JP2005120265A - 水性顔料分散体及び水性顔料記録液 - Google Patents

水性顔料分散体及び水性顔料記録液 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐候性に優れα型インダンスロンブルー顔料より赤味で深みがある青色画像が得られ、多色印刷時には耐候性に優れより高彩度のフルカラー画像が得られる水性顔料記録液及びこの様な水性顔料記録液が容易に得られる水性顔料分散体を提供する。
【解決手段】 インダンスロンブルー顔料と、アニオン性基含有有機高分子化合物とを含み、分散粒子が平均粒子径200nm以下に微分散されている水性顔料記録液用水性顔料分散体において、インダンスロンブルー顔料が、δ型インダンスロンブルー顔料であることを特徴とする水性顔料記録液用水性顔料分散体、及び前記水性顔料分散体を含有する水性顔料記録液。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐候性に優れより赤味で深みがある青色画像が得られ、多色印刷時には耐候性に優れより高彩度のフルカラー画像が得られる水性顔料記録液、及びそれが容易に得られる水性顔料分散体に関する。
インクジェット記録用水性インクに代表される水性顔料記録液を調製するための水性顔料分散体としては、顔料とアルカリ可溶型樹脂分散剤と界面活性剤と水とを含有する水性顔料分散体が知られている。赤味の青色画像を得るに当たっては、従来から銅フタロシアニン顔料とジオキサジンバイオレット顔料とを混合し調色した混合顔料が用いられているが、この混合により色くすみが発生したり、耐候性が不充分となるという欠点を有している。
混合顔料に固有な欠点のない水性顔料分散体の調製には、異なる二種の顔料を混合して用いずに一つの顔料を単独で用いることが有効である。赤味の青色を呈する水性顔料分散体を調製するための青色系顔料として、インダンスロン系の有機顔料を用いることが知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、インダンスロン系の有機顔料として、C.I.Vat Blue 4 及び同6を用いて水性顔料分散体とインクジェット記録用水性インクが製造できることが記載されており、具体的にその実施例13では、α型の結晶型であるC.I.Vat Blue 4 を用いて水性顔料分散体とインクジェット記録用水性インクが製造されている。
このC.I.Vat Blue 4 は、C.I.Pigment Blue 60と呼称こそ相違するが、同一化学構造の同一インダンスロン系の有機顔料である。またこの顔料は、結晶多型であり、結晶型としては、前記特許文献1で用いられているα型の他に、β型、γ型さらにδ型の結晶型があることが知られている(非特許文献1参照)。
しかしながら、インクジェット記録用水性インクに適用されたインダンスロン系の有機顔料は、前記した様なα型結晶のC.I.Pigment Blue 60だけであって、これらの各種結晶型のインダンスロンブルー顔料中で、どの結晶型の同顔料がインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液に適したものであるかについては、未だ詳しい技術的検討はなされていないのが実状である。前記特許文献1で用いられているα型インダンスロンブルー顔料より赤味で深みのある青色画像が得られ、多色印刷時にはより高彩度のフルカラー画像が得られる水性顔料記録液が求められている。
特開平8−73787号公報(第2頁左欄特許請求の範囲、第3頁段落番号0006、第6頁段落番号0044〜0046及び第8頁段落番号0068) DIC Technical Review 編集委員会,DIC Technical Review 2000 No.6, 大日本インキ化学工業株式会社, 2000年6月8日,p.62〜63.
