JP2018109094A - 水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性、再印刷時の吐出安定性に優れ、普通紙での高印字濃度を発現できる水系インクを提供する。【解決手段】顔料、ポリマー分散剤、2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有していてもよい炭素数4以上の1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオール、非イオン性界面活性剤、及び水を含有する水系インクであって、ポリマー分散剤が、カルボキシ基を有し、酸価が200mgKOH/g以上320mgKOH/g以下である水不溶性ポリマーPを水不溶性多官能エポキシ化合物で架橋してなり、該水不溶性ポリマーPの酸価と中和度と架橋度とが、下記条件1を満たす水系インクである。条件1:〔(100−中和度−架橋度)/100〕×(水不溶性ポリマーPの酸価)の値が−30mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録媒体に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録媒体として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
最近では、印刷物に耐候性や耐水性を付与するために、着色剤として顔料を用いるインクが広く用いられている。そして、吐出安定性や保存安定性の観点から、顔料を水系インク中に安定に配合するために、顔料の表面を修飾するポリマー分散剤を用いて顔料をポリマーで内包する等の技術が開発されている。
特許文献1には、普通紙に対する画像品質、吐出安定性、耐目詰り性等の改善を目的として、3−メチル−1,3−ブタンジオール、グリセリン等の水溶性有機溶剤、フッ素系界面活性剤、及びカーボンブラックを含む平均粒径が40〜100nmの水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有する記録用インクが開示されている。
特許文献2には、定着性、吐出信頼性の改善を目的として、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子と1,3−アルカンジオールを含有する水系インクであって、水不溶性ポリマーが、カルボキシ基含有モノマーと炭素数18〜22の直鎖アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有するインクジェット記録用水系インクが開示されている。またその実施例では非イオン性界面活性剤であるエマルゲン109Pを水系インク中に含むこと、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが用いて水不溶性ポリマーを架橋することが開示されている。
また特許文献3には、普通紙への印字品質の改善を目的として、ポリマーをポリグリセロールポリグリシジルエーテルで架橋した架橋分散剤中にカーボンブラックを封入した顔料と、液状ビヒクルを含むインクが開示されている。またその実施例では、インク中に架橋剤として1,2ヘキサンジオール、非イオン性界面活性剤としてサーフィノール465を含むことが開示されている。
特開2009−155460号公報 特開2013−023546号公報 特表2012−527510号公報
顔料系インクは、耐候性や耐水性に優れるが、普通紙に印字した場合は、顔料粒子が紙繊維内部まで深く沈み込むため、紙繊維全体を染色する染料インクに比べて印字濃度が低くなる。また、染料は分子レベルまで完全に溶解しているが、顔料は固体の粒子として存在しているため、高温保存下における保存安定性の低下や、インクジェット印刷を休止した際に、吐出ヘッドをキャップしないで放置すると、微細な吐出ノズル内で閉塞を引き起こし、再度印刷を開始する際にインクを正常に吐出できなくなるという課題がある。特許文献1〜3の技術では、上記の課題の解決は困難であった。
本発明は、保存安定性、印刷休止後に再度印刷を開始する際(以下、「再印刷時」ともいう)の吐出安定性に優れ、普通紙での高印字濃度を発現できる水系インクを提供することを課題とする。
本発明者らは、特定のポリマー分散剤と、水溶性有機溶剤として特定のアルカンジオールを用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、顔料、ポリマー分散剤、2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有していてもよい炭素数4以上の1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオール、非イオン性界面活性剤、及び水を含有する水系インクであって、
ポリマー分散剤が、カルボキシ基を有し、酸価が200mgKOH/g以上320mgKOH/g以下である水不溶性ポリマーPを水不溶性多官能エポキシ化合物で架橋してなり、
該水不溶性ポリマーPの酸価と中和度と架橋度とが、下記条件1を満たす水系インクを提供する。
条件1:〔(100−中和度−架橋度)/100〕×(水不溶性ポリマーPの酸価)の値が−30mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である。
ここで、中和度は「中和剤のモル当量数/水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)、架橋度は「水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル当量数/水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)である。
本発明によれば、保存安定性、再印刷時の吐出安定性に優れ、普通紙での高印字濃度を発現できる水系インクを提供することができる。
[水系インク]
本発明の水系インクは、顔料、ポリマー分散剤、2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有していてもよい炭素数4以上の1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオール、非イオン性界面活性剤、及び水を含有する水系インクであって、
ポリマー分散剤が、カルボキシ基を有し、酸価が200mgKOH/g以上320mgKOH/g以下である水不溶性ポリマーPを水不溶性多官能エポキシ化合物で架橋してなり、該水不溶性ポリマーPの酸価と中和度と架橋度とが、下記条件1を満たす水系インクである。
条件1:〔(100−中和度−架橋度)/100〕×(水不溶性ポリマーPの酸価)の値が−30mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である。
ここで、中和度、架橋度は前記のとおりである。
なお、「水系」とは、顔料を分散させる媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。
本発明の水系インクは、保存安定性に優れ、良好な印刷物を得ることができるため、フレキソ印刷インキ用、グラビア印刷インキ用、又はインクジェットインク用の水系インクとして好適に用いることができる。また、本発明の水系インクは、インクジェット記録方式における吐出安定性に優れることから、インクジェット記録用水系インクとして用いることが好ましい。
本発明の水系インクは、保存安定性、再印刷時の吐出安定性に優れ、普通紙での高印字濃度を発現できる。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の水系インクに含まれる、2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有していてもよい1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオールは、2つの水酸基がアルキル鎖の片側に偏った構造を有する水溶性有機溶剤であり、疎水性でありながら極性が高い。このため、インク吐出ノズル口付近では、この疎水性のために水系インクの水の蒸発を抑えて目詰まり等の吐出不良を低減し、また普通紙に印刷された際には、極性の偏りから水系インクの紙パルプへの濡れ広がりを助長し、これにより水系インクが紙の深さ方向へ広がろうとする動きよりも水平方向へ展開し易くしていると考えられる。
また、前記アルカンジオールは、ポリマー粒子を膨潤させて保存安定性を悪化させるが、本発明においては、ポリマー分散剤が、カルボキシ基を有する水不溶性ポリマーPを水不溶性多官能エポキシ化合物で架橋してなることで、顔料を含有する水不溶性ポリマーP粒子を含有する水系インクでも充分に高い保存安定性を確保できると考えられる。
<顔料>
本発明に用いられる顔料は、特に限定されず、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよく、レーキ顔料、蛍光顔料を用いることもできる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、アルミナ、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム等の金属酸化物、真珠光沢顔料等が挙げられる。特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
これらの無機顔料は、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、高級脂肪酸金属塩等の公知の疎水化処理剤で処理されたものであってもよい。
