JP7107210B2 - 水性インクジェット用顔料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水性インクジェット用顔料組成物に関する。
インクジェットプリントは多様な用途に用いられるが、その1つとしてプロダクション用途などの屋外での使用が挙げられる。一方、屋内での使用においても、高精細かつ長期保存可能な(退色しない)写真印刷などの用途がある。そのため、インクジェット用の顔料には、基本的な要求特性として耐光性や耐候性といった各種耐久性が要求されてきた。しかし近年、使用用途ごとに要求品質を個別に設定し、用途によって顔料を使い分ける動向がある。
加えて、近年、商業印刷の業界を中心に、一部の用途において従来の印刷方法(平版印刷やグラビア印刷など)から水性インクジェットを使用したプリントオンデマンド方式の印刷へと切り替える動向があり、この動きは今後徐々に加速し、高い成長率が期待できる市場となることが見込まれる。
このような状況下、商業印刷代替の水性インクジェット用顔料には、耐久性を備える従来のインクジェット用の高価な顔料よりも、商業印刷で使用されているような鮮明かつ安価な顔料が求められると予想される。商業印刷分野で使用される黄色顔料の代表であるジスアゾ顔料は、高い鮮明性と着色力を有することから、色特性の観点では商業印刷代替の水性インクジェット用黄色顔料としての使用が期待できる顔料である。ジスアゾ顔料の一種であるC.I.ピグメントイエロー14は水性グラビアや水性フレキソなどの水性インキに実績のある顔料構造であるが、耐光性は十分とは言えない。これはC.I.ピグメントイエロー14をはじめとするジスアゾ顔料の特徴であり、各種耐性を要求する水性インクジェット用途にジスアゾ顔料を検討した例は少なく、長期保存安定性や印字時のノズル詰まりなど、いわゆるインクジェット適性を有するインクジェット用ジスアゾ顔料の開発例はない。
上記のような理由から、商業印刷代替の水性インクジェット用黄色顔料として、優れた色特性を示しつつ、インクジェット適性に優れる顔料の開発が望まれている。
このような中、特許文献1には、オフセット黄インキ製造が可能なだけの透明性、濃度を有し、流動性も良好なインキを得るためのジスアゾ顔料として、テトラゾとしてジクロロベンジジンの塩、カップラーとして四種を用いてカップリングして得られるジスアゾ顔料が開示されている。より具体的には、ここで用いるカップラーは、アセトアセトオルソトルイジド(AAOT:C.I.ピグメントイエロー14のカップラー)、アセトアセトメタキシリジド(AAMX:C.I.ピグメントイエロー13のカップラー)、酸性基含有アセトアセトアニリド類(金属塩を含む)、塩基性基含有アセトアセトアニリド類であることを規定し、さらに各成分を特定の使用量で用いる方法(特許文献1)が提案されている。
しかしながら、これらの方法で得られた顔料であっても、より高い各種特性を求められるインクジェット用として実用上十分なものは見出されていなかった。なかでも、上記したインクジェット適性を満たすために、特に貯蔵安定性の改良が求められていた。
特開2000-169742号公報
前述のような実情を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、優れた貯蔵安定性を有する水性インクジェット用顔料組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、C.I.ピグメントイエロー14に対し、後述する3成分を併用することで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
『項1.(1)C.I.ピグメントイエロー14と、
(2)C.I.ピグメントイエロー13と、
(3)一般式(I)で表される化合物と、
(4)ノニオン系界面活性剤とを、
含有することを特徴とする水性インクジェット用顔料組成物。
-Al
(I)
[式(I)中、Mはそれぞれ独立に水酸基または下記式(I-1)を示し、Mのうち少なくとも1つは下記式(I-1)である。]
Figure 0007107210000001
[式(I-1)中、*はAlとの結合部位を示す。]
項2.前記ノニオン系界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルである、項1に記載の水性インクジェット用顔料組成物。』に関する。
本発明によれば、優れた貯蔵安定性を有する水性インクジェット用顔料組成物が得られるという格別顕著な効果を奏するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、(1)C.I.ピグメントイエロー14と、(2)C.I.ピグメントイエロー13と、(3)下記一般式(I)で表される化合物と、(4)ノニオン系界面活性剤とを含有することを特徴とする水性インクジェット用顔料組成物である。
-Al
(I)
[式(I)中、Mはそれぞれ独立に水酸基または下記式(I-1)を示し、Mのうち少なくとも1つは下記式(I-1)である。]
Figure 0007107210000002
[式(I-1)中、*はAlとの結合部位を示す。]
<C.I.ピグメントイエロー14の説明>
本発明に用いるC.I.ピグメントイエロー14は、下記化学構造式(II)で表される有機顔料を意味する。このようなC.I.ピグメントイエロー14は、市販品を用いても良いし、公知慣用の方法で製造して用いても良い。もちろん製造後に適宜公知の処理を加えて用いても良い。
Figure 0007107210000003
(II)
<C.I.ピグメントイエロー13の説明>
本発明に用いるC.I.ピグメントイエロー13は、下記化学構造式(III)で表される有機顔料を意味する。このようなC.I.ピグメントイエロー13は、市販品を用いても良いし、公知慣用の方法で製造して用いても良い。もちろん製造後に適宜公知の処理を加えて用いても良い。また、本発明のように、他成分を含む混合物として生成させても良い。