本発明は、耐候性に優れα型インダンスロンブルー顔料より赤味で深みがある青色画像が得られ、多色印刷時には耐候性に優れより高彩度のフルカラー画像が得られる水性顔料記録液を提供すること及びこの様な水性顔料記録液が容易に得られる水性顔料分散体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記実状に鑑みて鋭意検討したところ、結晶多型のインダンスロンブルー顔料のうち、δ型インダンスロンブルー顔料が上記課題を解決できることを見い出し本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、インダンスロンブルー顔料と、アニオン性基含有有機高分子化合物とを含み、分散粒子が平均粒子径200nm以下に微分散されている水性顔料記録液用水性顔料分散体において、インダンスロンブルー顔料が、δ型インダンスロンブルー顔料であることを特徴とする水性顔料記録液用水性顔料分散体を提供する。
また本発明は、前記水性顔料分散体を含有する水性顔料記録液を提供する。
本発明の水性顔料記録液は、インダンスロンブルー顔料としてδ型インダンスロンブルー顔料を含むので、従来のα型インダンスロンブルー顔料と同等以上の耐候性でありより赤味で深みのある青色画像が得られ、多色印刷時にも良好な耐候性を有しかつより高彩度のフルカラー画像が得られるという格別顕著な効果を奏する。
インダンスロンブルー顔料は、下記一般式(1)で表されるインダンスロンブルー顔料である。顔料のこの様な化学構造は、核磁気共鳴スペクトル、赤外線吸収スペクトル等の測定により、容易に同定することが出来る。
式(1)
Figure 2005120265
インダンスロンブルー顔料は結晶多型であり、結晶型としては、α型、β型、γ型及びδ型が知られている。しかしながら、現在市販されているインダンスロンブルー顔料は、α型とδ型の結晶型を有するものだけである。両結晶型の顔料の色相を比較すると、例えば、白希釈の系ではδ型顔料の方がα型顔料よりも赤味の青で特徴的な色相を有していることを容易に確認出来る。そこで本発明では、インクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液を得るための水性顔料分散液の調製に、初めてこのような特徴的な色相を有するδ型の結晶型を有するインダンスロンブルー顔料を選択して用いる様にした。
結晶型の観点から、α型インダンスロンブルー顔料とδ型のそれの各粉末X線回折図におけるピークを下記する。結晶型がδ型のインダンスロンブルー顔料は、CuKα特性X線(波長0.1541nm)で測定した粉末X線回折図によるブラッグ角2θ=6.3°,13.0°に特徴的なピークが存在し、α型のそれと明確に異なっている。
Figure 2005120265
δ型インダンスロンブルー顔料は、例えば、PBレポート85172、国際公開特許公報WO96/05255及び特開平11−106671号公報等に記載の方法により製造することが出来る。
本発明で用いる好適なδ型インダンスロンブルー顔料は、例えば次の様にして製造することが出来る。まず粗製インダンスロンブルーを硫酸又はその溶液に溶解又は分散させた後、硫酸濃度を79〜86重量%に調整し、これを水と混合してδ型インダンスロンブルー粗顔料を得る。なお、場合によっては、粗製インダンスロンブルーを硫酸又はその溶液に溶解又は分散させた後に、アルミニウムは亜鉛のようなイオン化傾向が水素よりも大きな金属を添加し、粗製インダンスロンブルーの一部を還元しても構わない。このようにして得られたδ型インダンスロンブルー粗顔料を顔料化することによりδ型インダンスロンブルー顔料を得ることができる。具体的には、得られたδ型インダンスロンブルー粗顔料を濾別し、δ型インダンスロンブルー粗顔料を水及び/又はiso−プロパノール、n−ブタノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、の様な有機溶剤と混合し、金属ビースやガラスビーズの様な粉砕媒介物の存在下で湿式微粉砕することで顔料化する方法、あるいは得られたδ型インダンスロンブルー粗顔料をろ過、洗浄、乾燥させた後に、粗顔料をジエチレングリコールの様な有機顔料と混合し、無機塩の様な粉砕媒介物の存在下で湿式微粉砕することで顔料化する方法、などにより顔料化しろ過した後、洗浄工程を経て製造することができる。
本発明で用いられるδ型インダンスロンブルー顔料は、粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でも、ウェットケーキ状やスラリー状であっても良い。
本発明で用いられるδ型インダンスロンブルー顔料は、粉体として前記したX線回折図によるピークを示し、平均粒子径が0.02〜0.1μmであり、イオン交換水による抽出液の比電導度≦120μS/cmであることが好ましい。
尚、本発明における顔料の平均粒子径は、日本電子(株)製透過型電子顕微鏡(型式:JEM−2010)にて倍率60,000倍で撮影した写真より抽出した顔料粒子50個について個々の長径を計測した際の平均値である。比電導度は、JIS K5101(1991)のpH値煮沸法に従って得た試料について、東亜電波工業(株)製電導度計(型式:CONDUCT METER CM−2A)にて計測した際の値である。
この様な特性を有する粉体のδ型インダンスロンブルー顔料としては、大日本インキ化学工業株式会社製FASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101がある。
本発明の水性顔料分散体は、δ型インダンスロンブルー顔料と、アニオン性基含有有機高分子化合物とを含み、分散粒子が平均粒子径200nm以下に微分散されている水性顔料記録液用水性顔料分散体である。分散粒子は、平均粒子径30〜200nmなかでも50〜150nmであることがインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液の調製に好ましい。本発明における水性顔料分散体中の分散粒子の平均粒子径は、レーザードップラ式粒度分析計で測定したメディアン径である。
本発明の水性顔料分散体の形態には、例えば、分散粒子として、δ型インダンスロンブルー顔料粒子とアニオン性基含有有機高分子化合物の粒子とが水性媒体に分散した水性顔料分散体、δ型インダンスロンブルー顔料粒子が中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子として水性媒体に分散した水性顔料分散体、等が含まれる。
δ型インダンスロンブルー顔料は、それ自体の媒体中への分散性や媒体中の分散安定性があまり良好でないことが多いため、水性媒体中の分散粒子を後者の様な複合粒子とすることで、これらの特性を大きく改善することが出来る。従って、本発明の水性顔料分散体としては、分散粒子の沈降や凝集が起こりにくく、経時或いは過酷な条件下における分散安定性に優れる点で、形態としては後者の水性顔料分散体であることが好ましい。後記する水性顔料記録液からフルカラー画像を得るに当たって、青色以外の色の水性顔料分散体や水性顔料記録液を調製した際、それらと本発明の青色の水性顔料分散体や水性顔料記録液の分散安定性を略同等と出来る点でも好ましい。各色の水性顔料分散体や水性顔料記録液の個々の分散安定性が異なると、一部だけを分散安定性に問題がないものに置き換える必要が出てくる等、都合が悪い。
この様な好ましい水性顔料分散体は、δ型インダンスロンブルー顔料を、アニオン性基含有有機高分子化合物で被覆して複合粒子となる様に、かつそのアニオン性が中和される様にして、既に公知の各種分散装置を用いて、水性媒体中に分散することにより製造することができる。
本発明の水性顔料分散体の調製に用いることのできるアニオン性基含有有機高分子化合物は、アニオン性基を有していれば特に限定されるものではなく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。ビニル樹脂は、例えば、カルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基等を含有するアニオン性基含有モノマーとこれらアニオン性基含有モノマーと共重合し得るその他のモノマーを共重合させることで得られる。原料の入手のしやすさ、価格等を考慮すると、カルボキシル基またはスルホン基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物が好ましく、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できる点でカルボキシル基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物が特に好ましい。
このアニオン性基含有有機高分子化合物としては、例えば、架橋部分を有していてもよいアニオン性基含有有機高分子化合物がある。
本発明において、好適なアニオン性基含有有機高分子化合物は、アニオン性基がカルボキシル基及びカルボキシラート基の両方を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物である。中でも入手や製造の容易さからビニル樹脂がより好ましく、特に(メタ)アクリル酸とスチレン及び/又は(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が最も好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートの様な(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートの様な芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。本発明においては、アクリル酸とメタアクリル酸を併せて(メタ)アクリル酸と称する。(メタ)アクリレートについても同様である。
かかるビニル樹脂は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することができる。
本発明に用いられるアニオン性基含有有機高分子化合物の重量平均分子量は2,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、5,000〜50,000の範囲にあることが特に好ましい。重量平均分子量が小さすぎると水性顔料分散体自体の分散安定性が低下し、大きすぎると分散体の粘度が高くなるだけでなく、分散性が低下する傾向が認められる。また重量平均分子量が小さすぎたり大きすぎる場合には、例えばインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液に適用した場合に、印字特性に関して悪影響を及ぼし、長期間安定した印字を行わせることが困難になる傾向にある。
