JP4892898B2 - ジスアゾ顔料組成物及びその製造方法 - Google Patents

ジスアゾ顔料組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は黄色顔料として広く使用されているジスアゾ顔料組成物の製造方法に関し、詳しくは、オフセットインキ、グラビアインキ等の印刷インキで優れた透明性、鮮明性、着色力、流動性を与える、顔料1次粒子の結晶成長抑制作用の優れた顔料の製造方法に関する。
従来、ジスアゾ顔料を含有する印刷インキの透明性、鮮明性、着色力、流動性を向上する方法としては、ジスアゾ顔料にそれらのスルホン酸化合物を混合する方法(特公昭45−11026号公報)、カップリング成分としてカルボン酸基及び/またはスルホン酸基を有する極性カップリング成分と非極性カップリング成分との混合物を使用してジスアゾ顔料を製造する方法(特公昭55−49087号公報)、極性カップリング成分と非極性カップリング成分を有する非対象型ジスアゾ化合物を含有するジスアゾ顔料組成物を用いる方法(特開昭63−72762号公報、特開昭63−178169号公報)が知られている。
又、バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中に、カップラー成分を含むカップラー水溶液とベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、連続的に注入してカップリング反応させるジスアゾ顔料の製造法が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
ジスアゾ顔料の主たる用途である印刷インキでは印刷物の鮮明性を高めるため透明性の高いインキが求められているが、ジスアゾ顔料組成物は顔料合成時に生成した1次粒子が印刷インキにいたるまでの製造各工程において熱エネルギーを受け、また結晶成長を伴い続け、最終的には合成時より大きな1次粒子径での結晶を形成し、印刷物の鮮明性に悪影響を与えるという問題点があった。この印刷インキ中の顔料粒子が一旦成長すると、機械的エネルギーなどで細かくすることはできない不可逆現象である。
よって、印刷物の鮮明性を向上させる1次粒子径の結晶成長抑制作用を有するジスアゾ顔料が求められていた。
WO97/31067号公報 特開2000−7931号公報
本発明は、オフセットインキ、グラビアインキ等の印刷インキに使用すると、優れた透明性、鮮明性、着色力、流動性を与えるジスアゾ顔料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、顔料1次粒子の結晶成長抑制作用の優れたジスアゾ顔料組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中に、カップラー成分を含むカップラー水溶液とベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、連続的に注入してカップリング反応させるジスアゾ顔料の製造法において、カップラー成分が、アセトアセトアニライドからなる第1カップラー成分と、下記一般式Aで示されるアニライド誘導体および1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンからなる群から選ばれる第2カップラー成分からなり、カップリング反応中において第1カップラー成分と第2カップラー成分との成分比率を変化させることを特徴とするジスアゾ顔料組成物の製造方法であって、第1カップラー成分を注入後、第1カップラー成分と第2カップラー成分を注入することを特徴とするジスアゾ顔料組成物の製造方法に関する。
一般式A
CH3COCH2CONH−X
(式中、Xは、水酸基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基またはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基またはそのアルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を表す。)
更に本発明は、第1カップラー成分のカップラー水溶液とテトラゾ水溶液とを注入後、第1カップラー成分および第2カップラー成分を含むカップラー水溶液と、テトラゾ水溶液とを同時に注入するジスアゾ顔料組成物の製造方法に関する。
更に本発明は、第1カップラー成分のカップラー水溶液とテトラゾ水溶液とを注入後、第1カップラー成分を含むカップラー水溶液と、第2カップラー成分を含むカップラー水溶液と、テトラゾ水溶液とを同時に注入するジスアゾ顔料組成物の製造方法に関する
