JP4526788B2 - 水系インク - Google Patents

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本発明は、インクジェット記録用水系インク等として好適に使用しうる、水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、近年広く用いられている。インクジェットプリンタに使用されるインクには、耐水性や耐光性を向上させるため、近年、顔料系インクが使用されている。
しかしながら、顔料系インクは、表面が粗い普通紙では浸透し易いため、印字濃度が十分でないことがある。また、印字濃度を向上させるために、インクにおける顔料の含有量を増大させるとインク粘度が高くなり、インクの吐出安定性が低下することにつながる。
顔料分散剤或いは水性記録液として、特定の水酸基価又は特定の酸基を有する共重合体からなる顔料分散剤(例えば、特許文献1参照)、や特定のC.I.No.のイエロー顔料と、特定酸価のカルボキシ基及び特定水酸基価のヒドロキシ基を有する有機高分子化合物で顔料を被覆した着色微粒子を含むインクジェットプリンター用水性記録液(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
しかしながら、顔料分散剤の酸価及び水酸基価のみを特定しても分散安定性及び耐乾燥性に優れる水系インクとする事はできない。更にインクジェット記録用として高い吐出安定性及び普通紙において高い印字濃度を発現することができない。
特公平7−103289号公報 特開平11−209672号公報
本発明の課題は、分散安定性及び耐乾燥性に優れ、更に吐出安定性が良好で、普通紙に高い印字濃度を付与しうるインクジェット記録用水系インクを提供することである。
本発明は、着色剤を含有し、酸価が30〜150KOHmg/g、水酸基価が2〜200KOHmg/gである、カルボキシ基及びヒドロキシ基を有する水不溶性ビニルポリマー(以下、水不溶性ビニルポリマーという)の水分散体と、水酸基価が200〜2000KOHmg/gである、炭素数5〜15の多価アルコール(以下、多価アルコールという)とを含有する水系インクを提供する。
本発明の水系インクは、特定範囲の酸価及び水酸基価を示す水不溶性ビニルポリマーのカルボキシ基とヒドロキシ基が、特定の多価アルコールのヒドロキシ基との間で親和性が高まる事により、耐乾燥性、吐出安定性及び印字濃度に優れたものである。従って、本発明の水系インクは、インクジェット記録用水系インクとして好適に使用しうるものである。
[水不溶性ビニルポリマー]
本発明のカルボキシ基及びヒドロキシ基を有する水不溶性ビニルポリマーは、カルボキシ基を有する重合性モノマー及びヒドロキシ基を有する重合性モノマーを含むモノマー混合物(以下、モノマー混合物という)を共重合することにより、製造することができる。
水不溶性ビニルポリマーの数平均分子量は、高い印字濃度と優れた吐出安定性の観点から、好ましくは8000〜20000、より好ましくは9000〜18000である。ビニルポリマーの数平均分子量がこの範囲内であれば、吐出性がよく、高い印字濃度が得られるため好ましい。水不溶性ビニルポリマーの数平均分子量は、標準物質としてポリスチレン、溶媒として50mmol/LのLiBrを含有するジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定できる。
カルボキシ基を有する重合性モノマーとしては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸が好ましく挙げられ、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシメチルコハク酸等が例示される。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書でいう「(メタ)アクリ」とは、「アクリ」又は「メタクリ」を意味する。
カルボキシ基を有する重合性モノマーの中では、良好な分散安定性及び高い印字濃度の観点から、(メタ)アクリル酸がより好ましい。モノマー混合物中のカルボキシ基を有するモノマーの含有量は、高い印字濃度を達成する観点から、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%である。
カルボキシ基の中和剤としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基が挙げられる。中和剤の添加量は、分散安定性の観点から、pHが7.5〜10.0となるように調整する量が好ましく、pH8.0〜9.5に調整するのがより好ましい。
水系インクとして必要な中和度に応じて、カルボキシ基を中和させた後のビニルポリマーの25℃での水に対する溶解度は、水系インクの低粘度化の観点から15重量%以下が好ましく、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましい。
水不溶性ビニルポリマーのカルボキシ基に基づく酸価は、優れた分散安定性と高い印字濃度を達成する観点から30〜150KOHmg/g、好ましくは40〜140KOHmg/gである。酸価が30KOHmg/g以上である場合は、分散安定性が高く、また、酸価が150KOHmg/g以下の場合は、高い印字濃度となる。尚、本発明における酸価は、ポリマー固形物1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg量で表す。
ヒドロキシ基を有する重合性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する、好ましくは炭素数2〜8のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(エチレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等の末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン(繰り返し単位数が好ましくは1〜30、より好ましくは2〜15のポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン又はポリオキシエチレン・ポリオキシテトラメチレンであって、オキシエチレンとオキシプロピレン又はオキシテトラメチレンは、ブロック結合であってもランダム結合であってもよい)グリコール(メタ)アクリレート;エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)アリルエーテル等の末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン(繰り返し単位数が、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜15のポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン又はポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンであって、オキシエチレン又はオキシプロピレンは、ブロック結合であってもランダム結合であってもよい)グリコールモノアリルエーテル等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する重合性モノマーの中では、耐乾燥性及び印字濃度の観点から、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリエチレン(好ましくは繰り返し単位数が2〜30である)グリコールモノ(メタ)アクリレート、及びヒドロキシポリプロピレン(好ましくは繰り返し単位数が2〜30である)グリコールモノ(メタ)アクリレートがより好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。モノマー混合物中のヒドロキシ基を有するモノマーの含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%である。