また本発明に用いられるアニオン性基含有有機高分子化合物の酸価およびガラス転移点はそれぞれ30〜220mgKOH/gおよび−20〜100℃の範囲にあることが好ましい。酸価が低すぎる場合には水性顔料分散体の分散性や分散安定性が低下し、またインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液に適用した場合の印字安定性が悪くなる傾向がある。酸価が高すぎる場合には、インクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液に適用した場合に画像の耐水性が低下する傾向がある。ガラス転移点が高すぎる場合には安定した印字が得にくく、低すぎる場合には耐摩擦性、耐棒積み性等の画像保存性が低下する傾向がある。
本発明の水性顔料分散体中におけるアニオン性基含有有機高分子化合物は、アニオン性基の少なくとも一部が塩基性物質によってイオン化された形態をとっていることが分散性、分散安定性の発現のうえで好ましい。アニオン性基のうちイオン化された基の最適割合は、用いるアニオン性基含有有機高分子化合物の組成、分子量、酸価等により変化するため一意的に限定されるものではないが、所望の分散性、分散安定性が発現される範囲であればよく、通常30〜100%、特に70〜100%の範囲に設定されることが好ましい。このイオン化された基の割合はアニオン性基と塩基性物質のモル比を意味しているのではなく、解離平衡を考慮に入れたものである。例えばアニオン性基がカルボキシル基の場合、化学量論的に等量の強塩基性物質を用いても解離平衡によりイオン化された基の割合は100%未満であって、中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物のアニオン性基は、カルボキシラート基及びカルボキシル基の混在状態である。
このように、アニオン性基含有有機高分子化合物の、アニオン性基の少なくとも一部を中和してイオン化するために用いる塩基性物質としては、公知慣用のものが挙げられが、例えばアンモニア、第一級、第二級もしくは第三級の有機アミン(塩基性含窒素複素環化合物を含む)、水酸化アルカリ金属からなる群から選ばれる化合物が好適には挙げられる。これらの例示した好適な塩基性物質でアニオン性基の少なくとも一部をイオン化することにより、カルボキシラート基の対イオンは、アンモニウムイオン(塩基性含窒素複素環化合物のプロトン化カチオンを含む)、アルカリ金属イオンからなる群から選ばれるカチオンとなる。
本発明の水性顔料分散体におけるδ型インダンスロンブルー顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物との比率は、質量換算で前記顔料100部に対してアニオン性基含有有機高分子化合物(不揮発分換算)10〜200部、中でも30〜100部であることが好ましい。アニオン性基含有有機高分子化合物の比率が低すぎる場合には水性顔料記録液として用いた場合の着色画像の耐摩擦性が低下し、逆に高すぎる場合には水性顔料記録液を調製した場合に粘度が高くなる傾向が認められる。
本発明の水性顔料分散体は、少なくともδ型インダンスロンブルー顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質および水からなる混合物を分散する工程、及び前記顔料の粒子を中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆し複合粒子となし水性媒体に分散する工程を必須工程として含むプロセスによって製造することができる。前記顔料の粒子を中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆し複合粒子となし水性媒体に分散するには、例えば、後に詳記する蒸留工程、酸析工程、濾過工程、再分散工程をこの順に行えば良い。
本発明の水性顔料分散体の製造プロセスに組み込み得る前記工程以外の工程の例としては、予備分散工程、溶解工程、希釈工程、遠心分離工程、pH調整工程、充填工程等が挙げられる。また必要であれば、顔料等の分散性や分散粒子の分散安定性の向上のための操作、例えば超音波照射を、水性顔料分散体や後記する水性顔料記録液を調製する任意の工程と同時に行うことも出来る。
予備分散工程の例には、溶液状態または溶融状態のアニオン性含有有機高分子化合物と前記顔料を混合、分散し、スラリー状、ペースト状もしくはマスターバッチまたはチップと呼ばれる固体状態にする工程等がある。溶解工程の例には、固体状のアニオン性基含有有機高分子化合物を有機溶剤、好ましくは水溶性有機溶剤中、または塩基性物質を含む水性媒体中に溶解させる工程、もしくはアニオン性基含有有機高分子化合物の水溶性有機溶剤溶液を塩基性物質を含む水性媒体中に溶解させる工程等がある。
本発明では、前記顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質および水からなる混合物を分散する工程を必須として含ませる。この混合物には水溶性有機溶剤を含めるのが好ましい。より具体的には、少なくとも前記顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質、水溶性有機溶剤および水からなる混合物を分散する工程を含ませることが好ましい。
蒸留工程の例には、分散工程において有機溶剤を使用した場合にこれを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程等がある。遠心分離工程の例には、水性顔料記録液としての使用適性に悪影響を及ぼす分散体中の粗大粒子を除去する工程等がある。
