JP4600724B2 - インクジェット記録用水性顔料分散液、インクジェット記録用インク組成物およびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用水性顔料分散液、インクジェット記録用インク組成物およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、赤色ないしマゼンタ色のインクジェット記録用インク組成物及び該水性インク組成物を製造するためのインクジェットインク用水性顔料分散液及びそれらの製造方法に関するものである。
インクジェット記録用水性インクとして顔料を使用したインクが開発されている。顔料を使用したインクは優れた耐水性、耐光性を期待できるものの、顔料の凝集、沈降に伴うノズルの目詰まりが新たな問題となっている。これを解決するため、高分子系の分散剤を用いて顔料を水性媒体中に分散させる方法が検討されているが、高分子系の分散剤のみで長期間にわたって顔料を安定に分散させることは困難であり、長期保存安定性に優れた顔料分散系水性インクジェット記録用インク組成物を提供するには至っていない。
高分子系の分散剤を用いて顔料を水性媒体中に分散させる方法としては、例えば水溶性の高分子分散剤を塩基性成分の存在下で水に溶解した水溶液を調製し、これに顔料を加えて十分撹拌した後、更に分散効率の高い高速サンドミル等を用いる方法が提案されている。しかしながら、この方法においては、分散時間が長時間にわたり、製造効率が低いという問題があった。また、この様にして得られた水性顔料分散液においても、分散安定性は未だ不充分であった。
ところで、顔料の分散状態を長期に渡って安定に保つために、例えば顔料とスルホン酸基含有顔料誘導体を使用し、顔料表面に吸着したスルホン酸基含有含量誘導体の静電反発を利用する方法が提案されている(特許文献1参照)。この手法によれば、色材の分散安定性は向上するが、この色材を用いたインクによる印刷物は、色材表面の極性官能基の存在により水との親和性が高く、顔料そのものを色材として使用するインクと比べると、耐水性が劣るといった問題が生じやすい。
更に、キナクリドン系顔料を色材として用いた水性顔料分散体又は記録用インクの分散性及び分散安定性を達成するために、キナクリドン系顔料とジメチルアミノメチル化キナクリドン化合物を併用したマイクロカプセル化顔料分散体が(特許文献2参照)、またキナクリドン系顔料と、フタルイミドメチル化キナクリドン系化合物、キナクリドンスルホン酸系化合物、及びガラス転移点が−20〜60℃のアニオン性基含有有機高分子化合物を含有する水性顔料分散体が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、これらの公報に記載のマゼンタ色水性顔料分散体も、分散レベル及び分散安定性の面で十分に満足できる物ではなかった。
一方、キナクリドン系顔料を分散させるための樹脂として、スチレン系樹脂(スチレン酸/メタクリル酸=77/10/30、分子量5万)を使用したインクジェットインク用水性顔料分散液の例が知られている(特許文献4参照)。しかしながら、該公報に記載のマゼンタ色水性顔料分散体も、分散レベル及び分散安定性の面で十分に満足できる物ではない。特にサーマルジェット方式のインクジェット記録に適用されたとき、吐出安定性を十分に確保することができなかった。
また、カーボンブラックを分散させるための樹脂として、スチレン系樹脂(スチレン酸/メタクリル酸=77/10/30、分子量7200、及び8300)を使用したインクジェットインク用水性顔料分散液の例が知られている(特許文献5及び特許文献6参照)。しかしながら、該公報にはキナクリドン系顔料を使用したマゼンタ色水性顔料分散体の分散安定性の向上に関しては、何ら具体的な提案がなされていない。
更に、水性顔料分散液において顔料の分散用の樹脂として、多官能性単量体を含有するアクリル系共重合体が提案されている(特許文献7参照)。しかしながら、該公報にはキナクリドン系顔料を使用したマゼンタ色水性顔料分散体の分散安定性の向上に関しては、何ら具体的な提案がなされておらず、実際に、該公報に記載されたアクリル系共重合体を単に使用しただけでは十分な分散効果が得られなかった。
このようにインクジェット記録用インク組成物の分散安定性の向上、特に良好なサーマルジェット方式のインクジェット記録を行うための、優れた技術は未だ得られていない。
特開2002−241638号公報 特開平9−151342号公報 特開2000−191974号公報 特開2000−186244号公報 特開2001−164165号公報 特開2003−41178号公報 特開2003−268288号公報
したがって、本発明の目的は、分散性及び分散安定性に優れ、高温で長期間放置しても粒径の増大が少なく、且つ粘度上昇も少なく印字安定性の優れた赤色ないしマゼンタ色のインクジェット記録用インク組成物、及びこれを製造するためのインクジェットインク用水性顔料分散液、及びそれらの製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、サーマルインクジェット記録方式に適したインクジェット記録用インク組成物を提供することである。
本発明者らはこの課題に関し鋭意検討の結果、以下の手段を用いることによって課題を解決するに至った。すなわち、本発明は、キナクリドン系顔料(a)、スチレン系樹脂(b)、アルカリ金属水酸化物(c)及び分散助剤(d)を含有するインクジェットインク用水性顔料分散液であって、前記スチレン系樹脂(b)が、(i)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマーと(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸系モノマーと(iii)ラジカル重合性の二重結合を分子中に2個以上有するモノマーとを共重合して得られる樹脂であり、更に前記分散助剤(d)が式I
Figure 0004600724
式I
(式中、R〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又は式II
Figure 0004600724
式II
(式中、R11はメチレン基又は炭素数2〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又はフェニル基を表す。)で表される基であり、R〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。)で表される化合物(e)又はキナクリドンスルホン酸系化合物(f)であることを特徴とするインクジェットインク用水性顔料分散液を提供するものである。
また、本発明は、上記のインクジェットインク用水性顔料分散液を用いたことを特徴とするインクジェット記録用インク組成物を提供するものである。
また、本発明は、キナクリドン系顔料(a)、スチレン系樹脂(b)、アルカリ金属水酸化物(c)及びキナクリドンスルホン酸系化合物(f)を含有するインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法であって、前記スチレン系樹脂(b)が、(i)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマーと(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸系モノマーと(iii)ラジカル重合性の二重結合を分子中に2個以上有するモノマーとを共重合して得られる樹脂であり、前記キナクリドン系顔料(a)、スチレン系樹脂(b)及びアルカリ金属水酸化物(c)を含有する混合物を混練して着色混練物を作製する第1の工程と、該着色混練物を、キナクリドンスルホン酸系化合物(f)の存在下において、水性媒体中に分散させる第2の工程を順次行うことを特徴とするインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、キナクリドン系顔料(a)、スチレン系樹脂(b)、アルカリ金属水酸化物(c)及び式I
