JP2003268288A - 水性顔料分散組成物およびジェットインク用インク - Google Patents

水性顔料分散組成物およびジェットインク用インク

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JP2003268288A
JP2003268288A JP2002070090A JP2002070090A JP2003268288A JP 2003268288 A JP2003268288 A JP 2003268288A JP 2002070090 A JP2002070090 A JP 2002070090A JP 2002070090 A JP2002070090 A JP 2002070090A JP 2003268288 A JP2003268288 A JP 2003268288A
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pigment dispersion
ink
water
pigment
dispersion composition
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JP2002070090A
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Akio Takahashi
暁雄 高橋
Kazuo Itotani
一男 糸谷
Masao Tanaka
正夫 田中
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料の分散性と分散安定性に優れた水性顔料
分散組成物を提供し、さらに該水性顔料分散組成物を含
有する貯蔵安定性および吐出安定性に優れたインクジェ
ット用インクを提供すること。 【解決手段】 必須成分として酸性基を有するラジカル
重合性単量体単位と、ラジカル重合性を有する多官能性
単量体単位とを含有するアクリル系共重合体の酸性基を
中和することによって自己水分散性または水溶性を付与
した顔料分散樹脂を含有する水性顔料分散組成物を提供
し、さらに該水性顔料分散組成物を含有するインクジェ
ット用インクを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット用
水性インクや水性ボールペンインク等の記録材料として
使用できる、顔料の分散安定性に優れた水性顔料分散組
成物に関し、さらには該水性顔料分散組成物を含有する
インクジェット用水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット用インクや水性ボ
ールペン用インクに使用される水性顔料分散組成物にお
いては、水系媒体中に顔料をいかに安定して分散させる
かが大きな課題となっている。顔料の分散性が劣る水性
顔料分散組成物系において、強力な分散機を長時間使用
し、無理に顔料の分散度を上げようとすると、顔料の1
次粒子が破壊され、いったん分散した後に破壊面から顔
料結晶が異常成長する結果分散状態が損なわれる、一般
に「過分散」といわれる現象が発生する。顔料の分散状
態を長期に安定して保持させる試みとして、たとえば、
特開平11−152424号公報には、水系媒体、顔
料、および酸性基の中和によって水溶性となる樹脂から
なり、顔料の分散を維持しつつ水溶性樹脂を架橋反応さ
せて顔料の周囲に水溶性樹脂の架橋物を析出させること
により、従来必要とされた酸析、再分散という工程を経
ることなく容易に水性顔料分散体が得られると記載され
ている。しかし、この方法においては、分散した顔料粒
子表面に水性樹脂の架橋物を析出させる工程が必要とな
る。
【0003】一方、特許第3207838号公報、およ
び特開2001−40256号公報には、スターポリマ
ーを用いることにより、顔料型インクジェット用インク
中における顔料の分散安定性が向上するがことが開示さ
れている。スターポリマーの合成方法には、(1)各種
リビング重合を行い、反応成長点に多官能性化合物を反
応させてコア部分を作る方法、(2)多数の反応成長点
をもつ開始剤または連鎖移動剤からモノマーを重合させ
る方法が知られている。しかし、これらの方法において
は、使用できるモノマーの種類が特殊なものに限定され
ること、工程数が多いこと、リビングラジカル重合にお
いては微量のイオン性不純物が存在しても反応が阻害さ
れること、反応速度が遅いため、工業的な生産方法には
適さないことなどの問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、インクジェット用インクや水性ボールペン
インク等の記録材料として使用できる、顔料の分散性と
分散安定性に優れた水性顔料分散組成物を提供し、さら
に該水性顔料分散組成物を含有する貯蔵安定性および吐
出安定性に優れたインクジェット用インクを提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水性顔料
分散組成物に使用する顔料分散樹脂に分岐構造を導入す
ると、該樹脂の顔料粒子表面への吸着力が向上する結
果、従来必要とされた酸析工程、再分散工程、あるいは
架橋反応工程を必要とせず、顔料の分散性が良好で、同
時にその分散状態が長期にわたって安定的に保たれるこ
とを見いだした。
【0006】すなわち本発明は、顔料、顔料分散樹脂、
および水系媒体を含有する水性顔料分散組成物であっ
て、該顔料分散樹脂が、必須成分として酸性基を有する
ラジカル重合性単量体単位と、ラジカル重合性を有する
多官能性単量体単位とを含有するアクリル系共重合体で
あり、酸性基を中和することによって自己水分散性また
は水溶性を有する樹脂である水性顔料分散組成物を提供
し、さらに該水性顔料分散組成物を含有するインクジェ
ット用インクを提供することによって上記課題を解決し
た。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳しく説
明する。本明細書において、「(メタ)アクリル系単量
体」とは、(メタ)アクリル酸またはそのエステルをい
い、「アクリル系共重合体」とは、必須単量体成分とし
て(メタ)アクリル系単量体を使用した共重合体をい
う。また、必須成分として酸性基を有するラジカル重合
性単量体単位と、ラジカル重合性を有する多官能性単量
体単位とを含有するアクリル系共重合体であり、酸性基
を中和することによって自己水分散性または水溶性を有
する樹脂を、単に「アクリル系共重合体(A)」と略記
する。
【0008】本発明の顔料分散組成物に使用できる顔料
には特に限定はなく、水性塗料や水性インクに使用され
る公知の顔料を用いることができる。有機顔料として
は、アントラキノン系、ペリレン系、ジスアゾ系、フタ
ロシアニン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、
キナクリドン系、ペリノン系、トリフェニルメタン系、
チオインジゴ系、ジケトピロロピロール系、あるいはベ
ンズイミダゾロン系などの各種顔料を挙げることができ
る。無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブ
ラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、酸
化カーボンブラックなどのカーボンブラックを挙げるこ
とができる
【0009】上記顔料の他に、金、銀色などの金属光沢
顔料、無色の無機系体質顔料、プラスチックピグメント
などを使用することもできるが、本発明の水性顔料分散
組成物に顔料分散樹脂として使用するアクリル系共重合
体(A)は、特にキナクリドン系やジスアゾ系などの比
較的水系媒体中に分散しにくい顔料の分散剤として利用
したときに顕著な分散効果を示す。
【0010】本発明の水性顔料分散組成物中における顔
料とアクリル系共重合体(A)との比率は、質量基準で
顔料100部に対してアクリル系共重合体を5〜150
部とするのが好ましく、さらに好ましくは顔料100部
に対して10〜80部である。また本発明の水性顔料分
散組成物中における顔料の含有率は、0.5〜20質量
%が好ましく、さらに好ましくは2〜16質量%であ
る。顔料の含有率が0.5質量%よりも小さい場合には
着色力が小さく、また20質量%よりも大きい場合に
は、水性顔料分散組成物の粘度が高くなりすぎたり、保
存時の顔料分散安定性が低下する傾向がある。
【0011】本発明において、顔料分散樹脂として使用
するアクリル系共重合体(A)は、一分子中に2個以上
のラジカル重合性二重結合を有する多官能性単量体(以
下、単に「単量体(a)」と略記する。)、酸性基を有
するラジカル重合性単量体(以下、単に「単量体
(b)」と略記する。)、および必要に応じて使用する
その他のラジカル重合性単量体(以下、単に「単量体
(c)」と略記する。)とを共重合して得られ、(メ
タ)アクリル系単量体を必須成分とする。
【0012】単量体(a)としては、たとえば、ジビニ
ルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパンエチレンオキサイド付加物−トリ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレン
オキサイド付加物−トリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタ
エリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、公知慣
用の多官能性単量体を挙げることができる。
【0013】また単量体(b)としては、たとえば、
(メタ)アクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、
燐酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチル、スチレン
スルホン酸、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸、
イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸
モノアルキルエステル等を使用することができる。でき
る上記単量体(a)、および単量体(b)は、それぞれ
1種類を使用しても、2種類以上を使用してもよい。
【0014】単量体(c)は、必ずしも必須ではなく、
必要に応じて使用する。このような単量体としては、た
とえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸プロピル、、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シ
クロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、メトキシ
エチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)
アクリレート、ジアミノエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アク
リレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、
ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)
アクリレート等のアクリル酸エステル類、
【0015】スチレン、α−メチルスチレン、p−メチ
ルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレ
ン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレ
ン類
