JP4867089B2 - 水性顔料分散体および水性記録液 - Google Patents

水性顔料分散体および水性記録液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料分散体及び該顔料分散体を使用した水性記録液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、サインペン、水性マーカー等の筆記具や、インクジェットプリンタのインクには、色材として染料が用いられてきた。染料を用いた記録液は着色力や鮮明性で優れているが、耐光性や耐水性等に問題を有していた。
耐光性及び耐水性の問題を解決するため、近年、上述した用途分野において色材の染料から顔料への転換が活発に検討されている。当該分野、特にインクジェット用インクの分野において顔料を色材として使用するには、固−液二相系である顔料分散体における非常に高いレベルの分散性および分散安定性が必要とされている。かかる高度の分散性および分散安定性を達成するための手段として、特開平9−151342号公報に、顔料を部分的に中和されたアニオン性基を含有する有機高分子化合物で被覆したマイクロカプセル化顔料分散体が開示されている。上記公報においては、アニオン性基を中和する塩基として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジプロパノールアミン等のアミン類が使用できることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えばインクジェットプリンタ用のインクに用いる場合、中和塩基としてアルカリ金属水酸化物を用いた場合にはpHが高くなりすぎ、プリンタヘッドの材質によってはヘッドの損耗を早めるおそれがあった。また中和塩基としてアミン類を用いた場合には、pHはある程度低く押さえることができるものの、分散性、分散安定性が不十分となる場合があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、中和塩基として、アニオン性基含有有機高分子化合物中にあるアニオン性基より強いアニオン性基を有しているアミンの塩を用いることにより、相対的によりpHが低く、かつ分散安定性の良い水性顔料分散体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0005】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、少なくとも顔料、塩基性物質で中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物および水性媒体からなる水性顔料分散体において、前記塩基性物質が、前記有機高分子化合物中にあるアニオン性基より強い酸性度を示すアニオン性基を有しているアミンの塩であることを特徴とする水性顔料分散体、及びそれを含有する水性記録液を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、アニオン性基含有有機高分子化合物中にあるアニオン性基よりも強い酸性度を示すアニオン性基を有しているアミンの水可溶性塩(以下、塩基性物質と略記される場合がある。)を用い、この特定の性質を持ったアミンの水可溶性塩が、前記有機高分子化合物のアニオン性基を中和する。
【0007】
このアミンの水可溶性塩は、アニオン性基含有有機高分子化合物中にあるアニオン性基よりも強い酸性度を示すアニオン性基を有しているアミン(以下、特定アミンという。)を予め適当な塩基と反応させることにより得ることが出来る。
【0008】
本発明において用いられる好適な特定アミンの水可溶性塩は、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩である。
【0009】
このような特定アミンの水可溶性塩を用いることで、本来、前記有機高分子化合物がもつ分散能を保持したまま、また、インクジェット用途に対してはインク滴の吐出特性等に大きな影響を与えることなく、水性顔料分散体のpHを低く押さえることが可能である。例えば、カルボキシル基を含有している有機高分子化合物を使用した場合、これを中和するための塩基性物質に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物を直接的に使用すると、系のpHは弱アルカリからアルカリ性を示す。これに対し、上記の特定アミンの水可溶性塩(例えば、後述するアミノスルホン酸の水可溶性塩)を使用すると、系のpHは弱アルカリから中性域とすることが出来る。
【0010】
このことは、水性媒体中で本来の有機高分子化合物のもつ分子量や粘度などの特性を保ったまま、表面状態を、例えばカルボン酸塩からスルホン酸塩の状態へと変化させることに相当する点で特徴がある。
【0011】
水可溶性塩を形成するための一方の原料である特定アミンとしては、例えばアミノカルボン酸、アミノスルホン酸等があるが、アミノ基の塩基性が高く、後述するアニオン性基含有有機高分子化合物と安定な水可溶性塩を形成しやすい点で、アミノスルホン酸が好ましい。本発明において、アミノスルホン酸とは、アミノ基とスルホン酸基とを併せ有する化合物を言い、代表的には、これらの基がアルキレン基を介して結合した構造の化合物たるアミノアルカンスルホン酸がある。アミノアルカンスルホン酸としては、アミノ脂肪族アルカンスルホン酸がより好ましく、より水溶性の高い塩を形成しうる点で炭素原子数が1〜6のアミノ脂肪族アルカンスルホン酸が特に好ましい。
【0012】
