JP4527365B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用水系インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、近年広く用いられている。インクジェットプリンタに使用されるインクには、耐水性や耐光性を向上させるため、近年、顔料系インクが使用されている。
【0003】
しかしながら、顔料系インクは、コピー用紙では顔料が表面に残留しがたく、印字濃度が低いという欠点がある。
【0004】
そこで、印字濃度を向上させるためにポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー及びα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を含有するポリマーを添加すること(例えば、特許文献1参照)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー又はポリ(トリメチレングリコール)(メタ)アクリレートモノマーからなる高分子分散剤を添加すること(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらのノニオン成分としてオキシエチレン基又はオキシトリメチレン基を含有する(メタ)アクリレートモノマーを共重合させたポリマーには、ポリマー自体の親水性が高いため、コピー用紙に浸透しやすく、印刷した際には印字濃度が低くなるという欠点がある。
【0006】
一方、顔料系インクにおいては、優れた保存安定性、印刷特性、耐水性、耐光性、光学密度を有するためのポリジアルキルシロキサン高分子体セグメントと長鎖アルキル基含有モノマーセグメントを含む顔料分散剤(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、分子量が低いこと、親水性セグメント比が高いことから、保存安定性、耐水性が十分でないという欠点がある。
【0007】
また、顔料系インクにおいては、シリコーンマクロマーを含む耐水性及び保存安定性に優れた水分散体(例えば、特許文献4参照)が提案されているが、更なる保存安定性が求められている。
【0008】
【特許文献1】
特開平6-306317号公報
【特許文献2】
特開2000-144031 号公報
【特許文献3】
特開平9-188732号公報
【特許文献4】
特開平2002-338783 号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐水性及び保存安定性に優れ、高印字濃度を付与しうるインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(a)塩生成基含有モノマー、
(b)式(II):
CH=C(R)COOR (II)
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭素数12〜30の1価の炭化水素基を示す)
で表される長鎖アルキル基含有モノマー、
(c)式(I) :
X(Y)Si(R3−q (Z) (I)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、pは0又は1、qは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマー、
(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、
(e)ポリオキシアルキレン基含有モノマー、並びに
(f)(a)塩生成基含有モノマー、(b)式(II)で表される長鎖アルキル基含有モノマー、(c)式(I) で表されるシリコーンマクロマー、(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー及び(e)ポリオキシアルキレン基含有モノマーと共重合可能なモノマー
を含有するモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマー(以下、単にビニルポリマーという)の粒子に着色剤を含有させたビニルポリマー粒子の水分散体(以下、単に分散体という)の製造法であって、前記水不溶性ビニルポリマー、着色剤、揮発性中和剤、不揮発性中和剤、有機溶媒及び水に分散処理を施した後、得られた分散体から有機溶媒と、揮発性中和剤を除去する工程を含むインクジェット記録用水分散体の製造法、及び前記製造法により得られた水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
ビニルポリマーは、(b)長鎖アルキル含有モノマー、(c)式(I) で表されるシリコーンマクロマー及び(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーを含有しているので、優れた耐水性及び保存安定性が付与される。
【0012】
また、(c)式(I) で表されるシリコーンマクロマーは、(a)塩生成基含有モノマー、(e)ポリオキシアルキレン基含有モノマーと相溶性があまりよくなく、ビニルポリマー内で相分離を引き起こす可能性がある。よって、(b)長鎖アルキル基含有モノマー及び(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーを含有させることにより、相分離を抑制し、保存安定性を高めることが可能となる。
【0013】
本発明のビニルポリマーは、水不溶性であるため、着色剤を含有するビニルポリマー粒子の水分散体を製造する際に、ビニルポリマーの溶解度を高めるために、有機溶媒と中和剤を用いることが好ましい。また、中和度は、保存安定性の観点から、高いほうが好ましい。しかし、本発明のインクジェット記録用水系インクにおいては、水分散体のpHが4.5 〜9に調整することが好ましく、そのためには、分散時には、中和剤として、揮発性中和剤及び不揮発性中和剤を併用し、分散後に不必要な有機溶媒及び揮発性中和剤を除去する工程を含むことが好ましい。
【0014】
なお、本明細書にいう「揮発性中和剤」とは、常圧下での沸点が130 ℃未満のものをいい、「不揮発性中和剤」とは、常圧下での沸点が130 ℃以上のものをいう。また、「水不溶性ビニルポリマー」は、25℃の水100 gに対する溶解度が1g未満であるポリマーであることが好ましい。
【0015】
(a)塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。塩生成基含有モノマーの例として、特開平9-286939号公報5頁7欄24行〜8欄29行に記載されているもの等が挙げられる。
【0016】
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。カチオン性モノマーの中では、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0017】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリ」とは、「アクリ」又は「メタクリ」を意味する。