Figure 0007107210000004
(III)
<化合物の説明>
本発明に用いる化合物は、下記一般式(I)で表される化合物を意味する。このような化合物は、公知慣用の方法で2つのカップラー成分、すなわちアセト酢酸-m-キシリダイド、およびアセト酢酸ベンゼンスルホン酸の塩を用いて、テトラゾ成分と反応させた後、塩化アルミニウムのようなアルミニウムの塩を添加することにより用いることができる。もちろん製造後に適宜公知の処理を加えて用いても良い。
-Al
(I)
[式(I)中、Mはそれぞれ独立に水酸基または下記式(I-1)を示し、Mのうち少なくとも1つは下記一般式(I-1)である。
Figure 0007107210000005
[式(I-1)中、*はAlとの結合部位を示す。]
テトラゾ成分としては、ジクロロベンジジンまたはジクロロベンジジンの塩酸塩が挙げられる。これらは一定量の水分を含んでいても構わない。
一般式(I)で表される化合物は、テトラゾ成分と反応させた直後は、下記一般式(I-2)で表される構造を有しており、塩化アルミニウムのようなアルミニウムの塩と反応することによって、一般式(I)で表される化合物に変わる。式(I-2)中のXは、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子を示す。
Figure 0007107210000006
アルミニウムの塩としては、塩化アルミニウムのほか、硫酸アルミニウムや酸化アルミニウムも使用できる。これらは固体でも水溶液でも使用できる。
<ノニオン系界面活性剤の説明>
本発明に用いるノニオン性界面活性剤は、特に制限なく用いることができる。たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、などが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤が好ましい。本発明に用いるノニオン系界面活性剤は単独で用いても良いし、たとえば上記したようなものの中から必要に応じて併用することもできる。
<各成分の配合量の説明>
本発明の顔料組成物は、質量基準でピグメントイエロー14 100部に対してピグメントイエロー13を1~20部、一般式(I)で表される化合物を1~10部、ノニオン系界面活性剤を1~10部を含有することが好ましく、なかでも、色特性への影響を抑えつつ、インクジェットインキの貯蔵安定性に対する効果が顕著なことから、ピグメントイエロー14 100部に対してピグメントイエロー13を1~10部、一般式(I)で表される化合物を1~5部、ノニオン系界面活性剤を1~7部を含有することがより好ましい。また、ピグメントイエロー14 100部に対して、ピグメントイエロー13と一般式(I)で表される化合物の合計量が2~30部であってもよく、2~15部があることがより好ましい。
顔料組成物の製造時に、C.I.ピグメントイエロー14に一般式(I)で表される化合物を用いると、顔料の基本骨格がピグメントイエロー14と異なり、かつ極性基を有する一般式(I)で表される化合物が、主成分であるC.I.ピグメントイエロー14の顔料粒子の成長を抑制し、C.I.ピグメントイエロー14を主成分とする微細かつ分散安定性が一定程度良好な顔料組成物が得られる。しかしながら、一般式(I)で表される化合物自体の結晶性が小さいため、一般式(I)で表される化合物のみを用いた場合は付与できる貯蔵安定性改善効果に限界があった。そこで、本発明者らは、さらなる処理を加えることを検討した結果、無数の処理方法が考えられる中で、ノニオン系界面活性剤を採用することでさらなる貯蔵安定性を達成できることを見出した。
本発明の顔料組成物の調製方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー14のスラリーと、C.I.ピグメントイエロー13と一般式(I-2)で表される化合物を同時に製造して得られるスラリーとを混合して、顔料混合物のスラリーを得る。ここに、ノニオン系界面活性剤とアルミニウム塩を添加し、加熱しながらさらに混合する。得られたスラリーをろ過、洗浄、乾燥することにより、本発明の顔料組成物を得ることができる。
上記顔料混合物のスラリーを得る方法としては、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー13、および一般式(I-2)で表される化合物のスラリーをそれぞれ個別に製造した後、それぞれのスラリーを混合する方法や、カップラー成分であるアセト酢酸-o-トルイダイド、アセト酢酸-o-キシリダイド、アセト酢酸ベンゼンスルホン酸の塩をあらかじめ混合した液とテトラゾ成分とを反応させて、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー13、および一般式(I-2)で表される化合物を同時に製造する方法も挙げられる。
このとき、一般式(I-2)から一般式(I)を得るために添加するアルミニウム塩は、カップラー成分とテトラゾ成分を反応させる際に一緒に添加してもよいし、カップラー成分とテトラゾ成分を反応させた後に添加してもよい。反応させた後に添加する場合には、反応直後からろ過するまでのどの段階でも添加できるが、化合物(I)を均一に生成させる観点から、合成直後から加熱前にアルミニウム塩を添加することが好ましい。
ノニオン系界面活性剤は、前記顔料混合物のスラリーに添加するだけでなく、各種スラリーに対し個別に添加してもよい。中でも、上記ピグメントイエロー13のスラリー、ピグメントイエロー14のスラリー、一般式(I)または一般式(I-2)で表される化合物のスラリーのいずれかまたはそれぞれに個別に添加するか、上記スラリーを混合した混合スラリーに添加するのが好ましい。
なお、上記の調製方法において、一般式(I-2)の化合物に代えて、一般式(I)の化合物を用い、ノニオン系界面活性剤と塩化アルミニウムを添加するのに代えて、ノニオン系界面活性剤を添加しても、同様に本発明の顔料組成物を得ることができるのはいうまでもない。
