JP5123610B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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本発明は、インクジェット記録用架橋ポリマー粒子、並びにそれを含有する水分散体及び水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
特許文献1には、2種以上のキナクリドン系化合物からなるキナクリドン固溶体顔料を含有するジェットプリンター用インキが開示されている。
特許文献2には、固溶体マゼンタ顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクであって、水不溶性ビニルポリマーが、少なくとも脂環式(メタ)アクリレート(A)及び塩生成基含有モノマー(B)を共重合した水不溶性ビニルポリマーであるインクジェット記録用水系インクが開示されている。
特許文献3には、キナクリドン固溶体顔料、塩生成基含有ポリマー、中和剤、有機溶媒及び水を含む混合体を混練後、水及び/又は有機溶媒を添加して希釈、分散したインクジェット記録用顔料水分散体が開示されている。
しかしながら、上記の顔料分散液又は水系インクは、保存安定性と彩度において満足できるものではない。
特開平10−219166号公報 特開2005−29597号公報 特開2006−104367号公報
本発明は、彩度を満足しつつ、保存安定性に優れた、キナクリドン固溶体顔料を含有するインクジェット記録用水系インク、該インクに用いられる水分散体及び架橋ポリマー粒子を提供することを課題とする。
キナクリドン顔料に比較して、キナクリドン固溶体顔料は彩度に優れるが、インク中での保存安定性に劣るため実使用が困難である。
本発明者等は、キナクリドン固溶体顔料を、塩基で中和されたアニオン性基を有する架橋ポリマー粒子に含有させることで、彩度を満足しつつ、保存安定性を向上しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を提供する。
(1)2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料(A)を含有する架橋ポリマー粒子であって、該架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基を0.2mmol/g以上含有する、インクジェット記録用架橋ポリマー粒子。
(2)前記(1)の架橋ポリマー粒子を含有するインクジェット記録用水分散体。
(3)前記(2)の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
本発明のインクジェット記録用架橋ポリマー粒子の水分散体を含有する水系インクは、彩度を満足しつつ、保存安定性に優れる。
本発明のインクジェット記録用水分散体及び水系インクは、2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料(A)を含有する架橋ポリマー粒子であって、該架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基を0.2mmol/g以上含有する、インクジェット記録用架橋ポリマー粒子を含むことを特徴とする。
以下、本発明に用いられる各成分について説明する。
〔2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料(A)〕
本発明に用いられる、2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料(A)(以下、単に「キナクリドン固溶体顔料(A)」ともいう)は、2種以上のキナクリドン系化合物を用いることにより優れた色調、耐候性、耐溶剤性等の物性を示す顔料である。
キナクリドン系化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
n−Q−Ym (1)
(式中、Qはキナクリドン残基又はキナクリドンキノン残基を表し、X及びYは、水素原子、メチル基、クロル基又はメトキシ基を表し、n及びmは1〜4の整数を表す。)
その具体例としては、無置換キナクリドン、2,9−ジメチルキナクリドン、2,9−ジクロルキナクリドン、2,9−ジメトキシキナクリドン、3,10−ジメチルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン、3,10−ジメトキシキナクリドン、4,11−ジメチルキナクリドン、4,11−ジクロルキナクリドン、4,11−ジメトキシキナクリドン、キナクリドンキノン等が挙げられる。
キナクリドン固溶体顔料(A)の好適例としては、無置換キナクリドン、ジメチル置換キナクリドン及びジクロル置換キナクリドンからなる群から選ばれる2種を含む固溶体顔料が挙げられる。より具体的には、(1)無置換キナクリドンと2,9−ジメチルキナクリドン等のジメチル置換キナクリドンとの固溶体顔料、(2)無置換キナクリドンと2,9−ジクロルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン等のジクロル置換キナクリドンとの固溶体顔料、(3)2,9−ジメチルキナクリドン等のジメチル置換キナクリドンと2,9−ジクロルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン等のジクロル置換キナクリドンとの固溶体顔料等の組合せからなる固溶体顔料が好ましい。
上記の中では、(1)の無置換キナクリドンとジメチル置換キナクリドンとの組合せからなる固溶体顔料、及び(2)無置換キナクリドンとジクロル置換キナクリドンとの組合せからなる固溶体顔料が好ましい。より具体的には、色相の観点から、無置換キナクリドン(C.I.ピグメント・バイオレット19等)と2,9−ジメチルキナクリドン(C.I.ピグメント・レッド122等)との組合せからなる固溶体顔料、及び無置換キナクリドン(C.I.ピグメント・バイオレット19等)と2,9−ジクロル置換キナクリドン(C.I.ピグメント・レッド202等)との組合せからなる固溶体顔料が好ましく、無置換キナクリドン(C.I.ピグメント・バイオレット19等)と2,9−ジクロル置換キナクリドン(C.I.ピグメント・レッド202等)との組合せからなる固溶体顔料がより好ましい。
なお、無置換キナクリドンとしては、α型、β型、γ型のいずれも用いることができるが、保存安定性の観点から、β型又はγ型無置換キナクリドンが好ましい。例えば、特開平10−219166号公報に開示されている固溶体マゼンタ顔料を用いることもできる。
キナクリドン固溶体顔料(A)における、〔無置換キナクリドン/ジメチル置換キナクリドン〕の重量比、〔無置換キナクリドン/ジクロル置換キナクリドン〕の重量比、及び〔ジメチル置換キナクリドン/ジクロル置換キナクリドン〕の重量比は、吐出信頼性、印字濃度、彩度等の観点から、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは10/90〜90/10である。
キナクリドン固溶体顔料(A)は、公知の方法により製造することができる。例えば、(i)粗製無置換キナクリドンとキナクリドン系化合物を苛性アルカリの存在化に非プロトン系極性有機溶剤に溶解し、酸で中和再沈する方法(特開昭60−35055号公報参照)、
(ii)可溶化量のアルコール及び塩基の存在下、粗又は補助顔料キナクリドン化合物を粉砕し、得られる固体溶液を単離する方法(特開平2−38463号公報参照)、及び
