JP2008222905A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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茂樹 永嶋
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Abstract

【課題】吐出信頼性、画像均一性、定着性、耐マーカー性及び保存安定性に加えて、光沢紙に印字した際の光沢性及び画像濃度に優れたインクジェット記録用水系インク、及びその水系インクに用いられる水分散体を提供すること。
【解決手段】カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であって、該カーボンブラックの、DBP吸油量が20〜90ml/100gであり、比表面積が40〜230m2/gである、インクジェット記録用水分散体、及びその水分散体を含有する水系インクである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水分散体及び水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
特に印字物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料系インクを用いるものが主流となってきている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、炭素数6〜20のアルキル(メタ)アクリレートを重合単位に有する高分子化合物によって被覆された顔料を含有する水性顔料分散体であり、顔料としてカーボンブラックを含有する顔料分散体、及び該分散体を含有する水性記録液が開示されている。
特許文献2には、60〜200KOHmg/gの酸価を有し、かつ酸基の一部を塩基で中和した水不溶性ポリマーのポリマー粒子に、pH1〜6のカーボンブラックを含有させた水分散体が用いられてなる水系インクが開示されている。
特許文献3には、カーボンブラックを含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクであり、カーボンブラックとして、一次粒子径、比表面積及びDBP吸収量のうち少なくとも一つが異なるものを2種以上含有する水系インクが開示されている。
しかし、これらの水性記録液又は水系インクは、普通紙での印字濃度等はある程度改善されているが、特に光沢紙に印字した際の高い光沢性及び画像濃度が求められるインクとしては、満足できるものではない。
特開2001−234109号公報 特開2003−231831号公報 特開2005−42098号公報
本発明は、吐出信頼性、画像均一性、定着性、耐マーカー性及び保存安定性に加えて、光沢紙に印字した際の光沢性及び画像濃度に優れたインクジェット記録用水系インク、並びにその水系インクに用いられる水分散体を提供することを課題とする。
本発明者らは、カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であって、特定のDBP吸油量及び比表面積を有するカーボンブラックを用いることにより前記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であって、該カーボンブラックの、DBP吸油量が20〜90ml/100gであり、比表面積が40〜230m2/gである、インクジェット記録用水分散体。
(2)前記(1)のインクジェット記録用水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
本発明のインクジェット記録用水分散体を含有する水系インクは、光沢紙に印字した際の光沢性及び画像濃度に優れた印刷物を得ることができる。さらに該水系インクは、吐出信頼性、画像均一性、定着性、耐マーカー性及び保存安定性に優れる。
本発明のインクジェット記録用水分散体は、カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子(以下、「CB含有ポリマー粒子」ということがある)の水分散体であって、該カーボンブラックの、DBP吸油量が20〜90ml/100gであり、比表面積が40〜230m2/gであることを特徴とする。
(カーボンブラック)
本発明においては、インク中で安定な微粒子にするため、また、耐マーカー性、耐水性等の観点から、カーボンブラックを水不溶性ポリマー粒子中に含有させる。
本発明に用いられるカーボンブラックのDBP(ジブチルフタレート)吸油量は、光沢性及び画像濃度を向上させる観点から、20〜90ml/100gであり、好ましくは30〜90ml/100g、更に好ましくは40〜80ml/100gである。ここで、カーボンブラックのDBP吸油量は、その嵩高さと正の相関がある。DBP吸油量がこの範囲内であると、カーボンブラックが、適度な嵩高さを有するために、光沢紙に印字した際の光沢性及び画像濃度に優れ、さらに定着性、耐マーカー性、画像均一性(隠蔽性)、吐出信頼性及び保存安定性にも優れる。なお、普通紙に印字する際に高画像濃度効果を発揮させるには、カーボンブラックはかなり高いレベルの嵩高さを必要とする。このため、光沢紙と普通紙とでは、前記DBP吸油量の範囲において、画像濃度性能が相異する。
本発明に用いられるカーボンブラックの比表面積は、光沢性及び画像濃度を向上させる観点から、40〜230m2/gであり、好ましくは100〜230m2/g、更に好ましくは150〜220m2/gである。カーボンブラックの比表面積は、その一次粒子径、及びその二次粒子径と相関がある。通常、一次粒子径が小さい方が光沢性がよいと思われるが、一次粒子径が小さ過ぎるとカーボンブラック粒子同士の凝集力が強くなり、二次粒子を形成して、逆に光沢性には好ましくない。比表面積がこの範囲内であると、該粒子同士の凝集力が抑制されるため、光沢性及び画像濃度に優れ、さらに定着性、耐マーカー性、画像均一性(隠蔽性)、吐出信頼性及び保存安定性にも優れる。
本発明に用いられるカーボンブラックの揮発分は、好ましくは3%未満、より好ましくは2.5%以下である。下限は0.1%以上が好ましい。この範囲内の揮発分を有するカーボンブラックは、カーボンブラックに含まれる水酸基やカルボキシ基等の揮発成分の含有量が比較的少なく、CB含有ポリマー粒子の保存安定性に優れる。
本発明に用いられるカーボンブラックのpH値は、保存安定性の観点から、好ましくはpH6〜11、より好ましくはpH7〜10、更に好ましくはpH8〜9.5である。
前記諸特性の測定において、DBP吸油量はISO 1126(JIS K6217−4)、及び、比表面積はISO 1126(JIS K6217−2)に準拠した値である。pHはDIN ISO787/9(25℃)に基づき、ガラス電極を用いてカーボンブラックの水性懸濁液のpHを測定した値である。揮発分は、950℃、7分間加熱して得られた値(ASTM D1620−60に準拠)である。
カーボンブラックの種類としては、ファーネスブラック(ハイカラーファーネスブラック、ミディアムカラーファーネスブラックを含む)、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。カーボンブラックは、オゾン、硝酸、過酸化水素、窒素酸化物等の酸化剤を使用する気相又は液相酸化法、又はプラズマ処理等の表面改質法により酸化処理することもできる。
商業的に入手できるカーボンブラックの具体例としては、キャボット社製のM800、M900、デグサ社製のNIPex85、NIPex75、三菱化学株式会社製の#850、コロンビヤ・カーボン株式会社製のReven2000、Reven1500等が挙げられる。
上記市販のカーボンブラックの中では、特にキャボット社製の商品名、M800(比表面積210、吸油量68)、デグサ社製の商品名、NIPex85(比表面積200、吸油量48)が好ましい。比表面積、吸油量の単位は、それぞれm2/g、ml/100gである。
前記のカーボンブラックは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、カーボンブラック以外の無機顔料又は有機顔料を、水不溶性ポリマー粒子に含有させることもできる。また、必要により、それらと体質顔料とを併用することもできる。カーボンブラック以外の無機顔料としては、金属酸化物、金属硫黄物、金属塩化物等が挙げられる。有機顔料としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
(水不溶性ポリマー)
本発明の水分散体及び水系インクには、優れた画像濃度、光沢性、吐出信頼性、保存安定性を得る観点から、カーボンブラックを水不溶性ポリマー粒子に含有させた水分散体を用いる。
本発明に用いられる水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
本発明において水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が好ましくは10g以下、より好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。前記溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水不溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
水不溶性ポリマーとしては、十分な画像濃度を発現させる観点から、塩生成基含有モノマー(a)(以下「(a)成分」ということがある)由来の構成単位、及び炭素数8〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はアルケニル(メタ)アクリレート(c)(以下「(c)成分」ということがある)由来の構成単位を有することが好ましい。
更に好ましくは、塩生成基含有モノマー(a)、マクロマー(b)(以下「(b)成分」ということがある)、及び炭素数8〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はアルケニル(メタ)アクリレート(c)とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を共重合させてなるグラフトポリマーが更に好ましい。このグラフトポリマーは、(a)〜(c)成分由来の構成単位を有する。より好適な水不溶性ポリマーは、(a)成分由来の構成単位及び(c)成分由来の構成単位を主鎖に有し、(b)成分由来の構成単位を側鎖に有するグラフトポリマーである。
(塩生成基含有モノマー(a))
塩生成基含有モノマー(a)は、得られる水分散体の分散性を高める等の観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられるが、特にカルボキシ基が好ましい。
塩生成基含有モノマー(a)としては、特開平9−286939号公報段落〔0022〕等に記載されているカチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散性、吐出信頼性等の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
(マクロマー(b))
マクロマー(b)は、カーボンブラックを含有するポリマー粒子の分散性を高める等の観点から用いられる。マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。なお、マクロマー(b)の数平均分子量は、カラムとして東ソー株式会社製、G4000HXL+G2000HXLを用い、溶離液として50mM CH3COOH/1級を含有するテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
マクロマー(b)の中では、ポリマー粒子の分散性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、又は、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、ヘテロ原子を含む置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、それらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、カーボンブラックとの親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
マクロマー(b)は、オルガノポリシロキサン等の他の構成単位からなる側鎖を有するものであってもよい。この側鎖は、例えば下記式(1)で表される片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)-COOC36-〔Si(CH32O〕t-Si(CH33 (1)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
(b)成分として商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