さらに別の方法として、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー13、および一般式(I)で表される化合物のいずれかまたは複数の乾燥粉体を、他の必須成分からなる顔料スラリーに混合して、本発明の顔料組成物のスラリーとすることができる。また、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー13、および一般式(I)で表される化合物全ての乾燥粉体を混合した後、適切な方法にて水と混合し、再度スラリー化することもできる。
上記方法で用いるC.I.ピグメントイエロー13のスラリー、C.I.ピグメント14のスラリーは、それぞれ公知慣用の方法で製造したものを用いてもよいし、購入した粉体顔料と水を混合してスラリーにしてもよい。
上記方法で顔料の乾燥粉体を水またはスラリーと混合する場合、ノニオン系界面活性剤は、混合した後のスラリーに添加してもよいし、顔料粉体と水を混合するための湿潤剤として使用することもできる。
さらに、本発明の顔料組成物を得る別の方法として、それぞれの粉体顔料を乾式混合してもよい。このとき、混合する粉体顔料を得る方法としては、製造したスラリーを乾燥してもよいし、購入した粉体顔料を用いてもよい。
粉体顔料を混合して本発明の顔料組成物とする場合、ノニオン系界面活性剤は、予め顔料スラリーに添加しておくのが好ましいが、粉体に対してノニオン系界面活性剤を均一に混合可能であれば、各成分の粉体または、混合した後の粉体に直接添加しても構わない。
上記のような製造方法のうち、本発明の必須成分以外の副生成物の生成を抑制し、かつ顔料の結晶成長を最適に調整する観点から、C.I.ピグメントイエロー14のスラリーと、C.I.ピグメントイエロー13と一般式(I-2)で表される化合物を同時に製造して得られるスラリーを、混合する方法が好ましい。
中でも最も好ましい製造方法は、C.I.ピグメントイエロー14のスラリーと、C.I.ピグメントイエロー13と一般式(I-2)で表される化合物を同時に製造して得られるスラリーを混合した後に、ノニオン系界面活性剤とアルミニウム塩を添加する方法である。
本発明の顔料組成物は、水性インクジェット用インキとして好適に使用できる。
本発明の顔料組成物を用いる水性インクジェットインキは、貯蔵安定性に優れるという特徴を有する。
貯蔵安定性は、後述の促進貯蔵安定性試験および色相変化評価により色差ΔE*abを求めることで評価することができ、色差が5.0以下であるときに貯蔵安定性に優れる、色差が2.5以下であるときに貯蔵安定性に特に優れる、と判断できる。
本発明の顔料組成物を水性インクジェット用インキとして用いる場合、上記のようにして調製された本発明の顔料組成物を使用し、アクリル酸系重合体、溶剤などを添加して水性分散体としたり、さらにpHを調整することによりマイクロカプセル化(MC化)したりして用いることができる。
顔料の水性分散体は、ジスアゾ黄色顔料を、アニオン性基含有有機高分子化合物等を用いて分散することにより製造することができる。また、顔料のマイクロカプセル(MC)水性分散体は、顔料の水性分散体のアニオン性基含有有機高分子化合物のアニオン性が中和される様にして顔料を被覆した複合粒子とし、既に公知の各種分散装置を用いて、水性媒体中に分散することにより製造することができる。
顔料の水性分散体の調製に用いることのできるアニオン性基含有有機高分子化合物は、アニオン性基を有していれば特に限定されるものではなく、例えばカルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基等を含有するアニオン性基含有モノマーとこれらアニオン性基含有モノマーと共重合し得るその他のモノマーを共重合させて得られるアニオン性基含有有機高分子化合物が挙げられるが、原料モノマーの入手のしやすさ、価格等を考慮すると、カルボキシル基またはスルホン基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物が好ましく、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できる点でカルボキシル基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物が特に好ましい。
このアニオン性基含有有機高分子化合物としては、例えば、架橋部分を有していてもよいアニオン性基含有有機高分子化合物がある。
架橋部分を有していてもよいアニオン性基含有有機高分子化合物としては、代表的には、架橋部分を有するアニオン性基を有するアクリル酸エステル系重合体、架橋部分を有さないアニオン性基を有するアクリル酸エステル系重合体、架橋部分を有するアニオン性基を有するメタアクリル酸エステル系重合体、架橋部分を有さないアニオン性基を有するメタアクリル酸エステル系重合体等が挙げられる。
本発明においては、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの両方を包含して(メタ)アクリル酸エステルと呼ぶものとする。また(メタ)アクリル酸エステル系重合体とは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として重合した重合体を意味する。
本発明において、最適なアニオン性基含有有機高分子化合物は、アニオン性基がカルボキシル基及びカルボキシラート基の両方を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物である。