本発明によれば、第2カップラー成分を含むジスアゾ化合物を顔料粒子の表面に偏在させることができるため、1次粒子径の結晶成長抑制作用を有するジスアゾ顔料組成物が得られる。これにより、本発明の製造方法で得られたジスアゾ顔料を印刷インキに使用すると、透明性、鮮明性、着色力および流動性に優れた印刷インキが得られる。
本発明で用いる酸性水溶液は好ましくはpH3.5〜6.5に保つことができれば良く、従来のカップリングで使用される公知の酸の水溶液で良い。また本発明で使用するテトラゾは、3,3'−ジクロロベンジジン、2,2',5,5−テトラクロロベンジジン3,3'−ジメトキシベンジジン及び3,3'−ジスルホベンジジン類を公知の方法でテトラゾ化して得られるものでよく、酸性水溶液として調製する。
カップラーとしてはアセトアセトアニリド及びアセトアセトアニライドからなる第1カップラー成分と、一般式Aで示されるアニライド誘導体および1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンからなる群から選ばれる第2カップラー成分が使用される。その具体例としては、アセトアセト−o−トルイジド、アセトアセト−p−アニシジド、アセトアセト−o−クロロアニリド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリド類がある。カップラーは水酸化ナトリウム水溶液などに溶解し、アルカリ水溶液として調製する。
バッチ式反応槽内の酸性水溶液へのテトラゾ水溶液とカップラー水溶液との注入は、別々の注入管を通し酸性水溶液中に並行して行う。テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とが直接に接触すると反応性が低下し、また副反応や生成顔料の色相の汚れが生じやすい。これを避けるため、酸性水溶液を満たしたバッチ式攪拌槽を備える反応器では、注入出口を互いに離した位置に設け、十分な攪拌を行い、確実にテトラゾ水溶液中とカップラー水溶液とが酸性水溶液中で反応するようにすることが必要である。また、酸性水溶液を反応器より抜き出して外部循環させ、この循環ラインのそれぞれにテトラゾ水溶液とカップラー水溶液とを、あるいは、一方を循環ラインに他方を反応器へ注入するようにしても良い。
カップラーとテトラゾの反応比率は、カップラー成分とテトラゾとのモル比(「カップラー成分」:「テトラゾ」)が2:0.8〜0.99、好ましくは2:0.9〜0.99となるように連続的に注入してカップリング反応を行う。テトラゾの供給量がカップラーの供給量を越えないことが好ましい。こうすることで、テトラゾは酸性水溶液中に注入後、直ちに事実上全てがカップラー成分と反応し、未反応のテトラゾが反応系内に残存しないようになる。その結果、テトラゾの分解や縮合による副反応も防止させる。この注入比は、反応の全期間を通じて一定に保つ必要はなく、注入の進行につれて変化させてもよい。またテトラゾ水溶液とカップラー水溶液を並行に注入後、テトラゾ水溶液だけを追加しても構わない。これにより未反応カップラー成分と反応させて更にカップリング反応率を高めることも出来る。更に、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液の注入と並行して、例えば、樹脂溶液のような他の物質を注入し、生成した顔料粒子の表面を樹脂で覆うようにしても構わない。カップラー水溶液の濃度は0.1〜3モル/リットル、テトラゾ水溶液の濃度は0.05〜0.8モル/リットルが操作上、また経済上望ましい。
カップリング反応後の酸性水溶液、カップラー水溶液及びテトラゾ水溶液それぞれの使用量の比は上記のテトラゾ水溶液およびカップラー水溶液の濃度により総合的に決定されるが、(酸性水溶液):(カップラー水溶液):(テトラゾ水溶液)=1:(0.2〜2.0):(0.5〜4)の使用量となり、好ましくは(酸性水溶液):(カップラー水溶液):(テトラゾ水溶液)=1:(0.5〜1.0):(1〜2)の比率からなる。
カップラー水溶液およびテトラゾ水溶液の1分あたりの注入量は製造するスケールや工程時間などを考慮して総合的に決定される。上記のカップラー水溶液及びテトラゾ水溶液それぞれの使用量にカップリング時間(分)を除した値がそれぞれの注入量となる
第2カップラー成分比率を上げる方策としては別途カップラー水溶液を用意しているものを使用しても構わないし、直前に使用のカップラー水溶液に第2カップラー成分比率の高いカップラー水溶液を追加して使用しても構わないし、注入管を追加して第2カップラー成分比率の高いカップラー水溶液を別途注入しても構わない。
また本発明で使用される第2カップラー成分は2種類以上の成分を併用しても構わない。
本発明の製造方法で得られた、酸性水溶液中のジスアゾ顔料組成物は連続的に、固液分離することにより反応系から含水顔料として取り出すことも、また反応を終了させた後、バッチ式に固液分離を行い反応系から含水顔料を回収することも出来る。
