JP2004083786A - 水性顔料分散体の製造方法 - Google Patents

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関 俊大
Yoshikatsu Seki
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Abstract

【課題】従来と同様な適切な分散粒子径、粘度を有し、かつ従来より耐擦過性の優れた記録画像の水性顔料記録液を製造し得る水性顔料分散体を製造する方法を提供する。
【解決手段】顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物と塩基性物質と有機溶剤と水とを混合分散し、有機溶剤を蒸留除去した後、酸析し濾過し、濾過物に塩基及び水を加えて再分散を行う水性顔料分散体の製造方法において、アニオン性基含有有機高分子化合物の全量のうちの一部を前記混合分散前の系に存在させておき、残部を塩基性物質及び水と共に前記濾過物に加えて再分散を行うことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液の調製に適した水性顔料分散体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
インクジェットプリンターによる印刷においては、単票の紙やフィルムの様な被印刷媒体に、水性顔料記録液により必要な情報が印刷される。この様な印刷では、何枚もの印刷物が積み重なり擦れ合い、折角の高品質の印刷画像がかすれて見づらくなるという欠点がよくあった。また、印刷物をマーカーペンや手で擦過した場合、印刷物にこすれが発生し、手に水性顔料記録液の乾燥着色物が転移する等の問題を有していた。
【0004】
インクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液の調製に適した水性顔料分散体の製造方法として、例えば特開平10−341595号公報には、有機顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物と塩基と有機溶剤と水とを混合分散し、有機溶剤を蒸留除去した後、分散液に塩酸を加えてアニオン性基含有有機高分子化合物を顔料表面に析出させ、これを濾過、水洗し、得られたウェットケーキに塩基及び水を加えて再分散を行った後、必要に応じて濾過や遠心分離を行い、水等を更に加えて不揮発分の調整をする水性顔料分散体の製造方法が記載されている。
【0005】
上記した従来の技術では、酸によりアニオン性基含有有機高分子化合物を顔料表面に析出させ、マイクロカプセル化することで、水性顔料分散体を適切な分散粒子径や粘度とした上で、ある程度は擦過によるかすれを防止することが可能であるが、未だそのレベルは不充分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した適切な分散粒子径、粘度を有しかつより耐擦過性の優れた記録画像の水性顔料記録液を製造し得る水性顔料分散体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記実状に鑑みて鋭意検討したところ、水性顔料記録液の調製に用いる水性顔料分散体中のアニオン性基含有有機高分子化合物/顔料(質量比)を一定となる様にして、前記有機高分子化合物の添加時期の改変を行ったところ、トータルで同一の有機高分子化合物量を使用してもある特定の製造方法のもとでは、分散粒子の粒子径や粘度を変化させずに、より耐擦過性に優れた印刷画像の水性顔料記録液を提供できる水性顔料分散体が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
この効果が何に由来するものであるか詳細は未だ不明であるが、分散時に必要とされる最適な前記有機高分子化合物量と、印刷画像に最高の耐擦過性をもたらす最適な前記有機高分子化合物量とは相違し、前記両者の機能をより高く引き出すためには、アニオン性基含有有機高分子化合物の必要量全量のうちの一部をまず混合分散時前に、その残部を再分散時に各々分けて添加することが有効であると考えられる。従来法では、一度に混合分散時に前記有機高分子化合物の必要量全量を添加することで、濾過、水洗工程にて流出していた、分散にあまり寄与しないアニオン性基含有有機高分子化合物中の有効成分が、この再分散時の添加により補充され、その結果印刷画像の耐擦過性に効率的に寄与すること等が考えられる。
【0009】