(炭素数8〜22のアルキル又はアルケニル(メタ)アクリレート(c))
炭素数8〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はアルケニル(メタ)アクリレート(c)は、下記式(2)で表され、カーボンブラックとビニルポリマーとの親和性を向上させると考えられ、画像濃度、画像均一性及び保存安定性の向上の観点から用いられる。
CH2=CHR1COOR2 (2)
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
式(2)において、R2は、好ましくは炭素数12〜22、より好ましくは炭素数14〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はアルケニル基である。
(c)成分の好適具体例としては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)テトラデシル(メタ)アクリレート、(イソ)パルミチル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
(疎水性モノマー(d))
モノマー混合物には、画像濃度及び画像均一性の向上の観点から、更に、疎水性モノマー(d)(以下「(d)成分」ということがある)が含有されていてもよい。(d)成分由来の構成単位はグラフトポリマーの主鎖の一部を構成する。
疎水性モノマー(d)は、前記(c)成分以外の疎水性モノマーであり、例えば、炭素数1〜7のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
炭素数1〜7のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を示す。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、例えば、前記のスチレン系モノマー(d−1成分)、前記の芳香族基含有(メタ)アクリレート(d−2成分)が挙げられる。ヘテロ原子を含む置換基としては、前記のものが挙げられる。
(d)成分の中では、画像濃度向上の観点から、スチレン系モノマー(d−1成分)が好ましく、スチレン系モノマー(d−1成分)としては特にスチレン及び2−メチルスチレンが好ましい。(d)成分中の(d−1)成分の含有量は、画像濃度向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(d−2)成分としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。(d)成分中の(d−2)成分の含有量は、画像濃度及び光沢性の向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、(d−1)成分と(d−2)成分を併用することも好ましい。
(水酸基含有モノマー(e))
モノマー混合物には、更に、水酸基含有モノマー(e)(以下「(e)成分」ということがある)が含有されていてもよい。水酸基含有モノマー(e)は、分散性を高めるという優れた効果を発現させるものである。(e)成分由来の構成単位はグラフトポリマーの主鎖の一部を構成する。
(e)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
(下記式(3)で表されるモノマー(f))
モノマー混合物には、更に、下記式(3)で表されるモノマー(f)(以下「(f)成分」ということがある)が含有されていてもよい。(f)成分由来の構成単位はグラフトポリマーの主鎖の一部を構成する。
CH2=C(R3)COO(R4O)q5 (3)
(式中、R3は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R4は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R5は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜18の1価の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルキル基を有していてもよいアリール基、qは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは2〜30の数を示す。)
(f)成分は、吐出信頼性を向上するという優れた効果を発現する。
式(3)において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
3の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
4O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
5の好適例としては、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の脂肪族アルキル基、フェニル基、ベンジル基が挙げられる。
(f)成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(3)中のqの値を示す。以下、同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテルが好ましい。
商業的に入手しうる(e)、(f)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G、同90G、同230G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE600B等が挙げられる。
上記(a)〜(f)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
水不溶性ポリマーの製造時における、前記(a)〜(f)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又は該ポリマー中における(a)〜(f)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散性の観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、特にカーボンブラックとの相互作用を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、画像濃度向上、画像均一性及び保存安定性の観点から、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは10〜65重量%、更に好ましくは10〜60重量%である。