Figure 0004600724
式I
(式中、R〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又は式II
Figure 0004600724
式II
(式中、R11はメチレン基又は炭素数2〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又はフェニル基を表す。)で表される基であり、R〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。)で表される化合物(e)を含有するインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法であって、前記スチレン系樹脂(b)が、(i)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマーと(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸系モノマーと(iii)ラジカル重合性の二重結合を分子中に2個以上有するモノマーとを共重合して得られる樹脂であり、前記キナクリドン系顔料(a)、前記スチレン系樹脂(b)、前記アルカリ金属水酸化物及び前記式Iで表される化合物(e)を混練して着色混練物を作製する第1の工程と、該着色混練物を水性媒体中へ分散させる第2の工程を順次行うことを特徴とするインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法を提供するものである。
上記式Iで表される化合物(e)及びキナクリドンスルホン酸系化合物(f)は、本発明で使用する上記のスチレン系樹脂と良く適合し、該樹脂の分散安定化機能を補助して、キナクリドン系顔料を含有する水性インク組成物の分散安定性を向上させる。
本発明のインクジェットインク用水性顔料分散液を用いることによって、顔料の微分散化が達成できると同時に、分散性及び分散安定性に優れ、高温で長期間放置しても粒径の増大が少なく、且つ粘度上昇も少なく印字安定性の優れた赤色ないしマゼンタ色のインクジェットインク用水性インク組成物を得ることができる。本発明のインクジェットインク用水性顔料分散液を用いたインクジェットインク用水性インク組成物は、特にサーマルインクジェットインク用水性インク組成物として好適に使用できる。
本発明において用いられるキナクリドン系顔料(a)としては、公知慣用のものがいずれも使用でき、具体例としては、C.I.ピグメントレッド122等のジメチルキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッドレッド209等のジクロロキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19等の無置換キナクリドン、及びこれらの顔料から選ばれる少なくとも2種以上の顔料の混合物若しくは固溶体を挙げることができる。顔料は粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でもよく、ウエットケーキやスラリーでもよい。上記キナクリドン系顔料(a)の中では、C.I.ピグメントレッド122が好ましい。
本発明で使用するスチレン系樹脂(b)は、(i)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマーと(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸系モノマーと(iii)ラジカル重合性の二重結合を分子中に2個以上有するモノマーとを共重合して得られる樹脂である。
スチレン系モノマーとしては公知の化合物を用いることができる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレンの如きアルキルスチレン、4−フロロスチレン、3−クロロスチレン、3−ブロモスチレンの如きハロゲン化スチレン、更に3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等がある。
スチレン系樹脂(b)の原料であるスチレン系モノマーの使用比率は60〜90質量%であることがより好ましく、中でも70〜90質量%であることが特に好ましい。スチレン系モノマーの使用比率が60質量%未満であると、キナクリドン系顔料(a)へのスチレン系樹脂(b)の親和性が不充分となり、インクジェットインク用水性顔料分散液の分散安定性が低下する傾向がある。また該水性顔料分散液から得られるインクジェット記録用インク組成物の普通紙記録特性が劣化し、画像記録濃度が低下する傾向があり、更に耐水特性も低下する傾向がある。ただし、スチレン系モノマー成分の含有量が90質量%を越えると分散に寄与するアニオン性基を有するモノマー成分の含有量が低下し、水系での分散安定性、長期保存安定性が低下するおそれがある。
スチレン系モノマーの量が上記範囲であると、スチレン系樹脂(b)の水性媒体に対する溶解性を良好にすることができ、インクジェットインク用水性顔料分散液における顔料の分散性や分散安定性を向上させることができる。更に、インクジェット記録用インク組成物として使用した場合の印字安定性が良好になる。
全モノマー成分に対する前記スチレン系モノマーとラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸系モノマーの合計比率は、95質量%以上であることが好ましい。スチレン系モノマーと共重合させるラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸としては、公知の化合物を使用することができる。例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタアクリル酸を使用するのが好ましく、両者を併用するのが特に好ましい。アクリル酸とメタクリル酸を併用することによって、樹脂合成時の共重合性が向上して、樹脂の均一性が良くなる。この結果、保存安定性が良好であり、且つ、より微粒子化された顔料分散液を得ることができる。
ラジカル重合性の二重結合を分子中に2個以上有するモノマーとしては、公知の化合物を使用することができる。例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物−トリメタアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物−トリメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等がある。中でも、ジビニルベンゼンを用いるのが好ましい。