また、得られたジスアゾ顔料組成物の顔料特性を向上させるため、ロジン処理など一連の処理を行い、顔料を製造することもできる。
また本発明で得られた顔料からインキを製造する場合、関わる油性ビヒクルは樹脂、油、および溶剤を含む。樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、ロジン、ロジン誘導体、ロジン変性マレイン酸樹脂等が挙げられる。乾性油としては大豆油、桐油、アマニ油等があり、これらの乾性油を変性したものでも良い。勿論、半乾性油または不乾性油も使用することができる。溶剤としてはノルマルパラフィン、ナフテン(シクロパラフィン)、α−オレフィン、その他脂肪族炭化水素等の有機溶剤がある。溶剤としては沸点200℃以上の高沸点溶剤が好ましい。油性ビヒクルの組成としては、全油性ビヒクルを基準として重量比(重量%)で樹脂/油/溶剤として10〜50/0〜60/10〜70である。この時の油性ビヒクルの粘度は常温(25℃、B型粘度計)で1〜1000ポイズである。さらに必要に応じて従来公知の顔料分散剤、乾燥抑制剤等の添加物も使用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例中、部、%は重量部、重量%を表す。また半価幅値については理学電機(株)製、RINT2100でのX線測定(CuKα1線)により行った
ジスアゾ顔料組成物の製造

3,3’ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使って常法によりテトラゾ化し、5℃、0.3モル/リットルのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド131.7部を水酸化ナトリウム53部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した(カップラー水溶液1)。また別途アセトアセトアニリド79.3部およびアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリド11.8部に水酸化ナトリウム35.3部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した(カップラー水溶液2)。
また酸性水溶液として80%酢酸95.0gと水酸化ナトリウム26.7gと水からなる24℃、pH4.7の緩衝溶液2000gを有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液をそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。
まずテトラゾ溶液とカップラー水溶液1に同時に注入を開始し、定量ポンプによりテトラゾ水溶液43.5(g/分)およびカップラー水溶液26.0(g/分)の流量で25分間注入した。25分後からはテトラゾ溶液とカップラー水溶液2の注入を引き続き行い、定量ポンプによりテトラゾ水溶液43.5(g/分)およびカップラー水溶液26.0(g/分)の流量で15分間注入し、合計40分間注入しカップリングを終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.0%であった。さらにその後、反応系内にテトラゾが極僅か認められるまでテトラゾ水溶液を追加注入した結果、カップリング反応率は98.5%であった。なお、テトラゾの検出はβナフト−ルによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
またこの場合、アセトアセトアニリドとアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリドのカップラー成分の合計比率を100モル%とした場合、カップラー成分濃度はアセトアセトアニリドが96モル%でアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリドが4モル%からなる。
以後常法に準じて、対色素2.5%のロジン処理(上記のカップリングで得られたスラリーに水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で11gを添加後、8%硫酸アルミニウム水溶液12.6gを加え、塩酸水溶液でpH6.0に調製する)を行い、80℃まで加熱後、濾過、精製し、1部を固形分比率30.0%の含水顔料767g(本発明含水顔料−1)、残りを85℃で乾燥および粉砕 して200gのジスアゾ顔料組成物を得た(本発明乾燥顔料−1)。