【0016】ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)ア
クリロイルモルホリン、N−イソプロピル(メタ)アク
リルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、等の
(メタ)アクリルアミド類、メチルビニルエーテル、グ
リセリンモノビニルエーテルなどのビニルエーテル類、
酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0017】アクリル系共重合体(A)用単量体全体に
占める単量体(a)の割合は、0.1〜5質量%が好ま
しく、0.2〜2質量%がさらに好ましく、0.2〜
1.5質量%が最も好ましい。単量体(a)の割合が5
質量%を越えた場合には、共重合中にゲル化しやすくな
る。単量体(a)の割合が0.1%質量未満の場合に
は、本発明の効果が低下する。
【0018】単量体(a)1分子あたりの平均官能基数
をN、アクリル系共重合体(A)用単量体全体に占める
単量体(a)の割合をW質量%としたとき、Nは3〜6
であり、NとWの積が0.1〜5であることが好まし
い。この範囲であれば、共重合中にゲル化を起こしにく
く、本発明の効果を最大限に発現させることができる。
【0019】アクリル系共重合体(A)用単量体全体に
占める単量体(b)の割合は、得られるアクリル系共重
合体(A)が有する酸性基を中和したときに、該共重合
体が水溶性または自己水分散性となるように適宜決定す
ればよいが、アクリル系共重合体(A)の酸価に換算し
て、50〜400mgKOH/gが好ましく、さらに好
ましいのは100〜300mgKOH/g以下であり、
最も好ましいのは120〜200mgKOH/gある。
酸価が400mgKOH/gより高い場合は、アクリル
系共重合体(A)が有する酸性基を100%中和したと
きに該共重合体の親水性が高くなりすぎたり、中和率を
下げた場合には該共重合体の溶液粘度が高くなりすぎる
傾向がみられる。また酸価が50mgKOH/gより低
い場合は、アクリル系共重合体(A)の親水性が低くな
りすぎる結果、水系媒体への分散性が低下する。
【0020】アクリル系共重合体(A)の質量平均分子
量(Mw)は、3000〜70000の範囲にあるのが好
ましい。Mwが3000未満の場合には、水性顔料分散組
成物中に分散した顔料の粒子径が経時的に大きくなって
分散体の保存安定性が低下する傾向があり、またMwが7
0000を超える場合には、水性顔料分散組成物中の顔
料粒子径を小さくしにくくなる。
【0021】単量体(a)、単量体(b)、および必要
に応じて使用する単量体(c)の共重合の方法は、塊状
重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など公知の方法を
利用できる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、
α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、あるいは過硫
酸アンモニウムなど公知慣用のラジカル重合開始剤を使
用することができる。重合反応後、得られたアクリル系
共重合体(A)を再沈殿、脱溶剤等によって単離した
後、アルカリ水溶液に溶解させるか、または該共重合体
の水溶性有機溶剤溶液をアンモニア、有機アミン、ある
いは苛性アルカリ等の塩基性物質の水溶液と混合した
後、脱有機溶剤を行うことによってアクリル系共重合体
(A)の水系媒体分散液が得られる。
【0022】本発明において顔料分散樹脂として使用す
るアクリル系共重合体(A)は、共重合用単量体として
多官能性単量体を使用することによって、分岐構造を有
する。これによって該樹脂の顔料粒子表面への吸着力が
向上する結果、従来必要とされた酸析工程、再分散工
程、あるいは架橋反応工程を必要とせず、顔料の分散性
が良好で、同時にその分散状態が長期にわたって安定的
に保たれるという本発明の効果が発現する。
【0023】本発明の水性顔料分散組成物およびインク
ジェット用インクに使用する水系媒体は、水、または水
と水溶性有機溶媒の混合物である。水溶性有機溶媒とし
ては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール
などのアルコール類、アセトン、ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン、2−ブタノン、酢酸エチル等の低沸点溶
剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリ
ンなどの多価アルコール類およびこれらのエーテル類、
エステル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノ
ン等の高沸点溶剤等を例示することができる。
【0024】本発明の水性顔料分散組成物には、水性塗
料や水性インクに添加される公知慣用の各種添加剤を添
加してもよい。このような添加剤には、酸化防止剤、防
かび剤、粘度調節剤、浸透制御剤、消泡剤、水溶性染料
などがある。
【0025】本発明のインクジェット用インクまたは水
性ボールペンやマーカーペンなどの筆記用具のインク
は、本発明の水性顔料分散組成物をそのまま、あるいは
必要に応じて乾燥防止剤やその他の添加物を添加し、水
系媒体で希釈して調製する。インクジェットノズルやペ
ン先が乾燥によって目詰まりするのを防ぐために、添加
剤として高沸点溶剤、多価アルコール類、多価アルコー
ルのエーテル類、あるいは多価アルコールのエステル類
等を添加するとよい。また記録媒体への浸透性を高める
ためには、低沸点溶剤を添加するとよい。特にインクジ
ェット用インキとして使用する場合には、インキに適度
な表面張力を持たせるために、界面活性剤を添加するこ
ともできる。界面活性剤の添加量は、全インキ質量に対
して0.001〜1質量%が好ましく、0.01〜0.