スチレン系樹脂(b)には、上記のモノマー以外の公知のモノマーを使用できる。そのようなモノマーの例としては、メチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、1,3−ジメチルブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタアクリレート、n−ブチルメタアクリレート、2−メチルブチルメタアクリレート、ペンチルメタアクリレート、ヘプチルメタアクリレート、ノニルメタアクリレート等のアクリル酸エステル類及びメタアクリル酸エステル類;3−エトキシプロピルアクリレート、3−エトキシブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレートのようなアクリル酸エステル誘導体及びメタクリル酸エステル誘導体;フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート、フェニルエチルメタアクリレートのようなアクリル酸アリールエステル類及びアクリル酸アラルキルエステル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ビスフェノールAのような多価アルコールのモノアクリル酸エステル類あるいはモノメタアクリル酸エステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのようなマレイン酸ジアルキルエステル、酢酸ビニル等を挙げることができる。これらのモノマーはその1種又は2種以上をモノマー成分として添加することができる。
本発明で使用するスチレン系樹脂(b)の重量平均分子量は7500から40000の範囲内にあることが好ましく、7500から30000の範囲内にあることがより好ましい。中でも、10000〜25000の範囲内にあることが特に好ましい。重量平均分子量が7500未満であると、キナクリドン系顔料(a)の初期の分散小粒径化は容易であるが、インクジェットインク用水性顔料分散液の長期保存安定性が悪くなる傾向にあり、顔料の凝集などによる沈降が発生する場合がある。スチレン系樹脂(b)の重量平均分子量が40000を超えると、これを用いたインクジェットインク用水性顔料分散液から調製したインクジェット記録用インク組成物の粘度が高くなって、特にサーマルジェット方式のインクジェット記録においてインクの吐出安定性が不安定になる傾向にある。
なお、上記の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。測定条件は下記の通りである。
システムコントローラー:HLC−8020(東ソー(株)社製)
送液ポンプ:HLC−8020本体内蔵
RI検出器:HLC−8020本体内蔵
オートインジェクター:AS−8020 (東ソー(株)社製)
データ処理ソフト:OmniSEC
カラム:GMHXL+G2000HXL+G1000HXL(TSKgel 東ソー(株)社製)
溶出溶媒:THF
溶出流量:1ml/min
カラム温度:40℃
スチレン系樹脂(b)がゲル分を含む場合は、ゲル分をフィルター等で除去してからGPCによる測定を行う。したがって、上記の重量平均分子量はGPCの測定に使用する溶媒に溶解する成分の分子量を測定したものである。
本発明で使用するスチレン系樹脂(b)中のゲル成分の比率(ゲル分率)は、5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。中でも、本発明で使用するスチレン系樹脂(b)はゲル状の成分を含まないことが特に好ましい。なお、ゲル分率は以下の手順により測定した値である。
固形のスチレン系樹脂(b)1gを精秤し、テトラヒドロフラン40ml中に加えて溶解してスチレン系樹脂(b)の溶液を作製する。その後、桐山製のロート(直径40mm)上に桐山濾紙(No.3)を置き、その上にラジオライト(昭和化学社製 #700)2gを均一に敷いて、前記スチレン系樹脂(b)の溶液を吸引濾過する。次いで、濾過後のラジオライトのケーキをアルミシャーレ上にあけて、140℃で1時間乾燥し、乾燥重量を測定する。そして、最初のスチレン系樹脂(b)のサンプル量で乾燥重量中の残存樹脂量を割った値を百分率で算出し、この値をスチレン系樹脂(b)のゲル分率とする。
スチレン系樹脂(b)の製造方法としては、通常の重合方法を採ることが可能で、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等、重合触媒の存在下に重合反応を行う方法が挙げられる。重合触媒としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、その使用量はビニルモノマー成分の0.1〜10.0質量%が好ましい。
本発明で使用するスチレン系樹脂(b)はランダム共重合体でもよいが、グラフト共重合体であっても良い。グラフト共重合体としてはポリスチレンあるいはスチレンと共重合可能な非イオン性モノマーとスチレンとの共重合体が幹又は枝となり、アクリル酸、メタクリル酸とスチレンを含む他のモノマーとの共重合体を枝又は幹とするグラフト共重合体をその一例として示すことができる。スチレン系樹脂(b)は、このグラフト共重合体とランダム共重合体の混合物であってもよい。
本発明において使用するアルカリ金属水酸化物(c)としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が使用できるが、特に、水酸化カリウムを使用することが好ましい。また、アルカリ金属水酸化物(c)の添加量は、スチレン系樹脂(b)が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の0.8〜1.2倍に相当する量であることが好ましい。
本発明で使用する分散助剤(d)の少なくとも一つは、下記式Iで表される化合物(e)である。
Figure 0004600724
式I
(式中、R〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又は式II
Figure 0004600724
式II
(式中、R11はメチレン基又は炭素数2〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又はフェニル基を表す。)で表される基であり、R〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。)
式Iで表される化合物(e)の中で好ましい化合物の具体例としては、下記式IVで表される基を有する下記式IIIで表される化合物である。
Figure 0004600724
式IV
Figure 0004600724
式III
(式中、m及びnはそれぞれ独立的に0、1、2又は3を表す。但し、mとnが共に0となることはない。)
また、本発明で使用する式Iで表せる化合物(e)としては、式IIIで表される化合物の中でも式IVで表される基を1分子あたり1個或いは複数個有する化合物であることが好ましく、1分子あたり平均1〜2個有する化合物であることが好ましい。特に、1分子あたり平均1〜1.5個有する化合物であることが特に好ましい。式IVで表される基が1分子あたり平均1個未満であると分散安定性に対する効果が現れにくく、1分子あたり平均2個を越えると、滲みなど、インクジェット記録用インク組成物としての特性を低下させる可能性がある。
上記式IIIで表される基を有する化合物は、無置換キナクリドン、ジメチルキナクリドン、ジクロロキナクリドン等とフタルイミド及びホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドとを濃硫酸中で反応させることにより合成することができる。
本発明で使用する分散助剤(d)のうち、もう一方のものは、キナクリドンスルホン酸系化合物(f)である。キナクリドンスルホン酸系化合物(f)としては、公知慣用のものが使用できる。例えば無置換キナクリドン、ジメチルキナクリドン、ジクロロキナクリドン等を公知の方法により濃硫酸等と反応させることで合成できるキナクリドンスルホン酸類、及びそのナトリウム、アルミニウム、カルシウム等の金属塩類、ならびにそのアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、ジドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム等のアンモニウム塩類が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩であることが好ましい。
より具体的には、本発明で使用するキナクリドンスルホン酸系化合物(f)としては、3,10−ジクロロキナクリドンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましく、3,10−ジクロロキナクリドンスルホン酸ナトリウム塩がさらに好ましい。
本発明で使用する分散助剤(d)としては、式Iで表される化合物(e)とキナクリドンスルホン酸系化合物(f)を双方とも使用することが好ましい。
本発明においては、式Iで表される化合物(e)は、キナクリドン系顔料(a)には含まれないものとする。本発明において、キナクリドン系顔料(a)100質量部に対する式Iで表される化合物(e)とキナクリドンスルホン酸系化合物(f)の使用量は、それぞれ1から20質量%であることが好ましく、2から15質量%であることがより好ましい。且つ式Iで表される化合物(e)とキナクリドンスルホン酸系化合物(f)を併用する場合の総使用量は4〜20質量部であり、4〜15質量部であることがより好ましい。使用量が上記の範囲であると分散液及びインク組成物の保存安定性が良好である。
本発明のインクジェットインク用着色混練物において、キナクリドン系顔料(a)と式Iで表される化合物(e)とキナクリドンスルホン酸系化合物(f)との合計100質量部に対するスチレン系樹脂(b)の使用量は10〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。スチレン系樹脂(b)の使用量が10質量部未満であると、インクジェットインク用水性顔料分散液の分散安定性が低下するとともにインクジェットインク用水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用インク組成物を調製したとき、耐摩擦性が低下する傾向にあり、50質量部を超えた場合は、インクジェット記録用インク組成物の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
本発明の水性顔料分散液には、水性顔料分散液の乾燥防止及びインク組成物の乾燥防止のために湿潤剤を使用することができる。湿潤剤として公知慣用のものが使用でき、そのような湿潤剤としては、例えばグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。湿潤剤の使用量は、キナクリドン系顔料(a)100質量部に対して、40〜80質量部の範囲内であることが好ましい。
本発明のインクジェットインク用水性顔料分散液を製造する場合には、分散助剤(d)として、式Iの化合物(e)又はキナクリドンスルホン酸系化合物(f)をそれぞれ以下のように使用する製造方法を用いることが好ましい。
すなわち、前記式Iの化合物(e)を分散助剤として用いるときは、前記スチレン系樹脂(b)を前記キナクリドン系顔料(a)、前記アルカリ金属水酸化物(c)及び前記式Iで表される化合物(e)若しくは前記キナクリドンスルホン酸系化合物(f)を分散助剤として併用し、共に混練してインクジェットインク用着色混練物を作製し、しかる後、該組成物を水性媒体中に分散させるインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法を用いることが好ましい。
また、前記キナクリドンスルホン酸系化合物(f)を分散助剤として用いるときは、前記キナクリドン系顔料(a)、前記スチレン系樹脂(b)及び前記アルカリ金属水酸化物(c)を混練してインクジェットインク用着色混練物を作製し、しかる後、該組成物を、前記キナクリドンスルホン酸系化合物(f)の存在下において水性媒体中に分散させることが好ましい。またキナクリドンスルホン酸系化合物(f)を分散助剤として用いるためには、前記着色混練物の水性媒体への分散終了後に該水性媒体中に添加してもよい。
前記製造方法において、インクジェットインク用着色混練物を、キナクリドンスルホン酸系化合物(f)を含む水性媒体で、一括で希釈してインクジェットインク用水性顔料分散液を製造することも可能であるし、あるいはインクジェットインク用着色混練物を、キナクリドンスルホン酸系化合物(f)を含まない水性媒体で希釈して水性顔料分散液前駆体を準備した後、更にキナクリドンスルホン酸系化合物(f)を含む水性媒体で希釈してインクジェットインク用水性顔料分散液を製造しても良い。
また前記式Iで表される化合物(e)とキナクリドンスルホン酸系化合物(f)は分散助剤として併用することが一層好ましい。これら分散助剤を併用するときは、前記キナクリドン系顔料(a)、前記スチレン系樹脂(b)、前記アルカリ金属水酸化物(c)及び前記式Iで表される化合物(e)を含有する混合物を混練して、インクジェットインク用着色混練物を作製し、該混練物をキナクリドンスルホン酸系化合物(f)の存在下において水性媒体中へ分散させることにより、インクジェットインク用水性顔料分散液を製造することができる。
またインクジェットインク用着色混練物を作製するときの前記混練過程において、分散助剤として、前記式Iで表される化合物(e)と前記キナクリドンスルホン酸系化合物(f)とを併用してインクジェットインク用着色混練物を作製し、該混練物を水性媒体中に分散させてインクジェットインク用水性顔料分散液を製造してもよい。
前述の製造方法の混練工程において使用されるアルカリ金属水酸化物(d)は、アルカリ金属水酸化物(d)の水溶液、又は有機溶剤溶液として添加する。この場合、アルカリ金属水酸化物(d)の水溶液又は有機溶剤溶液の濃度は、20質量%〜50質量%であることが好ましい。また、アルカリ金属水酸化物(d)を溶解する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、等のアルコール系溶剤を用いることが好ましい。中でも、本発明では、アルカリ金属水酸化物(d)の水溶液を用いることが好ましい。
上記の製造方法において、アルカリ金属水酸化物(c)の添加量は、スチレン系樹脂(b)が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の0.8〜1.2倍に相当する量であることが好ましい。
また、キナクリドン系顔料(a)、スチレン系樹脂(b)及びアルカリ金属水酸化物(c)を、あるいは式Iで表される化合物(e)若しくはキナクリドンスルホン酸系化合物(f)を分散助剤として併用し、共に混練する場合、高剪断力下で混練することが好ましい。高剪断力下で混練することにより、キナクリドン系顔料(a)が微粉砕され、更にその粒子表面にスチレン系樹脂(b)の吸着が進行し、均一なインクジェットインク用着色混練物が得られる。
混練する際のインクジェットインク用着色混練物中の固形分濃度は50〜80質量%であることが好ましい。固形分濃度が50質量%より少ないと十分な剪断力をかけることができず、キナクリドン系顔料(a)の粉砕が不十分となる傾向があると同時に、均一なインクジェットインク用着色混練物が得にくくなる。また固形分濃度が80質量%を超えると、たとえ加温して樹脂を充分に軟化させたとしても混練が困難になる。また、混練終了後に混練物を水性媒体中に分散させることが困難となるおそれがある。
また本発明の水性顔料分散液を製造するにあたり、前記第1の工程におけるキナクリドン顔料(a)、スチレン系樹脂(b)及びアルカリ金属水酸化物(c)を含有する混合物にさらに湿潤剤を含有させてもよい。湿潤剤を含有させることにより、該混合物の固形分比を混練装置に適した値に調整することが容易になるとともに、前記顔料表面が湿潤剤によって濡れやすいため、湿潤剤がスチレン系樹脂に置き換わることで顔料表面の被覆が速やかに進行する。
