JP4769446B2 - インクジェット記録用顔料水分散体の製造法 - Google Patents
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Description
インクジェット記録用インクに使用されるインクには、ノズルにインクが目詰まりするのを防止するために、水溶性染料が用いられている。しかし、水溶性染料系インクは、耐水性や耐光性に劣り、特に熱ジェット方式のインクに使用した場合には、ヒーター面の熱により染料が酸化され、インクがヒーター面で焦げやすく、吐出性が低下するという欠点がある。この欠点を解消するために、耐水性及び耐光性に優れた顔料インクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
顔料系インクの製造法として、顔料が分散し、水に分散又は溶解する合成樹脂の親水性有機溶剤溶液と、水を主成分とする液体とを混合してから、脱溶剤をすることを特徴とするインクジェット記録用水性インク組成物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この方法では、有機溶剤相と水相とが連続相となるように、有機溶剤の種類と使用量を調整して転相乳化を行うため、粘度が高くなり、顔料を均一に分散させにくいという課題がある。
本発明で用いられる乳化組成物は、酸性基を有する水不溶性ポリマー(以下、単に、水不溶性ポリマーということがある)、有機溶媒、塩基性化合物及び水を含有するものである。
乳化組成物中、水不溶性ポリマーの量は、乳化組成物の安定性の観点から、水100重量部に対して、好ましくは0.1〜160重量部、より好ましくは0.5〜100重量部、更に好ましくは1〜50重量部である。乳化組成物中における該水不溶性ポリマーの含有量は、乳化組成物の安定性の観点から、好ましくは5〜20重量%である。
また、水に対する有機溶媒の重量比が大きくなるにしたがって、水に溶解する有機溶媒量が増加し、顔料を充分に濡らすことができるが、その反面、混合物の粘度が上昇し、十分に均一に混合することが困難となる傾向があり、水中油型の乳化組成物が油中水型の乳化組成物に相転する傾向がある。したがって、混合物を十分に均一に混合することができる程度に混合物の粘度を抑制し、水中油型の乳化組成物が油中水型の乳化組成物に相転するのを抑制する観点から、水に対する有機溶媒の重量比は、0.9以下であることが好ましい。なお、不揮発成分率が増加するにしたがって、混合物の粘度が高くなる傾向がある。したがって、水に対する有機溶媒の重量比は、より好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.5以下である。
以上の観点から、水に対する有機溶媒の重量比(有機溶媒の重量/水の重量)は、好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.1〜0.8、特に好ましくは0.1〜0.5である。
乳化組成物中、塩基性化合物の含有量は、水不溶性ポリマーの酸性基を、好ましくは30〜500%、更に好ましくは50〜300%中和させる量であることが好ましい。
ここで中和度は、下記式によって求めることができる。
[塩基性化合物の重量(g)/塩基性化合物の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]×100
乳化組成物は、各成分をどのように混合しても調製することができるが、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解又は分散させた後、水及び塩基性化合物と混合する方法が、水不溶性ポリマーの一部を有機溶媒に溶解させ、均一な乳化組成物とすることができることから好ましい。
各成分を混合する際の温度は、特に限定はないが、通常、5〜50℃であることが好ましい。
各成分を混合することによって得られる乳化組成物は、水を連続相とする水中油型乳化組成物である。
顔料表面への吸着性が高く、顔料水分散体における分散安定性が高い点から、水不溶性ポリマーが用いられる。該水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニル系ポリマー、水不溶性ポリエステル系ポリマー、水不溶性ポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水不溶性ビニル系ポリマーが好ましい。
酸性基としては、カルボキシ基(-COOH)、リン酸基(-OPO3H2)、ホスホン酸基(-PO3H2)、スルホン酸基(−SO3H)又はそれらの水素原子が解離したイオン形(−COO-、-SO3 -、−PO3 2-、−PO3H-、-OPO3 2-、−OPO3H-、-SO3―)等が挙げられる。
酸性基を有する水不溶性ポリマーは、酸性基含有モノマーを重合することにより得られ、該水不溶性ポリマーは、(A)酸性基含有モノマー(以下、(A)成分ということがある)、(B)マクロマー(以下、(B)成分ということがある)及び(C)疎水性モノマー(以下、(C)成分ということがある)を含むモノマー混合物(以下、単にモノマー混合物という)を共重合させてなる水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
その例として、特開平9−286939号公報第5頁第8欄8〜29行目に記載されているもの等を挙げることができる。すなわち、アニオン性のモノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。具体的には、不飽和カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等、又はそれらの無水物及び塩があり、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸エステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等及びそれらの塩、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びそれらの塩があり、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタアクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
カチオン性モノマーは、本発明の目的を損なわない範囲で用いることができ、例えば、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