有機顔料の具体例としては、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、フタロシアニン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等の縮合多環系顔料、及びジスアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等のアゾ系顔料から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でも、得られる画像の色再現性の観点から、好ましくはキナクリドン系顔料、アゾ系顔料及びフタロシアニン系顔料から選ばれる1種以上である。
色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンから選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
キナクリドン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・レッド(PR)122、PR192、PR202、PR207、PR209、及びC.I.ピグメント・バイオレット19等が挙げられ、PR122、及びPV19から選ばれる1種以上がより好ましい。
アゾ系顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー(PY)74、PY151、PY154、PY155、PY180、PY213等が挙げられ、PY74、及びPY154から選ばれる1種以上がより好ましい。
フタロシアニン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・ブルー(PB)15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:5、PB15:6、PB16、ピグメント・グリーン(PG)7、PG36等が挙げられ、PB15:3、及びPB15:4から選ばれる1種以上がより好ましい。
有機顔料には、原料である有機顔料の誘導体が含まれる。顔料誘導体は、水酸基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、スルホンアミド基、フタルイミドメチル基等の官能基を有機顔料表面に結合する処理を行うことにより調製することができる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
上記の顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、顔料は、水系インク中で、顔料を含有する水不溶性ポリマーP粒子(以下、「顔料含有ポリマー粒子」ともいう)として存在することが好ましい。ここで、「顔料を含有する」とは、カルボキシ基を有する水不溶性ポリマーPと水不溶性多官能エポキシ化合物との反応で得られる架橋構造を有するポリマー分散剤に、顔料が内包された形態、該ポリマー分散剤に顔料の一部が内包され、かつ顔料の一部が該ポリマー分散剤から露出された形態、又は顔料の表面に該ポリマー分散剤が付着している形態等が含まれ、これらの混合物も含まれる。これらの中では、架橋構造を有するポリマー分散剤に、顔料が内包された形態が好ましい。
<ポリマー分散剤>
本発明に用いられるポリマー分散剤は、カルボキシ基を有し、酸価が200mgKOH/g以上320mgKOH/g以下である水不溶性ポリマーP(以下、単に「水不溶性ポリマーP」ともいう)を水不溶性多官能エポキシ化合物で架橋してなるものであり、好ましくは、該カルボキシ基のうち少なくとも一部を中和剤、好ましくはアルカリ金属化合物で中和した後、顔料を分散した状態で、水不溶性多官能エポキシ化合物と架橋反応させることによって水系媒体中で形成される。この場合、ポリマー分散剤は単離されないが、水不溶性ポリマーPのモノマー構成、中和剤(アルカリ金属化合物)の種類と使用量、水不溶性多官能エポキシ化合物の種類と使用量から条件1が決まり、その条件1を満たすものとして、ポリマー分散剤の状態を規定できる。
本発明においては、中和剤としてアルカリ金属化合物を使用すれば、中和後に発現する電荷反発力が大きくなり、水系インク中での増粘や凝集の発生を抑制し、更に近年要望されている高い信頼性に応えられるほどに保存安定性が向上すると考えられる。
(水不溶性ポリマーP)
本発明で用いられるポリマー分散剤を調製するための水不溶性ポリマーPは、顔料分散作用を発現する顔料分散剤としての機能と、記録媒体への定着剤としての機能を有する。
この水不溶性ポリマーPは、未中和の状態では勿論、そのカルボキシ基の一部を中和した後でも水不溶性である。ここで、「水不溶性ポリマー」とは、水不溶性ポリマーを水に分散させたとき、透明とならないことを意味する。また水不溶性ポリマーの水分散体が目視で透明に見えたとしても、レーザー光や通常光による観察でチンダル現象が認められる場合は水不溶性であると判断する。
水不溶性ポリマーPの酸価はカルボキシ基に由来するが、好ましくは200mgKOH/g以上、より好ましくは220mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは320mgKOH/g以下、より好ましくは300mgKOH/g以下、更に好ましくは270mgKOH/g以下である。酸価が前記の範囲であれば、カルボキシ基及びその中和されたカルボキシ基の量は十分であり、顔料の分散安定性が確保される。またポリマー分散剤と水系媒体の親和性と、ポリマー分散剤と顔料との相互作用とのバランスの点からも好ましい。
水不溶性ポリマーPの酸価は、構成するモノマーの質量比から算出することができる。また、適当な有機溶剤(例えば、MEK)にポリマーを溶解又は膨潤させて滴定する方法でも求めることができる。
水不溶性ポリマーPを水不溶性多官能性エポキシ化合物で架橋させて得られるポリマー分散剤の水系インク中の存在形態としては、(i)顔料に吸着している状態、(ii)顔料を含有している顔料内包(カプセル)状態、及び(iii)顔料を吸着していない形態がある。顔料の分散安定性の観点から、本発明においては(i)又は(ii)の状態が好ましく、(ii)顔料を含有している顔料内包状態がより好ましい。
用いられる水不溶性ポリマーPとしては、ポリエステル、ポリウレタン、及びビニル系ポリマーから選ばれる1種以上が挙げられるが、水系顔料分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、ビニル化合物、ビニリデン化合物、及びビニレン化合物から選ばれる1種以上のビニルモノマーの付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。
水不溶性ポリマーPとしては、(a)カルボキシ基含有ビニルモノマー(以下、「(a)成分」ともいう)と、(b)疎水性ビニルモノマー(以下、「(b)成分」ともいう)とを含むビニルモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニル系ポリマーが好ましい。このビニル系ポリマーは、(a)成分由来の構成単位と(b)成分由来の構成単位を有する。このビニル系ポリマーは、更に(c)マクロモノマー(以下、「(c)成分」ともいう)由来の構成単位や、(d)ノニオン性モノマー(以下、「(d)成分」ともいう)由来の構成単位を含有することができる。
〔(a)カルボキシ基含有ビニルモノマー〕
(a)カルボキシ基含有ビニルモノマーは、顔料含有ポリマー粒子の水系インク中における分散安定性を向上させる観点から、水不溶性ポリマーPのモノマー成分として用いられる。カルボキシ基含有ビニルモノマーとしては、カルボン酸モノマーが用いられる。
カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられるが、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上が好ましい。
〔(b)疎水性ビニルモノマー〕
(b)疎水性ビニルモノマーは、顔料含有ポリマー粒子の水系インク中における分散安定性を向上させる観点から、水不溶性ポリマーPのモノマー成分として用いられる。疎水性ビニルモノマーとしては、炭素数1以上22以下のアルキル基又は炭素数6以上22以下のアリール基を有するアルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる1種以上を意味する。以下における「(メタ)」も同義である。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレートがより好ましい。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(b)疎水性モノマーは、前記のモノマーを2種以上使用してもよく、スチレン系モノマーと芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステルを併用してもよい。
〔(c)マクロモノマー〕
(c)マクロモノマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500以上100,000以下の化合物であり、顔料含有ポリマー粒子の水系インク中における分散安定性を向上させる観点から、水不溶性ポリマーPのモノマー成分として用いることができる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