カップラー溶液調製について、アセトアセトアニリド131.7部に水酸化ナトリウム53.0部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した(カップラー水溶液3)。またアセトアセトアニリド79.3部およびアセトアセト−p−カルバモイル−アニリド12.8部に水酸化ナトリウム35.3部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した(カップラー水溶液4)。この変更点以外は実施例1と同様にカップリングを行った。カップラー水溶液の使用順序はカップラー水溶液3→カップラー水溶液4の順序である。またテトラゾ液を追加注入した後のカップリング反応率は98.0%であった。
またこの場合、アセトアセトアニリドとアセトアセト−p−カルバモイル−アニリドのカップラー成分の合計比率を100モル%とした場合、カップラー成分濃度はアセトアセトアニリドが96モル%でアセトアセト−p−カルバモイル−アニリドが4モル%からなる。以後実施例1と同様の処理を行い、固形分比率30.0%の含水顔料767g(本発明含水顔料−2)、残りを85℃で乾燥および粉砕して200gのジスアゾ顔料組成物を得た(本発明乾燥顔料−2)。
カップラー溶液調製について、アセトアセトアニリド211.0部に水酸化ナトリウム83.7部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した(カップラー水溶液5)。またアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリド11.8部に水酸化ナトリウム4.8部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した(カップラー水溶液6)。
また酸性水溶液として80%酢酸95.0gと水酸化ナトリウム26.7gと水からなる24℃、pH4.7の緩衝溶液2000gを有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ3本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液をそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。
まずテトラゾ溶液とカップラー水溶液5を2本の注入管で同時に注入を開始し、定量ポンプによりテトラゾ水溶液43.5(g/分)およびカップラー水溶液26.0(g/分)の流量で25分間注入した。25分後からはこれまでの注入に加え、3本目の注入管にてカップラー水溶液6を定量ポンプにより注入した。流量についてはテトラゾ水溶液43.5(g/分)、カップラー水溶液5 25.7(g/分)、カップラー水溶液6 0.3(g/分)の流量で15分間注入し、合計40分間注入しカップリングを終了した。
この場合も実施例1と同様、アセトアセトアニリドとアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリドのカップラー成分の合計比率を100モル%とした場合、カップラー成分濃度はアセトアセトアニリドが96モル%でアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリドが4モル%からなる。
以後実施例1と同様の処理を行い、固形分比率30.0%の含水顔料767g(本発明含水顔料−3)、残りを85℃で乾燥および粉砕して200gのジスアゾ顔料組成物を得た(本発明乾燥顔料−3)。
カップラー溶液調製について、アセトアセトアニリド225.0部に水酸化ナトリウム53.0部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した(カップラー水溶液7)。またアセトアセトアニリド79.3部および1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン8.5部に水酸化ナトリウム35.3部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した(カップラー水溶液8)。この変更点以外は実施例1と同様にカップリングを行った。カップラー水溶液の使用順序はカップラー水溶液7→カップラー水溶液8の順序である。またテトラゾ液を追加注入した後のカップリング反応率は97.0%であった。
またこの場合も実施例1と同様、アセトアセトアニリドと1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンのカップラー成分の合計比率を100モル%とした場合、カップラー成分濃度はアセトアセトアニリドが96モル%で1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン4モル%からなる。以後実施例1と同様の処理を行い、固形分比率30.0%の含水顔料767g(本発明含水顔料−4)、残りを85℃で乾燥および粉砕して200gのジスアゾ顔料組成物を得た(本発明乾燥顔料−4)。
(比較例1)
