JP3769951B2 - ジスアゾ顔料および印刷インキ組成物 - Google Patents

ジスアゾ顔料および印刷インキ組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はジスアゾ顔料、特にオフセットインキに用いるとプロセスのオフセット黄インキ製造が可能なだけの透明性、濃度を有し、流動性も良好なインキを得ることができるジスアゾ顔料と印刷インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロセスのオフセットインキはウェットケーキをフラッシングしてインキ化する方法とウエットケーキの乾燥物を3本ロール、サンドミル、ショットミルで分散することによって得られていた。しかし前者の方法はフラッシング時の熱により不透明、濃度が低下するなどの品質のバラツキが大きく、その影響が少ない後者の方法が近年見直されてきているが、ウエットケーキ顔料の乾燥物をインキ化したものはウエットケーキから直接インキ化したものと比較して透明性、流動性、濃度の点で著しく劣っていた。ウエットケーキ顔料は3、3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ化物とアセトアセトアニリドとをカップリングすることによって得られるが乾燥時の熱により著しく結晶成長するために品質低下してしまう。
【0003】
他方、二成分カップリングの公知技術として特公昭55−10630号公報において2つのカップリング成分すなわちアセトアセトアニリドとそのフェニル基に極性基をもつものとの混合カップリングの例があるがこの顔料についてもその乾燥物は透明性、流動性、濃度、透明性の点で著しく劣っていた。
【0004】
また特公平1−110578号公報には、アセトアセトアニリド、アセトアセトオルソアニシジド、アセトアセトオルソトルイジド、アセトアセトオルソクロロアニリド、アセトアセトメタキシリジドおよびアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリドから選ばれた2種類またはそれ以上の混合物をカップリングさせて誘導された顔料が記載されているが、この顔料の乾燥物も上記と同様にウェットケーキより著しく劣っていた。
【0005】
更に、特開平4−275373号公報には、アセトアセトオルソトルイジドとアセトアセトメタキリジドの主カップリング成分に酸性基含有アセトアセトアニリド又は塩基性基含有アセトアセトアニリドを添加することが記載されているが、酸性基含有アセトアセトアニリドを配合したものは、透明性が向上するが流動性は劣るという問題点があり、塩基性基含有アセトアセトアニリドを配合したものは、流動性は向上するが透明性が不足するという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プロセスのオフセット黄インキ製造が可能なだけの透明性、濃度を有し、流動性も良好なインキを得ることができるジスアゾ顔料を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、3、3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ化物をジアゾ成分とし、カップラー成分としてアセトアセトオルソトルイジド97.8〜59.8モル%、アセトアセトメタキシリジド2〜40モル%、下記一般式で表される酸性基含有アセトアセトアニリド類0.1〜10モル%および下記一般式(2)で表される塩基性基含有アセトアセトアニリド類0.1〜10モル%を混合カップリングして得られるジスアゾ顔料に関する。
一般式(1)
【0008】
【化3】
Figure 0003769951
【0009】
(ただし、式中、Xは−COOH、−SO3H、−SO3Mを表し、YはH、OH、CH3、Clを表し、Mは金属イオンを表す。)
一般式(2)
【0010】
【化4】
Figure 0003769951
【0011】
(ただし、式中、Zは−NR12、−CONR12、−SONR12、−CONH(CH2)nNR12、−SONH(CH2)nNR12(ただし、R1、R2はそれぞれ水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基または−C24OH基、nは1〜3の整数を表す。)を表し、YはH、OH、CH3、Clを表す。)
更に本発明は、上記ジスアゾ顔料および印刷インキビヒクルからなることを特徴とする印刷インキ組成物に関する。
【発明の実施の形態】
【0012】
本発明において、アセトアセトオルソトルイジドとアセトアセトメタキシドの使用割合はプロセス黄インキの色相を調整するためのものである。
【0013】
一般式(1)で表される酸性基含有アセトアセトアニリド類および一般式(2)で表される塩基性基含有アセトアセトアニリド類の具体例を表1に示した。
【0014】
【表1】
Figure 0003769951
【0015】
一般式(1)で表される酸性基含有アセトアセトアニリド類および一般式(2)で表される塩基性基含有アセトアセトアニリド類の配合量は、全カップラー成分の全量に対して、それぞれ0.1〜10モル%であり、合計量は0.2〜10モル%、好ましくは1〜5モル%である。また、両者の使用割合は、モル比率として酸性基含有アセトアセトアニリド類:塩基性基含有アセトアセトアニリド類=1:9〜9:1とすることが好ましい。
【0016】
一般式(1)の酸性基含有アセトアセトアニリド類の配合量もしくは配合割合が上記数値より少なくなると、ジスアゾ顔料の透明性が低下し、逆に上記数値より多くなると、オフセットインキに添加した場合に流動性が低下する。また、一般式(2)の塩基性基含有アセトアセトアニリド類の配合量もしくは配合割合が上記数値より少ないと、流動性が低下し、逆に上記数値よりすくなくなると、顔料の乾燥工程で結晶成長が進み、透明性が低下する傾向がある。
【0017】