(c)マクロモノマーの数平均分子量は1,000以上10,000以下が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(c)マクロモノマーとしては、顔料含有ポリマー粒子の水系インク中における分散安定性を向上させる観点から、芳香族基含有モノマー系マクロモノマー及びシリコーン系マクロモノマーが好ましく、芳香族基含有モノマー系マクロモノマーがより好ましい。
芳香族基含有モノマー系マクロモノマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前記(b)疎水性ビニルモノマーで記載した芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン系マクロモノマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
シリコーン系マクロモノマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
〔(d)ノニオン性モノマー〕
水不溶性ポリマーPには、顔料含有ポリマー粒子の水系インク中における分散安定性を向上させる観点から、更に、(d)ノニオン性モノマーをモノマー成分として用いることができる。
(d)ノニオン性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(n=1〜30、その中のエチレングリコール:n=1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(メタ)アクリレートが好ましく、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレートがより好ましい。
商業的に入手しうる(d)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−20G、同40G、同90G、同230G等、日油株式会社のブレンマーPE−90、同200、同350等、PME−100、同200、同400等、PP−500、同800、同1000等、AP−150、同400、同550等、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE−600B等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
以上のとおり、本発明で用いられるカルボキシ基を有する水不溶性ポリマーPは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上の(a)カルボキシ基含有ビニルモノマー由来の構成単位と、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー及び芳香族基含有モノマーから選ばれる1種以上の(b)疎水性ビニルモノマー由来の構成単位を含有するビニル系ポリマーであることが好ましい。また、更に(c)マクロモノマー由来の構成単位、及び(d)ノニオン性モノマー由来の構成単位を含有するビニル系ポリマーであってもよい。
(モノマー混合物中又はポリマー中における各成分又は構成単位の含有量)
水不溶性ポリマーP製造時における、(a)カルボキシ基含有ビニルモノマー、(b)疎水性ビニルモノマーのモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)、すなわち水不溶性ポリマーP中における各成分由来の構成単位の含有量は、保存安定性、再印刷時の吐出安定性、印字濃度の観点から、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは28質量%以上であり、そして、好ましくは75質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である。
(b)成分の含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
(c)成分を含有する場合、(c)成分の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(d)成分を含有する場合、(d)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
[(a)成分/(b)成分]の質量比は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.35上、更に好ましくは0.40以上であり、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下である。
また、(c)成分を含有する場合、[(a)成分/〔(b)成分+(c)成分〕]の質量比は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であり、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.7以下、更に好ましくは1.5以下である。
(水不溶性ポリマーPの製造)
水不溶性ポリマーPは、前記モノマー混合物を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、炭素数3〜5のケトン類、エーテル類、酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましく、メチルエチルケトン又はそれと水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の連鎖移動剤を用いることができる。
また、重合モノマーの連鎖の様式に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合様式でもよい。
好ましい重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より80℃以下である。重合時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下である。また、重合雰囲気は、好ましくは窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気である。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明において、ポリマー分散剤を用いて顔料を分散する方法としては、任意の公知の方法を用いることができるが、後述する顔料含有ポリマー粒子の水分散体とすることが好ましい。顔料含有ポリマー粒子の水分散体の生産性を向上させる観点から、重合反応に用いた溶剤を除去せずに、含有する有機溶媒を後述する工程Iに用いる有機溶媒として用いるために、そのまま水不溶性ポリマー溶液として用いることが好ましい。
水不溶性ポリマー溶液の固形分濃度は、顔料含有ポリマー粒子の水分散体の生産性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下である。
本発明で用いられる水不溶性ポリマーPの数平均分子量は、顔料への吸着力及び分散安定性発現の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは5,000以上であり、そして、好ましくは20,000以下、より好ましくは18,000以下である。また重量平均分子量は、好ましくは6,000以上、より好ましくは8,000以上であり、そして、好ましくは80,000以下、より好ましくは40,000以下である。
なお、数平均分子量の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
〔顔料含有ポリマー粒子の製造〕
顔料を含有する水不溶性ポリマーP粒子(顔料含有ポリマー粒子)は、水分散体として下記の工程1〜3を有する方法により、効率的に製造することができる。
工程1:カルボキシ基を有する水不溶性ポリマーP、有機溶媒、中和剤としてアルカリ金属化合物、顔料、及び水を含有する混合物(以下、「顔料混合物」ともいう)を分散処理して、顔料含有ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程2:工程1で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料含有ポリマー粒子の水分散体(以下、「顔料水分散体」ともいう)を得る工程
工程3:工程2で得られた顔料水分散体を、水不溶性多官能エポキシ化合物で架橋処理し、架橋された水不溶性ポリマーP粒子を含有する水系顔料分散体を得る工程
(工程1)
工程1は、カルボキシ基を有する水不溶性ポリマーP、有機溶媒、中和剤としてアルカリ金属化合物、顔料、及び水を含有する混合物(顔料混合物)を分散処理して、顔料含有ポリマー粒子の分散体を得る工程である。
工程1における混合順序に特に制限はないが、まず水不溶性ポリマーPを有機溶媒に溶解させ、これに中和剤としてアルカリ金属化合物、水、顔料、及び必要に応じて、界面活性剤等の順に加え、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。
用いる有機溶媒に制限はないが、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等が好ましく、顔料への濡れ性、水不溶性ポリマーの溶解性、及び水不溶性ポリマーPの顔料への吸着性を向上させる観点から、炭素数4以上8以下のケトンがより好ましく、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが更に好ましく、メチルエチルケトンがより更に好ましい。
