JP4872200B2 - インクジェットインク用水性顔料分散液およびインクジェットインク組成物 - Google Patents

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本発明は、有機顔料の水性分散液およびそれを用いたインクジェットインク組成物に関するものである。
従来、水を主成分とする液体媒体中に色材を溶解あるいは分散したインクジェットインクが利用されている。これらのインクにおいて、色材が染料である場合、印刷後の耐水、耐光性に難があり屋外用途等には適用が困難であった。
一方、色材を耐光性に優れる顔料とするインク組成物は、カーボンブラックを利用した黒色インクでは広く利用されている。
しかし、有機顔料、特に有彩色の有機顔料を分散した水性のインク組成物をインクジェット記録用に使用して多色の画像を形成するためには、個々の顔料の発色性が良好なことと、他の色のインク組成物と組み合わせられて色再現性のよい画像を形成することが重要で、色相の異なる各種の顔料がインクジェット記録用に検討されている。
有機顔料を分散した水性のインクジェットインク組成物には、インクジェットの吐出に不利となる粗大粒子がインク中に存在しなくなるまで、微細に顔料を分散し、安定化することが求められる。そして染料系のインクと同様な長期にわたる保存安定性が達成され、インクの物性変動がないことが求められる。
しかもインクジェットインク組成物に用いる顔料分散液では、顔料は通常の塗料と比較し、著しく微細化されているため、着色力が劣り彩度等が出にくい傾向が強い。このため印字濃度を維持するためには、インクジェットインク組成物に含有される顔料濃度を高める必要があり、そのことが一層分散を不安定とする要因となっている。
このように顔料系のインクジェット記録用インク組成物を製造するには、着色力の優れた顔料微粒子を一定値以上の濃度に維持しつつ、安定に分散させた水性顔料分散液を製造する必要がある。しかし微細化された顔料の分散不安定要因は多岐にわたり、しかも使用顔料毎にその要因は異なるので、特定の顔料の分散安定性を向上させるのは容易ではない。
特に黄色顔料においては耐光性の低下を起こし易いため、着色力、耐光性に優れた顔料を選定せねばならず、加えて合成時において不溶化した結晶の成長のため一次粒子が大きく不透明となりやすいものも多く、インクジェット用途に対し不適なものが多い。したがって、良好な分散安定性を有し実用性の高いインクジェットインク用顔料分散液を得ることは一層困難であった。
例えば黄色から赤色まで豊富な色相を得る代表的な有機顔料であるアゾ顔料は、インクジェット記録用インクに用いたときに、発色性は良好であるが微粉砕したときの保存安定性が必ずしも十分とは言えなかった。特にアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料は着色力、彩度が高く、本顔料を含有するインクジェット記録用インク組成物は、他色の顔料よりなるインク組成物とともに色再現の良いインクセットを形成するものの、水性顔料分散液を作製したときの安定性に課題を残していた。
このため微粉砕したときの保存安定性を実現し、微細なノズルからの安定した吐出を得るため、従来各種の分散剤、分散方法が検討されている。特に樹脂を分散剤として用いる技術は、顔料の分散安定化に効果が高い。
例えば分散液の安定性向上を目的に、転相乳化法により顔料粒子を樹脂により被覆する方法が提案され、スチレンモノマー60〜90モル%、アクリル酸モノマー5〜15モル%、メタアクリル酸モノマー5〜25モル%のモノマー配合比のスチレンアクリル樹脂が用いられている(特許文献1参照)。しかし顔料濃度の高い領域でインクジェット記録用インクとして用いた場合、長期の保存安定性においては、必ずしも満足されるものではなかった。
上記スチレンモノマー単位の含有量の多いスチレンアクリル樹脂は、耐水性の良い印刷画像を与えるが、さらに良好な分散液を得るために、50質量%以上のスチレンモノマー単位を有するスチレンアクリル系樹脂と水酸化ナトリウムを含有する樹脂水溶液、カーボンブラック、及び前記スチレンアクリル樹脂の4倍量混合されたとき、該樹脂を膨潤状態とするが完全溶解しない湿潤剤とをペイントシェーカーで分散して水性顔料分散液を得ることが行われている(特許文献2)。また、スチレンアクリル樹脂を用いて顔料、塩基性化合物、樹脂、湿潤剤とともに高粘度の混練を行って固形混練物を作製し、保存安定性の良好なインクジェット記録インク組成物用の水性顔料分散液が得られており、スチレンアクリル系樹脂として、モノマー組成比がスチレン/メタアクリル酸/アクリル酸=77/13/10(質量比)、質量平均分子量3000〜50000のものが用いられている(特許文献3)。
しかし分散剤として用いられる樹脂の最適組成は顔料の化学構造、処理法、表面状態等によって異なっており、顔料毎に使用樹脂組成を調整することが必要であるが、上記文献も含め、アゾ顔料、特にアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料についての適用樹脂の十分な検討が行われておらず、良好な長期の保存安定性を得るには至っていない。特にサーマル方式のインクジェット用インクに重要な高温保存下における保存安定性が不十分であった。
一方、分散安定性を向上させる他の手法として、主成分として用いる顔料に対して、構造の類似した化合物を分散助剤として併用し、粒径安定性や保存安定性を向上させることがモノアゾ顔料において提案されている(特許文献4、特許文献5参照)が、水溶性溶剤を用いるインクジェットインクの組成によっては、高温下における貯蔵安定性の促進テストにおいて、必ずしも満足される特性が得られていない。
また、トリアジン骨格を有するアゾ化合物が非水系ビヒクル中のアゾ顔料の分散に対して有効な顔料分散剤となることが指摘されている(特許文献6参照)が、本発明のような水性顔料分液に関する記述は何らない。
また画像記録用顔料組成物において、トリアジン骨格を有するアゾ化合物が顔料分散剤として提案されている(特許文献7参照)。しかし、たとえ本顔料分散剤を用いたとしても顔料濃度の高い領域でインクジェットインク設計を行うと、長期の保存安定性においては、必ずしも満足されるものではなかった。
このようにアゾ顔料に類似の構造を分散助剤として用いる方法は、分散性向上に一定の効果はあるものの、長期の保存安定性については十分とは言えなかった。これら分散助剤の分散安定化効果をより向上させのるためには、上記の併用する分散剤について樹脂との組み合せを検討することが必要である。
しかしながらこのようなアゾ顔料、及び該アゾ顔料と類似の構造を有する化合物を分散助剤として併用するインクジェットインク用水性顔料分散液について、好適な分散剤としての樹脂の検討は不十分であり、特にアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料についてはなされていなかった。
特開平8−183920号公報 特開2002−256201号公報 特開2003−226832号公報 特開平10−158555号公報 特開2001−98200号公報 特開平7−126546号公報 特開2003−253188号公報
本発明の目的は、有機顔料を用いた水性インクジェットインクに適合した、分散安定性と吐出安定性に優れ、かつ高品質な印刷が得られる、高耐水性のインクジェットインクおよびその原料となる顔料分散液を提供することにある。さらに本発明の目的は、サーマル方式のオンデマンド型インクジェットプリンタにおいて安定した吐出を得るインクジェットインクを提供することにある。
