JP2004285172A - 水性顔料分散体の製造方法及び水性顔料記録液の製造方法 - Google Patents

水性顔料分散体の製造方法及び水性顔料記録液の製造方法 Download PDF

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春夫 村田
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暁雄 高橋
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Abstract

【課題】分散粒子の分散粒子径の変化が少なく、粒子の分散安定性に優れ、かつ、鮮明度の高い着色画像が得られる水性顔料分散体の製造方法、及びこれで得られた水性顔料分散体から水性顔料記録液を製造する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、水を含むが有機溶剤を含まない水性顔料分散体に超音波を照射し水性顔料分散体を製造する。またここで得られた水性顔料分散体を、重量換算で顔料濃度1〜10%となる様に希釈して水性顔料記録液とする。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用水性インク、水性塗料、水性ボールペンインク、水性印刷インキ等に有用な水性顔料分散体及び水性顔料記録液の製造方法に関し、さらに詳しくは顔料分散性、顔料分散安定性、色調などに優れた水性顔料分散体及び水性顔料記録液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機顔料粒子の小粒径化と、インク物性の保存安定性とを両立し、さらに被記録媒体上における画像鮮明度が高いインクジェット記録用水性インクのような水性顔料記録液を製造する方策として、超音波による分散法が試みられている。この様な画像鮮明度は、例えば、被記録媒体が写真用紙の様な専用紙の場合は、着色画像の光沢や彩度に基づいて評価され、一方、被記録媒体がPPC用紙の様な普通紙の場合は着色画像の濃度により評価される。
【0003】
超音波を利用したインクジェット記録用水性インクの製造方法としては、例えば有機顔料と高分子分散剤の有機溶剤溶液に超音波照射をしながら水と混合して、有機顔料が高分子分散剤で被覆された複合粒子を形成させると共に水に分散させた後、脱溶剤を行ってから水溶性有機溶剤等を含めるインクジェット記録用水性インクの製造方法、有機顔料、高分子分散剤、水溶性有機溶剤及び水を含む顔料分散物を250〜3000Wの出力及び20〜50kHzの周波数の条件下に超音波処理工程に付して該有機顔料を分散させることを特徴とするインクジェット記録用水性インクの製造方法が開示されている(特許文献1、2または3参照)。
【0004】
しかしながら、これら特許文献1及び2の方法は、有機溶剤の存在下で超音波照射を行っているため、超音波の照射と共に局部的に液媒体温度が急上昇する結果、得られる水性顔料分散体の顔料分散粒子径が変化したり、分散体の顔料分散安定性は劣ったものとなってしまうという欠点を有している。更に、特許文献3では、超音波ホモジナイザーで分散する際は加温等により、脱泡、脱気を行ってから分散するのが好ましいとされている。
【0005】
また、水不溶性ないし水難溶性着色剤、高分子分散剤、水溶性有機溶剤及び水を含む顔料分散物を超音波処理工程に付して該水不溶性ないし水難溶性着色剤を分散させることを特徴とするインクジェット記録用水性インクの製造方法が開示されている(特許文献4参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献3及び4でも水溶性有機溶剤の存在下で超音波照射を行っているため、超音波の照射と共に局部的に液媒体温度が急上昇する結果、得られる水性顔料分散体の顔料分散粒子径が変化したり、分散体の顔料分散安定性は劣ったものとなってしまうという欠点を有している。
【0007】
【特許文献1】
特開平 9−151342号公報(第2頁請求項12、第7頁段落番号0057及び第12頁段落番号0116等)
【特許文献2】
特開平10− 60331号公報(第2頁請求項1、第3頁段落番号0012〜0013及び第8頁段落番号0058等)
【特許文献3】
特開平11−181340号公報(第2頁請求項12及び14、第9頁段落番号0055及び第10頁段落番号0064等)
【特許文献4】
特開平11−228892号公報(第2頁請求項1、第6頁段落番号0052〜0054及び第7頁段落番号0064等)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、分散粒子の粒子径の変化が少なく、粒子の分散安定性に優れ、かつ画像鮮明度に優れる(写真用紙の様な専用紙にあっては光沢及び彩度の高い着色画像が得られ、普通紙にあっては高い濃度の着色画像が得られる)水性顔料分散体の製造方法、及びこれで得られた水性顔料分散体から水性顔料記録液を製造する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、超音波照射に供する水性顔料分散体中の有機溶剤の有無如何により、同一条件の超音波照射においても、照射後の水性顔料分散体等の性質が大きく異なることを見い出した。
そして、少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、水溶性塩基性化合物、水を含むが有機溶剤を含まない水性顔料分散体に、超音波を照射することにより、局部的な有機溶剤の温度上昇による、分散粒子の粒子径の変化や分散体の分散安定性の劣化を押さえることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、水溶性塩基性化合物、水を含むが有機溶剤を含まない水性顔料分散体に、超音波を照射する水性顔料分散体の製造方法、及び前記水性顔料分散体を、質量換算で顔料濃度1〜10%に調製する水性顔料記録液の製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明においては、少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、水溶性塩基性化合物、水を含むが有機溶剤を含まない水性顔料分散体を予め準備し、これに超音波照射を行う。超音波照射に供する水性顔料分散体は、下記原料から構成される。
【0012】
この際の顔料としては、従来公知の有機顔料、無機顔料をいずれも用いることができる。これらを例示すると、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料、カーボンブラック、酸価チタン、べんがら等の無機顔料等が挙げられる。ここで調色などの目的のために顔料は2種類以上のものを併用することもできる。
【0013】
しかしながら、超音波照射をする前の水性顔料分散体を製造する過程で、その分散体は、力学的破砕や有機溶剤との接触や熱履歴を受けていることが多い。有機顔料は、無機顔料やカーボンブラックに比べると、有機溶剤存在下の熱履歴等により、結晶成長や結晶型転移等の現象が起こりやすい結果、分散粒子の分散粒子径の変化や分散安定性の変化が大きく、超音波照射時の水性顔料分散体の温度上昇の影響をより強く受けやすい。よって、超音波の照射に供する水性顔料分散体としては、有機顔料を含む水性顔料分散体が、本発明の効果をより顕著に発現出来る点で好ましい。
【0014】