最適なアニオン性基含有有機高分子化合物を調製する際に用いることの出来る、カルボキシル基を含有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。またスルホン酸基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸2-スルホエチル、メタクリル酸4-スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキルまたはアリールエステル類;スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン-4-スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
最適なアニオン性基含有有機高分子化合物を調製する際に用いることの出来る、前記アニオン性基含有モノマーと共重合し得るその他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2,3-エポキシプロピル、アクリル酸2,3-エポキシブチル、アクリル酸2,3-エポキシシクロヘキシル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2,3-エポキシプロピル、メタクリル酸2,3-エポキシブチル、メタクリル酸2,3-エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸ビニル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ベンジル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2-アミノエチル、アクリル酸2-アミノプロピル、アクリル酸3-アミノプロピル、アクリル酸2-(メチルアミノ)エチル、アクリル酸2-(メチルアミノ)プロピル、アクリル酸2-(エチルアミノ)エチル、アクリル酸2-(エチルアミノ)プロピル、アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸3-(ジメチルアミノ)プロピル、等の不飽和脂肪酸エステル類;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、N-ジメチルアクリルアミド、N-ジエチルアクリルアミド、N-ジプロピルアクリルアミド、N-(2-アミノエチル)アクリルアミド、N-(2-アミノプロピル)アクリルアミド、N-(3-アミノプロピル)アクリルアミド、N-[2-(メチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[2-(メチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(メチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[2-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-プロピルメタクリルアミド、N-ジメチルメタクリルアミド、N-ジエチルメタクリルアミド、N-ジプロピルメタクリルアミド、N-(2-アミノエチル)メタクリルアミド、N-(2-アミノプロピル)メタクリルアミド、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド、N-[2-(メチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N-[2-(メチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[3-(メチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N-[2-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、マレアミド、N,N-ジメチルマレアミド、フマラミド、N,N-ジメチルフマラミド、等の不飽和脂肪酸アミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、オクタデカン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸アリル、ヘキサン酸アリル、デカン酸アリル、等のカルボン酸不飽和エステル類;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、等の不飽和エーテル類;スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-クロロスチレン、等スチレン類;エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、ビニルシクロヘキサン、4-ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3-クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類;4-ビニルピリジン、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、等のビニル置換複素環化合物類;上記例示モノマー中のカルボキシル基、水酸基、アミノ基等活性水素を有する置換基を含有するモノマーとエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シキロヘキセンオキシド等、エポキシド類との反応生成物;上記例示モノマー中の水酸基、アミノ基等を有する置換基を含有するモノマーと酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸等カルボン酸類との反応生成物等を挙げることができる。
かかるアニオン性基含有有機高分子化合物は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することができる。