水不溶性ビニルポリマーの水酸基価は、乾燥性を抑制する効果と高い印字濃度の観点から2〜200KOHmg/g、好ましくは5〜180KOHmg/gである。水酸基価が2KOHmg/g以上の場合は、乾燥性が抑制でき、また、水酸基価が200KOHmg/g以下の場合は、高い印字濃度となる。水酸基価は、ポリマー固形物1gが水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg量で表す。
モノマー混合物は、上記カルボキシ基を有するモノマー及びヒドロキシ基を有するモノマー以外に、マクロモノマーを含有することが好ましい。マクロモノマーの代表例としては、片末端に重合性官能基を有し、好ましくは数平均分子量が500〜50000、より好ましくは1000〜10000であるマクロモノマーが挙げられる。
なお、マクロモノマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
マクロモノマーの具体例としては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中では、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロモノマーが好ましく、ビニルポリマーに着色剤を十分に含有させる観点から、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマーが更に好ましい。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体において、他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。また、片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体において、そのスチレンの割合は、顔料が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマーの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するスチレン系マクロモノマーが好ましい。商業的に入手しうるスチレン系マクロモノマーとしては、例えば、東亜合成(株)製のAS−6,AS−6S,AN−6,AN−6S,HS−6S,HS−6等が挙げられる。
また、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロモノマーとしては、式(I)で表されるシリコーン系マクロモノマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
X(Y)qSi(R13-r(Z)r (I)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、R1はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す。)
式(I)で表されるシリコーン系マクロモノマーにおいて、Xで示される重合可能な不飽和基の代表例としては、CH2=CH−基、CH2=C(CH3)−基等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。Yで示される2価の結合基の代表例としては、−COO−基、−COOCaH2a−基(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられる。これらの中では−COOC3H6−が好ましい。R1の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中では、メチル基が好ましい。Zは、好ましくは数平均分子量500〜5000の1価のジメチルシロキサンポリマーの残基である。qは、好ましくは1である。rは、好ましくは1である。
更に好適なシリコーン系マクロモノマーの例としては、式(II)、(III)、(IV)又は(V)で表されるマクロモノマー等が挙げられる。
CH2=CR2-COOC3H6-[Si(R3)2-O]b-Si(R3)3 (II)
(式中、R2は水素原子又はメチル基、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、bは5〜60の数を示す。)
CH2=CR2-COO-[Si(R3)2-O]b-Si(R3)3 (III)
(式中、R2、R3及びbは前記と同じ。)
CH2=CR2-Ph-[Si(R3)2-O]b-Si(R3)3 (IV)
(式中、Phはフェニレン基、R2、R3及びbは前記と同じ。)
CH2=CR2-COOC3H6-Si(OE)3 (V)
〔式中、R2は前記と同じ。Eは式:-[Si(R3)2-O]c-Si(R3)3基(R3は前記と同じで、cは5〜65の数)を示す。〕
これらのシリコーンマクロモノマーの中では、式(II)で表されるシリコーンマクロモノマーがより好ましく、式(VI):
CH2=C(CH3)-COOC3H6-[Si(CH3)2-O]d-Si(CH3)3 (VI)
(式中、dは8〜40の数を示す。)
で表されるシリコーンマクロモノマーが特に好ましい。その商業的に入手しうるシリコーンマクロモノマーの例として、FM−0711〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
モノマー混合物中のマクロモノマーの含有量は、顔料ヘの吸着性の観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜25重量%が更に好ましい。
本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーは、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ基を有する重合性モノマー、及びマクロモノマーを含有するモノマー混合物を重合して得られるポリマーが好ましい。
特に、マクロモノマーとしてスチレン系マクロモノマーを用いる場合には、その水系インクは、耐乾燥性及び吐出安定性により、特に優れた印字物を得ることができる。
モノマー混合物には、共重合可能なモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香環含有モノマーを用いることが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
芳香環含有モノマーとしては、スチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