なお、(B)成分の数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(B)成分の具体例としては、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマー及び片末端に重合性官能基を有するマクロマーで、好ましくは炭素数1〜4の、アクリル(メタ)アクリレート系マクロマー(片末端に重合性官能基を有するメチルメタクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するブチルアクリレート系マクロマー、片末端に重合性官能基を有するイソブチルメタクリレート系マクロマー等)が挙げられる。これらマクロマーの中では、得られる水不溶性ポリマーに顔料を十分に含有させる観点から、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体において、他のモノマーとしては、例えば(1)アクリロニトリル、(2)エステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である、ヒドロキシ基を有していてもよい、(メタ)アクリル酸エステルおよび(3)スチレン以外の炭素数6〜22の芳香族炭化水素基を有するビニルモノマーを挙げることができる。
(2)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜30、好ましくは1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類を挙げることができ、(3)の具体例としては、例えば、α―メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルー2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
スチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体又はスチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。これらの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。マクロマー中におけるスチレン含有量は、顔料との親和性を高くさせる観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するスチレン系マクロマーが好ましい。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6、AS−6S、AN−6、AN−6S、HS−6、HS−6S等が挙げられる。
X(Y)qSi(R4)3-r(Z)r (I)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、R4はそれぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
芳香環含有モノマーとしては、耐水性の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。これらの中では炭素数6〜22の芳香族炭化水素基を有するビニルモノマーが好ましく、印字濃度及び耐マーカー性向上の観点から、スチレン系モノマーが好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン及び2−メチルスチレンが好ましく、これらは単独で用いてもよく、併用してもよい。この場合、(C)成分におけるスチレン系モノマーの含有量は、印字濃度及び耐マーカー性向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%である。
該(D)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
CH2C=C(R1)COO(R2O)pR3 (II)
(式中、R1は水素原子又は低級アルキル基;R2はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基;R3は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基;pは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数を示す)。
(E)成分である、式(II)で表されるモノマーは、水性インクの吐出安定性を高め、連続印字してもヨレの発生を抑制するという優れた効果を発現するものである。
式(II)において、R1は水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基であり、R2は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基である。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
R2の好適な例としては、炭素数1〜24の置換基を有していてもよいフェニレン基、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキレン基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキレン基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキレン基が挙げられる。
また、R2O基の好適な例としては、オキシエチレン基、オキシ(イソ)プロピレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらオキシアルキレンの1種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルキレン基やオキシフェニレン基が挙げられる。
R3は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。
該R3の好適な例としては、フェニル基、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。
該R3のより好適な例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、(イソ)ブチル基、(イソ)ペンチル基、(イソ)ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。