水不溶性ポリマーPを溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
(中和)
水不溶性ポリマーPのカルボキシ基の少なくとも一部は、中和剤、好ましくはアルカリ金属化合物を用いて中和される。得られる水系顔料分散体及び水系インクのpHは、皮膚刺激性を低減する等の取扱い性の観点から5.5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、部材の腐食を抑制する観点から、13以下が好ましく、12以下がより好ましく、11以下が更に好ましい。
中和剤であるアルカリ金属化合物は、水や水系インク等の水系媒体中でアルカリ金属イオンを生じる化合物であり、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等の珪酸のアルカリ金属塩、リン酸三ナトリウム等のリン酸のアルカリ金属塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム等の炭酸のアルカリ金属塩、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。二種以上のアルカリ金属化合物を組み合わせてもよい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。また、該水不溶性ポリマーPを予め中和しておいてもよい。
中和剤は、十分かつ均一に中和を促進させる観点から、中和剤水溶液として用いることが好ましい。中和剤水溶液の濃度は、上記の観点から、3質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、また、50質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
水不溶性ポリマーPのカルボキシ基の中和度は、得られる水系インクの保存安定性、再印刷時の吐出安定性、印字濃度の観点から、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは25モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下、より更に好ましくは50モル%以下である。
ここで中和度とは、中和剤(アルカリ金属化合物)のモル当量数を水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数で除した百分比(モル%)、即ち「中和剤(アルカリ金属化合物)のモル当量数/水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)である。本発明では、中和度はアルカリ金属化合物のモル当量数から計算するため、アルカリ金属化合物を過剰に用いた場合は100モル%を超える。
また工程1において、アルカリ金属化合物に加えて、揮発性塩基性化合物を併用することもできる。揮発性塩基性化合物としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられるが、揮発性の高さの観点から、アンモニアが好ましい。
揮発性塩基性化合物の使用量に特に制限はないが、全く用いないか、又は用いる場合は10モル%以上、好ましくは20モル%以上、更に好ましくは25モル%以上、より更に好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは90モル%以下、更に好ましくは80モル%以下、より更に好ましくは75モル%以下である。なお、中和度の算出にはアルカリ金属化合物の使用量のみを用い、揮発性塩基性化合物の使用量は本発明の中和度の算出には用いない。
(顔料混合物中の各成分の含有量)
顔料混合物中の各成分の含有量は、得られる水系インクの保存安定性、再印刷時の吐出安定性、印字濃度の観点から、以下のとおりである。
工程1における顔料の顔料混合物中の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12.5質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
水不溶性ポリマーPの顔料混合物中の含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上であり、そして、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、更に好ましくは6.0質量%以下である。
有機溶媒の顔料混合物中の含有量は、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
水の顔料混合物中の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
水不溶性ポリマーPに対する顔料の顔料混合物中の質量比〔顔料/水不溶性ポリマーP〕は、得られる水系インクの粘度及び保存安定性の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは2.0以上であり、そして、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.5以下である。
(顔料混合物の分散処理)
工程1においては、前記顔料混合物を分散処理して、顔料含有ポリマー粒子の分散体を得る。分散体を得る分散方法に特に制限はない。本分散だけで顔料粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは顔料混合物を予備分散させた後、更に剪断応力を加えて本分散を行い、顔料粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。
工程1における温度、とりわけ予備分散における温度は、好ましくは0℃以上であり、また、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下であり、分散時間は好ましくは0.5時間以上、より好ましくは0.8時間以上であり、また、好ましくは30時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは5時間以下である。
顔料混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができるが、中でも高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー(Microfluidic社製)等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いて本分散を行う場合、処理圧力やパス回数の制御により、顔料を所望の粒径になるように制御することができる。
処理圧力は、生産性及び経済性の観点から、好ましくは60MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは130MPa以上であり、また、好ましくは200MPa以下、より好ましくは180MPa以下である。
また、パス回数は、好ましくは3以上、より好ましくは10以上であり、また、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
(工程2)
工程2は、工程1で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料含有ポリマー粒子の水分散体(顔料水分散体)を得る工程である。
工程2では、工程1で得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を除去することで、顔料含有ポリマー粒子の水分散体(顔料水分散体)を得ることができる。得られた顔料水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた顔料水分散体は、顔料含有ポリマー粒子が水を主媒体とする媒体中に分散しているものである。ここで、顔料含有ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料と水不溶性ポリマーPにより粒子が形成されていればよいが、前述のように、水不溶性ポリマーPに顔料が内包された粒子形態であることが好ましい。
得られた顔料水分散体の不揮発成分濃度(固形分濃度)は、顔料水分散体の分散安定性を向上させる観点及び水系インクの調製を容易にする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
なお、顔料水分散体の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料水分散体中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、粗大粒子を低減し、水系インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、更に好ましくは70nm以上であり、また、好ましくは200nm以下、より好ましくは160nm以下、更に好ましくは120nm以下である。
なお、顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
また、水系インク中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、顔料水分散体中の平均粒径と同じであり、好ましい平均粒径の態様は、顔料水分散体中の平均粒径の好ましい態様と同じである。
(工程3)
工程3は、工程2で得られた顔料水分散体を、水不溶性多官能エポキシ化合物で架橋処理し、架橋された水不溶性ポリマーP粒子を含有する水系顔料分散体を得る工程である。
