JP3428491B2 - ジスアゾ顔料組成物の製造方法 - Google Patents

ジスアゾ顔料組成物の製造方法

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JP3428491B2 JP11671899A JP11671899A JP3428491B2 JP 3428491 B2 JP3428491 B2 JP 3428491B2 JP 11671899 A JP11671899 A JP 11671899A JP 11671899 A JP11671899 A JP 11671899A JP 3428491 B2 JP3428491 B2 JP 3428491B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ジスアゾ顔料組
成物の製造方法に関する。詳しくは、透明性と流動性に
優れた印刷インキを調製できるジスアゾ顔料組成物の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ジスアゾ顔料を含有する印刷イン
キの透明性・流動性を改良する方法として、例えば、特
公昭45−11026号公報には、ジスアゾ顔料に、そ
れらのスルホン酸化合物を混合する方法が、特公昭55
−49087号公報には、カップリング成分としてカル
ボン酸基及び/またはスルホン酸基を有する極性カップ
リング成分と非極性カップリング成分との混合物を使用
して成るジスアゾ顔料を用いる方法が、特開昭63−7
2762号公報及び特開昭63−178169号公報に
は、極性カップリング成分と非極性カップリング成分か
ら成る非対称型ジスアゾ化合物を含有するジスアゾ顔料
組成物を用いる方法が、それぞれ示されている。なかで
も、特公昭55−49087号公報で開示された製法に
より得られたジスアゾ顔料が印刷インキの透明性を改良
する効果が大きい事、特開昭63−178169号公報
で開示されたジスアゾ顔料組成物が印刷インキの流動性
を改良する効果が大きい事が知られていた。
【0003】また、透明性を向上させる方法として、W
O97/31067号公報には、非極性カップリング成
分とベンジジン類のテトラゾ成分とのカップリング方法
に関して開示されている。しかしながら、WO97/3
1067号公報による透明性の改良程度は著しく小さ
く、また、流動性に関する示唆はなんら与えていなかっ
た。
【0004】印刷インキの製造方法には、ウエット顔料
をニーダーを用いる事により分散させて製造する方法
と、パウダー顔料を3本ロールやビーズミルを用いる事
により分散させて製造する方法がある。どの、製造方法
を選択するかは、生産性、インキの需要量から決定され
る事が多い。印刷インキに求められる要求品質を決定す
る要因は、数々あるが、なかでも、使用用途や印刷イン
キの製造方法に適した顔料を選定する事が最も重要であ
る。
【0005】印刷業界において、印刷物の鮮明性を高め
るため、透明性が高い印刷インキがもとめられている。
また、印刷業界において、生産性を高める観点から、印
刷速度の高速化がめざましく進歩している。毎秒4メー
トルの印刷が可能な印刷機が主流となっているが、毎秒
15メートルの印刷が可能な印刷機も開発されている。
印刷速度の高速化にともない、印刷インキには、今まで
以上に高い流動性が求められている。
【0006】透明性を向上させる効果が大きい従来技術
として、特公昭55−49087号公報が知られてい
た。特公昭55−49087号公報で開示された製法
は、非極性カップリング成分(下記一般式I)と非極性
カップリング成分(下記一般式I)とからなるジスアゾ
顔料(下記一般式A)と、極性カップリング成分(下記
一般式II)と非極性カップリング成分(下記一般式
I)から成る非対称型ジスアゾ化合物(下記一般式B)
と、極性カップリング成分(下記一般式II)と極性カ
ップリング成分(下記一般式II)から成る対称型ジス
アゾ化合物(下記一般式C)とからなるジスアゾ顔料を
同一反応容器内で合成する方法である。非対称型ジスア
ゾ化合物(下記一般式B)は、印刷インキの透明性と流
動性を改良する効果がある事が知られている。
【0007】しかしながら、特公昭55−49087号
公報で開示された方法は、透明性を改良する効果がある
非対称型ジスアゾ化合物(下記一般式B)の生成が生成
するものの、透明性と流動性を悪化させる対称型ジスア
ゾ化合物(下記一般式C)の生成が多いため、現在の印
刷業界が要求している透明性を得ることは出来なかっ
た。
【0008】また、非極性カップラー成分(下記一般式
I)の酸性溶液への溶解速度と極性カップラー成分(下
記一般式II)の酸性溶液への溶解速度が異なると、カ
ップリング反応の全工程を通じて、透明性と流動性の改
良効果がある非対称型ジスアゾ化合物(下記一般式B)
をジスアゾ顔料(下記一般式A)に均一に吸着あるいは
結晶構造に導入する事ができず、現在の印刷業界が要求
している透明性を得ることは出来なかった。
【0009】すなわち、極性カップラー成分(下記一般
式II)の酸性溶液への溶解速度が非極性カップラー成
分(下記一般式I)の酸性溶液への溶解速度に比べて早
い場合、カップリング反応の初期には非対称型ジスアゾ
化合物(下記一般式B)と対称型ジスアゾ化合物(下記
一般式C)が優先的に生成し、カップリング反応の中期