【0018】
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。アニオン性モノマーの中では、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸モノマーが好ましい。
【0019】
ビニルポリマーを共重合させるのに用いられるモノマー混合物(以下、モノマー混合物という)における(a)塩生成基含有モノマーの含量は、ビニルポリマー粒子の水分散体の保存安定性の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
【0020】
(b)長鎖アルキル基含有モノマーの代表例としては、式(II):
CH2 =C(R1)COOR2 (II)
(式中、R1 は水素原子又は低級アルキル基、R2 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数12〜30の1価の炭化水素基を示す)
で表されるモノマーが挙げられる。
【0021】
式(II)において、R1 は水素原子又は低級アルキル基である。低級アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0022】
2 は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数12〜30の1価の炭化水素基であり、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)及び硫黄原子が挙げられる。
【0023】
(b)長鎖アルキル基含有モノマーの具体例としては、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、(イソ)ベヘニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中では、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート及び/又は(イソ)ベヘニル(メタ)アクリレートは、インクの粘度変化を抑制し、保存安定性を十分に高める観点から好ましい。この場合、ビニルポリマーにおける(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート及び(イソ)ベヘニル(メタ)アクリレートの合計含量は、水系インクの粘度変化を抑制し、保存安定性を十分に高める観点から、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%である。
【0024】
なお、本明細書において、「(イソ)」とは、「イソ」又は「ノルマル」を意味する。
【0025】
モノマー混合物における(b)長鎖アルキル基含有モノマーの含量は、ビニルポリマー粒子の水分散体の保存安定性の観点から、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%、更に好ましくは30〜50重量%である。
【0026】
(c)シリコーンマクロマーとしては、式(I) で表されるシリコーンマクロマーが、耐水性を向上させる観点から用いられる。
【0027】
式(I) で表されるシリコーンマクロマーにおいて、Xは重合可能な不飽和基である。重合可能な不飽和基の代表例としては、 CH2=CH- 基、 CH2=C(CH3)- 基等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0028】
Yは、2価の結合基である。2価の結合基の代表例としては、-COO- 基、-COO(CH2) a - 基(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられる。これらの中では-COOC3H6 -が好ましい。
【0029】
3 は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基である。R3 の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基、メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中では、メチル基が好ましい。
【0030】
Zは、好ましくは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基である。好ましいZとしては、数平均分子量500 〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基が挙げられる。
【0031】
pは0又は1であるが、好ましくは1である。qは1〜3の整数であるが、より好ましくは1である。
【0032】
(c)シリコーンマクロマーの代表例としては、式(IV):
CH2 =CR6-COOC3H6-[Si(R7)2-O]b -Si(R7)3 (IV)
(式中、R6 は水素原子又はメチル基、R7 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、bは5〜60の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマー、式(V):
CH2 =CR6-COO-[Si(R7)2-O]b -Si(R7)3 (V)
(式中、R6 、R7 及びbは前記と同じ)
で表されるシリコーンマクロマー、式(VI):
CH2 =CR6-Ph-[Si(R7)2-O] b -Si(R7) 3 (VI)
(式中、Phはフェニレン基、R6 、R7 及びbは前記と同じ)
で表されるシリコーンマクロマー、式(VII):
CH2 =CR6-COOC3H6-Si(OE)3 (VII)
〔式中、R6 は前記と同じ。Eは式:-[Si(R6)2-O]c -Si(R6)3基(R6 は前記と同じ。cは5〜65の数を示す)を示す〕
で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
【0033】
これらの中では、式(IV)で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、特に式(VIII):
CH2 =C(CH3)-COOC3H6-[Si(CH3)2-O]d -Si(CH3)3 (VIII)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。その例として、FM-0711 〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
【0034】
モノマー混合物における(c)シリコーンマクロマーの含量は、耐水性及び耐擦過性の観点から、好ましくは0.1 〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
