記染料又は
顔料の配合量が1重量%に満たないと印字濃度が不十分
であり、30重量%を超えて使用しても印字濃度の大幅
な向上が図れず、また、サスペンションの粒子径の経時
安定性が低下し、平均粒子径増大の傾向があるので、上
記範囲内とすることが好ましい。
【0037】本発明の水系インクは、水(望ましくは、
イオン交換水)を媒体とし、上記染料又は顔料を吸着さ
せたポリエステルポリアミドのサスペンションを含有す
るのに加えて、従来公知の各種添加剤、例えば多価アル
コール類のような湿潤剤、分散剤、シリコーン系等の消
泡剤、カチオン、アニオン或いはノニオン系の各種界面
活性剤等の表面張力調整剤、クロロメチルフェノール系
等の防黴剤及び/又はEDTA等のキレート剤、又、亜
硫酸塩等の酸素吸収剤等を含有してもよい。
【0038】ここで、上記湿潤剤としては、特に制限さ
れるものではないが、例えばエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール及びポリエチ
レングリコール等のグリコール類;グリセリン;ジエチ
レングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビト
ール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチ
ルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノエチルエーテル、及びプロピレングリ
コールモノメチルエーテル等の多価アルコールのエーテ
ル類、アセテート類;チオジグリコール;N−メチル−
2−ピロリドン;1,3−ジメチルイミダゾリジノン;
トリエタノールアミン;ホルムアミド;ジメチルホルム
アミド等の含窒素化合物類、ジメチルスルホキシドの一
種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤
剤の配合量に特に制限はないが、本発明の水系インク中
に好ましくは0.1〜50重量%配合することができ、
更に好ましくは0.1〜30重量%配合することができ
る。
【0039】また、上記分散剤としては、特に制限され
るものではないが、例えば、アニオン界面活性剤とし
て、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩、アルカン又はオレフィンスルホン酸
塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアル
キル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ア
ルキルリン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホ
ン酸塩、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホコ
ハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩よ
りなる群から選ばれる界面活性剤や、高級脂肪酸とアミ
ノ酸の縮合物、ナフテン酸塩等を用いることができる。
好ましく用いられるアニオン界面活性剤は、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩(とりわけ直鎖アルキルのもの)、
アルカン又はオレフィンスルホン酸塩(とりわけ第2級
アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸
塩)、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンア
ルキル又はアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩
(とりわけポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エ
ステル塩)、アルキルリン酸塩(とりわけモノアルキル
のもの)、エーテルカルボキシレート、アルキルスルホ
コハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、及び脂肪酸塩
よりなる群から選ばれる界面活性剤であり、特に好まし
くは、アルキルベンゼンスルホン酸塩(とりわけ直鎖ア
ルキルのもの)、ポリオキシエチレンアルキル又はアル
キルアリールエーテル硫酸エステル塩(とりわけポリオ
キシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩)、及び
アルキル硫酸エステル塩である。これらは単独で又は二
種以上を組み合わせて用いることができる。また、カチ
オン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、第4級アンモ
ニウム塩、スルホニウム塩、及びホスフォニウム塩等を
用いることができる。これらは単独で又は二種以上を組
み合わせて用いることができる。また、ノニオン界面活
性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ソルビタ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エ
ステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸エステル及びアルキル(ポリ)グリコキシドよ
りなる群から選ばれる界面活性剤等を用いることができ
る。好ましく用いられるノニオン界面活性剤は、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレン
アルキルアリールエーテルより選ばれる界面活性剤等で
ある。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用い
ることができる。また、両性界面活性剤として、アミノ
酸型又はベタイン型化合物等を用いることができる。
【0040】また、高分子分散剤として、ゼラチン、カ
ゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、サ
ポニン等のグルコキシド、アルキルセルロース、カルボ
キシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロー
ス等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラ
ック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−ア
クリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共
重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、ビニルナ
フタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスル
ホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリリン酸等の陰イオン性
高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリアルキレングリコール等の非イオン性高分子等
が挙げられ、使用に際しては、これらの一種又は二種以
上を用いることができる。就中、下記式(2)で表され
る化合物を用いることが、サスペンションの平均粒子径
を小さくし得る点から特に好ましい。
【0041】
【化5】
【0042】上記式(2)において、R’としては、好
ましくは水素原子が用いられる。また、R”としては、
好ましくはメチレン基が用いられる。また、Mとして
は、好ましくはナトリウム及びカリウム等のアルカリ金
属のイオンが用いられる。また、lは、好ましくは10
0〜800である。また、上記式(2)で表される化合
物は、そのHLB値が5〜15であることが、分散剤と
しての効果が発現し、サスペンションの平均粒子径の増
大抑制効果がある点から好ましい。
【0043】上記式(2)で表される化合物としては市
販品も使用することができる。そのような市販品として
は、例えば花王(株)製の分散剤デモールSNB,M
S,N,SSL,ST,P(商品名)が挙げられる。
【0044】上記式(2)で表される化合物の配合量に
特に制限はないが、本発明の水系インク中に、0.01
〜10重量%配合されることが好ましい。該化合物の配
合量が0.01重量%に満たないとサスペンションの小
粒子径化が困難であり、10重量%を超えるとサスペン
ションの平均粒子径が増大したりサスペンション安定性
が低下し、ゲル化するおそれがあるので、上記範囲内と
することが好ましい。更に好ましくは、上記式(2)で
表される化合物の配合量は、本発明の水系インク中に、
0.1〜1重量%である。
【0045】また、上記消泡剤としては、特に制限され
ないが、下記式(3)で表される化合物、就中、下記式
(4)で表わされる化合物を用いることが、インク調製
の際における泡の発生の抑制及びインクの表面張力の調
整の点から特に好ましい。
【0046】
【化6】
【0047】
【化7】
【0048】上記式(3)においてR1 、R2 、R3
びR4 は好ましくは同一の又は異なるC1 〜C5 の低級
アルキル基又はフェニル基であり、m及びnは、好まし
くは10〜100の整数であり、R5 及びR6 は好まし
くは同一の又は異なるC1 〜C5 の低級アルキル基又は
フェニル基である。
【0049】上記式(3)又は(4)で表される化合物
としては市販品も使用することができる。そのような市
販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、
66、69、KS68、604、607A、602、6
03、KM73、73A、73E、72、72A、72
C、72F、82F、70、71、75、80、83
A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品
名)等が挙げられる。
【0050】上記式(3)又は(4)で表される化合物
の配合量に特に制限はないが、本発明の水系インク中
に、0.001〜2重量%配合されることが好ましい。
該化合物の配合量が0.001重量%に満たないとイン
ク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡が除
去が難しく、2重量%を超えると泡の発生は抑えられる
ものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質
の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすること
が好ましい。更に好ましくは、上記式(3)又は(4)
で表される化合物の配合量は、本発明の水系インク中
に、0.005〜0.5重量%である。
【0051】また、上記表面張力調整剤としては、上述
のシリコーン系消泡剤や、カチオン、アニオン或いはノ
ニオン系の各種界面活性剤を使用することができる。特
に、上記式(3)又は(4)で表されるシリコーン系消
泡剤や、下記式(5)で表されるアルキルフェノールの
エチレンオキサイド化合物、下記式(6)で表されるア
セチレングリコールのエチレンオキサイド付加物を用い
ることが泡の発生の抑制、インクの表面張力の調整のし
やすさ、及びインク吐出性、にじみが少ない、印字濃度
ムラがない等の点で好ましい。
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】上記表面張力調整剤の使用に際しては、こ
れらの化合物の一種又は二種以上を用いることができ、
本発明の水系インク中に0.005〜15重量%配合す
ることが望ましい。該配合量が、0.005%に満たな
いと、上記特性を発現することができないことがあり、
15重量%を超えると、反対ににじみや印字濃度ムラ等
が発生して印字品質が低下したり、インクの液安定性が
低下することがあるので、上記範囲内とすることが望ま
しい。
【0055】本発明の水系インクは、特にインクジェッ
トプリンタで用いたときの吐出の安定性の点から、その
20℃における粘度が0.5〜5cpsであることが好
ましく、更に好ましくは1〜3cpsである。また、本
発明の水系インクは、その20℃における表面張力が、
被印字物への浸透性の点から、25〜50dyn/cm
であることが好ましく、更に好ましくは30〜45dy
n/cmである。
【0056】本発明の水系インクは、特にインクジェッ
ト記録用水系インクとして有用である。この場合、上記
水系インクは、圧電式及び熱ジェット式のインクジェッ
トプリンターの何れにも使用することができる。
【0057】本発明の水系インクを用いて減法混色法に
よりカラー印刷を行う場合には、黒色、イエロー、マゼ
ンタ、及びシアンそれぞれの染料又は顔料を含有する4
種類のインク(黒色インク、イエローインク、マゼンタ
インク、シアンインク)からなるカラーインクセットを
用いると、印刷像の印字濃度が高く、にじみが少なく、
耐水性及び定着性が向上し、更に、色再現性も良くなる
ので好ましい。
【0058】次に、本発明の水系インクの好ましい製造