から後期にかけてはジスアゾ顔料(下記一般式A)のみ
が生成することになり、現在の印刷業界が要求している
透明性を得ることは出来なかった。
【0010】逆に、極性カップラー成分(下記一般式I
I)の酸性溶液への溶解速度が非極性カップラー成分
(下記一般式I)の酸性溶液への溶解速度に比べて遅い
場合、カップリング反応の初期から中期にかけてはジス
アゾ顔料(下記一般式A)のみが生成し、カップリング
反応の後期には非対称型ジスアゾ化合物(下記一般式
B)と対称型ジスアゾ化合物(下記一般式C)が優先的
に生成する事になり、現在の印刷業界が要求している透
明性を得ることは出来なかった。
【0011】同様の理由により、特公昭55−4908
7号公報で開示された製法では、現在の印刷業界が要求
している流動性を得ることは出来なかった。
【0012】一般式(I)
【0013】
【化12】
【0014】(式中、Zは、メチル基、メトキシ基、塩
素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個
の置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
【0015】一般式(II)
【0016】
【化13】
【0017】(式中、Yは、メチル基、メトキシ基、水
酸基、塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる
1〜4個の置換基を有していてもよいフェニル基であっ
て、カルボン酸基、スルホン酸基及びこれらのアルカリ
金属塩からなる群から選ば れる同一又は異なる1〜4
個の置換基を有するフェニル基を示す。)
【0018】一般式A
【0019】
【化14】
【0020】(式中、Z1 は、メチル基、メトキシ基、
塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4
個の置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
【0021】一般式B
【0022】
【化15】
【0023】(式中、Z1 は、メチル基、メトキシ基、
塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4
個の置換基を有していてもよいフェニル基を示す。 式
中、Z2 は、メチル基、メトキシ基、水酸基、塩素原子
から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換
基を有していてもよいフェニル基であってカルボン酸
基、スルホン酸基及びこれらのアルカリ金属塩からなる
群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有す
るフェニル基を示す。)
【0024】一般式C
【0025】
【化16】
【0026】(式中、Z2 は、メチル基、メトキシ基、
水酸基、塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異な
る1〜4個の置換基を有していてもよいフェニル基であ
って、カルボン酸基、スルホン酸基及びこれらのアルカ
リ金属塩からなる群から選ばれる同一又は異なる1〜4
個の置換基を有するフェニル基を示す。)
【0027】また、流動性を向上させる効果が大きい従
来技術として、特開昭63−178169号公報が知ら
れていた。特開昭63−178169号で開示された製
法は、極性カップリング成分と非極性カップリング成分
から成る非対称型ジスアゾ化合物(一般式B)を合成
し、別途合成した非極性カップリング成分と非極性カッ
プリング成分から成るジスアゾ顔料(一般式A)に非対
称型ジスアゾ化合物(一般式B)を添加するジスアゾ顔
料組成物に関するものである。
【0028】しかしながら、合成時の攪拌による粒子間
の衝突、あるいは、濾過工程、乾燥工程、粉砕工程にお
いて加えられる力により、ジスアゾ顔料や非対称型ジス
アゾ化合物の粒子は凝集状態となり、ジスアゾ顔料の一
次粒子表面に非対称型ジスアゾ化合物を均一に吸着させ
る事が困難となり、現在の印刷業界が要求している流動
性を得ることは出来なかった。同様の理由により、現在
の印刷業界が要求している透明性を得ることは出来なか
った。
【0029】ここで非対称型ジスアゾ化合物(一般式
B)の添加量を増やそうとする試みもなされているが、
着色力の低下等の弊害が生じ、実用上不適なジスアゾ顔
料しか得られなかった。
【0030】また、透明性を向上させる従来技術とし
て、WO97/31067号公報が知られていた。WO
97/31067号公報に開示された方法は、非極性カ
ップリング成分を析出させる事なく、酸性水溶液中でベ
ンジジン類のテトラゾ成分とのカップリングを行うジス
アゾ顔料の製造方法に関するものである。この方法は、
カップリング反応率を向上させることにより、未反応の
カップリング成分の除去を容易にし、その分解副成物で
ある芳香族アミンを減少させる効果がある。また、得ら
れた顔料を着色剤として使用すると、透明性、着色力、
光沢が向上すると開示されている。非極性カップリング
成分を析出させた後、酸性水溶液中でベンジジン類のテ
トラゾ成分とのカップリングを行う従来のジスアゾ顔料
の製造方法に比べると、WO97/31067号公報記
載の方法は透明性が若干改良される。
