JP5667235B2 - インクジェット記録用水分散体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用水分散体の製造方法、及びその水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
その中でも、印字物の耐候性や耐水性の観点から、着色剤に顔料系インクを用いるものが主流となってきている。(例えば、特許文献1及び2参照)
特許文献1には、ビニルポリマーに顔料を含有させた水系インクが開示されている。
特許文献2には、インク製造後に粘度変化が少なく、保存安定性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することを課題として、水、着色剤、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する混合物を分散処理した後、該有機溶媒を除去して、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得る工程(1)、及び前記水分散体を40℃以上で加熱処理する工程(2)を有するインクジェット記録用水系インクの製造方法が開示されている。しかし、これらの水系インクでは、光沢性について満足できるものではない。
国際公開第00/39226号パンフレット 特開2006−01971号公報
本発明は、光沢性に優れるインクジェット記録用水分散体の製造方法、及びその水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
本発明者らは、着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体であって、該ポリマー粒子を構成するポリマーがベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーである水分散体を、40℃以上に加熱することで、光沢性が高くなることを見出した。これはベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーのコンフォメーションが、加熱処理により変化して、印刷媒体に着弾後に該ポリマー粒子同士の融着性が高まることで光沢性が向上すると考えられる。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体を55〜90℃に加熱処理する工程を有する、インクジェット記録用水分散体(着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を除く)の製造方法であって、該ポリマー粒子を構成するポリマーがベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーである、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
(2)上記方法によって得られた水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
本発明の製造方法により得られる水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクは、光沢性に優れている。
本発明のインクジェット記録用水分散体の製造方法は、着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体を40℃以上に加熱処理する工程を有する方法であって、該ポリマー粒子を構成するポリマーがベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーであることを特徴とする。以下、本発明について詳細に記載する。
(着色剤)
着色剤としては特に制限はなく、顔料、疎水性染料等を用いることができるが、耐水性、分散安定性及び耐擦過性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。中でも、近年要求が強い高耐候性を発現させるためには、顔料を用いることが好ましい。
顔料及び疎水性染料は、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、ポリマーを用いて、インク中で安定な微粒子にする必要がある。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、ポリマーの粒子中に顔料及び/又は疎水性染料を含有させることが好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料、自己分散型顔料などを併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。また、カーボンブラックは、オゾン、硝酸、過酸化水素、窒素酸化物等の酸化剤を使用する気相又は液相酸化法、又はプラズマ処理等の表面改質法により酸化処理することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料、ピロゾロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
疎水性染料は、ポリマー粒子中に含有させることができるものであればよく、その種類には特に制限がない。疎水性染料は、ポリマー中に効率よく染料を含有させる観点から、ポリマーの製造時に使用する有機溶媒(好ましくメチルエチルケトン)に対して、2g/L以上、好ましくは20〜500g/L(25℃)溶解するものが望ましい。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。
油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、及びC.I.ソルベント・オレンジからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられ、オリエント化学株式会社、BASF社等から市販されている。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及び7、及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
着色剤とポリマーとの重量比(着色剤/ポリマー)は、光沢性、分散安定性の観点から、90/10〜10/90が好ましく、90/10〜50/50が更に好ましく、80/20〜60/40がより更に好ましい。
(ポリマー粒子/ポリマー)
本発明に用いられるポリマー粒子を構成するポリマーは、光沢性を向上させるために、ベンジルアクリレート由来の構成単位を有する。
ポリマー粒子に用いるポリマーは、着色剤を含有させ、分散安定性を向上する等の観点から、水不溶性ポリマーであることが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
ポリマーとしては、(a)ベンジルアクリレート(以下「(a)成分」ともいう)と、(b)塩生成基含有モノマー(以下「(b)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を共重合させてなるビニル系ポリマーが好ましい。このポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位を有する。更に(c)ベンジルアクリレート以外の疎水性モノマー(以下「(c)成分」ともいう)を共重合させてなるポリマーがより好ましい。このポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位とを有し、更に(c)成分由来の構成単位を有する。更に好適なポリマーは、(a)成分由来の構成単位及び(b)成分由来の構成単位を主鎖に有し、(c)成分としてマクロマー由来の構成単位を側鎖に有するグラフトポリマーである。
(a)ベンジルアクリレートは、光沢性を向上させるために用いられる。
(b)塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。特にカルボキシ基が好ましい。
塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9−286939号公報明細書段落〔0022〕等に記載されているもの等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸がより好ましい。
(c)疎水性モノマーは、印字濃度、分散安定性の向上の観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、マクロマー、及びベンジルメタクリレート等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を示す。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。なお、マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、前記のものが挙げられる。
また、マクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマーの含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
マクロマーは、オルガノポリシロキサン等の他の構成単位からなる側鎖を有するものであってもよい。この側鎖は、例えば下記式(1)で表される片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)-COOC36-〔Si(CH32O〕t-Si(CH33 (1)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
モノマー混合物には、更に、(d)水酸基含有モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。(d)水酸基含有モノマーは、分散安定性を更に高めるために用いられる。
(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
モノマー混合物には、更に、(e)下記式(2)で表されるモノマー(以下「(e)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
CH2=C(R1)COO(R2O)p3 (2)
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R2は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R3は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは、平均付加モル数を意味し、1〜60の数、好ましくは1〜30の数を示す。)
(e)成分は、分散安定性及び光沢性を更に向上させるために用いられる。
式(2)において、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
1の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
2O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシ(イソ)プロピレン基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらオキシアルキレンの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルキレン基が挙げられる。
3の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。
(e)成分の具体例としては、メトキシポリエチレングリコール(1〜30:式(2)中のpの値を示す。以下、同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテルが好ましい。
商業的に入手しうる(d)、(e)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G、同90G、同230G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE600B等が挙げられる。
本発明において、(a)成分を必須として、(b)〜(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ポリマー製造時における、上記(a)〜(e)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又はポリマー中における(a)〜(e)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、光沢性を高める観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは15〜65重量%である。
(b)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、印字濃度、及び得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(d)の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
(e)含有量は、得られる分散体の分散安定性及び光沢性の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物中における〔(a)成分+(b)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性及び光沢性の観点から、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%、より更に好ましくは50〜90重量%である。
〔(b)成分/(a)成分〕の重量比は、光沢性の観点から、好ましくは0.1〜0.75、より好ましくは0.1〜0.67、更に好ましくは0.15〜0.5である。
(ポリマーの製造)
本発明で用いられるポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
ポリマーの重量平均分子量は、光沢性及び分散安定性の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、2万〜30万が特に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、実施例で示す方法により測定した。
前記ポリマーは、(b)塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式(3)、(4)によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100 (3)
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100 (4)
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。ポリマーの酸価又はアミン価は、50〜200が好ましく、50〜150が更に好ましい。
(着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体の製造)
本発明で用いられる着色剤を含有するポリマー粒子(以下、「着色剤含有ポリマー粒子」ともいう)の水分散体は、例えば次の工程(1)〜(2)により得ることができる。
工程(1):ポリマー、有機溶媒、着色剤、水、及び必要なら中和剤を含有する混合し、着色剤を含有するポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(1)では、まず、前記ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。好ましくは、水100gに対する溶解量が20℃において、5g以上が好ましく、10g以上が更に好ましく、より具体的には、好ましくは5〜80g、更に好ましくは10〜50gのものであり、特に、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
前記工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。予備分散を行わずにポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは高速攪拌混合装置等で予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて分散を行い、着色剤含有ポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(1)の分散は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃が更に好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄工株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー〔プライミクス株式会社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