本発明は、アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料と、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物と、スチレンアクリル系樹脂、および塩基性化合物を含有する水性顔料分散液であって、前記スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物は下記一般式(1)
Figure 0004872200
(1)
(式中、R1、R2、R3は各々独立的に、水素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、クロル基を表し、R4はメチル基またはメトキシ基を表す。)
または下記一般式(2)
Figure 0004872200
(2)
(式中、R1、R2、R3は各々独立的に、水素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、クロル基を表し、R5およびR6は各々独立的に水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、水酸基を表し、R7およびR8は、−NH−Y−SOHで表される基または水酸基を表し、R7とR8のうち少なくとも一方は−NH−Y−SOHで表される基であり、Yはエチレン基、フェニレン基、ナフタレン基を表し、Zは下記一般式(3)
Figure 0004872200
(3)
で示される2価の連結基の一つを表す。)
で表され、
かつ前記スチレンアクリル系樹脂は、50質量%以上のスチレン系モノマー単位と、前記スチレンモノマー単位との総和が全モノマー単位の総量の95質量%以上となるアクリル酸モノマー単位及びメタクリル酸モノマー単位を含有し、7,000〜30,000の重量平均分子量を有することを特徴とする水性顔料分散液を提供する。
本発明の水性顔料分散液において使用するアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料は良好な発色性と耐光性を有している。一方、式(1)または式(2)の構造を有するスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物が前記アゾ顔料の表面に吸着し、前記アゾ顔料の結晶成長を抑制し、また凝集を防止する。また同時に塩基性化合物の添加によって分散性を付与された水性顔料分散液中のスチレンアクリル系樹脂は、水性媒体中に一様に分散するとともに、前記アゾ顔料に対しては表面に効率的に吸着してこれを被覆し、該アゾ顔料の凝集を防止しする。
さらにまた本発明は、前記インクジェットインク用水性顔料分散液を主成分として含有するインクジェットインク組成物を提供する。本発明のインクジェットインク組成物は、使用するスチレンアクリル系樹脂にスチレンモノマー単位を50質量%以上含有し、その疎水性のため印刷画像は良好な耐水性を保持することができる。また、そのようなスチレンアクリル系樹脂を用いることにより、本発明の印刷画像は高い画像濃度を実現できる。
本発明の水性顔料分散液は分散安定性、保存安定性に優れている。加えて該水性顔料分散液を主成分とするインクジェットインク組成物は吐出安定性に優れ、また該インク組成物を用いることにより、普通紙などにも滲みの少ない耐水性に優れた高品質な画像の印刷を行うことが出きる。
以下、本発明の水性顔料分散液及びそれを用いたインクジェットインク組成物について詳細に説明する。
本発明で使用するアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料は、アゾ顔料の一般的性質として水に対して溶解度が低く、黄色、赤色などの色材に用いられている。
利用可能なアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料としては、特に規定はされないが、発色の優れた、アセト酢酸アリールアミド系モノアゾ顔料、アセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ顔料、縮合ジスアゾ顔料等をあげることが出来る。これらは赤色、黄色等の有彩色顔料として利用可能であり、一般にはカラーインデックスに色、化学構造等を規定して特定できるものである。特にアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ顔料は、黄色の発色において優れ、本発明の顔料として好適である。
利用可能なアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料の具体例としては、アセト酢酸アリールアミド系不溶性モノアゾ顔料としてC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー4、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー6、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントオレンジ1等が、ベンズイミダゾロン系不溶性アゾ顔料としてC.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントオレンジ36等が、アセト酢酸アリールアミド系縮合アゾ顔料としては、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー155等が挙げられる。
特に、C.I.ピグメントイエロー74は、透明性が高い色相とフルカラー印刷時に重視されるプロセスカラーとしての二次色の色調バランスにも優れており好適なインクジェットインク組成物用の黄色顔料として使用することができる。
これらのアゾ顔料は、適宜乾燥粉末状、顆粒状、ペースト状、含水スラリー状等の形態を問わず本発明の顔料分散液に用いることができるが、顔料の粒径は、本発明の水性顔料分散液の分散状態に影響を与えるため、水性顔料分散液中の体積平均粒径としては0.5マイクロメートル以下の値であることが望ましく、0.2マイクロメートル以下であることがさらに望ましい。
特に、アゾ顔料の中で、下記一般式(4)で表されるアセトアリールアミド系モノアゾ顔料は、透明性が高い色相とフルカラー印刷時に重視されるプロセスカラーとしての二次色の色調バランスにも優れており好適なインクジェットインク組成物用の黄色顔料として使用することができる。中でも、一般式(4)において、R9がメトキシ基、R10がニトロ基、R11がオルトメトキシ基、R12およびR13が水素原子である、C.I.ピグメントイエロー74は耐光性と着色力の強さから好適な黄色顔料として利用可能である。
Figure 0004872200
(4)
(式中、R9及びR10は互いに相違する水素原子、塩素原子、ニトロ基、メチル基又はメトキシ基を表し、R11、R12、R13は各々独立的に、水素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基表す。)
また、分散の安定性と色相の鮮明性を損なうことがなければ他の顔料を併用することができる。併用可能な顔料としては、各種アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料等の縮合多環系顔料が利用可能である。
なお、顔料の種類の選択においては、色調等の要請もあり、必ずしもここに挙げた例に限定されるものではない。
