JP3684400B2 - 水性顔料分散液の製造方法 - Google Patents

水性顔料分散液の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から印刷インキ、筆記具用インキ、捺染などの用途に水分散顔料が用いられてきた。しかしながら、水分散顔料は、公知の製造方法であるボールミル、サンドミル、振動ミル、超音波分散機などの分散機械によって顔料粒子を水中に細かく分散するので、工程中において不純物の混入があり、コンタミネーションの問題があった。しかも、インクジェット用やカラーフィルター用に用途が拡大されつつあり、そのために要求される品質として顔料の微粒子化、透明性、さらにシャープな粒度分布が求められつつあるが、品質管理面で分散安定性に劣るという欠点があった。
【0003】
ところで、たとえば特公昭57−56944号公報においては、サンドミルなどで予備混練し、ついでロールミルで分散する方法、特開平7−198933号公報においては2本ロールミルを用いる方法が提案されている。しかし、これらの方法によってえられた水分散顔料は、依然として顔料粒子に粗大粒子を多く含んでおり、しかもシャープな粒度分布がえられず、経時安定性も不充分であるという問題があった。
【0004】
すなわち、従来の方法では、不純物の混入を極力減らし、シャープな粒度分布を有する微細な顔料粒子を含み、かつ分散安定性および経時安定性にすぐれた水性顔料分散液はえられなかった。
【0005】
そこで、本発明者らは、前記問題点を克服すべく鋭意研究を重ねた結果、3本ロールおよびジェット粉砕機を組み合わせて用いる二段分散法によれば、すぐれた水性顔料分散液をうることができることを見出した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明の目的は、不純物の混入を防ぎ、シャープな粒度分布を有する微細な顔料粒子を含み、かつ経時安定性にすぐれた水性顔料分散液の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)顔料と樹脂とを予備混練してなる混合物を加熱された3本ロールで混練分散し、
(b)水媒体中においてアルカリ剤で中和溶解したのち
(c)ジェット粉砕機にかけて顔料を水媒体中に分散させる工程からなる水性顔料分散液の製造方法に関する。
【0008】
前記樹脂としては、親水性基を分子中に有し、モノマー成分としてのスチレンおよび/またはメチルスチレンの含有量が50〜95重量%である共重合体であり、かつ平均分子量が2000〜20000、Tgが50〜130℃であるものが好ましい。
【0009】
前記3本ロールは70〜150℃に加熱して混練分散に用いるのが好ましい。
【0010】
前記混合物は、加熱された3本ロールで混練分散したのちに、水媒体中においてアルカリ剤で中和溶解するのが好ましい。
【0011】
また、前記ジェット粉砕機が壁面衝突型または対向衝突型であり、通過処理をするときの狭くした流路の処理圧力が500〜4000kg/cm2であるのが好ましい。
【0012】
また、本発明の製造方法においては、工程中の不純物の混入量が50ppm以下であるのが好ましい。
さらに、本発明は、0.35μm以上の最大粒径をもつ顔料粒子を含まず、かつ0.05〜0.30mの範囲に顔料粒子が70%以上存在する水性顔料分散液に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、(a)顔料と樹脂とを予備混練してなる混合物を加熱された3本ロールで混練分散し、
(b)水媒体中においてアルカリ剤で中和溶解したのち、
(c)ジェット粉砕機にかけて顔料を水媒体中に分散させる工程からなる水性顔料分散液の製造方法に関する。
【0014】
本発明においては、まず工程(a)において、顔料と樹脂とを予備混練して混合物をうる。
【0015】
本発明において用いることのできる顔料としては、とくに制限はないが、従来からインキ、塗料などの分野で用いられているものであればよく、たとえば有機顔料であっても無機顔料であってもよい。
【0016】
前記有機顔料としては、たとえばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料類、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料類、染料レーキなどがあげられる。
【0017】
前記無機顔料としては、たとえば酸化チタン、ベンガラ、酸化クロム、鉄黒などの酸化物やカドミウムイエロー、クロムバーミリオン、紺青、群青、カーボンブラック、黄色酸化鉄などがあげられる。
【0018】
また、非常に彩度の高い鮮やかな色調が要求されるばあいや目だつ色が必要なばあいには、たとえば硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、硫化亜鉛カドミウムなどを焼結した無機顔料やホルマリン縮合樹脂、アクリル樹脂、グアナミン樹脂などを基体としたプラスチックタイプの有機顔料などの蛍光顔料を用いることもできる。
【0019】