方法について説明する。本発明の水系インクは、好まし
く以下に述べるいわゆる転相乳化によって製造される。
【0059】ここで、転相乳化は、上記式(1)で表さ
れるジオール成分と、二価以上の多価カルボン酸、その
酸無水物及びその低級アルキルエステルからなる群から
選ばれる1種以上の酸成分と、アミン誘導体とを共縮重
合して得られる酸価が3〜100KOHmg/gのポリ
エステルポリアミドを、染料又は顔料と共に溶剤に添加
し、中和剤を加えて該ポリエステルポリアミド中のカル
ボキシル基をイオン化し、次いで水を加えた後、上記溶
剤を留去して水系に転相することからなる。
【0060】先ず、上記ポリエステルポリアミドを、染
料又は顔料と共に溶剤に添加する。この場合、該ポリエ
ステルポリアミドは、該溶剤100重量部に対して、5
〜50重量部添加することがサスペンション形成の点か
ら好ましい。上記溶剤としては、特に制限されるもので
ないが例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、ジプロピルケトン、メチルイソブチルケト
ン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶剤が挙げ
られ、これらのうちメチルエチルケトンが好ましく用い
られる。
【0061】次に、上記ポリエステルポリアミドと、上
記染料又は顔料と、上記溶剤との混合液に中和剤を加え
る。これにより、該ポリエステルポリアミド中のカルボ
キシル基をイオン化する。該中和剤としては、該ポリエ
ステルポリアミド中のカルボキシル基をイオン化し得る
ものであれば特に制限無く用いることができる。そのよ
うな中和剤としては、例えばアンモニア水、水酸化リチ
ウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の一価の
無機塩のアルカリ水溶液、アリルアミン、イソプロピル
アミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、ジエチ
ルアミン、トリエチルアミン、2−エチルヘキシルアミ
ン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソブチルアミ
ン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、トリ−n−オ
クチルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミ
ン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジ
メチルアミノプロピルアミン、n−プロパノールアミ
ン、ブタノールアミン、2−アミノ−4−ペンタノー
ル、2−アミノ−3−ヘキサノール、5−アミノ−4−
オクタノール、3−アミノ−3−メチル−2−ブタノー
ル、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメ
チルエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプ
ロパノールアミン、ネオペンタノールアミン、ジグリコ
ールアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロ
パン、1,2−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘ
キサン、1,9−ジアミノノナン、1,12−ジアミノ
ドデカン、二量体脂肪酸ジアミン、2,2,4−トリメ
チルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N
−アミノエチルピペラジン、N−アミノプロピルピペラ
ジン、N−アミノプロピルジピペリジプロパン、ピペラ
ジン等のアミン類等を挙げることができる。特に、上記
中和剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリ
エチルアミン及びジメチルエタノールアミンを用いると
得られるサスペンションの粒子径がより小粒子径化し且
つサスペンションの安定性が一層向上するので好まし
い。就中、上記中和剤として水酸化ナトリウム及び水酸
化カリウムを用いると得られるサスペンションの耐熱性
も向上するのでより好ましい。上記中和剤の使用量は、
少なくとも上記ポリエステルポリアミド中のカルボキシ
ル基をイオン化できる量であれば良い。
【0062】上記中和剤の添加後、上記混合液に水を加
えて転相を起こさせる。これにより、ポリエステルポリ
アミドのサスペンションが水相中に生じる。加える水の
量は、上記混合液100重量部に対して100〜300
重量部であることが好ましい。この場合、水に上記式
(2)で表される化合物を添加したものを、上記混合液
に添加すると、サスペンションの平均粒子径を小さくす
ることができるので好ましい。また、水に上記式(3)
又は(4)で表される化合物を添加したものを、上記混
合液に添加すると、泡の発生を抑制することができ、更
には表面張力を調整することができるので好ましい。上
記式(2)で表される化合物の添加量は、上述の通り最
終的に得られるインク中に0.01〜10重量%となる
ような量であることが好ましい。一方、上記式(3)又
は(4)で表される化合物の添加量は、上述の通り最終
的に得られるインク中に0.001〜2重量%となるよ
うな量であることが好ましい。
【0063】転相が完了した後、系を減圧下に加熱する
ことにより、上記混合液中の上記溶剤を除去すると共
に、所定量の水を除去することにより、所望の濃度の染
料又は顔料を吸着させたポリエステルポリアミドのサス
ペンションが得られる。
【0064】また、本発明の水系インクの調製に際して
は、粗大粒子を除去することが好ましい。例えば、混合
後のインクをフィルターにより加圧濾過したり或いは遠
心分離器で処理して、好ましくは2μm以上、更に好ま
しくは1μm以上、一層好ましくは0.5μm以上の粒
子を除去することにより、目詰まりのないインクが得ら
れる。
【0065】本発明の水系インクは、上述の通りインク
ジェット記録用水系インクとして特に有用であるが、そ
の他のインクとして、例えば、一般の万年筆、ボールペ
ン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能
である。
【0066】
【実施例】次に、実施例により、本発明の水系インクの
有効性を例示する。しかしながら、本発明は、かかる実
施例に制限されるものでないことはいうまでもない。
【0067】〔実施例1〕ポリオキシプロピレン(2.
