JP2005041114A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高光沢媒体に対する印字に優れた、顔料を含有するインクジェット記録用水系インクを用いるインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】顔料を含有するインクジェット記録用水系インクを用いて表面光沢度が30以上である高光沢媒体に記録するインクジェット記録方法であって、印字ヘッドのスピード(cm/秒)をS、ノズル径(μm)をn、該水系インクの初期の粘度上昇率(%)をΔvとした時、以下の一般式(1):
α=S×(1/n)×Δv (1)
で表されるα値が2以下であり、かつΔvが1%以下の条件下に印字する、インクジェット記録方法。
【選択図】なし
【解決手段】顔料を含有するインクジェット記録用水系インクを用いて表面光沢度が30以上である高光沢媒体に記録するインクジェット記録方法であって、印字ヘッドのスピード(cm/秒)をS、ノズル径(μm)をn、該水系インクの初期の粘度上昇率(%)をΔvとした時、以下の一般式(1):
α=S×(1/n)×Δv (1)
で表されるα値が2以下であり、かつΔvが1%以下の条件下に印字する、インクジェット記録方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録方法に関する。更に詳しくは、顔料を含有するインクジェット記録用水系インクを用いて表面光沢度が30以上である高光沢媒体に記録するインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、近年広く用いられている。インクジェットプリンターに使用されるインクには、耐水性や耐光性を向上させるため、近年、顔料系インクが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第00/39226号パンフレット
本発明は、高光沢媒体に対する印字に優れた、顔料を含有するインクジェット記録用水系インクを用いるインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕 顔料を含有するインクジェット記録用水系インクを用いて表面光沢度が30以上である高光沢媒体に記録するインクジェット記録方法であって、印字ヘッドのスピード(cm/秒)をS、ノズル径(μm)をn、該水系インクの初期の粘度上昇率(%)をΔvとした時、以下の一般式(1):
α=S×(1/n)×Δv (1)
で表されるα値が2以下であり、かつΔvが1%以下の条件下に印字する、インクジェット記録方法、
に関する。
〔1〕 顔料を含有するインクジェット記録用水系インクを用いて表面光沢度が30以上である高光沢媒体に記録するインクジェット記録方法であって、印字ヘッドのスピード(cm/秒)をS、ノズル径(μm)をn、該水系インクの初期の粘度上昇率(%)をΔvとした時、以下の一般式(1):
α=S×(1/n)×Δv (1)
で表されるα値が2以下であり、かつΔvが1%以下の条件下に印字する、インクジェット記録方法、
に関する。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェットプリンターに好適に適用される。本発明によれば、例えば、光沢性に優れる良好な印字物を安定に得ることができる。
本発明のインクジェット記録方法は、顔料を含有するインクジェット記録用水系インク(以下、顔料インクという)を用いて表面光沢度が30以上である高光沢媒体に記録するインクジェット記録方法(以下、記録方法という)であって、印字ヘッドのスピード(cm/秒)をS、ノズル径(μm)をn、顔料インクの初期の粘度上昇率(%)をΔvとした時、以下の一般式(1):
α=S×(1/n)×Δv (1)
で表されるα値が2以下であり、かつΔvが1%以下の条件下に印字することを1つの大きな特徴とする。
α=S×(1/n)×Δv (1)
で表されるα値が2以下であり、かつΔvが1%以下の条件下に印字することを1つの大きな特徴とする。
本発明の記録方法は、通常、インクジェットプリンターに好適に適用される。前記一般式(1)中、S及びnは、使用するインクジェットプリンターに応じて決まる値である。一般に、印字ヘッドのスピードSが早いとドット間隔が広がる為、表面平滑性が低下して光沢性が低下する。一方、遅いと、ドット密度が高まり、表面平滑性が向上して光沢性も向上する。また、ノズル径nは、小さいと印字ドットが小さくなる為、その体積に対する表面積の割合が大きくなり、乾燥速度が高まり、その結果、ドットの平滑化が進みにくくなり、光沢性が低下する。このように、使用するインクジェットプリンターのS値及びn値により印字性能が変化することになるが、本発明者らは、意外にも、前記一般式(1)で表されるα値が2以下であり、かつΔvが1%以下の条件下に印字可能であるように顔料インクを構成し、使用することで、いずれのインクジェットプリンターを使用しても、安定して高光沢媒体に対し優れた印字を行うことができることを見出した。
前記一般式(1)で表されるα値は、所定のS値及びn値に対し、顔料インクの構成を調整することにより、2以下にすることができる。α値としては、好ましくは1.8以下であり、0を超える値である。具体的には、顔料インクのΔvを所定の条件を満たすように調整する。本発明の顔料インクとしては、後述のような色材を含有したものが好適に使用されるが、Δvは、色材において顔料の分散に使用される界面活性剤やポリマーの分子量、使用量、顔料との重量比、色材を構成する顔料の種類等を適宜調整することにより調節することができる。例えば、顔料インクとしては、後述の(3)顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体からなる色材がより好適に使用されるが、Δvは、特に顔料インクに使用される水不溶性ポリマーの分子量、顔料/ポリマー比の観点から、該色材の組成を適宜調整することにより調節することができる。
通常、S値は20〜100(cm/秒)程度であり、n値は10〜100(μm)程度である。例えば、以下において説明する顔料インクの各成分を調節して所望の顔料インクを得、かかるインクを用いることで、前記条件を満たしうる、本発明の記録方法を容易に実施することができる。
高光沢媒体としては、表面光沢度が30以上のものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、セイコーエプソン社製PM写真用紙、フジフィルム社製写真用印画紙等が挙げられる。表面光沢度としては、好ましくは35以上である。また、表面光沢度の上限としては、50程度であれば充分である。