さらに、真珠のようなキラキラした光沢色のある色相が必要とされるばあいには、たとえば魚のうろこより加工した天然パールエッセンス、塩基性炭酸鉛、酸塩化ビスマス、雲母の表面に二酸化チタンをコーティングしたものなどのパール顔料を用いることもできる。
【0020】
また、本発明において用いる顔料の形態としては、とくに制限はないが、たとえば粉体、水性分散体、水性ペーストなどのいずれであってもよい。
【0021】
本発明において用いることのできる樹脂としては、とくに制限はないが、アルカリで中和して水可溶性となるために酸価が50〜300、好ましくは100〜200であるものがよい。また、前記樹脂は、その酸価の量をコントロールするためにカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基などの親水性基を分子中に有していなければならない。当該親水基の含有量としては、樹脂の酸価が前記範囲内となる範囲であればよい。
【0022】
また、前記樹脂は、疎水性を有するモノマーを含有することにより活性効果を高めて分散性を向上させるという点からモノマー成分としてのスチレンおよび/またはメチルスチレンの含有量が50〜95重量%、好ましくは60〜95重量%である共重合体であるのがよい。さらに、平均分子量は極端に低分子量でも高分子量でも分散性能に劣るという点から2000〜20000、好ましくは2500〜15000であるのがよい。また、3本ロールで加熱溶融させて混練することが可能であるという点からTgが50〜130℃、好ましくは55〜120℃であるのがよい。
【0023】
本発明において用いることのできる樹脂としては、具体的には、たとえばスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル(C1〜C4程度の低級アルキルエステル、以下同様)共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体もしくはスチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体など;たとえばスチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メチルスチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体もしくはスチレン−メタクリル酸エステル−マレイン酸共重合体など;たとえばスチレン−アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体もしくはスチレン−アクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体など、またはそれらのナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの塩をあげることができる。これらは、単独で、または2種以上を混合して用いてもよい。また、本発明において用いる樹脂の形態としては、とくに制限はないが、たとえば粉体、エマルジョン、液状物(たとえばアルコールなどに溶解させたもの)などのいずれであってもよい。
【0024】
本発明の工程(a)における予備混練とは、前記顔料と樹脂とを充分に接触させかつ練り合わせ、効率よく分散させるための前作業である。すなわち顔料と樹脂とを固形分比(重量)で80:20〜40:60、好ましくは70:30〜50:50の範囲で配合し、ニーダーなどを用いて常法で充分に混練させる。また、たとえば前記顔料および樹脂の形態に応じて、水が混合されている系であっても差しつかえない。そのばあいは、通常の撹拌機でも充分である。しかし、予備混練が不足していたり、全然されていなかったりしたばあいには目的とする品質の水性顔料分散液がえられないため、顔料と樹脂とが充分に混ざりあい、しかも顔料の表面に樹脂が吸着して湿潤する程度に常法で適宜予備混練するとよい。
【0025】
工程(a)においては、予備混練してえた混合物を3本ロールで混練分散させるが、3本ロールを70〜150℃の範囲に加熱して作業するのが好ましい。温度が70℃未満では樹脂が充分に溶融しないままロール上で混練分散が行なわれて分散が不充分となり、また、150℃を超えると樹脂がロール上でベトついてうまく分散できないからである。さらには、樹脂の融点以上でないと分散不良をきたすという点から好ましくは90〜140℃で混練分散するのがよい。
【0026】
ついで、本発明においては、工程(a)において加熱した3本ロールで混練分散した前記混合物に水媒体を添加し、前記混合物中の顔料が細かい粒子状となって分散された水分散体をうるために、アルカリ剤で前記混合物中の樹脂を中和溶解させる。このばあいに添加する水はイオン交換水が好ましく、前記混合物がアルカリ剤で溶解させるために撹拌できる範囲の粘度になるように適宜加える。
【0027】
本発明において用いることのできるアルカリ剤としては、とくに制限はないが、たとえばアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリンなどの有機アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属塩などが有用である。
【0028】