【0035】
(c)シリコーンマクロマーの数平均分子量は、好ましくは500 〜100000、より好ましくは2000〜100000、更に好ましくは4000〜100000である。
【0036】
(c)シリコーンマクロマーの数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶媒として1mmol/L のドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したときの値である。
【0037】
(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性マクロマー官能基を有するスチレン単独重合マクロマー又はスチレンと他のモノマーとの共重合マクロマーが挙げられる。
【0038】
(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの中では、片末端に重合性官能基として(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。スチレン系マクロマーとしては、片末端にメタクリロイルオキシ基を有するスチレン単独重合マクロマーがより好ましい。他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。ビニルポリマーの中では、スチレン系マクロマーは、ビニルポリマーに着色剤を十分に含有させる効果を有する。モノマー混合物におけるスチレン系マクロマーの含量は、着色剤が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
【0039】
(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの数平均分子量は、好ましくは500 〜100000、より好ましくは1000〜50000 、更に好ましくは2000〜20000 である。
【0040】
(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶媒として50mmol/Lの酢酸を含有するテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したときの値である。
【0041】
モノマー混合物における(b)長鎖アルキル含有モノマー、(c)式(I) で表されるシリコーンマクロマー及び(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの合計含量は、ビニルポリマー粒子の水分散体の耐水性及び保存安定性を高める観点から、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%である。
【0042】
また、ビニルポリマー粒子の水分散体の保存安定性を高める観点から、モノマー混合物において、(b)長鎖アルキル基含有モノマーと(d)片未端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの合計重量と(c)式(I) で表されるシリコーンマクロマーの重量の比{〔(b)+(d)〕/(c)}が好ましくは2〜40、より好ましくは4〜20である。
【0043】
(e)ポリオキシアルキレン基含有モノマーの代表例としては、式(III) :
CH2 =C(R1)COO(R4 O) r 5 (III)
(式中、R1 は水素原子又は低級アルキル基、R4 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R5 は水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、rは1〜60の数を示す)
で表されるモノマーが挙げられる。このモノマーは、本発明のインクジェット記録用水系インクの吐出安定性を高めるという優れた効果を発現するものである。
【0044】
式(III) において、R1 は水素原子又は低級アルキル基である。低級アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0045】
4 は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基である。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)及び硫黄原子が挙げられる。r個のR4 は、それぞれ同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0046】
4 の代表例としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族環、置換基を有していてもよい炭素数3〜30のヘテロ環及び置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキレン基等が挙げられる。これらの環又は基は、2種以上を組合わせたものであってもよい。置換基としては、炭素数6〜29の芳香族環、炭素数3〜29のヘテロ環、炭素数1〜29のアルキル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アミノ基等が挙げられる。
【0047】
4 の好適な例としては、炭素数1〜24の置換基を有していてもよいフェニレン基、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキレン基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキレン基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキレン基が挙げられる。
【0048】
また、R4 O基の好適な例としては、エチレンオキサイド基、(イソ)プロピレンオキサイド基、テトラメチレンオキサイド基、ヘプタメチレンオキサイド基、ヘキサメチレンオキサイド基及びこれらアルキレンオキサイドの1種以上の組合せからなる炭素数2〜7のアルキレンオキサイド基やフェニレンオキサイド基が挙げられる。
【0049】
5 は、水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。
【0050】
5 の代表例としては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数6〜30の芳香族環、置換基を有していてもよい炭素数3〜30のヘテロ環、及び置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基が挙げられる。置換基としては、炭素数6〜29の芳香族環、炭素数4〜29のヘテロ環、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アミノ基等が挙げられる。