pは1〜60の数であるが、中でも1〜30の数が好ましい。
水不溶性ビニルポリマー中の(B)成分の含有量は、水不溶性ポリマーのアゾ系イエロー顔料への親和性を高め、印字濃度を向上させる観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
水不溶性ビニルポリマー中の(C)成分の含有量は、耐水性、耐擦過性、耐マーカー性及び耐ブリード性の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
水不溶性ビニルポリマー中の(A)成分の含有量と(B)成分と(C)成分との合計含有量との重量比((A)/[(B)+(C)])は、得られる顔料水分散体の高温安定性、長期保存安定性、印字濃度等の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67である。
水不溶性ビニルポリマー中の(D)成分の含有量は、吐出安定性、印字濃度及び耐マーカー性との観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
また、水不溶性ビニルポリマー中の(A)成分と(E)成分との合計含有量は、水中での分散安定性及び吐出安定性の観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。
また、水不溶性ビニルポリマー中の(A)成分と(D)成分と(E)成分との合計含有量は、水中での分散安定性及び吐出安定性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。また、極性有機溶媒を水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物に対して、好ましくは0.001〜5モル%、より好ましくは0.01〜2モル%である。
重合反応の終了後、再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、反応溶液から水不溶性ビニルポリマーを単離することができる。また、得られた水不溶性ビニルポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、印刷後の耐水性、耐擦過性、耐マーカー性及び分散安定性の点から、好ましくは3000〜300、000、更に好ましくは10,000〜100,000、特に好ましくは10,000〜50,000である。なお、ポリマーの重量平均分子量は、ポリマー溶液の一部を、減圧下で105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離し、標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、測定する。
本発明で用いられる水不溶性ポリマーは、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解又は均一分散させる観点から、100%水酸化ナトリウムで中和した後において、25℃における100gの水への溶解量が10g以下のポリマーが好ましく、5g以下がより好ましく、1g以下が更に好ましい。中和度は前記の方法により求めることができる。
有機溶媒としては、水100重量部に対する溶解度が20℃において、1重量部以上、好ましくは5〜40重量部、更に好ましくは10〜30重量部である有機溶媒が用いられる。前記溶解度の有機溶媒を用いた場合、得られる顔料水分散体中の顔料の分散安定性を向上させることができる。このように顔料の分散安定性が向上するのは、前記有機溶媒の一部が水中に溶解し、乳化組成物と顔料とを混合した際に、水中に溶解した有機溶媒が顔料表面を濡らすことによって、顔料表面への水不溶性ポリマーの吸着性が向上することに基づくものと考えられる。
有機溶媒の例としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒等が挙げられる。例えば、アルコール系溶媒としては、1−ブタノール、2−ブタノール等が挙げられ、ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。有機溶媒の中では、その安全性や、後処理において溶媒を除去する際の操作性を考慮すれば、メチルエチルケトンが好ましい。
塩基性化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。
本発明に用いられる顔料は、アゾ系イエロー顔料である。該アゾ系イエロー顔料としては、例えば、アセト酢酸アリリド系アゾレーキ顔料(具体的には、ピグメントイエロー168、ピグメントイエロー169等)、アセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料(具体的には、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー74等)、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ顔料(具体的には、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー171等)、ピラゾロン系顔料(具体的には、ピグメントイエロー10、ピグメントイエロー60等)、縮合アゾ系顔料(具体的には、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー 94等)等が挙げられる。好ましいアゾ系イエロー顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー 1、3、10、12、13、14、17、55、60、73、74、81、83、93、94、95、97、98、113、116、120、151、154、156、171、172、175等が挙げられる。
従って、分散時、顔料1g当りの使用する塩基性化合物のモル数は、0.05〜1.1mmol当量であり、0.1〜1.05mmol当量が更に好ましく、0.2〜1mmol当量が特に好ましい。
ここで、1mmol当量とは、1mmol/N(N:塩基性化合物の価数を示す。)で表され、アルカリ金属のような1価の金属の水酸化物、アンモニア、アミンの場合は、1mmol当量が1mmolとなる。
乳化組成物と該顔料との混合は、例えば、乳化組成物に該顔料を添加することによって行ってもよく、もしくは該顔料に乳化組成物を添加することによって行ってもよいが、顔料のかさ比重を考慮して生産性を高める観点から、乳化組成物に該顔料を添加することによって行う方が好ましい。