好ましいアミノ脂肪族アルカンスルホン酸の例としてはタウリン(2−アミノエタンスルホン酸)、アミノプロパンスルホン酸等が挙げられるが、工業的観点からは大量に入手しやすく、比較的安価である点で、タウリンが特に好ましい。
【0013】
もう一方の原料である前記水可溶性塩を調整する際の塩基としては、特定アミンの水可溶性塩を形成し得る化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、アンモニア水、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミンなどの水溶性アミン類等が挙げられる。
【0014】
本発明の水性顔料分散体で使用するアニオン性基含有有機高分子化合物はアニオン性基を有していれば特に限定されるものではなく、例えばカルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基等を含有するアニオン性基含有モノマーとこれらアニオン性基含有モノマーと共重合し得るその他のモノマーを共重合させて得られるアニオン性基含有有機高分子化合物が上げられるが、原料モノマーの入手のしやすさ、価格等を考慮すると、カルボキシル基またはスルホン基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物が好ましく、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できる点でカルボキシル基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物が特に好ましい。
【0015】
アニオン性基含有有機高分子化合物としては、界面活性剤や分散剤を併用することなく、それ自体が水分散性を有するものを用いるのが、界面活性剤等を減量或いは未使用と出来、経済的であるばかりでなく、それらを多量使用した場合の不都合が生じにくいので好ましい。
【0016】
カルボキシル基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4−ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。またスルホン酸基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸2−スルホエチル、メタクリル酸4−スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキルまたはアリールエステル類;スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン−4−スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
アニオン性基含有モノマーと共重合し得るその他のモノマーの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2,3−エポキシプロピル、アクリル酸2,3−エポキシブチル、アクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2,3−エポキシプロピル、メタクリル酸2,3−エポキシブチル、メタクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸ビニル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ベンジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸2−アミノプロピル、アクリル酸3−アミノプロピル、アクリル酸2−(メチルアミノ)エチル、アクリル酸2−(メチルアミノ)プロピル、アクリル酸2−(エチルアミノ)エチル、アクリル酸2−(エチルアミノ)プロピル、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、等の不飽和脂肪酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N−ジエチルアクリルアミド、N−ジプロピルアクリルアミド、N−(2−アミノエチル)アクリルアミド、N−(2−アミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)アクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(メチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ジメチルメタクリルアミド、N−ジエチルメタクリルアミド、N−ジプロピルメタクリルアミド、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド、N−(2−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N−[2−(メチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[3−(メチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、マレアミド、N,N−ジメチルマレアミド、フマラミド、N,N−ジメチルフマラミド、等の不飽和脂肪酸アミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、オクタデカン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸アリル、プロピオン酸アリル、ヘキサン酸アリル、デカン酸アリル、等のカルボン酸不飽和エステル類;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、等の不飽和エーテル類;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロスチレン、等スチレン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3−クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類;4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、等のビニル置換複素環化合物類;上記例示モノマー中のカルボキシル基、水酸基、アミノ基等活性水素を有する置換基を含有するモノマーとエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シキロヘキセンオキシド等、エポキシド類との反応生成物;上記例示モノマー中の水酸基、アミノ基等を有する置換基を含有するモノマーと酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸等カルボン酸類との反応生成物等を挙げることができる。
【0017】
かかるアニオン性基含有有機高分子化合物は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することができる。
本発明に用いられるアニオン性基含有有機高分子化合物は、重量平均分子量が2,000〜100,000の範囲にあることがが好ましく、5,000〜50,000の範囲にあることが特に好ましい。また、溶解性パラメータが9.0〜10.0の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると水性顔料分散体自体の分散安定性が低下し、大きすぎると分散体の粘度が高くなるだけでなく、分散性が低下する傾向が認められる。また重量平均分子量が小さすぎたり大きすぎる場合には、例えばインクジェットプリンタ用インクに適用した場合に、印字特性に関して悪影響を及ぼし、長期間安定した印字を行わせることが困難になる。
【0018】
また本発明に用いられるアニオン性基含有有機高分子化合物の酸価及びガラス転移点はそれぞれ30〜220mgKOH/gおよび−20〜80℃の範囲にあることが好ましい。酸価が低すぎる場合には水性顔料分散体の分散性や分散安定性が低下し、またインクジェットプリンタ用インクに適用した場合の印字安定性が悪くなる。酸価が高すぎる場合には、インクジェットプリンタ用インクに適用した場合に画像の耐水性が低下する。ガラス転移点が高すぎる場合には安定した印字が得にくく、低すぎる場合には耐摩擦性、耐棒積み性等の画像保存性が低下する傾向がある。
【0019】
これらのアニオン性基含有有機高分子化合物は1種類のみを用いても良いし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0020】
本発明では、工業的入手の容易さの観点から、有機高分子化合物としてカルボキシル基含有有機高分子化合物が好ましく使用され、一方、特定アミンの水可溶性塩の水溶性等の観点から、アミノスルホン酸水可溶性塩が好ましく使用され、これらの組合せが望ましい。
【0021】
本発明は、塩基性物質中に含まれるアニオン性基等と、有機高分子化合物中のアニオン性基との間で、特定の関係を有する物質を各々選択するものであるが、好適なこれらの組合せは、例えば以下の通りである。
【0022】
尚、塩基性物質と有機高分子化合物のアニオン性基として同一のアニオン性基を持っているもの同士を用いる場合には、塩基性物質のほうのアニオン性基の酸性度がより強くなる様に、電子吸引基をさらに有するものを選択すれば良い。
【0023】
【表1】
Figure 0004867089
【0024】
本発明の水性顔料分散体中におけるアニオン性基含有有機高分子化合物は、アニオン性基の少なくとも一部が塩基性物質によってイオン化された形態をとっていることが分散性、分散安定性の発現のうえで必要である。こういった形態とすることで、自己水分散性を持たせることが出来る。アニオン性基のうちイオン化された基の最適割合は、用いるアニオン性基含有有機高分子化合物の組成、分子量、酸価等により変化するため一意的に限定されるものではないが、所望の分散性、分散安定性が発現される範囲であればよく、通常30〜100%、特に70〜100%の範囲に設定されることが好ましい。このイオン化された基の割合はアニオン性基と塩基性物質のモル比を意味しているのではなく、解離平衡を考慮に入れたものである。例えばアニオン性基がカルボキシル基の場合、化学量論的に等量の強塩基性物質を用いても解離平衡によりイオン化された基の割合は100%未満であって、カルボキシラート基とカルボキシル基の混在状態である。
【0025】