【0051】
5 の好適な例としては、水素原子、フェニル基、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。
【0052】
5 のより好適な例としては、水素原子、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、(イソ)ブチル基、(イソ)ペンチル基、(イソ)ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。
【0053】
rは、1〜60の数であるが、好ましくは1〜30の数、より好ましくは3〜10の数である。
【0054】
式(III) で表されるモノマーの具体例としては、ポリエチレングリコール(2〜30:式(III) 中のrの値を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(1〜15)・プロピレングリコール(1〜15))(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(2〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
式(III) で表されるモノマーの中では、ポリエチレングリコール(2〜30)(メタ)アクリレート及び/又はポリプロピレングリコール(2〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。ビニルポリマーにおけるポリエチレングリコール(2〜30)(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコール(2〜30)(メタ)アクリレートの合計含量は、水系インクの吐出安定性を高める観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
【0056】
モノマー混合物における(e)ポリオキシアルキレン基含有モノマーの含量は、水系インクの吐出安定性を高める観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
【0057】
なお、ビニルポリマーにおける(a)塩生成基含有モノマーと(e)ポリオキシアルキレン基含有モノマーとの合計含量は、ビニルポリマー粒子の水分散体の保存安定性及び吐出安定性を高める観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは10〜60重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。
【0058】
(f)塩生成基含有モノマー、長鎖アルキル含有モノマー、シリコーンマクロマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー及びポリオキシアルキレン基含有モノマーと共重合可能なモノマー(以下、「共重合可能なモノマー」という)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0059】
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」とは、「イソ」、「ターシャリー」又は「ノルマル」を意味する。
【0060】
共重合可能なモノマーは、印字濃度を高める観点から、スチレン系モノマーを含んでいることが好ましい。好ましいスチレン系モノマーとしては、スチレンが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0061】
モノマー混合物における共重合可能なモノマーの含量は、印字濃度を高める観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
【0062】
ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって得られる。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
【0063】
溶液重合法に用いられる溶媒としては、有機溶媒が好ましく、有機溶媒として水混和性有機溶媒を用いる場合、水混和性有機溶媒と水とを混合して用いることもできる。
【0064】
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらのうちの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
【0065】
なお、重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。好ましいラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。また、ラジカル重合開始剤として、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を使用することもできる。
【0066】
モノマー混合物に対する重合開始剤の量は、好ましくは0.001 〜5モル%、より好ましくは0.01〜2モル%である。
【0067】
なお、重合の際には、さらに重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;及びアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジテルペン、α−メチルスチレンダイマー;9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0068】
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は30〜100 ℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0069】
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法によってビニルポリマーを単離することができる。また、得られたビニルポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
【0070】
ビニルポリマーの重量平均分子量(後述する製造例1〜3に記載の方法で測定)は、吐出性、プリンタヘッドの焦げ付きの防止、印刷後のインクの耐久性、及0分散体の安定性の観点から、好ましくは20000 〜200000、より好ましくは20000 〜100000である。
【0071】
着色剤は、顔料であることが好ましい。顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料とを併用することもできる。
【0072】