顔料の水性分散体中におけるアニオン性基含有有機高分子化合物は、アニオン性基の少なくとも一部が塩基性物質によってイオン化された形態をとっていることが分散性、分散安定性の発現のうえで好ましい。アニオン性基のうちイオン化された基の最適割合は、用いるアニオン性基含有有機高分子化合物の組成、分子量、酸価等により変化するため一意的に限定されるものではないが、所望の分散性、分散安定性が発現される範囲であればよく、通常30~100%、特に70~100%の範囲に設定されることが好ましい。このイオン化された基の割合はアニオン性基と塩基性物質のモル比を意味しているのではなく、解離平衡を考慮に入れたものである。例えばアニオン性基がカルボキシル基の場合、化学量論的に等量の強塩基性物質を用いても解離平衡によりイオン化された基の割合は100%未満であって、中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物のアニオン性基は、カルボキシラート基及びカルボキシル基の混在状態である。
このように、アニオン性基含有有機高分子化合物の、アニオン性基の少なくとも一部を中和してイオン化するために用いる塩基性物質としては、公知慣用のものが挙げられるが、例えばアンモニア、第一級、第二級もしくは第三級の有機アミン(塩基性含窒素複素環化合物を含む)、水酸化アルカリ金属からなる群から選ばれる化合物が好適には挙げられる。これらの例示した好適な塩基性物質でアニオン性基の少なくとも一部をイオン化することにより、カルボキシラート基の対イオンは、アンモニウムイオン(塩基性含窒素複素環化合物のプロトン化カチオンを含む)、アルカリ金属イオンからなる群から選ばれるカチオンとなる。
顔料の水性分散体における前記顔料組成物とアニオン性基含有有機高分子化合物の比率は、質量換算で顔料組成物100部に対してアニオン性基含有有機高分子化合物(不揮発分換算)10~200部が好ましい。アニオン性基含有有機高分子化合物の比率が低すぎる場合には水性インクジェット用インキとして用いた場合の耐摩擦性が低下し、逆に高すぎる場合には水性インクジェット用インキを調製した場合に粘度が高くなる傾向が認められる。
顔料の水性分散体は、少なくとも顔料組成物、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質および水からなる混合物を分散する工程によって製造することができる。
顔料の水性分散体の製造プロセスに組み込み得る前記工程以外の工程の例としては、予備分散工程、溶解工程、希釈工程、遠心分離工程、pH調整工程、充填工程等が挙げられる。
予備分散工程の例には、溶液状態または溶融状態のアニオン性含有有機高分子化合物と黄色顔料組成物を混合、分散し、スラリー状、ペースト状もしくはマスターバッチまたはチップと呼ばれる固体状態にする工程等がある。溶解工程の例には、固体状のアニオン性基含有有機高分子化合物を有機溶剤、好ましくは水溶性有機溶剤中、または塩基性物質を含む水性媒体中に溶解させる工程、もしくはアニオン性基含有有機高分子化合物の水溶性有機溶剤溶液を塩基性物質を含む水性媒体中に溶解させる工程等がある。
本発明では、顔料組成物、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質および水からなる混合物を分散する工程を必須として含ませる。この混合物には水溶性有機溶剤を含めるのが好ましい。より具体的には、少なくとも顔料組成物、アニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性物質、水溶性有機溶剤および水からなる混合物を分散する工程を含ませることが好ましい。
顔料のマイクロカプセル(MC)水性分散体は、顔料組成物を構成する顔料粒子を中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆し複合粒子となし水性媒体に分散する工程を含むプロセスにより製造することができる。顔料組成物を構成する顔料粒子を中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆し複合粒子となし水性媒体に分散するには、例えば、後に詳記する蒸留工程、酸析工程、濾過工程、再分散工程をこの順に行えば良い。
蒸留工程の例には、分散工程において有機溶剤を使用した場合にこれを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程等がある。遠心分離工程の例には、水性顔料記録液としての使用適性に悪影響を及ぼす分散体中の粗大粒子を除去する工程等がある。
アニオン性基含有有機高分子化合物で顔料組成物を構成する顔料粒子を被覆させるには、塩基性物質によりアルカリ性となすことで水性媒体中に溶解又は分散させたアニオン性基含有有機高分子化合物を、それを含む溶液を酸性化することにより析出させることが好ましい。この工程を酸析工程という。
酸析工程の例には、分散工程で得られた顔料の水性分散体に塩酸、硫酸、酢酸等の酸性物質を加えて酸性化し、アニオン性基含有有機高分子化合物を顔料組成物の顔料粒子表面に析出させる工程等がある。この工程により顔料粒子とアニオン性基含有有機高分子化合物との相互作用を高めることができる。
濾過工程の例には、遠心分離工程と同様に分散体中の粗大粒子をカートリッジフィルターやメンブランフィルターにより除去する工程、前述した酸析工程後に固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。
再分散工程の例には、酸析工程、濾過工程によって得られた固形分に塩基性物質および必要により水や添加物を加えて再び分散体とする工程がある。それによりアニオン性基含有有機高分子化合物中のイオン化したアニオン性基の対イオンを分散工程で用いたものから変更することができる。