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン1050g、フマール酸310g、6−アミノカプロ
ン酸55g、ハイドロキノン1.5gをガラス製2リッ
トルの4つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製攪
拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管をこれに取り
つけた。マントルヒーター中で、窒素気流下にて220
℃にて攪拌しつつ反応せしめた。重合度はASTM E
28−67に準ずる軟化点より追跡を行い、軟化点が1
02℃に達した時反応を終了した。得られたポリエステ
ルポリアミドは淡黄色の固体であり、DSCによるTg
は61.3℃であった。また、JIS K 0070に
基づく該ポリエステルポリアミドの酸価は25.2KO
Hmg/gであり、数平均分子量(ゲルバーミエーショ
ンクロマトグラフィーでポリスチレン換算)は3,50
0であった。次に、上記ポリエステルポリアミド150
g、油性染料(オリエント化学製、VALIFAST BLUE 260
6) 40g、及びメチルエチルケトン500gをセパラ
ブルフラスコに入れ、フラスコ内をN2 置換後、攪拌し
て上記ポリエステルポリアミド及び油性染料をメチルエ
チルケトンに完全溶解させた。引き続き、トリエチルア
ミン9.55gを加えて上記ポリエステルポリアミド中
のカルボキシル基をイオン化した。更に、イオン交換水
960gを滴下して撹拌した後、減圧下で40℃に加熱
してメチルエチルケトンを除去し、染料を封入したポリ
エステルポリアミドのサスペンション(平均粒径;0.
06μm)の20重量%水系シアンインクを得た。
【0068】〔実施例2〕実施例1において用いた6−
アミノカプロン酸の量を40gとし、且つフマール酸2
80gに代えて、フマール酸250gと無水トリメリッ
ト酸115gとの混合物を用いた以外は実施例1と同様
の操作によりポリエステルポリアミドを得た。(酸価:
39.4KOHmg/g、Tg:63.1℃、数平均分
子量:4,000) このポリエステルポリアミドを用いて、中和アミンとし
て、トリエチルアミンの代わりにジメチルエタノールア
ミン10.33gを用いる以外は、実施例1と同様の操
作により染料(オリエント化学製、OIL SCARL
ET 308)を封入したポリエステルポリアミドのサ
スペンション(平均粒径;0.03μm)の20重量%
水系マゼンタインクを得た。
【0069】〔実施例3〕実施例2におけるイオン交換
水960gに代えて、花王(株)製デモールN(分散
剤、HLB値8.51)3gを含有するイオン交換水9
60gを用いた以外は実施例2と同様の操作により染料
(オリエント化学製、OIL YELLOW129)を
封入したポリエステルポリアミドのサスペンション(平
均粒径;0.01μm)の20重量%水系イエローイン
クを得た。
【0070】〔実施例4〕実施例2におけるイオン交換
水960gに代えて、花王(株)製デモールN(分散
剤、HLB値8.51)3g及び信越シリコーン製KM
71(消泡剤)0.12gを含有するイオン交換水96
0を用いた以外は実施例2と同様の操作により顔料(三
菱化成製、カーボンブラック:MA−100)30gを
封入したポリエステルポリアミドのサスペンション(平
均粒径;0.10μm)の20重量%水系黒色インクを
得た。
【0071】〔実施例5〕 ・実施例1で得られたポリエステルポリアミドのサスペンションの水系インク 80g ・ジエチレングリコール 10g ・グリセリン 9.8g ・アセチレノールEL 0.20g 上記の成分を混合し、得られた分散液を5ミクロンのフ
ィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去して
インクジェット用シアンインクを得た。得られたインク
を用い、キャノン製の市販のマイクロバブルジェットプ
リンター(型番BJ−10VL、熱ジェット式インクジ
ェットプリンター)で印字し、インク吐出量、印字濃
度、にじみ、耐水性、目詰まり防止性及び定着性を下記
の方法で評価した。その結果を表1に示す。
【0072】<インク吐出量>印字は、PPC用再生紙
〔日本加工製紙(株)社製〕を用いてベタ印字を行い、
印字前と印字後のインクカートリッジの重量を測定し、
その変化量からインク吐出量を算出した。 <印字濃度>印字は、PPC用再生紙〔日本加工製紙