本発明の水性顔料分散体に用いることのできる顔料は特に限定されるものではないが、本発明の特徴である高度の分散性、分散安定性を生かす意味で、一次粒子に小さな、疎水的顔料を用いることが好ましく、例えば各種の有機顔料やカーボンブラックが特に有効に用いられる。有機顔料の例としては、C.I.ピグメント レッド122、同 レッド202、同 レッド207、同 レッド209、同 バイオレット19等のキナクリドン系顔料;C.I.ピグメント オレンジ48、同 オレンジ49等のキナクリドンキノン系顔料;C.I.ピグメントバイオレット23、同 バイオレット37等のジオキサジン系顔料;C.I.ピグメント ブルー15、同 ブルー15:1、同 ブルー15:2、同 ブルー15:3、同 ブルー15:4、同 ブルー15:6、同 ブルー16、同 ブルー68、同 グリーン7、同 グリーン36等のフタロシアニン系顔料;C.I.ピグメント イエロー108等のアントラピリミジン系顔料;C.I.ピグメント オレンジ77、同 レッド168等のアンサンスロン系顔料;C.I.ピグメント ブルー60等のインダンスロン系顔料;C.I.ピグメント イエロー24等のフラバンスロン系顔料;C.I.ピグメント イエロー196、同 レッド177等のアントラキノン系顔料;C.I.ピグメント レッド123、同 レッド149、同 レッド178、同 レッド179、同 レッド190、同 レッド224等のペリレン系顔料;C.I.ピグメント イエロー196、同 オレンジ43等のペリノン系顔料;C.I.ピグメント イエロー138等のキノフタロン系顔料;C.I.ピグメント オレンジ71、同 オレンジ73、同 レッド254、同 レッド255、同 レッド264、同 レッド272等のジケトピロロピロール系顔料、C.I.ピグメント レッド88、同 レッド181、同 ブラウン27等のチオインジゴ系顔料;C.I.ピグメントイエロー139、同 イエロー185、同 オレンジ69、同 レッド260等のイソインドリン系顔料;C.I.ピグメント イエロー109、同 イエロー110、同 イエロー173等のイソインドリノン系顔料;C.I.ピグメント イエロー101、同 イエロー129、同 オレンジ65等のアゾメチン系顔料;C.I.ピグメント イエロー151、同 イエロー154、同 イエロー175、同 イエロー180、同 イエロー181、同 オレンジ36、同 レッド175、同 レッド176、同 レッド185等のベンズイミダゾロン系顔料;C.I.ピグメント イエロー1、同 イエロー65、同 イエロー73、同 イエロー74、同 イエロー116、同 レッド3、同 レッド48:1、同 レッド48:2、同 レッド48:3、同 レッド53:1、同 レッド57:1、同 レッド115等のモノアゾ系顔料;C.I.ピグメント イエロー12、同 イエロー13、同 イエロー17、同 イエロー81、同 イエロー83、同 オレンジ13、同 オレンジ16等のジスアゾ系顔料;C.I.ピグメント イエロー93、同 イエロー95、同 イエロー128、同 レッド144、同 レッド166、同 レッド220、同 レッド221等の縮合アゾ系顔料などが挙げられる。顔料は粉末状、顆粒状あるいは塊状の乾燥顔料でも良く、ウェットケーキやスラリーでも良い。
【0026】
本発明の水性顔料分散体における顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物の比率は、質量換算で、顔料100部に対しアニオン性基含有有機高分子化合物25〜200部程度が好ましい。アニオン性基含有有機高分子化合物の比率が低すぎる場合には水性記録液として用いた場合の耐擦過性が低下し、逆に高すぎる場合には水系記録液を調整した場合に粘度が高くなる傾向が認められる。
【0027】
本発明の水性顔料分散体は、少なくとも顔料、塩基性物質で中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物および水性媒体からなる水性顔料分散体において、前記塩基性物質として、前記化合物中にあるアニオン性基より強いアニオン性基を有しているアミンの塩を含む混合物を分散装置により分散する工程を含むプロセスによって製造することができる。
【0028】
製造プロセスに組み込み得るその他の工程の例としては、予備分散工程、溶解工程、希釈工程、蒸留工程、遠心分離工程、酸析工程、濾過工程、再分散工程、pH調整工程、充填工程等が挙げられる。予備分散工程の例には、溶液状態または溶融状態の樹脂と顔料を混合、分散し、スラリー状、ペースト状もしくはマスターバッチまたはチップと呼ばれる固体状態にする工程等がある。
【0029】
溶解工程の例には、固体状のアニオン性基含有有機高分子化合物を有機溶剤、好ましくは水溶性有機溶剤中、または塩基性物質を含む水性媒体中に溶解させる工程、もしくはアニオン性基含有有機高分子化合物の水溶性有機溶剤溶液を塩基性物質を含む水性媒体中に溶解させる工程等がある。
【0030】
蒸留工程の例には、分散工程において有機溶剤を使用した場合にこれを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程等がある。
【0031】
遠心分離工程の例には、水性記録液としての使用適性に悪影響を及ぼす分散体中の粗大粒子を除去する工程等がある。
【0032】
酸析工程の例には、分散工程で得られた水性分散体に塩酸、硫酸、酢酸等の酸を加えて酸性化し、アニオン性基含有有機高分子化合物を顔料粒子表面に析出させる工程等がある。この工程により、例えば、顔料をアニオン性含有有機高分子化合物で被覆することが出来、顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物との相互作用を高めることができる。
【0033】
濾過工程の例には、遠心分離工程と同様に分散体中の粗大粒子をカートリッジフィルターやメンブランフィルターにより除去する工程、前述した酸析工程後に固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。
【0034】
再分散工程の例には、酸析工程、濾過工程によって得られた固形分に塩基性物質および必要により水や添加物を加えて再び分散体とする工程がある。それによりアニオン性基含有有機高分子化合物中のイオン化したアニオン性基の対イオンを分散工程で用いたものから変更することができる。
【0035】