(iii)2種以上の2,5−ジアリールアミノテレフタル酸誘導体を縮合環化させた後、顔料化処理(結晶形、大きさ、結晶型の制御)を施す方法(特開平10−219166号公報参照)等が挙げられる。
キナクリドン固溶体顔料(A)の形態は、粉末状、顆粒状、塊状の乾燥顔料でもよく、ウエットケーキやスラリーでもよい。
キナクリドン固溶体顔料(A)の平均粒径は、保存安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.3μm、より好ましくは0.03〜0.2μmである。なお、平均粒径は、電子顕微鏡(TEM)による画像解析(2万倍)により、100個の顔料の長径の平均値より求めることができる。
〔架橋ポリマー〕
本発明に用いられる架橋ポリマーとしては、ポリマーを架橋剤(B)で架橋してなる架橋ポリマーが好ましく、ポリマーは水不溶性ポリマーが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
用いるポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられるが、その保存安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。
〔ビニル系ポリマー(以下、単に「ビニルポリマー」ともいう)〕
ビニルポリマーとしては、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と、(b)マクロマー(以下「(b)成分」ともいう)及び/又は(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニルポリマーが好ましい。このビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位を有する。より好適なビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位、又は(a)及び(c)成分由来の構成単位を主鎖として有し、(b)成分由来の構成単位を側鎖として有する水不溶性ビニルグラフトポリマーである。
〔(a)塩生成基含有モノマー〕
(a)塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の保存安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
塩生成基含有モノマーとしては、特開平9−286939号公報段落〔0022〕等に記載されているカチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、保存安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
〔(b)マクロマー〕
(b)マクロマーは、キナクリドン固溶体顔料(A)を含有する架橋ポリマー粒子の保存安定性を高める観点から用いられる。マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが好ましく挙げられる。なお、(b)マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロマーの中では、キナクリドン固溶体顔料(A)を含有する架橋ポリマー粒子の保存安定性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー、及びシリコーン系マクロマーからなる郡から選ばれる一種以上が好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、又は、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、ヘテロ原子を含む置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、それらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
(b)マクロマーは、オルガノポリシロキサン等の他の構成単位からなる側鎖を有するものであってもよい。この側鎖は、例えば下記式(2)で表される片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)-COOC36-〔Si(CH32O〕t-Si(CH33 (2)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
(b)成分として商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
〔(c)疎水性モノマー〕
(c)疎水性モノマーは、印字濃度の向上の観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を示す。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、例えば、前記のスチレン系モノマー(c−1成分)、前記の芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2成分)が挙げられる。ヘテロ原子を含む置換基としては、前記のものが挙げられる。
(c)成分の中では、印字濃度向上の観点から、スチレン系モノマー(c−1成分)が好ましく、スチレン系モノマーとしては特にスチレン及び2−メチルスチレンが好ましい。(c)成分中の(c−1)成分の含有量は、印字濃度向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)成分としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。(c)成分中の(c−2)成分の含有量は、印字濃度及び彩度性の向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。また、(c−1)成分と(c−2)成分を併用することも好ましい。
〔(d)水酸基含有モノマー〕
モノマー混合物には、更に、(d)水酸基含有モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。(d)水酸基含有モノマーは、保存安定性を高めるという優れた効果を発現させるものである。
(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
〔(e)式(6)で表されるモノマー〕
モノマー混合物には、更に、(e)下記式(3)で表されるモノマー(以下「(e)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
CH2=C(R1)COO(R2O)q3 (3)
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R2は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R3は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基又は炭素数1〜9のアルキル基を有してもよいフェニル基、qは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは1〜30の数を示す。)
(e)成分は、吐出性を向上するという優れた効果を発現する。