本発明の水性顔料分散体では、分散到達レベル、分散所要時間および分散安定性の全ての面でより優れた特性を発揮させるため、前記顔料の粒子がアニオン性基含有有機高分子化合物によって被覆された複合粒子となる様にし、かつそのアニオン性基含有有機高分子化合物のアニオン性基が中和される様にして、この複合粒子が水性分散体中に分散する状態を形成させることが好ましい。
アニオン性基含有有機高分子化合物で前記顔料の粒子を被覆させるには、塩基性物質によりアルカリ性となすことで水性媒体中に溶解又は分散させたアニオン性基含有有機高分子化合物を、それを含む溶液を酸性化することにより析出させることが好ましい。この工程を酸析工程という。
酸析工程の例には、分散工程で得られた水性顔料分散体に塩酸、硫酸、酢酸等の酸性物質を加えて酸性化し、アニオン性基含有有機高分子化合物を前記顔料の粒子表面に析出させる工程等がある。この工程により顔料粒子とアニオン性基含有有機高分子化合物との相互作用を高めることができる。
濾過工程の例には、遠心分離工程と同様に分散体中の粗大粒子をカートリッジフィルターやメンブランフィルターにより除去する工程、前述した酸析工程後に固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。
再分散工程の例には、酸析工程、濾過工程によって得られた固形分に塩基性物質および必要により水や添加物を加えて再び分散体とする工程がある。それによりアニオン性基含有有機高分子化合物中のイオン化したアニオン性基の対イオンを分散工程で用いたものから変更することができる。
分散工程においては水溶性有機溶剤を併用することができ、それにより分散工程における液粘度を低下させることができる場合がある。水溶性有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤はアニオン性基含有有機高分子化合物溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い
分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式を採ることができる。
上記した通り、本発明において、アニオン性含有有機高分子化合物としては、架橋部分を有するアニオン性含有有機高分子化合物を用いることができる。但し、後記する水性顔料記録液の用途においては、高度な分散安定性が要求される場合が多く、予め架橋を完了させておいて、搬送時、保管時、実使用時(記録時)には架橋反応が起こらないようにしておくのが好ましい。
本発明においてアニオン性基含有有機高分子化合物が架橋性基を含有する場合、即ち前記有機高分子化合物が、例えば、2,3−エポキシプロピル、2,3−エポキシブチル、2,3−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基をアニオン性基の他に更に含有する有機高分子化合物である場合には、水性顔料分散体の製造プロセスにおいて、分散工程以降の任意の段階で開環反応させ、架橋させることができる。開環反応温度は80〜140℃程度が好ましい。反応温度は低すぎる場合には反応速度が遅く、反応完結に長時間を要するため、顔料粒子同士が融着して凝集体を形成しやすくなる。反応温度が高すぎる場合には、顔料粒子同士の融着や顔料粒子自体の成長が起こり、いずれにしても好ましくない。反応温度が分散体の沸点より高くなる場合には加圧反応装置を用いる必要がある。
こうして得られた本発明の水性顔料分散体は、前記顔料の粒子がアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子を含有するものであって、そのアニオン性基は塩基性物質により中和されており、それに基づく分散粒子は平均粒子径200nm以下となる。前記複合粒子は、顔料としてδ型インダンスロンブルー顔料のみを含有していても良いが、本発明の効果を損なわない範囲において、必要であればその他の青色有機顔料を含有させることもできる。この際の青色有機顔料としては、δ型インダンスロンブルー顔料と同等又はそれよりも赤味の青色であり、δ型インダンスロンブルー顔料と同等以上の耐候性を有する青色有機顔料を併用することが好ましい。
本発明の水性顔料記録液は、前記の様にして得た水性顔料分散体を含有するものであり、水性顔料分散体に、例えば、水溶性有機溶剤、水等を混合することで調製される。前記した様な顔料の濃度が高い水性顔料分散体を、質量換算で前記顔料が1〜8%となる様にすることで、水性顔料記録液とすることが出来る。必要に応じて、この様な水性顔料記録液には、界面活性剤、水溶性樹脂、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤等を添加することもできる。