【0031】しかしながら、透明性を向上させる機構
は、ジスアゾ顔料にくらべて、光の透過率が低く、透明
性が低い(隠蔽性が高い)未反応の非極性カップリング
成分を取り除いた事により発現されるものである。した
がって、透明性の改良程度は著しく小さく、現在の印刷
業界が要求している透明性を得ることは出来なかった。
【0032】しかも、WO97/31067号公報には
流動性に関する記載はなんらなく、また、WO97/3
1067号公報を用いても流動性の改良効果は全くなか
った。
【0033】尚、非対称型ジスアゾ化合物からなるジス
アゾ顔料誘導体(一般式B)とジスアゾ顔料(一般式
A)とを同時に生成させることが出来る、上記した様な
公知の手法によっても、非対称型ジスアゾ化合物(一般
式B)と対称型ジスアゾ化合物(一般式C)との重量比
率を最大90/10程度とするのが限界であり、諸特性
からしても、依然満足できるものではなかった。
【0034】
【課題を解決しようとする課題】 すなわち、本発明が
解決しようとする課題は、透明性と流動性に優れた印刷
インキを調製できるジスアゾ顔料組成物の製造方法を提
供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】 発明者は、透明性と流
動性に優れた印刷インキを調製できるジスアゾ顔料組成
物の製造方法を開発すべく鋭意研究した結果、次の手段
が有用なことを見い出し、次の発明を完成するに至っ
た。
【0036】即ち本発明は次の各発明を提供するもので
ある。
【0037】非極性カップラー成分(I)と極性カップ
ラー成分(II)を含むカップラー水溶液と、ベンジジ
ン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、カップ
ラー成分いずれもが反応系で実質的に析出しない様に、
かつ、未反応のテトラゾ成分が直ちに反応する様に、酸
性水溶液中に注入してカップリング反応させて、ジスア
ゾ顔料と、前記顔料以外の少なくとも顔料の透明性また
は流動性を改良し得るジスアゾ化合物を同時生成させる
事を特徴とするジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【0038】 カップラー成分が、前記カップラー成分
(I)と前記カップラー成分(II)の合計を100モ
ル%とした時、前記カップラー成分(I)85〜99モ
ル%と前記カップラー成分(II)1〜15モル%とか
らなるカップラーである上記記載のジスアゾ顔料組成物
の製造方法。
【0039】
【0040】一般式(I)で示されるカップラー成分
(I)と一般式(II)で示されるカップラー成分(I
I)を含むカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラ
ゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、バッチ式攪拌槽内の
酸性水溶液中に、カップラー成分(I)とカップラー成
分(II)との合計供給モル速度とテトラゾ成分の供給
モル速度との比が、200:80から200:99とな
るように連続的に注入してカップリング反応させる事を
特徴とするジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【0041】一般式(I)
【0042】
【化17】
【0043】(式中、Zは、メチル基、メトキシ基、塩
素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個
の置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
【0044】一般式(II)
【0045】
【化18】
【0046】(式中、Yは、メチル基、メトキシ基、水
酸基、塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる
1〜4個の置換基を有していてもよいフェニル基であっ
て、カルボン酸基、スルホン酸基及びこれらのアルカリ
金属塩からなる群から選ばれる同一又は異なる1〜4個
の置換基を有するフェニル基を示す。)
【0047】 さらに本発明は、以下のジスアゾ顔料組
成物の製造方法を提供するものである。
【0048】 (1)上記一般式(I)で示される非極
性カップラー成分(I)と上記一般式(II)で示され
る極性カップラー成分(II)を含むカップラー水溶液
と、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液
とを、バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中に、非極性カッ
プラー成分(I)と極性カップラー成分(II)との合
計供給モル速度とテトラゾ成分の供給モル速度との比
が、200:80から200:99となるように連続的
に注入してカップリング反応させた事を特徴とするジス
アゾ顔料組成物の製造方法。
【0049】 (2)非極性カップラー成分(I)と極
性カップラー成分(II)との合計供給モル速度とテト
ラゾ成分の供給モル速度との比が、200:90から2
00:99である上記(1)記載のジスアゾ顔料組成物
の製造方法。
【0050】 (3)非極性カップラー成分(I)と極
性カップラー成分(II)を含むカップラー水溶液と、
ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液と
を、バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中に、連続的に注入
した後、テトラゾ水溶液だけを追加的に注入する上記
(1)または(2)記載のジスアゾ顔料組成物の製造方
法。
【0051】 (4)バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中
に、pH緩衝剤を存在させる上記(1)、(2)または
(3)記載のジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【0052】 (5)非極性カップラー成分(I)の濃
度と極性カップラー成分(II)の濃度の和が0.1〜
1モル/リットルであるカップラー水溶液と、濃度が
0.05〜0.8モル/リットルであるテトラゾ水溶液
を使用する上記(1)、(2)、(3)または(4)記
載のジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【0053】 (6)酸性水溶液と、カップラー水溶液
およびテトラゾ水溶液の1分間当たりの注入量との比率
が、1000:1〜1000:50である上記(1)、
(2)、(3)、(4)または(5)記載のジスアゾ顔
料組成物の製造方法。
【0054】 (7)非極性カップラー成分(I)が、
アセトアセトアニリド、アセトアセト−o−トルイジ
ド、アセトアセト−m−キシリダイドからなる群から選
ばれる少なくとも一種である上記(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)または(6)記載のジスアゾ顔
料組成物の製造方法。
【0055】 (8)極性カップラー成分(II)が、
4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、2−ア
セトアセチルアミノ安息香酸、3−アセトアセチルアミ
ノ安息香酸、4−アセトアセチルアミノ安息香酸、5−
アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸からな
る群から選ばれる少なくとも一種である上記(1)、
(2)、(3)、(4)、(5)、(6)または(7)
記載のジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【0056】 (9)カップラー水溶液がアルカリ溶液
で、テトラゾ水溶液が塩酸水溶液である上記(1)、
(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)また
は(8)記載のジスアゾ顔料組成物の製造方法。
【0057】
【0058】
【発明の実施の形態】本発明のジスアゾ顔料組成物の製
造方法は、カップラー成分(I)とカップラー成分(I
I)を含むカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラ
ゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、酸性水溶液中に注入
してカップリング反応させる事を特徴とするジスアゾ顔
料組成物の製造方法に関するものである。
【0059】この際には、カップラー成分いずれもが反
応系で析出しない様に、かつ、未反応のテトラゾ成分が
直ちに反応する様に、酸性水溶液中に注入してカップリ
ング反応される。こうすることによって、後に詳述する
様に、非対称型ジスアゾ化合物の少なくとも一部を前記
ジスアゾ顔料の一次粒子に均一に吸着させるかあるいは
結晶構造中に含ませることができる。
【0060】本発明において、カップラー成分(I)と
カップラー成分(II)としては、公知慣用のものが使
用し得る。注入方法も特に制限されないが、通常は連続
的に実施される。これらについては後に詳述する。
【0061】すなわち、本発明のジスアゾ顔料組成物の
製造方法は、好適には、非極性カップリング成分と非極
性カップリング成分とからなるジスアゾ顔料(一般式
A)と、極性カップリング成分と非極性カップリング成
分から成る非対称型ジスアゾ化合物(一般式B)と、極
性カップリング成分と極性カップリング成分から成る対
称型ジスアゾ化合物(一般式C)とからなるジスアゾ顔
料を同時に合成する方法において、極性カップリング成
分と非極性カップリング成分から成る、非対称型ジスア
ゾ化合物の含有率が従来の場合よりも高いジスアゾ顔料
組成物を得る事ができる製造方法に関するものである。
【0062】一般式A
【0063】
【化19】
【0064】(式中、Z1 は、メチル基、メトキシ基、
塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4
個の置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
【0065】一般式B
【0066】
【化20】
【0067】(式中、Z1 は、メチル基、メトキシ基、
塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4
個の置換基を有していてもよいフェニル基を示す。式