有機顔料の中ではフタロシアニン系顔料が、水性顔料分散体中の有機溶剤の有無の対比において、超音波の照射による被記録媒体上の画像鮮明度の改良の程度、例えば、写真用紙の様な専用紙における着色画像の光沢の改良の程度が顕著である。
【0015】
本発明におけるアニオン性基含有有機高分子化合物は、高分子分散剤として機能するものであり、それ自体はもはや公知のものである。高分子分散剤は、実質的に線状の有機高分子化合物であり、中和によってそれ自身が水分散性となりうるものを用いるのが被記録媒体上への定着性と着色画像耐水性の観点から好適である。水性顔料分散体がインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液の調製に用いられる場合には、必要に応じて、多官能の原料を定着性、吐出安定性、分散安定性等を損ねない範囲において併用して調製した、実質的に線状ではあるが一部分岐構造を有するアニオン性基含有有機高分子化合物を用いることも可能である。
【0016】
この様な観点から、本発明におけるアニオン性基含有有機高分子化合物としては、例えば、以下のものを用いることができる。
本発明においては、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの両方を包含して(メタ)アクリル酸エステルと呼ぶものとする。アクリル酸やメタクリル酸についても同様に(メタ)アクリル酸と呼ぶものとする。
【0017】
前記アニオン性基含有有機高分子化合物は、中和によりアニオン化する官能基を有するモノエチレン性不飽和単量体を必須成分として、必要に応じてその他の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体を共重合することにより容易に得ることができる。中でも、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体と(メタ)アクリル酸とを必須の単量体として共重合した共重合体が好ましい。この好適なアニオン性基含有有機高分子化合物を構成する、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体としては、例えば、芳香族ビニルや、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0018】
ここで芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロスチレン等が挙げられるが、中でもスチレン又はα−メチルスチレンが本発明の効果への寄与がより優れる点、容易に入手でき安価である点で好ましい。
【0019】
一方、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、中和によりアニオン化したりカチオン化したりするような官能基を有さない芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルである。このようなものとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる(メタ)アクリル酸エステルが挙げられるが、中でもベンジルメタアクリレートが本発明の効果への寄与がより優れる点、容易に入手でき安価である点で好ましい。
【0020】
また、中和によりアニオン化する官能基を有するモノエチレン性不飽和単量体としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基、ホスホ基、チオカルボキシル基のような、水溶性塩基性化合物での中和によりアニオン化する官能基を有しているモノエチレン性不飽和単量体がいずれも使用できる。
【0021】
原料モノマーの入手のしやすさ、価格等を考慮すると、この様な単量体としては、中でもカルボキシル基またはスルホン基を含有するモノエチレン性不飽和単量体が好ましく、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できる点でカルボキシル基を含有するモノエチレン性不飽和単量体が更に好ましい。
【0022】
カルボキシル基を含有するモノエチレン性不飽和単量体は、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類を挙げることができる。中でも(メタ)アクリル酸が最適である。
【0023】
上記した単量体と共重合し得るその他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、等の不飽和脂肪酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和脂肪酸アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エーテル類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3−クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類;4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、等のビニル置換複素環化合物類;上記例示単量体中のカルボキシル基、水酸基、アミノ基、等活性水素を有する置換基を含有する単量体とエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド等、エポキシド類との反応生成物;上記例示単量体中の水酸基、アミノ基等を有する置換基を含有する単量体と酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸等のカルボン酸類との反応生成物等を挙げることができる。
【0024】
本発明において、アニオン性基含有有機高分子化合物としては、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体と(メタ)アクリル酸を必須の単量体とし、全単量体質量中、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体を10〜90%含ませて重合した酸価60〜200mgKOH/gの共重合体であることが、前記した被記録媒体上における着色画像の鮮明度の点で好ましい。
【0025】
本発明の水性顔料分散体の製造においては、前記した被記録媒体上における着色画像の鮮明度の点で、以下の二つのより好ましいアニオン性基含有有機高分子化合物がある。
(1)芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とを必須の単量体とし、全単量体質量中、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体を10〜30%含ませて重合した共重合体。
(2)芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体と(メタ)アクリル酸とを必須の単量体とし、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体を芳香族ビニルと芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとから構成し、全単量体質量中、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体を50〜90%含ませて重合した共重合体。
【0026】