2質量%が特に好ましい。
【0026】本発明の水性顔料分散組成物の調製方法に
は特に限定はないが、例えば、(1)アクリル系共重合
体(A)の水系媒体分散液中に、顔料及び必要に応じて
各種添加剤を加えた後、攪拌、分散装置を用いて混合
し、顔料を分散させる方法
【0027】(2)アクリル系共重合体(A)を、加熱
溶融状態で顔料と共に2本ロールあるいはミキサー等で
予備混練した後、塩基性物質の水系媒体溶液を加え、攪
拌装置あるいは分散装置を用いて混合し、顔料を分散さ
せる方法
【0028】(3)アクリル系共重合体(A)を、メチ
ルエチルケトン、酢酸エチルなどの水と相溶する有機溶
剤に溶解し、これに顔料を添加した後、攪拌分散装置を
用いて顔料を分散させ、さらに該分散液と塩基性物質の
水系媒体溶液とを混合して転相乳化させる方法、等が挙
げられる。
【0029】攪拌・分散装置としては、例えば、超音波
ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェー
カー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグ
ラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミ
ル、ナノマイザーなどが挙げられる。これらの攪拌・分
散装置は単独で用いることもできるし、2種類以上のも
のを組み合わせて用いることもできる。
【0030】本発明の水性顔料分散組成物をインクジェ
ット用インクに使用する場合には、粗大粒子がノズルの
目詰まりなどの印刷トラブルを招く原因となるため、遠
心分離またはろ過によって、粗大粒子を除去することが
好ましい。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を
さらに具体的に説明する。なお、特に断りがない限り、
「部」および「%」は質量基準とする。
【0032】<アクリル系共重合体(1)の合成>80
℃に加熱したメチルエチルケトン100部中に、窒素気
流下、アクリル酸10部、メタクリル酸13部、スチレ
ン77部、トリメチロールプロパントリアクリレート
0.6部、和光純薬工業社製重合開始剤「V−59」
(α,α’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))
5部を混合し、撹拌しながら2時間で滴下した。滴下終
了後、同温度で、さらに20時間撹拌し、この間5時間
毎に「V−59」を各々0.5部ずつ計4回添加した。
得られたアクリル系共重合体(1)の質量平均分子量
(Mw)は17000、酸価は149mgKOH/gであ
った。
【0033】なお、質量平均分子量は、溶媒としてテト
ラヒドロフランを使用し、分子量既知の市販の単分散ポ
リスチレンを基準にしてゲルパーミエーションクロマト
グラフィーにより決定した。以下に記載するアクリル系
共重合体の質量平均分子量はすべて上記方法により測定
した値である。
【0034】<アクリル系共重合体(2)〜(6)およ
び(H1)〜(H2)の合成>アクリル系共重合体
(1)の合成における共重合用単量体組成を、表1に記
載の組成とした以外は<アクリル系共重合体(1)の合
成>と同様にして、アクリル系共重合体(2)〜(6)
および(H1)〜(H2)を得た。得られたそれぞれの
アクリル系共重合体の質量平均分子量と酸価を表1に記
載した。
【0035】
【表1】
【0036】表1中、AAはアクリル酸を、MAはメタ
クリル酸を、TMPTAはトリメチロールプロパントリ
アクリレートを、DVBはジビニルベンゼンを、Stは
スチレンを、MMAはメタクリル酸メチルを、V59は
和光純薬工業社製重合開始剤「V−59」を、Mwは質
量平均分子量をそれぞれ表し、酸価の単位はmgKOH
/gである。「重合体」欄中の1〜6およびH1〜H2
は、それぞれアクリル系共重合体(1)〜(6)および
(H1)〜(H2)を表す。
【0037】<アクリル系共重合体の水系媒体分散液の
調製>上記アクリル系共重合体(1)〜(6)および
(H1)〜(H2)のそれぞれについて、不揮発分40
質量%のメチルエチルケトン溶液を調製した。得られた
溶液100部に、アクリル系共重合体が有する酸性基を
100%中和する量に相当する水酸化カリウムを水50
部に溶解した溶液を攪拌しながら加えた後、減圧下に溶
剤を留去し、不揮発分が20%となるよう水を加えてア