前記工程(2)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去することで、着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られたポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存してもよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
得られた着色剤含有ポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有するポリマーの固体分が水を主溶媒とする中に分散しているものである。ここで、着色剤含有ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
更に、分散体の保存安定性を向上させるため、得られた着色剤含有ポリマー粒子のポリマーを架橋剤で架橋させて、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子(以下、「着色剤含有架橋ポリマー粒子」ともいう)を用いることも好ましい。着色剤含有架橋ポリマー粒子の製法としては、光沢性及び保存安定性の観点から、着色剤含有ポリマー粒子の水分散体と架橋剤とを混合してポリマーを架橋させて得る方法が好ましい。
架橋剤としては、少なくとも2個の反応性官能基を有する架橋剤、具体的には分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを用いることができる。
用いる架橋剤により、触媒、溶媒、反応温度、反応時間は適宜選択して決めることができるが、架橋のための反応時間は、好ましくは0.5〜10時間、更に好ましくは1〜5時間、反応温度は、好ましくは40〜95℃である。
架橋剤の使用量は、保存安定性の観点から、ポリマー100重量部に対して、0.5〜15重量部が好ましく、0.75〜10重量部がより好ましく、0.8〜6重量部がより更に好ましい。
なお、ポリマーの架橋処理は、本発明の加熱処理と同時に行ってもよく、また加熱処理前に行ってもよい。
(インクジェット記録用水分散体の製造方法)
本発明のインクジェット記録用水分散体の製造方法は、着色剤含有ポリマー粒子の水分散体を40℃以上に加熱処理する工程を有する、インクジェット記録用水分散体の製造方法であって、該ポリマー粒子を構成するポリマーがベンジルアクリレート由来の構成単位を有する製造方法である。
加熱処理時の水分散体中の各成分の含有量は以下のとおりである。
ポリマー粒子の含有量は、光沢性を向上させる観点から、0.5〜20重量%が好ましく、1〜15重量%が更に好ましく、2〜10重量%がより更に好ましい。
着色剤の含有量は、印字濃度の観点から、0.5〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましく、2〜10重量%が更に好ましい。
着色剤含有ポリマー粒子の含有量は、1〜30重量%が好ましく、2〜25重量%が更に好ましい。
加熱処理の温度は、光沢性、及び分散安定性の観点から、好ましくは95℃以下であり、好ましくは45〜95℃、より更に好ましくは55〜90℃である。
光沢性の観点から、加熱処理の時間は、好ましくは30分以上であり、好ましくは12時間以内であり、より好ましくは30分〜9時間、更に好ましくは1〜6時間である。
なお、本発明において、加熱処理とは、着色剤含有ポリマー粒子の水分散体を40℃以上で加熱する処理のことであり、例えば、前述したポリマーの架橋処理において、着色剤含有ポリマー粒子の水分散体を40℃以上で加熱する場合も、本発明における加熱処理に含まれる。したがって、本発明における加熱処理として、前述した架橋処理の加熱と、さらに別に加熱処理を行う場合には、加熱処理の時間としては、それぞれの加熱時間の合計となる。
加熱処理の方法に制限はなく、前記水分散体を好ましくは密閉容器に入れ、静置又は攪拌下に行うことができる。
着色剤含有ポリマー粒子の水分散体を40℃以上で加熱処理することで、水系インクとした時の光沢性が良好となる。このようにインクの光沢性が向上するのは、40℃以上の加熱処理により、ベンジルアクリレートに由来の構成単位を有するポリマーのコンフォメーションが、加熱処理により変化して、印刷媒体に着弾後に該ポリマー粒子同士の融着性が高まることで光沢性が向上すると考えられる。
加熱処理前の水分散体中には、ポリマー粒子を溶解しない有機溶媒等であれば、存在していてもよい。すなわち、水分散体には本発明の目的を損なわない限り、アルキレングリコールのモノアルキルエーテル等の親水性有機溶媒、防腐剤、湿潤剤などを含有していてもよい。
アルキレングリコールとしては、モノアルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコールが挙げられる。アルキレングリコールのアルキレン基(アルカンジイル基)としては、炭素数2〜4のアルキレン基、即ちエチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基等が好ましい。
湿潤剤とは、水分散体中の水の蒸散を抑制する化合物であり、水酸基が2以上のポリオール化合物(糖類を含む)である。グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール等が挙げられる。
(インクジェット記録用水分散体/水系インク)
本発明で得られる水分散体はそのまま水系インクとして用いてもよいが、インクジェット記録用水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加してもよい。
水系インク中の着色剤、ポリマー粒子、及び着色剤含有ポリマー粒子の含有量は、前述の水分散体中の含有量と同じである。
得られる水分散体及び水系インクにおける、ポリマー粒子の平均粒径は、光沢性及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.3μm、特に好ましくは0.01〜0.2μmである。なお、平均粒径は、実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明で得られる水分散体及び水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。水分散体とは、水を主媒体として、これに着色剤が分散したものであり、水系インクとは、水を主媒体として用いたインクである。
本発明で得られる水分散体の表面張力(20℃)は、好ましくは25〜65mN/m、更に好ましくは30〜60mN/mである。また、水系インクの表面張力(25℃)は、インクノズルからの良好な吐出性を確保する観点から、好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mである。
以下の製造例、実施例、参考例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマーの重量平均分子量及びポリマー粒子の平均粒径の測定方法は、以下のとおりである。
(1)ポリマーの重量平均分子量
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK-GEL、α-M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)ポリマー粒子の平均粒径の測定
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。測定濃度は、約5×10-3重量%で行った。
製造例1〜3(ポリマー製造例)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から75℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量を前記方法により測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005667235
