JP4312662B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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本発明は、インクジェット記録用水分散体、水系インク及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、広く用いられている。インクジェットプリンタに使用されるインクには、耐水性や耐光性を向上させるため、近年、顔料系インクが使用されている。
顔料系インクにおいては、印字濃度を向上させるためにポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー及びα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を含有するポリマーを添加すること(特許文献1)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー又はポリ(トリメチレングリコール)(メタ)アクリレートモノマーからなる高分子分散剤を添加すること(特許文献2)等が提案されている。
また、特許文献3では、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノマーを含むモノマー混合物を重合して得たビニルポリマーと顔料を含有させたインクジェット記録用水系インクが開示されている。この水系インクは、耐光性や高印字濃度等の点で優れているものである。
しかしながら、これらの従来技術では、印字品質として要求される光沢性が不十分である。
特開平6-306317号公報 特開2000-144031号公報 WO00/39226号公報
本発明は、構成要件の一つである、一般式(I)のモノマーを、他の特定のモノマーと組み合わせることにより、専用紙に適用したときに高光沢性が得られ、更に分散安定性、耐光性、耐水性、耐擦過性に優れるインクジェット記録用水系インク及びインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体であって、
水不溶性ビニルポリマーが、(A)一般式(I):
Figure 0004312662
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は水素原子が炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、mは65〜100の数を示す)
で表されるモノマー、
(B)塩生成基含有モノマー、並びに
(C)疎水性モノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなる水不溶性ビニルポリマーであり、
着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径が0.02〜0.50μmであるインクジェット記録用水分散体、及び前記水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供する。
更に、着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体であって、
水不溶性ビニルポリマーが、(A)一般式(I):
Figure 0004312662
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は水素原子が炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、mは30〜100の数を示す)
で表されるモノマー、
(B)塩生成基含有モノマー、並びに
(C)疎水性モノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなる水不溶性ビニルポリマーであり、
着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径が0.02〜0.50μmであるインクジェット記録用水分散体を含有する水系インクを、空隙型インク受容層を有する空隙型光沢媒体に用いる、インクジェット記録方法を提供する。
本発明のインクジェット記録用水系インクにおいて「水系」とは、インクに含有された溶媒中、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、水100%でも良いし、前記要件を満たすものであれば、水と1種又は2種以上の有機溶媒との混合物も含まれる。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、専用紙での印字の光沢が優れており、耐光性、耐水性、耐擦過性、更には分散安定性を付与しうるインクジェット記録用水系インクとして好適に使用することができる。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するものである。
着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子は、少なくとも着色剤と水不溶性ビニルポリマーにより粒子が形成されているものであれば粒子形態は特に制限されるものではなく、例えば、水不溶性ビニルポリマーに着色剤が内包された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーに着色剤が均一に分散された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーに着色剤が内包されているが、粒子表面に一部の着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
<着色剤>
着色剤としては、耐光性及び耐水性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれでもよく、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
有機顔料としては、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー 13, 74, 83, 109, 110, 128, 151, C.I. ピグメント・レッド 48, 57, 122, 184, 188, C.I.ピグメント・バイオレット 19, C.I. ピグメント・ブルー 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 16, C.I. ピグメント・グリーン 7, 36等が挙げられる。
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特にカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
疎水性染料は、水不溶性ビニルポリマー粒子中に含有させることができるものであればよく、その種類には特に制限がない。疎水性染料としては、油性染料、分散染料等が挙げられる。疎水性染料の溶解度は、水不溶性ビニルポリマー粒子に効率よく含有させる観点から、水分散体の製造時に疎水性染料を溶解させるために使用される有機溶媒に対して、2g/L以上が好ましく、20〜500g/Lがより好ましい。
油性染料は特に限定されるものではないが、C.I.ソルベント・ブラック3,7, 27, 29, 34;C.I.ソルベント・イエロー14, 16, 29, 30,56, 82;C.I.ソルベント・レッド1, 3,8, 18, 24, 27, 43, 49,51, 72, 73;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー2, 11, 70;C.I.ソルベント・グリーン3,7;C.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
