JP4403291B2 - インクジェット記録用青色顔料分散液、および該青色顔料分散液を用いたインクジェット記録用青色水性インク - Google Patents

インクジェット記録用青色顔料分散液、および該青色顔料分散液を用いたインクジェット記録用青色水性インク Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、(フタロシアニン系顔料を用いた青色の)水性顔料分散液及び該顔料分散液を用いたインクジェット記録用青色水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録に用いられるインクに必要な特性としては、(1)記録媒体上に滲みのない高解像度、高濃度で均一な画像が得られること、(2)ノズル先端において、インクの乾燥による目詰まりが発生せず吐出安定性が良好であること、(3)記録媒体上でのインクの乾燥性が良好であること、(4)画像の堅牢性が良好であること、(5)長期保存安定性が良好であること、等が挙げられる。
【0003】
従来、インクジェット記録用水性インクとしては、溶解安定性が高く、ノズル目詰まりが少なく良好な発色性を有し高画質の印刷を可能とすることから、着色剤として染料が用いられてきたが、染料は、画像の耐水性、耐光性に劣るという問題があった。
この問題を解決するため、染料から顔料への転換が活発に図られている。顔料インクは優れた耐水性、耐光性が期待できるが、顔料の凝集・沈降に伴うノズル目詰まりが問題となる。そこで、高分子系の分散剤を用いて顔料を水性媒体中に分散させる方法が検討されているが、長期間にわたって顔料を安定に分散させることは困難であり、長期保存安定性に優れた顔料分散系水性インクジェット記録用インクが待望されている。
【0004】
本出願人は、このような状況に鑑み、特定の組成のスチレンアクリル樹脂を用いることにより水性顔料分散液の分散性が向上することを見出しており、先に顔料と、酸化が50〜280mgKOH/g、重量平均分子量が1000〜100000であり、スチレンモノマーが60〜90モル%、アクリル酸系モノマーが5〜15モル%、メタアクリル酸系モノマーが5〜25モル%であるアニオン性基含有有機高分子化合物を含有する水性顔料分散体を提案した(例えば特許文献1参照)。この顔料分散体は平均粒子径が小さく、良好な初期分散性を有するが、吐出の安定性、長期にわたる分散安定性は必ずしも十分ではなく、特に加熱後の分散安定性、吐出性、あるいは高温環境下における保存安定性の要求されるサーマルインクジェット記録方式のインクジェット記録用水性インクとして使用するには、さらなる組成、配合の検討が求められていた。
【0005】
また一方、スチレン、アクリル酸とメタクリル酸からなり、かつ、アクリル酸、メタクリル酸のモノマー成分比率が72:10:13であるスチレンアクリル樹脂とカーボンブラックを含有する水性顔料分散液が提案されており、良好な分散性とサーマルインクジェット記録方式による吐出が確認されている(例えば特許文献2参照)。しかしフタロシアニン系顔料等の青色顔料を用いた水性顔料分散液については全く検討がなされていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−183920号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2002−256201号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、分散性及び分散安定性に優れ、高温での長期放置でも粒径の増大が少なく、且つ、物性変化も少ない保存安定性に優れた水性顔料分散液及びこれを用いたインクジェット記録用青色水性インクを提供することを課題とする。
さらに特には、上記特性を満たすことにより、サーマルインクジェット記録方式に適したインクジェット記録用青色水性インク組成物を提供することを課題とする。
更に、本発明においては普通紙に記録する際に、高濃度な画像が得られるインクジェット記録用青色水性インクおよび、この原料となる水性顔料分散液を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこの課題に関し鋭意検討の結果、フタロシアニン系顔料(A)、特定の構造のスチレン系樹脂、アルカリ金属水酸化物(C)の組み合わせにより、上記課題を達成しうることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は少なくともフタロシアニン系顔料(A)、スチレン系樹脂(B)、アルカリ金属水酸化物(C)、を含有するインクジェットインク用水性顔料分散液において、前記スチレン系樹脂(B)が、(i)全モノマー成分に対して60質量%以上のスチレン系モノマーと、(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸を含有するモノマーを共重合させた樹脂であり、かつ前記スチレン系樹脂の重量平均分子量が7500〜30000の範囲であることを特徴とするインクジェット記録用顔料分散液を提供する。