本発明の水性顔料分散液において、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系モノアゾ化合物としては、下記一般式(1)、または(2)で表されるものが用いられる。
Figure 0004872200
(1)
(式中、R1、R2、R3は各々独立的に、水素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、クロル基を表し、R4はメチル基またはメトキシ基を表す。)
Figure 0004872200
(2)

(式中、R1、R2、R3は各々独立的に、水素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、クロル基を表し、R5およびR6は各々独立的に水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、水酸基を表し、R7およびR8は、 −NH−Y−SOHで表される基または水酸基を表し、R7とR8のうち少なくとも一方は−NH−Y−SOHで表される基であり、Yはエチレン基、フェニレン基、ナフタレン基を表し、Zは下記一般式(3)
Figure 0004872200
(3)
で示される2価の連結基の一つを表す。)
これらのスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物は、母骨格の化合物に発煙硫酸、濃硫酸、クロロ硫酸などのスルホン化剤を作用させスルホン基を導入するか、スルホン基を有するベースをジアゾニウム塩とした後、アセト酢酸アリールアミド系カプラーとのジアゾカップリング反応で合成することができる。いずれの方法においても、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物を合成によって得た場合、反応条件の調整により副産物や未反応物が少なくなることが好ましい。これらは精製によって本発明の水性顔料分散体の特性に大きな影響を与えない程度まで除去可能であるが、操作の容易さやコストの面から、スルホン基を有するベースによるジアゾカップリング反応を経る方法が好ましい。
本発明のスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物は、前記一般式構造式(1)または(2)で表されるものが利用可能であるが、下記一般式(4)
Figure 0004872200
(4)
(式中、R1、R2、R3は各々独立的に、水素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、クロル基を表す。)
の化合物を用いることが好ましい。特にアセト酢酸アリールアミドアゾ化合物をC.I.ピグメントイエロー74のごとき、不溶性モノアゾ顔料から選択した場合、水性顔料分散液から調製されたインクジェットインクの普通紙上の濃度と耐久性において優れた性能が発揮される。
本発明のスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物の使用量は、主として用いるアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料に対して少量成分として用いることが好適であり、具体的には、前記アゾ顔料とスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化化合物との質量比が、80:20〜99:1の範囲にあることが、本発明の水性顔料分散液から調製されるインクジェットインクの印刷物の色相、発色と加熱環境下における促進劣化試験の安定性の面から好ましい。
アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料(b)とスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物(c)との質量比(b)/(c)が80/20よりも小さくなり、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化化合物(c)の割合が増すと、前記アゾ顔料本来の発色の妨げとなりやすく、(b)/(c)が99/1よりも大きくなり、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化化合物(c)の割合が減じると、水性顔料分散液から調製されるインクジェットインクの加熱環境下における促進劣化試験の安定性に効果が認められにくくなる。
本発明のスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物を、ジアゾカップリング反応によって合成する場合、水性顔料分散液に主として用いるアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料の合成と同一の系内にて、前記アゾ顔料のジアゾカップリング反応と同時に、あるいはこれと前後してジアゾカップリング反応を行うことができる。例えばアゾ顔料のアゾカップリング反応による合成時に,スルホン酸基含有のベースとの混合カップリングを行うことによりスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物を調製することができる。
このようにすると、アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料の合成で用いるのと同一のカップラーを用いるため、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系化合物と顔料との親和性も高く、顔料分散の安定性向上に効果が大きい。
本発明においては、前記アゾ顔料(b)とスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物を同一の系内で合成した場合、各々の化合物は混合された状態でアゾ顔料組成物として用いられ、各々を別個に単離する必要はない。この場合、アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料(b)とスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化化合物(c)との質量比とは、各々が合成によって生成する理論量を持ってして、本発明の質量比として考えることができる。
本発明の水性顔料分散液に用いるスチレンアクリル系樹脂は、モノマー成分として各種成分を含むことができるが、少なくともスチレン系モノマー単位、アクリル酸モノマー単位、及びメタクリル酸モノマー単位を必須成分として含有する。さらに必須成分として含むスチレン系モノマー単位の全モノマー単位の総量に対する割合は50質量%以上であることが必要で、スチレン系モノマー単位とアクリル酸モノマー単位とメタクリル酸モノマー単位の総和が全モノマー単位の総量に対して95質量%以上であることが必要である。
本発明の水性顔料分散液に用いるスチレンアクリル系樹脂は、スチレン系モノマー単位の全モノマー単位の総量に対する割合が50質量%以上であるので疎水性の顔料表面に対して有効に吸着することができる。50質量%未満であると、顔料表面への吸着が不十分になる傾向があり、水性顔料分散液の保存安定性が低下しやすい。また、水性顔料分散液から調製されたインクジェットインクの普通紙等の紙への印刷時の画像記録濃度が低下する傾向があり、印字品質が低下しやすい。さらにインクジェットインクの耐水性も低下する傾向がある。またスチレン系モノマー単位とアクリル酸モノマー単位とメタクリル酸モノマー単位の総和を全モノマー単位の総量に対して95質量%以上とすることにより、分散安定性が一層向上する。