即ち本発明は、顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物と塩基性物質と有機溶剤と水とを混合分散し、有機溶剤を蒸留除去した後、酸析し、濾過し、濾過物に塩基及び水を加えて再分散を行う水性顔料分散体の製造方法において、アニオン性基含有有機高分子化合物の全量のうちの一部を前記混合分散前の系に存在させておき、残部を塩基性物質及び水と共に前記濾過物に加えて再分散を行うことを特徴とする水性顔料分散体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の水性顔料分散体の製造方法で使用するアニオン性基含有有機高分子化合物としては、例えば、架橋部分を有していてもよい、アニオン性基を有する有機高分子化合物等が挙げられる。
【0012】
これらは、アニオン性基を有していれば特に限定されるものではなく、例えばカルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基等を含有するアニオン性基含有モノマーとこれらアニオン性基含有モノマーと共重合し得るその他のモノマーを共重合させて得られるアニオン性基含有有機高分子化合物が挙げられるが、原料モノマーの入手のしやすさ、価格等を考慮すると、カルボキシル基またはスルホン基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物が好ましく、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できる点でカルボキシル基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物が特に好ましい。
【0013】
代表的には、架橋部分を有するアニオン性基を有するアクリル酸エステル系重合体、架橋部分を有さないアニオン性基を有するアクリル酸エステル系重合体、架橋部分を有するアニオン性基を有するメタアクリル酸エステル系重合体、架橋部分を有さないアニオン性基を有するメタアクリル酸エステル系重合体がある。本発明においては、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの両方を包含して(メタ)アクリル酸エステルと呼ぶものとする。また(メタ)アクリル酸エステル系重合体とは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として重合した重合体を意味する。
【0014】
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4−ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメトリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。またスルホン酸基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸2−スルホエチル、メタクリル酸4−スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキルまたはアリールエステル類:スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン−4−スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
【0015】
上記と共重合し得るその他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2,3−エポキシプロピル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、等の不飽和脂肪酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和脂肪酸アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エーテル類;スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロスチレン、等スチレン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3−クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類;4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、等のビニル置換複素環化合物類;上記例示単量体中のカルボキシル基、水酸基、アミノ基、等活性水素を有する置換基を含有する単量体とエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド等、エポキシド類との反応生成物;上記例示単量体中の水酸基、アミノ基等を有する置換基を含有する単量体と酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸等のカルボン酸類との反応生成物等を挙げることができる。