3,3’ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使って常法によりテトラゾ化し、5℃、0.3モル/リットルのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド211.0部およびアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリド11.8部を水酸化ナトリウム88.3部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製した。また酸性水溶液として80%酢酸95.0gと水酸化ナトリウム26.7gと水からなる24℃、pH4.7の緩衝溶液2000gを有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプによりテトラゾ水溶液43.5(g/分)およびカップラー水溶液26.0(g/分)の流量で40分間注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.0%であった。さらにその後、反応系内にテトラゾが極僅か認められるまでテトラゾ水溶液を追加注入した結果、カップリング反応率は98.5%であった。
この場合、アセトアセトアニリドとアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリドのカップラー成分の合計比率を100モル%とした場合、カップラー成分濃度はアセトアセトアニリドが96モル%でアセトアセト−m−カルボキシル−p−オキシ−アニリドが4モル%からなる。
なお、テトラゾの検出はβナフト−ルによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後常法に準じて、対色素2.5%のロジン処理(上述のカップリングで得られたスラリーに水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で11gを添加後、8%硫酸アルミニウム水溶液12.6gを加え、塩酸水溶液でpH6.0に調製する)を行い、80℃まで加熱後、濾過、精製し、1部を固形分比率30.0%の含水顔料767g(比較含水顔料−1)、残りを85℃で乾燥および粉砕して200gのジスアゾ顔料組成物を得た(比較乾燥顔料−1)。
(比較例2)
カップラー溶液調製について、アセトアセトアニリド225.0部およびアセトアセト−p−カルバモイル−アニリド12.8部を水酸化ナトリウム88.3部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製し、使用する以外は比較例1と同様にカップリングを行った。テトラゾ液を追加注入した後のカップリング反応率は98.2%であった。
この場合、アセトアセトアニリドとアセトアセト−p−カルバモイル−アニリドのカップラー成分の合計比率を100モル%とした場合、カップラー成分濃度はアセトアセトアニリドが96モル%でアセトアセト−p−カルバモイル−アニリドが4モル%からなる。
以後比較例1と同様の処理を行い、固形分比率30.0%の含水顔料767g(比較含水顔料−2)、残りを85℃で乾燥および粉砕して200gのジスアゾ顔料組成物を得た(比較乾燥顔料−2)。
(比較例3)
カップラー溶液調製について、アセトアセトアニリド225.0部および1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン8.5部を水酸化ナトリウム88.3部を含む水溶液に溶解し、25℃、1.2モル/リットルのカップラー水溶液を調製し、使用する以外は比較例1と同様にカップリングを行った。テトラゾ液を追加注入した後のカップリング反応率は97.8%であった。
この場合、アセトアセトアニリドとアセトアセト−p−カルバモイル−アニリドのカップラー成分の合計比率を100モル%とした場合、カップラー成分濃度はアセトアセトアニリドが96モル%でアセトアセト−p−カルバモイル−アニリドが4モル%からなる。
以後比較例1と同様の処理を行い、固形分比率30.0%の含水顔料767g(比較含水顔料−3)、残りを85℃で乾燥および粉砕して200gのジスアゾ顔料組成物を得た(比較乾燥顔料−3)。
ジスアゾ顔料組成物の評価
半価幅の測定
実施例1、2、3、4および比較例1、2、3で得られた含水顔料および乾燥顔料をX線回折(CuKα1線)測定によりブラッグ角2θ=10.3度の回折ピークの半価幅値を測定した。
これらの結果を表1に示す。本発明に基づいて合成した実施例1、実施例2、実施例3および実施例4で得られた乾燥顔料の半価幅値は比較例1、比較例2および比較例3で得られた含水顔料の乾燥後の半価幅値より大きかった。換言すれば顔料1次粒子径が小さいことが確認された。また本発明に基づいて合成した実施例1、実施例2、実施例3および実施例4で得られた含水顔料と乾燥顔料の半価幅値の減少が僅かであることから、結晶成長抑制作用の優れた顔料であることがわかった。