顔料インクの初期の粘度上昇率Δvとは、顔料インクの配合組成において、後述する色材の含有割合を固形分量でα重量%とした時、顔料インクを加熱減圧(60℃、0.08MPa)に供して色材の含有割合が(α+1)重量%になるまで濃縮した場合の粘度(v1)を、初期(配合時)の顔料インクの粘度(v2)からの上昇率で表したものをいう。ここで、固形分とは、顔料インク中に含まれる顔料(自己分散型顔料を含む)、ポリマー、界面活性剤、顔料誘導体の固形分を合わせたものである。
具体的に顔料インクのΔvは、顔料インクの製造直後に、後述の実施例に記載の(粘度上昇率)に示される方法に従って求める。顔料インクの製造直後とは、顔料インクを構成する各成分を混合し、顔料インクとして使用可能になった時点をいう。Δvとしては、更に好ましくは0.9%以下である。
本発明の顔料インクとしては、
(1)界面活性剤、顔料誘導体又は水溶性ポリマーで顔料を水中に分散させた顔料分散体、
(2)任意の親水性基が直接又は他の原子団を介して顔料に結合している自己分散型顔料、(3)顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体(以下、水不溶性ポリマー粒子の水分散体という)、
のいずれかを色材として含有した顔料インクが好適である。かかる顔料インクとしては、耐水性、保存安定性、耐擦過性、耐ガス性、普通紙印字品質等に優れることから、色材として前記(3)水不溶性ポリマー粒子の水分散体を含んでなるものがより好適である。
(1)界面活性剤、顔料誘導体又は水溶性ポリマーで顔料を水中に分散させた顔料分散体、
(2)任意の親水性基が直接又は他の原子団を介して顔料に結合している自己分散型顔料、(3)顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体(以下、水不溶性ポリマー粒子の水分散体という)、
のいずれかを色材として含有した顔料インクが好適である。かかる顔料インクとしては、耐水性、保存安定性、耐擦過性、耐ガス性、普通紙印字品質等に優れることから、色材として前記(3)水不溶性ポリマー粒子の水分散体を含んでなるものがより好適である。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよい。また、所望により、それらに体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー 13, 74, 83, 109, 110, 128, 151;C.I. ピグメント・レッド 48, 57, 122, 184, 188;C.I.ピグメント・バイオレット 19;C.I. ピグメント・ブルー 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 16;C.I. ピグメント・グリーン 7, 36等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
前記(1)顔料分散体に使用される前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられる。これらの中では、分散安定性及び吐出安定性を高める観点から、β−ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩〔例えば、花王(株)製、商品名:デモールN、デモールRN、デモールMS等〕、及びカルボン酸型高分子活性剤〔例えば、花王(株)製、商品名:ボイズ520、ボイズ521、ボイズ530等〕が好ましい。
(1)顔料分散体に使用される界面活性剤の量は、顔料インクにおける色材の分散安定性及び該インクの吐出安定性を高める観点から、顔料100重量部に対して、好ましくは1〜120重量部、より好ましくは3〜100重量部、さらに好ましくは5〜90重量部である。
前記顔料誘導体としては、例えば、イオン性官能基又はイオン性官能基の塩を有する、アゾ誘導体、ジアゾ誘導体、フタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、イソインドリノン誘導体、ジオキサジン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、チオインジゴ誘導体、アントラキノン誘導体、キノフタロン誘導体等が挙げられる。
(1)顔料分散体に使用される顔料誘導体の量は、顔料インクにおける色材の分散安定性及び該インクの吐出安定性を高める観点から、顔料100重量部に対して、好ましくは1〜120重量部、より好ましくは3〜70重量部、さらに好ましくは5〜30重量部である。
前記水溶性ポリマーとしては、例えば、水溶性ビニルポリマー、水溶性エステルポリマー、水溶性ウレタンポリマー等が挙げられる。これらのポリマーの中では、水溶性ビニルポリマーが好ましい。
(1)顔料分散体に使用される顔料の量は、顔料インクにおける色材の分散安定性及び該インクの吐出安定性を高める観点から、水溶性ポリマー100重量部に対して、好ましくは20〜1200重量部、より好ましくは50〜900重量部である。
なお、本明細書でいう水溶性ポリマーとは、中和した場合の25℃の水100gに対する溶解度が1g以上のポリマーをいう。また、本明細書でいう水不溶性ポリマーとは、前記水溶性ポリマー以外のポリマーをいう。
前記(2)自己分散型顔料としては、例えば、CAB−O−JET300、CAB−O−JET200(共にCABOT社製)が挙げられる。当該色材は、顔料そのものからなる。
前記(3)水不溶性ポリマー粒子の水分散体に使用される水不溶性ポリマーは、例えば、(A)塩生成基含有モノマーA及び(B)共重合可能なモノマーBを含有するモノマー混合物(以下、モノマー混合物という)を重合させることによって得られる。
塩生成基含有モノマーAとしては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが好ましい。アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー及び不飽和リン酸モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーの中では、良好なインク粘度及び吐出性を得る観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
カチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有ビニルモノマー及び不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
不飽和3級アミン含有ビニルモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアリールアミン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
カチオン性モノマーの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