【0016】
本発明において架橋性基を有するアニオン性基含有有機高分子化合物を調製する際には、例えばアクリル酸2,3−エポキシプロピル、アクリル酸2,3−エポキシブチル、アクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸2,3−エポキシプロピル、メタクリル酸2,3−エポキシブチル、メタクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基を有する不飽和脂肪酸類の少なくとも1以上からなるモノマーを上記した単量体に併用して共重合したアニオン性基含有有機高分子化合物を用いるのが好ましい。
【0017】
上記した通り、本発明において、アニオン性含有有機高分子化合物としては、架橋部分を有するアニオン性含有有機高分子化合物を用いることができる。但し、後述する水性顔料記録液の用途においては、高度な分散安定性が要求される場合が多く、予め架橋を完了させておいて、搬送時、保管時、実使用時(記録時)には架橋反応が起こらないようにしておくのが好ましい。
【0018】
かかるアニオン性基含有有機高分子化合物は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することができる。
【0019】
本発明に用いられるアニオン性基含有有機高分子化合物の重量平均分子量は2,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、5,000〜50,000の範囲にあることが特に好ましい。重量平均分子量が小さすぎると水性顔料分散体自体の分散安定性が低下し、大きすぎると分散体の粘度が高くなるだけでなく、分散性が低下する傾向が認められる。また重量平均分子量が小さすぎたり大きすぎる場合には、例えば水性顔料記録液の一形態であるインクジェット記録用水性インクに適用した場合に、印字特性に関して悪影響を及ぼし、長期間安定した印字を行わせることが困難になる。
【0020】
また本発明に用いられるアニオン性基含有有機高分子化合物の酸価及びガラス転移点はそれぞれ30〜220mgKOH/gおよび−20〜60℃の範囲にあることが好ましい。酸価が低すぎる場合には水性顔料分散体の分散性や分散安定性が低下し、また水性顔料記録液の一形態であるインクジェット記録用水性インクに適用した場合の印字安定性が悪くなる。酸価が高すぎるときには、水性顔料記録液に適用した場合に画像の耐水性が低下するので好ましくない。水性顔料記録液の一形態であるインクジェット記録用水性インクに適用した場合、ガラス転移点が高すぎるときには安定した印字が得にくく、低すぎるときには水性顔料記録液に適用したときに耐擦過性、耐棒積み性等の画像保存性が低下するので好ましくない。
【0021】
本発明の水性顔料分散体中におけるアニオン性基含有有機高分子化合物は、アニオン性基の少なくとも一部が塩基性物質によってイオン化された形態をとっていることが分散性、分散安定性の発現のうえで好ましい。アニオン性基のうちイオン化された基の最適割合は、用いるアニオン性基含有有機高分子化合物の組成、分子量、酸価等により変化するため一意的に限定されるものではないが、所望の分散性、分散安定性が発現される範囲であればよく、通常30〜100%、特に70〜100%の範囲に設定されることが好ましい。このイオン化された基の割合はアニオン性基と塩基性物質のモル比を意味しているのではなく、解離平衡を考慮に入れたものである。例えばアニオン性基がカルボキシル基の場合、化学量論的に等量の強塩基性物質を用いても解離平衡によりイオン化された基(カルボキシラート基)の割合は100%未満であって、カルボキシラート基とカルボキシル基の混在状態である。
【0022】
このように、アニオン性基含有有機高分子化合物の、アニオン性基の少なくとも一部をイオン化するために用いる塩基性物質としては、公知慣用のものが挙げられるが、例えばアンモニア、第一級、第二級もしくは第三級の有機アミン(塩基性含窒素複素環化合物を含む)、水酸化アルカリ金属からなる群から選ばれる化合物が好適には挙げられる。これらの例示した好適な塩基性物質でアニオン性基の少なくとも一部をイオン化することにより、カルボキシラート基の対イオンは、アンモニウムイオン(塩基性含窒素複素環化合物のプロトン化カチオンを含む)、アルカリ金属イオンからなる群から選ばれるカチオンとなる。
【0023】
本発明の水性顔料分散体の調製に用いる顔料は、有機顔料又は無機顔料であり、イエロー、シアン、マゼンタ等の各色において公知慣用のものがいずれも挙げられる。本発明の水性顔料分散体に用いることのできる顔料は特に限定されるものではないが、本発明の特徴である高度の分散性、分散安定性を生かす意味で、一次粒子の小さな、疎水的顔料を用いることが好ましく、例えば各種の有機顔料やカーボンブラックが特に有効に用いられる。中でもキナクリドン系顔料を用いた場合、印刷画像の耐擦過性により大きな改良効果が得られる点で好ましい。顔料は粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でも良く、ウェットケーキやスラリーでも良い。