中、Z2 は、メチル基、メトキシ基、水酸基、塩素原子
から成る群から選ば れる同一又は異なる1〜4個の置
換基を有していてもよいフェニル基であって、カルボン
酸基、スルホン酸基及びこれらのアルカリ金属塩からな
る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有
するフェニル基を示す。)
【0068】一般式C
【0069】
【化21】
【0070】(式中、Z2 は、メチル基、メトキシ基、
水酸基、塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異な
る1〜4個の置換基を有していてもよいフェニル基であ
って、カルボン酸基、スルホン酸基及びこれらのアルカ
リ金属塩からなる群から選ばれる同一又は異なる1〜4
個の置換基を有するフェニル基を示す。)
【0071】非対称型ジスアゾ化合物(上記一般式B)
は、印刷インキの透明性と流動性を改良する効果がある
事が知られている。
【0072】本発明では、この非対称型ジスアゾ化合物
をジスアゾ顔料(上記一般式A)と同時に合成すること
により、凝集状態にないジスアゾ顔料の一次粒子表面に
凝集状態にない非対称型ジスアゾ化合物を均一に吸着さ
せる事、もしくは、ジスアゾ顔料と非対称型ジスアゾ化
合物との混晶結晶を形成させる事が可能である。ジスア
ゾ顔料表面に極性基を導入する事が可能となり、透明性
と流動性に優れた印刷インキを提供できるジスアゾ顔料
組成物を得る事ができる。
【0073】本発明の効果は、非対称型ジスアゾ化合物
に対応するジスアゾ顔料誘導体と、対称型ジスアゾ化合
物に対応するジスアゾ顔料との合計中に占める前者非対
称型成分(顔料誘導体成分)を、結果的に、従来よりも
より多く含有させることが出来ることと、反応中の生成
物組成の経時変化を見たときに、ジスアゾ顔料とジスア
ゾ顔料誘導体とがほぼ同時生成することとの相乗効果と
して発現される。つまり、反応中においてジスアゾ顔料
とジスアゾ顔料誘導体とのどちらか一方が優先的に生成
し、それらが同時に生成しない様な条件のもとでは、た
とえ結果的にジスアゾ顔料誘導体が同一量含まれる様に
なったとしても、効果は不充分である。
【0074】従来のジスアゾ顔料組成物の製造方法は、
カップラー成分(I)または、カップラー成分(I)お
よびカップラー成分(II)とを酸性水溶液中に分散さ
せた後、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水
溶液を添加して行われる。
【0075】カップラー成分(I)またはカップラー成
分(II)は、酸性水溶液では溶解度は小さく、また酸
性水溶液への溶解速度も遅い。一方、ベンジジン類のテ
トラゾ成分を含むテトラゾ水溶液の反応性は極めて高
い。
【0076】従って、カップラー成分(I)または、カ
ップラー成分(I)およびカップラー成分(II)とベ
ンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液との反
応律速は、カップラー成分(I)または、カップラー成
分(I)およびカップラー成分(II)が、酸性水溶液
に溶解する過程にある。
【0077】カップラー成分(I)が酸性水溶液に溶解
する速度と、カップラー成分(II)が酸性水溶液に溶
解する速度とが異なると、透明性と流動性を改良する効
果がある非対称型ジスアゾ化合物(一般式B)の生成が
少なく、透明性と流動性を改良する効果がない対称型ジ
スアゾ化合物(一般式C)の生成が多くなってしまうた
め、現在の印刷業界が要求している、高度な透明性と流
動性を得難くなる。
【0078】本発明とWO97/31067号公報と
は、同公報が非極性カップラー成分のみを用いるのに対
して、本発明が、非極性カップラー成分と極性カップラ
ー成分とを併用した点が、技術的構成上の最大の相違点
である。よってカップラー成分総量(合計)とテトラゾ
成分とのモル比は、公知慣用の範囲から選択できる。カ
ップラー成分総量(合計)とテトラゾ成分とのモル比
は、例えば2:0.8〜2:0.99である。しかしな
がら、このモル比は供給モル速度でより正確に表現でき
る。
【0079】本発明においては、カップラー成分(I)
とカップラー成分(II)との合計供給モル速度が、テ
トラゾ成分の供給モル速度よりも速いことが好ましく、
中でも前者速度が後者速度の2.0〜2.5倍となるよ
うに選択し得る。
【0080】これは、また、本発明で得るのがジスアゾ
顔料組成物であることから、「カップラー成分(I)と
カップラー成分(II)との合計供給モル数が、テトラ
ゾ成分の供給モル数よりも、アゾ結合が2つ形成される
(ジスアゾとなる)様に過剰であることが好ましく、中
でも前者モル数が後者モル数の2.0〜2.5倍となる
ように選択し得る」、と換言できる。特に、テトラゾ水
溶液注入時または注入中に、前者モル数が後者モル数の
2.0〜2.5倍となる様にするのが最適である。
【0081】本発明のジスアゾ顔料組成物の好適な製造
方法は、非極性カップラー成分(I)と極性カップラー
成分(II)を含むカップラー水溶液と、ベンジジン類
のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、酸性水溶液
中に、カップラー成分(I)とカップラー成分(II)
との合計供給モル速度とテトラゾ成分の供給モル速度と