スチレン系モノマー単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレンの如きアルキルスチレン、4−クロロスチレン、3−ブロモスチレンの如きハロゲン化スチレン、更に3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができるが、スチレンが好ましい。
本発明の水性顔料分散体に用いられるスチレンアクリル系樹脂には、スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル酸モノマーに加えてスチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル酸モノマーと共重合するビニル基を有する各種誘導体の併用が可能である。
利用可能なビニル基を有する各種誘導体しては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸p−トリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸アリル、n−酪酸アリル、ヘプタン酸アリル、フェノキシ酢酸アリル、メタクリル酸アリル、等の不飽和エステル類、;アクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド等の不飽和アミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、3−ヒドロキシプロピオニトリル等の不飽和にトリル類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル等の不飽和エーテル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等の複素環ビニル化合物;等をあげることができる。なお、共重合可能なモノマー成分の選択においては、必ずしもここに挙げた例に限定されるものではない。
ここで、(メタ)アクリル酸モノマーとはアクリル酸モノマーおよびメタクリル酸モノマーを包含して表す。
上記スチレンアクリル系樹脂の組成において、スチレン系モノマー単位は好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは70〜80質量%の範囲にあることが好適である。
さらにはアクリル酸およびメタクリル酸以外の、親水性モノマー単位の総和を全モノマー単位の総量の2質量%以下とすることが好ましく、実質的に含まないことが最も好ましい。ここで、親水性モノマーを実質的に含まないとは、親水性モノマーによる共重合樹脂の特性に影響が生じる量よりはるかに少ない量以下という意味であり、0.5質量%程度以下を示すものとする。
このような本発明スチレンアクリル系樹脂に対して使用が制限される親水性モノマーとしては、モノマーの化学構造中に水酸基やスルホン基、アミノ基、4級アンモニウム基等の親水性の置換基に加え、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの繰り返し単位を含むものが挙げられる。これらの親水性モノマーを実質的に含まない樹脂により、インクジェット印刷画像の耐水性が印刷直後から一層向上する。
本発明の水性顔料分散液に用いるスチレンアクリル系樹脂は、上記モノマー単位を一括してあるいは分割して用いることにより、共重合により製造される。樹脂の合成には、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法を取ることができる。
より具体的には、例えば溶液重合法では、必要に応じて各種溶媒中でモノマー成分を混合し、ラジカル反応開始剤の如き化合物を添加し、反応温度を制御することにより、共重合による樹脂を製造することができる。反応は通常20〜100℃の温度において1〜10数時間かけ、必要に応じて不活性ガス雰囲気下で行われ、使用する溶媒類、モノマー種、開始剤種に加え、樹脂の重合度により適宜選択される。重合反応後、反応液から再沈殿、溶剤留去等によって濃縮、単離することができる。
樹脂の分子量は、本発明のインクジェット用途にとっては、重要な因子であり、重量平均分子量7,000〜30,000が選択される。これは、分子量が30,000を超えると、水性顔料分散液の調製時の粘度が高くなる傾向があり、インクジェットインクの吐出に影響を与えやすいためである。また、分子量が7,000に満たないと、目的とする顔料粒子の分散の安定性が低下しやすいためである。
ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。本発明で使用した樹脂の重量平均分子量は以下の装置及び条件により測定したものである。
総益ポンプ:LC−9A、システムコントローラー:SIL−6B、オートインジェクター:SIL−6B、検出器:RID−6A 以上島津製作所社製。データ処理ソフト:Sic480IIデータステーション(システムインスツルメント社製)。
カラム:GL−R400(ガードカラム)+GL−R440+GL−R450+GL−R400M(日立化成工業社製)、溶出溶媒:THF、溶出容量:2ml/min、カラム温度:35℃
本発明の樹脂の酸価は、100〜250の範囲にあることが好ましく、100〜200であることがさらに好ましい。これは、酸価を250より高く設定すると顔料表面に優先的に吸着すると考えられる疎水性成分量が減少するため、スチレンアクリル系樹脂による樹脂被覆が行われにくくなり水性顔料分散液の分散性が低下する傾向にあり、また100より低く設定すると、酸価の塩基成分による中和による分散性向上効果が減殺されるため、やはり水性顔料分散液の分散性が低下する傾向にある。
本発明の水性顔料分散液にガラス転移点は90℃以上であることが好ましい。90℃以上とすることにより,吐出と安定性,印刷品質が良好なバランスを得やすくなるため好ましい。
本発明のアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料及びスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物とを含んだ色材と、分散剤として用いるスチレンアクリル系樹脂の割合は、顔料粒子の分散安定性と水性顔料分散液から調製されたインクジェットインクの吐出、印刷特性によって適宜選択される。好ましくは、色材と樹脂との質量比率は、色材/樹脂=1/0.1〜1/2の範囲が選択することが好ましい。さらに色材/樹脂=1/0.1〜1/1の範囲とすることが、色材の発色能力を十分に発揮するためにはさらに好適である。
特に本発明の水性顔料分散液に用いられる樹脂はアクリル酸及びメタクリル酸から由来するカルボキシル基を含んでいるため、塩基性化合物による中和によって、水中で安定分散が得られると考えられる。
このような目的のために用いられる塩基性化合物としては、アルカリ金属水酸化物、低分子有機アミン化合物等が挙げられる。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等のアルコールアミン類は、水性顔料分散液をインクジェットインクへ調製した場合、分散の安定性やインクジェットプリンタのデキャップ特性、印刷物の耐水性等の面から好適である。これらの塩基性化合物の中で、水酸化カリウム分散液水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ金属水酸化物は顔料分散液の低粘度化に寄与しインクジェットインクの吐出安定性の面から特に好ましい。