商業的に入手しうる油性染料としては、Nubian Black PC-0850、Oil Black HBB 、Oil Black 860 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、OilRed 5B 、Oil Scarlet 308 、Vali Fast Blue 2606 、Oil Blue BOS〔以上、オリエント化学(株)製、商品名〕、Neopen Yellow 075 、Neopen Mazenta SE1378 、Neopen Blue808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238〔以上、BASF社製、商品名〕等が挙げられる。
分散染料は特に限定されるものではないが、好ましい例としては、C.I.ディスパーズ・イエロー5, 42, 54, 64, 79, 82, 83, 93, 99, 100, 119, 122, 124, 126, 160, 184:1, 186, 198, 199, 204, 224, 237;C.I.ディスパーズ・オレンジ13, 29, 31:1, 33, 49, 54, 55, 66, 73, 118, 119, 163;C.I.ディスパーズ・レッド54, 60, 72, 73, 86, 88, 91, 93, 111, 126, 127, 134, 135, 143, 145, 152, 153, 154, 159, 164, 167:1, 177, 181, 204, 206, 207, 221, 239, 240, 258, 277, 278, 283, 311, 323, 343, 348, 356, 362;C.I.ディスパーズ・バイオレット33;C.I.ディスパーズ・ブルー56, 60, 73, 87, 113, 128, 143, 148, 154, 158, 165, 165:1, 165:2, 176, 183, 185, 197, 198, 201, 214, 224, 225, 257, 266, 267, 287, 354, 358, 365, 368;C.I.ディスパーズ・グリーン6:1,9等が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
着色剤の含有量は、水不溶性ビニルポリマー粒子中に含有させやすくする観点から、水不溶性ビニルポリマー100質量部に対して、好ましくは20〜1200質量部、より好ましくは50〜900質量部、更に好ましくは100〜800質量部である。
<水不溶性ビニルポリマー>
水不溶性ビニルポリマーは、(A)一般式(I)で表されるモノマー〔モノマー(A)〕、(B)塩生成基含有モノマー〔モノマー(B)〕、及び(C)疎水性モノマー〔モノマー(C)〕を含有するモノマー混合物を重合させて得られる。なお、本発明の課題を解決できる範囲内で、モノマー(A)、(B)、(C)以外のモノマーを用いることもできる。
〔モノマー(A)〕
一般式(I)で表されるモノマー(A)を用いることにより、印刷画像の光沢に優れたインクジェット記録用水系インクを得ることができる。これは、モノマー(A)が有する親水性の高いオキシエチレン基の親水性水和層が、インクジェット記録用水系インクの中で広がることに基づくものと考えられる。
一般式(I)において、Rは水素原子又はメチル基であり、好ましくはメチル基である。Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は水素原子が炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。光沢性の観点から、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
mは、平均付加モル数であり、インクジェットプリンタ専用紙を使用した場合の光沢を高める観点から、mは30以上であり、65以上が好ましく、70以上が更に好ましく、80以上が最も好ましく、100以下が好ましい。
モノマー(A)としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,オクトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート,ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。商業的に入手しうるモノマー(A)の具体例としては、新中村化学(株)製のNKエステルM-230G, 日本油脂(株)のブレンマーPME-1000,4000,PSE-1300,共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステル041MA等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートの両方を意味する。以下においても同様である。
水不溶性ビニルポリマーを重合するに用いられる前記モノマー混合物におけるモノマー(A)の含有量は、インクジェットプリンタ専用紙を使用した場合の印字の光沢を高める観点から、好ましくは5〜45質量%、より好ましくは5〜35質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。
〔モノマー(B)〕
モノマー(B)である塩生成基含有モノマーとしては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが好ましい。アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー及び不飽和リン酸モノマー等から選ばれる1種以上が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーの中では、分散安定性を向上させる観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
カチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有ビニルモノマー及び不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーからなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
不飽和3級アミン含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアリールアミン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和アンモニウム塩含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
カチオン性モノマーの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
水不溶性ビニルポリマーを重合するに用いられる前記モノマー混合物におけるモノマー(B)の含有量は、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは7〜30質量%である。
〔モノマー(C)〕
モノマー(C)である疎水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、芳香環含有モノマー、マクロマー等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。モノマー(C)には、耐水性及び耐擦過性を向上させる観点から、芳香環含有モノマー及びマクロマーからなる群より選ばれた1種以上が含有されていることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合にはノルマルを示す。
芳香環含有モノマーは、耐水性の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。これらの中では炭素数6〜22の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル系モノマーが好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレン等のからなる群より選ばれた1種以上が、耐水性及び耐擦過性を向上させる観点からより好ましい。
マクロマーの代表例としては、片末端に重合性官能基を有し、数平均分子量が、好ましくは500〜500,000、より好ましくは1,000〜10,000であるマクロマーが挙げられる。
マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。これらの中では、水不溶性ビニルポリマーに着色剤を十分に含有させる観点から、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有するスチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
片末端に重合性官能基を有するスチレンと他のモノマーとの共重合体において、他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。また、共重合体中のスチレンの含有量(原料基準)は、顔料が十分に水不溶性ビニルポリマーに含有させる観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、東亜合成(株)製のAS-6, AS-6S, AN-6, AN-6S, HS-6S, HS-6等が挙げられる。
シリコーンマクロマーの中では、一般式(V):
X(Y)Si(R3−r(Z) (V)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、Rはそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
一般式(V)で表されるシリコーンマクロマーにおいて、Xは重合可能な不飽和基であるが、その代表例としては、CH=CH−、CH=C(CH3)−等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。
Yは、2価の結合基であるが、その代表例としては、−COO−、−COO(CH−(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられる。これらの中では−COOCH−が好ましい。
は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基であるが、その具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基;メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中では、メチル基が好ましい。
Zは、好ましくは500以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基であるが、好ましいZとしては、数平均分子量500〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基が挙げられる。
qは0又は1であるが、好ましくは1である。rは1〜3の整数であるが、より好ましくは1である。
シリコーンマクロマーの代表例としては、下記の一般式(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
CH=CR−COOCH−[Si(R)−O]−Si(R) (VI)
CH=CR−COO−[Si(R)−O]−Si(R) (VII)
CH=CR−Ph−[Si(R)−O]−Si(R) (VIII)
CH=CR−COOCH−Si(OE) (IX)
〔式中の各記号の意味は次のとおり;
:水素原子又はメチル基
:それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基
b:5〜60の数
Ph:フェニレン基
E:−〔Si(R)20−Si(R)基(Rは前記と同じ。cは5〜65の数を示す)〕
これらの中では、一般式(VI)で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、特に次の一般式(X):
CH=C(CH)−COOCH−〔Si(CH)−O〕−Si(CH) (X)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。その具体例として、FM-0711〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
なお、マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/L のドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
水不溶性ビニルポリマーを重合するに用いられる前記モノマー混合物におけるモノマー(B)の含有量は、耐水性を向上させる観点から、好ましくは15〜87質量%、より好ましくは35〜85質量%、更に好ましくは40〜83質量%である。
モノマー(C)として芳香環含有モノマーを使用する場合、モノマー(C)における芳香環含有モノマーの含有量は、耐水性、耐擦過性、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは1〜100質量%、より好ましくは5〜90質量%、更に好ましくは10〜80質量%である。
モノマー(C)としてマクロマーを使用する場合、モノマー(C)におけるマクロマーの含有量は、耐水性及び耐擦過性を向上させる観点から、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは2〜60質量%、更に好ましくは5〜40質量%である。
〔水不溶性ビニルポリマーの製造方法〕
水不溶性ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー組成物を重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。
極性有機溶媒としては、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
なお、重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が好適である。また、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を使用することもできる。
重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
なお、重合の際には、更に重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。これらの重合連鎖移動剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なる。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成した水不溶性ビニルポリマーを単離することができる。また、得られた水不溶性ビニルポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
塩生成基の種類に応じて、塩生成基を水酸化ナトリウム又は酢酸で、100%中和させた後の水不溶性ビニルポリマーの25℃での水に対する溶解度は、インクジェット記録用水系インクの分散安定性を向上させる観点から10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量(後述する製造例に記載の方法で測定)は、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜200,000である。
<着色剤を含む水不溶性ビニルポリマーの水分散体及び水系インク>
着色剤として疎水性染料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体は、公知の乳化法によって製造することができる。例えば、水不溶性ビニルポリマー及び疎水性染料を有機溶媒に溶解させ、必要に応じて中和剤を加えて水不溶性ビニルポリマー中の塩生成基をイオン化し、これに水を添加した後、必要に応じて分散機又は超音波乳化機を用いて分散を行い、その後、有機溶媒を留去して水系に転相することによって得ることができる。
着色剤として顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を得る方法としては、水不溶性ビニルポリマーを有機溶媒に溶解させ、顔料、水、中和剤及び必要に応じて界面活性剤を加えて混練した後、必要に応じて水で希釈し、有機溶媒を留去して水系にする方法が好ましい。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、これらの中の親水性有機溶媒がより好ましい。
アルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましい。
また、必要により、有機溶媒と、高沸点親水性有機溶媒とを併用してもよい。高沸点親水性有機溶媒としては、フェノキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
中和剤として、塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を使用することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
中和度には特に限定がなく、通常、得られる水分散体の液性が中性付近、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。
本発明の水分散体中及び水系インク中、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径は、光沢向上効果をより高める観点から、好ましくは0.02〜0.50μm、より好ましくは0.02〜0.30μm、特に好ましくは0.05〜0.20μmである。平均粒径は、実施例に示す「保存前の平均粒径」に相当し、実施例に示す方法で測定される。
インクジェット記録用水分散体及び水系インクにおける着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の含有量(固形分)は、分散安定性が良好なインクジェット記録用水系インクを得る観点から、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは2〜15質量%となるように調整することが望ましい。
本発明のインクジェット記録用水分散体に、必要に応じて、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を含有させ、水系インクとすることできる。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリセリンモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物を使用することができる。インクジェット記録用水系インク中における湿潤剤の量は、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%である。
分散剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性系の分散剤等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用水分散体及び水系インク中、水の含有量は、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%が更に好ましい。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、モノマー(A)中のオキシエチレン基による親水性水和層の働きにより、光沢及び分散安定性が優れているものと考えられる。
本発明のインクジェット記録用水系インクの着色剤として、顔料又は疎水性染料を用いた場合には、耐光性及び耐水性が優れた印字物を得ることができる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記したインクジェット記録用水系インクと、記録媒体としての空隙型インク受容層を有する空隙型光沢媒体を用い、インクジェット記録方式を適用して行うことが好ましい。
本発明で用いる記録媒体は、インクジェット記録方式に適用できるものであり、紙、プラスチック、及びそれらの複合物等を含む、空隙型インク受容層を有する空隙型光沢媒体である。
ここで空隙型インク受容層は、アルミナ、シリカ等の多孔質無機粒子と水溶性樹脂(バインダー)から構成された空隙型インク受容層を有するものであり、このような空隙型インク受容層を有する空隙型光沢媒体は公知のものであり、例えば、「インクジェットプリンターの応用と材料」((株)シーエムシー)のp174〜p181に記載されている。
本発明で用いる記録媒体は、表面が鏡面光沢で60°光沢度が好ましくは40以下、より好ましくは38以下、更に好ましくは35以下、好ましくは10以上の空隙型光沢媒体であることが望ましい。ここで光沢度は、光沢計(日本電飾(株)製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG-1)により測定される値である。
本発明で用いる記録媒体の商業的に入手しうる具体例としては、エプソン株式会社製のMC光沢紙、ヒューレットパッカード社製プレミアムプラスフォト用紙(つや消し)、キャノン株式会社製GP−301等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録用水系インクと、インク受容層を有する空隙型光沢媒体との組み合わせにより、本発明の効果が特に発揮されることを見出したものである。
製造例1、2及び比較製造例1、2
反応容器内に、メチルエチルケトン20質量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03質量部、及び表1に示す各モノマー(質量部表示)のうちのそれぞれ10質量%ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロート中に、表1に示す各モノマー(質量部表示)のうちの残りの90質量%ずつを仕込み、次いで重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27質量部、メチルエチルケトン60質量部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2質量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その混合溶液の液温を65℃で2時間維持した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3質量部をメチルエチルケトン5質量部に溶解した溶液を該混合溶液に加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離した。標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。
なお、表1に示す各化合物の詳細は、以下のとおりである;
・メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(m=23):新中村化学(株)製、商品名:NKエステルM-230G 、一般式(I)において、mが23、R及びRがメチル基である;
・メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(m=30):共栄社化学(株)製、商品名:ライトエステル041MA、一般式(I)において、mが30、R及びRがメチル基である;
・メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(m=90):日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPME−4000,一般式(I)において、mが90、R及びRがメチル基である;
・スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS-6S(スチレンマクロマー)、数平均分子量:6000 、重合性官能基:メタクロイルオキシ基。
Figure 0004312662
実施例1、2及び比較例1、2
製造例1、2及び比較製造例1、2で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー12.5質量部をメチルエチルケトン45質量部に溶かし、その中に中和剤(20%水酸化ナトリウム水溶液)を所定量加えて塩生成基を中和し、更にフタロシアニン顔料〔C.I.ピグメント・ブルー15:3、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:Fastogen Blue TGR-SD〕12.5質量部を加え、ビーズミルで2時間混練した。