Figure 0004892898
オフセットインキ試験
実施例1、2、3、4および比較例1、2、3で得られた乾燥顔料のオフセットインキ試験を実施した。
オフセットインキ用ビヒクル(東洋インキ製造(株)製)80g、乾燥および粉砕した顔料20gを3本ロールでプレミックスおよび練肉を行った。練肉後、オフセットインキ用ビヒクル(東洋インキ製造(株)製)10g、軽油10gを加え、タックが6.0になるようにインキ調子を調製し、濃色インキを得た。得られた濃色インキを用いて下記に示すような評価を行った。本発明乾燥顔料−1から製造されたインキを本発明インキ1、本発明乾燥顔料−2から製造されたインキを本発明インキ2、本発明乾燥顔料−3から製造されたインキを本発明インキ3、本発明乾燥顔料−4から製造されたインキを本発明インキ4、比較乾燥顔料−1から製造されたインキを比較インキ1、比較乾燥顔料−2から製造されたインキを比較インキ2、比較乾燥顔料−3から製造されたインキを比較インキ3と称し、評価結果一覧を表2に示す。
Figure 0004892898
1.透明性
各濃色インキを黒インキにて予め黒帯が印刷されている見本票にドローダウンをおこない目視にて観察した。展色されたインキの下にある黒帯が鮮明に見えるほど透明と判断し、10段階評価の10を透明性の最高レベルとした。本発明に基づいて合成した実施例1、実施例2、実施例3および実施例4から製造したインキが比較例1、比較例2および比較例3から製造したインキより透明であった。
2.鮮明性および着色力
各濃色インキ0.2gを青インキ(青インキおよび酸化チタンを上記オフセットインキ用ビヒクルに分散して作製した)5.0gに混ぜて淡色インキを作製した。得られた各淡色インキをアート紙にRIテスターで展色し、目視で印刷物を評価したところ、本発明に基づいて合成した実施例1、実施例2、実施例3および実施例4から製造したインキが比較例1、比較例2および比較例3から製造したインキより鮮明でかつ高着色力であった。

3.流動性
傾斜角度60度のガラス板上部に上記のタック6.0に調整した各濃色インキを5gづつ乗せ1時間放置する。1時間後のインキ流動幅(cm)が大きいほど流動性が良好となる。本発明に基づいて合成した実施例1、実施例2、実施例3および実施例4から製造したインキが比較例1、比較例2および比較例3から製造したインキより流動性が良好であった。

Claims (5)

  1. バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中に、カップラー成分を含むカップラー水溶液とベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、連続的に注入してカップリング反応させるジスアゾ顔料の製造法において、カップラー成分が、アセトアセトアニライドからなる第1カップラー成分と、下記一般式Aで示されるアニライド誘導体および1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンからなる群から選ばれる第2カップラー成分からなり、カップリング反応中において第1カップラー成分と第2カップラー成分との成分比率を変化させることを特徴とするジスアゾ顔料組成物の製造方法であって、第1カップラー成分を注入後、第1カップラー成分と第2カップラー成分を注入することを特徴とするジスアゾ顔料組成物の製造方法。
    一般式A
    CH3COCH2CONH−X
    (式中、Xは、水酸基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基またはそのアルカリ金属塩、スルホン酸基またはそのアルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を表す。)
  2. 第1カップラー成分のカップラー水溶液とテトラゾ水溶液とを注入後、第1カップラー成分および第2カップラー成分を含むカップラー水溶液と、テトラゾ水溶液とを同時に注入する請求項1記載のジスアゾ顔料組成物の製造方法。
  3. 第1カップラー成分のカップラー水溶液とテトラゾ水溶液とを注入後、第1カップラー成分を含むカップラー水溶液と、第2カップラー成分を含むカップラー水溶液と、テトラゾ水溶液とを同時に注入する請求項記載のジスアゾ顔料組成物の製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項いずれか記載の製造方法により得られたジスアゾ顔料組成物。
  5. 請求項記載のジスアゾ顔料組成物を含む印刷インキ。
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