JP4695529B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用水系インク、そのインクに用いられる水分散体、及びそのインクを用いる印字物の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能で、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
その中でも、印字物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料系インクを用いるものが主流となってきている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、画像汚れ特性を改善する目的で、水、界面活性剤、オレフィン性モノマー(酸等)の混合物を重合してなる可溶化樹脂エマルジョン、ベヒクル、及び着色剤を含むインクが開示されている。
特許文献2には、ビニルポリマーに顔料を含有させた水系インクであって、高印字濃度を付与するために、ビニルポリマーとしてマクロマーを用いたグラフトポリマーが開示されている。
特許文献3には、耐擦過性等を改善するために、自己分散型顔料とポリマー粒子を含有するインク組成物が開示されている。
これらのインクは、インク特性がある程度改善されているが、特に専用紙に印字した際の高い光沢性が求められるインクとしては、満足できるものではない。
特開平10−338826号公報 国際公開第00/39226号パンフレット 特開2001−329199号公報
本発明は、高い印字濃度を満足しつつ、専用紙に印字した際の光沢性に優れたインクジェット記録用水系インク、そのインクに用いられる水分散体、及びそのインクを用いる印字物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、自己分散型顔料と、芳香族基を含有するマクロマー芳香族基を含有するモノマー由来の構成単位を特定割合で含む自己乳化ポリマー粒子とを含有する水分散体が、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)(A)自己分散型顔料、並びに(B)(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位とを構成成分とし、(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位との合計含有量が45〜80重量%である自己乳化ポリマー粒子を含有する、インクジェット記録用水分散体
(2)前記(1)の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク
3)前記(2)の水系インクを、インクジェット記録方法により専用紙上に印字する、印字物の製造方法、及び
(4)(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位とを構成成分とし、(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位との合計含有量が45〜80重量%である水不溶性ポリマー、有機溶媒、中和剤及び水性媒体を含有する混合物を撹拌し、該有機溶媒を除去して(B)自己乳化ポリマー粒子の水分散体を得、(A)自己分散型顔料を混合する、前記(1)のインクジェット記録用水分散体の製造方法、
を提供する。
本発明のインクジェット記録用水分散体を含有する水系インクは、高い印字濃度を満足しつつ、専用紙に印字した際の光沢性に優れた水系インクである。
また、本発明の方法によれば、専用紙に印字した際優れた光沢性を有する印字物が製造できる。
本発明のインクジェット記録用水分散体は、(A)自己分散型顔料、並びに(B)(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位とを構成成分とし、(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位との合計含有量が45〜80重量%である自己乳化ポリマー粒子を含有することが特徴である。以下、これらの各成分について説明する。
(A)自己分散型顔料
自己分散型顔料とは、アニオン性親水基又はカチオン性親水基の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。ここで、他の原子団としては、炭素原子数1〜24、好ましくは炭素原子数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基又は置換基を有してもよいナフチレン基が挙げられる。
アニオン性親水基としては、顔料粒子を水系媒体に安定に分散しうる程度に十分に親水性が高いものであれば、任意のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシル基(−COOM1)、スルホン酸基(-SO31)、リン酸基(−PO31 2)、−SO2NH2 、−SO2 NHCOR1又はそれらの解離したイオン形(−COO-、-SO3 -、−PO3 2-、−PO3 - 1)等が挙げられる。
上記化学式中、M1は、同一でも異なってもよく、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム;モノメチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基;モノエチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基;モノメタノールアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基等の有機アンモニウムである。
1は、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基である。
これらのアニオン性親水基の中では、特にカルボキシル基(−COOM1)、スルホン酸基(-SO31)が好ましい。
カチオン性親水基としては、アンモニウム基、アミノ基等が挙げられる。これらの中でも第4級アンモニウム基が好ましく、特に下記式(1)で表される基、
Figure 0004695529
〔式中、R2 、R3 及びR4は、それぞれ独立して水素原子又はR1(R1 は前記と同じ)、Xはフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、酢酸、プロピオン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等のカルボン酸又は炭素数1〜8のアルキルサルフェートからプロトンを除去したアニオン性基を示す。〕、
及び下記式で表される基から選ばれる1種以上が好ましい。
Figure 0004695529
自己分散型顔料に用いられる顔料としては特に制限はなく、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