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
(c)スチレンマクロマー
東亜合成株式会社製、商品名:AS−6(S)、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
(d)PP−500
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=9、末端:ヒドロキシ基):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500
(d)PP−1000
ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=14、末端:ヒドロキシ基):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−1000
(e)M−90G
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=9 末端:メチル基):新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G
実施例1及び2
(インクジェット記録用水分散体の製造)
表2に示すように、上記製造例1又は2で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)5.7部(中和度60%)及びイオン交換水230部を加えて塩生成基を中和し、更にジアゾ顔料(C.I.ピグメント・イエロー74〔P.Y.74〕、山陽色素株式会社製、商品名:FY7413)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合したのち、ビーズミル型分散機UAM05型(寿工業株式会社製)を用いて20℃で4時間混合分散した。得られた分散液をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で150MPaの圧力でさらに10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、顔料含有ポリマー粒子の水分散体〔固形分濃度:20%、顔料:15部(対水分散体全量)〕を得た。
得られた顔料含有ポリマー粒子の水分散体80部を、耐熱ガラスに密閉して入れ、恒温乾燥機内で、60℃で2時間加熱処理した。
(インクの製造)
加熱処理した顔料含有ポリマー粒子の水分散体26.7部、1,2−ヘキサンジオール 2部、グリセリン 17部、2−ピロリドン 2部、トリエタノールアミン 1部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1部、サーフィノール104PG50(日信化学工業株式会社製) 0.2部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)0.6部及びイオン交換水 49.5部を混合し、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより水系インク(インク中の顔料含有量:4%)を得た。
参考例1及び2
実施例1と同様の方法及び条件でポリマー及び顔料の分散処理を行った。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、固形分濃度が20%の顔料含有ポリマー粒子の水分散体を得た。
耐熱ガラスに、得られた顔料含有ポリマー粒子の水分散体100部(うちポリマー5.0部)に対して架橋剤としてデナコールEX−810(エチレングリコールジグリシジルエーテル、平均分子量:226、ナガセケムテックス株式会社製、エポキシ当量113)0.092部を加え、イオン交換水を0.37部添加して90℃で1.5時間攪拌しながら加熱処理した後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去した顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体〔固形分濃度:20%、顔料:15部(対水分散体全量)〕を得た。
加熱処理した顔料架橋含有ポリマー粒子の水分散体を用いて、実施例1と同様の方法で水系インクを作製した。
比較例1
顔料含有ポリマー粒子の水分散体の加熱処理を行わないこと以外は、実施例1と同様に行い、水系インクを得た。
比較例2
実施例1において、ポリマー溶液として、製造例3で得られたポリマー溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、水系インク得た。
次に、実施例1〜2、参考例1〜2及び比較例1〜2で得られたインクの光沢性、保存安定性を以下の方法に従って評価した。その結果を表2に示す。
(1)光沢性
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:PX-A650、ピエゾ方式)を用い、市販の専用紙(写真用紙<光沢>、セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA4100PSK)にベタ印字し〔印字条件=用紙種類:フォトプリント紙、モード設定:フォト〕、25℃で24時間放置後、20°の光沢度を光沢計(日本電色工業株式会社製、商品名:HANDY GLOSSMETER、品番:PG−1)で5回測定し、平均値を求めた。数値が大きい方が、光沢性が高い。
(2)保存安定性
実施例、参考例及び比較例に記載のインクを密閉して、70℃で一ヶ月保存し、上記ポリマー粒子の平均粒径の測定方法により、保存前のポリマー粒子の平均粒径に対する変化率を求めて、下記の基準により評価した。
平均粒径の変化率=〔[保存後の平均粒径−保存前の平均粒径]/保存前の平均粒径〕
1:平均粒径の変化率が±10%以内
2:平均粒径の変化率が±10%を超えて、±15%以内
3:平均粒径の変化率が±15%を超えている
Figure 0005667235
表2から、実施例の水系インクは、比較例の水系インクに比べて、光沢性が優れていることが分かる。この中で、光沢度の差として10以上あれば、目視で十分に印字物の光沢性の違いを認識できる程度の差である。また、実施例の水系インクは、保存安定性も満足していた。

Claims (7)

  1. 着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体を55〜90℃に加熱処理する工程を有する、インクジェット記録用水分散体(着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を除く)の製造方法であって、該ポリマー粒子を構成するポリマーがベンジルアクリレート由来の構成単位を有するポリマーである、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
  2. 前記ポリマー中、ベンジルアクリレート由来の構成単位の含有量が10〜80重量%である、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
  3. 前記ポリマー中、ベンジルアクリレート由来の構成単位の含有量が15〜65重量%である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
  4. 前記ポリマーが、(a)ベンジルアクリレート、及び(b)塩生成基含有モノマーを含むモノマー混合物を共重合させてなるポリマーであり、(a)ベンジルアクリレートに対する(b)塩生成基含有モノマーの重量比〔(b)/(a)〕が、0.1〜0.75である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
  5. 前記ポリマーが、(a)ベンジルアクリレート、及び(b)塩生成基含有モノマーを含むモノマー混合物を共重合させてなるポリマーであり、前記(a)ベンジルアクリレートに対する(b)塩生成基含有モノマーの重量比〔(b)/(a)〕が、0.15〜0.75である、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
  6. 加熱処理の時間が、30分以上、6時間以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の方法によって得られた水分散体を含有する、インクジェト記録用水系インク。
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