次に、乳化組成物とアゾ系イエロー顔料を混合することによって得られた混合物(以下、単に混合物という)中の顔料を乳化組成物中に分散させる。
本発明においては、前記乳化組成物と該顔料との混合物を分散させる点にも特徴がある。このように、乳化組成物と該顔料を混合することによって得られた混合物を分散させた場合、乳化組成物に含まれている有機溶媒及び水の存在により、顔料を乳化組成物中に均一に分散させることができる。
したがって、例えば、前記乳化組成物を用いずに、水不溶性ポリマーを溶解した有機溶媒と顔料を混合した場合には、有機溶媒中に該顔料を均一に分散させにくく、その後に水を添加したとしても顔料が均一に分散した乳化組成物とすることは容易ではない。
また、例えば、あらかじめ水と顔料を混合した後、得られた混合物と水不溶性ポリマーを溶解した有機溶媒とを混合しても、前記と同様に、顔料が均一に分散した乳化組成物を得ることは容易ではない。
混合物を分散させる際には、剪断力を高めることによって分散性を高め、顔料の粒径を小さくするとともに、生産効率を高める観点から、前記混合物における不揮発成分率は5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上となるように調整される。また、混合物の粘度を低減させることによって均一な組成となるように混合攪拌することを容易にする観点から、前記混合物における不揮発成分率は、30重量%以下、好ましくは28重量%以下、より好ましくは26重量%以下となるように調整される。これらの観点から、前記混合物における不揮発成分率は、5〜30重量%、好ましくは5〜28重量%、より好ましくは10〜28重量%、更に好ましくは10〜26重量%、特に好ましくは15〜26重量%である。
本明細書にいう「不揮発成分率」とは、式:
〔不揮発成分率〕=〔酸性基を有する水不溶性ポリマー、塩基性化合物及び顔料の合計重量〕÷〔乳化組成物及び顔料の合計重量〕×100に基づいて求められる値を意味する。
1回目の分散工程の後、水に対する有機溶媒の重量比を調整することができる。調整方法は特に限定されないが、水及び場合によって有機溶媒を混合物に添加しても良く、混合物から有機溶媒及び水を蒸発させてもよい。
2回目以降の分散工程は、水に対する有機溶媒の重量比を1回目と同じ条件で分散してもよいが、1回目の分散よりも重量比で好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.05以上減少させた条件下で分散させることが、予備分散後の粗大粒子の含有量を低減させることができるので好ましい。上限は、前述の水に対する有機溶媒の重量比の範囲内であればよく、現実的には、0.3以下減少させた条件下で分散させることが好ましい。
前記混合物を分散させる際に、不揮発成分率を段階的に低減して、2回以上分散させてもよい。分散させる回数は、煩雑性や生産性の観点から、10回以下、好ましくは5回以下である。1回目の分散工程の後、不揮発成分率を調整することができる。調整方法は特に限定されないが、水及び/又は有機溶媒を混合物に添加してもよく、混合物から有機溶媒及び水を蒸発させてもよい。
2回目以降の分散工程は、不揮発成分率を1回目と同じ条件で分散してもよいが、1回目の分散よりも好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上減少させた条件下で分散させることが、予備分散後の粗大粒子の含有量を低減させることができるので好ましい。上限は、前述の不揮発成分率の範囲内であればよく、現実的には、10重量%以下減少させた条件下で分散させることが好ましい。
予備分散には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。
なお、混合物を予備分散工程で分散させた後では、得られる顔料分散体における顔料の粒径が大きいため、さらに剪断応力を加えて二次分散を行い、顔料が所望の粒径となるまで微粒化を行うことが好ましい。
二次分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔(株)イズミフードマシナリ製、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社製、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社製、商品名〕等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のもののみに限定されるものではない。これらの中では、混合物に含まれている顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
また、混合物の分散は、分散後におけるアゾ系イエロー顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径が、分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.17μm、より好ましくは0.03〜0.15μmとなるまで行うことが望ましい。なお、平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント法)で測定することができる。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力する。また標準物質としてセラディン(Seradyn) 社製のユニフォーム・マイクロパーティクルズ (平均粒径204nm)を用いる。
かくして混合物を分散させることにより、顔料分散体が得られるが、顔料分散体に含まれる有機溶媒を減圧蒸留等による一般的な溶媒除去法で除去することにより、顔料水分散体が得られる。得られた顔料水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下が好ましい。
得られる顔料水分散体の液性は、弱酸性〜弱塩基性、例えば、pHが4.5〜10となるように、調整することが好ましい。
この顔料水分散体は、アゾ系イエロー顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体であり、アゾ系イエロー顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料と水不溶性ポリマーとにより粒子が形成されていればよい。例えば、水不溶性ポリマーに顔料が内包された粒子形態、水不溶性ポリマーに顔料が均一に分散された粒子形態、水不溶性ポリマーの粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれる。