また、カラー水系インクにおいては、有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、C.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
顔料を自己分散型顔料とするには、上記のアニオン性親水基又はカチオン性親水基の必要量を、顔料表面に化学結合させればよい。そのような方法としては、任意の公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第5571311号明細書、同第5630868号明細書、同第5707432号明細書、J.E.Johnson,Imaging Science and Technology's50th Annual Coference(1997)、Yuan Yu, Imaging Science and Technology's 53th Annual Conference(2000)、ポリファイル,1248(1996)等に記載されている方法が挙げられる。
より具体的には、硝酸、過酸化水素、次亜塩素酸、クロム酸のような酸化性を有する酸等の化合物によってカルボキシル基を導入する方法、過硫酸化合物の熱分解によってスルホン基を導入する方法、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基等を有するジアゾニウム塩化合物によって上記のアニオン性親水基を導入する方法等があるが、これらの方法に限定されるものではない。
アニオン性親水基又はカチオン性親水基の存在比は、特に限定されるものではないが、自己分散型顔料1g当たり50〜5,000μmol/gが好ましく、100〜3,000μmol/gがより好ましい。
水分散体及び水系インク中、自己分散型顔料の平均粒子径は、該分散体の安定性の観点から、50〜300nmが好ましく、60〜200nmがより好ましい。なお、平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力して行う。
アニオン性自己分散型顔料(カーボンブラック)の市販品としては、CAB−O−JET 200、同300(キャボット社製)やBONJET CW−1、同CW−2(オリヱント化学工業株式会社製)、東海カーボン株式会社のAqua−Black 162(カルボキシル基として約800μmol/g)等が挙げられる。
自己分散型顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
(B)自己乳化ポリマー粒子
本発明で用いられる(B)(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位及び/又は(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位の合計含有量が45〜80重量%である自己乳化ポリマー粒子とは、界面活性剤の不存在下、ポリマー自身の官能基(特に塩基性基又はその塩)によって、水中で乳化状態である水不溶性ポリマーの粒子をいう(以下、単に「(B)自己乳化ポリマー」又は「(B)自己乳化ポリマー粒子」という)。その調製方法のひとつとして、ポリマーを溶媒中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、ポリマーが有する塩生成基を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化状態を得る方法が挙げられる。
「乳化状態」とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶媒を除去した後でも、乳化又は分散状態が、25℃で、少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
本発明で用いられる特定の(B)自己乳化ポリマー粒子と自己分散型顔料とを用いることで、インクジェットのノズルから吐出したインク中の自己分散型顔料が、専用紙上で平坦に拡がるため、印字物の平滑性が高まり、光沢性が向上すると考えられる。
(水不溶性ポリマー)
ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位及び/又は(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位の合計含有量が45〜80重量%である水不溶性ビニルポリマーとしては、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ということがある)と(b)芳香族基含有マクロマー(以下「(b)成分」ということがある)及び/又は(c)芳香族基含有モノマー(以下「(c)成分」ということがある)、とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を、溶液重合法により共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーが好ましい。この水不溶性ビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位とを有する。
(a)塩生成基含有モノマーは、自己乳化促進の観点、得られる分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基などが挙げられる。
塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9−286939号公報5頁7欄24行〜8欄29行に記載されているもの等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。
(b)芳香族基含有マクロマーは、光沢性、ポリマー粒子の分散安定性を高める観点から用いられる。マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。(b)成分の数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)芳香族基含有マクロマーの中では、顔料との親和性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレンなどが挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、ヘテロ原子を含む置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基などが挙げられる。具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、それらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