式(3)のモノマーに含まれるヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子
及び硫黄原子が挙げられる。
1の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
2O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
3の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜8の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基、炭素数1〜8のアルキル基を有していてもよいフェニル基が好ましく挙げられる。
(e)成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(3)中のqの値を示す。以下、同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテルが好ましい。
商業的に入手しうる(d)、(e)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G、同90G、同230G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE600B等が挙げられる。
上記(a)〜(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ビニルポリマー製造時における、上記(a)〜(e)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又はビニルポリマー中における(a)〜(e)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の保存安定性の観点から、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは4〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
(b)成分の含有量は、特に顔料との相互作用を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、印字濃度向上の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(d)成分の含有量は、得られる分散体の保存安定性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(e)成分の含有量は、吐出性向上の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物中における〔(a)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の保存安定性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。〔(a)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の保存安定性及び吐出性の観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。また、〔(a)成分+(d)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の保存安定性及び吐出性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、得られる分散体の分散安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
〔ポリマーの製造〕
前記ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明で用いられるポリマーの重量平均分子量は、彩度及びキナクリドン固溶体顔料(A)の保存安定性の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、2万〜30万が特に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、実施例で示す方法により測定した。
本発明で用いられるポリマーは、(a)塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価(HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
〔架橋剤(B)〕
本発明において架橋剤(B)としては、ポリマーを適度に架橋するため、分子中に2以上の反応性官能基を有する化合物が好ましく用いられる。架橋剤(B)の分子量は、反応のし易さ、及び得られる架橋ポリマー粒子の保存安定性の観点から、120〜2000が好ましく、150〜1500が更に好ましく、150〜1000が特に好ましい。
架橋剤(B)に含まれる反応性官能基の数は、分子量を制御して保存安定性を向上する観点から、2〜4が好ましく、2又は3が最も好ましい。反応性官能基としては、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、アミノ基、カルボキシ基、及びオキサゾリン基からなる群から選ばれる1以上が好ましく挙げられる。
架橋剤(B)は、効率よく、ポリマーを表面架橋し、保存安定性を高める観点から、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が好ましくは50g以下、更に好ましくは40g以下、より更に好ましくは30g以下である。
架橋剤(B)の具体例としては、次の(a)〜(e)が挙げられる。
(a)分子中に2以上の水酸基を有する化合物:例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングルコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルアルコール、ジエタノールアミン、トリジエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール。
(b)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(c)分子中に2以上のアルデヒド基を有する化合物:例えば、グルタールアルデヒド、グリオキザール等のポリアルデヒド。
(d)分子中に2以上のアミノ基を有する化合物:例えば、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン等のポリアミン。
(e)分子中に2以上のカルボキシ基を有する化合物:例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸の等多価カルボン酸。
これらの中では、(b)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
(f)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、脂肪族基又は芳香族基に2個以上、好ましくは2〜3個のオキサゾリン基が結合した化合物、より具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
本発明で用いられるポリマーは、架橋剤(B)と反応しうる反応性基(架橋性官能基)を有するが、両者の好適な組合せ例は、次のとおりである。