クリル系共重合体(1)〜(6)および(H1)〜(H
2)の水系媒体分散液を得た。
【0038】<水性顔料分散組成物の調製>上記で得ら
れたアクリル系共重合体(1)〜(6)および(H1)
〜(H2)の水系媒体分散液のそれぞれについて、該水
系媒体分散液150部、チバガイギー社製顔料「8GC
F」(C.I.Y−128)100部、ジエチレングリ
コール200部、水150部、三洋化成社製ポリプロピ
レングリコール「PP−950」50部、東レ社製ビー
ズ「トレセラム」(直径0.5mm)、2400部を、
AIMEX社製サンドミル「6TSG−1/4」に仕込
み、6時間分散を行った。ビーズを濾別して水性顔料分
散組成物を得た。アクリル系共重合体(1)を使用した
水性顔料分散組成物を水性顔料分散組成物(1)とし、
以下同様にアクリル系共重合体(2)〜(6)および
(H1)〜(H2)を使用した水性顔料分散組成物を、
それぞれ水性顔料分散組成物(2)〜(6)および(H
1)〜(H2)とした。
【0039】(実施例1)水性顔料分散組成物(1)6
0.5部を水8.5部で希釈後、ポアサイズ1.2μm
のメンブランフィルターを用いて濾過し、ベースインク
(1)とした。次いで、ベースインク(1)60部にポ
リプロピレングリコール「PP−950」5部を加え、
水162部で希釈してインクジェット用インク(1)を
得た。
【0040】(実施例2)水性顔料分散組成物(1)の
代わりに水性顔料分散組成物(2)を使用した以外は実
施例1と同様にして、ベースインク(2)とインクジェ
ット用インク(2)を得た。
【0041】(実施例3)水性顔料分散組成物(1)の
代わりに水性顔料分散組成物(3)を使用した以外は実
施例1と同様にして、ベースインク(3)とインクジェ
ット用インク(3)を得た。
【0042】(実施例4)水性顔料分散組成物(1)の
代わりに水性顔料分散組成物(4)を使用した以外は実
施例1と同様にして、ベースインク(4)とインクジェ
ット用インク(4)を得た。
【0043】(実施例5)水性顔料分散組成物(1)の
代わりに水性顔料分散組成物(5)を使用した以外は実
施例1と同様にして、ベースインク(5)とインクジェ
ット用インク(5)を得た。
【0044】(実施例6)水性顔料分散組成物(1)の
代わりに水性顔料分散組成物(6)を使用した以外は実
施例1と同様にして、ベースインク(6)とインクジェ
ット用インク(6)を得た。
【0045】(比較例1)水性顔料分散組成物(1)の
代わりに水性顔料分散組成物(H1)を使用した以外は
実施例1と同様にして、ベースインク(H1)とインク
ジェット用インク(H1)を得た。
【0046】(比較例2)水性顔料分散組成物(1)の
代わりに水性顔料分散組成物(H2)を使用した以外は
実施例1と同様にして、ベースインク(H2)とインク
ジェット用インク(H2)を得た。
【0047】<顔料分散安定性評価試験>水性顔料分散
組成物における顔料分散安定性、および該水性顔料分散
組成物を使用したインクジェット用インクの貯蔵安定性
および吐出安定性の指標として、ベースインク調製直後
の、該ベースインク中に分散している顔料の体積平均粒
子径、および該ベースインクを80℃のオーブン中で7
日間放置した後のベースインキ中に分散している顔料の
体積平均粒子径をリーズ・アンド・ノースラップ社製
「マイクロトラックUPA150」で測定し、顔料の粒
子径変化率を求めた。粒子径の変化率が130%以下の
場合、顔料分散安定性が高いと評価した。
【0048】また、インクジェット用インク調製直後の
粘度と、これを80℃のオーブン中に1週間放置した後
の粘度を測定し、後者の値を前者の値で割った値を10
0倍し、粘度変化指数とした。粘度変化指数が130以
下の場合、インクジェット用インクが実用的な貯蔵安定
性を有していると評価した。なお粘度の測定には、東機
産業社製「R型粘度計」を使用し、25℃、30rpm
の条件下で測定した。
【0049】<インクジェットプリンターによる印刷適
性試験>ENCAD社製インクジェットプリンター「N
OVA Jet700」を用い、インクジェット用イン
クの印刷適性試験を行った。プリンターの印刷モードを
双方向、パス4、スピード10に設定し、ユポコーポレ
ーション社製合成紙「ユポVJFP」にベタ画像を印刷
し、その光学濃度をマクベス社製反射濃度計「RD91
8」を用いて測定した。また、日本電色工業社製色差計