工程3では、得られる水系顔料分散体及び水系インクの高温下における保存安定性及び再分散性を更に向上させる観点から、工程2で得られた顔料水分散体を、後述する水不溶性多官能エポキシ化合物(架橋剤)で架橋処理し、架橋された水不溶性ポリマーPを含有する水系顔料分散体を得る。この工程で、顔料含有ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーPのカルボキシ基の一部を架橋し、顔料含有ポリマー粒子の表層部に架橋構造を形成させる。すなわち、本発明に係るポリマー分散剤は、顔料表面上で水不溶性ポリマーPと水不溶性多官能エポキシ化合物との架橋によって得られ、顔料水分散体中の顔料含有ポリマー粒子に含まれる水不溶性ポリマーPが水不溶性多官能エポキシ化合物によって架橋された水不溶性ポリマーPとなる。
こうして、本発明の水系顔料分散体は、顔料を本発明に係るポリマー分散剤で水系媒体に分散させた水系顔料分散体となる。
<水不溶性多官能エポキシ化合物>
本発明で用いられる水不溶性多官能エポキシ化合物(架橋剤)は、水を主体とする媒体中で効率よく水不溶性ポリマーPのカルボキシ基と架橋させる観点から、20℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が好ましくは55g以下、より好ましくは44g以下、更に好ましくは39g以下である。
また、水不溶性多官能エポキシ化合物は、得られる水系顔料分散体及び水系インクの高温下における保存安定性及び再分散性を更に向上させる観点から、その水溶率は好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
ここで、水溶率(質量%)とは、室温25℃にて水90質量部にエポキシ化合物10質量部を溶解したときの溶解率(質量%)をいい、より具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
水不溶性多官能エポキシ化合物としては、好ましくは分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物、より好ましくはグリシジルエーテル基を有する化合物、更に好ましくは炭素数3以上8以下の炭化水素基を有する多価アルコールのグリシジルエーテル化合物である。
水不溶性多官能エポキシ化合物の分子量は、反応のし易さ、及び得られる架橋ポリマーの保存安定性の観点から、好ましくは120以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは200以上であり、そして、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、更に好ましくは1000以下である。
水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ基の数は、効率よくカルボキシ基と架橋させて顔料含有ポリマー粒子の保存安定性等を高める観点から、1分子あたり2以上、好ましくは3以上であり、そして、1分子あたり好ましくは6以下である。1分子内に5以上のエポキシ基を有するものは市場入手性が乏しいので、反応性と経済性の両立という観点から、1分子内に3又は4のエポキシ基を有するものがより好ましい。
水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は、上記と同様の観点から、好ましくは100以上、より好ましくは110以上、更に好ましくは120以上であり、そして、好ましくは300以下、より好ましくは270以下、更に好ましくは250以下である。
水不溶性多官能エポキシ化合物の具体例としては、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの中では、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(水溶率31%)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(水溶率27%)、及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(水溶率20%未満)から選ばれる1種以上が好ましい。
(架橋反応)
本発明においては、水不溶性ポリマーPのカルボキシ基の一部をアルカリ金属化合物で中和し、顔料を分散させた後、更に水不溶性ポリマーPが有するカルボキシ基の一部を水不溶性多官能エポキシ化合物と反応させて架橋構造を形成させ、系内で得られたポリマー分散剤で顔料を水系媒体に分散させた水系顔料分散体とすることが好ましい。その際、得られる水系インクの保存安定性、再印刷時の吐出安定性、印字濃度の観点から、下記の条件1、好ましくは更に条件2を満たす量で、中和剤(アルカリ金属化合物)及び水不溶性多官能エポキシ化合物を用いる。
〔条件1〕
条件1は、〔(100−中和度−架橋度)/100〕×(水不溶性ポリマーPの酸価)の値が−30mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である。
ここで、中和度は「中和剤(アルカリ金属化合物)のモル当量数/水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)、架橋度は「水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル当量数/水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)である。
なお、水不溶性ポリマーPの酸価は、構成するモノマーの質量比から算出することができる。また、適当な有機溶剤(例えば、MEK)にポリマーを溶解又は膨潤させて滴定する方法でも求めることができる。
条件1は、吐出安定性と保存安定性を高めるために必要な水系インクにおけるポリマー分散剤の未中和のカルボキシ基量を示すものであり、水不溶性ポリマーPの酸価、中和度、架橋度で決定される。換言すれば、条件1は、中和及び架橋後の水不溶性ポリマーPの酸価を表す。
条件1の値が−30mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であれば、該ポリマーを用いて顔料分散体を調製したときに顔料表面の電荷量が十分であり、また該ポリマー分散剤の水不溶性も十分となり、高い吐出安定性と保存安定性を発現できる。
条件1の値は、好ましくは−20mgKOH/g以上、より好ましくは−10mgKOH/g以上、更に好ましくは−5mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは140mgKOH/g以下、より好ましくは130mgKOH/g以下、更に好ましくは120mgKOH/g以下である。
〔条件2〕
条件2は、〔(架橋度)/100〕×(水不溶性ポリマーPの酸価)の値が30mgKOH/g以上180mgKOH/g以下である。
条件2は、保存安定性を高めるために必要な架橋度を示す。換言すれば、条件2は、架橋により減少した水不溶性ポリマーPの酸価を表す。水系インクにおいて、顔料粒子の保存安定性を高めるためには、前記条件に加えて、この架橋度の条件も満たすことが好ましい。
条件2の値が30mgKOH/g以上であれば、ポリマー分散剤の水不溶性を十分に高めることができ、顔料への吸着が強固になり、保存安定性を高めることができる。一方、条件2の値が180mgKOH/g以下であれば、ポリマー分散剤の疎水性は十分であり顔料に強固に吸着することができ、水系インク中に存在するカルボキシアニオンの量も十分で凝集を抑制することができる。
条件2の値は、好ましくは40mgKOH/g以上、より好ましくは50mgKOH/g以上、更に好ましくは80mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは170mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下、更に好ましくは120mgKOH/g以下である。
なお、水不溶性ポリマーPが有するカルボキシ基と反応させる水不溶性多官能エポキシ化合物について、実際に反応した量を測定するのは困難であるため、用いた水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル数を、顔料を分散させるのに用いた水不溶性ポリマーP 1gあたりの酸価に換算して表す。
架橋反応の温度は、反応の完結と経済性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上、より更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは65℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下である。
また、その反応時間は、上記と同様の観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは1.5時間以上、より更に好ましくは3.0時間以上であり、そして、好ましくは12時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは8.0時間以下、より更に好ましくは6時間以下である。
水不溶性ポリマーPの架橋度は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。架橋度はポリマーの酸価と架橋剤のエポキシ基の当量から計算される見かけの架橋度である。即ち、架橋度は「水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル当量数/水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)である。