【0024】
また用いる有機顔料には、それに対応した各種誘導体を一部併用することも出来る。この様な誘導体としては、例えばスルホン酸誘導体、スルホン酸塩誘導体、フタルイミドアルキル誘導体が挙げられる。これらは一種または二種以上を用いることが出来る。以後、本発明では有機顔料に誘導体を一部併用したものも単に顔料と称する。
【0025】
本発明の水性顔料分散体における顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物の(最終的)比率は、特に制限されるものではないが、水性顔料記録液としたとき上記適切な分散粒子径、粘度を有しかつ優れた耐擦過性を与える点で、水性顔料分散体中のアニオン性基含有有機高分子化合物/顔料(質量比)=0.2〜1.0となる様に、中でもより優れた耐擦過性を与える点で0.4〜0.7となる様に有機高分子化合物と顔料を用いるのが好ましい。アニオン性基含有有機高分子化合物の比率が低すぎるときには水性顔料記録液とした場合の耐擦過性が低下することがあるので好ましくなく、逆に高すぎるときには水性顔料記録液を調整した場合に分散粒子径が大きくなり過ぎたり、液粘度が高くなり過ぎることがあるのでやはり好ましくない。
【0026】
本発明における前記有機高分子化合物の必要量全量(合計量)は、顔料の実使用量と前記有機高分子化合物/顔料=0.2〜1.0の範囲に基づいて、分散粒子径、粘度及び耐擦過性の程度を考慮して選択すればよい。
【0027】
本発明においては、この前記有機高分子化合物の必要量全量(合計量)を、混合分散前の系に存在させておく分(第一回添加分)と、再分散時に系に存在させておく分(第二回添加分)とに分配して用いる。尚、この第一回添加分は水性顔料分散体の分散粒子径及び粘度がいずれも出来るだけ小さくなる様にその量を選択することが好ましい。一方、第二回添加分は印刷画像の耐擦過性が出来るだけ大きくなる様に、水性顔料記録液を調製する場合にはその粘度がより出来るだけ小さくなる様に第一回添加分との合計量を調節することが好ましい。具体的には、質量換算における前記有機高分子化合物の不揮発分の比にして、第一回添加分/第二回添加分=80/20〜20/80となる様に分配するのが良く、中でも20/80〜50/50とすることが好ましい。
【0028】
本発明においては、水性顔料分散体における顔料と前記有機高分子化合物の(最終的)比率が、有機高分子化合物/顔料(質量比)=0.4〜0.7となる様に有機高分子化合物と顔料を用い、かつ、前記有機高分子化合物を、第一回添加分/第二回添加分=20/80〜50/50となる様に分配して用いることが最適である。
【0029】
本発明の水性顔料分散体の製造方法は、例えば、少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質、有機溶剤および水とを混合分散する工程(前記有機高分子化合物の第一回添加分を系に加える工程)、有機溶剤の蒸留除去工程、酸析工程、濾過工程、再分散工程(前記有機高分子化合物の第二回添加分を塩基及び水と共に系に加える工程)等のプロセスを含むものである。
【0030】
製造プロセスに組み込み得るその他の工程の例としては、予備分散工程、希釈工程、溶解工程、遠心分離工程、pH調整工程、充填工程等が挙げられる。
【0031】
予備分散工程の例には、溶液状態または溶融状態の樹脂と顔料を混合、分散し、スラリー状、ペースト状もしくはマスターバッチまたはチップと呼ばれる固体状態にする工程等がある。溶解工程の例には、固体状のアニオン性基含有有機高分子化合物を有機溶剤、好ましくは水溶性有機溶剤中、または塩基性物質を含む水性媒体中に溶解させる工程、もしくはアニオン性基含有有機高分子化合物の水溶性有機溶剤溶液を塩基性物質を含む水性媒体中に溶解させる工程等がある。
【0032】
本発明では、顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質、有機溶剤および水からなる混合物を分散装置により分散する工程を必須として含ませる。この際の有機溶剤としては水溶性有機溶剤が好ましい。分散時の不揮発分は、分散可能であれば特に限定されるものではないが、質量換算で20〜40%に調整するのが好ましい。この範囲であれば、分散効率も良く粘度も分散粒子径も適当となるので好適である。
【0033】