塩基性成分による中和を行う場合は、本発明のスチレンアクリル系樹脂の酸価に対して、50〜130%の塩基性成分を用いることが好ましく、さらに50〜110%の中和率は、顔料分散液およびこれを用いたインクジェットインク組成物のpH管理の面からもさらに好適である。
なお本発明において中和率とは次の式において示される数値である。

中和率(%)=((塩基性化合物の質量(g)×56×1000)/(樹脂酸価×塩基性化合物の当量×樹脂量(g)))×100
本発明の水性顔料分散液を製造するには、前記アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料、前記スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物、前記スチレンアクリル系樹脂、前記塩基性化合物、及び水を含有する混合物を作製し、分散装置により分散を行って水性分散液を作製する。分散手法としては公知の方法を用いることが出来る。
顔料を分散させる方法としては、公知の分散装置を用いることが出来る。例えば、超音波ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、ナノマイザー等が挙げられる。分散機としてメディアを用いるものにおいては、ガラス、ジルコニア、アルミナ、プラスチック等の粉砕用ビーズを利用できる。
また、顔料を分散させる工程においては、必要に応じて水溶性有機溶剤を添加してもよい。このような水溶性有機溶剤の例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド類のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;N−メチル−2ピロリドン、1,3ジメチル−2−イミダゾジノン等の含窒素複素環式ケトン類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6,ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール(エチル)メチルエーテル、トリエチレングリコール(エチル)メチルエーテル類の多価アルコールの低級アルコールエーテル等が挙げられる。
これらの湿潤剤は1種または2種以上を混合して用いることが出来る。これら湿潤剤は水性顔料分散液やインクジェットインクにおいて、湿潤剤、乾燥防止剤としての役割も果たすため、高沸点、低揮発性、高表面張力で沸点が170℃以上、より好ましくは200℃以上の常温で液体の多価アルコール類が好ましく、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類がさらに好ましい。
水溶性有機溶剤の添加量は樹脂によって異なるが顔料に対して300質量%以下が好ましく、より好ましくは200質量%以下の範囲である。
本発明の水性顔料分散液の製造においては、該水性顔料分散液に含有される前記成分のうちアセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物、及びスチレンアクリル系樹脂を含有する固形分比の高い混合物を予め高粘度で混練することにより水性分散液の製造をより効率的に行っても良い。
このとき塩基性化合物の添加は混練後の分散過程で行っても良いが、混練過程から添加することにより、水中への分散過程をより一層容易にすることができる。混練過程で湿潤剤を添加すると樹脂が膨潤されやすく、混練をより効果的、効率的に進行させることができ好ましい。
湿潤剤としては前記水溶性有機溶剤のうち多価アルコールを好適に用いることができる。
本発明の水性顔料分散液における各成分の濃度は、目的とするインクジェットインクの調製が可能な濃度範囲で適宜選択できる。水性顔料分散液を用いて後工程でインクジェットインクを調製するにあたり、作業効率やコストを考慮すると、本発明の水性顔料分散液における前記アゾ顔料の濃度範囲は、2〜25質量%が好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。本発明の水性顔料分散液におけるスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物、スチレンアクリル系樹脂、塩基性成分の濃度は、前記したアゾ顔料の含有量との比率において適宜選択される。
本発明の水性顔料分散液の水の含有量に該当する部分は、水性顔料分散液から上記アゾ顔料、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物、スチレンアクリル系樹脂および塩基性成分の他に必要に応じて添加される各種成分を除いた部分である。
本発明の水性顔料分散液を主成分として用いて、インクジェット記録用水性インク組成物を製造するには、顔料濃度、粘度を調整し、各種添加剤を添加してもよい。
これらの添加される各種成分としては、本発明の水性顔料分散液をインクジェットインクの原体として用いるため、インクジェットインクに適用可能な成分から選択することが望ましい。このような各種成分としては、粘度調整剤、浸透剤、界面活性剤、pH調整剤、乾燥防止剤、防腐・防カビ剤、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、コゲーション防止剤等があげられる。これらの各種添加剤は、複数の機能を有する成分として取り扱われる場合もある。
浸透剤は、記録媒体へのインクジェットインクの浸透性や記録媒体上でのドット径の調整を行うために必要な特性である。浸透性を示す水溶性有機溶剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコールヘキシルエーテルやジエチレングリコールブチルエーテル等のアルキルアルコールのエチレンオキシド付加物やプロピレングリコールプロピルエーテル等のアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物等がある。
界面活性剤は、インクジェットインクの表面張力を調整し、吐出の安定性や印刷時の紙への浸透性を制御し、インクジェットインクの滲みや裏移り、乾燥速度に影響を与える。具体的には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤として公知のものが使用可能である。
pH調整剤は、水性顔料分散液やインクジェットインクのpHを制御するものであるが、本発明の水性顔料分散液を構成する塩基性成分に加えて必要に応じて、酸性、塩基性の各種化合物が使用可能である。
乾燥防止剤は、水性顔料分散液やインクジェットインクのノズルの閉塞や水分蒸発による濃度変化、沈殿・析出の発生を低減するために用いられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、2−ヘキサンジオール、2、4、6−ヘキサントリオール等の多価アルコール類が好適である。
防腐・防カビ剤は、水性顔料分散液やインクジェットインクへのカビや細菌の発生による腐敗や吐出不良を低減するために用いられる。具体的には、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が用いられる。
このようにして得られる本発明の水性顔料分散液は、各種添加剤の配合と濃度調整等を経て、オンデマンド方式、例えばピエゾ方式、サーマル方式等の公知慣用のインクジェットインクに好適に使用することができ、各方式のプリンタにおいて極めて安定したインク吐出が可能である。
