JP4626944B2 - インクジェットプリンタ記録用水系インク - Google Patents

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本発明は、インクジェットプリンタ記録用水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、広く用いられている。近年は、印字物の耐水性や耐光性が重視されるようになり、インクジェットプリンタに使用されるインクは、顔料系インクの需要が高まっている。
しかしながら、顔料系インクは一般に水中に高濃度で安定に分散させることが極めて困難であることが知られている。そこでインク中に樹脂を添加、または樹脂エマルションに顔料を内包化することで分散安定化を図るという技術が開発されている。(特許文献1〜5)しかしこの方法では、インク中の顔料量が減少してしまうために印字濃度が低くなってしまうという問題があった。
この問題を解決するため、顔料がカーボンブラックであるものについては、特許文献6にあるように、原料となるカーボンブラック表面に種々の親水性官能基を形成することで水中に安定分散させた、いわゆる自己分散型カーボンブラックを用いたものが既に知られている。しかしながら自己分散型のカーボンブラックを用いたインクは、バインダーとなる成分をまったく有しないため、印字されたインクが皮膜化することがなく、定着性が著しく悪いという問題点がある。
また、印字濃度を高めるために、特許文献7に記載されているように、比表面積が高いカーボンブラックを用いるという技術も知られている。しかしながら、比表面積が高いカーボンブラックを用いたインクは、粘度が非常に高いために吐出性が低下してしまい、大幅な印字濃度向上にはつながらないという問題がある。
特開平6-306317号公報 特開平8-218015号公報 特開平8-151544号公報 特開平8-176488号公報 特開2000-144031 号公報 特開平10−36727号公報 WO 00/63306
本発明は、耐水性及び耐光性に優れた顔料系のインクジェット記録用水系インクにおいて、高い印字濃度を達成でき、更に必要とされる様々な性能を高いレベルで満たすインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
本発明は、課題の解決手段として、カーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェットプリンタ記録用水系インクであり、カーボンブラックが、950℃での揮発分が5%以下のものであり、カーボンブラックとして、一次粒子径、比表面積及びDBP吸収量のうち少なくとも一つが異なるものを2種類以上含有するインクジェットプリンタ記録用水系インクを提供する。
本発明のインクジェット記録用水系インクにおいて「水系」とは、インクに含有された溶媒中、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、水100%でも良いし、前記要件を満たすものであれば、水と1種又は2種以上の有機溶媒との混合物も含まれる。
以上説明したように、本発明のインクジェット記録用水系インクは、普通紙での高印字濃度及び専用紙への高定着性等、インクジェット記録用水系インクとして好適に使用するための種々の性能を有するものである。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、カーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するものである。
カーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー粒子は、少なくともカーボンブラックと水不溶性ビニルポリマーにより粒子が形成されているものであれば粒子形態は特に制限されるものではなく、例えば、水不溶性ビニルポリマーにカーボンブラックが内包された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーにカーボンブラックが均一に分散された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーにカーボンブラックが内包されているが、粒子表面に一部のカーボンブラックが露出された粒子形態等が含まれる。
〔カーボンブラック〕
本発明におけるカーボンブラックは、これまでに知られているすべての用途及びグレードのものが使用できる。具体的には、インクジェット用インク向けのカーボンブラックに加え、一般塗料用、樹脂着色用、補強用、紫外線防止用、導電用等、すべてが使用可能である。また、カーボンブラックの製法による分類であるファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等もすべて使用できる。
本発明におけるカーボンブラックは、酸化処理やジアゾカップリング反応等による表面処理がなされていないものが好ましく、具体的には、本発明におけるカーボンブラックは、950℃で一定時間加熱したときの減少分(以下揮発分)が5%以下、好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下のものである。
このように揮発分が5%以下であるということは、カーボンブラックの表面処理の度合いが低いことを意味する。カーボンブラックが表面処理されている場合、親水性の高いカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基が導入されている。
このように表面処理されたカーボンブラックは、水不溶性ビニルポリマーとの親和性が低く、水不溶性ビニルポリマー粒子の安定性が悪くなる。
本発明におけるカーボンブラックは、一次粒子径、比表面積及びDBP吸収量のうち少なくとも1つが異なるものを2種類以上組み合わせる。このような組み合わせにすることで、さまざまな要求性能を満足するインクジェットプリンタ記録用水系インクを調製することができる。これらは、実施例に記載の方法により測定されるものである。