さらに本発明は前記インクジェット記録用顔料分散液を用いて作製されるインクジェット記録用青色水性インクを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)フタロシアニン系顔料としては、公知慣用のものがいずれも使用でき、具体例としては、C.I.ピグメントブルー16等の無金属フタロフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメントブルー15、同 ブルー15:1、同 ブルー15:2等のα型銅フタロフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメント ブルー15:3、同 ブルー15:4等のβ型銅フタロフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメント ブルー15:5等のγ型銅フタロフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメント ブルー59:6等のε型銅フタロフタロシアニン系顔料及びこれらの顔料から選ばれる少なくとも2種以上の顔料の混合物を挙げることができる。顔料は粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でもよく、ウエットケーキやスラリーでもよい。
上記フタロフタロシアニン系顔料の中では、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4が好ましく、またC.I.ピグメントブルー15:3が特に好ましく用いられる。
【0012】
本発明の水性顔料分散液に占める、フタロシアニン系顔料(A)の量は3〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。フタロシアニン系顔料(A)の量が3質量%より少ない場合は、本発明の水性顔料分散液から調製したインクジェット記録用インクの着色が不充分であり、充分な画像濃度が得られない傾向にある。また、逆に25質量%よりも多い場合は、水性顔料分散液において顔料の分散安定性が低下する傾向がある。
また、本発明の水性顔料分散液から調製するインクジェット記録用青色水性インクに占める、フタロシアニン系顔料(A)の量は、充分な画像濃度を得る必要性と、インク中での顔料の分散安定性を確保するために、1〜10質量%であることが好ましい。
【0013】
本発明で使用するスチレン系樹脂(B)は、(i)全モノマー成分に対して60質量%以上のスチレン系モノマーと(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸を含有するモノマーを共重合させた樹脂であり、且つスチレン系樹脂(b)の重量平均分子量が7,500〜30,000の範囲内の樹脂である。
【0014】
スチレン系モノマーとしては公知の化合物を用いることができる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレンの如きアルキルスチレン、4−フロロスチレン、3−クロロスチレン、3−ブロモスチレンの如きハロゲン化スチレン、更に3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等がある。
【0015】
スチレン系樹脂(B)の原料であるスチレン系モノマーの使用比率は60〜90質量%であることがより好ましく、中でも70〜90質量%であることが特に好ましい。スチレン系モノマーの使用比率が60質量%未満であると、フタロシアニン系顔料(A)へのスチレン系樹脂(B)の親和性が不充分となり、インクジェット記録用水性顔料分散液の分散安定性が低下する傾向がある。また該水性顔料分散液から得られるインクジェット記録用青色水性インクの普通紙記録特性が劣化し、画像記録濃度が低下する傾向があり、更に耐水特性も低下する傾向がある。スチレン系モノマーの使用比率が90質量%より多いと、スチレン系樹脂(B)の水性媒体に対する溶解性が低下し、水性顔料分散液における顔料の分散性や分散安定性が低下する傾向にあり、インクジェット記録用青色水性インクとして使用した場合の画像記録濃度等の印字特性が低下する傾向にある。
【0016】
スチレン系モノマーと共重合させるラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸としては、公知の化合物を使用することができる。例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタアクリル酸を使用するのが好ましく、両者を併用するのが特に好ましい。アクリル酸とメタクリル酸を併用することによって、樹脂合成時の共重合性が向上して、樹脂の均一性が良くなる。この結果、保存安定性が良好であり、且つより微粒子化された顔料分散液が得られる傾向がある。
【0017】
ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸モノマー単位は、その総量が全モノマー単位の総量の10〜40質量%であることが好ましい。
【0018】
本発明で使用するスチレン系樹脂(B)のモノマーとしては、スチレン系モノマー、アクリル酸、及びメタクリル酸の3種のモノマーを使用するのが好ましく、それらの総含有比率が、全モノマー成分に対して95質量%以上であることが好ましい。
【0019】