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート〔数平均分子量:375、アルドリッチジャパン(株)製〕2.5重量部、メタクリル酸1.5重量部及びスチレンモノマー6.0重量部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行って混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート〔数平均分子量:375、アルドリッチジャパン(株)製〕22.5重量部、メタクリル酸13.5重量部及びスチレンモノマー54.0重量部を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン60重量部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行って混合溶液を得た。次いで、窒素ガス雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から75℃で2時間経過後に、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、ポリマーAの溶液を得た。重量平均分子量は55,000であった。
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート〔数平均分子量:375、アルドリッチジャパン(株)製〕3.0重量部、メタクリル酸1.5重量部及びスチレンモノマー5.5重量部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行って混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート〔数平均分子量:375、アルドリッチジャパン(株)製〕27.0重量部、メタクリル酸13.5重量部及びスチレンモノマー49.5重量部を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン125.1重量部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行って混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から75℃で2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、ポリマーBの溶液を得た。重合平均分子量は60,000であった。
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03重量部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート〔数平均分子量:300、アルドリッチジャパン(株)製〕3.0重量部、メタクリル酸1.5重量部、スチレンモノマー5.0重量部及びスチレンマクロマー〔商品名:AS―6S、東亞合成(株)製〕0.5重量部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行って混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート〔数平均分子量:300、アルドリッチジャパン(株)製〕27.0重量部、メタクリル酸13.5重量部、スチレンモノマー45.0重量部及びスチレンマクロマー〔商品名:AS―6S、東亞合成(株)製〕4.5重量部を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン125.1重量部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行って混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から75℃で2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、ポリマーCの溶液を得た。重合平均分子量は45,000であった。
製造例1で得られたポリマーA溶液を減圧乾燥させたポリマーA100gにメチルエチルケトン(MEK)198gを加えて混合体とし、その混合体に塩基性化合物(5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液:25.7g、25%アンモニア水:1.5g)を加えてポリマーA中の酸性基を中和し、更にイオン交換水544gを加えて混合し、乳化組成物を得た。
更に、アゾ系イエロー顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化(株)製、商品名:ファーストエロー031〕150gをこの乳化組成物に加えて、ディスパーで2時間予備分散を開始した。この時点での顔料分散体の顔料1g当りに使用した塩基性化合物のモル数は0.87mmol、不揮発成分率は25重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.35であった。
その後、イオン交換水194gを加えて、ディスパーで1時間予備分散を継続した。この時点での顔料分散体の不揮発成分率は21重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.26であった。
得られた混合物を高圧ホモジナイザー〔Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー〕を用いて150MPaにて10パス分散を行い、顔料分散体を得た。
得られた顔料分散体に、イオン交換水1000gを加え、攪拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、固形分量が20重量%の顔料水分散体を得た。
得られた顔料水分散体35重量部、グリセリン14重量部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10重量部、アセチレングリコール・ポリエチレンオキサイド付加物〔エアプロダクツジャパン(株)製、商品名:サーフィノール465〕1重量部及びイオン交換水40重量部を混合し、得られた混合液を平均孔径が0.5μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mlの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、インクジェット記録用水系インクを得た。