本発明に用いられる水不溶性ポリマーは、(b)芳香族基含有マクロマー以外に、更にオルガノポリシロキサン等の他の構成単位からなる側鎖を有するマクロマー由来の構成単位を有していてもよい。この側鎖は、例えば下記式(2)で表される片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)−COOC36−〔Si(CH32O〕t−Si(CH33 (2)
(式中、tは8〜40の数を示す。)
(b)成分として商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
(c)芳香族基含有モノマーは、専用紙における光沢性、印字濃度を向上させる観点から用いられる。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜12の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、例えば、前記のスチレン系モノマー(c−1成分)、前記の芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2成分)が挙げられる。ヘテロ原子を含む置換基としては、前記のものが挙げられる。
(c)成分の中では、専用紙における光沢性、印字濃度向上の観点から、スチレン系モノマー(c−1成分)が好ましく、スチレン系モノマーとして、前記のものが挙げられ、特にスチレン及び2−メチルスチレンが好ましい。(c)成分中の(c−1)成分の含有量は、印字濃度及び光沢性向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)成分として、前記のものが挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。(c)成分中の(c−2)成分の含有量は、光沢性の向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
(c)芳香族基含有モノマーは、スチレン系モノマー(c−1)と、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)を含有することが、光沢性向上の観点から好ましい。スチレン系モノマー(c−1)と、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)との重量比〔(c−1)/(c−2)〕は、1/10〜10/1が好ましく、1/5〜5/1が更に好ましく、1/3〜3/1が特に好ましい。
モノマー混合物には、ポリマー粒子の分散安定性を高める観点から、更に、(d)水酸基含有モノマー(以下「(d)成分」という)が含有されていてもよい。
(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
モノマー混合物には、更に、(e)下記式(3)で表されるモノマー(以下「(e)成分」という)が含有されていてもよい。
CH2=C(R5)COO(R6O)p7 (3)
(式中、R5は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R6は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R7は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは1〜30の数を示す。)
(e)成分は、水系インクの吐出安定性を高め、連続印字してもヨレの発生を抑制するという優れた効果を発現する。
式(3)において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
5のより好適な例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
6O基の特に好適な具体例としては、オキシエチレン基、オキシ(イソ)プロピレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基等の炭素数2〜7のオキシアルキレン基、及びこれらオキシアルキレンの2種以上の組合せが挙げられる。
7の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。
(e)成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(3)中のpの値を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエ-テル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエ-テルが好ましい。
商業的に入手しうる(d)、(e)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G、同90G、同230G、EH−4G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B等が挙げられる。
前記モノマー混合物に含有していてもよい他のモノマーとして、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(a)〜(e)成分、及びその他のモノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。
水不溶性ビニルポリマー製造時における、上記(a)〜(e)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又は水不溶性ポリマー中における(a)〜(e)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、自己乳化促進の観点、得られるポリマー粒子の分散安定性を高める観点から、好ましくは3〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、専用紙における光沢性、ポリマー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、専用紙における光沢性、印字濃度の観点から、好ましくは30〜79重量%、より好ましくは35〜70重量%である。(b)成分と(c)成分は併用してもよく、いずれか一方のみを使用してもよい。
(b)成分と(c)成分の合計含有量は、光沢性、ポリマー粒子の分散安定性の観点から、45〜80重量%であり、50〜80重量%が好ましく、55〜75重量%が更に好ましい。
水不溶性ビニルポリマー中の(a)、(b)、(c)成分の重量比((a)/[(b)+(c)])は、長期保存安定性、吐出性等の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.05〜0.6、更に好ましくは0.05〜0.4である。