本発明の製造方法は、顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物全量のうちの一部と塩基性物質と有機溶剤と水とを混合分散する混合分散工程、少なくとも有機溶剤を除去する蒸留工程、酸析工程、濾過工程、前記工程での濾過物にアニオン性基含有有機高分子化合物の残部を塩基性物質及び水と共に加えて再分散する再分散工程を含む。
【0034】
特開平10−341595号公報の様な従来の技術と本発明の製造方法とは、顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物と塩基性物質と有機溶剤と水とを混合分散し、有機溶剤を蒸留除去した後、酸析し濾過し、濾過物に塩基性物質及び水を加えて再分散を行う点で共通し、従来の技術がアニオン性基含有有機高分子化合物の必要量を混合分散時に全量使用し、再分散時にはそれを全く使用しないのに対し、本発明の製造方法では、混合分散時にアニオン性基含有有機高分子化合物の必要量の一部を使用し、再分散工程時にその必要量の残部を使用することで従来、酸析、濾過工程で流出していた、耐擦過性の向上には有効であるが混合分散時にはあまり寄与しない、アニオン性基含有有機高分子化合物を水性顔料分散体に補充することで、前記有機高分子化合物を加える時期を変えても分散粒子の粒子径や粘度を変化させずに、しかもより耐擦過性に優れた印刷画像の水性顔料記録液を提供できる水性顔料分散体を得ることが出来るという点で両者は相違する。
【0035】
本発明では、混合分散工程に引き続き、混合分散工程で得られる分散混合物の不揮発分をより小さくなる様に希釈する工程を必要に応じて設けてもよい。
【0036】
溶剤蒸留除去工程は、分散工程において使用した分散混合物中の有機溶剤を除去する工程があり、本発明では必須の工程である。所望の固形分濃度にするため有機溶剤だけでなく余剰の水を除去することも出来る。有機溶剤として水溶性有機溶剤を用いた場合には、この有機溶剤の除去工程において全ての有機溶剤を除去する際に一部の水も同時に除去することが出来る。有機溶剤を完全に除去した上で、不揮発分を一定値に厳密に制御する場合には、本発明では上記2つの除去工程をこの順に両方行うことが好ましい。これらは、同一の蒸留釜にて同時に連続して行うこともできるし、別個に行うこともできる。
【0037】
この溶剤蒸留除去工程は、前記分散混合物中に含まれている有機溶剤がなくなったときに終了すれば良い。
【0038】
不揮発分が低いと粘度が小さくなり、溶剤蒸留除去工程後の前記分散混合物を均一となる様に容易に攪拌すること出来、しかも後の酸析工程でも撹拌を容易とすることが出来ることから、不揮発分を5〜10%に調整するのが好ましい。
【0039】
本発明の水性顔料分散体としては、分散到達レベル、分散所要時間及び分散安定性の全ての面で、より優れた特性を発揮させるに当たって、顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物とは、顔料がアニオン性基含有有機高分子化合物によって被覆された粒子(マイクロカプセル型複合粒子)として水性媒体中に分散していることが好ましい。この様な状態を形成するため、顔料がアニオン性基含有有機高分子化合物を含有する液媒体中に分散している状態において、前記の後工程として、溶解状態にあるアニオン性基含有有機高分子化合物を顔料表面に被覆させる工程を必須として含ませる。
【0040】
溶解状態にあるアニオン性基含有有機高分子化合物を顔料表面に被覆させる工程としては、塩基性物質により水性媒体中に溶解又は分散しているアニオン性基含有有機高分子化合物を、酸性化することにより顔料表面に析出させる工程(酸析工程)がある。
【0041】
酸析工程の例には、分散工程で得られた水性顔料分散体に塩酸、硫酸、酢酸等の酸性物質を加えて酸性化し、アニオン性基含有有機高分子化合物を顔料粒子表面に析出させる工程等がある。この工程により顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物との相互作用を高めることができる。濾過工程の例には、前述した酸析工程後の固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。
【0042】
再分散工程の例には、酸析工程に引き続く濾過工程によって得られた濾過物(固形分)に塩基性物質および水を加えて再び水性顔料分散体とする工程がある。それによりアニオン性基含有有機高分子化合物中のイオン化したアニオン性基の対イオンを分散工程で用いたものから変更することもできる。
【0043】
本発明の製造方法において、再分散工程は、アニオン性基含有有機高分子化合物の残部(第二回添加分)を塩基性物質及び水と共に前記濾過物を加えて再分散させることで行う。この際の有機高分子化合物の残部(第二回添加分)は、第一回添加分に関する説明に従って同様に定める。
【0044】