得られる顔料分散体のpHは8.0以上であることが好ましい。pHが8.0以上であれば、アニオン性基の解離が促進され、顔料分散体の電荷量が十分であり、これは顔料分散体の保存安定性を高めることができる。顔料分散体のpHは好ましくは8.5以上であり、その上限に特に制限はないが、pHが11を超えると、該顔料分散体を用いたインクのpHが高くなりすぎ、該インクを用いるプリンタや印刷機の部材に悪影響を与えるため好ましくない。そのため、顔料分散体のpHは、より好ましくは10.5以下である。
pHの測定法に特に制限はないが、ガラス電極を用いたpH測定法がJIS Z8802に規定されており、簡便かつ正確な点から、この方法が好ましい。具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
[水系インク]
本発明の水系インクは、顔料、ポリマー分散剤、2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有していてもよい炭素数4以上の1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオール、非イオン性界面活性剤、及び水を含有する。
<2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有していてもよい炭素数4以上の1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオール>
本発明で用いられる2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有していてもよい炭素数4以上の1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオール(以下、単に「アルカンジオール」ともいう)としては、25℃の水1000gに3g以上溶ける水溶性であるものが好ましく、2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有さない1,2−アルカンジオール、又は、2位、3位及び4位のいずれかにメチル基又はエチル基を有する1,3−アルカンジオールがより好ましい。
その具体例としては、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、2-エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3-エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。これらの中では、炭素数5以上の1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオールが好ましく、1,2−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールがより好ましい。
また、前記アルカンジオール以外の有機溶剤を併用することもできる。かかる有機溶剤としては、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びこれらのアルキルエーテル、2−ピロリドン等が挙げられる。
<非イオン性界面活性剤>
非イオン性界面活性剤は、画質、吐出安定性を向上させる観点から、表面張力調整剤として用いられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、(1)炭素数8以上22以下の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の高級アルコール、多価アルコール、又は芳香族アルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドを付加したポリオキシアルキレンのアルキルエーテル、アルケニルエーテル、アルキニルエーテル又はアリールエーテル、(2)炭素数8以上22以下の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する高級アルコールと多価脂肪酸とのエステル、(3)炭素数8以上20以下の直鎖又は分岐鎖の、アルキル基又はアルケニル基を有する、ポリオキシアルキレン脂肪族アミン、(4)炭素数8以上22以下の高級脂肪酸と、多価アルコールのエステル化合物又はそれにエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドを付加した化合物、(5)ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤、(6)パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
これらの中では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンのアルキルエーテル系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましく、吐出安定性の観点から、アセチレングリコール系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選ばれる1種以上がより好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤が更に好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤の好適例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、及びこれらのエチレンオキシド付加物から選ばれる1種以上が挙げられ、より好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、及びこれらのエチレンオキシド付加物から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及びそのエチレンオキシド付加物から選ばれる1種以上である。
ノニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社及びAir Products & Chemicals 社製の「サーフィノール104PG−50(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのプロピレングリコール溶液、有効分50%)」、「サーフィノール465(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド(以下、「EO」ともいう)付加物、EO平均付加モル数:10)」、「サーフィノール485(同EO付加物、EO平均付加モル数:30)」、「オルフィンE1010(同EO付加物、EO平均付加モル数:10)」、川研ファインケミカル株式会社製の「アセチレノール(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド付加物)E81(EO平均付加モル数:8.1)」、「アセチレノールE100(EO平均付加モル数:10)」、「アセチレノールE200(EO平均付加モル数:20)」、花王株式会社製の「エマルゲン120(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)」、Dupont社製のフッ素系界面活性剤「ゾニールFS300」等が挙げられる。
本発明の水系インクの各成分の含有量、インク物性は以下のとおりである。
(顔料の含有量)
水系インク中の顔料の含有量は、水系インクの印刷濃度を向上させる観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上である。また、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましく7.0質量%以下である。
(顔料と水不溶性ポリマーPとの合計含有量)
水系インク中の顔料と水不溶性ポリマーPとの合計含有量は、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上、より更に好ましくは3.5質量%以上であり、そして、好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下、更に好ましくは10.0質量%以下、より更に好ましくは8.0質量%以下である。
(アルカンジオールの含有量)
前記アルカンジオールの含有量は、水系インクの吐出安定性を良好にし、普通紙印字濃度を向上させる観点から、水系インク中で、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは14質量%以下、更に好ましくは13質量%以下である。
(水の含有量)
本発明の水系インクに用いる水としては、イオン交換水及び蒸留水等の純水、超純水が好ましい。水の含有量は、有機溶媒の使用量を低減するとともに、吐出安定性を向上させる観点から、水系インク中で、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
(水系インク物性)
水系インクの32℃の粘度は、インクの保存安定性を更に向上させる観点から、好ましくは2.0mPa・s以上であり、より好ましくは3.0mPa・s以上であり、更に好ましくは5.0mPa・s以上であり、そして、好ましくは12mPa・s以下であり、より好ましくは9.0mPa・s以下であり、更に好ましくは7.0mPa・s以下である。