分散工程においては水溶性有機溶剤を併用することができ、それにより分散工程における液粘度を低下させることができる場合がある。水溶性有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノール、2-メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤はアニオン性基含有有機高分子化合物溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い
分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1~10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式を採ることができる。
こうして得られた顔料のマイクロカプセル(MC)水性分散体は、前記顔料組成物に含まれる各顔料粒子がアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子を含有するものである、それに基づく分散粒子は平均粒子径200nm以下となる。
水性インクジェット用インキは、前記の様にして得た顔料の水性分散体、または顔料のマイクロカプセル(MC)水性分散体を含有するものであり、顔料の水性分散体、または顔料のマイクロカプセル(MC)水性分散体に、例えば、水溶性有機溶剤、水等を混合することで調製される。前記顔料組成物の濃度が高い顔料の水性分散体、または顔料のマイクロカプセル(MC)水性分散体を、質量換算で前記顔料組成物が1~8%となる様にすることで、水性インクジェット用インキとすることが出来る。必要に応じて、界面活性剤、水溶性樹脂、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤等を添加することもできる。
水性インクジェット用インキの調製に用いることのできる水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2-[2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ]エタノール等のアルコール類;1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2,2'-オキシビスエタノール、2,2'-エチレンジオキシビス(エタノール)、チオジエタノール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール等の多価アルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルn-ブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、2,2'-オキシビス(2-メトキシエタン)、2,2'-オキシビス(2-エトキシエタン)、2,2'-エチレンジオキシビス(2-メトキシエタン)、2,2'-エチレンジオキシビス(2-メトキシエタン)等のエーテル類が挙げられる。水性インクジェット用インキ中の水溶性有機溶剤の含有割合は、質量換算で50%以下が好ましく、5~40%の範囲とすることが特に好ましい。
水性インクジェット用インキに添加しても良い界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、非イオン性のいずれでも良い。
このアニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム、等の脂肪酸塩類;ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸トリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、オクタデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩類;ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のナフタレンスルホン酸塩類;スルホコハク酸ジドデシルナトリウム、スルホコハク酸ジオクタデシルナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類;ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸トリ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレン硫酸エステル塩類;ドデシルリン酸カリウム、オクタデシルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩類等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、酢酸オクタデシルアンモニウム、ヤシ油アミン酢酸塩等のアルキルアミン塩類;塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ドデシルベンジルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩類が挙げられる。