前記(1)及び(2)の共重合体において、後者(2)の共重合体は前者(1)の共重合体に比べて、分子中の芳香環濃度がより高まると共に、二種の芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体の重合単位を両方含むことにより、普通紙上においては、着色画像の濃度の絶対値がより高くなり、写真用紙の様な専用紙上においては、着色画像の光沢の絶対値がより高くなるという効果がある。
【0027】
前記(2)の共重合体としては、芳香族ビニル/芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合比(仕込質量換算)=20/50〜50/10、中でも32.5/50〜35/10が好適である。この範囲内で、写真用紙の様な専用紙上の着色画像の高い光沢絶対値となるが、50/50〜35/10の範囲が超音波照射時の有機溶剤の有無における着色画像の光沢の改良の程度は最大となる。
【0028】
本発明に用いられる前記アニオン性基含有有機高分子化合物の酸価は、特に制限されないが、前記した様な酸価60〜200mgKOH/gであることが好ましく、中でも80〜150mgKOH/gであることがより好ましく、特に90〜130mgKOH/gであること最も好ましい。この様な範囲では、樹脂の水への溶解性が良好で、分散体とした際の分散粒子の分散安定性への寄与が顕著である。より具体的には、この分散体をインクジェット記録用水性インクの調製に適用した場合の分散粒子の沈降安定性も良好となるので好ましい。前記した範囲にあると、被記録媒体上の着色画像の耐水性も画像鮮明度も良好となるので好ましい。
【0029】
上記通り、アニオン性基含有有機高分子化合物が、芳香族ビニル/芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの好適な共重合比範囲と好適な酸価範囲を兼備することで、それを含む水性顔料分散体は、優れた顔料分散安定性と、被記録媒体上における優れた着色画像濃度及び光沢とを兼備したものとなる。
【0030】
本発明に用いるアニオン性基含有有機高分子化合物としては、前記した必須のモノエチレン性不飽和単量体の重合単位の他に、炭素原子数14未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び/又は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを重合単位として含むものが好ましい。
【0031】
前記アニオン性基含有有機高分子化合物に対して更に、炭素原子数14未満のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合単位を含ませた場合は、炭素原子数14以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合単位を含ませた場合に比べてガラス転移温度(Tg)を高く設計することができ、着色画像皮膜の剛性をより高められる点で好ましく、一方、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの重合単位を含ませた場合は、その重合単位を含まない場合に比べて水への親和性をより高められる点で好ましい。このような重合単位は、これらの単量体の一方または両方を前記必須成分の単量体と共重合することにより容易に得られる。
【0032】
かかるアニオン性基含有有機高分子化合物は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することができる。
【0033】
本発明で超音波照射に供する水性顔料分散体中におけるアニオン性基含有有機高分子化合物は、中和によりアニオン化する官能基の重合単位を有し、その少なくとも一部が水溶性塩基性化合物によってイオン化された形態をとっていることが分散性、分散安定性の発現のうえで好ましい。アニオン性基のうちイオン化された基の最適割合は、通常30〜100%に設定されることが好ましい。このイオン化された基の割合はアニオン性基と塩基性物質のモル比を意味しているのではなく、解離平衡を考慮に入れたものである。例えばアニオン性基がカルボキシル基の場合、化学量論的に当量の強塩基性物質を用いても解離平衡によりイオン化された基(カルボキシラート基)の割合は100%未満であって、カルボキシラート基とカルボキシル基の混在状態である。
【0034】
このように、アニオン性基含有有機高分子化合物の、アニオン性基の少なくとも一部をイオン化する(アニオン化する)ために用いられる水溶性塩基性化合物としては、公知慣用のもの、例えば、アンモニア、第一級、第二級もしくは第三級の水溶性有機アミン(塩基性含窒素複素環化合物を含む)、水酸化アルカリ金属からなる群から選ばれる化合物が挙げられる。中でも、水溶性塩基性化合物として水酸化アルカリ金属を用いた場合には、分散粒子の耐沈降安定性が良好となるので好ましい。
【0035】
これらの例示した水溶性塩基性化合物でアニオン性基の少なくとも一部をイオン化することにより、カルボキシラート基の対イオンは、アンモニウムイオン(塩基性含窒素複素環化合物のプロトン化カチオンを含む)またはアルカリ金属イオンからなる群から選ばれるカチオンが挙げられる。
【0036】
アニオン性基含有有機高分子化合物と水溶性塩基性化合物との併用による顔料の分散は、イオン化による自己分散の機能発現によるので、従来の、各種イオン性基を含まない有機高分子化合物と各種イオン性界面活性剤との組み合わせで強制的に分散させて調製される水性顔料分散体に比べ、界面活性剤を必要としないため、水性顔料分散体の長期に亘る分散安定性や着色画像の耐水性に優れるという長所があるので好ましい。
【0037】
水性顔料分散体を調製する際の水としては、蒸留水、イオン交換水、純水などの精製水を使用することが望ましい。
【0038】
本発明において超音波照射に供する水性顔料分散体は、少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、水溶性塩基性化合物、水を含むが有機溶剤を含まない水性顔料分散体である。本発明において超音波照射に供する水性顔料分散体は、例えば、下記のような1)〜3)の方法で製造することができる。
1)上記アニオン性基含有有機高分子化合物及び水溶性塩基性化合物を含む水性エマルジョンに顔料を機械的に混合して水性顔料分散体を製造する。
2)顔料と上記アニオン性基含有有機高分子化合物と有機溶剤の混合物を、水と水溶性塩基性化合物を用いて徐々に油相から水相に転相させてから脱溶剤して、顔料が上記アニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子を含む水性顔料分散体を製造する。
3)顔料と上記アニオン性基含有有機高分子化合物と水溶性塩基性化合物と有機溶剤と水との均一混合物から脱溶剤を行い、水溶性酸性化合物を加えて媒質を沈降させた後、水溶性塩基性化合物を必須とし通常更に水をも加えて再分散させる操作を行い、顔料が上記アニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子を含む水性顔料分散体を製造する。
【0039】
本発明では、上記いずれの製造方法をとるにせよ、顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、水溶性塩基性化合物及び水を含むが有機溶剤を含まない水性顔料分散体に、超音波照射する工程を必須として含ませる。
【0040】