ポリマーの反応性基がカルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基等のアニオン性基の場合は、架橋剤(B)は前記(a)、(b)、(d)及び(f)化合物が好ましい。
ポリマーの反応性基がアミノ基の場合は、架橋剤(B)は前記(b)、(c)及び(e)化合物が好ましい。
ポリマーの反応性基が水酸基の場合は、架橋剤(B)は前記(c)及び(e)化合物が好ましい。
ポリマーの反応性基がイソシアネート基、エポキシ基の場合は、架橋剤(B)は前記(a)、(d)及び(e)化合物が好ましい。
上記の組合せの中では、ポリマーに適度な架橋構造を付与するように制御する観点から、架橋剤(B)が、ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有することが好ましく、(b)分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物との組合せが特に好ましい。
架橋剤(B)と反応しうる反応性基(架橋性官能基)として、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基等を有するポリマーは、上記したポリマーの製造において、該反応性基を有するモノマーを含む重合性モノマー組成物を共重合することによって製造することができる。
架橋剤(B)と反応しうる反応性基として、アニオン性基、アミノ基等の塩生成基を有するポリマーとしては、前述の塩生成基含有モノマーを共重合したポリマーを用いることができる。また、架橋剤(B)と反応しうる反応性基として水酸基を有するポリマーとしては、前述の水酸基含有モノマーを共重合したポリマーを用いることができる。
架橋剤(B)と反応しうる反応性基としてエポキシ基を有するポリマーとしては、エポキシ基を有するモノマー、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを共重合したポリマーを用いることができる。架橋剤(B)と反応しうる反応性基としてイソシアネート基を有するポリマーとしては、(i)イソシアネート基を有するモノマー、例えばイソシアネートエチル(メタ)アクリレートを共重合したポリマー、(ii)不飽和ポリエステルポリオールとイソシアネートから得られるイソシアネート末端プレポリマーを共重合したポリマー等を用いることができる。
〔キナクリドン固溶体顔料(A)を含有する架橋ポリマー粒子〕
キナクリドン固溶体顔料(A)を含有する架橋ポリマー粒子(以下「固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子」ともいう)は、彩度を満足しつつ、保存安定性を向上させるために用いられる。
本発明の2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料(A)を含有する、インクジェット記録用架橋ポリマー粒子は、該架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基を0.2mmol/g以上含有することを特徴とする。
塩基で中和されたアニオン性基の具体例としては、カルボキシイオン(−COOM1)、スルホン酸イオン(-SO31)、リン酸イオン(−PO31 2)等が挙げられる。
上記化学式中、M1は、同一でも異なってもよく、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム;モノメチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基;モノエチルアンモニウム基、;トリメタノールアンモニウム基等の有機アンモニウム等である。
塩基としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ水酸化物、アルカリ土類水酸化物、アミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン、塩基性アミノ酸等である。
塩基で中和されたアニオン性基は、解離して、アニオンのイオン同士の電荷反発により、架橋ポリマー粒子の安定性に寄与すると考えられる。
2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料(A)を含有する、インクジェット記録用架橋ポリマー粒子同士の電荷反発により、安定性を向上させる観点から、該架橋ポリマー1g当たりの塩基で中和されたアニオン性基(アニオン)の含有量は、0.2mmol/g以上、好ましくは0.5mmol/g以上、より好ましくは1.1mmol/g以上であり、その上限は、好ましく5mmol以下であり、より好ましくは3mmol以下であり、更に好ましくは1.7mmol以下である。これらの観点から、該含有量は、好ましくは0.2〜5mmol/g、より好ましくは0.5〜5mmol/g、更に好ましくは0.5〜3mmol/g、特に好ましくは1.1〜3mmol/g、最も好ましくは1.1〜1.7mmol/gである。
架橋ポリマー粒子の製造方法としては、保存安定性の観点から、キナクリドン固溶体顔料(A)とポリマーとを用いて、キナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子を得る工程Iと、工程Iで得られたキナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子と架橋剤(B)とを混合し、ポリマーを架橋させて、架橋ポリマー粒子を得る工程IIとにより製造する方法が好ましい。
前記工程I及び工程IIによる製造方法は、例えば、次の工程(1)〜(3)により行うことができる。
工程(1):ポリマー、有機溶媒、キナクリドン固溶体顔料(A)、水、及び必要に応じて中和剤を含有する混合物を分散処理して、キナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、キナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られたキナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子のポリマーを架橋剤(B)で架橋させて、固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(1)では、まず、前記ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次にキナクリドン固溶体顔料(A)、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。混合物中、キナクリドン固溶体顔料(A)は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましい。中和剤を用いて中和する場合の中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。好ましくは、水100gに対する溶解量が20℃において、好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上であり、より具体的には、好ましくは5〜80g、更に好ましくは10〜50gのものであり、特に、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけでポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(1)の分散は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃が更に好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間が更に好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー〔プライミクス株式会社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