(d)成分の含有量は、画像濃度向上、画像均一性の観点から、好ましくは2〜70重量%、より好ましくは3〜60重量%である。
(e)成分の含有量は、得られる分散体の分散性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(f)成分の含有量は、吐出信頼性向上の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物中における〔(c)成分+(d)成分〕の合計含有量は、画像濃度向上、画像均一性の観点から、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜70重量%、特に好ましくは30〜60重量%である。
また、〔(a)成分+(e)成分+(f)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散性及び吐出信頼性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。
また、〔(a)成分/{(b)成分+(c)成分+(d)成分の合計量}〕の重量比は、得られる分散体の分散性及び画像濃度向上の観点から、好ましくは0.05〜1、より好ましくは0.08〜0.67、更に好ましくは0.1〜0.5である。
(水不溶性ポリマーの製造)
水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られた水不溶性ポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明で用いられる水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、画像濃度、光沢性及びカーボンブラックの分散性の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、2万〜30万が更により好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、実施例で示す方法により測定する。
本発明で用いられる水不溶性ポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
(CB含有ポリマー粒子の水分散体の製造)
カーボンブラックを含有するポリマー粒子の水分散体の製造方法は特に限定されないが、下記工程I及びIIを有する方法によれば効率的に製造することができる。
工程I:ポリマー、カーボンブラック、有機溶媒、及び水を含有する混合物を分散して、CB含有ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程II:工程Iで得られた分散体から有機溶媒を除去する工程
工程Iでは、まず、ポリマーを有機溶媒に溶解させ、得られたポリマー溶液に、着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を加えて混合物を得、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。混合物中、カーボンブラックは、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
ポリマーが塩生成基を有する場合は中和剤を用いることが好ましいが、中和度に特に制限はない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えばpHが4.5〜10であることが好ましい。ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。有機溶媒は、水100gに対する溶解量が20℃において、5g以上のものが好ましく、10g以上のものが更に好ましく、より具体的には5〜80gのものが好ましく、10〜50gのものが更に好ましい。特に、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
工程Iにおける混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけでポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程Iの分散温度は、5〜50℃が好ましく、10〜35℃が更に好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス〔以上、特殊機化工業株式会社、商品名〕、クリアミックス〔エム・テクニック株式会社、商品名〕、ケイディーミル〔キネティック・ディスパージョン社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY〔白水化学株式会社、商品名〕、DeBEE2000 〔日本ビーイーイー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中では、カーボンブラックの小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
工程IIでは、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去して水系にすることで、CB含有ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られたポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されている。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
得られたCB含有ポリマー粒子の水分散体は、カーボンブラックを含有するポリマーの固形分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくともカーボンブラックとポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、ポリマーにカーボンブラックが内包された粒子形態、ポリマー中にカーボンブラックが均一に分散された粒子形態、ポリマー粒子の表面にカーボンブラックが露出された粒子形態等が含まれる。
(インクジェット記録用水分散体及び水系インク)