また、超音波照射に供する水性顔料分散体を調製する際には、分散工程において有機溶剤を併用することができ、それにより分散工程における液粘度を低下させることができる場合がある。有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられ、とりわけ炭素数が3〜6のケトンおよび炭素数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。これらの有機溶剤は、前記アニオン性基含有有機高分子化合物溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い。
【0041】
しかしながら、有機溶剤は、前記した様に顔料との相互作用により顔料分散粒径の変化や分散安定性の変化に影響を及ぼすので、超音波照射の前に、超音波照射に供する水性顔料分散体から除去される。
【0042】
本発明の超音波照射に供する水性顔料分散体の製造方法においては、質量換算で、顔料/アニオン性基含有有機高分子化合物(不揮発分換算)=100/10〜100/100とするのが好ましい。最適には、質量換算で顔料100部当たり、アニオン性基含有有機高分子化合物の不揮発分20〜65部、かつ水性媒体835〜880部となるように、上記した原料を用いて製造することができる。
【0043】
本発明において水性媒体とは、水のみまたは水と水溶性有機溶剤との混合物で質量換算で60%以上の水を含んでいるものを言うが、この水溶性有機溶剤は、超音波照射の前に照射対象の水性顔料分散体からは除去される。
【0044】
超音波照射に供する水性顔料分散体を調製するためには、前記した各原料を含む混合物を混合分散する。この分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではない。例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、具体的には、サンドミル、ビーズミル、ペブルミル、ボールミル、パールミル、バスケットミル、アトライター、ダイノーミル、ボアミル、ビスコミル、モーターミル、SCミル、ドライスミル、ペイントコンディショナー等を挙げることができる。また、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、具体的には、高速ディスクインペラー、コロイドミル、ロールミル、メディアレス分散機等を挙げることができる。更に、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、具体的には、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、アルティマイザー等の分散方式を採ることができる。
【0045】
超音波照射に供する水性顔料分散体が有機溶剤を含んでいる場合には、それを除去するための蒸留工程を設ける。この蒸留工程の例には、分散工程において有機溶剤を使用した場合に、これを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程等がある。
【0046】
なお、前記工程に含まれない操作をこれら工程に加えて、本発明を実施することも可能である。例えばそのような操作として、酸析、遠心分離、濾過、攪拌操作、加熱処理、高圧ホモジナイザー処理などが挙げられる。これらの操作を行うことは、後記するインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液の精製、顔料分散の安定性などに貢献することもあり、必要に応じて、好ましく行うことが出来る。
【0047】
中でも、前記した酸析により、顔料とアニオン性基含有有機高分子化合物との相互作用を高め、顔料がアニオン性基含有有機高分子化合物で被覆された複合粒子(即ちマイクロカプセル型複合粒子)とし、この複合粒子を水中に分散させた水性顔料分散体とできる。従って、この酸析工程により、水性顔料分散体の分散粒子の分散安定性をより高めたり、顔料が有機顔料である場合には、被記録媒体上での顔料の結晶成長や結晶型転移等の現象抑制にも寄与し、着色画像の色相変化を防止し、光沢、耐擦過性、耐光性をより高めることが出来る。
【0048】
また、分散到達レベル、分散所要時間および分散安定性の全ての面で、より優れた特性を発揮する水性顔料分散体とするに当たっても、前記した様な、顔料が前記高分子化合物で被覆された複合粒子という形態で水に分散していることが好ましい。従って、前記分散の後に、この酸析を併せて実施することが好ましい。
【0049】
この酸析は、アニオン性基含有有機高分子化合物、水溶性塩基性化合物、顔料及び水が共存している状態で、そこに水溶性酸性化合物を加えて、前記アニオン性基含有有機高分子化合物を顔料上に析出するための操作である。
【0050】
超音波照射に供する水性顔料分散体を調製するに当たっては、この酸析工程に引き続いて、濾過工程及び再分散工程を順に行うことが好ましい。この濾過工程により水中に含まれている無機不純物の精製を行うことが出来るし、再分散工程により前記複合粒子を含む水性顔料分散体とすることが出来る。
【0051】
濾過工程の例には、前述した酸析工程後の固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。
【0052】
再分散工程の例には、酸析工程、濾過工程によって得られた固形分に水溶性塩基性化合物及び必要により水や添加物を加えて再び水性顔料分散体とする工程がある。この再分散工程では、アニオン性基含有有機高分子化合物中のイオン化したアニオン性基の対イオンを分散工程で用いたものから変更することができる。
【0053】
前記した酸析に用いることの出来る水溶性酸性化合物としては、例えば、塩酸、硫酸、酢酸等が挙げられる。尚、水溶性塩基性化合物としては、前記したものが挙げられる。
【0054】
本発明において、超音波照射に供する水性顔料分散体は、アニオン性基含有有機高分子化合物と水溶性塩基性化合物とを用いて前記した方法で製造した水性顔料分散体に、水溶性酸性化合物を加えて、媒質たる前記有機高分子化合物を沈降させた後で、少なくとも水溶性塩基性化合物を加えて、前記有機高分子化合物を中和させながら媒質の少なくとも一部を再分散させる様にして行うことが望ましい。より具体的には、前記(3)に記載した様な方法で超音波照射に供する水性顔料分散体の製造を行うことが出来る。
【0055】
こうして、少なくとも、酸析工程により前記複合粒子を形成させた後に、再分散工程で再び水溶性塩基性化合物を適当量加えることで、酸析を行わない場合よりも顔料と前記高分子化合物との相互作用を高めた水性顔料分散体の調製が可能となる。
【0056】
本発明おいて、前記酸析工程と再分散工程を含める製造方法を採用する場合には、分散工程という前段で水溶性塩基性化合物を用いることと同様に、後段に当たるこの再分散工程において、水性顔料分散体に水溶性塩基性化合物を再び加えることになる。この際の水溶性塩基性化合物は、前記アニオン性基含有有機高分子化合物の酸価の50〜90%を中和する量を用いることが、画像の鮮明度を優れたものとすることが出来る点で好ましい。
【0057】
本発明では、こうして得られた水性顔料分散体に超音波を照射する。超音波照射の条件は、特に制限されないが、250〜3000Wの出力と15〜40kHzの周波数で行うことが好ましく、さらに好ましくは500〜2000Wの出力と15〜25kHzの周波数で行うことが出来る。
【0058】