以下、本発明を実施例により、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において「部」とは特別の断りのない限り「質量部」を表す。
(樹脂溶液の調製)
スチレン(77部)・アクリル酸(10部)・メタクリル酸(13部)、酸価=150mgKOH/g、重量平均分子量7500、ガラス転移点107°C、からなる樹脂10部にMEK10部、水酸化ナトリウム1.07部、精製水60部を加え撹拌した後、MEKを減圧下(70゜C、150Pa)で蒸留して固形分22質量%を含む樹脂溶液(D−1)を得た。
スチレン(77部)・アクリル酸(10部)・メタクリル酸(13部)、酸価=150mgKOH/g、重量平均分子量11500、ガラス転移点107°C、からなる樹脂10部にMEK10部、水酸化カリウム1.5部、精製水60部を加え撹拌した後、MEKを減圧下(70゜C、150Pa)で蒸留して固形分22質量%を含む樹脂溶液(D−2)を得た。
スチレン(77部)・アクリル酸(10部)・メタクリル酸(13部)、酸価=150mgKOH/g、重量平均分子量5000、ガラス転移点107°C、からなる樹脂10部にMEK10部、水酸化ナトリウム1.07部、精製水60部を加え撹拌した後、MEKを減圧下(70゜C、150Pa)で蒸留して固形分22質量%を含む樹脂溶液(D−3)を得た。
スチレン(77部)・アクリル酸(10部)・メタクリル酸(13部)、酸価=150mgKOH/g、重量平均分子量45000、ガラス転移点107°C、からなる樹脂10部にMEK10部、水酸化ナトリウム1.07部、精製水60部を加え撹拌した後、MEKを減圧下(70゜C、150Pa)で蒸留して固形分22質量%を含む樹脂溶液(D−4)を得た。
スチレン(45部)・メタアクリル酸メチル(32部)・アクリル酸(10部)・メタクリル酸(13部)、酸価=150mgKOH/g、重量平均分子量12000、ガラス転移点109°C、からなる樹脂10部にMEK10部、水酸化カリウム1.5部、精製水60部を加え撹拌した後、MEKを減圧下(70゜C、150Pa)で蒸留して固形分22質量%を含む樹脂溶液(D−5)を得た。
(合成例1)(黄色顔料組成物Y−1の合成)
(ジアゾ化液の合成)
水700部と、35%塩酸315部の混合液に4−ニトロ−o−アニシジン181.4部と下記化合物(5)の68.8部を加えて攪拌し、氷600部を加えて冷却後、46.8%亜硝酸ソーダ水溶液188部を加え、10℃以下で1時間攪拌し、スルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、ろ過してジアゾ化液とした。
Figure 0004872200
(5)
(カップラー液の合成)
酢酸ソーダ100部を水8900部に溶解した後、o−アセトアセトアニシジド256.7部を加え、さらに30%苛性ソーダ185部を加えて溶解させ、80%酢酸を滴下してpH6に調整してカップラー液とした。
(カップリング反応)
上記カップラー液にジアゾ化液を25℃で滴下して反応させた後90℃で30分熟成させた。更にろ過、水洗、乾燥、粉砕して黄色顔料組成物(Y−1)495部を得た。
この黄色顔料組成物(Y−1)は、C.I.ピグメントイエロー74と、一般式(2)においてR1がメトキシ基、R2、R3、R5、R6が水素原子、R7、R8が−NH−CHCH−SOH、Zが−SO−連結基、であるアセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物(6)とが、質量比81:19の割合で存在すると計算される。
Figure 0004872200
(6)
(合成例2)(黄色顔料組成物Y−2の合成)
4−ニトロ−o−アニシジンの添加量を185.5部とし、上記化合物(5)の68.8部の代わりに下記化合物(7)の45.3部を用いた以外は合成例1と同様にして黄色顔料組成物(Y−2)472部を得た。
Figure 0004872200
(7)
この黄色顔料組成物(Y−2)はC.I.ピグメントイエロー74と、一般式(2)においてR1がメトキシ基、R2、R3が水素原子、R5、R6がメチル基、R7が−NH−CHCH−SOH、R8が水酸基、Zが−CH−連結基、であるアセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物(8)とが、質量比87:13の割合で存在すると計算される。
Figure 0004872200
(8)
(合成例3)(黄色顔料組成物Y−3の合成)
(化合物10の合成)
水400部と35%塩酸58.4部の混合溶液中に、下記化合物(9)の83.2部を加えて攪拌し、氷500部を加えて冷却後、46.8%亜硝酸ソーダ水溶液26部を加え、10℃以下で1時間攪拌し、スルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、ろ過してジアゾ化液とした。
Figure 0004872200
(9)
一方、水1200部に30%苛性ソーダ76部を加えた液にo−クロロアセトアセトアニリド38部を添加して溶解させた後、80%酢酸を滴下してpHを6に調整してカップラー液とした。
上記カップラー液にジアゾ化液を25℃で滴下し、60分間攪拌して反応させた後、80℃で30分間熟成させた。ろ過、水洗して固形分36.5%の化合物(10)のペースト264部を得た。
Figure 0004872200
(10)
(ジアゾ化液の合成)
水700部と、35%塩酸315部の混合液に4−ニトロ−o−アニシジン197.6部と3、3′−ジメチル−4、4′−ジアミノビフェニル−6、6′−ジスルホン酸8.9部を加えて攪拌し、氷600部を加えて冷却後、46.8%亜硝酸ソーダ水溶液188部を加え、10℃以下で1時間攪拌し、スルファミン酸で過剰の亜硝酸を消失させた後、ろ過してジアゾ化液とした。
(カップラー液の合成)
酢酸ソーダ100部を水8900部に溶解した後、o−アセトアセトアニシジド256.7部を加え、さらに30%苛性ソーダ185部を加えて溶解させ、80%酢酸を滴下してpH6に調整してカップラー液とした。
(カップリング反応)
上記カップラー液にジアゾ化液を25℃で滴下して反応させた後、上記化合物(10)のペースト264部を添加し、攪拌しながら80℃で30分熟成させた。更にろ過、水洗、乾燥、粉砕して黄色顔料組成物(Y−3)470部を得た。
この黄色顔料組成物(Y−3)はC.I.ピグメントイエロー74と、一般式(2)において、R1がクロル基、R2、R3が水素原子、R5、R6がメチル基、R7が−NH−Y−SOH(ただしYはフェニレン基)、R8が水酸基、Zが−CH−連結基であるアセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物(10)と、一般式(1)において、R1がメトキシ基、R2、R3が水素原子、R4がメチル基である化合物(11)とが83:12:5の割合で存在すると計算される。
Figure 0004872200
(10)
Figure 0004872200
(11)
(合成例4)(黄色顔料組成物Y−4の合成)
4−ニトロ−o−アニシジンの添加量を168.2部とし、上記化合物5の68.8部の代わりに化合物(9)の12.4部を用いた以外は合成例1と同様にして黄色顔料組成物(Y−4)470部を得た。