こうして再分散により得られた水性顔料分散体は、そのまま各種用途の使用に供することが出来るが、精製を行うことが好ましい。この精製には、粒子径の揃った水性顔料分散体とするためのミクロフィルターによる濾過や遠心分離による上澄み液の選択等がある。中でもこの遠心分離による上澄み液の選択はより好ましい。
【0045】
遠心分離工程の例には、水性顔料記録液としての使用適性に悪影響を及ぼす分散体中の粗大粒子を除去する工程等がある。インクジェット記録用水性インクを調製するための水性顔料分散体を本発明の製造方法にて製造する場合においては、本発明の上記した必須工程に引き続き、この遠心分離を行うことが好ましい。
【0046】
本発明において使用することができる水溶性有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、炭素原子数が3〜6のケトンおよび炭素原子数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。これらの水溶性有機溶剤はアニオン性基含有有機高分子化合物溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い。
【0047】
本発明で用いることが出来る水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。インクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液のための水性顔料分散体の場合には、イオン分や不純物のより少ないイオン交換水以上のグレードの水を用いることが好ましい。
【0048】
分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式を採ることができる。
【0049】
本発明において、架橋性基を有するアニオン性基含有有機高分子化合物を用いる場合には、水性顔料分散体の製造プロセスにおいて、分散工程以降の任意の段階で開環反応させ、架橋させることができる。開環反応温度は80〜140℃程度が好ましい。反応温度は低すぎる場合には反応速度が遅く、反応完結に長時間を要するため、顔料粒子同士が融着して凝集体を形成しやすくなる。反応温度が高すぎる場合には、顔料粒子同士の融着や顔料粒子自体の成長が起こり、いずれにしても好ましくない。反応温度が分散体の沸点より高くなる場合には加圧反応装置を用いる必要がある。
【0050】
本発明の水性顔料分散体は、公知慣用の用途にいずれも使用できるが、例えばこれを含有する水性顔料記録液は、最も好ましい用途のひとつである。
【0051】
本発明の製造方法に基づいて得られた水性顔料分散体は、質量換算における顔料含有率を1〜8%とすることで水性顔料記録液とすることが出来る。
【0052】
水性顔料記録液は、少なくとも顔料およびアニオン性基含有有機高分子化合物を含有する水性顔料分散体に、例えば水溶性有機溶剤、水等を混合して調製される。必要に応じて、界面活性剤、水溶性樹脂、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤等を添加することもできる。
【0053】
この水性顔料記録液の調製に用いることのできる水溶性有機溶剤としては、上記したものやそれ以外の公知慣用のものがいずれも使用できる。水性顔料記録液中の水溶性有機溶剤の含有割合は、質量換算で50%以下が好ましく、5〜40%の範囲が特に好ましい。
【0054】
本発明の水性顔料記録液に添加しても良い界面活性剤としては、公知慣用のアニオン性、カチオン性、両性イオン性、非イオン(ノニオン)性のいずれも使用出来る。
【0055】
本発明の水性顔料記録液に添加されても良い水溶性樹脂としては、例えば、にかわ、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、アラビアゴム、フィッシュグリュー、アルギン酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0056】
水溶性樹脂は、定着性や粘度調節、速乾性を挙げる目的で、必要に応じて使用されるものであり、記録液に使用する場合の記録液中の水溶性樹脂の含有割合は、質量換算で0〜30%が好ましく、0〜20%が特に好ましい。
【0057】
本発明の水性顔料記録液は、サインペン、マーカー等の文具類や各種プリンタ、プロッタ類のインクとして好適に使用することができ、とりわけ、その優れた分散性、分散安定性を生かしてインクジェット記録用水性インクとして好適に使用することができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明する。特に断りがない限り、部及び%は質量基準であるものとする。
【0059】