の比が、200:80から200:99となるように連
続的に注入してカップリング反応させる事により行われ
ることを特徴とする。
【0082】つまり、カップラー水溶液として、カップ
ラー成分(I)とカップラー成分(II)とを同時に含
むものが用いられ、それが連続的に酸性水溶液中に供給
されるため、カップラー成分(I)とカップラー成分
(II)とが析出しない、または、ごく僅かに析出する
状態で、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水
溶液との反応が進行する。
【0083】このため、透明性と流動性を改良する効果
がある非対称型ジスアゾ化合物(一般式B)の生成が多
く、透明性と流動性を改良する効果がない対称型ジスア
ゾ化合物(一般式C)の生成が少なくなる、または、全
く生成しないため、現在の印刷業界が要求している透明
性と流動性を得る事ができる。
【0084】同一のカップラー成分とテトラゾ成分を用
いた場合には、本発明の製造方法によれば、非対称型ジ
スアゾ化合物(一般式B)のみが生成するか、または、
非対称型ジスアゾ化合物(一般式B)/対称型ジスアゾ
化合物(一般式C)を、93/7(重量比)以上に出来
き、更に好適な95/5以上に、非対称型の含有率をア
ップすることも可能である。
【0085】本発明で使用される非極性カップラー成分
(I)は、上記一般式(I)で表されるものが挙げら
れ、一般式(I)で表されるものであれば2種類以上の
成分を併用してもよい。
【0086】非極性カップラー成分(I)の具体例とし
ては、例えばアセトアセトアニリド、アセトアセト−o
−トルイジド、アセトアセト−m−キシリダイド、アセ
トアセト−o−アニシジド、アセトアセト−p−アニシ
ジド、アセトアセト−o−クロロアニリド、アセトアセ
ト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリド等があ
る。
【0087】なかでも、アセトアセトアニリド、アセト
アセト−o−トルイジド、アセトアセト−m−キシリダ
イドが、本発明において透明性が著しく改良される点か
ら好ましい。
【0088】本発明で使用される極性カップラー成分
(II)は、一般式(II)で表されるものが挙げら
れ、一般式(II)で表されるものであれば2種類以上
の成分を併用してもよい。
【0089】極性カップラー成分(II)の具体例とし
ては、例えば2−アセトアセチルアミノベンゼンスルホ
ン酸、3−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、
4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、2−ア
セトアセチルアミノ−5−メチルベンゼンスルホン酸、
2−アセトアセチルアミノ−4−クロロ−5−メチルベ
ンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ−5−ク
ロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸、2−アセトアセ
チルアミノ−5−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン
酸、4−アセトアセチルアミノ−2,5−ジクロロベン
ゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ安息香酸、
3−アセトアセチルアミノ安息香酸、4−アセトアセチ
ルアミノ安息香酸、3−アセトアセチルアミノ−4−ク
ロロ安息香酸、2−アセトアセチルアミノテレフタル
酸、3−アセトアセチルアミノイソフタル酸、4−アセ
トアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸、5−アセ
トアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸等およびこ
れらのアルカリ金属塩がある。
【0090】なかでも、4−アセトアセチルアミノベン
ゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ安息香酸、
3−アセトアセチルアミノ安息香酸、4−アセトアセチ
ルアミノ安息香酸、5−アセトアセチルアミノ−2−ヒ
ドロキシ安息香酸が、本発明において流動性が著しく改
良される点から好ましい。
【0091】本発明で使用される非極性カップラー成分
(I)と極性カップラー成分(II)との比率は、特に
制限されるものではないが、両者のみを用いる場合にお
いてそれの合計を100モル%としたときには、例えば
非極性カップラー成分(I)が85〜99モル%であり
極性カップラー成分(II)が1〜15モル%である。
【0092】この際には、なかでも、非極性カップラー
成分(I)が90〜98モル%であり極性カップラー成
分(II)が2〜10モル%であると、透明性と流動性
が特に優れ、さらに着色力も優れたジスアゾ顔料組成物
を製造する事ができる。
【0093】このカップラー成分(I)と(II)のモ
ル比から、ジスアゾ化合物の合計とジスアゾ顔料の理論
的な重量割合は算術的に計算でき、以下に詳述する通
り、合計を100重量%とした時、ジスアゾ顔料98.
0〜72.3重量%と、ジスアゾ化合物2.0〜27.