製造例2で得られたポリマー溶液Bを減圧乾燥させたポリマーB100gにメチルエチルケトン(MEK)196gを加えて混合体とし、その混合体に塩基性化合物(5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液:25.7g、25%アンモニア水:1.5g)を加えてポリマーB中の酸性基を中和し、更にイオン交換水507gを加えて混合して乳化組成物を得た。
更に、アゾ系イエロー顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化(株)製、商品名:ファーストエロー031〕150gをこの乳化組成物に加えて、ディスパーで2時間予備分散を開始した。この時点での顔料分散体の顔料1g当りに使用した塩基性化合物のモル数は0.87mmol、不揮発成分率は26重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.37であった。
その後、メチルエチルケトン(MEK)16g及びイオン交換水112gを加えて、ディスパーで1時間予備分散を継続した。この時点での顔料分散体の不揮発成分率は23重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.33であった。
更に、その後、メチルエチルケトン(MEK)5g及びイオン交換水162gを加えて、ディスパーで1時間予備分散を継続した。この時点での顔料分散体の不揮発成分率は20重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.27であった。
得られた混合物を高圧ホモジナイザー〔Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー〕を用いて150MPaにて10パス分散を行い、顔料分散体を得た。
得られた顔料分散体を用いて実施例1と同様の操作を行い、固形分量が20重量%の顔料水分散体を得、次いで、該顔料水分散体を用いてインクジェット記録用水系インクを得た。
実施例3
製造例1で得られたポリマーA溶液を用いる代わりに製造例3で得られたポリマーC溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用水系インクを得た。
製造例1で得られたポリマーA溶液を減圧乾燥させたポリマーA100gにメチルエチルケトン(MEK)264gを加えて混合体とし、その混合体に塩基性化合物(5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液:25.7g、25%アンモニア水:4.5g)を加えてポリマーA中の酸性基を中和し、更にイオン交換水728gを加えて混合し、乳化組成物を得た。
更に、アゾ系イエロー顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化(株)製、商品名:ファーストエロー031〕233gをこの乳化組成物に加えて、ディスパーで2時間予備分散を開始した。この時点での顔料分散体の顔料1g当りの使用した中和剤のモル数は0.75mmol、不揮発成分率は25重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.35であった。
その後、イオン交換水257gを加えて、ディスパーで1時間予備分散を継続した。この時点での顔料分散体の不揮発成分率は21重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.26であった。
得られた混合物を高圧ホモジナイザー〔Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー〕を用いて150MPaにて10パス分散を行い、顔料分散体を得た。得られた顔料分散体を用いて実施例1と同様の操作を行い、固形分量が20重量%の顔料水分散体を得、次いで該顔料水分散体を用いてインクジェット記録用水系インクを得た。
製造例1で得られたポリマーA溶液を減圧乾燥させたポリマーA100gにメチルエチルケトン(MEK)264gを加えて混合体とし、その混合体に塩基性化合物(5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液:25.7g、25%アンモニア水:7.55g)を加えてポリマーA中の酸性基を中和し、更にイオン交換水728gを加えて混合し、乳化組成物を得た。
更に、アゾ系イエロー顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化(株)製、商品名:ファーストエロー031〕233gをこの乳化組成物に加えて、ディスパーで2時間予備分散を開始した。この時点での顔料分散体の顔料1g当りの使用した中和剤のモル数は0.94mmol、不揮発成分率は25重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.35であった。
その後、イオン交換水257gを加えて、ディスパーで1時間予備分散を継続した。この時点での顔料分散体の不揮発成分率は21重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.26であった。
得られた混合物を高圧ホモジナイザー〔Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー〕を用いて150MPaにて10パス分散を行い、顔料分散体を得た。得られた顔料分散体を用いて実施例1と同様の操作を行い、固形分量が20重量%の顔料水分散体を得、次いで該顔料水分散体を用いてインクジェット記録用水系インクを得た。
製造例1で得られたポリマーA溶液を減圧乾燥させたポリマーA100g にメチルエチルケトン(MEK)198gを加えて混合体とし、その混合体に塩基性化合物(5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液:25.7g、25%アンモニア水:1.5g)を加えてポリマーA中の酸性基を中和し、更にイオン交換水544gを加えて混合し、乳化組成物を得た。