湿潤剤の添加量は、キナクリドン系顔料(a)100質量部に対して、40〜80質量部の範囲内が好ましい。湿潤剤の量が80質量部より多いと、固形分濃度が低下するため十分な剪断力を負荷することができなくなる傾向がある。また40質量部より少ないと、固形物同士を融合状態とすることが困難となりやすく、やはり十分な剪断力を負荷することができにくくなる傾向がある。この結果キナクリドン系顔料(a)を十分に粉砕しかつスチレン系樹脂(b)をその表面に吸着させにくくなり、均一なインクジェットインク用着色混練物が得られなくなる傾向がある。
インクジェット用の着色混練物を製造する際には、撹拌槽を有する混練機を用いることが好ましい。このような混練機を使用すると、混練によって製造されたインクジェット用の着色混練物を、キナクリドンスルホン酸系化合物を含む水性媒体で直接希釈してインクジェットインク用水性顔料分散液を製造することも可能である。混練機の具体例としてはプラネタリーミキサーが好ましい。プラネタリーミキサーは二本ロール等と比較すると、広い範囲の粘度領域で混練処理が可能であり、更に水性媒体の添加及び減圧溜去も可能であるため、混練時の粘度及び負荷剪断力の調整が容易である。
混練によって製造されたインクジェット用の着色混練物を、キナクリドンスルホン酸系化合物を含む水性媒体で希釈して得たインクジェットインク用水性顔料分散液は、更に分散機により分散処理することが好ましい。分散処理を行うことによって、インクジェット記録用水性用顔料分散液中の粗大分散粒子が更に粉砕されるし、より分散粒子の粒径が小さくなることによって、インクジェット記録用インク組成物の吐出安定性、印字濃度などのインクジェット特性がより改善されるためである。分散処理を行う際の分散機としては、公知慣用の機器が使用でき、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノミル、ナノマイザー、アルティマイザー等を挙げることができ、これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
インクジェットインク用着色混練物を希釈する際の水性媒体はインクジェット用インク用顔料分散液の乾燥防止、及び分散処理実施時の粘度調整の必要性から湿潤剤を含んでいても良く、その量はインクジェットインク用着色混練物中の湿潤剤と合わせて、インクジェット用インク用顔料分散液中に3〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。この下限未満では、乾燥防止効果が不十分となる傾向にあり、上記上限を超えると分散液の分散安定性が低下する傾向にある。インクジェットインク用着色混練物の製造時に用いられる湿潤剤と、これを希釈する際に用いられる水性媒体中に使用される湿潤剤は、同一でも良く、異なっていても良い。
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、常法により調製することができる。インクジェット記録用インク組成物を調製する場合は、粗大粒子が、ノズル詰まり、その他の画像特性を劣化させる原因になるため、インク調製後に、遠心分離、あるいは濾過処理等により粗大粒子を除去しても良い。
インクジェット記録用インク組成物を調製する場合、インクの乾燥防止を目的として、先に例示した湿潤剤を同様に添加することができる。乾燥防止を目的とする湿潤剤のインク中の含有量は3〜50質量%であることが好ましい。また、インクジェット記録用インク組成物を調製する場合、被記録媒体への浸透性改良や記録媒体上でのドット径調整を目的として浸透剤を添加することができる。
浸透剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。インク中の浸透剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。
インクジェット記録用インク組成物を調製する場合、表面張力等のインク特性を調整するために、界面活性剤を添加することができる。このために添加することのできる界面活性剤はとくに限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、これらの中では、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられ、これらの具体例として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩などを挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、等を挙げることができ、これらの中では、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
その他の界面活性剤として、ポリシロキサンオキシエチレン付加物のようなシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルのようなフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンのようなバイオサーファクタント等も使用することができる。これらの界面活性剤は、単独で用いることもでき、また、2種類以上を混合して用いることもできる。また、界面活性剤の溶解安定性等を考慮すると、そのHLBは、7〜20の範囲であることが好ましい。
界面活性剤を添加する場合は、その添加量はインクジェット記録用インク組成物の全質量に対し、0.001〜1質量%の範囲が好ましく、0.001〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.2質量%の範囲であることがさらに好ましい。界面活性剤の添加量が0.001質量%未満の場合は、界面活性剤添加の効果が得られない傾向にあり、1質量%を超えて用いると、画像が滲むなどの問題を生じやすくなる。
本発明のインクジェットインク用水性顔料分散液を用いてインクジェット記録用インク組成物を調製する場合は、必要に応じて防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等をも添加することができる。
インクジェットインク用水性顔料分散液に占める、キナクリドン系顔料(a)の量は5〜25質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。キナクリドン系顔料(a)の量が5質量%より少ない場合は、インクジェットインク用水性顔料分散液から調製したインクジェット記録用インク組成物の着色が不充分であり、充分な画像濃度が得られない傾向にある。また、逆に25質量%よりも多い場合は、インクジェットインク用水性顔料分散液において顔料の分散安定性が低下する傾向がある。本発明のインクジェットインク用水性顔料分散液から調製するインクジェット記録用インク組成物に占める、キナクリドン系顔料(a)の量は、充分な画像濃度を得る必要性と、インク中での分散粒子の分散安定性を確保するために、2〜10質量%であることが好ましい。
このインクジェット記録用インク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。適用するインクジェットの方式は特に限定するものではないが、荷電制御型、スプレー型などの連続噴射型、ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式などのオンデマンド型、などの公知のものを例示することができる。中でも、サーマルインクジェット記録方式のプリンタに使用することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、特に断りがない限り「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表すものとする。
本実施例において使用する樹脂は以下のA〜Cである。