また、分散工程において水溶性有機溶剤を併用することができ、それにより分散工程における液粘度を低下させることができる場合がある。水溶性有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤はアニオン性基含有有機高分子化合物溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い。
【0036】
分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式を採ることができる。
【0037】
本発明においてアニオン性基含有有機高分子化合物が、アクリル酸2,3−エポキシプロピル、アクリル酸2,3−エポキシブチル、アクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸2,3−エポキシプロピル、メタクリル酸2,3−エポキシブチル、メタクリル酸2,3−エポキシシクロヘキシル等のエポキシ基を有する不飽和脂肪酸類の少なくとも1以上からなる共重合体である場合には、水性分散体製造プロセスにおいて、分散工程以降の任意の段階で開環反応させ、架橋させることができる。開環反応温度は80〜140℃程度が好ましい。反応温度は低すぎる場合には反応速度が遅く、反応完結に長時間を要するため、顔料粒子同士が融着して凝集体を形成しやすくなる。反応温度が高すぎる場合には、顔料粒子同士の融着や顔料粒子自体の成長が起こり、いずれにしても好ましくない。反応温度が分散体の沸点より高くなる場合には加圧反応装置を用いる必要がある。
【0038】
本発明の記録液は、少なくとも顔料および塩基性物質で中和されたアニオン性基を含有する有機高分子化合物を含む水性顔料分散体に、水溶性有機溶剤、水等を混合して調製される。必要に応じて、界面活性剤、水溶性樹脂、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、キレート化剤等を添加することもできる。
【0039】
記録液の調整に用いることのできる水溶性有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エタノール等のアルコール類;1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2’−オキシビスエタノール、2,2’−エチレンジオキシビス(エタノール)、チオジエタノール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2,2’−オキシビス(2−メトキシエタン)、2,2’−オキシビス(2−エトキシエタン)、2,2’−エチレンジオキシビス(2−メトキシエタン)、2,2’−エチレンジオキシビス(2−メトキシエタン)等のエーテル類が挙げられる。記録液中の水溶性有機溶剤の含有割合は、50重量%以下が好ましく、5〜40重量%の範囲が特に好ましい。
【0040】
本発明の記録液に必要に応じて添加しても良い界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性イオン性、非イオン性のいずれの活性剤でも良い。
【0041】
アニオン性界面活性剤の例としては、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、半硬化牛脂脂肪酸ナトリウム、等の脂肪酸塩類;ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸トリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、オクタデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のベンゼンスルホン酸塩類;ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等のナフタレンスルホン酸塩類;スルホコハク酸ジドデシルナトリウム、スルホコハク酸ジオクタデシルナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類;ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸トリ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレン硫酸エステル塩類;ドデシルリン酸カリウム、オクタデシルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩類等が挙げられる。
【0042】
カチオン性界面活性剤の例としては、酢酸オクタデシルアンモニウム、ヤシ油アミン酢酸塩等のアルキルアミン塩類;塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ドデシルベンジルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩類が挙げられる。
【0043】
両性イオン性活性剤の例としては、ドデシルベタイン、オクタデシルベタイン等のアルキルベタイン類;ドデシルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド類等が挙げられる。