スチレン系樹脂(B)には、スチレン系モノマー及びラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸以外の公知のモノマーを使用できる。そのようなモノマーの例としては、メチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、1,3−ジメチルブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、2−メチルブチルメタアクリレート、ペンチルメタアクリレート、ヘプチルメタアクリレート、ノニルメタアクリレート等のアクリル酸エステル類及びメタアクリル酸エステル類;3−エトキシプロピルアクリレート、3−エトキシブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレートのようなアクリル酸エステル誘導体及びメタクリル酸エステル誘導体;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート、フェニルエチルメタアクリレートのようなアクリル酸アリールエステル類及びアクリル酸アラルキルエステル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ビスフェノールAのような多価アルコールのモノアクリル酸エステル類あるいはモノメタアクリル酸エステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのようなマレイン酸ジアルキルエステル、酢酸ビニル等を挙げることができる。これらのモノマーはその1種又は2種以上をモノマー成分として添加することができる。
【0020】
スチレン系樹脂(B)の製造方法としては、通常の重合方法を採ることが可能で、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、重合触媒の存在下に重合反応を行う方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、その使用量はビニルモノマー成分の0.1〜10.0質量%が好ましい。
【0021】
本発明において使用するスチレン系樹脂は、アルカリ金属水酸化物で中和することにより安定した水分散性を得るため、50〜300の酸価を有する。酸価が50より小さいと、親水性がちいさくなり顔料の分散安定性が低下する。一方、酸価が300より大きいと、顔料の凝集が発生しやすくなり、水性インクを用いた印字品の耐水性が低下するおそれがある。酸価の値としては、60〜250が好ましく、70〜200の範囲であることがさらに好ましい。
【0022】
本発明で使用するスチレン系樹脂(B)の重量平均分子量は7,500から30,000の範囲内であるが、7,500から30,000の範囲内にあることがより好ましい。中でも、10,000〜25,000の範囲内にあることがさらに好ましい。重量平均分子量が7,500未満であると、フタロシアニン系顔料(A)の初期の初期分散時の小粒径化は容易であるが、インクジェット記録用水性顔料分散液の長期保存安定性が悪くなる傾向にあり、顔料の凝集などによる沈降が発生しやすくなる場合がある。スチレン系樹脂(B)の重量平均分子量が30,000を超えると、これを用いたインクジェット記録用水性顔料分散液から調製したインクジェット記録用青色水性インクの粘度が高くなって、インクの吐出安定性が不安定になる傾向にある。
なお、ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル・浸透・クロマトグラフィー)法で測定されるポリスチレン換算値である。
【0023】
スチレン系樹脂のガラス転移点は90〜150℃が好ましく、100〜150℃がさらに好ましい。ガラス転移点が90℃以上であると、水性インクの熱安定性が向上する。このため前記水性顔料分散液から製造されたインクジェット記録用水性インクをサーマルジェット方式のインクジェット記録に用いるときに、繰り返し加熱によって吐出不良を起こすような特性変化を生じにくく好ましい。
【0024】
本発明で使用するスチレン系樹脂(B)はランダム共重合体でもよいが、グラフト共重合体であっても良い。グラフト共重合体としてはポリスチレンあるいはスチレンと共重合可能な非イオン性モノマーとスチレンとの共重合体が幹又は枝となり、アクリル酸、メタクリル酸とスチレンを含む他のモノマーとの共重合体を枝又は幹とするグラフト共重合体をその一例として示すことができる。スチレン系樹脂(B)は、このグラフト共重合体とランダム共重合体の混合物であってもよい。
【0025】
本発明の水性顔料分散液において、(A)フタロシアニン系顔料の100質量部に対する、(B)スチレンアクリル系樹脂の含有量は10〜100質量部であることが好ましく、10〜70質量部であることがより好ましい。(B)スチレンアクリル系樹脂の含有量が10質量部未満であると、水性顔料分散液の分散安定性が低下するとともに水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用インクにしたとき、耐摩擦性が低下する傾向にあり、70質量部を超えた場合は、インクジェット記録用インクの粘度が高くなりすぎる傾向が認められる。
【0026】
本発明において用いられるアルカリ金属水酸化物(C)としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を例示でき、特に水酸化カリウムが好ましい。また、アルカリ金属水酸化物(C)の配合量は、スチレン系樹脂(B)の有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の0.8〜1.2倍に相当する量であることが好ましい。