モノマー混合物における塩生成基含有モノマーAの含有量は、良好な分散安定性及び吐出安定性を得る観点から、好ましくは3〜80重量%、より好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは5〜40重量%である。
共重合可能なモノマーBとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香環含有モノマー、マクロマー等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
芳香環含有モノマーは、耐水性の向上の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。これらの中ではスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンからなる群より選ばれた少なくとも1種が、耐水性及び耐擦過性の向上の観点からより好ましい。
マクロマーの代表例としては、片末端に重合性官能基を有し、数平均分子量が、好ましくは500〜500000、より好ましくは1000〜10000であるマクロマーが挙げられる。
マクロマーの具体例としては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。これらの中では、ポリマー粒子に水不溶性顔料を充分に含有させる観点から、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー及び片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーが好ましく、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーがより好ましい。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体において、他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。また、そのスチレンの含有量は、水不溶性顔料が充分にポリマー粒子に含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成(株)製のAS-6, AS-6S, AN-6, AN-6S, HS-6S, HS-6等が挙げられる。
片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーの中では、式(II):
X(Y)qSi(R3)3−r(Z)r (II)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、R3はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーン系マクロマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
X(Y)qSi(R3)3−r(Z)r (II)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、R3はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーン系マクロマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
式(II)で表されるシリコーン系マクロマーにおいて、Xは重合可能な不飽和基である。重合可能な不飽和基の代表例としては、 CH2=CH- 基、 CH2=C(CH3)- 基等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。
Yは、2価の結合基である。2価の結合基の代表例としては、-COO- 基、-COOCaH2a- 基(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられる。これらの中では-COOC3H6- が好ましい。
R3は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基である。R3の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中では、メチル基が好ましい。
Zは、500以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基である。Zは、好ましくは数平均分子量500〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基である。
qは、0又は1であり、好ましくは1である。rは、1〜3の整数であり、好ましくは1である。
好適なシリコーン系マクロマーの例としては、式(III):
CH2=CR1-COOC3H6-[Si(R4)2-O]b-Si(R4)3 (III)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、bは5〜60の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマー、式(IV):
CH2=CR1-COO-[Si(R4)2-O]b-Si(R4)3 (IV)
(式中、R1、R4及びbは前記と同じ)
で表されるシリコーンマクロマー、式(V):
CH2=CR1-Ph-[Si(R4)2-O]b-Si(R4)3 (V)
(式中、Phはフェニレン基、R1、R4及びbは前記と同じ)
で表されるシリコーンマクロマー、式(VI):
CH2=CR1-COOC3H6-Si(OE)3 (VI)
〔式中、R1は前記と同じ。Eは式:-[Si(R1)2-O]c-Si(R1)3基(R1は前記と同じ。cは5〜65の数を示す)を示す〕
で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
CH2=CR1-COOC3H6-[Si(R4)2-O]b-Si(R4)3 (III)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、bは5〜60の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマー、式(IV):
CH2=CR1-COO-[Si(R4)2-O]b-Si(R4)3 (IV)
(式中、R1、R4及びbは前記と同じ)
で表されるシリコーンマクロマー、式(V):
CH2=CR1-Ph-[Si(R4)2-O]b-Si(R4)3 (V)
(式中、Phはフェニレン基、R1、R4及びbは前記と同じ)
で表されるシリコーンマクロマー、式(VI):
CH2=CR1-COOC3H6-Si(OE)3 (VI)