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクでは、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
【0073】
有機顔料としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0074】
着色剤の量は、印字濃度及びビニルポリマー粒子中に含有させやすさの観点から、ビニルポリマーの樹脂固形分100 重量部に対して、好ましくは20〜400 重量部、より好ましくは50〜300 重量部である。
【0075】
分散体は、例えば、ビニルポリマーを有機溶媒に溶解し、得られた溶液に着色剤を添加し、予備混練し、次いで揮発性中和剤、不揮発性中和剤及び水を添加して混練し、分散処理を施すことによって水中油型の分散体を調製し、得られた混練物から有機溶媒及び揮発性中和剤を除去することによって得ることができる。
【0076】
混練し、分散処理を行う際には、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機等を用いることができる。これらの中では、無機不純物の混入量を少なくすることができる観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
【0077】
本明細書にいう「有機溶媒」は、101kPaでの沸点が130 ℃未満である有機溶媒を意味する。有機溶媒中では、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましい。
【0078】
アルコール系溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒として、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましい。また、必要により、前記有機溶媒と高沸点親水性有機溶媒とを併用してもよい。
【0079】
本明細書にいう「高沸点親水性有機溶媒」は、101kPaでの沸点が130 ℃以上のものであり、その例としては、フェノキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0080】
中和剤として、塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を使用することができる。
中和剤としては、揮発性中和剤及び不揮発性中和剤があげられる。揮発性中和剤として、塩酸、酢酸、プロピオン酸等の酸、及びアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基が挙げられる。
【0081】
不揮発性中和剤として、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基が挙げられる。
【0082】
揮発性中和剤と不揮発性中和剤のモル比(揮発性中和剤:不揮発性中和剤)は着色剤の分散性及び保存安定性の観点から、好ましくは1:99〜50:50、より好ましくは10:90〜40:60である。
【0083】
分散体の中和度は、保存安定性の観点から高いほうが好ましい。しかし、本発明のインクジェット記録用水系インクに用いられるビニルポリマーがカチオン性である場合、中和度を高くすることによってpHが低くなりすぎたときには、インク容器等の接液部材やインクジェット記録用インクに用いた場合にはプリンターヘッド部材が腐食によって破損することが懸念され、また、ビニルポリマーがアニオン性である場合、pHが高すぎるときには、防腐性が低下することがある。したがって、これらの事項を考慮して、中和剤の量は、水分散液のpHが4.5 〜9となるように調整することが好ましい。ビニルポリマーがカチオン性(アニオン性)である場合、ビニルポリマーの構成単位の元となるカチオン性(アニオン性)塩生成基モノマーがカチオン性(アニオン性)モノマーを含有している。
【0084】
本発明においては、揮発性中和剤と不揮発性中和剤とを併用して分散能を向上させるために中和度を高くし、分散処理を施した後、得られた分散体から揮発性中和剤を除去し、中和度を低くするという方法が採用されているので、得られた分散体は、保存安定性とpHの中性領域(pH4.5 〜9)への調整が両立されたものである。また、揮発性中和剤が除去されており、揮発する成分が存在していないので、中和度が変化せず、保存中に揮発しても保存安定性が低下することがない。また、分散処理を施した後、分散体から有機溶媒及び揮発性中和剤を除去する方法としては、例えば、40〜80℃の温度で有機溶媒及び揮発性中和剤を減圧留去する方法が挙げられる。なお、分散処理を施した後、更に中和剤を添加することによって中和度を低くした場合は、余分な塩が生成するため、分散体の安定性に影響を与えることが懸念される。
【0085】
着色剤を含有するビニルポリマー粒子の粒径は、ノズルの目詰まり防止及び保存安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5 μm 、より好ましくは0.02〜0.2 μm である。
【0086】
分散体における着色剤を含有するビニルポリマー粒子の含有量は、印刷物の印字濃度及び分散体の保存安定性の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
【0087】
水系インクにおける分散体の量は、通常、印字濃度及び吐出安定性の観点から、水性インクにおけるビニルポリマー粒子の含有量が好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜15重量%となるように調整することが望ましい。
【0088】
本発明のインクジェット記録用水系インクには、必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、キレート剤等の添加剤を添加することもできる。
【0089】
湿潤剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリセリンモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物等が挙げられる。水系インク中における湿潤剤の量は、好ましくは0.1 〜50重量%、より好ましくは0.1 〜30重量%である。
【0090】
更に、界面活性剤等のアニオン性、ノニオン性、カチオン性及び両性の分散剤を用いてもよい。水系インク中における分散剤の量は、好ましくは0.1 〜50重量%、より好ましくは1〜20重量%である。
【0091】
消泡剤の代表例としては、式(IX):
【0092】
【化1】
Figure 0004527365
【0093】
(式中、R8 、R9 、R10及びR11はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基、R12及びR13はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基又はエポキシ基、x及びyはそれぞれ独立して、0〜1000、好ましくは10〜100 の数を示す)