出力を前記範囲に設定すると、キャビテーションの効率が高くなる結果、顔料分散工程が効率化できたり、万一前記分散工程で粗大粒子を含む水性顔料分散体が得られても、この超音波照射により粗大粒子が破砕でき、水性顔料分散体中に粗大粒子が残存しにくくなること、その結果、水性顔料分散体自身から得られる着色被膜の彩度(質感)が改良され、水性顔料分散体から水性顔料記録液として後述するインクジェット記録用水性インクを調製した際にスムーズな吐出が得られる(良好な吐出安定性)こと、粒子の沈降等による製品の品質の低下がなくなること、発振棒のエロージョン(腐食)が著しく小さくなり機器メンテナンスコストが下がること等の理由により、大変好ましい。
【0059】
一方、周波数を前記範囲に設定することで、キャビテーションをうまく起こさせることができ、万一前記分散工程で不満足な水性顔料分散体が得られても、この超音波照射により顔料分散をリカバリーすることができるようになる。その結果、例えば水性顔料分散体の粘度も、より適切な範囲とすることが容易であり、かつそれからインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液を調製したときに、粒子径などの基本物性が優れたものを調製することができるようになる。
【0060】
超音波照射を行う時間は、特に制限されないが、実質的に容器内で超音波が照射されている時間で、1〜60秒/g(水性顔料分散体)であることが好ましい。
【0061】
超音波処理は、これ以上、長時間の処理を行うことも、短時間で処理をとりやめることもできるが、この範囲の時間を採ることで分散粒子径、粘度、画像鮮明度などのパフォーマンスを良くすることができるため好ましい。
【0062】
水性顔料分散体に超音波照射を終えた後に、必要であれば、超音波照射の前に行う前記した様な分散を更に行うこともできる。また前記した様な分散と超音波照射を繰り返し行うこともできる。
【0063】
超音波照射に供する水性顔料分散体の温度は、特に制限されるものではないが、前記した様な、顔料が有機顔料である場合の熱履歴による弊害を極力無くすためには、この水性顔料分散体を凝固点〜20℃となる様に制御しながら、超音波を照射する様にすることが好ましい。
【0064】
上記超音波照射に用いる装置は、出来るだけ少ない台数で行うことがコストの関係から望ましいが、必要ならば最低限の複数の装置を、直列または並列に連結させて処理を行うことも出来る。
【0065】
なお、超音波照射の終点は、粒ゲージや市販の粒径測定装置で顔料粒子や前記複合粒子の粒径を測定して決める他、粘度、接触角、各種の方法で調製した塗膜の反射光度、色彩等の物性測定で決定しても良い。また顕微鏡などを使った直接観察を行って決定しても良い。
【0066】
こうして超音波照射により調製された水性顔料分散体は、そのままで濃厚な塗料として使用することが出来る他、そこに液媒体等を更に加えることにより、例えばインクジェット記録用水性インクとして使用可能な組成の水性顔料記録液を製造することも出来る。
【0067】
水性顔料記録液の調製は、前記水性顔料分散体に質量換算で顔料濃度1〜10%となる様に、特にインクジェット記録用水性インクを調製する場合には、前記水性顔料分散体を質量換算で顔料濃度3〜10%となる様に調製する。ここで顔料濃度とは、水性顔料分散体中のアニオン性基含有有機高分子化合物と一体化していない顔料単独粒子と、前記した顔料が前記高分子化合物で被覆された複合粒子中の顔料との合計の濃度である。
【0068】
尚、水性顔料分散体及び水性顔料記録液における顔料濃度は、例えば、水性顔料分散体や後記する水性顔料記録液のテトラヒドロフラン(THF)によるソックスレー抽出の不溶分からも求めることが可能である。
【0069】
水性顔料記録液を調製する場合は、液媒体等で水性顔料分散体を希釈することが好ましい。これは希釈工程により行われる。液媒体等と水性顔料分散体との混合の順序は自由に選択することが出来る。
【0070】
この際の液媒体等は、主に、水及び/又は水溶性有機溶剤から構成することが出来る。水溶性有機溶剤を含ませることで特にインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液に必要な、インクの浸透性・粘弾性・表面張力・顔料分散安定性等が容易に制御可能になる。
【0071】
水溶性有機溶剤とは、20℃において水100gへの溶解度が50gを越える有機溶剤を言い、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリム、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールモノアセテート等のエーテル類、グリコール類、またはそのエステル類、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のモノアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチル燐酸トリアミド、ヘキサメチル亜燐酸トリアミド、ジメチルイミダゾリジノンなどの含窒素有機化合物や含硫黄有機化合物等を挙げることが出来る。
【0072】
水溶性有機溶剤としては、前記した様に顔料粒子に変化を与えないか、変化をより与えにくい水溶性有機溶剤を選択して用いることが好ましい。
【0073】
水溶性有機溶剤と水とはそれぞれ別個に水性顔料分散体に加えることも出来るが、予めこれらを混合した液媒体で希釈を行うことにより、溶剤ショックの問題を解消できることもあるので、両者を用いて水性顔料記録液を調製する場合においては、まず水溶性有機溶剤と水とを混合しておき、これを水性顔料分散体に加えて水性顔料記録液の組成にすることが望ましい場合がある。
【0074】
尚、この際には、前記した水溶性有機溶剤以外の有機溶剤を含める様にしても良い。このような有機溶剤としては、水100gへの溶解度が20℃で1〜50gである有機溶剤、例えば、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−プロピル、ジクロルメタン等を挙げることが出来る。
【0075】
水性顔料分散体の調製時や水性顔料記録液の調製時に、紙への浸透性の制御、顔料分散性の維持、画像の高光沢化、画像の高彩度化などを目的として、各種添加剤として、生産性を阻害しない範囲で、水性ポリウレタン、水性ポリエステルなどの水性高分子化合物、染料、各種鉱物などのレオロジー調整剤、でんぷん、セルロースなどの糖類、殺菌剤などを必要に応じて加えることが出来る。
【0076】
水性高分子化合物のうち、水性ポリウレタンや水性ポリエステルの添加は、後記する被記録媒体として写真用紙の様な専用紙における指触時の耐擦過性を向上させる効果がある。
【0077】
水性顔料分散体の調製時において、これら添加剤を添加する場合には、水性顔料記録液の調製時において添加する場合よりも、添加量をより少量に止めることが好ましい。これら添加剤の添加量は、水性顔料分散体に対する添加量で、質量換算で10%以下にすることが望ましい。水性顔料記録液の調製時に好適に添加されるのは、レオロジー調整剤、湿潤剤、防腐剤等である。
【0078】
更に、水性顔料記録液の調製に当たっては、湿潤剤、防かび剤、pH調節剤等の水性インクの調製に必要な各種添加剤を併用することができる。
【0079】
また得られた水性顔料記録液は、必要に応じてミクロフィルターにより濾過をする様な濾過工程を経ることにより、インクジェット記録用に適したノズル目詰まり等の極めて少ない水性顔料記録液とすることができる。
【0080】