モノマー混合物における(メタ)アクリル酸エステル及び芳香環含有モノマーの含有量は、優れた分散安定性の観点から、好ましくは10〜87重量%、より好ましくは25〜75重量%である。
水不溶性ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法に用いられる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
なお、重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が好適である。また、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を使用することもできる。重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
なお、重合の際には、更に重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。これらの重合連鎖移動剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。重合時間は、好ましくは1〜20時間である。重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
水不溶性ビニルポリマーは、重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、単離することができる。得られたビニルポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
[着色剤]
本発明に用いられる着色剤としては、耐光性及び耐水性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらに体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー 13, 74, 83, 109, 110, 128, 151、C.I. ピグメント・レッド 48, 57, 122, 184, 188、C.I.ピグメント・バイオレット 19、C.I. ピグメント・ブルー 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:4, 16、C.I. ピグメント・グリーン 7, 36等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
疎水性染料は、ポリマー粒子中に含有させることができるものであればよく、その種類には特に制限がない。疎水性染料の例としては、油性染料、分散染料等が挙げられる。疎水性染料の溶解度は、ポリマー粒子に効率よく含有させる観点から、水分散体の製造時に疎水性染料を溶解させるために使用される有機溶媒に対して、2g/L以上が好ましく、20〜500g/Lがより好ましい。
油性染料としては、特に限定されるものではないが、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3, 7, 27, 29, 34;C.I.ソルベント・イエロー 14, 16, 29, 56, 82;C.I.ソルベント・レッド 1, 3, 8, 18, 24, 27, 43, 51, 72, 73;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2, 11, 70;C.I.ソルベント・グリーン 3, 7;C.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
分散染料としては、特に限定されるものではないが、好ましい例としては、C.I.ディスパーズ・イエロー 5, 42, 54, 64, 79, 82, 83, 93, 99, 100, 119, 122, 124, 126, 160, 184:1, 186, 198, 199, 204, 224, 237 ;C.I.ディスパーズ・オレンジ 13, 29, 31:1, 33, 49, 54, 55, 66, 73, 118, 119, 163 ;C.I.ディスパーズ・レッド 54, 60, 72, 73, 86, 88, 91, 93, 111, 126, 127, 134, 135, 143, 145, 152, 153, 154, 159, 164, 167:1, 177, 181, 204, 206, 207, 221, 239, 240, 258, 277, 278, 283, 311, 323, 343, 348, 356, 362 ;C.I.ディスパーズ・バイオレット 33;C.I.ディスパーズ・ブルー 56, 60, 73, 87, 113, 128, 143, 148, 154, 158, 165, 165:1, 165:2, 176, 183, 185, 197, 198, 201, 214, 224, 225, 257, 266, 267, 287, 354, 358, 365, 368;C.I.ディスパーズ・グリーン 6:1,9等が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
商業的に入手しうる油性染料としては、例えば、Nubian Black PC-0850、Oil Black HBB、Oil Black 860、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS〔以上、オリエント化学(株)製、商品名〕、Neopen Yellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238〔以上、BASF社製、商品名〕等が挙げられる。
着色剤の量は、印字濃度及びポリマー粒子中に含有させやすさの観点から、水不溶性ビニルポリマーの樹脂固形分100重量部に対して、好ましくは20〜1200重量部、より好ましくは50〜900重量部である。
[着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体]
着色剤として疎水性染料を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体は、公知の乳化法によって製造することができる。より具体的には、水不溶性ビニルポリマー及び疎水性染料を有機溶媒に溶解させ、必要に応じて中和剤を加えてポリマー中の塩生成基をイオン化し、これに水を添加した後、必要に応じて分散機又は超音波乳化機を用いて分散を行ない、有機溶媒を留去して水系に転相することによって水分散体を得ることができる。
また、着色剤として顔料を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体を得る方法としては、水不溶性ビニルポリマーを有機溶媒に溶解させ、顔料、水、中和剤及び必要に応じて界面活性剤を加えて混練した後、必要に応じて水で希釈し、有機溶媒を留去して水系にする方法が好ましい。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、それらの中では、親水性有機溶媒がより好ましい。アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましい。