得られた混練物に、イオン交換水120 質量部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、固形分濃度が20質量%の顔料含有水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。得られた水分散体の平均粒径を後述する方法により測定した。結果を表1に記載する。
得られた水分散体を用いてインクジェット記録用水系インクを調製した。インク組成を以下に示す;
水分散体 30質量%
グリセリン 10質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 7質量%
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 1質量部
Ploxel XL2(S) 0.08質量%
イオン交換水 51.92質量%
これらの各成分を混合して得られた混合液を0.5μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mlの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、表2に示す組成のインクジェット記録用水系インクを得た。
次に、得られたインクジェット記録用水系インクの物性を、下記方法に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
(1)光沢
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製,型番EM900C)を用い、専用紙として市販のMC光沢紙(60°光沢度が18)を用いてこれにベタ印字し、25℃で1時間放置後、光沢(60°)を光沢計(日本電飾(株)製、商品名:HANDY GLOSSMETER,品番:PG-1)で測定(20℃)した。
専用紙として光沢紙に印字した際に、光沢度が38以上、特に40以上では、優れた光沢性のある印字物が得られる。
(2)耐光性
市販のコピー用紙にベタ印字したベタ印字物に、キセノンフェードメーター(ATLAS 社製、商品名)で10000 カウント照射し続けた後、再びマクベス濃度計RD914 で照射前における測定と同じ印字箇所の印字濃度を測定した。照射前の印字濃度に対する照射後の印字濃度の残存率を次式:
残存率(%)=(〔照射後の印字濃度〕/〔照射前の印字濃度〕)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐光性を評価した。
〔評価基準〕
◎:残存率が95%以上。
○:残存率が80%以上95%未満。
△:残存率が60%以上80%未満。
×:残存率が60%未満。
(3)耐水性
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の印字濃度を測定後、静水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃で24時間自然乾燥させた後、浸漬前と同じ箇所の印字濃度を測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を次式:
残存率(%)=(〔浸漬後の印字濃度〕/〔浸漬前の印字濃度〕)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
〔評価基準〕
◎:残存率が95%以上。
○:残存率が80%以上95%未満。
△:残存率が60%以上80%未満。
×:残存率が60%未満。
(4)耐擦過性
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で24時間乾燥させた後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:印字は全くとれない。
○:ほとんど印字はとれず、周りが汚れない。
△:少し印字が擦りとられ、周りが少し汚れ、指も少し汚れる。
×:かなり印字が擦りとられ、周りがかなりひどく汚れ、指も相当汚れる。
(5)平均粒径及び分散安定性
大塚電子(株)製、レーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント法)を用い、インクに含まれている着色剤を含有するポリマー粒子の平均粒径(以下、「保存前の平均粒径」という)を測定した。インクを密閉容器に入れ、60℃の恒温槽に1ヵ月保存後、同様の方法にて平均粒径(以下、「保存後の平均粒径」という)を測定した。分散安定性の指標として、分散安定度を次式:
分散安定度(%)=(〔保存後の平均粒径〕/〔保存前の平均粒径〕)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:分散安定度が95%以上105%未満。
○:分散安定度が90%以上95%未満、又は105%以上110%未満。
△:分散安定度が70%以上90%未満、又は110%以上130%未満。
×:分散安定度が70%未満又は130%以上。
Figure 0004312662
表2に示された結果から、各実施例で得られたインクジェット記録用水系インクは、いずれも、専用紙を使用した場合に高い光沢の印字が得られ、分散安定性耐光性、耐水性、耐擦過性にも優れたものであることがわかる。

Claims (7)

  1. 着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体であって、
    水不溶性ビニルポリマー〔ブロックイソシアネートの反応により形成されている架橋構造、及びポリマー分子内に、架橋構造を構成する結合を形成しうる基を有するモノマーを用いて、これを他のモノマーとの共重合あるいは縮合(あとからペンダント基として導入してもよい)により導入しておき、これを架橋性化合物と接触させ、形成する架橋構造を有するものを除く〕が、(A)一般式(I):
    Figure 0004312662
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は水素原子が炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、mは65〜100の数を示す)
    で表されるモノマー、
    (B)塩生成基含有モノマー、並びに
    (C)疎水性モノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなる重量平均分子量が3,000〜300,000の水不溶性ビニルポリマーであり
    着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径が0.02〜0.50μmであるインクジェット記録用水分散体。
  2. モノマー混合物中、(A)一般式(I)で表されるモノマーが5〜45質量%であり、(B)塩生成基含有モノマーが3〜40質量%であり、(C)疎水性モノマーが15〜87質量%である、請求項1記載のインクジェット記録用水分散体。
  3. 着色剤が、顔料又は疎水性染料である請求項1又は2記載のインクジェット記録用水分散体。
  4. (C)疎水性モノマーが、芳香環含有モノマー及びマクロマーから選ばれる1種以上を含む請求項1〜3いずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  5. 芳香環含有モノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンから選ばれる1種以上である請求項4記載のインクジェット記録用水分散体。
  6. マクロマーが、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーである請求項4記載のインクジェット記録用水分散体。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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