両性イオン性活性剤としては、例えば、ドデシルベタイン、オクタデシルベタイン等のアルキルベタイン類;ドデシルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド類等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(9-オクタデセニル)エーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンフェニルエーテル類;ポリ酸化エチレン、コ-ポリ酸化エチレン酸化プロピレン等のオキシラン重合体類;ソルビタンドデカン酸エステル、ソルビタンヘキサデカン酸エステル、ソルビタンオクタデカン酸エステル、ソルビタン(9-オクタデセン酸)エステル、ソルビタン(9-オクタデセン酸)トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンドデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオクタデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオクタデカン酸トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン(9-オクタデセン酸)エステル、ポリオキシエチレンソルビタン(9-オクタデセン酸)トリエステル等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビトール(9-オクタデセン酸)テトラエステル等のソルビトール脂肪酸エステル類;グリセリンオクタデカン酸エステル、グリセリン(9-オクタデセン酸)エステル等のグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤の中でもHLBが14以上のものが特に好ましい。
水性インクジェット用インキに添加されても良い水溶性樹脂としては、例えば、にかわ、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、アラビアゴム、フィッシュグリュー、アルギン酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル-アクリル酸共重合体等が挙げられる。
水溶性樹脂は、定着性や粘度調節、速乾性を上げる目的で、必要に応じて使用されるものであり、水性インクジェット用インキに使用する場合のインキ中の水溶性樹脂の含有割合は、質量換算で0~30%が好ましく、0~20%が特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例及び比較例において特に断りの無い限り、「%」は「質量%」を表すものとする。
<顔料の合成>
(製造例1)
3,3’-ジクロロベンジジン二塩酸塩(固形分100%)550部(2.174モル)を水1500部中に撹拌下投入し、同時に35%塩酸680部を仕込んだ。氷と水で、温度0度以下、かつ内容物が十分に攪拌されるように液量を調整した。40%亜硝酸ソーダ769部を投入し、テトラゾ化した。過剰の亜硝酸をスルファミン酸を用いて消失させた後、濾過することによりテトラゾニウム塩を含有する溶液を得た(ジアゾ成分の水溶液)。
別にカップラーとしてアセト酢酸-o-トルイダイド890部を7000部の水中に分散させ、20%苛性ソーダで溶解し、溶液を得た(カップラー成分の水溶液)。この水溶液に80%酢酸を水で希釈しながら仕込み、pHを弱酸性に調整した後、温度0℃から5℃にて、前記ジアゾ成分の水溶液を滴下し、カップリング反応を行い、ピグメントイエロー14のみからなる顔料組成物1のスラリーを得た。
(製造例2)
カップラー成分としてアセト酢酸-m-キシリダイド810部、アセト酢酸ベンゼンスルホン酸のカリウム塩207部を用いた以外は、製造例1と同様にしてカップリング反応を行い、ピグメントイエロー13と一般式(I-2)で表される化合物からなる顔料組成物2のスラリーを得た。
(製造例3)
カップラー成分としてアセト酢酸-o-トルイダイド755部、アセト酢酸ベンゼンスルホン酸のカリウム塩207部を用いた以外は、製造例1と同様にしてカップリング反応を行い、ピグメントイエロー14とそのスルホン酸誘導体からなる顔料組成物3のスラリーを得た。
(製造例4)
顔料組成物1のスラリー全量に対し、顔料組成物2のスラリーを顔料重量比率で92:8になるように混合した後、pHを中性に調整し、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系の界面活性剤を75部添加し、さらに7.0部の塩化アルミニウムを添加した。昇温し、80℃で60分間の保温を行った後、濾過、水洗浄した顔料ウェットケーキを分離した。単離した顔料ウェットケーキを110℃で乾燥し、乾燥したランプを粉砕し、黄色の顔料組成物4の粉末を得た。
(製造例5)
顔料組成物2のスラリーの代わりに顔料組成物3のスラリーを用いた以外は、製造例4と同様にして、黄色の顔料組成物5の粉末を得た。
(製造例6)
顔料組成物1のスラリーのみを用い、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系の界面活性剤を69部に減らし、塩化アルミニウムを使用しないこと以外は、製造例4と同様にして、黄色の顔料組成物6の粉末を得た。
(製造例7)
顔料組成物1のスラリーのみを用い、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系の活性剤を使用しないこと以外は、製造例6と同様にして、黄色の顔料組成物7の粉末を得た。
得られた黄色の顔料組成物4,5,6,7を用いて、以下に示す顔料の水性分散体の作製方法、および顔料のマイクロカプセル水性分散体の作製方法および水性インクジェット用インキの作製方法により、顔料の水性インクジェット用インキを作製し、貯蔵安定性試験、その他市販のプリンターを用いた印字試験を実施した。
<顔料の水性分散体の作製方法>
製造例4~7で得られた顔料組成物360部と、酸価167のスチレン-(メタ)アクリル酸系共重合体(不揮発分45%)160部、25%水酸化ナトリウム水溶液49部、イソプロピルアルコール110部、イオン交換水670部を混合し、ディスパーマットで攪拌した。得られたスラリーの不揮発分が30%になるようにイオン交換水を添加し、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミルSC100/32型、三井鉱山(株)製)で分散した。分散条件は、顔料の平均粒径が、水性インクジェット用の顔料の水性分散体にて一般的に求められる平均粒径(150~170nm程度)になるように適宜調製した。分散スラリーから溶剤を留去後、顔料の水性分散体1~4を得た。