水性顔料記録液の調製に用いることのできる水溶性有機溶剤としては、前記したものの他、例えば、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エタノール等のアルコール類;1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2'−オキシビスエタノール、2,2'−エチレンジオキシビス(エタノール)、チオジエタノール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール類;ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド類;メチルn−ブチルケトン等のケトン類;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2,2'−オキシビス(2−メトキシエタン)、2,2'−オキシビス(2−エトキシエタン)、2,2'−エチレンジオキシビス(2−メトキシエタン)、2,2'−エチレンジオキシビス(2−メトキシエタン)等のエーテル類が挙げられる。水性顔料記録液中の水溶性有機溶剤の含有割合は、質量換算で50%以下が好ましく、5〜40%の範囲とすることが特に好ましい。
本発明の水性顔料記録液に添加しても良い界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、非イオン性のいずれでも良い。
このアニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ベンゼンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、ポリオキシエチレン硫酸エステル塩類、リン酸エステル塩類等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。
両性イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン類、アミンオキシド類等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンフェニルエーテル類、オキシラン重合体類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビトール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤の中でもHLBが14以上のものが特に好ましい。
本発明の水性顔料記録液に添加されても良い水溶性樹脂としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
水溶性樹脂は、定着性や粘度調節、速乾性を挙げる目的で、必要に応じて使用されるものであり、水性顔料記録液に使用する場合の記録液中の水溶性樹脂の含有割合は、質量換算で0〜30%が好ましく、0〜20%が特に好ましい。
本発明の水性顔料記録液は、サインペン、マーカー等の文具類や各種プリンタ、プロッタ類のインクとして好適に使用することができ、とりわけ、その優れた分散性、分散安定性を生かしてインクジェット記録用水性インクとして好適に使用することができる。
本発明の水性顔料記録液から得られる青色画像は、従来のα型インダンスロンブルー顔料から得られる画像に比べてより赤味で深みのある青色であり、銅フタロシアニン顔料とジオキサジンバイオレット顔料との調色による混合顔料で問題となる経時色別れや耐候性不良等の問題も起こりにくい。δ型インダンスロンブルー顔料は、Cab表色系において、C値が大きいため、青色の範囲内で調色する場合でも従来の青色顔料に比べれば、色再現域をより広くすることができる。
インクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液で多色印刷を行う際には、黄色(イエロー;Y)、赤色(マゼンタ;M)、青色(シアン;C)及び黒色(K)の各水性顔料記録液を組み合わせて着色画像の色出しを行っている。この際に用いられるYMC各色の有機顔料の組み合わせとしては、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Red 122及びC.I.Pigment Blue 15:3の組み合わせが一般的である。より赤味の青色の画像を表示できる本発明の水性顔料記録液は、従来とは異なるYM各色の有機顔料の水性顔料記録液との組み合わせ、例えば、C.I.Pigment Yellow 128又は同138を含有する水性顔料記録液、C.I.Pigment Violet 19を含有する水性顔料記録液との組み合わせにより、従来の組み合わせに比べて、多色印刷時に耐候性に優れより高彩度のフルカラー画像を得ることができる。
本発明の水性顔料記録液に組み合わせるYMK各色の水性顔料記録液は、いずれの水性顔料記録液においても、分散粒子が前記した様な複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料記録液であることが最も好ましい。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、いずれも質量基準である。
<合成例1>(アニオン性基含有有機高分子化合物A−1の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン1,100部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸2−ヒドロキシエチル75.0部、メタアクリル酸138.0部、スチレン200.0部、メタクリル酸ベンジル300.0部、メタアクリル酸ブチル262部、アクリル酸ブチル25部および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)80.0部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、酸価90、重量平均分子量21,500、ガラス転移点(計算値)34℃のアニオン性基含有有機高分子化合物溶液を得た。反応終了後、メチルエチルケトンの一部を減圧留去し、樹脂溶液の不揮発分を50%に調整した。