合成例1(アニオン性基含有有機高分子化合物(皮膜形成性樹脂)の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験器DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン500部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら75℃に昇温させた後、滴下装置よりメタクリル酸n−ブチル202.6部、アクリル酸n−ブチル22.8部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル75.0部、メタクリル酸100.0部、スチレン99.6部および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)40.0部の混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、酸価130、ガラス転移温度(計算値)54℃、重量平均分子量22,500のアニオン性基含有有機高分子化合物溶液を得た。反応終了後、メチルエチルケトンを加え、樹脂溶液の不揮発分を50%に調整した。
【0060】
合成例2(アニオン性基含有有機高分子化合物水溶液の合成)
ガラス製蒸留装置に合成例1で得たアニオン性基含有有機高分子化合物溶液446部、25%水酸化カリウム水溶液116部、およびイオン交換水827部、を仕込み、アニオン性基含有有機高分子化合物溶液の溶解を確認後、昇温しメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去し、固形分換算で18%に調整した。
【0061】
[実施例1](アニオン性基含有有機高分子化合物/顔料=0.2で混合分散、再分散時アニオン性基含有有機高分子化合物の残部を添加し、アニオン性基含有有機高分子化合物/顔料=0.5の水性顔料分散体の作成)
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、顔料としてファストゲンスーパーマゼンタRTS(C.I.ピグメント レッド122、大日本インキ化学工業(株)製キナクリドン系顔料)222部、フタルイミドメチル化−3,10−ジクロロキナクリドン(平均フタルイミドメチル基数1.4C−1)26部、合成例1で得たアニオン性基含有有機高分子化合物溶液99部、25%水酸化ナトリウム水溶液18部、メチルエチルケトン75部、およびイオン交換水630部を仕込み、攪拌、混合した。混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)により6時間分散した。分散装置の回転数は2,700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散混合物の液温度が40℃以下に保たれるようにした。
【0062】
分散終了後、混合槽より分散混合物原液を抜き採り、次いでイオン交換水1980部で混合槽および分散装置流路を洗浄し、この原液と合わせて希釈分散混合物を得た。
【0063】
ガラス製蒸留装置に希釈分散混合物を入れ、さらにイオン交換水を加えて不揮発分を10%に調整した後、加熱し、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。
【0064】
蒸留後の分散混合物にイオン交換水を追加し、不揮発分を6%に調整し、室温まで放冷後、攪拌しながら2%塩酸を滴下してpH4.5に調整し、ヌッチェで濾過、水洗し、ウェットケーキを得た。
【0065】
イオン交換水で不揮発分を23%に調整したウェットケーキ700部に、合成例2で得たアニオン性基含有有機高分子化合物水溶液222部を添加し、ディスパー(TKホモディスパ20型、特殊機化工(株)製)で撹拌しながら水酸化カリウムを加えpHを9.0〜9.4に調整して、再分散し、さらに遠心分離器(H−2000BS、(株)コクサン)にて粗大粒子を除去したのち、イオン交換水で不揮発分を調整して、不揮発分20%の水性顔料分散体を得た。
【0066】
[比較例1](従来の製造方法1:アニオン性基含有有機高分子化合物/顔料=0.5の酸析法、アニオン性基含有有機高分子化合物の再分散時添加なし水性顔料分散体の作成)
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、顔料としてファストゲンスーパーマゼンタRTS(C.I.ピグメント レッド122、大日本インキ化学工業(株)製キナクリドン系顔料)222部、フタルイミドメチル化−3,10−ジクロロキナクリドン(平均フタルイミドメチル基数1.4C−1)26部、合成例1で得たアニオン性基含有有機高分子化合物溶液248部、25%水酸化ナトリウム水溶液46部、およびイオン交換水698部を仕込み、実施例1と同様に分散、加熱溶剤留去、酸析、濾過を行った。
【0067】