樹脂A:モノマー組成比において、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸/ジビニルベンゼン=76/10/13/1(質量比)であり、重量平均分子量29300、数平均分子量6200、酸価153mgKOH/gである樹脂。
樹脂B:モノマー組成比において、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸/ジビニルベンゼン=74/10/13/3(質量比)であり、重量平均分子量35000、数平均分子量5000、酸価151mgKOH/gである樹脂。
樹脂C:モノマー組成比において、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13(質量比)であり、重量平均分子量15000、数平均分子量4900、酸価152mgKOH/gである樹脂。
(直接分散処方による水性顔料分散液)
(実施例1)
・樹脂水溶液の作製
下記配合で樹脂Aのメチルエチルケトン溶液を作製した。
メチルエチルケトン(以下、MEKと略記する) 50g
樹脂A 50g
これにイオン交換水247.8g、34質量%の水酸化カリウム水溶液22.50gの混合溶液を加え、良く撹拌し、樹脂A溶液を得た。この樹脂A溶液について、ウォーターバス温度35℃、20hPaの減圧条件でMEKを水とともに留去し、留去終了後、イオン交換水を追加し、固形分濃度20質量%の樹脂A水溶液を得た。
・顔料分散
250mlのポリエチレン製瓶にφ1.2mmのジルコニアビーズ400gを入れ、さらに下記配合を行いペイントコンディショナー(東洋精機製)で4時間処理した。
樹脂A水溶液 8.65g
キナクリドン系顔料:ファストゲンスーパーマゼンタRTS 9.25g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン 0.75g
(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数1.4)
ジエチレングリコール 20.0g
イオン交換水 20.0g
処理終了後、イオン交換水10.32gを加えて、更に30分処理した後、ビーズを濾別し、顔料分散液A―1を得た。顔料分散液A―1のキナクリドン系顔料濃度は13.4質量%であった。
(実施例2)
・樹脂水溶液の作製
樹脂Aに換えて樹脂Bを用い、更にイオン交換水247.5g、34質量%水酸化カリウム水溶液22.21gを使用した以外は実施例1と同様にして固形分濃度20質量%の樹脂B水溶液を得た。
・顔料分散
250mlのポリエチレン製瓶にφ1.2mmのジルコニアビーズ400gを入れ、さらに下記配合を行いペイントコンディショナー(東洋精機製)で4時間処理した。
樹脂B水溶液 8.63g
キナクリドン系顔料:ファストゲンスーパーマゼンタRTS 9.25g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン 0.75g
(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数1.4)
ジエチレングリコール 20.0g
イオン交換水 20.0g
処理終了後、イオン交換水10.34gを加えて、更に30分処理した後、ビーズを濾別し、顔料分散液B―1を得た。顔料分散液B―1のキナクリドン系顔料濃度は13.4質量%であった。
(実施例3)
実施例1で作製した樹脂A水溶液を使用した。
・顔料分散
250mlのポリエチレン製瓶にφ1.2mmのジルコニアビーズ400gを入れ、さらに下記配合を行いペイントコンディショナー(東洋精機製)で4時間処理した。
樹脂A水溶液 8.65g
キナクリドン系顔料:ファストゲンスーパーマゼンタRTS 9.00g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン 0.25g
(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数1.4)
3,10−ジクロロキナクリドンスルホン酸ナトリウム塩
(平均スルホン基数1.3)の固形分濃度10.0%の含水スラリー 7.50g
ジエチレングリコール 20.0g
イオン交換水 13.25g
処理終了後、イオン交換水10.33gを加えて、更に30分処理した後、ビーズを濾別し、顔料分散液C―1を得た。顔料分散液C―1のキナクリドン系顔料濃度は13.1質量%であった。
(比較例1)
・樹脂水溶液の作製
樹脂Aに換えて樹脂Cを用い、更にイオン交換水247.7g、34%質量%水酸化カリウム水溶液22.35gを使用した以外は実施例1と同様にして固形分濃度20質量%の樹脂C水溶液を得た。
・顔料分散
250mlのポリエチレン製瓶にφ1.2mmのジルコニアビーズ400gを入れ、さらに下記配合を行いペイントコンディショナー(東洋精機製)で4時間処理した。
樹脂C水溶液 8.64g
キナクリドン系顔料:ファストゲンスーパーマゼンタRTS 9.25g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン 0.75g
(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数1.4)
ジエチレングリコール 20.0g
イオン交換水 20.0g
処理終了後、イオン交換水10.33gを加えて、更に30分処理した後、ビーズを濾別し、顔料分散液D―1を得た。顔料分散液D―1のキナクリドン系顔料濃度は13.4質量%であった。
(着色混練物を経由する水性顔料分散液)
(実施例4)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21回転/分,公転回転数:14回転/分)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35回転/分,公転回転数:24回転/分)に切り替え、混練を継続した。
樹脂A 725g
キナクリドン系顔料:ファストゲンスーパーマゼンタRTS 4480g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン 370g
(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数1.4)
ジエチレングリコール 2900g
34質量%水酸化カリウム水溶液 326g
高速への切り替え時のプラネタリーミキサー電流値は5Aであった。その後、混練を20分継続したところ、プラネタリーミキサーの最大電流値は15Aを示した。最大電流値を観測してから4時間経過した時点まで混練を継続し着色樹脂組成物を得た。得られた着色樹脂組成物にプラネタリーミキサーによる撹拌を継続しながら、2時間で総量7000gの60℃に加温したイオン交換水を加えた。イオン交換水の添加が終了した後、プラネタリーミキサーから水希釈後の着色樹脂組成物を取り出した。この水希釈後の着色樹脂組成物の固形分濃度は36.9質量%であった。さらに取り出した水希釈後の着色樹脂組成物12kgに、ジエチレングリコール1.52kg、イオン交換水8.60kgを分散撹拌機で撹拌しながら少量ずつ添加し、水性顔料分散液前駆体を得た。この水性顔料分散液前駆体18kgを、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM−G2L)にて下記条件で分散を実施し、顔料分散液E−1を得た。
・分散条件
分散機 ナノミルNM−G2L(浅田鉄工製)
ビーズφ 0.3mmジルコニアビーズ
ビーズ充填量 85%
冷却水温度 10℃
回転数 2660回転/分
(ディスク周速:12.5m/sec)
送液量 198g/10秒
なお、分散は上記条件で、1時間循環しながら分散処理を行った。顔料分散液E−1のキナクリドン系顔料濃度は15.8質量%であった。