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、FASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101(大日本インキ化学工業株式会社製δ型インダンスロンブルー顔料。平均粒子径40nm、比電導度70μS/cm)の1000部と、合成例1で得たアニオン性基含有有機高分子化合物の有機溶剤溶液400部、20%水酸化ナトリウム水溶液64部、メチルエチルケトン300部および水2236部、を仕込み、攪拌、混合した。混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)により6時間分散した。分散装置の回転数は2,700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。
分散終了後、混合槽より分散原液を抜き採り、次いで水10,000部で混合槽および分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。
ガラス製蒸留装置に希釈分散液を入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。室温まで放冷後、攪拌しながら10%塩酸を滴下してpH4.5に調整したのち、固形分をヌッチェ式濾過装置で濾過、水洗した。ケーキを容器に採り、20%水酸化カリウム水溶液80部を加えた後、ディスパ(TKホモディスパ20型、特殊機化工業(株)製)にて分散し、さらに水を加えて不揮発分を調整して、不揮発分20%の、δ型インダンスロンブルー顔料がカリウム原子で中和されたカルボキシル基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散体を得た。水性媒体中の分散粒子はの平均粒子径は200nm以下であった。
〈比較例1〉
FASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101の1000部の代わりにCROMOPHTAL(登録商標) Blue A3R(チバスペシャリティケミカルズ社製α型インダンスロンブルー顔料)の同量を用いた以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の、α型インダンスロンブルー顔料がカリウム原子で中和されたカルボキシル基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散体を得た。
〈比較例2〉
FASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101の1000部の代わりにFASTOGEN(登録商標) Blue 5380(大日本インキ化学工業株式会社製β型銅フタロシアニン顔料。C.I.Pigment Blue 15:3)の同量を用いた以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の、β型銅フタロシアニン顔料がカリウム原子で中和されたカルボキシル基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散体を得た。
またFASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101の1000部の代わりにFASTOGEN(登録商標) Super Violet RXS(大日本インキ化学工業株式会社製ジオキサンジンバイオレット顔料。C.I.Pigment Violet 23)の同量を用いた以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の、ジオキサジンバイレット顔料がカリウム原子で中和されたカルボキシル基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散体を得た。
前記二つの水性顔料分散体を実施例1の水性顔料分散体の色相と一致する様に混合して、調色された水性顔料分散体を得た。
〈比較例3〉
FASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101の代わりにFASTOGEN(登録商標) Blue 5380を用い、かつFASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101の代わりにFASTOGEN(登録商標) Super Violet RXSを用いて、実施例1の水性顔料分散体の色相と一致する様に、各顔料同士を混合し調色して混合顔料を得た。
FASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101の1000部の代わりに前記混合顔料の同量を用いた以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の、β型銅フタロシアニン顔料とジオキサジンバイオレット顔料とがカリウム原子で中和されたカルボキシル基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散体を得た。