水系インクのpHは、インクの保存安定性を更に向上させる観点から、好ましくは7.0以上であり、より好ましくは7.2以上であり、更に好ましくは7.5以上である。また、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、pHは、好ましくは11.0以下であり、より好ましくは10.0以下であり、更に好ましくは9.5以下である。
[水系インクの製造]
本発明の水系インクは、前記工程1〜3により、顔料を含有する水不溶性ポリマーP粒子(顔料含有ポリマー粒子)の水分散体を製造した後、これに前記アルカンジオール、非イオン性界面活性剤、及び水を配合することにより得ることができる。
また、必要に応じて、水系インクに通常用いられる保湿剤、湿潤剤、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を添加し、更にフィルター等によるろ過処理を行うことができる。
本発明の水系インクは、公知のインクジェット記録装置に装填し、記録媒体にインク液滴として吐出させて画像等を記録することができる。
インクジェット記録装置としては、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型等)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等)等があるが、ピエゾ式のインクジェット記録用水性インクとして用いることがより好ましい。
用いることができる記録媒体としては、高吸水性の普通紙、低吸水性のコート紙及びフィルムが挙げられる。コート紙としては、汎用光沢紙、多色フォームグロス紙等が挙げられ、フィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等が挙げられる。
以下の調製例、製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。
(1)水不溶性ポリマーPの数平均分子量の測定
N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、高速液体クロマトグラフィー用)に、リン酸(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)及びリチウムブロマイド(東京化成工業株式会社製、試薬)をそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質として分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いて測定した。
(2)顔料含有ポリマー粒子の平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム「ELSZ−1000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度165°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度が5×10−3質量%(固形分濃度換算)になるように水で希釈して行った。
(3)顔料分散体の固形分濃度の測定
30mlのポリプロピレン製容器(φ=40mm、高さ=30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、更にデシケーター内で更に15分間放置し、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
(4)エポキシ化合物の水溶率の測定
室温25℃にてイオン交換水90質量部及び架橋剤10質量部をガラス管(25mmφ×250mmh)に添加し、該ガラス管を水温25℃に調整した恒温槽中で1時間静置した。次いで、該ガラス管を1分間激しく振とうした後、再び恒温槽中で10分間静置した。次いで、未溶解物を秤量し、水溶率(質量%)を算出した。
<水不溶性ポリマーPの調製>
調製例1
メタクリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)73.5部、ベンジルアクリレート(和光純薬工業株式会社製、試薬)66.5部、スチレンマクロマー(東亞合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、固形分濃度50%)40部(固形分として20部)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800、プロピレンオキシド平均付加モル数13、末端:水酸基)40部を混合し、モノマー混合液を調製した。反応容器内に、メチルエチルケトン(MEK)20部及び2−メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤)0.3部、前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残りの90%、前記重合連鎖移動剤0.27部、MEK60部、及びアゾ系ラジカル重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))2.2部の混合液を入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させたのちに、固形分濃度が40.8%になるようにMEKを加えてカルボキシ基を有する水不溶性ポリマー溶液(i)(ポリマーの数平均分子量:12000、酸価240mgKOH/g)を得た。結果を表1に示す。
調製例2
アクリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)38.5部、スチレン(和光純薬工業株式会社製 試薬)152.5部、α−メチルスチレン(和光純薬工業株式会社製、試薬)9部を混合しモノマー混合液を調製した。反応容器内に、MEK20部、2−メルカプトエタノール(重合連鎖移動剤)0.3部、及び前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残りの90%、前記重合連鎖移動剤0.27部、MEK60部及び前記アゾ系ラジカル重合開始剤(V−65)2.2部の混合液を入れ、以降は調製例1と同様にして、固形分濃度が40.8%のカルボキシ基を有する水不溶性ポリマー溶液(ii)を得た。結果を表1に示す。
調製例3、4
調製例2において、アクリル酸とスチレンの量を表1に示す量とした以外は、調製例2と同様にしてカルボキシ基を有する水不溶性ポリマー溶液(iii)、(iv)を得た。結果を表1に示す。
<顔料含有ポリマー粒子の水系顔料分散体の製造>
製造例1(水系顔料分散体A1の製造)
(1)工程1
調製例1で得られた水不溶性ポリマー溶液(i)(固形分濃度40.8%)157.6gを、メチルエチルケトン(MEK)60.7gと混合して容積が2Lのディスパーに投入し、1400rpmの条件で撹拌しながら、イオン交換水446.9g、5N水酸化ナトリウム水溶液51.3g(水酸化ナトリウムによる中和度32%)を加え、0℃の水浴で冷却しながら、1400rpmで15分間撹拌した。次いで、シアン顔料(C.I.ピグメント・ブルー15:3、銅フタロシアニン、DIC株式会社製、商品名:TGR−SD)256gを加え、7000rpmで3時間撹拌した。更にイオン交換水1044gを添加して、得られた顔料混合物をマイクロフルイダイザー「M−110EH−30XP」(Microfluidics社製)を用いて150MPaの圧力で20パス分散処理し、分散体(固形分濃度21.0質量%)を得た。
(2)工程2
工程1で得られた分散体1000gを2Lナスフラスコに入れ、イオン交換水400gを加え(固形分濃度15.0質量%)、回転式蒸留装置(東京理化器械株式会社製、製品名:ロータリーエバポレーターN−1000S)を用いて、回転数50rpmで、32℃に調整した温浴中、0.09MPaの圧力で3時間保持して、有機溶媒を除去した。更に、温浴を62℃に調整し、圧力を0.07MPaに下げて固形分濃度25.0質量%になるまで濃縮した。
得られた濃縮物を500mlアングルローターに投入し、高速冷却遠心機(日立工機株式会社製、製品名:himacCR22G、設定温度20℃)を用いて7000rpmで20分間遠心分離した後、液層部分を5μmのメンブランフィルター(Sartorius社製、商品名:Minisart)で濾過し、顔料水分散体a1を得た。
(3)工程3
工程2で得られた顔料水分散体a1の400gにイオン交換水54.6gを添加し、更にプロキセルLVS(アーチケミカルズジャパン株式会社製、防黴剤、有効分20%)0.89g、架橋度が40モル%になるように水不溶性多官能エポキシ化合物(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX321、水溶率27%、エポキシ当量140)4.8gを添加し、70℃で2時間撹拌した。25℃に冷却後、前記5μmフィルターでろ過し、更に固形分濃度が22.0質量%になるようにイオン交換水を加えて、顔料含有ポリマー粒子(架橋度40モル%)の水系顔料分散体A1を得た。
製造例2(水系顔料分散体A2の製造)
(1)工程1
調製例2で得られたポリマー溶液(ii)(固形分濃度40.8%)を用いて、5N水酸化ナトリウム水溶液を32.1g(水酸化ナトリウムによる中和度32%)とした以外は、製造例1の工程1と同様にして、分散体(固形分濃度21.0質量%)を得た。
(2)工程2
製造例1の工程2と同様にして、顔料水分散体a2を得た。
(3)工程3