〔式中、R1は前記と同じ。Eは式:-[Si(R1)2-O]c-Si(R1)3基(R1は前記と同じ。cは5〜65の数を示す)を示す〕
で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
これらのシリコーンマクロマーの中では、式(III)で表されるシリコーンマクロマーがより好ましく、式(VII):
CH2=C(CH3)-COOC3H6-[Si(CH3)2-O]d-Si(CH3)3 (VII)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが特に好ましい。その商業的に入手しうるシリコーンマクロマーの例として、FM-0711 〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
CH2=C(CH3)-COOC3H6-[Si(CH3)2-O]d-Si(CH3)3 (VII)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが特に好ましい。その商業的に入手しうるシリコーンマクロマーの例として、FM-0711 〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
本発明に使用されるその他のマクロマーである、片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロマー等については、例えば、特開平13−247796号公報、国際公開第00/39226号パンフレットを参照のこと。
また、共重合可能なモノマーBとして使用されるマクロマーの1例としては、例えば、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールメタクリレート等が挙げられる。商業的に入手しうるものとしては、例えば、新中村化学(株)製のNKエステル M-20G, 40G, 90G, 230G, 日本油脂(株)製のブレンマーPEシリーズ、 PME-100, 200, 400, 1000等、日本油脂(株)製のブレンマーPP-1000, PP-500, PP-800, AP-150, AP-400, AP-550, AP-800, 50PEP-300, PE-350, 70PEP-350B, AEP シリーズ,30PPT-800, 50PPT-800, 70PPT-800, APTシリーズ,10PPB-500B, 10APB-500B, 50POEP-800B, 50AOEP-800B, ASEPシリーズ,PNEPシリーズ, PNPEシリーズ, 43ANEP-500, 70ANEP-550等が挙げられる。
なお、マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/L のドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
モノマー混合物における共重合可能なモノマーBの含有量は、印字濃度及び耐水性の向上の観点から、好ましくは20〜97重量%、より好ましくは40〜95重量%、さらに好ましくは60〜95重量%である。
また、特に、共重合可能なモノマーBとして芳香環含有モノマーについては、モノマー混合物における芳香環含有モノマーの含有量としては、耐水性、耐擦過性、インク粘度及び吐出安定性の向上の観点から、好ましくは0〜70重量%、より好ましくは1〜50重量%である。
共重合可能なモノマーBとしてマクロマーについては、モノマー混合物におけるマクロマーの含有量としては、耐水性及び耐擦過性の向上の観点から、好ましくは0〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
また、本発明の水不溶性ポリマーは、重合可能なその他のモノマー成分として前記以外のモノマー成分を含んでいてもよい。
本発明の水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、印字濃度と吐出安定性の向上の観点から、好ましくは3000〜300000、より好ましくは5000〜200000である。該ポリマーの重量平均分子量は、後述する製造例で説明する方法で測定される。
水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法に用いられる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。
極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
なお、重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、2, 2' −アゾビスイソブチロニトリル、2, 2' −アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2, 2' −アゾビスブチレート、2, 2' −アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1, 1' −アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が好適である。また、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を使用することもできる。
重合開始剤の量は、モノマー組成物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
なお、重合の際には、更に重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー、9, 10−ジヒドロアントラセン、1, 4−ジヒドロナフタレン、インデン、1, 4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2, 5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。これらの重合連鎖移動剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。重合時間は、好ましくは1〜20時間である。重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。得られた水不溶性ポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明の顔料インクに色材として好適に使用される、前記(3)水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る方法としては、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、顔料、水、中和剤及び所望により界面活性剤を加えて混練した後、所望により水で希釈し、有機溶媒を留去して水系にする方法が好ましい。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、それらの中では、親水性有機溶媒がより好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましい。