また、本発明の製造方法で得られた水性顔料記録液は、吐出方式に応じた組成に適宜調製することにより、ピエゾ方式でもサーマル方式でもいずれの方式にも対応できる水性顔料記録液を得ることができる。
【0081】
本発明の製造方法で得られた水性顔料記録液は、公知慣用の被記録媒体への記録に使用することができる。このような被記録媒体としては、例えばPPC用紙の様な普通紙、光沢紙、樹脂コート紙、写真用紙の様な専用紙、混抄紙、合成樹脂フィルム等が挙げられる。CD−Rのような光学メディアのレーベル面等の各種被記録媒体上への印字や描画に用いることも出来る。中でも、本発明の水性顔料記録液は、写真用紙のようなインクジェット専用紙において、より光沢の高い着色画像が得られる。
【0082】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を具体的に説明するものであり、実施の態様がこれにより限定されるものではない。なお特に断りがない限り「部」及び「%」は質量基準とする。
【0083】
[合成例1]
攪拌装置、滴下装置、温度センサー、および上部に窒素導入装置を有する環流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(重合試験機DSL−2AS型、轟産業(株)製)の反応容器にメチルエチルケトン1,100部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃に昇温させた後、滴下装置より、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル75部、メタアクリル酸ブチル503部、アクリル酸ブチル23部、メタアクリル酸199部、スチレン200部、および「パーブチル O」(有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製)80部の混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに同温度で15時間反応を継続させて、酸価130、Tg53℃、樹脂分48.9%のアニオン性基含有有機高分子化合物の溶液を得た。(芳香族ビニル/芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合比=20/0)
【0084】
[合成例2]
メチルエチルケトン1,100部を用い、かつメタアクリル酸ブチル87部、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル75部、メタアクリル酸138部、スチレン300部、メタアクリル酸ベンジル400部および「パーブチル O」80部の混合液を用いる以外は合成例1と同様の操作を行い、酸価90、Tg74℃、樹脂分47.2%のアニオン性基含有有機高分子化合物の溶液を得た。(芳香族ビニル/芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合比=30/40=0.75)
【0085】
[合成例3]
メチルエチルケトン1,100部を用い、かつメタアクリル酸2−ヒドロキシエチル75部、メタアクリル酸138部、スチレン500部、メタアクリル酸ベンジル287部および「パーブチル O」80部の混合液を用いる以外は合成例1と同様の操作を行い、酸価90、Tg87℃、樹脂分46.1%のアニオン性基含有有機高分子化合物の溶液を得た。(芳香族ビニル/芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合比=50/29=1.74)
【0086】
[合成例4]
メチルエチルケトン1,100部を用い、かつメタアクリル酸2−ヒドロキシエチル75部、メタアクリル酸138部、スチレン400部、メタアクリル酸ベンジル387部および「パーブチル O」80部の混合液を用いる以外は合成例1と同様の操作を行い、酸価90、Tg82℃、樹脂分47.1%のアニオン性基含有有機高分子化合物の溶液を得た。(芳香族ビニル/芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合比=40/39=1.03)
【0087】
(実施例および比較例)
【0088】
[実施例1]
冷却用ジャケット及び攪拌機を備えた混合槽に、合成例1で得たアニオン性基含有有機高分子化合物を固形分換算200部、メチルエチルケトン300部、20%水酸化ナトリウム水溶液及び純水を仕込み攪拌して、均一溶液とした。
次に、顔料として、Fastogen Super Magenta RTS(C.I.Pigment Red 122、大日本インキ化学工業(株)社製)850部、3,10−ジクロロフタルイミドメチルキナクリドン(大日本インキ化学工業(株)社製)50部及び3,10−ジクロロキナクリドンスルホン酸ナトリウム(大日本インキ化学工業(株)社製)スラリー不揮発分換算100部を仕込み、攪拌、混合した。
ここでそれぞれの仕込量は、顔料が1,000部、樹脂は顔料に対して不揮発分で20%の比率となる量、20%水酸化ナトリウム水溶液はアニオン性基含有有機高分子化合物の酸価が100%中和される量、純水は混合液の不揮発分を30%とするのに必要な量である。
【0089】
混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式により4時間分散した。分散装置の回転数は2700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。
分散終了後、混合槽より分散原液を抜き採り、次いで水10,000部で混合槽および分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。希釈分散液をガラス製蒸留装置に入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を常圧蒸留で除いた。
【0090】
メチルエチルケトンの除かれた分散液を冷却し、その後、攪拌しながら2%塩酸を滴下してpH4.5に調整したのち、固形分をヌッチェ式濾過装置で濾過、水洗し、不揮発分約27%のウェットケーキを得た。ウェットケーキを容器に採り、アニオン性基含有有機高分子化合物の酸価が85%中和される量の20%水酸化カリウム水溶液を加え、分散攪拌機(TKホモディスパ20型、特殊機化工業(株)製)にて再度分散した。更に純水を加えて不揮発分23%に調整し水性顔料分散体を得た。
【0091】
次いで、得られた不揮発分23%の水性顔料分散体150部に、タイゴンチューブの先を付け、チューブポンプを用いて分散体を超音波分散機(日本精機製作所(株)製US1200TCVP型)のベッセル中を通過させた。
送液スピードを100部/分にして、超音波出力1200W、振動数20kHz、実質照射時間460秒(ベッセル滞留時間)で超音波照射操作を行った。超音波照射後の分散体温度は70℃まで上昇した。
【0092】
この分散体を、遠心分離機(H−2000B型、(株)コクサン社製)にて6000G、30分間かけて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%のマゼンタ顔料分散体(A−1)を得た。
得られたマゼンタ顔料分散体(A−1)の体積平均粒径は98nmであった。ここで、体積平均粒径は日機装(株)社製「マイクロトラックUPA」を使用して測定した。
【0093】
(ピエゾ方式インクジェットプリンタ用水性顔料記録液の適性評価)