(d)成分の含有量は、ポリマー粒子の分散安定性向上の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(e)成分の含有量は、吐出安定性等の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物中における〔(a)成分+(d)成分〕の合計含有量は、ポリマー粒子の分散安定性及び耐水性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。〔(a)成分+(e)成分〕の合計含有量は、ポリマー粒子の分散安定性及び吐出安定性の観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。〔(a)成分+(d)成分+(e)成分〕の合計含有量は、ポリマー粒子の分散安定性及び吐出安定性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。また、〔(b)成分+(c)成分+(e)成分〕の合計含有量は、専用紙における光沢性、印字濃度、ポリマー粒子の分散安定性及び吐出安定性の観点から、好ましくは55〜97重量%、より好ましくは65〜95重量%である。
(水不溶性ポリマーの製造)
(B)自己乳化ポリマーとするための水不溶性ポリマーは、溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。重合の際には、更に、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
得られる水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、光沢性の観点から5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000が更に好ましく、10,000〜300,000が特に好ましく、40,000〜300,000が最も好ましい。
なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
((B)自己乳化ポリマー粒子の製造)
水不溶性ポリマーから(B)自己乳化ポリマー粒子を製造する場合は、次の工程(1)及び(2)により、水分散体として得ることが好ましい。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程。
工程(2):前記有機溶媒を除去する工程。
前記工程(1)では、まず前記水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に中和剤を含む水性媒体に加えて混合、攪拌し、水中油型の分散体を得ることが好ましい。このように、中和剤を含む水性媒体に水不溶性ポリマーを添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い、微粒径の(B)自己乳化ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はないが、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置や、場合によっては超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いてもかまわない。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられ、水に対する溶解度が20℃において、10〜80重量のものが好ましい。
アルコール系溶媒としては、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒が好ましい。
水性媒体とは、水を主成分とする媒体であり、多価アルコール等の、溶解度が20℃において100重量%以上の親水性溶媒を含んでいてもよい。
混合物中、有機溶媒の含有量は10〜70重量%が好ましく、水不溶性ポリマーの含有量は2〜40重量%が好ましく、水性媒体の含有量は10〜70重量%が好ましい。また、前記混合物の攪拌方法に特に制限はない。
中和剤としては、水不溶性ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
水不溶性ポリマーの中和度は、通常10〜200%、好ましくは20〜150%、更に好ましくは50〜150%である。
中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合、中和度は下記式によって求めることができる。
[[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]]×100
酸価やアミン価は、水不溶性ビニルポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶媒を留去して水系にすることで、(B)自己乳化ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られた水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下である。
得られる(B)自己乳化ポリマー粒子の水分散体のD50(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積50%の値)は、水分散体の保存安定性の観点から、500nm以下が好ましく、300nm以下が更に好ましく、200nm以下が特に好ましい。また、製造のし易さから、その下限は10nm以上が好ましく、40nm以上が更に好ましい。
また該水分散体のD90(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積90%の値)は、粗大粒子を減らして分散体の保存安定性を高める観点から、2000nm以下が好ましく、1000nm以下が更に好ましく、500nm以下が特に好ましい。また、製造のし易さから、その下限は20nm以上が好ましく、80nm以上が更に好ましい。
なお、D50及びD90の測定は、前記の大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて、同様の条件で行う。
インクジェット記録用水分散体、及び水系インク
本発明の水分散体は、前記の方法により得られた(A)自己分散型顔料、及び(B)自己乳化ポリマー粒子の水分散体を混合することにより得ることができる。
本発明の水系インクは、本発明の水分散体を含有し、水を主媒体とするインクであり、必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を添加することができる。これらの各成分の混合方法に特に制限はない。
インクジェット記録用水分散体及び水系インク中の(A)自己分散型顔料、(B)自己乳化ポリマー粒子、及び水の含有量は次のとおりである。
(A)自己分散型顔料の含有量は、水分散体、インクの安定性、印字濃度の観点から、好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%、特に好ましくは2〜8重量%である。