また、所望により、前記有機溶媒と、高沸点親水性有機溶媒とを併用してもよい。高沸点親水性有機溶媒としては、フェノキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
中和剤として、塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を使用することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
中和度には、特に限定がない。通常、得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、前記界面活性剤等が挙げられる。
かくして顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体が得られる。
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、ノズルの目詰まり防止及び分散安定性の向上の観点から、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.02〜0.3μm、更に好ましくは0.05〜0.2μmである。ポリマー粒子の平均粒径は、例えば、光散乱式粒度分布測定機ELS−8000〔大塚電子(株)製〕により測定することができる。
(3)水不溶性ポリマー粒子の水分散体に使用される顔料の量は、充分な印字濃度の確保及びポリマー粒子中への含有のさせやすさの観点から、水不溶性ポリマー固形分100重量部に対して、好ましくは20〜1200重量部、より好ましくは50〜900重量部である。
本発明に用いられる顔料インク中の顔料の含有量は、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは2〜6重量%である。
本発明に用いられる顔料インクにおける色材の含有量は、通常、印字濃度及び吐出安定性の向上の観点から、色材に含まれる固形分の量として、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜15重量%となるように調整することが望ましい。また、水の含有量は、好ましくは40〜90重量%である。
本発明に用いられる顔料インクには前記色材以外に、所望により、さらに水や、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を含有させることできる。顔料インクは、これらを適宜混合することにより製造することができる。
湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリセリンモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物等が挙げられる。顔料インク中における湿潤剤の量は、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。
分散剤として、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性系の分散剤を用いることができる。
その他、水、消泡剤、防黴剤、キレート剤等は、公知の任意のものが使用される。
かくして本発明の顔料インクが得られる。本発明の顔料インクは、前記構成を有することから、吐出性及び分散安定性に優れたものである。したがって、本発明の顔料インクは、インクジェット記録用水系インクとして好適に使用されうるものである。
また、本発明の顔料インクには色材として顔料が用いられていることから、該インクを用いれば、耐光性及び耐水性に優れた印字物を得ることができる。
更に、水不溶性ポリマーとして、芳香環含有モノマー及びマクロマーの少なくとも1種が用いられている場合には、本発明の水系インクによれば、耐水性及び耐擦過性により優れた印字物を得ることができる。
また、本発明の顔料インクは、高い疎水性を有するので、親水性表面をもつ紙への浸透が抑制され、顔料を紙表面に効果的に残留させることができるため、高い印字濃度を得ることができる。
〔製造例1及び2〕
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部と、表1に示す各モノマー及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)の重量部数の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を充分に行い、混合溶液を得た。
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部と、表1に示す各モノマー及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)の重量部数の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を充分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマー及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)の重量部数の90%を仕込み、メチルエチルケトン60重量部及び2, 2' −アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)1.2 重量部を入れて混合し、充分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、2, 2' −アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)0.3 重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105 ℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離し、標準物質としてポリスチレン、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。
〔実施例1〜2及び比較例1〕