本発明において3、3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ化物と混合カップラーとのカップリング反応は特に制限されないが、常法により酢酸酸性下で行う。この際の条件はpH6からpH3、温度10℃から30℃、時間30分から60分で行う。ついでこの顔料スラリーをアルカリ側(pH9からpH14)に調整し、ロジンのアルカリ塩溶液を添加する。ロジンの添加量は色素に対し1から50重量%である。ついでこのスラリーを温度80℃で30分間程度加熱する。ついで酸側(PHとはpH4からpH6)にPH調整し顔料表面にロジンを析出させ、30分保温後、濾過、水洗、乾燥、粉砕を行う。
【0018】
本発明のジスアゾ顔料組成物はプロセス用オフセットインキとして使用される。オフセットインキの組成物としては、本発明のジスアゾ顔料3〜35重量%、オフセット用インキビヒクル97〜45重量%、その他補助剤や体質顔料0から20重量%からなるものである。オフセット用インキビヒクルはロジン変性フェーノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂、または、これらの乾性油変性樹脂などの樹脂20から50重量%、アマニ油、桐油、大豆油などの植物油0から30重量%、nーパラフィン、イソパラフィン、アロマチック、ナフテン、αーオレフィンなどの溶剤10から60重量%からなるものである。
【0019】
【実施例】
以下実施例をあげて本発明を具体的に説明する。実施例において「部」は全て重量部を示す。
【0020】
実施例1
水400部に3、3’−ジクロロベンジジン25.3部と35%塩酸16.5部を加える。この溶液を0℃に冷却後20%亜硝酸ソーダ溶液を57部加え、1時間撹拌する。少量のスルファミン酸を加え過剰の亜硝酸ソーダを消失させて、3,3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ溶液とした。一方、アセトアセトオルソトルイジド26.7部とアセトアセトメタキシリジド10.3部と表1の1の酸性基を持つ化合物0.4部と8の塩基性基を持つ化合物2.8部および苛性ソーダ20部を加えて溶解した。この溶液に10%酢酸360部を少しずつ加えて懸濁液とし、これに前記テトラゾ溶液を約30分要して加えた。この間反応液の温度は約15℃に保たれた。得られたジスアゾ顔料のスラリーを苛性ソーダでpH10.5に調整後、ロジンの10%アルカリ塩溶液を70部を添加した。このスラリーを80℃まで加熱し、30分攪拌後塩酸を加えpH5に調整し、濾過、水洗した。得られた顔料のプレスケーキを80℃にて乾燥し、粉砕した。
【0021】
実施例2
表1の2の化合物0.9部、5の化合物1.9部に代えた他は実施例1と同様に行った。
実施例3
表1の3の化合物2.3部、6の化合物0.7部に代えた他は実施例1と同様に行った。
実施例4
表1の4の化合物1.5部、7の化合物1.3部に代えた他は実施例1と同様に行った。
実施例5
表1の1の化合物1.3部、9の化合物0.8部に代えた他は実施例1と同様に行った。
【0022】
実施例6
アセトアセトオルソトルイジド30.6部とアセトアセトメタキシリジド4.1部表1の2の化合物3.8部、10の化合物1.4部に代えた他は実施例1と同様に行った。
実施例7
アセトアセトオルソトルイジド22.9部とアセトアセトメタキシリジド12.3部、表1の2の化合物0.9部、11の化合物4.0部に代えた他は実施例1と同様に行った。
【0023】
比較例1
酸性基及び塩基性基を持つアセトアセトアニリドを使用しないでアセトアセトオルソトルイジド26.7部とアセトアセトメタキシリジド12.3部を用いた他は実施例1と同様に行った。
比較例2
アセトアセトオルソトルイジド26.7部とアセトアセトメタキシリジド10.3部、表1の2の化合物2.4部用いた他は実施例1と同様に行った。
比較例3
アセトアセトオルソトルイジド22.9部とアセトアセトメタキシリジド12.3部、表1の2の化合物4.8部用いた他は実施例1と同様に行った。
【0024】
比較例4
アセトアセトオルソトルイジド26.7部とアセトアセトメタキシリジド10.3部、表1の8の化合物3.5部用いた他は実施例1と同様に行った。
比較例5
アセトアセトオルソトルイジド22.9部とアセトアセトメタキシリジド12.3部、表1の8の化合物6.9部用いた他は実施例1と同様に行った。
【0025】
各例で得られた乾燥ジスアゾ顔料10部とロジン変性フェノール樹脂をバインダーとするオフセットインキワニス90部と混ぜ、3本ロールミルで分散しオフセットインキを作成した。
このオフセットインキの性能を表2にまとめた。
表2において、L*はインキの透明性を示しその値が小の方が透明性が大である。濃度はコーサー値(反射率濃度)で示しその値が大の方が濃度が大である。流動性はスプレットメーター測定器での60秒値(mm)で示しその値が大の方が流動性大である。
【0026】
【表2】
Figure 0003769951
【0027】
【発明の効果】
本発明により、顔料粒子を微細化させると同時に乾燥工程の熱による顔料粒子の結晶成長を抑制し、さらに印刷ワニスの濡れが改良され透明性、濃度、流動性が向上させることができた。

Claims (2)

  1. 3、3’−ジクロロベンジジンのテトラゾ化物をジアゾ成分とし、カップラー成分としてアセトアセトオルソトルイジド97.8〜59.8モル%、アセトアセトメタキシリジド2〜40モル%、下記一般式で表される酸性基含有アセトアセトアニリド類0.1〜10モル%および下記一般式(2)で表される塩基性基含有アセトアセトアニリド類0.1〜10モル%を混合カップリングして得られるジスアゾ顔料。
    一般式(1)
    Figure 0003769951
    (ただし、式中、Xは−COOH、−SO3H、−SO3Mを表し、YはH、OH、CH3、Clを表し、Mは金属イオンを表す。)
    一般式(2)
    Figure 0003769951
    (ただし、式中、Zは−NR12、−CONR12、−SONR12、−CONH(CH2)nNR12、−SONH(CH2)nNR12(ただし、R1、R2はそれぞれ水素原子、炭素数が1〜18のアルキル基または−C24OH基、nは1〜3の整数を表す。)を表し、YはH、OH、CH3、Clを表す。)
  2. 請求項1記載のジスアゾ顔料および印刷インキビヒクルからなることを特徴とする印刷インキ組成物。
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