工程2で得られた顔料水分散体a2を用いて、前記水不溶性多官能エポキシ化合物(デナコールEX321)3.0gを添加した以外は、製造例1の工程3と同様にして、顔料含有ポリマー粒子(架橋度40モル%)の水系顔料分散体A2を得た。
製造例3(水系顔料分散体A3の製造)
(1)工程1
調製例3で得られたポリマー溶液(iii)(固形分濃度40.8%)を用いて、製造例1の工程1と同様にして、分散体(固形分濃度21.0質量%)を得た。
(2)工程2
製造例1の工程2と同様にして、顔料水分散体a3を得た。
(3)工程3
工程2で得られた顔料水分散体a3を用いて、前記水不溶性多官能エポキシ化合物(デナコールEX321)4.8gを添加した以外は、製造例1の工程3と同様にして、顔料含有ポリマー粒子の水系顔料分散体A3を得た。
製造例4〜11(水系顔料分散体A4〜A11の製造)
製造例3において、工程1の5N水酸化ナトリウム水溶液の量及び工程3の水不溶性多官能エポキシ化合物の量を表2のようにした以外は、製造例3と同様にして、顔料含有ポリマー粒子の水系顔料分散体A4〜A11を得た。
製造例12(水系顔料分散体A12の製造)
製造例3において、工程1〜2を製造例3の工程1〜2と同様に行なった。
工程3は、工程2で得られた顔料分散体a3を用いて、水溶性多官能エポキシ化合物(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社製、商品名:デナコールEX521、エポキシ当量183)6.3gを添加した以外は、製造例1の工程3と同様にして、顔料含有ポリマー粒子の水系顔料分散体A12を得た。
製造例13(水系顔料分散体A13の製造)
(1)工程1
調製例4で得られたポリマー溶液(iv)(固形分濃度40.8%)を用いて、5N水酸化ナトリウム水溶液を79.1g(水酸化ナトリウムによる中和度32%)とした以外は、製造例1の工程1と同様にして、分散体(固形分濃度21.0質量%)を得た。
(2)工程2
製造例1の工程2と同様にして、顔料水分散体a9を得た。
(3)工程3
工程2で得られた顔料水分散体a9を用いて、前記水不溶性多官能エポキシ化合物(デナコールEX321)7.4gを添加した以外は、製造例1の工程3と同様にして、顔料含有ポリマー粒子(架橋度40モル%)の水系顔料分散体A13を得た。
実施例1(水系インク1の製造)
製造例1で得られた水系顔料分散体A1の26.0部、1,2−ヘキサンジオール(和光純薬工業株式会社製試薬)10.0部と、トリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製試薬)5.0部、グリセリン(花王株式会社製)7.0部、サーフィノール104PG−50(日信化学工業株式会社製、アセチレン系非イオン性界面活性剤、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのプロピレングリコール(50%)の溶液)0.5部、イオン交換水51.0部を混合し、得られた混合液を1.2μmのメンブランフィルター(Sartorius社製、商品名:Minisart)で濾過し、水系インク1を得た。
実施例2〜28、比較例1〜14(水系インク2〜42の製造)
表3及び4に示す配合処方で、水系顔料分散体A2〜A13、有機溶媒、界面活性剤、及びイオン交換水を混合し、実施例1と同様にして、水系インク2〜42を得た。
表3及び4で使用した水溶性有機溶媒は、全て和光純薬工業株式会社製試薬である。
表3及び4中、「3−M−1,3−BD」は3−メチル−1,3−ブタンジオールであり、「2,2,4−TM−1,3−PD」は2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールであり、「3−E−1,3−HD」は3−エチル−1,3−ヘキサンジオールである。
また、使用した界面活性剤の詳細は、以下のとおりである。
・サーフィノール104PG−50:日信化学工業株式会社製、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのプロピレングリコール溶液、有効分50%
・アセチレノールE100:川研ファインケミカル株式会社製、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド約10mol付加物
・ゾニールFS300:Dupont社製、フッ素系界面活性剤、40%溶液
・エマルゲン120:花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル
<水系インク1〜42の評価>
実施例及び比較例で得られた水系インク1〜42を用いて、以下の方法により、保存安定性、再印刷時の吐出安定性、印字濃度を評価した。結果を表3及び4に示す。
(1)保存安定性
水系インクをガラス製密閉容器に充填し、80℃、30日保存後のインクの粘度をE型粘度計(東機産業株式会社製、RE80L)を用いて20℃で測定し、下記式より粘度変化率を求めた。変化がなければ、100%となり、粘度変化率の数値が100%に近い方が、保存安定性がよい。
粘度変化率(%)=(〔保存後の粘度〕/〔保存前の粘度〕)×100
(評価基準)
A :粘度変化率が100±5%以内
A−:粘度変化率が100±10%以内
B :粘度変化率が100±15%以内
C :粘度変化率が100±20%以内
D :粘度変化率が100±20%超
評価結果がA又はA−であれば保存安定性は十分である。
(2)吐出安定性
市販のインクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSIO SG 2010L、ピエゾ方式)のインクカートリッジに水系インクを充填後、ヘッドをキャップしない状態で30分間放置し、その後、再度印刷を開始した際のインクの吐出状態を確認し、全ノズル96個中の欠けのあるノズルの数を数え、以下の評価基準で吐出安定性を評価した。
(評価基準)
A :欠けなし。
A−:欠けのあるノズルが全ノズル中の2/48以下で、かつメンテナンスすれば回復する。
B :欠けのあるノズルが全ノズル中の2/48より多く、5/48以下であるが、メンテナンスすれば回復する。
C :欠けのあるノズルが全ノズル中の5/48より多くあるが、メンテナンスすれば回復する。
D :メンテナンスしてもノズル欠けが直らない。
評価結果がA、A−又はBであれば吐出安定性は実用上支障がない。
(3)印字濃度
市販のインクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSIO SG 2010L、ピエゾ方式)を用いて、普通紙「CopyPlus」(Hammermill社製)に、ベタ画像を印字し、1日放置後、光学濃度計SpectroEye(グレタグマクベス社製)を用いて任意の10箇所の印字濃度を測定し、平均値を求めた。
(評価基準)
A :1.10以上。
A−:1.05以上1.10未満
B :1.00以上1.05未満
C :0.95以上1.00未満
D :0.95未満
評価結果がA又はA−であれば印字濃度は実用上支障がない。
表3及び4から、本発明の実施例1〜28の水系インク1〜28は、比較例1〜14の水系インク29〜42に比べて、長期間の保存安定性、インクジェット記録時の吐出安定性に優れ、普通紙に印刷した際に高い印字濃度を得ることができることが分かる。

Claims (6)

  1. 顔料、ポリマー分散剤、2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有していてもよい炭素数4以上の1,2−アルカンジオール又は1,3−アルカンジオール、非イオン性界面活性剤、及び水を含有する水系インクであって、
    ポリマー分散剤が、カルボキシ基を有し、酸価が200mgKOH/g以上320mgKOH/g以下である水不溶性ポリマーPを水不溶性多官能エポキシ化合物で架橋してなり、
    該水不溶性ポリマーPの酸価と中和度と架橋度とが、下記条件1を満たす水系インク。
    条件1:〔(100−中和度−架橋度)/100〕×(水不溶性ポリマーPの酸価)の値が−30mgKOH/g以上130mgKOH/g以下である。
    ここで、中和度は「中和剤のモル当量数/水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)、架橋度は「水不溶性多官能エポキシ化合物のエポキシ基のモル当量数/水不溶性ポリマーPのカルボキシ基のモル当量数」の百分比(モル%)である。
  2. さらに下記条件2を満たす、請求項1に記載の水系インク。
    条件2:〔(架橋度)/100〕×(水不溶性ポリマーPの酸価)の値が30mgKOH/g以上180mgKOH/g以下である。
  3. 前記アルカンジオールが、2位、3位又は4位にメチル基又はエチル基を有さない1,2−アルカンジオールである、請求項1又は2に記載の水系インク。
  4. 前記アルカンジオールが、2位、3位及び4位のいずれかにメチル基又はエチル基を有する1,3−アルカンジオールである、請求項1又は2に記載の水系インク。
  5. 水不溶性多官能エポキシ化合物が、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルから選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の水系インク。
  6. 非イオン性界面活性剤が、アルキルエーテル系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の水系インク。
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