7重量%となる。
【0094】こうすることにより、ジスアゾ顔料と、非
対称型ジスアゾ化合物とを必須成分として含み、1)前
記非対称型ジスアゾ化合物の少なくとも一部が、前記ジ
スアゾ顔料の一次粒子に均一に吸着しているかあるいは
結晶構造中に含まれており、2)合計を100重量%と
したとき、前記ジスアゾ顔料98.0〜72.3重量%
と、ジスアゾ化合物2.0〜27.8重量%とからな
り、3)ジスアゾ化合物の合計を100重量部としたと
き、前記非対称型ジスアゾ化合物が≧93重量部であ
る、透明性と流動性に優れたジスアゾ顔料組成物を同時
に容易に製造することが出来る。
【0095】ジスアゾ化合物は、非対称型ジスアゾ化合
物のみで構成されていても、非対称型ジスアゾ化合物と
対称型ジスアゾ化合物とから構成されていても良いが、
ジスアゾ化合物中の、非対称型ジスアゾ化合物が100
%であるか、93重量部以上で出来るだけ含有率が高い
ほうが好ましい。
【0096】本発明で使用されるカップラー水溶液は、
非極性カップラー成分(I)と極性カップラー成分(I
I)とを含む。このカップラー水溶液は、アルカリ溶液
であることが好ましく、非極性カップラー成分(I)と
極性カップラー成分(II)とをアルカリとともに溶解
し、アルカリ性溶液とすることにより得ることが出来
る。
【0097】アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウ
ムまたは水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。
【0098】本発明で使用されるベンジジン類のテトラ
ゾ成分を含むテトラゾ水溶液は、ベンジジン類を公知の
方法でテトラゾ化して得れるものを含む。ベンジジン類
としては、例えば3,3’−ジクロロベンジジンや2,
2’,5,5’−テトラクロロベンジジンや3,3’−
ジメトキシベンジジン等が挙げられる。この水溶液とし
ては、酸性水溶液が好ましく、特に塩酸酸性水溶液が好
ましく使用される。
【0099】本発明では、上記カップラー水溶液がアル
カリ溶液で、かつ、テトラゾ水溶液が塩酸水溶液である
場合の組み合わせが好ましい。
【0100】カップラー水溶液とテトラゾ水溶液を注入
するべき酸性水溶液は、反応させるべき容器に予め仕込
まれるが、この容器は、通常はバッチ式攪拌槽である。
【0101】本発明では、好適には、予め、バッチ式攪
拌槽内に酸性水溶液が仕込まれる。バッチ式攪拌槽とし
ては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、通常
は、攪拌が必要な液媒体毎に水槽に加える必要がある液
媒体を保持する水槽と、その液媒体を攪拌する攪拌翼を
有する攪拌機とから構成されているものである。本発明
で使用されるバッチ式攪拌槽内の酸性水溶液は、カップ
リング反応系をpH3〜6.9の範囲、好ましくは3.
5〜6.3に保つ事ができれば良く、従来法のカップリ
ングで使用される公知の酸の水溶液でよい。
【0102】上記pH領域の保持は、テトラゾ成分の分
解や縮合などの副反応を最小化するために好ましく、反
応開始から終了時まで上記pHの範囲に維持すること
が、より好ましい。
【0103】このためには、反応途中において酸あるい
はアルカリを断続的にあるいは連続的に添加することに
よっても良いが、バッチ式攪拌槽内に酸性水溶液中に、
pH緩衝剤を存在させることが好ましい。操作の容易さ
の面からはpH緩衝性のある水溶液系、例えば、従来の
カップリング反応で良く使用される『酢酸−酢酸ナトリ
ウム』系や『ギ酸−ギ酸ナトリウム』系等の緩衝性水溶
液を用いると、pHの変動が少なく、pHの維持が容易
となり好ましいものとなる。
【0104】本発明において、バッチ式攪拌槽内の酸性
水溶液中への、非極性カップラー成分(I)と極性カッ
プラー成分(II)を含むカップラー水溶液と、ベンジ
ジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液との注入
は、例えば別々の注入管を通し酸性水溶液中に並行して
行うことが出来る。
【0105】非対称型ジスアゾ化合物の少なくとも一部
が前記ジスアゾ顔料の一次粒子に均一に吸着しているか
あるいは結晶構造中に含まれる様にするには、例えば、
上記した通り、カップラー成分いずれもが反応系で析出
しない様に、かつ、未反応のテトラゾ成分が直ちに反応
する様に、酸性水溶液中に並行に注入してやれば良い
が、より具体的には、例えば、カップラー水溶液とテト
ラゾ水溶液を、酸性水溶液に注入するに当たって、これ
ら個々の水溶液の注入時間帯が少なくとも重複している
部分を含む様にする。この形態としては、個々の水溶液
の注入時間帯の一部が重複している場合もあるし、全部
が重複している場合もある。好ましくは、両方の時間帯
が全て重複している様にする。必要であれば、カップラ
ー水溶液とテトラゾ水溶液のいずれか一方のみが注入さ
れる時間帯があってもよい。
【0106】カップラー水溶液とテトラゾ水溶液とが直
接に接触すると、カップラー成分の析出が起きて固体と
なり、透明性と流動性を改良する効果がある非対称型ジ