【0027】
本発明のインクジェット記録用水性顔料分散液には、ジェットノズルにおけるインクの乾燥を防止するために、公知慣用の湿潤剤を添加してもよい。
【0028】
その例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、等の多価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、1,3−ジメチルイミダゾリジン等が挙げられる。
【0029】
本発明の水性顔料分散液における湿潤剤の含有量は、3〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。水性顔料分散液中の湿潤剤の量が3質量%未満では、乾燥防止効果が不充分となる傾向にあり、5質量%を超えると、分散液の分散安定性が低下する傾向にある。
【0030】
また、顔料分散において通常使用されるように、フタロシアニン系顔料の分散を安定化させるために、フタロシアニン誘導体を併用することができる。これらの誘導体として、フタロシアニン残基にスルフォン基、カルボキシル基、燐酸基、クロロスルフォニル基、フタルイミドメチル基、クロロメチル基、アミノ基及びアミド基を結合させた化合物を挙げることができる。
【0031】
本発明の水性顔料分散液を調製する方法としては、公知の方法を使用することができ、例えば以下のような方法で水性顔料分散液を製造することができる。
【0032】
(1)(B)スチレンアクリル系樹脂、(C)アルカリ金属水酸化物を含有する水性媒体に、(A)フタロシアニン系顔料を添加した後、攪拌・分散装置を用いて(A)フタロシアニン系顔料を該水性媒体中に分散させることにより、水性顔料分散液を調製する方法。
(2)フタロシアニン系顔料(A)、及びスチレンアクリル系樹脂(B)を含有する混合物を2本ロール、ミキサー等の混練機を用いて混練し、得られた混練物をアルカリ金属水酸化物(C)を含む含む水性媒体中に添加し、攪拌、分散装置を用いて水性顔料分散液を調製する方法。
(3)メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等のような水と相溶性を有する有機溶剤中にスチレン系樹脂(B)を溶解して得られた溶液に、フタロシアニン系顔料(A)を添加した後、攪拌・分散装置を用いてフタロシアニン系顔料(A)を有機溶液中に分散させ、次いで、アルカリ金属水酸化物(C)を含む水性媒体を用いて転相乳化させた後、前記有機溶剤を留去し水性顔料分散液を調製する方法。
【0033】
(1)は実施例において用いた方法であって、(1)の製造方法における各原料成分の配合については、すでに記載した好ましい配合の範囲の中で適宜調整することができる。また(2)の製造方法はすなわち、(1)の製造方法に先だって二本ロールやミキサーによる混練を行うものであって、フタロシアニン系顔料とスチレン系樹脂に溶剤、湿潤剤等を添加して被混練物の固形分比を使用する混練機に適した範囲に調整することが好ましい。さらに(3)の製造方法については特許文献として提示した特開平8−183920に詳細が記載されている。
【0034】
(1)または(2)の水性顔料分散液の製造方法において、水性媒体は水のみでもよいが必用に応じて湿潤剤や水溶性溶剤を添加することができる。
またスチレン系樹脂、アルカリ金属水酸化物は別々に加えても良いが、例えばメチルエチルケトン、アルカリ金属水酸化物、及び水からなる混合液にスチレン系樹脂を溶解後、メチルエチルケトンを留去してスチレン系樹脂のアルカリ溶液を作製し、これを加えるこのが分散が効率的に進行するため好ましい。
【0035】
攪拌・分散装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができ、これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインクジェット記録用青色水性インクは、前記水性顔料分散液を用いて、常法により調製することができる。
【0036】
本発明の水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用青色水性インクを調製する場合は、粗大粒子が、ノズル詰まり、その他の画像特性を劣化させる原因になるため、インク調製後に、遠心分離、あるいは濾過処理等により粗大粒子を除去することが好ましい。
本発明の水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用青色水性インクを調製する場合、インクの乾燥防止を目的として、先に例示した湿潤剤(D)を添加することができる。乾燥防止を目的とする湿潤剤(D)のインク中の含有量は3〜50質量%であることが好ましい。
【0037】
また、本発明の水性顔料分散液を用いてジェット記録用インク組成物を調製する場合、被記録媒体への浸透性改良や記録媒体上でのドット径調整を目的として浸透剤を添加することができる。
浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
インク中の浸透剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。
【0038】