本発明の水系インクは、本発明の水分散体を含有し、必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤の混合方法に特に制限はない。
インクジェット記録用水分散体及び水系インク中における、各成分の含有量は、画像濃度、光沢性及び保存安定性等の観点から次のとおりである。
CB含有ポリマー粒子(固形分)の含有量は、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは2〜25重量%である。
カーボンブラックの含有量は、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは2〜20重量、より更に好ましくは2〜15重量%である。
ポリマーの含有量は、好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは1〜15重量%、より更に好ましくは1〜10重量%である。
〔ポリマー/カーボンブラック〕の重量比は、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20、特に好ましくは20/80〜50/50である。
水分散体におけるCB含有ポリマー粒子の平均粒子径は、光沢性、画像濃度、プリンターのノズルの目詰まり防止及び分散性の観点から、95nm以下であり、好ましくは20〜95nm、より好ましくは30〜95nm、特に好ましくは40〜90nmである。なお、水系インク中におけるCB含有ポリマー粒子の平均粒子径の好ましい範囲は、水分散体におけるものと同じ範囲である。CB含有ポリマー粒子の平均粒子径の測定は、実施例記載の方法で行う。
水分散体の固形分10重量%における粘度(20℃)は、水系インクとした時に良好な粘度とするために、2〜6mPa・sが好ましく、2〜5mPa・sが更に好ましい。また、水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出信頼性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。なお、水分散体及び水系インクの粘度の測定は、E型粘度計を用いて、測定温度20℃、測定時間1分、回転数100rpm、標準ローター(1°34’×R24)使用の条件で測定する。
本発明の水分散体及び水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水分散体としては、好ましくは30〜70mN/m、更に好ましくは35〜68mN/mであり、水系インクとしては、好ましくは25〜50mN/m、更に好ましくは27〜45mN/mである。また、水系インクのpHは4〜10が好ましい。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、光沢紙に印字したときに光沢性及び画像濃度に優れた印刷物を得ることができる。
本発明の水系インクを適用するインクジェットの方式は制限されないが、特にピエゾ方式のインクジェットプリンターに好適である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマーの重量平均分子量、CB含有ポリマー粒子の平均粒子径、カーボンブラックのDBP吸油量、及び比表面積の測定方法は以下のとおりである。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定
標準物質としてポリスチレン、カラムとして東ソー株式会社製のG4000HXL+G2000HXLを用い、溶離液として50mM CH3COOH/1級を含有するテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。
(2)CB含有ポリマー粒子の平均粒子径の測定
大塚電子株式会社製のELS−8000を用いて測定した。測定条件は、温度が25℃、入射光と検出器との角度が90°、積算回数が200回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度は、通常5×10-3重量%程度で行った。
(3)カーボンブラックのDBP吸油量の測定
ISO 1126(JIS K6217−4)に準拠して行った。
(4)カーボンブラックの比表面積の測定
ISO 1126(JIS K6217−2)に準拠して行った。
製造例1及び2(ポリマー溶液の調製)
反応容器内に、メチルエチルケトン10部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.02部、及び表1に示す各モノマー(重量部表示)の各20%ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロート中に、表1に示す各モノマー(重量部表示)のうちの残りの80%ずつを仕込み、次いで前記の重合連鎖移動剤0.08部、メチルエチルケトン10部及び重合開始剤〔2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〕1.0部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その混合溶液の液温を75℃で2時間維持した後、前記の重合開始剤0.6部をメチルエチルケトン10部に溶解した溶液を該混合溶液に加え、更に75℃で3時間、85℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによってポリマーを単離し、重量平均分子量を前記に記載の方法により測定した。結果を表1に示す。なお、表中の各モノマーの数値は、有効分の重量部を示す。
Figure 2008222905
実施例1〜3及び比較例1〜2
(CB含有ポリマー粒子の水分散体及び水系インクの製造)
表2に示す前記製造例1又は2で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部を、メチルエチルケトン71.5部に溶かし、その中にイオン交換水209.7部と中和剤(5N−水酸化ナトリウム水溶液)を酸価に対して65%(中和度65%)加えた混合物で塩生成基を中和し、更に表2に示すCB−1〜4のいずれかのカーボンブラック75部を加え、ディスパー分散した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、商品名)で180MPaの圧力で15パス分散処理した。得られた分散体から、エバポレーターを用いて減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、固形分量が20%のCB含有ポリマー粒子の水分散体を得た。得られたCB含有ポリマー粒子の平均粒径を前記に記載の方法により求めた。結果を表2に示す。