(B)自己乳化ポリマー粒子の含有量は、水分散体及びインクの安定性、印字物の光沢性の観点から、好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは1〜12重量%、特に好ましくは2〜10重量%、最も好ましくは2〜8重量%である。
〔(A)自己分散型顔料/(B)自己乳化ポリマー粒子〕の重量比は、印字物の光沢性、及び印字濃度の観点から、好ましくは20/80〜90/10、更に好ましくは30/70〜70/30、特に好ましくは40/60〜70/30である。
水の含量は、好ましくは30〜90重量%、更に好ましくは40〜80重量%である。
本発明の水分散体及び水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水分散体としては、好ましくは30〜65mN/m、更に好ましくは35〜60mN/mであり、水系インクとしては、好ましくは25〜50mN/m、更に好ましくは27〜45mN/mである。
水分散体の固形分10重量%における粘度(20℃)は、水系インクとした時に良好な粘度とするために、2〜6mPa・sが好ましく、2〜5mPa・sが更に好ましい。また、水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。
また、水系インクのpHは4〜10が好ましい。
本発明の(A)自己分散型顔料と、(B)自己乳化ポリマー粒子とを含むインクジェット記録用水系インクは、専用紙に印字したときに高い光沢性の印字物を得ることができる。専用紙としては、60°光沢度が好ましくは10〜45の空隙型光沢媒体を有するインクジェット写真用紙が挙げられる。ここで光沢度は、実施例記載の方法により測定される値である。このような写真用紙は市販されており、好適例としてセイコーエプソン株式会社製、商品名:KA450PSK等が挙げられる。
本発明で得られる印字物の光沢度は、通常20〜60であり、好ましくは30〜50である。
本発明の水系インクを適用するインクジェットの方式は制限されないが、特にピエゾ方式のインクジェットプリンターに好適である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
製造例1(自己乳化ポリマー粒子1の製造)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、及び(a)メタクリル酸/(b)スチレンマクロマー(商品名:AS−6(S):東亜合成株式会社製)/(c)スチレン/(e)ポリエチレングリコールメタクリレート2−エチルヘキシルエ-テル(NKエステル EH−4G:新中村化学株式会社製)=7/15/40/38(有効分重量比、以下同じ)のモノマー混合物200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、上記モノマー混合物の残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。次に、このポリマー溶液に、メチルエチルケトンを適量添加し、攪拌することにより、固形分含有量(有効分含有量)が50%のポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、約9万であった。
このポリマー溶液30.0部に、メチルエチルケトン40.0部とアセトン30.0部を加えて攪拌して均一化した後、滴下ロートに入れ、中和を行うため、予め5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液2.2部、25%アンモニア水0.6部及びイオン交換水217.5部を入れて混合した反応容器内に、30分間かけて滴下した。更に、30分間攪拌し、乳化組成物を得た。得られた乳化組成物を、減圧下、60℃で有機溶媒、アンモニアと一部の水を除去し、更に、平均孔径5μmのフィルター(日本ポール株式会社製)でろ過し、粗大粒子を除去し、固形分量が20%の自己乳化ポリマー粒子1〔(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位の合計含有量55%〕を含む水分散体を得た。
得られたポリマー粒子のD50は95nmであった。なお、D50の測定は、レーザー粒子解析システム〔大塚電子株式会社製、品番:ELS8000〕を用いて25℃で測定した。
製造例2(自己乳化ポリマー粒子2の製造)
製造例1のモノマー混合物の代わりに、(a)メタクリル酸/(b)スチレンマクロマー(商品名:AS−6(S):東亜合成株式会社製)/(c−1)スチレン/(c−2)ベンジルメタクリレート/(e)ポリエチレングリコールメタクリレート2−エチルヘキシルエ-テル(NKエステル EH−4G:新中村化学株式会社製)=15/15/30/30/10のモノマー混合物を用い、また中和の際に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液4.6部、25%アンモニア水1.3部を用いた以外は、製造例1と同様に行い、固形分含有量(有効分含有量)が20%の自己乳化ポリマー粒子2〔(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位の合計含有量75%〕を含む水分散体を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、約8万であり、得られたポリマー粒子のD50は90nmであった。
製造例3(自己乳化ポリマー粒子3の製造)
製造例1のモノマー混合物の代わりに、(a)メタクリル酸/(b)スチレンマクロマー(商品名:AS−6(S):東亜合成株式会社製)/(c)スチレン/(e)ポリエチレングリコールメタクリレート2−エチルヘキシルエ-テル(NKエステル EH−4G:新中村化学株式会社製)=7/15/25/53のモノマー混合物を用いた以外は、製造例1と同様に行い、固形分含有量(有効分含有量)が20%の自己乳化ポリマー粒子3〔(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位の合計含有量40%〕を含む水分散体を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、約15万であり、得られたポリマー粒子のD50は90nmであった。
製造例4(自己乳化ポリマー粒子4の製造)
製造例1のモノマー混合物の代わりに、(a)メタクリル酸/(b)スチレンマクロマー(商品名:AS−6(S):東亜合成株式会社製)/(c)スチレン/(e)ポリエチレングリコールメタクリレート2−エチルヘキシルエ-テル(NKエステル EH−4G:新中村化学株式会社製)=7/15/70/8のモノマー混合物を用いた以外は、製造例1と同様に行い、固形分含有量(有効分含有量)が20%の自己乳化ポリマー粒子4〔(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位の合計含有量80%〕を含む水分散体を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、約7万であり、得られたポリマー粒子のD50は100nmであった。