(ピエゾ方式インクジェット記録用水性インクの適性評価)
特開平7−228808号公報記載の実施例1を参考にしてピエゾ方式インクジェット記録用水性インクを調製した。インク組成を以下に示す。
実施例及び比較例の各水性顔料分散体 25.0部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0部
ジエチレングリコール 15.0部
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 0.8部
水 49.2部
このようにして上記実施例及び比較例にて調製した各インクについて、初期の着色画像の色相評価を行うと共に、分散安定性の評価のために貯蔵安定性試験を、また耐候性の評価のため耐光性試験を各々実施した。
まず貯蔵安定性試験においては、調製直後および70℃の恒温槽中で3日間貯蔵後に平均粒子径を測定し、試験前後で分散粒子の平均粒子径に変化があるか否かを確認した。平均粒子径はレーザードップラ式粒度分析計マイクロトラック(UPA150型、リーズ&ノースロップ社製)で測定したメディアン径をもって平均粒子径とした。
評価基準
○:分散粒子の平均粒子径にほとんど変化はない。
△:分散粒子の平均粒子径が増大した。
×:分散粒子の平均粒子径が著しく増大した、又は、分散粒子の沈降や凝集が見られる。
また、前記貯蔵安定性試験実施前のインクを用い、ピエゾ方式のインクジェットプリンタ(MJ−8000C型、セイコーエプソン(株)製)にてインクジェット専用紙HR−101s(キャノン(株)製)に印字を行った。得られた印字物を耐光試験機(FAL−5H型、(株)スガ試験機製)で100時間の耐光試験を行い、試験前後の印字濃度を比較した。印字濃度はグレタグ濃度計(D196型、グレタグ社製)を用いてブルースケールにて測定した。
色相変化は、データカラー社製SPECTRA FLASH 500を用い、試験前後の色相をD65光源、視野角10度で測定し評価した。
評価基準
○:色相変化はほとんど見られない。
×:色相変化が著しい。
各評価結果を表1に示す。表1から分かるように、本実施例で得られた水性顔料分散体から調製した水性顔料記録液は、分散安定性に優れ、色相が赤味の青色であり、印字物の着色画像の耐候性に優れたものであった。
表 1
Figure 2005120265
上記実施例1と比較例1との対比によれば、δ型インダンスロンブルー顔料を含む実施例1の水性顔料記録液は、α型インダンスロンブルー顔料を含む比較例1の水性顔料記録液と同等の耐候性を有し、それに比べてより強い赤味の青色の画像が得られていることがわかる。実施例1と比較例2及び3との対比によれば、δ型インダンスロンブルー顔料を含む実施例1の水性顔料記録液は、銅フタロシアニン顔料とジオキサジンバイオレット顔料とを含む比較例2及び3の水性顔料記録液と同様の色相を有しているが、耐候性が不充分な画像しか得られていないことがわかる。
尚、δ型インダンスロンブルー顔料が中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散液から調製された本発明の水性顔料記録液は、δ型インダンスロンブルー顔料と、中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物とが別個に独立して水性媒体中に分散した水性顔料分散体から調製された水性顔料記録液に比べて、より高温での長期間放置後における分散粒子の粒子径の増大が起こりにくく、発色性や耐光性にも優れていた。
実施例1におけるFASTOGEN(登録商標)Super Blue 6101に代えて、市販C.I.Pigment Yellow 128及び市販C.I.Pigment Violet 19を用いる以外は実施例1と同様にして、前記各顔料が中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子として水性媒体に分散した、黄色及び赤色の各水性顔料分散体並びに各インクジェット記録用水性インクを調製して、実施例1で得た水性顔料分散体から調製したインクジェット記録用水性インクと組み合わせて、フルカラー印刷を行った。従来の各色インクの組み合わせに比べて、多色印刷時に耐候性に優れより高彩度のフルカラー画像が得られた。
本発明の水性顔料記録液は、耐候性に優れより赤味の青色画像が得られるので、各種文具類や各種プリンタ、プロッタ類のインクとして好適に使用することができ、とりわけ、その微細な分散粒子径を生かしてインクジェット記録用水性インクとして好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. インダンスロンブルー顔料と、アニオン性基含有有機高分子化合物とを含み、分散粒子が平均粒子径200nm以下に微分散されている水性顔料記録液用水性顔料分散体において、インダンスロンブルー顔料が、δ型インダンスロンブルー顔料であることを特徴とする水性顔料記録液用水性顔料分散体。
  2. 分散粒子が、δ型インダンスロンブルー顔料が中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子である請求項1記載の水性顔料分散体。
  3. 請求項1又は2記載の水性顔料分散体を含有する水性顔料記録液。

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