特開平7−228808号公報記載の実施例1を参考にして、得られたマゼンタ顔料分散体(A−1)を用いてピエゾ方式インクジェットプリンタ用インクを調製した。インク組成を以下に示す。本インクを用いてインクジェットプリンターでPM写真用紙(セイコーエプソン(株)社製)に印字した結果、着色画像の60°光沢、彩度C*とも比較例1より優れたものであった。結果を表1にまとめた。
【0094】
マゼンタ顔料分散体(A−1) 6 部(顔料分換算)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10 部
ジエチレングリコール 15 部
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 0.8部
水 全体で100部に調製
【0095】
[実施例2]
樹脂を合成例2で得たアニオン性基含有有機高分子化合物に、顔料をFastogen Super Magenta RY(C.I.Pigment Red 122、大日本インキ化学工業(株)社製)850部、3,10−ジクロロフタルイミドメチルキナクリドン50部及び3,10−ジクロロキナクリドンスルホン酸ナトリウム100部に変更した以外は実施例1と同様にして、分散機による分散、蒸留、酸析、濾過、水洗、更に、水酸化カリウムによる再分散を行い、不揮発分23%に調製し水性顔料分散体を得た。
【0096】
次いで、得られた不揮発分23%の水性顔料分散体150部に、実施例1と同様にして、送液スピードを100部/分にして、超音波出力1200W、振動数20kHz、実質照射時間460秒(ベッセル滞留時間)で超音波照射操作を行った。超音波照射後の分散体温度は70℃まで上昇した。
【0097】
更に、この分散体を、実施例1と同様にして、遠心分離機にて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%のマゼンタ顔料分散体(A−2)を得た。
得られたマゼンタ顔料分散体(A−2)の体積平均粒径は105nmであった。更に、実施例1と同様の方法で、マゼンタ顔料分散体(A−2)を用いてインクジェットプリンタ用インクを調製した結果、着色画像の60°光沢、彩度C*とも比較例2より優れたものであった。結果を表1にまとめた。
【0098】
[実施例3]
樹脂を合成例3で得たアニオン性基含有有機高分子化合物に変更した以外は実施例2と同様にして、分散機による分散、蒸留、酸析、濾過、水洗、更に、水酸化カリウムによる再分散を行い、不揮発分23%に調製し水性顔料分散体を得た。
【0099】
次いで、得られた不揮発分23%の水性顔料分散体150部に、実施例1と同様にして、送液スピードを100部/分にして、超音波出力1200W、振動数20kHz、実質照射時間460秒(ベッセル滞留時間)で超音波照射操作を行った。超音波照射後の分散体温度は70℃まで上昇した。
【0100】
更に、この分散体を、実施例1と同様にして、遠心分離機にて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%のマゼンタ顔料分散体(A−3)を得た。
得られたマゼンタ顔料分散体(A−3)の体積平均粒径は103nmであった。更に、実施例1と同様の方法で、マゼンタ顔料分散体(A−3)を用いてインクジェットプリンタ用インクを調製し、印字試験した結果、着色画像の60°光沢、彩度C*とも比較例3より優れたものであった。結果を表1にまとめた。
【0101】
[実施例4]
冷却用ジャケット及び攪拌機を備えた混合槽に、合成例4で得たアニオン性基含有有機高分子化合物を固形分換算400部、20%水酸化ナトリウム水溶液及び純水を仕込み攪拌して、均一溶液とした。
次に、顔料として、Fastogen Blue TGR(C.I.Pigment Blue 15:3、大日本インキ化学工業(株)社製)800部を仕込み、攪拌、混合した。
ここでそれぞれの仕込量は、顔料が800部、樹脂は顔料に対して不揮発分で50%の比率となる量、20%水酸化ナトリウム水溶液はアニオン性基含有有機高分子化合物の酸価が100%中和される量、純水は混合液の不揮発分を30%とするのに必要な量である。
【0102】
混合液を実施例1と同様にして、分散機による分散、蒸留、酸析、濾過、水洗、更に、水酸化カリウムによる再分散を行い、不揮発分23%に調製し水性顔料分散体を得た。
【0103】
次いで、得られた不揮発分23%の水性顔料分散体150部に、実施例1と同様にして、送液スピードを100部/分にして、超音波出力1200W、振動数20kHz、実質照射時間200秒(ベッセル滞留時間)で超音波照射操作を行った。超音波照射後の分散体温度は60℃まで上昇した。
【0104】
更に、この分散体を、実施例1と同様にして、遠心分離機にて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%のシアン顔料分散体(A−4)を得た。
得られたシアン顔料分散体(A−4)の体積平均粒径は89nmであった。
更に、実施例1と同様の方法で、シアン顔料分散体(A−4)を用いてインクジェットプリンタ用インクを調製し、印字試験した結果、着色画像の60°光沢、彩度C*とも比較例4より優れたものであった。結果を表1にまとめた。
【0105】
[比較例1]
実施例1と同様にして、不揮発分23%に調整した水性顔料分散体を得た。次いで、得られた不揮発分23%の水性顔料分散体140部に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部を加え、攪拌混合した後、実施例1と同様にして、分散体を超音波分散機のベッセル中を通過させた。
送液スピードを100部/分にして、超音波出力1200W、振動数20kHz、実質照射時間460秒(ベッセル滞留時間)で超音波照射操作を行った。超音波照射後の分散体温度は70℃まで上昇した。
【0106】
この分散体を、実施例1と同様にして遠心分離機にて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%のマゼンタ顔料分散体(B−1)を得た。
得られたマゼンタ顔料分散体(B−1)の体積平均粒径は201nmであった。
【0107】
(ピエゾ方式インクジェットプリンタ用水性顔料記録液の適性評価)
更に、以下のインク組成で実施例1と同様の方法で、マゼンタ顔料分散体(B−1)を用いてインクジェットプリンタ用インクを調製し、印字試験した。結果を表1にまとめた。
【0108】
マゼンタ顔料分散体(B−1) 6 部(顔料分換算)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 7.8部
ジエチレングリコール 15 部
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 0.8部
水 全体で100部に調製
【0109】
[比較例2]
実施例2と同様にして不揮発分23%に調整した水性顔料分散体を得た。次いで、得られた不揮発分23%の水性顔料分散体140部に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部を加え、攪拌混合した後、実施例1と同様にして、分散体を超音波分散機のベッセル中を通過させた。
送液スピードを100部/分にして、超音波出力1200W、振動数20kHz、実質照射時間460秒(ベッセル滞留時間)で超音波照射操作を行った。超音波照射後の分散体温度は70℃まで上昇した。
【0110】
この分散体を、実施例1と同様にして遠心分離機にて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%のマゼンタ顔料分散体(B−2)を得た。