製造例1及び2で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマーを、メチルエチルケトン45重量部に溶かし、その中に中和剤(20 %水酸化ナトリウム水溶液)を所定量加えて塩生成基を中和し、更にキナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:ファーストゲン・スーパー・マゼンタR 〕を加え、ビーズミルで2時間混練した。顔料、ポリマーの配合量を表2に示す。
製造例1及び2で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマーを、メチルエチルケトン45重量部に溶かし、その中に中和剤(20 %水酸化ナトリウム水溶液)を所定量加えて塩生成基を中和し、更にキナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:ファーストゲン・スーパー・マゼンタR 〕を加え、ビーズミルで2時間混練した。顔料、ポリマーの配合量を表2に示す。
得られた混練物に、イオン交換水80 重量部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体40重量部、グリセリン10重量部、2−ピロリドン5重量部、イソプロピルアルコール2重量部及びイオン交換水43重量部を混合し、得られた混合液を0.5 μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、水系インクを得た。
得られた水系インクの粘度上昇率(Δv)を以下の方法に基づいて求めた。その結果を表3に示す。
(粘度上昇率)
水系インク10重量部を、ロータリーエバポレーターで加熱減圧(60℃、0.08MPa)することにより、8.89重量部まで濃縮し、0.5 μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去して、その粘度(v1)を測定した。得られた粘度(v1)と、濃縮する以外は同様にして、別途、測定しておいた水系インクの粘度(v2)とから、以下の式により粘度上昇率を求めた。
水系インク10重量部を、ロータリーエバポレーターで加熱減圧(60℃、0.08MPa)することにより、8.89重量部まで濃縮し、0.5 μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去して、その粘度(v1)を測定した。得られた粘度(v1)と、濃縮する以外は同様にして、別途、測定しておいた水系インクの粘度(v2)とから、以下の式により粘度上昇率を求めた。
なお、粘度は、東機産業(株)製、RE80L型粘度計(ローター1)を用い、20℃で100r/minの条件で測定した。
次いで、得られた水系インクをインクジェットプリンターに適用し、高光沢度媒体への印字を実施し、得られた印字物の光沢度を以下の方法により評価した。
(光沢度)
プリンター(エプソン社製 EM-930C;S=50cm/秒。n=20μm)を用い、市販のPM写真用紙(エプソン社製;表面光沢度40)にベタ印字し、25℃で1時間放置後、光沢度を光沢計(日本電飾(株)製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG-1)で測定した。α値及び光沢度をそれぞれ表3に併せて示す。
プリンター(エプソン社製 EM-930C;S=50cm/秒。n=20μm)を用い、市販のPM写真用紙(エプソン社製;表面光沢度40)にベタ印字し、25℃で1時間放置後、光沢度を光沢計(日本電飾(株)製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG-1)で測定した。α値及び光沢度をそれぞれ表3に併せて示す。
表3の結果から、比較例1に比し実施例1及び2はいずれも光沢度に優れた印字物が得られたことが分かる。なお、比較例1でα値が2を超えた場合、印刷部の光沢度が、非印刷部の光沢度を大きく下回り、不自然な画像となった。また、実施例の水系インクは、いずれも、低粘度インクであり、吐出安定性に優れ、PM写真用紙に高印字濃度の、高い光沢を有する印字物が得られた。また、該インクは、耐光性、耐水性、耐擦過性、更には分散安定性にも優れたものであった。
本発明により、高光沢媒体に対する優れた印字物を安定に得ることができる、顔料インクを用いるインクジェット記録方法が提供される。
Claims (2)
- 顔料を含有するインクジェット記録用水系インクを用いて表面光沢度が30以上である高光沢媒体に記録するインクジェット記録方法であって、印字ヘッドのスピード(cm/秒)をS、ノズル径(μm)をn、該水系インクの初期の粘度上昇率(%)をΔvとした時、以下の一般式(1):
α=S×(1/n)×Δv (1)
で表されるα値が2以下であり、かつΔvが1%以下の条件下に印字する、インクジェット記録方法。 - 顔料を含有するインクジェット記録用水系インクが、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体からなる色剤を含有してなるものである、請求項1記載のインクジェット記録方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003277818A JP2005041114A (ja) | 2003-07-22 | 2003-07-22 | インクジェット記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003277818A JP2005041114A (ja) | 2003-07-22 | 2003-07-22 | インクジェット記録方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005041114A true JP2005041114A (ja) | 2005-02-17 |
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JP2003277818A Pending JP2005041114A (ja) | 2003-07-22 | 2003-07-22 | インクジェット記録方法 |
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JP (1) | JP2005041114A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011200763A (ja) * | 2010-03-24 | 2011-10-13 | Nisshin Steel Co Ltd | 活性エネルギー線硬化型インクジェットインキによって、樹脂皮膜でマスクされた金属板を製造する方法 |
-
2003
- 2003-07-22 JP JP2003277818A patent/JP2005041114A/ja active Pending
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