(株)社製〕を用いてベタ印字を行い、室内にて24時
間自然乾燥させた後、その光学濃度をマクベス濃度計R
D918(マクベス社製)で測定した。 <にじみ>PPC用再生紙〔日本加工製紙(株)社製〕
に英数文字を印字し、1時間以上放置した後、顕微鏡及
び目視で文字のシャープさや文字より発生するヒゲ状の
にじみの度合を評価した。 ○:文字がシャープでヒゲ状のにじみもない △:文字がシャープさがなく、にじみも少し発生 ×:文字がシャープさがなく、にじみも多い <耐水性>PPC用再生紙〔日本加工製紙(株)社製〕
にベタ印字し、1時間以上放置した後、静水中に垂直に
10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。室内にて
自然乾燥させた後、ベタ印字部及び印字されていない白
色部の光字濃度をマクベス濃度計RD918(マクベス
社製)で測定した。 <目詰まり防止性>市販のキャノン製マイクロバブルジ
ェットプリンター(型番BJ−10VL)で、10分間
連続して英数文字を印字した後、プリンターを停止し、
キャップをせずに40℃、25%RHの環境下、2週間
放置した。放置後再び英数文字を印字し、放置前と同等
の印字が得られるまでに要した目詰まり復帰動作の回数
を調べた。 ○:0〜2回の復帰動作で初期と同等の印字が可能 △:3〜5回の復帰動作で初期と同等の印字が可能 ×:6回以上の復帰動作でも初期と同等の印字が不可能 <定着性>インクジェット専用OHPシート(MJOH
PS1N、Epson製)上にベタ印字し、印字面上に
消しゴム(幅18.5mm)を傾斜度45°で固定し、
その上に荷重1kgを載せ、ベタ印字面の上を5往復こ
すり、その時の印字面の状態を目視で観察した。 ○:印字面にキズ、ハガレがない △:印字面にキズが入る ×:印字面ハガレが発生する
【0073】〔実施例6〜8〕実施例1で得られたポリ
エステルポリアミドのサスペンションの水系インクに代
えて、実施例2〜4で得られたポリエステルポリアミド
のサスペンションの水系インクをそれぞれ用いる以外は
実施例5と同様の操作によりインクジェット記録用イン
ク〔マゼンタインク(実施例6)、イエローインク(実
施例7)、黒色インク(実施例8)〕を得た。得られた
インクを用いて実施例5と同様の評価をした。その結果
を表1に示す。
【0074】〔比較例1〕通常インクジェット記録用イ
ンクに使用されている水溶性染料を用いて、以下の配合
からインクを得た。 ・C.I.アシッド・イエロー 4g ・ジエチレングリコール 7.5g ・グリセリン 7.5g ・水 80.60g ・アセチレノールEL 0.40g 即ち、上記の成分をボールミルを用いて12時間混合
し、得られた分散液を5ミクロンのフィルターによって
濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去してインクを得た。得
られたインクを用いて実施例5と同様の評価をした。そ
の結果を表1に示す。
【0075】〔比較例2〕下記成分を配合し、ダイミノ
ールを用いて以下の条件で分散処理を行った。 <配合組成> ・カーボンブラック(三菱化成製、MA−100) 200g ・スチレン−無水マレイン酸共重合体 30g (酸価130、数平均分子量1万) ・エタノールアミン 40g ・ジエチレングリコール 200g ・グリセリン 50g ・純水 1420g ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 30g 〔花王(株)製エマルゲン985(商品名)〕 ・アセチレノールEL 30g <分散処理条件> ・粉砕メディア :チタニアビーズ ・粉砕メディアのサイズ :φ0.8mm ・粉砕メディアの充填率 :80% ・吐出速度 :100g/min ・パス回数 :8回 分散処理後、更に遠心分離処理(10000rpm、1
5分間)により、粗大粒子を除去してインクジェット用
水系黒色インクを得た。得られたインクを用いて実施例
5と同様の評価をした。その結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】表1に示す結果から明らかなように、染料
又は顔料がポリエステルポリアミドのサスペンションに
吸着されている実施例の水系インクでは、従来の染料系
の配合のインク(比較例1)に比べて印字濃度が高く、
且つ、にじみ防止性及び耐水性が一層向上していること
が分かる。また、従来の顔料系の配合のインク(比較例
2)に比べて印字濃度が高く、且つ、定着性も高いもの