工程(2)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去して水系にすることで、キナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られたポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されことが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよく、必要により架橋後に再除去すればよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
得られたキナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子の水分散体は、キナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマーの固体分が水を主溶媒とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくともキナクリドン固溶体顔料(A)とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、ポリマーにキナクリドン固溶体顔料(A)が内包された粒子形態、ポリマー中にキナクリドン固溶体顔料(A)が均一に分散された粒子形態、ポリマー粒子表面にキナクリドン固溶体顔料(A)が露出された粒子形態等が含まれる。
工程(3)では、彩度と保存安定性との観点から、キナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子と架橋剤(B)とを混合してポリマーを架橋させて固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子を得ることが好ましく、より具体的にはキナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子の水分散体と架橋剤(B)とを混合して、ポリマーを架橋させ、固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得る方法が好ましい。その際、ポリマーが水不溶性であり、架橋剤の水への溶解量が前記のとおりであることが、架橋効率及び表面架橋による保存安定性の観点から好ましい。
工程(3)では、用いる架橋剤(B)により、触媒、溶媒、温度、時間は適宜選択して決定することができる。架橋反応の時間は、好ましくは0.5〜10時間、更に好ましくは1〜5時間、架橋反応の温度は、好ましくは40〜95℃である。
架橋剤(B)(分子中に2以上の反応性官能基を有する化合物)の使用量は、保存安定性の観点から、〔架橋剤(B)/ポリマー〕の重量比で0.3/100〜35/100が好ましく、2/100〜30/100がより好ましく、5/100〜25/100が更に好ましく、5/100〜20/100が特に好ましい。
架橋ポリマー粒子の安定性の向上の観点から、架橋剤(B)が、ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有し、ポリマー1g当たりの架橋剤(B)の使用量が、ポリマーのアニオン性基0.1〜3mmol/gと反応する量が好ましく、0.2〜3mmol/gと反応する量がより好ましく、0.4〜2.5mmol/gと反応する量が更に好ましく、0.7〜2.5mmol/gと反応する量が特に好ましい。
また、ポリマーの架橋工程としては、工程(1)で得られたキナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子の分散体と架橋剤(B)とを混合して行うこともできる。この場合は、該架橋工程で得られた架橋ポリマー粒子の分散体から、有機溶媒を除去する工程を前記工程(2)と同様に行うことにより、固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。
ここで、下記式(4)から求められる架橋ポリマー粒子の架橋率(モル%)は、保存安定性の観点から、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜60モル%である。架橋率は、架橋剤(B)の使用量と反応性基のモル数、ポリマーの使用量と架橋剤(B)の反応性基と反応できるポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる値である。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数×100/ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数] (4)
式(4)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤の重量を反応性基の当量で除した値である。即ち、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
〔固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子を含有する水分散体、及び水系インク〕
本発明のインクジェット記録用水分散体は、固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子を含む水分散体であり、好ましくは、前記工程(1)〜(3)で得ることができる。
本発明の水分散体及び水系インク中におけるキナクリドン固溶体顔料(A)の含有率は、保存安定性、彩度、印字濃度を高める点から、1〜30重量%が好ましく、2〜20重量%がより好ましく、2〜15重量%が更に好ましい。
本発明に用いられるポリマーとキナクリドン固溶体顔料(A)との重量比〔ポリマー/キナクリドン固溶体顔料(A)〕については、保存安定性を高める観点から、10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることが更に好ましく、20/80〜50/50が特に好ましい。
本発明の水分散体はそのまま水系インクとして用いてもよいが、インクジェット記録用水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加してもよい。
インクジェット記録用水分散体及び水系インク中の固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子、及び水の含有量は、彩度及び保存安定性の観点から次のとおりである。
固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の含有量は、5〜40重量%が好ましく、5〜35重量%が更に好ましい。
水の含有量は、40〜80重量%が好ましく、50〜80重量%が更に好ましい。