アルカリ剤の添加量としては、完全に酸性基を中和する、すなわち100%であるのが理想であるという点から樹脂の酸価から式(1):
中和率(%)={(添加したアルカリ剤の当量)/(酸当量)}×100 (1)にもとづいて算出した中和率が80〜150%、好ましくは90〜120%になる範囲であればよい。さらに、中和溶解させる際により一層溶解を助長させるという点から50℃以上の温度に加熱して行なうのが好ましい。
【0029】
なお、水溶性有機溶剤を工程(a)において前添加しておくことによって顔料の湿潤性をよくし分散を向上させることも可能である。このばあいは、湿潤効果があり、沸点が高く乾燥性が低いという点からとくに遅乾性有機溶剤が好ましく、たとえばモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、ポリグリセリン、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドンなどがあげられる。前記前添加をするばあいの水溶性有機溶剤の添加量としては、前記混合物の粘度を極端に上げて品質を悪化させない範囲であればよいが、本発明の水性顔料分散液を塗布したばあいの、たとえば紙などの材料への浸透性および乾燥性という点から前記混合物の10重量%以下であるのが好ましい。
【0030】
本発明においては、前記工程(a)および(b)において顔料分散がかなり進んでいるが、顔料粒子自体は、まだ粗大粒子を残しており、目的とする微粒子の粒子径には至っていても、シャープな粒度分布を有するまでには到達していない。つまり工程(a)の3本ロールによる分散は、ロールの強力な剪断力でもって顔料を粉砕するのであるが、結晶形や一次粒子径のバラツキおよび顔料の表面処理などの違いによりつぶれにくかったり、バラツいたりしてシャープな粒度分布がえられないのである。
【0031】
そこで本発明においては、工程(a)および(b)を経たあとの前記混合物を工程(c)においてジェット粉砕機にかけ、水媒体中に顔料をさらに微分散させて本発明の水性顔料分散液をうる。かかるジェット粉砕機はどのようなタイプのものであってもよいが、たとえば壁面衝突型もしくは対向衝突型がある。また、ジェット粉砕機による前記混合物の処理条件としては、顔料粒子をより細かく微粒子に分散でき、しかもシャープな粒度分布がえられるため、混合物が通過して処理(粉砕)される狭くした流路の圧力、すなわち処理圧力が500〜4000kg/cm2であるのがよく、好ましくは800〜3500kg/cm2であるのがよい。また、本発明におけるジェット粉砕機による通過処理は1回でも充分であるが、数回以上行なってもよい。
【0032】
なお、ジェット粉砕機に関して、壁面衝突型とは一つの壁面に流体を高速で衝突させて当該流体中の顔料などを粉砕させるものをいい、たとえばナノマイザー社製のナノマイザー、ゴーリン社製のホモゲナイザー、マイクロフルイディックス社製のマイクロフルイダイザーなどがあげられる。また、対向衝突型とは流体同士を高速で衝突させて当該流体中の顔料などを粉砕させるものをいい、たとえば(株)スギノマシン製のアルティマイザーなどがあげられる。
【0033】
以上のように、工程(a)〜(c)からなる本発明の製造方法は、3本ロールとジェット粉砕機を組み合わせた二段分散法であり、えられる水性顔料分散液に含まれる不純物、たとえばNa、K、Fe、Cr、Siなどの不純物が少ない点ですぐれている。好ましくは不純物混入量が50ppm以下であるのがよい。
【0034】
さらに、本発明の水性顔料分散液は、ジェット粉砕機によって充分満足のいく品質を有してはいるが、他の工程、たとえばさらにメンブランフィルターで濾過したり、遠心分離処理することによって粗大粒子を除去し、より一層すぐれた品質をうることも可能である。
【0035】
なお、本発明においては、たとえば水性顔料分散液としての各種物性を向上せしめるために、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて通常用いられている、たとえば防腐剤、防カビ剤、消泡剤、紫外線吸収剤などの添加剤、エマルジョン、糖類などを添加してもよい。
【0036】
本発明においては、0.35μm以上の最大粒径をもつ顔料粒子を含まず、かつ0.05〜0.30μm程度の範囲に顔料粒子が70%以上存在し、分布幅が狭く正規分布ないしそれに近い形をとっており、ピークが2つあったりトップピークがくだけていたりすることのないシャープな粒度分布をもつ顔料粒子を含む水性顔料分散液をうることができる。
【0037】
本発明においてえられる水性顔料分散液は、たとえば印刷インキ、筆記具用インキ、捺染、カラーフィルター、インクジェットなどに好適に用いることができる。
【0038】
【実施例】
以下に本発明の水性顔料分散液の製造方法を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例中、「部」は「重量部」を意味する。
【0039】
実施例1
スチレン−アクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸=88/12(重量比)、酸価94、分子量12000、Tg102℃)40部、黄顔料(ピグメントイエロー14)60部をニーダーで30分間予備混練してえた混合物を、85℃に加熱した3本ロールを用いて混練分散した。そこへ水酸化ナトリウム4部、イオン交換水170部を添加し、80℃で3時間撹拌し中和溶解させた。