(実施例5)
・混練条件
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物の温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21回転/分,公転回転数:14回転/分)で混練を行い、内容物の温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35回転/分,公転回転数:24回転/分)に切り替え、混練を継続した。
樹脂A 750g
キナクリドン系顔料:ファストゲンスーパーマゼンタRTS 4500g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン 125g
(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数1.4)
ジエチレングリコール 3000g
34質量%水酸化カリウム水溶液 338g
高速への切り替え時のプラネタリーミキサー電流値は5Aであった。その後、混練を20分継続したところ、プラネタリーミキサーの最大電流値は15Aを示した。最大電流値を観測してから4時間経過した時点まで混練を継続し着色樹脂組成物を得た。得られた着色樹脂組成物にプラネタリーミキサーによる撹拌を継続しながら、2時間で総量7000gの60℃に加温したイオン交換水を加えた。その後、プラネタリーミキサーから水希釈後の着色樹脂組成物を取り出した。水希釈後の着色樹脂組成物の固形分濃度は36.1質量%であった。更に、水希釈後の着色樹脂組成物12kgに、ジエチレングリコール1.28kg、イオン交換水8.38kgを分散撹拌機で撹拌しながら少量ずつ添加し、水性顔料分散液前駆体を得た。この水性顔料分散液前駆体、18kgを、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM−G2L)にて下記条件で分散処理を実施し水性顔料分散液前駆体F−1を得た。
・分散条件(1)
分散機 ナノミルNM−G2L(浅田鉄工製)
ビーズ φ0.3mmジルコニアビーズ
ビーズ充填量 85%
冷却水温度 10℃
回転数 2660回転/分
(ディスク周速:12.5m/sec)
送液量 200g/10秒
なお、分散は上記条件で、1時間循環しながら分散処理を行った。水性顔料分散液前駆体F−1のキナクリドン系顔料濃度は16.4質量%であった。水性顔料分散液前駆体F−1に対して下記の条件にて分散処理を行い、水性顔料分散液F−2を得た。
・分散条件(2)
250mlのポリエチレン製瓶にφ1.2mmのジルコニアビーズ200gを入れ、さらに下記配合を行いペイントコンディショナー(東洋精機製)で30分間処理し、水性顔料分散液G−2を得た。得られた水性顔料分散液F−2中のキナクリドン系顔料濃度は12.8%であった。
水性顔料分散液前駆体F−1 62.49g
3,10−ジクロロキナクリドンスルホン酸ナトリウム塩
(平均スルホン基数1.3)の固形分濃度10.0%の含水スラリー 8.53g
イオン交換水 8.98g
(比較例2)
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21回転/分,公転回転数:14回転/分)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35回転/分,公転回転数:24回転/分)に切り替え、混練を継続した。
樹脂C 750g
キナクリドン系顔料:ファストゲンスーパーマゼンタRTS 4630g
(大日本インキ化学工業(株)製)
フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン 380g
(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数1.4)
DEG 2900g
34質量%水酸化カリウム水溶液 335g
高速への切り替え時のプラネタリーミキサー電流値は5Aであった。その後、混練を継続し、プラネタリーミキサーの最大電流値が15Aを示した。最大電流値を示してから30分ごとに60℃に加温したイオン交換水を100g追加しながら混練を4時間継続し着色樹脂組成物を得た。この間のプラネタリーミキサーの電流値は12Aであった。この様にして得た撹拌槽内の着色樹脂組成物に、混練を継続しながら、2時間で総量6200gの60℃に加温したイオン交換水を加えた。イオン交換水の添加が終了した後、プラネタリーミキサーから水希釈後の着色樹脂組成物を取り出した。この水希釈後の着色樹脂組成物の固形分濃度は39.9質量%であった。さらに取り出した水希釈後の着色樹脂組成物12kgに、ジエチレングリコール5.81kg、イオン交換水6.15kgを分散撹拌機で撹拌しながら少量ずつ添加し、水性顔料分散液前駆体を得た。この水性顔料分散液前駆体18kgを、ビーズミル(浅田鉄工製ナノミルNM−G2L)にて下記条件で分散を実施し、顔料分散液G―1を得た。
・分散条件
分散機 ナノミルNM−G2L(浅田鉄工製)
ビーズφ 0.3mmジルコニアビーズ
ビーズ充填量 85%
冷却水温度 10℃
回転数 2660回転/分
(ディスク周速:12.5m/sec)
送液量 185g/10秒
なお、分散は上記条件で、1時間循環しながら分散処理を行った。顔料分散液G―1のキナクリドン系顔料濃度は15.8質量%であった。
(水性顔料分散液の評価)
上述の様にして得られた実施例、比較例の水性顔料分散液について、マイクロトラックUPA粒度分析計(Leeds&Northrup社製)でセル温度25℃にて粒径測定を実施した。その際、粒径測定サンプルは、各サンプルともにイオン交換水でキナクリドン系顔料濃度を12.5%に希釈して調製し、更にイオン交換水で500倍に希釈した。結果を表1に示す。
(分散安定性の評価)
実施例、比較例の水性顔料分散液について、分散液の評価と同様に、それぞれキナクリドン系顔料濃度が12.5質量%になるようにイオン交換水を加えて調整を行った。顔料濃度の調整を行った分散液について、スクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で1週間の加熱試験を行い、加熱試験前後の粒径変化を観察することにより、分散安定性の評価を実施した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明によって得られる水性顔料分散液は、加熱試験後の粒径変化率が小さいことが分かる。つまり、本発明によって分散安定性に優れた水性顔料分散液が得られる。
(インク組成物の調製)
各実施例および各比較例で得られた水性顔料分散液にイオン交換水を加えて、キナクリドン系顔料濃度10質量%の水性顔料希釈液50.0gを調製した。この水性顔料希釈液を用い下記配合にてキナクリドン系顔料濃度5質量%のインク組成物Ink−AまたはInk−Bを調製した。なお、インク組成物Ink−Aは、実施例1〜3及び比較例1の水性顔料分散液を用いた水性顔料希釈液により作製した。また、インク組成物Ink−Bは、実施例4、5及び比較例2の水性顔料分散液を用いた水性顔料希釈液により作製した。
(Ink−Aの組成)
水性顔料希釈液 50.0g
2−ピロリジノン 8.0g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8.0g
グリセリン 3.0g
サーフィノール465(エアープロダクツ社製) 0.5g
イオン交換水 30.5g
(Ink−Bの組成)
水性顔料希釈液 50.0g
2−ピロリジノン 8.0g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8.0g
グリセリン 3.0g
サーフィノール440(エアープロダクツ社製) 0.5g