【0044】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(9−オクタデセニル)エーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンフェニルエーテル類;ポリ酸化エチレン、コ−ポリ酸化エチレン酸化プロピレン等のオキシラン重合体類;ソルビタンドデカン酸エステル、ソルビタンヘキサデカン酸エステル、ソルビタンオクタデカン酸エステル、ソルビタン(9−オクタデセン酸)エステル、ソルビタン(9−オクタデセン酸)トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンドデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンヘキサデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオクタデカン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオクタデカン酸トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタン(9−オクタデセン酸)エステル、ポリオキシエチレンソルビタン(9−オクタデセン酸)トリエステル等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビトール(9−オクタデセン酸)テトラエステル等のソルビトール脂肪酸エステル類;グリセリンオクタデカン酸エステル、グリセリン(9−オクタデセン酸)エステル等のグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。これらの非イオン性活性剤の中でもHLBが14以上のものが特に好ましい。
【0045】
本発明の水性記録液に添加されても良い水溶性樹脂の例としては、にかわ、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、アラビアゴム、フィッシュグリュー、アルギン酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ酸化エチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0046】
水溶性樹脂は、定着性や粘度調節、速乾性を上げる目的で、必要に応じて使用されるものであり、記録液に使用する場合の記録液中の水溶性樹脂の含有割合は、質量基準で、30%以下が好ましく、20%以下が特に好ましい。
【0047】
本発明の水性記録液は、サインペン、マーカー等の文具類や各種プリンタ、プロッタ類のインクとして好適に使用することができ、とりわけ、その優れた分散性、分散安定性を生かしてインクジェット用インクとして好適に使用することができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例及び比較例において、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」を表わす。
【0049】
<実施例1>
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、アニオン性基含有有機高分子化合物(組成:メタクリル酸ブチル45%、スチレン20%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル15%、メタクリル酸17%、メタクリル酸2,3−エポキシプロピル3%)の50%メチルエチルケトン溶液800部、タウリンカリウム塩の4%水溶液3,050部(中和率95%)、カーボンブラック(三菱#960、三菱化学(株)製)1,000部を仕込み、攪拌、混合した。混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式により5時間分散した。分散装置の回転数は2700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。
【0050】
分散終了後、混合槽より分散原液を抜き採り、次いで水10,000部で混合槽および分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。希釈分散液を加圧反応装置に入れ、攪拌しながら120℃で2時間加熱した。加熱処理した希釈分散液をガラス製蒸留装置に入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を減圧下で留去し、不揮発分約22%の濃縮分散液を得た。
【0051】
室温まで放冷後、遠心分離機(50A−IV型、(株)佐久間製作所)にて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%の水性ブラック顔料分散体を得た。
【0052】
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは8.45、粒度分析計(マイクロトラック UPA150型、リーズ&ノースロップ社製)で測定した平均分散粒径(メディアン径)は86nmであった。また、顔料分を5%に調整した分散体に遠心沈降機により6000G、2時間の遠心力を与えた場合の沈降量は21%であった。
【0053】
<実施例2>
タウリンカリウム塩4%水溶液の使用量を2,600部に変えた(中和率80%)こと以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の水性ブラック顔料分散体を得た。
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは8.39、平均分散粒径(メディアン径)は92nm、沈降量は23%であった。
【0054】
<実施例3>
タウリンリチウム塩4%水溶液の使用量を2,450部(中和率95%)に変えたこと以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の水性ブラック顔料分散体を得た。