2種類以上のカーボンブラックの組み合わせとしては、一次粒子径、比表面積及びDBP吸収量の内のいずれか1つが異なるものの組み合わせ、2つが異なるものの組み合わせ(一次粒子径と比表面積、比表面積とDBP吸収量又はDBP吸収量と一次粒子径が異なる組み合わせ)、3つ全てが異なるものの組み合わせが挙げられる。カーボンブラックは、2種類又は3種類以上を用いることができる。
カーボンブラックの比表面積及びDBP(ジブチルフタレート)吸収量は、JIS K6217の方法により測定される。一次粒子径は電子顕微鏡により測定し、算出した平均直径(100個の平均直径)である。比表面積はBET法により測定した値である。
カーボンブラックの一次粒子径は特に制限されるものではないが、好ましくは10〜100nm、より好ましくは11〜50nm、更に好ましくは12〜40nmである。
一次粒子径が異なる2種類のカーボンブラックの組み合わせとしては、大粒径のカーボンブラックと小粒径のカーボンブラックの組み合わせ、又は特定の粒径以上と特定の粒径未満(若しくは特定の粒径超と特定の粒径以上)の組み合わせが挙げられる。
一例を挙げると、一次粒子径12nm以上20nm未満のカーボンブラック(小粒径)と一次粒子径20nm以上40nm以下のカーボンブラック(大粒径)の組み合わせが挙げられる。
一次粒子径の異なる2種類のカーボンブラックを使用するとき、本発明の課題を解決する観点から、一次粒子径の差は1nm以上が好ましく、より好ましくは2nm以上である2種類のカーボンブラックを使用することができる。上限は特に制限されないが、20nm以下にすることができる。
カーボンブラックの比表面積は特に制限されるものではないが、好ましくは50〜2000m/g、さらに好ましくは50〜400m/g、より好ましくは60〜380m/g更に好ましくは65〜370m/gである。
比表面積が異なる2種類のカーボンブラックの組み合わせとしては、大きな比表面積のカーボンブラックと小さな比表面積のカーボンブラックの組み合わせ、又は特定の比表面積以上と特定の比表面積未満(若しくは特定の比表面積超と特定の比表面積以下)の組み合わせが挙げられる。
例を挙げると、比表面積50m/g以上、230m/g未満のカーボンブラック(小さな比表面積)と比表面積230m/g以上、2000m/g以下のカーボンブラック(大きな比表面積)の組み合わせ、比表面積50m/g以上、250m/g未満のカーボンブラック(小さな比表面積)と比表面積250m/g以上、2000m/g以下のカーボンブラック(大きな比表面積)の組み合わせ、又は比表面積65m/g以上、140未満m/gのカーボンブラック(小さな比表面積)と比表面積140m/g以上、370m/g以下のカーボンブラック(大きな比表面積)の組み合わせ等が挙げられる。
比表面積の異なる2種類のカーボンブラックを使用するとき、本発明の課題を解決する観点から、比表面積の差は10m/g以上が好ましく、より好ましくは20 m/g以上、更に好ましくは100 m/g以上である2種類のカーボンブラックを使用することができる。上限は特に制限されないが1400 m/g以下にすることができる。
カーボンブラックのDBP吸収量は特に制限されるものではないが、好ましくは40〜400cm/100g、より好ましくは42〜380cm/100g更に好ましくは45〜370cm/100gである。
DBP吸収量が異なる2種類のカーボンブラックの組み合わせとしては、大きなDBP吸収量のカーボンブラックと小さなDBP吸収量のカーボンブラックの組み合わせ、又は特定のDBP吸収量以上と特定のDBP吸収量未満(若しくは特定のDBP吸収量超と特定のDBP吸収量以下)の組み合わせが挙げられる。
例を挙げると、DBP吸収量40cm/100g以上、100 cm/100g未満のカーボンブラック(小さなDBP吸収量)とDBP吸収量100 cm/100g以上、400cm/100g以下のカーボンブラック(大きなDBP吸収量)の組み合わせ、DBP吸収量42cm/100g以上100 cm/100g未満のカーボンブラック(小さなDBP吸収量)とDBP吸収量100cm/100g以上380cm/100g以下のカーボンブラック(大きなDBP吸収量)の組み合わせ、DBP吸収量45cm/100g以上100 cm/100g未満のカーボンブラック(小さなDBP吸収量)とDBP吸収量100/100g以上370cm/100g以下のカーボンブラック(大きなDBP吸収量)の組み合わせ等が挙げられる。
DBP吸収量の異なる2種類のカーボンブラックを使用するとき、本発明の課題を解決する観点から、DBP吸収量の差が、好ましくは45cm/100g以上、より好ましくは70cm/100g以上である2種類のカーボンブラックを使用することが好ましい。上限は特にないが、製造し易さから300cm/100g以下であってもよい。
更にDBP吸収量の異なる2種類のカーボンブラックを使用するとき、本発明の課題を解決する観点から、少なくとも170cm/100g以上(好ましくは170〜400 cm/100g、更に好ましくは170〜380cm/100g、特に好ましくは170〜370 cm/100g)のDBP吸収量を有するカーボンブラックを含むことが好ましく、200cm/100g以上(好ましくは200〜400 cm/100g、更に好ましくは200〜380cm/100g、特に好ましくは200〜370 cm/100g)のDBP吸収量を有するカーボンブラックを含むことがより好ましい。
一次粒子径、比表面積及びDBP吸収量のうち少なくとも1つが異なるカーボンブラックを2種類組み合わせるとき、その配合比率(重量比)は、95/5〜5/95が好ましい。
〔水不溶性ビニルポリマー〕
水不溶性ビニルポリマーは、(A)ノニオン性の親水性モノマーと(B)塩生成基含有モノマーを共重合してなるものが挙げられ、必要に応じて、更に(C)前記モノマーと共重合可能なモノマーを共重合してなるものが挙げられる。なお、本発明の課題を解決できる範囲内で他のモノマーを用いることもできる。