前記で得られたCB含有ポリマー粒子の水分散体25部、グリセリン10部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5部、ヘキサンジオール2部、アセチレングリコールEO付加物(n=10)0.5部及びイオン交換水57.5部を混合し、得られた混合液を1.2μmのメンブランフィルター〔Sartorius社製、商品名:Minisart〕で濾過し、水系インクを得た。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた水系インクの物性を下記方法に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
(1)光沢度
市販のセイコーエプソン株式会社のインクジェットプリンター(品番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて、画彩写真仕上げ光沢紙(富士写真フィルム株式会社製)に対し、ベタ画像を印字し、1日放置後、光沢度計PG−1M(日本電色工業株式会社製)を用いて測定角度60°で任意の5箇所を測定し、平均値を求めた。
(2)画像濃度
前記プリンターを用い、前記(1)と同じ光沢紙に対し、ベタ画像を印字し、1日放置後、光学濃度計SpectroEye(グレタグマクベス社製)を用いて任意の10箇所を測定し、平均値を求めた。
(3)吐出信頼性
前記プリンターを用い、普通紙P紙(富士ゼロックス株式会社製)に2000文字/枚を100枚連続印刷した後、文字、ベタ画像及び罫線を含むテスト文書を印字し、(i)シャープでハッキリとした文字、(ii)均一なベタ画像、及び(iii)ヨレのない罫線の3項目を評価し、以下の判断基準により評価した。
〔判断基準〕
○:3項目をいずれも満足する(問題なし)
△:3項目をいずれもほぼ満足する(実使用上問題なし)
×:1項目以上満足しない(実使用上問題あり)
(4)画像均一性(隠蔽製)
前記プリンターを用い、前記(3)と同じ普通紙P紙、及び普通紙4024紙(富士ゼロックス株式会社製)に対し、ベタ画像を印字し、色むらがあるか否かを官能評価し、以下の判断基準により評価した。
〔判断基準〕
○:色むらなし(抜けなし)
×:色むらがある(白抜けあり)
(5)定着性
前記プリンターを用い、前記(3)と同じ普通紙P紙に対し、20mm×20mmの大きさのベタ画像を印字し、10秒後の印字画像の上から別の普通紙P紙の裏面を重ね、さらに上から490g(荷重面積43mm×30mm)の荷重をかけた状態で、ベタ画像表面を移動させ、重ねた紙の汚れを測定した。評価は以下の判断基準により行った。
〔判断基準〕
○:ほとんど印字物はとれず、周りが黒くならない。
△:ほとんど印字物はとれず、僅かに周りが黒くなるが、実用上問題ないレベル。
×:印字物が擦りとられ、周りがひどく黒くなり、指も相当汚れる。
(6)耐マーカー性
前記プリンターを用い、前記(3)と同じ普通紙P紙、及び前記(4)と同じ普通紙4024紙に対し、テキスト印字し、6時間経過後、市販の蛍光ペン(ゼブラ株式会社製、商品名:ビームライナーS BM−151)でテキスト画像面をなぞった場合、印字サンプルの汚れ度合いを目視により観察し、以下の判断基準に基づいて耐マーカー性を評価した。
〔判断基準〕
○:蛍光ペンでなぞっても尾引き等汚れがない。
△:蛍光ペンでなぞると若干尾引きするが、実用上問題がないレベル。
×:蛍光ペンでなぞると尾引きが発生し、汚れがひどい。
(7)保存安定性の評価
水系インクをガラス製密閉容器に充填し、70℃、30日保存後のインク粘度をE型粘度計(東機産業(株)製、RE80L型粘度計)を用いて20℃で粘度を測定し、下記式より粘度変化率を求め(数値が100%に近い方が、保存安定性が良い)、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○:100±10%以内。
△:100±10超〜20%以内。
×:100±20%超。
粘度変化率(%)=(〔保存後の粘度〕/〔保存前の粘度〕)×100
Figure 2008222905
表2から、実施例1〜3の水系インクは、比較例1及び2の水系インクに比べて、光沢紙での光沢性及び画像濃度に優れ、さらには、吐出信頼性、画像均一性、定着性、耐マーカー性及び保存安定性にも優れることが分かる。

Claims (6)

  1. カーボンブラックを含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であって、該カーボンブラックの、DBP吸油量が20〜90ml/100gであり、比表面積が40〜230m2/gである、インクジェット記録用水分散体。
  2. 前記水不溶性ポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位、及び、炭素数8〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はアルケニル(メタ)アクリレート(c)由来の構成単位を有するポリマーである、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体。
  3. 前記水不溶性ポリマー中、炭素数8〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はアルケニル(メタ)アクリレート(c)由来の構成単位の含有量が10〜70重量%である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体。
  4. 前記水不溶性ポリマー粒子の平均粒子径が95nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  5. 前記水不溶性ポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位、及び炭素数8〜22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はアルケニル(メタ)アクリレート(c)由来の構成単位を主鎖に有し、マクロマー(b)由来の構成単位を側鎖に有するグラフトポリマーである、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
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