「SZ−Σ90」を使用してベタ印刷画像の彩度を測定
した。顔料分散安定性評価試験およびインクジェットプ
リンターによる印刷適性試験の結果を表2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】表2中、重合体欄の(1)〜(6)および
(H1)〜(H2)は、水性顔料分散組成物およびイン
クジェット用インクに使用したアクリル系共重合体
(1)〜(6)および(H1)〜(H2)を表し、顔料
粒子径は体積平均粒子径を表す。粘度変化の欄に記載し
た数値は、前述した粘度変化指数である。
【0052】一般に、顔料分散組成物中の顔料分散が良
好な場合には、顔料粒子径の経時的変化が少なく、イン
クジェット用インクにおいては、顔料分散が良好なほ
ど、印字された画像の光学濃度と彩度が高いことが知ら
れている。このことは顔料粒子径の変化率、および印字
画像の光学濃度および彩度が、顔料分散組成物中あるい
はインクジェット用インク中の顔料分散性を評価する間
接的な指標になり得ることを示唆している。
【0053】表2の結果から、実施例1〜6の顔料粒子
径変化率は、比較例1、2の顔料粒子径変化率よりも低
く、光学濃度および彩度においても同様の傾向が見られ
る。このことから、顔料分散樹脂としてアクリル系共重
合体(A)を使用した本発明の水性顔料分散組成物およ
びこれを使用したインクジェット用インク中に分散した
顔料の分散状態が良好であることが明白である。
【0054】
【発明の効果】本発明の水性顔料分散組成物に顔料分散
樹脂として使用するアクリル系共重合体(A)は、共重
合用単量体として多官能性単量体を使用することによっ
て、分岐構造を有する。これによって該樹脂の顔料粒子
表面への吸着力が向上する結果、従来、良好な顔料分散
を得るために必要とされた酸析工程、再分散工程、ある
いは架橋反応工程を必要とせず、顔料の分散性が良好
で、同時にその分散状態が長期にわたって安定的に保た
れるという本発明の効果が発現する。したがって、本発
明の顔料分散組成物を使用したインクジェット用インク
は、貯蔵安定性と吐出性に優れ、該インクを使用して印
字した場合、光学濃度および彩度の高い画像が得られ
る。また、該水性顔料分散組成物を含有するインクを使
用した水性ボールペンやマーカーにおいても、濃度と彩
度の高い筆記が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA26 FC02 2H086 BA53 BA55 BA59 4J037 AA02 AA04 AA30 CA08 CC16 CC29 DD23 DD24 EE11 EE28 EE43 FF15 4J039 AD10 BA04 BA06 BE01 BE12 BE22 CA06 EA44 GA24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料、顔料分散樹脂、および水系媒体を
    含有する水性顔料分散組成物であって、該顔料分散樹脂
    が、必須成分として酸性基を有するラジカル重合性単量
    体単位と、ラジカル重合性を有する多官能性単量体単位
    とを含有するアクリル系共重合体であり、酸性基を中和
    することによって自己水分散性または水溶性を有する樹
    脂であることを特徴とする水性顔料分散組成物。
  2. 【請求項2】 ラジカル重合性を有する多官能性単量体
    が(メタ)アクリル酸エステルである請求項1に記載の
    水性顔料分散組成物。
  3. 【請求項3】 前記アクリル系共重合体中の、ラジカル
    重合性を有する多官能性単量体単位含有率が、0.1〜
    5質量%である請求項1に記載の水性顔料分散組成物。
  4. 【請求項4】 前記ラジカル重合性を有する多官能性単
    量体の1分子あたりの平均官能基数をN、前記アクリル
    系共重合体中の前記ラジカル重合性単量体単位の含有率
    をW質量%としたとき、Nが3〜6であり、かつNとW
    の積が0.1〜5である請求項1に記載の水性顔料分散
    組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の水性顔料分散組成物を
    含有することを特徴とするインクジェット用インク。
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