モノマー(A)としては、下記一般式で示されるものが好ましく、オキシアルキレン単位としてオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシテトラメチレン単位を構成単位として有するモノマーが好ましく、pは、平均付加モル数を示し、好ましくは2〜25である。
CH=CRCOO(AO)R
〔式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位(但し、p個のオキシアルキレン単位は、同一でも異なっていてもよい。)オキシアルキレン単位が異なる場合は、ブロック付加、ランダム付加、及び交互付加のいずれでもよい。Rは水素原子又はメチル基、pは1〜50の数、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。〕
ノニオン性の親水性モノマーとしては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートを意味する。
商業的に入手しうるノニオン性の親水性モノマーの具体例としては、新中村化学(株)製のNKエステル M-20G, 40G, 90G, 230G, 日本油脂(株)のブレンマーPEシリーズ、 PME-100, 200, 400, 1000,PP-1000, PP-500, PP-800, AP-150, AP-40 0, AP-550, AP-800, 50PEP-300, 70PEP-350B, AEP シリーズ,30PPT-800, 50PPT-800, 70PPT-800, APTシリーズ,10PPB-500B, 10APB-500B, 50POEP-800B, 50AOEP-800B, ASEPシリーズ,PNEPシリーズ, PNPEシリーズ, 43ANEP-500, 70ANEP-550等が挙げられる。
(B)塩生成基含有モノマーとしては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが好ましい。アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー及び不飽和リン酸モノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーの中では、インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
カチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有ビニルモノマー及び不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
不飽和3級アミン含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアリールアミン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和アンモニウム塩含有モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
カチオン性モノマーの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
(C)共重合可能なモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー、マクロモノマー等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。共重合可能なモノマーは、耐水性及び耐擦過性の観点から、芳香環含有モノマー及びマクロモノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種が含有されていることが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
芳香環含有モノマーは、耐水性の観点から、炭素数6〜22の芳香環を有するビニルモノマーが好ましく挙げられ、スチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。これらの中ではスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンからなる群より選ばれた少なくとも1種が、耐水性及び耐擦過性の観点からより好ましい。
本発明においてマクロモノマーとは、片末端に重合性官能基をする数平均分子量が500〜500,000、より好ましくは1,000〜10,000 である高分子を意味する。
マクロモノマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するスチレン・アクリロニトリル系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロモノマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中では、水不溶性ビニルポリマーにカーボンブラックを十分に含有させる観点から、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマーが好ましい。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有するスチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
片末端に重合性官能基を有するスチレンと他のモノマーとの共重合体において、他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。また、そのスチレンの含有量は、カーボンブラックが十分に水溶性ビニルポリマーに含有されるようにする観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマーの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するスチレン系マクロモノマーが好ましい。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成(株)製のAS-6, AS-6S,AN-6, AN-6S, HS-6,HS-6S等が挙げられる。