<顔料のマイクロカプセル(MC)水性分散体の作成>
製造例4~7で得られた顔料組成物360部と、酸価167のスチレン-(メタ)アクリル酸系共重合体(不揮発分45%)160部、25%水酸化ナトリウム水溶液49部、イソプロピルアルコール110部、イオン交換水670部を混合し、ディスパーマットで攪拌した。得られたスラリーの不揮発分が30%になるようにイオン交換水を添加し、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミルSC100/32型、三井鉱山(株)製)で分散した。分散条件は、顔料の平均粒径が、水性インクジェット用の顔料の水性分散体にて一般的に求められる平均粒径(150~170nm程度)になるように適宜調製した。分散スラリーから溶剤を留去後、顔料の水性分散体1~4を得た。
分散スラリーから溶剤を留去し、2%塩酸を滴下して樹脂を析出させた後、固形分を濾過・水洗することでウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを分散条件下、25%水酸化カリウム水溶液を加えてpH9.0に調整し、さらにイオン交換水を加えて不揮発分23%の顔料のマイクロカプセル化水性分散体1~4を得た。
<水性インクジェット用インキの調製>
得られた顔料の水性分散体または顔料のマイクロカプセル化水性分散体を用いて、顔料換算で10.0部の顔料分散体組成物を調製した。組成は次の通り。
・顔料の水性分散体 顔料換算で10.0部になる量
・プロキセルGLX(S) 0.2部
・イオン交換水 残部
次いで、得られた顔料分散体組成物を用いて、水性インクジェット用インキを調製した。組成は次の通り。
・顔料分散体組成物 顔料換算で4.0部になる量
・テトラエチレングリコールモノブチルエーテル 5.0部
・サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 1.0部
・グリセリン 12.5部
・イオン交換水 残部
上記方法にて調製した水性インクジェット用インキを用いて、各種試験、測定を行った。
(実施例1)
顔料の水性分散体1を用い、上述の方法にて水性インクジェット用インキ1を得た。
(比較例1)
顔料の水性分散体2を用い、上述の方法にて水性インクジェット用インキ2を得た。
(比較例2)
顔料の水性分散体3を用い、上述の方法にて水性インクジェット用インキ3を得た。
(比較例3)
顔料の水性分散体4を用い、上述の方法にて水性インクジェット用インキ4を得た。
(実施例2)
顔料のマイクロカプセル化水性分散体1を用い、上述の方法にて水性インクジェット用インキ5を得た。
(比較例4)
顔料のマイクロカプセル化水性分散体2を用い、上述の方法にて水性インクジェット用インキ6を得た。
(比較例5)
顔料のマイクロカプセル化水性分散体3を用い、上述の方法にて水性インクジェット用インキ7を得た。
(比較例6)
顔料のマイクロカプセル化水性分散体4を用い、上述の方法にて水性インクジェット用インキ8を得た。
得られた水性インクジェット用インキ1~8を用い、促進貯蔵安定性試験を実施した。また、市販のインクジェットプリンターのカートリッジに充填し、写真用紙を用い、印刷試験を実施した。得られた印刷画像について、測色計を用いて色差の測定を実施した。
(促進貯蔵安定性試験)
得られた各水性インクジェット用インキを70℃の恒温槽で5日間貯蔵した。
(粒径変化評価)
促進貯蔵安定性試験前後のインキを濃厚系アナライザー(FPAR-1000型、大塚電子社製)で測定し、促進貯蔵安定性試験前後の平均粒径を比較した。
(粘度変化測定)
促進貯蔵安定性試験前後のインキをR型粘度計(TVE-25型、東機産業製)で測定し、促進貯蔵安定性試験前後の粘度を比較した。
(色相変化評価)
促進貯蔵安定性試験前後のインキを市販のインクジェットプリンタ(EM-930C、セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに充填した。メディアは写真用紙(GL-101、キヤノン(株)製)を用いて印字した。得られた印字物を分光光度計(SpectroEye、X-Rite社製)を使用して測色を行い、促進貯蔵安定性試験前インキの印字物を基準とした色差(ΔE*ab)を求めた。
評価は平均粒径、粘度、色差に着目し、促進貯蔵安定性試験前後の変化が少ない場合に良好であると判断した。「顔料の水性分散体」からインクジェット用インキを得た場合の評価結果を表1に示す。また、「顔料のMC水性分散体」からインクジェット用インキを得た場合の評価結果を表2に示す。表1及び表2から明らかなように、実施例1及び実施例2では優れた貯蔵安定性が示されているのに対し、比較例1~6はいずれも良好な貯蔵安定性を示さなかった。
Figure 0007107210000007
Figure 0007107210000008

Claims (2)

  1. (1)C.I.ピグメントイエロー14と、
    (2)C.I.ピグメントイエロー13と、
    (3)一般式(I)で表される化合物と、
    (4)ノニオン系界面活性剤とを、
    含有することを特徴とする水性インクジェット用顔料組成物。
    -Al
    (I)
    [式(I)中、Mはそれぞれ独立に水酸基または下記式(I-1)を示し、Mのうち少なくとも1つは下記式(I-1)である。]
    Figure 0007107210000009
    [式(I-1)中の*はAlとの結合部位を示す。]
  2. 前記ノニオン系界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテルである、請求項1に記載の水性インクジェット用顔料組成物。
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