本発明の固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子を含有する水分散体及び水系インクは、高濃度であっても、保存安定性に優れるため、高印字濃度で印刷できる。
インクジェット記録用水分散体中の顔料の含有量は、印字濃度と保存安定性の観点から、10〜40重量%が好ましく、15〜35重量%が更に好ましい。
インクジェット記録用水系インク中の顔料の含有量は、印字濃度と保存安定性の観点から、4〜20重量%が好ましく、5〜15重量%が更に好ましい。
得られる水分散体及び水系インクにおける固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径は、プリンターのノズルの目詰まり防止及び保存安定性の観点から、好ましくは10〜500nm、より好ましくは30〜300nm、特に好ましくは50〜200nmである。なお、平均粒径の測定は、実施例記載の方法で行う。
本発明の水分散体及び水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水分散体としては、好ましくは30〜70mN/m、更に好ましくは35〜68mN/mであり、水系インクとしては、好ましくは25〜50mN/m、更に好ましくは27〜45mN/mである。
水分散体の固形分10重量%における粘度(20℃)は、水系インクとした時に良好な粘度とするために、2〜6mPa・sが好ましく、2〜5mPa・sが更に好ましい。また、水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。また、水系インクのpHは4〜10が好ましい。
本発明の水系インクを適用するインクジェットの方式は制限されないが、特にピエゾ方式のインクジェットプリンターに好適である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、重量平均分子量、粘度、平均粒径の測定方法は以下のとおりである。
(1)ポリマーの重量平均分子量
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α-M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)粘度の測定
東機産業株式会社製の「RE80」のE型粘度計により、標準ローター(1°34′×R24)を使用し、測定温度20℃、測定時間1分、回転数100rpmの条件で測定した。
(3)固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径の測定
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。測定濃度は、約5×10-3重量%で行った。
製造例1〜3
反応容器内に、MEK20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示すモノマー混合物200部のうち10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマー混合物の残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、MEK60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量と酸価を表1に示す。なお、ポリマーの酸価(KOHmg/g)は、メタクリル酸の割合と分子量から算出することができる。
なお、表1に示すモノマーの詳細は、以下のとおりである。
・スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=9、末端メチル基):新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=9、末端水酸基):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500
Figure 0005123610
参考例1
<水分散体製造工程>
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をMEK(メチルエチルケトン)50部と混合し、その中にC.I.ピグメント・バイオレット19とC.I.ピグメントレッド202のキナクリドン固溶体顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19/C.I.ピグメントレッド202(重量比)=20/80)100部を加えよく混合し、更に5N水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水溶液を各々4.6部と3.9部(中和度60%)を加え、TKホモミクサー(プライミクス株式会社、商品名)を用いて5℃、7000rpm で60間攪拌した。得られた混合物をイオン交換水にて20%水溶液になるように希釈し、それをマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下、60℃でMEKを完全に除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の固溶体顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
<固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体製造工程>
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体100部(ポリマー4部)に対して架橋剤(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX−321、エポキシ当量140、水100gへの溶解量約27g(25℃))0.07部を加え、90℃で1時間よく攪拌した。1時間後、室温まで冷却し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、固形分濃度が20%の固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。
架橋ポリマー粒子の架橋率(モル%)の算出は、下記式(4)により行なった。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数×100/ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数] (4)
式(4)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤の重量をエポキシ当量で除した値である。
実施例1では、水不溶性ポリマー4部に架橋剤(デナコールEX−321、エポキシ当量140)0.07部を反応させる。従って、架橋剤の反応性基のモル数は、0.07/140=0.0005となる。
ここで、架橋剤(デナコールEX−321)は、カルボキシ基と反応するため、ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数は、ポリマーが有するメタクリル酸(分子量86)のモル数であり、
4×0.1/86=0.0046 となる。
よって、水不溶性架橋ポリマー粒子の架橋率は、0.0005×100/0.0046=10.9(モル%)となる。