シリコーンマクロマーの中では、一般式(I):
X(Y)Si(R3−r(Z) (I)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、Rはそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
一般式(I)で表されるシリコーンマクロマーにおいて、Xは重合可能な不飽和基であるが、その代表例としては、CH=CH−、CH=C(CH3)−等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。
Yは、2価の結合基であるが、その代表例としては、−COO−、−COO(CH)−(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられる。これらの中では−COOCH−が好ましい。
は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基であるが、その具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基;メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中では、メチル基が好ましい。
Zは、好ましくは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基であるが、好ましいZとしては、数平均分子量500〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基が挙げられる。
qは0又は1であるが、好ましくは1である。rは1〜3の整数であるが、より好ましくは1である。
シリコーンマクロマーの代表例としては、下記の一般式(II)、(III)、(IV)、(V)で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
CH=CR−COOCH−[Si(R)−O]−Si(R) (II)
CH=CR−COO−[Si(R)−O]−Si(R) (III)
CH=CR−Ph−[Si(R)−O]−Si(R) (IV)
CH=CR−COOCH−Si(OE) (V)
〔式中の各記号の意味は次のとおり;
:水素原子又はメチル基
:それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基
b:5〜60の数
Ph:フェニレン基
E:−[Si(R)−O]−Si(R)基(Rは前記と同じ。cは5〜65の数を示す)〕
これらの中では、一般式(II)で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、特に次の一般式(II-1):
CH=C(CH)−COOCH−[Si(CH)−O]−Si(CH) (II-1)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。その具体例として、FM-0711〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
なお、マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/L のドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
水不溶性ビニルポリマーにおける(A)ノニオン性の親水性モノマーの含有量(原料基準)は、印字濃度、印字物の光沢及び高い印字濃度の観点から、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは5〜30重量%である。
水不溶性ビニルポリマーにおける(B)塩生成基含有モノマーの含有量(原料基準)は、分散安定性及び吐出安定性の観点から、3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは6〜25重量%である。
水不溶性ビニルポリマーにおける(C)共重合可能なモノマーの含有量(原料基準)は、印字濃度及び耐水性の観点から、15〜87重量%、好ましくは35〜85重量%、更に好ましくは30〜83重量%である。
(C)共重合可能なモノマーとして芳香環含有モノマーを用いたとき、(C)共重合可能なモノマー中の芳香環含有モノマーの含有量は、耐水性、耐擦過性、インク粘度及び吐出安定性の観点から、好ましくは0.1 〜70重量%、より好ましくは1〜65重量%、更に好ましくは2〜60重量%である。
(C)共重合可能なモノマーとしてマクロモノマーを用いたとき、(C)共重合可能なモノマー中のマクロマーの含有量は、耐水性及び耐擦過性の観点から、好ましくは0.1 〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは3〜25重量%である。
水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量は、印字濃度と吐出安定性の観点から、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜200,000である。
水不溶性ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー組成物を重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法に用いられる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。