本発明の水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用青色水性インクを調製する場合、表面張力等のインク特性を調整するために、界面活性剤を添加することができる。このために添加することのできる界面活性剤はとくに限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0039】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
【0040】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
【0041】
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。
これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
また、界面活性剤の溶解安定性等を考慮すると、そのHLBは、7〜20の範囲であることが好ましい。
界面活性剤を添加する場合は、その添加量はインクの全質量に対し、0.001〜1質量%の範囲が好ましく、0.001〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.2質量%の範囲であることがさらに好ましい。界面活性剤の添加量が0.001質量%未満の場合は、界面活性剤添加の効果が得られない傾向にあり、1質量%を超えて用いると、画像が滲むなどの問題を生じやすくなる。
【0042】
本発明の水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用青色水性インクを調製する場合は、必要に応じて防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等をも添加することができる。
【0043】
【実施例】
以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳しく説明する。以下の合成例、実施例、比較例において、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を示す。また、本実施例及び比較例に使用したフタロシアニンブルー顔料は以下の通りのものである。
【0044】
【表1】
(表1)
Figure 0004403291
【0045】
また、同様に本実施例及び比較例に使用した樹脂は以下のものである。
樹脂A−1:モノマー組成比において、スチレン/メタアクリル酸/アクリル酸=77/13/10(質量比)であり、質量平均分子量12000、酸価151mgKOH/g、ガラス転移点107℃である樹脂。
樹脂A−2:モノマー組成比でスチレン/メタアクリル酸/アクリル酸=77/13/10(質量比)とし、分子量が質量平均分子量で7500、酸価150mgKOH/g、ガラス転移点107℃である樹脂。
樹脂A−3:モノマー組成比でスチレン/メタアクリル酸/アクリル酸=77/13/10(質量比)とし、分子量が質量平均分子量で48000、酸価149mgKOH/g、ガラス転移点107℃である樹脂。
樹脂A−4:ジョンソンポリマ社製樹脂J680(スチレン/アクリル酸/α−メチルスチレン)、分子量が重量平均分子量で3900、酸価215mgKOH/g
樹脂A−5:モノマー組成比でアクリル酸/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル=10/13/50/27、酸価138mgKOH/g、ガラス転移点46℃、重量平均分子量12,000のアニオン性基を有するアクリル系樹脂
本発明における重量平均分子量は、GPC(ゲル・浸透・クロマトグラフィー)法で測定される値とする。
【0046】
ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
なお、測定は以下の装置及び条件により実施した。
送液ポンプ:LC−9A
システムコントローラー:SCL−6B
オートインジェクター:SIL−6B
検出器:RID−6A
以上島津製作所社製。
データ処理ソフト:Sic480IIデータステーション(システムインスツルメンツ社製)。
カラム:GL−R400(ガードカラム)+GL−R440+GL−R450+GL−R400M(日立化成工業社製)
溶出溶媒:THF
溶出流量:2ml/min
カラム温度:35℃
【0047】
<実施例1>
〈顔料水性分散液C−1の調製〉
スチレンアクリル系樹脂(A−1)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gを攪拌しながら、この溶液に50質量%NaOH水溶液10.8gとイオン交換水189.2gとの混合液を添加し、スチレンアクリル系樹脂(A−1)を中和した。減圧下でメチルエチルケトンを留去したのち、イオン交換水を加えて固形分濃度20%の、スチレンアクリル系樹脂(A−1)を含む水溶液(B−1)を得た。
次に、容量250mlの容器に下記の組成の仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用い、3時間かけて分散処理を行った。分散処理終了後、更にイオン交換水3.7部を加えた後、ジルコニアビーズを濾別し、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−1)を得た。
Figure 0004403291
【0048】