塩基で中和されたアニオン性基(mmol/g)の量は、ポリマーの酸価が72、中和率が60%であるので、72/56×0.6×(4/4.07)=0.76mmol/g
ポリマー1g当たりの架橋剤の使用量は、アニオン性基量換算で、0.0005/4×1000=0.125mmol/gと反応する量である。
<インク製造工程>
得られた固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体40部に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル7部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)1部、プロキセルXL2(アビシア株式会社製)0.3部及びイオン交換水36部を混合し、20℃の粘度が4mPa・sとなるようにグリセリンと水を添加して合計が100部になるように調製した。得られた混合液を5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、水系インクを得た。
比較例1
参考例1において、固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体製造工程で架橋を行わなかった以外は、参考例1と同様にして水系インクを得た。
比較例2
参考例1において、固溶体顔料の代わりにC.I.ピグメントレッド122を用い、架橋を行わなかった以外は、参考例1と同様にして水系インクを得た。
実施例
参考例1において、架橋剤を0.14部使用した以外は、参考例1と同様にして水系インクを得た。
実施例
参考例1において、製造例2のポリマーを用い、水分散体製造工程における中和度を49%とし、固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体製造工程におけるポリマーの架橋率が51モル%となるように架橋剤を使用した以外は、参考例1と同様にして水系インクを得た。
実施例
参考例1において、製造例3のポリマーを用い、固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体製造工程におけるポリマーの架橋率が36モル%となるように架橋剤を使用した以外は、参考例1と同様にして水系インクを得た。
参考
参考例1において、製造例2のポリマーを用い、水分散体製造工程における中和度を10%とし、固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体製造工程におけるポリマーの架橋率が90モル%となるように架橋剤を使用した以外は、実施例と同様にして水系インクを得た。
実施例
参考例1において、顔料をC.I.ピグメント・バイオレット19とC.I.ピグメントレッド122のキナクリドン固溶体顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19/C.I.ピグメントレッド122(重量比)=90/10)に変更し、架橋剤0.14部を使用した以外は、参考例1と同様にして水系インクを得た。
実施例
参考例1において、顔料をC.I.ピグメント・バイオレット19とC.I.ピグメントレッド122のキナクリドン固溶体顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19/C.I.ピグメントレッド122(重量比)=80/20)に変更し、架橋剤0.14部を使用した以外は、参考例1と同様にして水系インクを得た。
次に、実施例1〜5、参考例1〜2及び比較例1〜2で得られた水系インクについて、保存安定性及び彩度を以下の方法により評価した。結果を表2に示す。
(1)保存安定性
密閉された実施例記載のインクを70℃で一週間放置し、前記の固溶体顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径の測定方法により、それらの変化率を測定した。
評価は、平均粒径の変化率が±5%以内であれば◎、±10%以内であれば〇、±20%以内であれば△、さらに±20%を超える場合を×とした。△以上が実使用可能な領域である。
(2)彩度
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C)を用いて、市販の上質普通紙(ゼロックス株式会社製、商品名: XEROX4024)にベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン〕し、25℃で24時間放置後、光学濃度計SpectroEye(グレタグマクベス社製)を測定モードL***に設定し、印字物(5.1cm×8.0cm)の中心及び四隅の計5点を測定して平均値を求め、その平均値から彩度を算出した。彩度とは、色のあざやかさの程度を表す尺度であり、等しい明るさの無彩色からの距離で表す。ここでは、彩度を、下記式で示すように、L***表色系(ここで、L*は明度、a*は赤−緑方向の色度、b*は黄−青方向の色度を示す。)で、中心(a**が共に0の位置:無彩色)からの距離で表す。
彩度={(a*2+(b*21/2
彩度は58以上が好ましい。
Figure 0005123610
表2から、実施例1〜の水系インクは、比較例1の水系インクに比べて、保存安定性が優れ、比較例2の水系インクに比べて彩度が優れていることが分かる。特に実施例の保存安定性が優れる。

Claims (8)

  1. 2種以上のキナクリドン系化合物を含むキナクリドン固溶体顔料(A)を含有する架橋ポリマー粒子であって、該架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基を0.2〜5mmol/g含し、架橋ポリマーの架橋率が20〜80モル%である、インクジェット記録用架橋ポリマー粒子。
  2. キナクリドン固溶体顔料(A)を含有するポリマー粒子と架橋剤(B)とを混合し、該ポリマーを架橋して得られる、請求項1に記載のインクジェット記録用架橋ポリマー粒子。
  3. 架橋剤(B)が、ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有し、ポリマー1g当たりの架橋剤(B)の使用量が、該ポリマーのアニオン性基0.1〜3mmol/gと反応する量である、請求項に記載のインクジェット記録用架橋ポリマー粒子。
  4. キナクリドン固溶体顔料(A)が、無置換キナクリドンとジメチル置換キナクリドンとの固溶体顔料及び/又は無置換キナクリドンとジクロル置換キナクリドンとの固溶体顔料である、請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用架橋ポリマー粒子。
  5. ポリマーが、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下の水不溶性ビニル系グラフトポリマーである、請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用架橋ポリマー粒子。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用架橋ポリマー粒子を含有する、インクジェット記録用水分散体。
  7. 請求項に記載の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
  8. 顔料の含有量が4〜20重量%である、請求項に記載のインクジェット記録用水系インク。
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