極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、2,2' −アゾビスイソブチロニトリル、2,2' −アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2' −アゾビスブチレート、2, 2' −アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1' −アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物が好適である。また、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物を使用することもできる。
重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001 〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、更に連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、チオグリセロール、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチレンダイマー、9, 10−ジヒドロアントラセン、1, 4−ジヒドロナフタレン、インデン、1, 4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2, 5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられる。これらの重合連鎖移動剤は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
モノマーの重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100 ℃、より好ましくは50〜80℃である。重合時間は、好ましくは1〜20時間である。重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成した水不溶性ビニルポリマーを単離することができる。得られた水不溶性ビニルポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で塩生成基を100%中和させた後の水不溶性ビニルポリマーの25℃での水に対する溶解度は、水系インクの低粘度化の観点から15重量%以下が好ましく、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましい。
〔インクジェット記録用水系インク〕
本発明のインクジェット記録用水系インクは、例えば、水不溶性ビニルポリマーを有機溶媒に溶解させ、所定のカーボンブラック、水、中和剤及び必要に応じて界面活性剤を加えて混合した後、必要に応じて水で希釈し、有機溶媒を留去してカーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマーの水分散体を得、必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を加えることによって調製することができる。水系インク中の水の量は、40〜90重量%が好ましい。
本発明のインクジェット記録用水系インクを調製する際、2種類以上のカーボンブラックは同時に加えても良いし、1種類のカーボンブラック毎に別々に調製した水系インクを混合しても良い。また、1種類のカーボンブラック毎に別々に水系インクを調製する際は、異なる種類の水不溶性ビニルポリマーを用いる等、全く別々の条件で調製することもできる。
混合方法は特に限定はない。ビーズミルやロールミルによる機械的混合法、高圧ホモジナイザー等の高圧力による混合法、超音波による混合法等、公知の混合方法を任意に組み合わせて用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく、それらの中では、親水性有機溶媒がより好ましい。
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましい。
また、必要により、前記有機溶媒と高沸点親水性有機溶媒とを併用してもよい。高沸点親水性有機溶媒としては、フェノキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
中和剤として、塩生成基の種類に応じて酸又は塩基を使用することができる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の有機酸が挙げられる。塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
中和度には、特に限定がない。通常、得られる水分散体の液性が弱酸性〜弱アルカリ性、具体的には、pHが4〜10であることが好ましい。
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリセリンモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物等が挙げられる。水系インク中における湿潤剤の量は、好ましくは0.1 〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。
分散剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性系の分散剤を用いることができる。
カーボンブラックの量は、印字濃度及びポリマー粒子中に含有させやすさの観点から、水不溶性ビニルポリマー100 重量部に対して、好ましくは20〜1200重量部、より好ましくは50〜900 重量部である。
水系インクにおけるカーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体の量(固形分)は、好ましくは0.5 〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%となるように調整することが望ましい。
カーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径は、ノズルの目詰まり防止及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.50μm、より好ましくは0.02〜0.30μm、更に好ましくは0.04〜0.20μmである。ここでポリマー粒子の平均粒径は、大塚電子(株)製、レーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント法)を用いて測定される。
本発明におけるインクジェット記録用水系インクにおいては、DBP吸収量の差が45cm/100g以上である2種類のカーボンブラックを少なくとも含有するものが好ましい。この2種類のカーボンブラック含むインクジェット記録用水系インクは、非常に高い印字濃度を発現できる。このとき、高い印字濃度を得ることと、粘度を低下させる観点から、DBP吸収量が170cm/100g以上のカーボンブラックが、水系インクの全カーボンブラック中の5〜95重量%になるように含有させることが好ましい。
合成例1(水不溶性ビニルポリマーの合成)
反応容器内に、メチルエチルケトン10重量部及び2−メルカプトエタノール0.03重量部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート2.5重量部、スチレンマクロモノマー3重量部、スチレンモノマー4.6重量部、メタクリル酸1.4重量部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、2−メルカプトエタノール)0.27重量部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート22.5重量部、スチレンマクロモノマー27重量部、スチレンモノマー41.4重量部、メタクリル酸12.6重量部、メチルエチルケトン50重量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3 重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、また更に2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3 重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105 ℃で2時間乾燥させることて溶媒を除去し、標準物質としてポリスチレン、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は55000であった。
なお、水不溶性ビニルポリマーの合成に用いた化合物の詳細は、以下のとおりである。
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート:アルドリッチジャパン(株)製試薬(数平均分子量:375)
・スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS-6S、固形分50重量%、数平均分子量:6000
・スチレンモノマー 和光純薬工業社製試薬 特級
・メタクリル酸 和光純薬工業社製試薬 特級
製造例1
合成例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー15重量部を、メチルエチルケトン25重量部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)3.48重量部加えて塩生成基の一部を中和し、更にキャボット社製カーボンブラックBLACK PEARLS2000(一次粒子径12nm、比表面積1500m/g、DBP吸収量330cm/100g)7.5重量部、キャボット社製カーボンブラックMONARCH1100(一次粒子径14nm、比表面積240m/g、DBP吸収量65cm/100g)7.5重量部を加えた。これにイオン交換水300重量部を加え、攪拌した後、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)を用いて、30分間乳化した
得られた混練物に、イオン交換水120 重量部を加え、攪拌した後、減圧下で70℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、固形分濃度が20重量%のカーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー水分散体1を得た。
製造例2
カーボンブラックとして、キャボット社製カーボンブラックMONARCH880(一次粒子径16nm、比表面積220m/g,DBP吸収量112cm/100g)7.5重量部と、キャボット社製カーボンブラックMONARCH1100(一次粒子径14nm、比表面積240m/g、DBP吸収量65cm/100g)7.5重量部を用い、その他は製造例1と同様にして、固形分濃度が20重量%のカーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー水分散体2を得た。
製造例3
キャボット社製カーボンブラックBLACK PEARLS2000 7.5重量部、キャボット社製カーボンブラックMONARCH1100 7.5重量部の代わりに、キャボット社製カーボンブラックMONARCH880(一次粒子径16nm、比表面積220m/g,DBP吸収量112cm/100g)15重量部のみを用いた他は製造例1と同様にして、固形分濃度が20重量%のカーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー水分散体3を得た。
製造例4
キャボット社製カーボンブラックBLACK PEARLS2000 7.5重量部、キャボット社製カーボンブラックMONARCH1100 7.5重量部の代わりに、キャボット社製カーボンブラックMONARCH1100(一次粒子径14nm、比表面積240m/g,DBP吸収量65cm/100g)15重量部のみを用いた他は製造例1と同様にして、固形分濃度が20重量%のカーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー水分散体4を得た。