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは8.02、平均分散粒径(メディアン径)は104nm、沈降量は30%であった。
【0055】
<実施例4>
カーボンブラックに代えて、ファストゲンブルーTGR(C.I.ピグメントブルー15:3、大日本インキ化学工業(株)製)400部を用いたこと以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の水性シアン顔料分散体を得た。
得られた水性シアン顔料分散体のpHは8.52、平均分散粒径(メディアン径)は112nmであった。
【0056】
<比較例1>
タウリンカリウム塩の4%水溶液3,050部に代えて、トリエタノールアミン110部(中和率95%)、水2,950部を用いたこと以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の水性ブラック顔料分散体を得た。
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは8.06、平均分散粒径(メディアン径)は139nm、沈降量は47%であった。
【0057】
<比較例2>
タウリンカリウム塩の4%水溶液3,050部に代えて、20%水酸化カリウム水溶液210部(中和率95%)、水2,850部を用いたこと以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の水性ブラック顔料分散体を得た。
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは10.07、平均分散粒径(メディアン径)は108nm、沈降量は25%であった。
【0058】
<比較例3>
タウリンカリウム塩の4%水溶液3,050部に代えて、20%水酸化カリウム水溶液130部(中和率60%)、水2,900部を用いたこと以外は実施例1と同様にして不揮発分20%の水性ブラック顔料分散体を得た。
得られた水性ブラック顔料分散体のpHは8.30、平均分散粒径(メディアン径)は121nm、沈降量は42%であった。
【0059】
<実施例5>(サーマル方式インクジェットプリンタ用水性記録液の適性評価)各実施例および比較例で得られた水性顔料分散体から、特開平6−122846号公報記載の実施例2を参考にしてサーマル方式インクジェットプリンタ用インクを調整した。インク組成を以下に示す。
【0060】
水性顔料分散体 25部
グリセリン 8部
エチレングリコール 5部
エタノール 5部
エマルゲン120(花王(株)製) 0.05部
水 57部
【0061】
このようにして調製したインクについて、70℃、7日間の貯蔵試験を実施し、平均分散粒径の変化を調べた。また、サーマル方式のインクジェットプリンタ(BJ F600型、キヤノン(株)製)にて100枚の連続印字を行い、印字性能を評価した。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0004867089
【0063】
Figure 0004867089
【0064】
表2からわかる通り、本発明で用いる中和塩基によれば、分散性、分散安定性の観点から、粒径絶対値をより小さくすることが出来、粒径の経時変化を小さく保ったまま、より低いアルカリ性とすることが出来ることが明らかである。
【0065】
【発明の効果】
本発明の水性顔料分散体は、塩基性物質で中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物を含む水性顔料分散体において、前記塩基性物質が、前記有機高分子化合物中にあるアニオン性基より強い酸性度を示すアニオン性基を有しているアミンの塩であるので、より低pHのアルカリ性領域でも分散性および分散安定性に優れており、インクジェットプリンタ用インク等の記録液に使用した場合には、印字性が良好で、貯蔵安定性や演色性、透明性に優れた記録液を与え、鮮明な画像を形成することができ、プリンタヘッドの損耗を抑え、ヘッド構成に使用できる材料の選択肢を広げることができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも顔料、塩基性物質で中和されたアニオン性基含有有機高分子化合物および水性媒体からなる水性顔料分散体において、前記アニオン性基含有有機高分子化合物が、酸価30〜220mgKOH/gおよびガラス転移点−20〜80℃のカルボキシル基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物であり、前記塩基性物質が、タウリンまたはその水可溶性塩であり、かつ、アニオン性基のうちイオン化された基が70〜100%であることを特徴とするインクジェットプリンタ用インクのための水性顔料分散体。
  2. アニオン性基含有有機高分子化合物が自己水分散性である請求項1記載の水性顔料分散体。
  3. 顔料がアニオン性基含有有機高分子化合物によって被覆されている請求項1または2記載の水性顔料分散体。
  4. アニオン性基含有有機高分子化合物が、エポキシ基を有する不飽和脂肪酸を用いて得たカルボキシル基を含有するアニオン性基含有有機高分子化合物のエポキシ基が開環架橋した有機高分子化合物である請求項1、2または3のいずれか記載の水性顔料分散体。
  5. 請求項1、2、3または4のいずれか記載の水性顔料分散体を含有することを特徴とする水性記録液。
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