<実施例2>
〈顔料水性分散液C−2の調製〉
スチレンアクリル系樹脂(A−2)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gを攪拌しながら、この溶液に34質量%KOH水溶液22gとイオン交換水178gとの混合液を添加し、スチレンアクリル系樹脂(A−2)を中和した。減圧下でメチルエチルケトンを留去したのち、イオン交換水を加えて固形分濃度20%の、スチレンアクリル系樹脂(A−2)を含む水溶液(B−2)を得た。
【0049】
次に、容量250mlの容器に下記の組成の仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用い、3時間かけて分散処理を行った。分散処理終了後、更にイオン交換水3部を加えた後、ジルコニアビーズを濾別し、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−2)を得た。
スチレンアクリル系樹脂水溶液(B−2) 27.6部
C.I.ピグメントブルー15:4(商品名IRGALITE Blue GLVO「チバスペシャリティーケミカルス(株)製」) 10部
ジエチレングリコール 20部
イオン交換水 8.4部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
【0050】
<実施例3>
〈顔料水性分散液C−3の調製〉
実施例2で得られたスチレンアクリル系樹脂(A−2)を含む水溶液(B−2)を用い、下記の組成を仕込んで実施例1と同様に分散処理を行い、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−3)を得た。
スチレンアクリル系樹脂水溶液(B−2) 27.6部
C.I.ピグメントブルー15:3(商品名 ファストゲンブルーTGR「大日本インキ化学工業(株)製」) 10部
ジエチレングリコール 20部
イオン交換水 8.4部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
【0051】
<比較例1>
〈顔料水性分散液C−4の調製〉
スチレンアクリル系樹脂(A−3)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gを攪拌しながら、この溶液に34質量%KOH水溶液22gとイオン交換水178gとの混合液を添加し、スチレンアクリル系樹脂(A−3)を中和した。減圧下でメチルエチルケトンを留去したのち、イオン交換水を加えて固形分濃度20%の、スチレンアクリル系樹脂(A−3)を含む水溶液(B−4)を得た。
【0052】
次に、容量250mlの容器に下記の組成の仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用い、3時間かけて分散処理を行った。分散処理終了後、更にイオン交換水3部を加えた後、ジルコニアビーズを濾別し、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−4)を得た。
スチレンアクリル系樹脂水溶液(B−4) 27.6部
C.I.ピグメントブルー15:3(商品名 ファストゲンブルーTGR「大日本インキ化学工業(株)製」) 10部
ジエチレングリコール 20部
イオン交換水 8.4部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
【0053】
<比較例2>
〈顔料水性分散液C−5の調製〉
スチレンアクリル系樹脂(A−4)20gを50質量%NaOH水溶液4.9gとイオン交換水89.1gとの混合液に添加し、撹拌を行い固形分濃度20%のスチレンアクリル系樹脂(A−4)を含む水溶液(B−5)作製した。
次に、容量250mlの容器に下記の組成の仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用い、3時間かけて分散処理を行った。分散処理終了後、更にイオン交換水2部を加えた後、ジルコニアビーズを濾別し、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−5)を得た。
スチレンアクリル系樹脂水溶液(B−5) 28.5部
C.I.ピグメントブルー15:3(商品名 ファストゲンブルーTGR「大日本インキ化学工業(株)製」) 10部
ジエチレングリコール 20部
イオン交換水 8.5部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
【0054】
<比較例3>
〈顔料水性分散液C−6の調製〉
スチレンアクリル系樹脂(A−5)を固形分濃度として50%含むメチルエチルケトン溶液100gを攪拌しながら、この溶液に34質量%KOH水溶液20gとイオン交換水180gとの混合液を添加し、スチレンアクリル系樹脂(A−5)を中和した。減圧下でメチルエチルケトンを留去したのち、イオン交換水を加えて固形分濃度20%の、スチレンアクリル系樹脂(A−5)を含む水溶液(B−6)を得た。
【0055】
次に、容量250mlの容器に下記の組成の仕込みを行った後、ペイントコンディショナーを用い、3時間かけて分散処理を行った。分散処理終了後、更にイオン交換水3部を加えた後、ジルコニアビーズを濾別し、顔料濃度14.5%の顔料水性分散液(C−6)を得た。
スチレンアクリル系樹脂水溶液(B−4) 27.4部