である。
【0078】〔実施例9〕実施例5〜8でそれぞれ得ら
れたシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、
及び黒色インクからなるカラーインクセットを、キャノ
ン製の市販のマイクロバブルジェットプリンター(型番
BJC−600J)に備えられた市販インクセット(染
料系インク)の代わりにセットして、印字評価した。そ
の結果、市販インクセットは耐水性に劣っていたが、本
発明の水系インクからなるカラーインクセットは、上記
表1の評価結果を反映して、印字濃度が高く、にじみが
少なく、耐水性及び定着性が一層向上しており、更に、
色再現性も良く、カラーインクセットとしても良好であ
った。
【0079】
【発明の効果】本発明の水系インクによれば、染料又は
顔料をポリエステルポリアミドのサスペンションに吸着
させることにより、印刷物の印字濃度が高くなり、被印
字物への定着性及び耐水性が向上する。特に、染料を用
いた場合にはインクの耐水性が極めて向上し、にじみが
防止され、顔料を用いた場合には紙やOHPシート等の
被印字物へのインクの定着性が極めて向上する。また、
上記封入を転相乳化にて行うことにより、染料及び顔料
の吸着を容易に且つ効率的に行うことができ、インクの
耐水性及び定着性が一層向上する。上記水系インクはイ
ンクジェット記録用水系インクとして特に有用であり、
また、一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記
具用のインクとしても使用可能である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染料又は顔料を吸着させたポリエステル
    ポリアミドのサスペンションからなることを特徴とする
    水系インク。
  2. 【請求項2】 上記ポリエステルポリアミドのJIS
    K 0070に基づく酸価が3〜100KOHmg/g
    である、請求項1記載の水系インク。
  3. 【請求項3】 上記ポリエステルポリアミドが、下記式
    (1)で表されるジオール成分と、二価以上の多価カル
    ボン酸、その酸無水物及びその低級アルキルエステルか
    らなる群から選ばれる1種以上の酸成分と、アミン誘導
    体とを共縮重合して得られる、請求項1又は2記載の水
    系インク。 【化1】
  4. 【請求項4】 上記サスペンションの平均粒子径が0.
    005〜0.5μmである、請求項1〜3の何れかに記
    載の水系インク。
  5. 【請求項5】 上記ポリエステルポリアミドのガラス転
    移点が20℃以上である、請求項1〜4の何れかに記載
    の水系インク。
  6. 【請求項6】 上記ポリエステルポリアミドの数平均分
    子量が500〜100000である、請求項1〜5の何
    れかに記載の水系インク。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載の水系イン
    クを用いることを特徴とするインクジェット記録用水系
    インク。
  8. 【請求項8】 下記式(1)で表されるジオール成分
    と、二価以上の多価カルボン酸、その酸無水物及びその
    低級アルキルエステルからなる群から選ばれる1種以上
    の酸成分と、アミン誘導体とを共縮重合して得られる酸
    価が3〜100KOHmg/gのポリエステルポリアミ
    ドを、染料又は顔料と共に溶剤に添加し、中和剤を加え
    て該ポリエステルポリアミド中のカルボキシル基をイオ
    ン化し、次いで水を加えた後、上記溶剤を留去して水系
    に転相することを特徴とする水系インクの製造方法。 【化2】
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000160073A (ja) * 1998-11-24 2000-06-13 Seiko Epson Corp インクジェット記録用インク組成物
US7812068B2 (en) 2004-08-09 2010-10-12 Ricoh Company, Ltd. Recording ink, inkjet recording method and inkjet recording apparatus using the same

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