得られたマゼンタ顔料分散体(B−2)の体積平均粒径は210nmであった。
得られた分散液を比較例1と同様の方法でインキを作成し、印字試験した。結果を表1にまとめた。
【0111】
[比較例3]
実施例3と同様にして不揮発分23%に調整した水性顔料分散体を得た。次いで、得られた不揮発分23%の水性顔料分散体140部に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部を加え、攪拌混合した後、実施例1と同様にして、分散体を超音波分散機のベッセル中を通過させた。
送液スピードを100部/分にして、超音波出力1200W、振動数20kHz、実質照射時間460秒(ベッセル滞留時間)で超音波照射操作を行った。超音波照射後の分散体温度は70℃まで上昇した。
【0112】
この分散体を、実施例1と同様にして遠心分離機にて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%のマゼンタ顔料分散体(B−3)を得た。
得られたマゼンタ顔料分散体(B−3)の体積平均粒径は204nmであった。
得られたマゼンタ顔料分散体(B−3)を比較例1と同様の方法でインキを作成し、印字試験した。結果を表1にまとめた。
【0113】
[比較例4]
実施例4と同様にして不揮発分23%に調整した水性顔料分散体を得た。次いで、得られた不揮発分23%の水性顔料分散体140部に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル10部を加え、攪拌混合した後、実施例1と同様にして、分散体を超音波分散機のベッセル中を通過させた。
送液スピードを100部/分にして、超音波出力1200W、振動数20kHz、実質照射時間200秒(ベッセル滞留時間)で超音波照射操作を行った。超音波照射後の分散体温度は60℃まで上昇した。
【0114】
この分散体を、実施例1と同様にして遠心分離機にて粗大粒子を除去したのち、純水を加えて不揮発分を調整し、不揮発分20%のシアン顔料分散体(B−4)を得た。
得られたシアン顔料分散体(B−4)の体積平均粒径は175nmであった。
得られたシアン顔料分散体(B−4)を比較例1と同様の方法でインキを作成し、印字試験した。結果を表1にまとめた。
【0115】
【表1】
表1 印字評価結果
Figure 2004285172
【0116】
注)表1中のSTはスチレンを、BzMAはメタアクリル酸ベンジルを意味する。ST/BzMAは共重合比を意味する。
【0117】
実施例1と比較例1との対比からわかる通り、有機溶剤が含まれない水性顔料分散体に超音波照射した方が、より高い着色画像の光沢となっている。また、実施例1と2の対比からわかる通り、芳香族ビニルと芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとを含む共重合体を用いた方が、前記光沢値はより高くなり、実施例2と3の対比からわかる通り、芳香族ビニル/芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの仕込質量での比がより大きい共重合体を用いた方が、前記光沢値は更に高くなると共に、有機溶剤の有無如何での光沢値の改良の程度は大きくなる。
実施例3と比較例3、実施例4と比較例4の対比からわかる通り、キナクリドン系顔料よりもフタロシアニン系顔料の方が、有機溶剤の有無如何での光沢値の改良の程度は大きくなる。
【0118】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、有機溶剤を含まない水性顔料分散体に超音波を照射し水性顔料分散体を製造するので、有機溶剤を含む水性顔料分散体へ超音波照射をする様な場合の、局部的な有機溶剤の温度上昇による分散粒子の粒子径の変化が少なく、粒子の分散安定性に優れ、かつ、画像鮮明度の高い着色画像が得られる水性顔料分散体が得られるという格別顕著な効果を奏する。
従って、この様な水性顔料分散体を用いて調製した水性顔料記録液も、前記したのと同様の効果を奏する。

Claims (10)

  1. 少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、水溶性塩基性化合物、水を含むが有機溶剤を含まない水性顔料分散体に、超音波を照射する水性顔料分散体の製造方法。
  2. 顔料が有機顔料である請求項1記載の水性顔料分散体の製造方法。
  3. アニオン性基含有有機高分子化合物が、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体と(メタ)アクリル酸を必須の単量体とし、全単量体質量中、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体を10〜90%含ませて重合した酸価60〜200mgKOH/gの共重合体である請求項1または2記載の水性顔料分散体の製造方法。
  4. アニオン性基含有有機高分子化合物が、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とを必須の単量体とし、全単量体質量中、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体を10〜30%含ませて重合した共重合体である請求項1、2または3記載の水性顔料分散体の製造方法。
  5. アニオン性基含有有機高分子化合物が、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体と(メタ)アクリル酸とを必須の単量体とし、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体を芳香族ビニルと芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとから構成し、全単量体質量中、芳香環を有するモノエチレン性不飽和単量体を50〜90%含ませて重合した共重合体である請求項1、2または3記載の水性顔料分散体の製造方法。
  6. アニオン性基含有有機高分子化合物が、芳香族ビニル/芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルの共重合比(仕込質量換算)=20/50〜50/10であるアニオン性基含有有機高分子化合物である請求項5記載の水性顔料分散体の製造方法。
  7. アニオン性基含有有機高分子化合物が、酸価80〜150mgKOH/gの共重合体である請求項1、2、3、4、5または6のいずれか記載の水性顔料分散体の製造方法。
  8. 少なくとも顔料、アニオン性基含有有機高分子化合物、水溶性塩基性化合物、水を含むが有機溶剤を含まない水性顔料分散体に、水溶性酸性化合物を加えて媒質を沈降させた後で、少なくとも水溶性塩基性化合物を加えて再分散させる操作を更に含む請求項1、2、3、4、5、6または7記載の水性顔料分散体の製造方法。
  9. 後段の再分散に用いる水溶性塩基性化合物として、アニオン性基含有有機高分子化合物の酸価の50〜90%を中和する量を含ませる請求項8記載の水性顔料分散体の製造方法。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のいずれか記載の水性顔料分散体を用い、質量換算で顔料濃度1〜10%に調製する水性顔料記録液の製造方法。
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