C.I.ピグメントブルー15:3(商品名 ファストゲンブルーTGR「大日本インキ化学工業(株)製」) 10部
ジエチレングリコール 20部
イオン交換水 8.6部
ジルコニアビーズ(1.25mm径) 400部
【0056】
<安定性評価>
各実施例、比較例で得た水性顔料分散液を60℃の温度条件下で2週間静置し、静置前後の粒径、静置後の凝集物の発生状態を調べ、静置前後の粒径、凝集物の発生の有無を安定性の指標として評価した。結果を以下の表1に示す。なお、粒径は「マイクロトラックUPA150」(リージ・アンド・ノースラップ(Leeds & Northrup)社製)を用い、体積平均粒径を水性分散体の粒径として測定した。
【0057】
<インクジェット記録用インク適性の評価>
各実施例、比較例で得られた水性顔料分散体を用いて、以下の配合によりインクジェット記録用インクを調製した。
水性顔料分散液 27.6部
ジエチレングリコール 2.0部
サンニックスGP−600(三洋化成社製) 5.0部
グリセリン 3.0部
イオン交換水 62.4部
【0058】
調製したインクを孔径5μmのメンブランフィルターを用いて濾過した後、サーマルヘッドが搭載されたサーマルインクジェット記録方式のインクジェットプリンター「ノバ・ジェット(NOVA Jet)PRO36」(ENCAD社製)に搭載し、インクジェット記録適性の評価を行なった。
A0サイズ用紙の80%面積範囲に100%画像濃度の連続印字を行い、連続印字前後で100%画像濃度と細線印字を行い、インク吐出特性を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
(表2)
Figure 0004403291
【0060】
インクの記録適正の評価は下記の基準で行った。
○:問題無く印字可能
×:A0印字中に吐出不良が発生
××:印字開始後直ぐに吐出不良発生
【0061】
表2から明らかなように、本発明の水性顔料分散液は、比較例2、比較例3と比較した場合、分散性に優れ、60℃条件下2週間の放置後の粒径の変化率が10%以下であり、高温度での長期間放置でも粒径の増大が少ないことが判る。さらに比較例1は、水性顔料分散液での加熱保存安定性では、本発明の水性顔料分散液との差は明確ではなかったが、水性顔料分散液を用いて調製したインクジェット記録用インキにおいては、インクジェット記録適性(吐出安定性)において明確な差異が認められ、印字画像に著しい欠点となる吐出不良が発生するのに対し、本発明の水性顔料分散液より調整されたインクジェット記録用インキでは全く問題のない画像が得られた。
【0062】
このように比較例で使用した水性顔料分散液では、60℃条件下2週間の放置後の粒径の変化率が10%を超える。あるいはまた比較例で使用したインクジェット記録用青色水性インクでは、インクジェット記録適性に問題が認められインクジェット記録用インクとしては使用できないことが明確となった。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明の水性顔料分散液は、保存安定性に優れ、これを用いてなるインクジェット記録用インクは、ノズル先端において、インクの乾燥による目詰まりが発生せず吐出安定性が良好であり、長期保存安定性が良好であり、安定したインク特性を与えることで、安定した画像品質を得ることができるという特徴を有する。

Claims (6)

  1. 少なくともフタロシアニン系顔料(A)、スチレン系樹脂(B)、アルカリ金属水酸化物(C)、を含有するインクジェットインク用水性顔料分散液において、前記スチレン系樹脂(B)が、(i)全モノマー成分に対して70〜90質量%のスチレン系モノマーと、(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸からなるモノマーを共重合させた樹脂であり、かつ前記スチレン系樹脂の重量平均分子量が7500〜12000の範囲であり、前記フタロシアニンがC.I,ピグメントブルー15:3であることを特徴とするインクジェット記録用水性顔料分散液。
  2. 前記(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸がアクリル酸またはメタクリル酸である請求項1記載のインクジェット記録用水性顔料分散液。
  3. 更に、前記スチレン系モノマー、アクリル酸、及びメタクリル酸の含有量の総和が、前記スチレン系樹脂の共重合の用いられた全モノマー成分の総和に対して95質量%以上である請求項2記載のインクジェット記録用水性顔料分散液。
  4. アルカリ金属水酸化物(C)の含有量が、前記スチレン系樹脂(B)の有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の0.8〜1.2倍に相当する量である請求項1に記載のインクジェット記録用顔料分散液。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録用顔料分散液を用いて作製されることを特徴とするインクジェット記録用青色水性インク。
  6. 前記インクジェット記録用青色水性インクがサーマルインクジェット記録方式のプリンターに用いられるものである請求項に記載のインクジェット記録用青色水性インク。
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