製造例5(乳化重合ポリマー粒子5の製造)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えたガラス製反応器にイオン交換水1000g、界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(製品名:ラテムルE−118B、花王株式会社製、有効分26%)62g、過硫酸カリウム2.4gを仕込み、窒素置換した後、湯浴にて温度を70℃に昇温した。これに、ブチルアクリレート/メタクリル酸メチル/アクリル酸=49/49/2のモノマー混合物800gを2時間かけて滴下し、その後80℃で2時間熟成して乳化重合ポリマー粒子5を含む水分散体を得た。得られた乳化重合ポリマー粒子5の平均粒径は120nm、固形分含有量(有効分含有量)は48%であった。
実施例1〜7及び比較例1〜7
(A)自己分散型カーボンブラック水溶液(商品名:BONJET CW−2、オリヱント化学工業株式会社製、固形分含有量15%)、(商品名:CAB−O−JET 300:キャボット社製、固形分含有量15%)、(B)自己乳化ポリマー粒子、グリセリン5部、2−ピロリドン5部、イソプロピルアルコール2部、アセチレノールEH(川研ファインケミカル株式会社製)1部、及び水を用意し、表1に記載のインク組成になるように25℃で混合、撹拌して分散液を調製し、この分散液を1.2ミクロンのフィルターによって濾過し、水系インクを得た。
得られた水系インクの光沢性を下記の方法により評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中の表示は下記のとおりである。
CAB:キャボット社製、商品名:CAB−O−JET 300
CW−2:オリヱント化学工業株式会社製、商品名:BONJET CW−2
ST(%):(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位の合計含有量
MAA(%):塩生成基含有モノマーであるメタクリル酸(MAA)由来の構成単位の含有量
他成分:グリセリン5部、2−ピロリドン5部、イソプロピルアルコール2部、及びアセチレノールEH(川研ファインケミカル株式会社製)1部
光沢性
市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製 型番:EM−930C、ピエゾ方式)を用い、市販の専用紙(写真用紙<絹目調>(60°光沢度が18)セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA420MSH)にベタ印字し〔印字条件=用紙種類:フォトプリント紙、モード設定:フォト〕、25℃で24時間放置後、60°の光沢度を光沢計(日本電飾工業株式会社製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG−1)で5回測定し、平均値を求めた。
〔評価基準〕
◎:優れている;30以上
○:良い;20以上30未満
×:悪い;20未満
20以上が実用上問題ないレベルである。
Figure 0004695529
表1の結果から、実施例で得られたインクジェット用水系インクは、光沢性に優れたものであることが分る。また、実施例で得られたインクジェット用水系インクは、普通紙に対して十分な印字濃度を有していた。

Claims (11)

  1. (A)自己分散型顔料、並びに(B)(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位とを構成成分とし、(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位との合計含有量が45〜80重量%である自己乳化ポリマー粒子を含有する、インクジェット記録用水分散体。
  2. (A)自己分散型顔料が、自己分散型カーボンブラックである、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体。
  3. (B)自己乳化ポリマー粒子が、(a)塩生成基含有モノマー由来の構成単位と、(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位1〜25重量%(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位30〜79重量%とを有する水不溶性ポリマーを中和してなるポリマー粒子である、請求項1又は2記載のインクジェット記録用水分散体。
  4. 〔(A)自己分散型顔料/(B)自己乳化ポリマー粒子〕の重量比が30/70〜70/30である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  5. (c)芳香族基含有モノマーが、スチレン系モノマー(c−1)及び/又は芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  6. (b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位との合計含有量が55〜75重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
  7. スチレン系モノマー(c−1)と、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)との重量比〔(c−1)/(c−2)〕が1/10〜10/1である、請求項5又は6に記載のインクジェット記録用水分散体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
  9. 請求項に記載の水系インクを、インクジェット記録方法により専用紙上に印字する、印字物の製造方法。
  10. 専用紙は、60°光沢度が10〜45である空隙型光沢媒体を有するインクジェット写真用紙である、請求項9に記載の印字物の製造方法。
  11. (b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位とを構成成分とし、(b)芳香族基含有マクロマー由来の構成単位と(c)芳香族基含有モノマー由来の構成単位との合計含有量が45〜80重量%である水不溶性ポリマー、有機溶媒、中和剤及び水性媒体を含有する混合物を撹拌し、該有機溶媒を除去して(B)自己乳化ポリマー粒子の水分散体を得、(A)自己分散型顔料を混合する、請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
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