また、必要により、前記有機溶媒と、高沸点親水性有機溶媒とを併用してもよい。高沸点親水性有機溶媒としては、フェノキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体中のポリマー粒子の平均粒径は、ノズルの目詰まり防止及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.50μm、より好ましくは0.02〜0.30μm、更に好ましくは0.05〜0.20μmである。
着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体には、界面活性剤として、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤を用いることができる。
[多価アルコール]
本発明に用いられる多価アルコールの水酸基価は、耐乾燥性及び吐出安定性に優れ、高い印字濃度の観点から、200〜2000KOHmg/gであり、好ましくは300〜1800KOHmg/gであり、より好ましくは、500〜1500KOHmg/gである。水酸基価が200KOHmg/g以上の場合は、吐出性が安定となり、また、水酸基価が2000KOHmg/g以下の場合は、印字濃度が高くなる。多価アルコールの水酸基価は、多価アルコール1gの水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg量で表す。
多価アルコールは、耐乾燥性に優れること及び高い印字濃度の観点から、炭素数5〜15の多価アルコールであり、ジオールが好ましい。炭素数が5以上の場合は、親水性が強すぎず、印字濃度が高くなり、また、炭素数が15以下の場合には、疎水性が強すぎず、吐出性が安定となる。
炭素数5〜15の多価アルコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、ポリプロピレングリコール(平均分子量700〜2000、ジオールタイプ)等のジオールが挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
多価アルコールは、水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)が−0.5〜3.0であることが吐出安定性と印字濃度の観点から好ましく、0.0〜2.5がより好ましい。なお、水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)は、ACD/ChemSketchソフト((株)エルエイシステムズ製)により求めることができる。水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)が−0.5以上の場合は、親水性が強すぎず、印字濃度が高くなり、また、水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)が3.0以下の場合には、疎水性が強すぎず、吐出性が安定となる。
水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)が−0.5〜3.0の範囲内にある多価アルコールとしては、トリプロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール等が挙げられる。
多価アルコールは、20℃の水に対する溶解度が0.1〜15重量%であることが吐出安定性及び印字濃度に優れる観点から好ましい。より好ましくは溶解度1〜10重量%である。
20℃の水に対する溶解度が0.1〜15重量%の範囲内にある多価アルコールとしては、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、ポリプロピレングリコール(平均分子量700〜1200、ジオールタイプ)等が挙げられる。
[水系インク]
本発明の水系インクは、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体を構成する特定の酸価及び水酸基価を有する水不溶性ビニルポリマーのカルボキシ基及びヒドロキシ基と、特定の水酸基価を有する多価アルコールのヒドロキシ基との間の親和性により、耐乾燥性及び吐出安定性に優れ、高い印字濃度のインクジェット記録用水系インクとなる。特に、紙表面が粗く、インクの浸透性が早い普通紙に対して、高い印字濃度を与えることができる。
原理は明らかではないが、比較的疎水的な多価アルコールと、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの微粒子の相互作用により、紙の表面に残り易く、高い印字濃度が発現していると考えられる。グリセリンのような湿潤剤は、耐乾燥性に優れるが、含有する量が多いと、粘度が上昇して、吐出性に劣る傾向がある。
本発明の水系インク中、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体と多価アルコールとの配合割合は、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体の固形分100重量部に対して、多価アルコールが30〜300重量部が好ましく、40〜200重量部が更に好ましい。
本発明の水系インク中、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体の含有量は、水分散体の固形分換算で、通常、高い印字濃度及び優れた吐出安定性の観点から、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%である。また、本発明の水系インク中の多価アルコールの含有量は、耐乾燥性及び印字濃度の観点から、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは3〜25重量%である。本発明の水系インク中の水の含有量は、50〜80重量%が好ましい。
本発明の水系インク中には、更に必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を含有させることできる。
例中の「部」及び「%」は、特記しない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」である。
合成例及び比較合成例
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.2部、及び表1に示す各モノマーの部数の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示す各モノマーの部数の90%を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27部、メチルエチルケトン60部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液A及びBを得た。