で表される化合物が挙げられる。この化合物は、水系インクを調製する際における泡の発生の抑制及び水系インクの表面張力の調整の観点から好ましい。
【0094】
水系インクにおける消泡剤の量は、泡の発生の抑制及び吐出安定性の観点から、好ましくは0.001 〜2重量%、より好ましくは0.005 〜0.5 重量%である。
【0095】
【実施例】
製造例1〜3及び比較製造例1〜3
反応容器内に、初期モノマー100 重量部に対して30重量部のメチルエチルケト並びに表1及び表2の「初期仕込モノマー」欄に示すモノマー及び重合連鎖移動剤を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
【0096】
一方、滴下ロートに、表1及び表2の「滴下モノマー」欄に示すモノマー及び重合連鎖移動剤を仕込み、滴下モノマー100 重量部に対して30重量部のメチルエチルケトン及び滴下モノマー100 重量部に対して1.93重量部の2, 2’−アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
【0097】
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を2時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から75℃で30分経過後、初期仕込みモノマーと滴下モノマーとの合計モノマー100 重量部に対して1.2 重量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を初期仕込みモノマーと滴下モノマーとの合計モノマー100 重量部に対して12重量部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を3時間かけて徐々に滴下した。更に80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
【0098】
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105 ℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離し、標準物質としてポリスチレン、溶媒として酢酸50mmol/Lを含有するテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。その結果を表1及び表2に示す。
【0099】
なお、表1及び表2に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
▲1▼ ポリオキシプロピレンモノメタクリレート:日本油脂(株)製、商品名:PP-500 (プロピレンオキシド付加モル数:9、末端水素原子)
▲2▼ スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS-6S( スチレンマクロマー)、数平均分子量:10000 、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基
▲3▼ シリコーンマクロマー:チッソ(株)製、商品名:サイラプレーンFM-0711 、数平均分子量:1000
▲4▼ メトキシポリエチレングリコール(4)メタクリレート:新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルM-40G NEW 、式(X):
CH2 =C(CH3 )CO(OCH2 CH2 n OCH3 (X)
において、n=4で表される化合物
▲5▼ メトキシポリエチレングリコール(9)メタクリレート:新中村化学工業(株)製、商品名:NKエステルM-90、式(X) において、n=9 で表わされる化合物
【0100】
【表1】
Figure 0004527365
【0101】
【表2】
Figure 0004527365
【0102】
実施例1〜3
製造例1〜3で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー16重量部を、メチルエチルケトン54重量部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水溶液)を表3に示す所定量で加えて塩生成基を中和し、更にアゾ系顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化(株)製、商品名:ファーストイエロー031〕24重量部を加え、3本ロールで1時間混練した。得られた混練物の一部に、イオン交換水を加え、固形分濃度を20重量%に調製した際の20℃におけるpHをpHメーター〔(株)堀場製作所製、pH電極:6367-10D 型〕で測定したところ、実施例1では9.6 、実施例2及び3ではそれぞれ9.5 であった。
【0103】
前記で得られた混練物に、イオン交換水300 重量部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトン及びアンモニアを除去し、更に一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。得られた水分散体の20℃におけるpHを前記と同様にしてpHメーターで測定したところ、実施例1では8.6 、実施例2及び3ではそれぞれ8.5 であった。
【0104】
得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体40重量部(固形分8重量部)、グリセリン10重量部、2−ピロリドン5重量部、イソプロピルアルコール2重量部及びイオン交換水43重量部を混合し、得られた混合液を0.5 μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、水系インクを得た。
【0105】
比較例1〜3
比較製造例1〜3で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー16重量部を、メチルエチルケトン20重量部、イオン交換水30重量部に溶かし、その中に中和剤(5N 水酸化ナトリウム水溶液、比較例2-2 には、25%アンモニア水溶液も用いた)を表3に示す所定量で加えて塩生成基を中和し、更にアゾ系顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化(株)製、商品名:ファーストイエロー031 〕24重量部を加え、3本ロールで1時間混練した。得られた混練物の一部に、イオン交換水を加え、固形分濃度を20重量%に調製した際の20℃におけるpHを実施例1〜3と同様にして測定したところ、比較例1では8.7 、比較例2-1 では8.6 、比較例2-2 では9.5 、比較例3では8.4 であった。
【0106】