【0040】
つぎに、グリセリン5部、防腐剤0.1部、イオン交換水70部を添加して混合したのち、ナノマイザーで処理圧力を800kg/cm2として2回通過処理させ、本発明の水性顔料分散液をえた。
【0041】
えられた水性顔料分散液をリーズ&ノースラップ社製のマイクロトラックUPAで確認したところ、最大粒径が0.35μm以上の粗大粒子はなく、0.10〜0.24μmの範囲に顔料粒子が80%存在するシャープな粒度分布を有していた。
【0042】
さらに、この水性顔料分散液100部にジエチレングリコール50部およびイオン交換水130部を混合撹拌して黄色の筆記具用水性インキをえた。このインキを用いて筆記試験を行なったところ、ペン先からの流出性およびドライアップ性にすぐれていた。また描画試験を行なったところ、筆記500mでかすれはなかった。
【0043】
なお、この水性顔料分散液の経時安定性試験、沈降度(分散安定性)試験を以下に示す方法にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
【0044】
(経時安定性試験)
密閉ガラス容器に入れた水性顔料分散液を50℃の恒温槽の中に入れ、3カ月間静置し粘度変化があるかどうかを確認する。
【0045】
増粘などの粘度変化を生じた状態を異常として評価し、異常なしのばあいを○、異常ありのばあいを×とした。結果を表1に示す。
【0046】
(沈降度試験)
分散安定性を調べるためにえられた水性顔料分散液を20℃恒温室に6カ月間静置し、顔料の沈降の有無を確認する。分離や水浮きまたは沈降が少しでも生じた状態を異常と評価し、異常なしのばあいを○とし、異常ありのばあいを×とした。結果を表1に示す。
【0047】
実施例2
スチレン−メチルスチレン−アクリル酸樹脂(スチレン/メチルスチレン/アクリル酸=40/30/30(重量比)、酸価234、分子量9000、Tg95℃)35部、赤顔料(ピグメントレッド22)65部をニーダーで30分間予備混練してえた混合物を、95℃に加熱した3本ロールを用いて混練分散した。そこへアンモニア水18部、イオン交換水200部を添加し、室温で6時間撹拌し中和溶解させた。つぎに、グリセリン5部、防腐剤0.1部、イオン交換水50部を添加して混合したのち、ホモゲナイザーで処理圧力を1000kg/cm2として3回通過処理させ、本発明の水性顔料分散液をえた。さらに13000回転で10分遠心分離処理を行なった。このえられた水性顔料分散液をマイクロトラックUPAで確認したところ、最大粒径0.35μm以上の粗大粒子はなく、0.10〜0.29μmの範囲に顔料粒子が85%存在するシャープな粒度分布を有していた。
【0048】
さらに、この水性顔料分散液10部にレジューサ80部と固着剤(アクリルエマルジョン)10部を混合撹拌したのち、シルクスクリーン法で印捺したが、顔料がスクリーンに目づまりすることはなかった。
【0049】
なお、この水性顔料分散液の経時安定性試験、沈降度試験を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。結果を表1に示す。
【0050】
実施例3
スチレン−マレイン酸樹脂(スチレン/マレイン酸=60/40(重量比)、酸価190、分子量3000、Tg110℃)30部、青顔料(ピグメントブルー15:6)70部をニーダーで30分間予備混練してえた混合物を、110℃に加熱した3本ロールを用いて混練分散した。そこへモノエタノールアミン7部、イオン交換水240部を添加し、80℃で3時間撹拌し中和溶解させた。つぎに、グリセリン5部、防腐剤0.1部、イオン交換水150部を添加して混合したのち、マイクロフルイダイザーで処理圧力を1200kg/cm2として2回通過処理させ、本発明の水性顔料分散液をえた。このえられた水性顔料分散液をマイクロトラックUPAで確認したところ、最大粒径0.35μm以上の粗大粒子はなく、0.08〜0.17μmの範囲に顔料粒子が80%存在するシャープな粒度分布を有していた。
【0051】
さらに、この水性顔料分散液16部に、5%ゼラチン水溶液80部、光硬化性樹脂5部、光重合開始剤0.2部ならびにイオン交換水30部を加え、ガラス基板にスピンコーターにより塗布した。ついで乾燥塗膜を露光現像したのち、ベーキングした。えられたカラーフィルターは、鮮明で透明性にすぐれていた。
【0052】
なお、この水性顔料分散液の経時安定性試験、沈降度試験を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。結果を表1に示す。
【0053】
実施例4
スチレン−メタクリル酸樹脂(スチレン/メタクリル酸=78/22(重量比)、酸価170、分子量85000、Tg115℃)32部、緑顔料(ピグメントグリーン7)68部をニーダーで30分間予備混練してえた混合物を、110℃に加熱した3本ロールを用いて混練分散した。そこへ水酸化カリウム5部、イオン交換水210部を添加し、50℃で4時間撹拌し中和溶解させた。つぎに、ポリエチレングリコール5部、防腐剤0.1部、イオン交換水280部を添加して混合したのち、アルティマイザーで処理圧力を2400kg/cm2として2回通過処理させ、本発明の水性顔料分散液をえた。このえられた水性顔料分散液をマイクロトラックUPAで確認したところ、最大粒径0.35μm以上の粗大粒子はなく、0.08〜0.17μmの範囲に顔料粒子が90%存在するシャープな粒度分布を有していた。