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離し、標準物質としてポリスチレン、溶媒として50mmol/LのLiBrを含有するジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより数平均分子量を測定した。また、酸価を、ポリマー固形物1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg量により測定し、水酸基価を、ポリマー固形物1gが水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg量により測定した。その結果を表1に示す。
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:新中村化学(株)製、商品名:NKエステルM−40G
・ヒドロキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート:日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPP−500
・スチレンマクロモノマー:東亜合成(株)製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
Figure 0004526788
実施例1〜4及び比較例1〜2
ポリマー溶液A及びBから減圧乾燥させて得られた各ポリマー5部を、メチルエチルケトン45部に溶かし、その中に中和剤(16.9%水酸化ナトリウム水溶液)を所定量加えて塩生成基を中和し、更にジメチルキナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド 122、大日精化工業(株)製〕15部を加え、混練機で所定の粒径まで分散して、混練物を得た。得られた混練物に、イオン交換水100部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去したのち、5μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、水分散体を得た(固形分として25%)。得られた水分散体に、表2のインク成分を加え、水系インクを得た。
多価アルコールの水酸基価は、多価アルコール1gが水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg量として測定した。
次に、得られた水系インクの物性を下記方法に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
(1) 耐乾燥性
レーザー粒子解析システム〔大塚電子(株)製、ELS−8000〕を用い、インクに含まれている着色剤を含有するポリマー粒子の平均粒径(以下、保存前の平均粒径という)を測定した。40℃に調整した減圧乾燥機〔ヤマト科学(株)製、DP33〕で、水系インク3gを、内径37mmのプラスチック製の軟膏容器に入れ、蓋をせずに12時間乾燥した後、同様の方法にて平均粒径(以下、保存後の平均粒径という)を測定した。
耐乾燥性の指標として、耐乾燥度を下記式に従って求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
耐乾燥度(%)=[保存後の平均粒径/保存前の平均粒径]×100
<評価基準>
◎:耐乾燥度が150%未満
○:耐乾燥度が150%以上200%未満
△:耐乾燥度が200%以上300%未満
×:耐乾燥度が300%以上
尚、耐乾燥性が優れる、即ち耐乾燥性が○〜◎(耐乾燥度が200%未満)であるインクは、水がある程度蒸発してもポリマー粒子が凝集しにくいことを示している。従って、分散安定性にも優れることになる。
(2) 吐出性
セイコーエプソン(株)製のインクジェットプリンター(型番:EM−930C)を用い、インクの吐出性を以下の評価基準で評価した。
<評価基準>
○:全ノズルで吐出良好
△:一部のノズルで吐出不良あり
×:吐出不良
(3) 印字濃度
前記プリンターを用い、普通紙(ゼロックス社製、コピー用紙4024)にベタ印字し、25℃で1日放置後、印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、品番:RD914)で測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
◎:印字濃度が1.2以上
○:印字濃度が1.1以上1.2未満
△:印字濃度が1.0以上1.1未満
×:印字濃度が1.0未満
なお、表2に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・テトラエチレングリコール:和光純薬工業(株)製、試薬、炭素数8のジオール、水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)=−0.90、20℃における水に対する溶解度=∞
・1,6−ヘキサンジオール:和光純薬工業(株)製、試薬、炭素数6のジオール、水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)=−0.11、20℃における水に対する溶解度=∞
・1,8−オクタンジオール:和光純薬工業(株)製、試薬、炭素数8のジオール、水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)=0.66、20℃における水に対する溶解度=4.2%
・3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール:和光純薬工業(株)製、試薬、炭素数10のジオール、水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)=1.24、20℃における水に対する溶解度=10.5%
・アセチレノールEH:ノニオン活性剤、川研ファインケミカル(株)製
Figure 0004526788
表2に示された結果より、比較例1〜2に対して実施例1〜4で得られた本発明の水系インクは、いずれも、耐乾燥性に優れ、吐出安定性が良好であり、普通紙に高印字濃度の印刷物が得られることがわかる。

Claims (5)

  1. 着色剤を含有し、酸価が30〜150KOHmg/g、水酸基価が2〜200KOHmg/gである、カルボキシ基を有する重合性モノマー及びヒドロキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートを含むモノマー混合物を共重合して得られるもので、25℃での水に対する溶解度が5重量%以下である水不溶性ビニルポリマー(以下、水不溶性ビニルポリマーという)の水分散体と、
    水酸基価が200〜2000KOHmg/gである、炭素数5〜15の多価アルコール(以下、多価アルコールという)とを含有する水系インク。
  2. 多価アルコールが、水/オクタノール分配係数の対数値(logPow)が−0.5〜3.0の多価アルコールである請求項1記載の水系インク。
  3. 多価アルコールが、20℃の水に対する溶解度が0.1〜15重量%の多価アルコールである請求項1又は2記載の水系インク。
  4. モノマー混合物がさらにマクロモノマーを含有する請求項1〜3いずれかの項記載の水系インク。
  5. 着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマーの水分散体の固形分100重量部に対して、多価アルコールが30〜300重量部である請求項1〜4いずれかの項記載の水系インク。
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