得られた混練物に、イオン交換水300 重量部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトン、用いられている場合にはアンモニア、及び一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。得られた水分散体の20℃におけるpHを前記と同様にしてpHメーターで測定したところ、比較例1では8.7 、比較例2-1 では8.6 、比較例2-2 では8.6 、比較例3では8.4 であった。
【0107】
前記で得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を、実施例1と同様に処理して、水系インクを得た。
【0108】
なお、比較例2-1 は、比較製造例2で得られたポリマー溶液を水酸化ナトリウムで中和した例であり、比較例2-2 は、比較製造例2で得られたポリマー溶液を水酸化ナトリウム及びアンモニアで中和した例である。
【0109】
次に、得られた水系インクの物性を下記方法に基づいて評価した。その結果を表3に示す。
【0110】
(1) 印字濃度
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター(型番:EM-900C)を用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で1時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、品番:RD914) で測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0111】
〔評価基準〕
◎:印字濃度が1.2 以上
○:印字濃度が1.1 以上1.2 未満
△:印字濃度が1.0 以上1.1 未満
×:印字濃度が1.0 未満
【0112】
(2) 耐水性
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の印字濃度を測定後、静水中に垂直に20秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃で24時間自然乾燥させた後、浸漬前と同じ箇所の印字濃度を測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を式:
〔残存率〕=〔浸漬後の印字濃度〕/〔浸漬前の印字濃度〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
【0113】
〔評価基準〕
◎:残存率95%以上
○:残存率80%以上95%未満
△:残存率60%以上80%未満
×:残存率60%未満
【0114】
(3) 平均粒径及び保存安定性
レーザー粒子解析システム〔大塚電子(株)製、ELS−8000〕を用い、インクに含まれている着色剤を含有するポリマー粒子の平均粒径(以下、保存前の平均粒径という)を測定した。インクを70℃の恒温槽に1ヵ月保存後、同様の方法にて平均粒径(以下、保存後の平均粒径という)を測定した。
保存安定性の指標として、保存安定度を式:
〔保存安定度〕=〔保存後の平均粒径〕/〔保存前の平均粒径〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0115】
〔評価基準〕
◎:保存安定度が95%以上105 %未満
○:保存安定度が90%以上95%未満、又は105 %以上110 %未満
△:保存安定度が70%以上90%未満、又は110 %以上130 %未満
×:保存安定度が70%未満又は130 %以上
【0116】
【表3】
Figure 0004527365
【0117】
表3に示された結果から、各実施例で得られた水系インクは、高印字濃度を付与し、耐水性に優れた印字物を与え、更にはそれ自体、保存安定性に優れたものであることがわかる。
【0118】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、耐水性及び保存安定性に優れ、更に、高印字濃度を付与しうるものである。

Claims (5)

  1. (a)塩生成基含有モノマー、
    (b)式(II):
    CH=C(R)COOR (II)
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭素数12〜30の1価の炭化水素基を示す)
    で表される長鎖アルキル基含有モノマー、
    (c)式(I) :
    X(Y)Si(R3−q (Z) (I)
    (式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、pは0又は1、qは1〜3の整数を示す)
    で表されるシリコーンマクロマー、
    (d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、
    (e)ポリオキシアルキレン基含有モノマー、並びに
    (f)(a)塩生成基含有モノマー、(b)式(II)で表される長鎖アルキル基含有モノマー、(c)式(I) で表されるシリコーンマクロマー、(d)片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー及び(e)ポリオキシアルキレン基含有モノマーと共重合可能なモノマー
    を含有するモノマー混合物を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーの粒子に着色剤を含有させたビニルポリマー粒子の水分散体の製造法であって、前記水不溶性ビニルポリマー、着色剤、揮発性中和剤、不揮発性中和剤、有機溶媒及び水に分散処理を施した後、得られた分散体から有機溶媒と、揮発性中和剤を除去する工程を含むインクジェット記録用水分散体の製造法。
  2. 水不溶性ビニルポリマーを共重合させるのに用いられるモノマー混合物において、(b)式(II)で表される長鎖アルキル基含有モノマーと(d)片未端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの合計重量と(c)式(I) で表されるシリコーンマクロマーの重量の比{〔(b)+(d)〕/(c)}が2〜40である請求項1記載の製造法
  3. 水分散体のpHが4.5〜9である、請求項1又は2記載の製造法。
  4. 揮発性中和剤と不揮発性中和剤のモル比(揮発性中和剤:不揮発性中和剤)が1:99〜50:50である、請求項1〜3いずれか記載の製造法。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の製造法により得られた、インクジェット記録用水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク
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