【0054】
さらに、この水性顔料分散液10部に、ジエチレングリコール20部、グリセリン5部ならびにイオン交換水60部を混合撹拌して緑色の水性インキをえた。このインキを用いてインクジェットプリンタPM−700C(セイコーエプソン(株)製)にて印字テストを行なった。その結果、目づまりもなく、印字品質にすぐれ、保存安定性のすぐれたものであった。
【0055】
なお、この水性顔料分散液の経時安定性試験、沈降度試験を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。その結果を表1に示す。
【0056】
比較例1
実施例1の工程中でナノマイザーで処理する工程を除いたほかは実施例1と同様にして水性顔料分散液をえた。このえられた水性顔料分散液をマイクロトラックUPAで確認したところ、最大粒径0.35μm以上の粗大粒子が5%存在することが認められ、0.10〜0.24μmの範囲の顔料粒子は52%存在するのみであった。
【0057】
なお、この水性顔料分散液の経時安定性試験、沈降度試験を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。結果を表1に示す。
【0058】
比較例2
3本ロールで処理する工程を除いたほかは実施例2と同様にして水性顔料分散液をえた。このえられた水性顔料分散液をマイクロトラックUPAで確認したところ、最大粒径0.35μm以上の粗大粒子が11%存在することが認められ、0.10〜0.29μmの範囲の顔料粒子は45%存在するのみであった。
【0059】
なお、この水性顔料分散液の経時安定性試験、沈降度試験を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。結果を表1に示す。
【0060】
比較例3
マイクロフルイダイザーで処理する工程を除いたほかは実施例3と同様にして水性顔料分散液をえた。このえられた水性顔料分散液をマイクロトラックUPAで確認したところ、最大粒径0.35μm以上の粗大粒子が7%存在することが認められ、0.08〜0.17μmの範囲の顔料粒子は42%存在するのみであった。
【0061】
なお、この水性顔料分散液の経時安定性試験、沈降度試験を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。結果を表1に示す。
【0062】
比較例4
3本ロールのかわりに2本ロールを用い、アルティマイザーで処理する工程を除いたほかは実施例4と同様にして水性顔料分散液をえた。このえられた水性顔料分散液をマイクロトラックUPAで確認したところ最大粒径0.35μm以上の粗大粒子が7%存在することが認められ、0.08〜0.17μmの範囲の顔料粒子は51%存在するのみであった。
【0063】
なお、この水性顔料分散液の経時安定性試験、沈降度試験を実施例1と同様の方法にしたがって調べた。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0003684400
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、シャープな粒度分布を有する微細な顔料粒子を含み、かつ分散安定性および経時安定性にすぐれた水性顔料分散液をうることができる。

Claims (7)

  1. (a)顔料と樹脂とを予備混練してなる混合物を加熱された3本ロールで混練分散し、
    (b)水媒体中においてアルカリ剤で中和溶解したのち、
    (c)ジェット粉砕機にかけて顔料を水媒体中に分散させる工程からなる水性顔料分散液の製造方法。
  2. 工程(a)において用いる樹脂が、親水性基を分子中に有し、モノマー成分としてのスチレンおよび/またはメチルスチレンの含有量が50〜95重量%である共重合体であり、かつ平均分子量が2000〜20000、Tgが50〜130℃である請求項1記載の水性顔料分散液の製造方法。
  3. 工程(a)において70〜150℃に加熱した3本ロールで混合物を混練分散する請求項1記載の水性顔料分散液の製造方法。
  4. 前記混合物を3本ロールで混練分散したのち水媒体中でアルカリ剤で中和溶解する請求項1記載の水性顔料分散液の製造方法。
  5. 前記ジェット粉砕機が壁面衝突型または対向衝突型であり、通過処理をするときの狭くした流路の処理圧力が500〜4000kg/cm2である請求項1記載の水性顔料分散液の製造方法。
  6. 前記工程中における不純物の混入量が50ppm以下である請求項1記載の水性顔料分散液の製造方法。
  7. 0.35μm以上の最大粒径をもつ顔料粒子を含まず、かつ0.05〜0.30mの範囲に顔料粒子が70%以上存在する水性顔料分散液。
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