イオン交換水 30.5g
(インク組成物の安定性試験)
得られたインク組成物について、スクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で1週間の加熱試験を行い、加熱試験前後の粒径及び粘度変化を観察することにより、インク組成物の安定性の評価を実施した。結果を表に示す。尚、粒径測定はインク組成物をイオン交換水で100倍に希釈した以外は、水性顔料分散液の評価と同様に行った。また、粘度はE型粘度計(東京計器(株)社製VISCOMETER TV−20)を用いて25℃にて測定した。
(インクジェット記録適性評価)
得られた加熱試験前のインク組成物をヒューレットパッカード社製DeskJet957Cのブラックペンに搭載し、印字試験を実施した。具体的には、A4の用紙にベタ印字と細線印字を行い、インクの吐出状態を観察した。結果を表1に示す。
表1中のインクジェット記録適性評価欄におけるランク付けの基準は以下の通りである。
○:すべての印字サンプルにおいて、均一なベタ印字で細線部でも吐出不良が無い
△:ベタ印字でやや均一性に欠けるが、細線部では吐出不良がない
×:ベタ印字で均一性が劣り、細線部では吐出不良は無いが、印字位置ずれが見られる。
表1から明らかなように、本発明によって得られるインク組成物は良好な保存安定性を示すと同時に、良好なインクジェット記録適性を有することが分かる。同様に、得られた加熱試験前のインク組成物をピエゾジェット方式のエプソン社製EM-930Cのブラックペンに搭載し、印字試験を実施した。具体的には、A4の用紙にベタ印字と細線印字を行い、インクの吐出状態を観察したが、実施例、比較例ともに特に問題は認められなかった。
Figure 0004600724

Claims (11)

  1. キナクリドン系顔料(a)、スチレン系樹脂(b)、アルカリ金属水酸化物(c)及び分散助剤(d)として式I
    Figure 0004600724
    式I
    (式中、R1〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又は式II
    Figure 0004600724
    式II
    (式中、R11はメチレン基又は炭素数2〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又はフェニル基を表す。)で表される基であり、R1〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。)で表される化合物(e)又はキナクリドンスルホン酸系化合物(f)を含有するインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法であって、前記スチレン系樹脂(b)が、(i)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマーと(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸系モノマーと(iii)ラジカル重合性の二重結合を分子中に2個以上有するモノマーとを共重合して得られる樹脂であり、前記キナクリドン系顔料(a)、スチレン系樹脂(b)及びアルカリ金属水酸化物(c)を含有する混合物を混練して着色混練物を作製後に、該着色混練物を、前記キナクリドンスルホン酸系化合物(f)の存在下において、水性媒体中に分散させるか、またはキナクリドンスルホン酸系化合物(f)を、前記着色混練物を水性媒体に分散終了後に該水性媒体中に添加することを特徴とするインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  2. キナクリドン系顔料(a)、スチレン系樹脂(b)、アルカリ金属水酸化物(c)及び分散助剤(d)として式I
    Figure 0004600724
    式I
    (式中、R1〜R10は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又は式II
    Figure 0004600724
    式II
    (式中、R11はメチレン基又は炭素数2〜8個のアルキレン基若しくはアルケニレン基、R12〜R15は各々独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜8個のアルキル基又はフェニル基を表す。)で表される基であり、R1〜R10の少なくとも一つは前記式IIで表される基である。)で表される化合物(e)を含有するインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法であって、前記スチレン系樹脂(b)が、(i)全モノマー成分に対して60〜90質量%のスチレン系モノマーと(ii)ラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸系モノマーと(iii)ラジカル重合性の二重結合を分子中に2個以上有するモノマーとを共重合して得られる樹脂であり、前記キナクリドン系顔料(a)、前記スチレン系樹脂(b)、前記アルカリ金属水酸化物及び前記式Iで表される化合物(e)を混練して着色混練物を作製する第1の工程と、該着色混練物を水性媒体中へ分散させる第2の工程を順次行うことを特徴とするインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  3. キナクリドンスルホン酸系化合物(f)をさらに添加して前記第1の工程を行う請求項に記載のインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  4. 前記第1の工程により製造した前記着色混練物をキナクリドンスルホン酸系化合物(f)の存在下に水性媒体中に分散させ、その後、前記第2の工程を順次行う請求項記載のインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  5. 全モノマー成分に対する前記スチレン系モノマーとラジカル重合性の二重結合を有する不飽和脂肪族カルボン酸系モノマーの合計比率が95質量%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  6. 前記式Iで表される化合物(e)が式III
    Figure 0004600724
    式III
    (式中、m及びnはそれぞれ独立的に0、1、2又は3を表す。但し、mとnが共に0となることはない。)で表される化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  7. 前記キナクリドンスルホン酸系化合物(f)が3,10−ジクロロキナクリドンスルホン酸の金属塩である請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  8. 前記着色混練物中の固形分濃度は50〜80質量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  9. 前記着色混練物は湿潤剤を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の、インクジェットインク用水性顔料分散液の製造方法により製造された、インクジェット記録用水性顔料分散液を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
  11. サーマルジェット方式のインクジェット用プリンタに用いられる請求項10に記載のインクジェット記録用インク組成物。
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