この黄色顔料組成物(Y−4)はC.I.ピグメントイエロー74と、構造式(2)においてR1がメトキシ基、R2、R3が水素原子、R5、R6がメチル基、R7が−NH−C6H4−SO3H、R8が水酸基、Zが−CH2−連結基、であるアセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物(12)とが、質量比96:4の割合で存在すると計算される。
Figure 0004872200
(12)
(合成例5)(黄色顔料組成物Y−5の合成)
化合物(5)の68.8部の代わりに4−アミノトルエン−3−スルホン酸22.4部を用いた以外は合成例1と同様にして黄色顔料組成物(Y−5)446部を得た。
この黄色顔料組成物(Y−5)は、C.I.ピグメントイエロー74と本発明とは異なるアセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物(13)とが、質量比90:10の割合で存在すると計算される
Figure 0004872200
(13)
(合成例6)(黄色顔料C.I.ピグメントイエロー74の合成)
4−ニトロ−o−アニシジンの添加量を201.6部とし、化合物1の添加を省略した以外は合成例1と同様にして黄色顔料C.I.ピグメントイエロー74を得た。
(実施例1)
合成例1で得た黄色顔料組成物(Y−1)10部、樹脂溶液(D−1)18.2部、ジエチレングリコール20部、精製水18.5部、1.25mm径のジルコニアビーズ400部の仕込みを行った後、ペイントシェーカー(東洋精機製造所社製試験用分散機No.488)を用いて、4時間振盪し、水性顔料分散液(I)を得た。
(実施例2)
実施例1の黄色顔料組成物(Y−1)10部を合成例2で得た黄色顔料組成物(Y−2)10部に代えた他は、実施例1と同様にして、水性顔料分散液(II)を得た。
(実施例3)
実施例1の黄色顔料組成物(Y−1)10部を合成例3で得た黄色顔料組成物(Y−3)10部に代え、樹脂溶液(D−1)18.2部を樹脂溶液(D−2)18.2部に代えた他は、実施例1と同様にして、水性顔料分散液(III)を得た。
(実施例4)
実施例1の黄色顔料組成物(Y−1)10部を合成例4で得た黄色顔料組成物(Y−4)10部に代え、樹脂溶液(D−1)18.2部を樹脂溶液(D−2)18.2部に代えた他は、実施例1と同様にして、水性顔料分散液(IV)を得た。
(比較例1)
実施例1の黄色顔料組成物(Y−1)10部を合成例5で得た黄色顔料組成物(Y−5)10部に代え、樹脂溶液(D−1)18.2部を樹脂溶液(D−2)18.2部に代えた他は、実施例1と同様にして、水性顔料分散液(V)を得た。
(比較例2)
実施例1の黄色顔料組成物(Y−1)10部を合成例6で得たC.I.ピグメントイエロー74の10部に代え、樹脂溶液(D−1)18.2部を樹脂溶液(D−2)18.2部に代えた他は、実施例1と同様にして、水性顔料分散液(VI)を得た。
(比較例3)
実施例1の樹脂溶液(D−1)18.2部を樹脂溶液(D−3)18.2部に代えた他は、実施例1と同様にして、水性顔料分散液(VII)を得た。
(比較例4)
実施例1の樹脂溶液(D−1)18.2部を樹脂溶液(D−4)18.2部に代えた他は、実施例1と同様にして、水性顔料分散液(VIII)を得た。
(比較例5)
実施例1の樹脂溶液(D−1)18.2部を樹脂溶液(D−5)18.2部に代えた他は、実施例1と同様にして、水性顔料分散液(IX)を得た。
(初期安定性試験)
実施例1〜4、比較例1〜5で得られた水性顔料分散液の体積平均粒径を、マイクロトラックUPA−150(リーズ&ノースロップ社製)で測定した。結果を表1で表す。
(加熱安定性促進試験)
実施例1〜4、比較例1〜5の水性顔料分散液33.3部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル8部、精製水58.7部からなる、貯蔵安定性の促進テスト用の配合を行い、ガラス容器に密栓して、70℃で1週間加熱を行い、加熱前後の粘度と粒径分布の変化を測定した。結果を表1に表す。
Figure 0004872200
(印刷試験)
実施例1〜4、比較例1〜5で得られた水性顔料分散液20部に、それぞれグリセリン10部、プロピルプロピレングリコール5部、精製水65部を加え混合した後、0.5μmメンブランフィルタでろ過し、印字試験用の水性顔料インクジェットインクとした。
このインクジェットインクの一部をガラス容器に密封し、70℃4時間と−20℃4時間の温度サイクルを4回繰り返し、安定性試験用インクジェットインクとした。
この2種類のインクジェットインクをピエゾ方式インクジェットプリンタ(エプソン社製EM−900C)を用い、ゼロックス社製4024用紙への印刷試験を行った。
(耐光性)
実施例1〜4、比較例1、2の水性顔料分散液から印字試験用に作製した水性顔料インクジェットインクを用い、ゼロックス社製4024用紙へベタ印刷画像を作製した。該画像へのキセノンランプによる100時間の耐光性試験の前後について、日本電色(株)製測色色差系シグマ80にて色差ΔEを測定した。評価結果を表2に示す。
(耐水性と画像滲み)
実施例1〜4、比較例1、2の水性顔料分散液から印字試験用に作製した水性顔料インクジェットインクを用い、ゼロックス社製4024用紙へのテキスト印刷画像を作製した。該画像の印刷直後に室温の精製水に1時間静かに浸漬し、湿った状態の印刷物の画像の滲み具合を目視で観察した。実施例4と比較例2の印刷物では滲みはまったく認められず、実施例1〜3の印刷物では、わずかに画像周辺部に黄色状の広がりが認められ、比較例1の印刷物ではより色の広がりが大きな滲みとして観察された。以上評価結果を表2に示した。
表2 印刷試験と耐光性、耐水性評価結果
Figure 0004872200
印刷品質 ◎:吐出良好、均一画像;△:吐出不良あり;×:吐出異常、乱れあり
耐光性 ○:評価サンプルにおいて差異がない。
耐水性(滲み) ◎:良好(滲みなし);○:良好(わずかな滲み);△:劣る(滲みあ
り)
*1 書き出しの始めの位置で吐出が不安定で均一性に劣る画像となった。
*2 書き出しの始めの位置で吐出が不安定で均一性に劣る画像となった。
*3 書き出しの始めの位置で吐出が不安定で均一性に劣る画像となった。
*4 画質にムラを生じて吐出が不安定で均一性に劣る画像となった。
(サーマルインクジェット吐出試験)
実施例1〜3で得られた水性顔料分散液に、それぞれグリセリン3部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル8部、2−ピロリジノン8部、界面活性剤サーフィノール420(エアープロダクツ社製)0.2部、精製水60.8部を加え混合した後、1μmメンブランフィルタでろ過し、インクジェット記録用の水性顔料インクジェットインク(Ic)とした。次いで、サーマル方式インクジェットプリンタBJ360(キヤノン社製)にこのインクジェットインクを搭載し、市販インクジェット専用紙、A4版のセイコーエプソン社製光沢紙に連続20枚、グラデーションパターン及びベタ印刷を行った。印刷後直ちに印刷面を触ってもインク汚れは生ぜず、印刷画像の乱れも少ない、滑らかな高品質な画像が得られた。
本発明の水性顔料分散液およびインクジェットインク組成物において、吐出安定性とインク物性安定性を両立し、さらに普通紙上で高度な印刷品質を得られる要因としては、本発明で用いるようなスチレン系モノマー単位の多い樹脂を分散剤とした場合、スルホン酸基のようなイオン性の置換基を有するアゾ化合物の分子量がある程度大きくなっていることと、かつ芳香族成分による疎水性寄与が大きいことのために実施例で用いたようなスルホン酸基含有のアゾ化合物が有利に働くものと考えられる。さらに、このスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物とアゾ顔料とが、類似のアセト酢酸アリールアミド系カプラーとのアゾカップリングにより得られるため、顔料との親和性も高く、顔料分散の安定性向上に大きな効果を挙げるもとのと考えられる。