製造例5
キャボット社製カーボンブラックBLACK PEARLS2000 7.5重量部、キャボット社製カーボンブラックMONARCH1100 7.5重量部の代わりに、キャボット社製カーボンブラックBLACK PEARLS2000(一次粒子径12nm、比表面積1500m/g,DBP吸収量330cm/100g)15重量部のみを用いた他は製造例1と同様にして、固形分濃度が20重量%のカーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー水分散体5を得た。
実施例1
製造例1で得られた水分散体1(固形分20重量%)24.7重量部、グリセリン10重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル7重量部、サーフィノール465(エアプロダクツ社製)1重量部、プロキセルXL2(S)(アビシア社製)0.3重量部、イオン交換水58重量部を混合し、5μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mlの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過して粗大粒子を除去し、インクジェット記録用水系インク1を得た。
実施例2
製造例1で得られた水分散体1の代わりに、製造例2で得られた水分散体2(固形分20重量%)24.7重量部を用いたほかは実施例1と同様にして、インクジェット記録用水系インク2を得た。
比較例1
製造例1で得られた水分散体1の代わりに、製造例3で得られたカーボンブラック水分散体3(固形分20重量%)24.7重量部を用いたほかは実施例1と同様にして、比較水系インク1を得た。
比較例2
製造例1で得られた水分散体1の代わりに、製造例4で得られたカーボンブラック水分散体4(固形分20重量%)24.7重量部を用いたほかは実施例1と同様にして、比較水系インク2を得た。
比較例3
製造例1で得られた水分散体1の代わりに、製造例5で得られたカーボンブラック水分散体(固形分20重量%)24.7重量部を用いたほかは実施例1と同様にして、比較水系インク3を得た。
得られた水系インクの物性は下記方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
(1)粘度
東機産業(株)製、RE80L 型粘度計(ローター1)を用い、20℃で100 r/min
の粘度を測定し、以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:インク粘度が3.5mPa・s未満。
○:インク粘度が3.5mPa・s以上4.5mPa・s未満。
△:インク粘度が4.5mPa・s以上7.0mPa・s未満。
×:インク粘度が7.0mPa・s以上。
(2)吐出性
ヒューレット・パッカード(HEWLETT PACKARD)社製のバブルジェット(R)プリンター(型番:Desk Jet-720C)を用い、インクの吐出性を以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○:全ノズルで吐出良好。
△:一部のノズルで吐出不良あり。
×:吐出不良。
(3)印字濃度
前記プリンターを用い、市販の普通紙(XEROX4200)にベタ印字し、25℃で1時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、品番:RD914) で測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:印字濃度が1.2 以上。
○:印字濃度が1.1 以上1.2 未満。
△:印字濃度が1.0 以上1.1 未満。
×:印字濃度が1.0 未満。
(4)定着性
前記プリンターを用い、市販のインクシ゛ェット専用紙(セイコーエプソン社PM写真用紙)にベタ印字し、25℃で24時間乾燥させた後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:印字は全くとれない。
○:ほとんど印字はとれず、周りが汚れない。
△:少し印字が擦りとられ、周りが少し汚れ、指も少し汚れる。
×:かなり印字が擦りとられ、周りがかなりひどく汚れ、指も相当汚れる。
Figure 0004626944
表1に示された結果から、実施例で得られた水系インクはいずれも低粘度インクであるので、吐出性に優れていることがわかる。また、実施例1で得られた水系インクは、普通紙に高印字濃度の印刷物を形成することがわかる。また、実施例2で得られた水系インクは、普通紙での実用上十分な印字濃度と専用紙での定着性に優れた印字物を与えることがわかる。

Claims (5)

  1. カーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェットプリンタ記録用水系インクであり、
    カーボンブラックが、950℃での揮発分が5%以下のものであり、
    カーボンブラックとして、DBP吸収量の差が45cm 3 /100g以上であるDBP吸収量が異なるものを2種類以上含有するインクジェットプリンタ記録用水系インク。
  2. 水不溶性ビニルポリマーが、(A)ノニオン性の親水性モノマー、(B)塩生成基含有モノマー、並びに(C)(A)及び(B)のモノマーと共重合可能なモノマーを重合させて得られるものである請求項1記載のインクジェットプリンタ記録用水系インク。
  3. 前記DBP吸収量が異なるカーボンブラックのDBP吸収量がいずれも40〜400cm 3 /100gである請求項1又は2記載のインクジェットプリンタ記録用水系インク。
  4. 前記DBP吸収量が異なるカーボンブラックの一次粒子径の差が1nm以上である請求項1又は2記載のインクジェットプリンタ記録用水系インク。
  5. 前記DBP吸収量が異なるカーボンブラックの比表面積の差が10m2/g以上である請求項1又は2記載のインクジェットプリンタ記録用水系インク。
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