イオン交換水で不揮発分を23%に調整したウェットケーキ700部をディスパー(TKホモディスパ20型、特殊機化工(株)製)で撹拌しながら水酸化カリウムを加えpHを9.0〜9.4に調整して、再分散し、さらに遠心分離器(H−2000BS、(株)コクサン)にて粗大粒子を除去したのち、イオン交換水で不揮発分を調整して、20%の水性顔料分散体を得た。
【0068】
[比較例2](従来の製造方法2:アニオン性基含有有機高分子化合物/顔料=0.2の酸析法による水性顔料分散体の作成)
実施例1と同様の仕込み量で分散、加熱溶剤留去、酸析、濾過を行い、比較例1と同様にアニオン性基含有有機高分子化合物の添加無しの再分散工程、遠心分離の操作を行い、不揮発分20%の水性顔料分散体を得た。
【0069】
実施例1、比較例1および比較例2の各水性顔料分散体を用いて特開平7−228808号公報記載の実施例1を参考にして、ピエゾ方式インクジェット記録用水性インクを調整した。インク組成を以下に示す。
【0070】
水性顔料分散体                25.0部
トリエチレングリコ−ルモノブチルエ−テル   10.0部
ジエチレングリコール             15.0部
サ−フィノ−ル465(エアプロダクツ社製)   0.8部
水                      49.2部
【0071】
上記水性顔料分散体の分散粒子の平均粒子径、粘度およびインクジェット記録用水性記録液の印刷画像の耐擦過性の測定は、次の通りに行った。その結果を表1および表2に示した。
【0072】
[平均粒子径]
日機装(株)のマイクロトラックUPA 型式:UPA9340を用い、分散粒子の平均粒子径を測定した(分散粒子径という場合がある。)。
【0073】
[粘度]
R型粘度計(R−500型、東機産業(株)製)を用い、不揮発分20%に調整した水性顔料分散体および上記組成のインクジェット記録用水性インクについて、20℃で測定した。
【0074】
[耐擦過性]
調製したインクジェット記録用水性インクをプリンター(セイコーエプソン(株)製型番EPSON EM930C)で、PM/MC写真用紙(半光沢)〔セイコーエプソン(株)製〕に印字後、蛍光マーカーペンおよび指で擦過し、こすれ具合を目視で評価した。蛍光マーカーペンによる耐擦過性は、有機溶剤を含む蛍光インクのペン先で印字上をマーキングした際の耐擦過性であり、指での耐擦過性より厳しい条件である。
【0075】
【表1】
表1 水性顔料分散体
Figure 2004083786
【0076】
【表2】
表2 インクジェット記録用水性インク(水性顔料記録液)
Figure 2004083786
【0077】
上表の実施例1と比較例1の対比からわかる様に、同じ使用量のアニオン性基含有有機高分子化合物で対比した場合、インクジェット記録用水性インクの様な水性記録液とした時に、適切な平均粒子径と粘度を保持したままで、前記有機高分子化合物の必要量を混合分散時前と再分散時とに分配して使用した実施例1のほうが、混合分散時に必要量の全量を一度に使用する比較例1より、耐擦過性がより高くなっていることが明らかである。
【0078】
【発明の効果】
本発明では、従来の水性顔料分散体の製造方法において、必要とされるアニオン性基含有有機高分子化合物の全量を分け、一部を有機顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物と塩基と有機溶剤と水とを混合分散する際に用いる様にし、残部を再分散時に塩基及び水と共に濾過物に加えて用いる様にしたので、従来と同等の分散粒子の平均粒子径と粘度のままで、従来より優れた耐擦過性を有する例えばインクジェット記録用水性インクを製造できる水性顔料分散体が得られるという格別顕著な効果を奏する。

Claims (4)

  1. 顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物と塩基性物質と有機溶剤と水とを混合分散し、有機溶剤を蒸留除去した後、酸析し濾過し、濾過物に塩基及び水を加えて再分散を行う水性顔料分散体の製造方法において、アニオン性基含有有機高分子化合物の全量のうちの一部を前記混合分散前の系に存在させておき、残部を塩基性物質及び水と共に前記濾過物に加えて再分散を行うことを特徴とする水性顔料分散体の製造方法。
  2. 水性顔料分散体中のアニオン性基含有有機高分子化合物/顔料(質量比)=0.2〜1.0となる様に、有機高分子化合物と顔料を用いる請求項1の製造方法。
  3. 水性顔料分散体中のアニオン性基含有有機高分子化合物/顔料(質量比)=0.4〜0.7となる様に、有機高分子化合物と顔料を用いる請求項1の製造方法。
  4. 顔料がキナクリドン系顔料である請求項1、2または3記載の製造方法。
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