また、比較例1のような低分子量スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物では、単色の印刷結果の耐水性や滲みに加えて、印刷直後の他色インクが重なる二次色表現で、印刷品質の低下が発生しやすい。これに対して、アゾ顔料と、より分子量の大きい特定のスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物と、本発明で用いる特定の樹脂と塩基性化合物からなる水性顔料分散液およびインクジェットインク組成物においては、このような印刷品質劣化が誘起されない。
本発明のインクジェットインク用水性顔料分散液によれば、インクに対して大きな熱エネルギーによるストレスの加わる、熱エネルギーを作用させオリフィスよりインク滴として吐出させるオンデマンド型インクジェットプリンタに対して、優れた印刷品質を得ることができる信頼性の高いインクジェットインクを得ることができる。これは、本発明のスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物とアゾ顔料の組合せに加えて、特定のスチレンアクリル酸系樹脂による高度な分散安定性が寄与していることによる。
このようにして、(a)水と(b)アゾ顔料と特定構造の(c)スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物と、特定構造の(d)スチレンアクリル系樹脂と(e)塩基性化合物からなる本発明の水性顔料分散液およびインクジェットインク組成物においては、吐出安定性とインク物性安定性を両立し、さらに普通紙上で高度な印刷品質を得ることができる。

Claims (9)

  1. アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料、スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物、スチレンアクリル系樹脂、及び塩基性化合物を含有するサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液であって、前記スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物が、下記一般式(1)または(2)で表され、
    Figure 0004872200
    (1)
    Figure 0004872200
    (2)
    (式中、R1、R2、R3は各々独立的に、水素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、クロル基を表し、R4はメチル基またはメトキシ基を表し、R5およびR6は各々独立的に水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、水酸基を表し、R7およびR8は、 −NH−Y−SO3Hで表される基または水酸基を表し、R7とR8のうち少なくとも一方は−NH−Y−SO3Hで表される基であり、Yはエチレン基、フェニレン基、ナフタレン基を表し、Zは下記一般式(3)で示される2価の連結基の一つを表す。)
    Figure 0004872200
    (3)
    前記スチレンアクリル系樹脂は、その構成モノマー単位として少なくともスチレン系モノマー単位、アクリル酸モノマー単位、及びメタクリル酸モノマー単位を含有し、スチレン系モノマー単位の全モノマー単位の総量に対する割合が50質量%以上であり、スチレン系モノマー単位とアクリル酸モノマー単位とメタクリル酸モノマー単位の総和が、全モノマー単位の総量に対して95質量%以上であり、かつ該樹脂の重量平均分子量が7,000から30,000の範囲であることを特徴とするサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液。
  2. 前記スチレンアクリル系樹脂の計算ガラス転移点が90℃以上であることを特徴とする請求項1記載のサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液。
  3. 前記アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料が、下記一般式(4)で表される請求項1又は2に記載のサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液。
    Figure 0004872200
    (4)
    (式中、R9及びR10は互いに相違する水素原子、塩素原子、ニトロ基、メチル基又はメトキシ基を表し、R11、R12、R13は各々独立的に、水素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基表す。)
  4. 前記アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料とスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物との質量比が、80:20〜99:1の範囲にある請求項1〜3のいずれか1項に記載のサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液。
  5. 前記アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料がC.I.ピグメントイエロー74である請求項1〜4のサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液。
  6. 前記アセト酢酸アリールアミド系アゾ顔料のアゾカップリング反応による合成時に、スルホン酸基含有のベースとの混合カップリングを行うことによりスルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物を合成する請求項1〜5のいずれか1項に記載のサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液。
  7. スルホン酸基含有アセト酢酸アリールアミド系アゾ化合物が、下記一般式(5)である請求項1〜6のいずれか1項に記載のサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液。
    Figure 0004872200
    (5)
    (式中、R1、R2、R3は各々独立的に、水素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、クロル基を表す。)
  8. 前記塩基性化合物はアルカリ金属水酸化物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のサーマル方式のインクジェットインク用水性顔料分散液。
  9. 請求項1〜記載のインクジェットインク用水性顔料分散液を主成分として含有するインクジェットインク組成物。
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