更に、イエロー顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74 大日精化(株)製、商品名:ファーストエロー031〕150gをこの乳化組成物に加えて、ディスパーで2時間予備分散をした。この時点での顔料分散体の顔料1g当りの使用した塩基性化合物のモル数は0.87mmol、不揮発成分率は25重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.35であった。
得られた混合物を高圧ホモジナイザー〔Microfluidics社製、商品名:マイクロフルイダイザー〕を用いて150MPaにて10パス分散を行い、顔料分散体を得た。得られた顔料分散体を用いて実施例1と同様の操作を行い、固形分量が20重量%の顔料水分散体を得、次いで該顔料水分散体を用いてインクジェット記録用水系インクを得た。
製造例1で得られたポリマー溶液Aを減圧乾燥させたポリマーA100gにメチルエチルケトン(MEK)198gを加えて混合体とし、その混合体に塩基性化合物(5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液:25.7g、25%アンモニア水:4.5g)を加えてポリマーA中の酸性基を中和し、更にイオン交換水542gを加えて混合し、乳化組成物を得た。
更に、アゾ系イエロー顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化(株)製、商品名:ファーストエロー031〕150gをこのポリマー乳化組成物に加えて、ディスパーで2時間予備分散を開始した。この時点での顔料分散体の顔料1g当りの使用した塩基性化合物のモル数は1.16mmol、不揮発成分率は25重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.35であった。
その後、イオン交換水194gを加えて、ディスパーで1時間予備分散を継続した。この時点での顔料分散体の不揮発成分率は21重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.26であった。
得られた混合物を高圧ホモジナイザー〔Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー〕を用いて150MPaにて10パス分散を行い、顔料分散体を得た。
得られた顔料分散体を実施例1と同様の操作を行い、固形分量が20重量%の顔料水分散体を得、次いで該顔料水分散体を用いてインクジェット記録用水系インクを得た。
製造例1で得られたポリマーA溶液を減圧乾燥させたポリマーA100gにトルエン198gを加えて混合体とし、その混合体に塩基性化合物(5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液:25.7g、25%アンモニア水:1.5g)を加えてポリマーA中の酸性基を中和し、更にイオン交換水544gを加えて混合し、乳化組成物を得た。
更に、イエロー顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化(株)製、商品名:ファーストエロー031〕150gをこの乳化組成物に加えて、ディスパーで2時間混合した。この時点での顔料分散体の顔料1g当りの使用した塩基性化合物のモル数は0.87mmol、不揮発成分率は25重量%、水に対する有機溶媒の重量比は0.35であった。
得られた混合物は非常に沈降しやすく、粗大粒子が非常に多かった。
次に、得られたインクジェット記録用水系インクの物性を下記方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
レーザー粒子解析システム〔大塚電子(株)製、品番:ELS8000〕(キュムラント法)を用いて、平均粒径(20℃)を測定した。
(2)印字物のC値
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター(型番:EM930C)を用い、市販の普通用紙(富士ゼロックス社製、商品名:Xerox4024)にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた印字物のa*、b*を色差計(日本電色社製、型番:SE2000)で測定(25℃)した。色再現の基準としてC値(C=SQRT(a*2+b*2))を算出した。
また、各実施例で得られた顔料水分散体を用いた場合には、比較例2のように得られる混合物に粗大粒子が多く含まれることがなく、安定な分散体を容易に得ることができることがわかる。
Claims (7)
- 酸性基を有する水不溶性ポリマー、水100重量部に対する溶解度が20℃ において1重量部以上である有機溶媒、塩基性化合物及び水を含有する乳化組成物と、アゾ系イエロー顔料とを混合し、得られた混合物を分散させた後、該有機溶媒を除去する顔料水分散体の製造法であって、分散時に、該塩基性化合物のモル当量数が該顔料1g当り、0.05〜1.1mmol当量であり、上記混合物の分散工程が複数回あって、2回目以降の分散を1回目の水に対する有機溶媒の重量比(有機溶媒の重量/水の重量)よりも0.01以上減少させた条件下で行い、かつ、2回目以降の分散を1回目の不揮発成分率よりも1重量%以上減少させた条件下で行う、インクジェット記録用顔料水分散体の製造法。
- 水に対する有機溶媒の重量比(有機溶媒の重量/水の重量)が、0.1〜0.9である請求項1に記載の製造法。
- 混合物中の不揮発成分率が5〜30重量%である請求項1又は2に記載の製造法。
- 乳化組成物とアゾ系イエロー顔料とを混合する際に、該顔料を該乳化組成物に添加する請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
- 2回目以降の分散を、1回目の分散における水に対する有機溶媒の重量比よりも0.04以上0.3以下の範囲で減少させた条件下で行う、請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
- 上記混合物の分散工程が複数回の予備分散と、その後の二次分散からなり、水に対する有機溶媒の重量比及び不揮発成分率を減少させた後に更に予備分散を行う、請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
- 顔料水分散体が、インクジェット記録用水系インクに用いられる顔料水分散体である請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
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