スアゾ化合物(一般式B)の生成が少なく、透明性と流
動性を改良する効果がない対称型ジスアゾ化合物(一般
式C)の生成が多くなってしまう可能性があるため、透
明性と流動性の改良効果が小さくなる場合がある。
【0107】これを避けるため、酸性水溶液を満たした
バッチ式攪拌槽を備える攪拌槽では、注入管出口を互い
に離した位置に設け注入を行い(並行注入という場合が
ある。)、十分に攪拌を行い、確実にテトラゾ成分とカ
ップラー成分とが酸性水溶液中で反応するようにする事
が好ましい。
【0108】また、酸性水溶液を攪拌槽より抜き出して
外部循環させ、この循環ラインのそれぞれにテトラゾ水
溶液とカップラー水溶液とを、あるいは、一方を循環ラ
インに他方を攪拌槽へ注入するようにしても良い。
【0109】本発明において、非極性カップラー成分
(I)と極性カップラー成分(II)との合計供給モル
速度とテトラゾ成分の供給モル速度との比は、特に制限
されるものではないが、通常は200:80から20
0:99となるように、好ましくは200:90から2
00:99となるように連続的に注入してカップリング
反応させる事によりジスアゾ顔料組成物が製造される。
【0110】こうする事で、テトラゾ成分は酸性水溶液
に注入後、直ちに全てがカップラー成分と反応し、未反
応のテトラゾが反応系内に残存しなくなる。その結果、
テトラゾ成分の分解や縮合による副反応が防止され、色
の汚れが防止される。
【0111】供給モル速度の比は、反応の全期間を通じ
て一定値に保つ必要はなく、上記供給モル速度比の範囲
内で、注入の進行につれて変化させてもよい。また、カ
ップラー水溶液の注入開始をテトラゾ水溶液の注入に先
行させてもよい。さらに、ノニオン系界面活性剤、カチ
オン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ロジン溶液
のような表面処理剤を注入し、生成した顔料粒子の表面
処理を同時に行っても良い。
【0112】以上のように、テトラゾとカップラー成分
とを上記のモル比で並行注入すると、注入終了時点で反
応系内にはテトラゾ成分は全く存在していないが、反応
可能なカップラー成分が少し残っている状態となってい
る。そこで、非極性カップラー成分(I)と極性カップ
ラー成分(II)を含むカップラー水溶液と、ベンジジ
ン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、酸性水
溶液中に、連続的に注入した後、テトラゾ水溶液だけを
追加的に注入する事が出来る。例えば、並行注入終了
後、テトラゾ水溶液のみを追加注入して、完全にカップ
ラー成分と反応させ、更にカップリング反応率を高める
事もできる。
【0113】本発明において、非極性カップラー成分
(I)と極性カップラー成分(II)を含むカップラー
水溶液の酸性水溶液への注入は、カップラー水溶液を酸
性水溶液と混合した時に、溶解していた非極性カップラ
ー成分(I)と極性カップラー成分(II)が析出しな
いような条件を選択する事が好ましい。
【0114】これは、反応させる非極性カップラー成分
(I)と極性カップラー成分(II)の種類や、カップ
ラー水溶液の濃度、注入状態、酸性水溶液のpHや量な
ど多くの要因により変化するものであるが、非極性カッ
プラー成分(I)と極性カップラー成分(II)を含む
カップラー水溶液とベンジジン類のテトラゾ成分を含む
テトラゾ水溶液とのカップリング速度、酸性水溶液中で
の拡散速度や溶解度などを考慮し、また、実験的にもカ
ップラーの最適注入量を定める事ができる。
【0115】本発明において、非極性カップラー成分
(I)の濃度と極性カップラー成分(II)の濃度の和
が0.1〜1モル/リットルであるカップラー水溶液
と、濃度が0.05〜0.8モル/リットルであるテト
ラゾ水溶液を酸性水溶液に注入する事が操作上、また経
済上、負担が軽い点で好ましい。
【0116】本発明において、酸性水溶液への、カップ
ラー水溶液およびテトラゾ水溶液の1分間当たりの注入
量は、特に制限されないが、酸性水溶液中で非極性カッ
プラー成分(I)と極性カップラー成分(II)が析出
しないような範囲で決められる。
【0117】非極性カップラー成分(I)と極性カップ
ラー成分(II)が析出しないような範囲は、酸性水溶
液の種類やpH、量や攪拌状態、注入する位置など種々
の条件によって変化するものであり、注入量は製造に要
する時間や製造工程なども考慮して総合的に決定され
る。
【0118】すなわち、酸性水溶液に対するカップラー
水溶液の注入量が少なくなればなるほど、非極性カップ
ラー成分(I)と極性カップラー成分(II)が析出し
なくなるが、反応系内の濃度が薄くなるため顔料組成物
の製造に時間がかかるようになる。
【0119】酸性水溶液と、カップラー水溶液およびテ
トラゾ水溶液の1分間当たりの注入量との比率が、10
00:1〜1000:50の範囲で行う事が好ましい。
【0120】本発明において、カップリング中の温度や
pHの値などの反応条件およびこの制御法は、従来のカ
ップリング反応での公知の条件値および制御法から選択
され、特段の制約はない。pHや温度を時間あるいは注
入量と共に変化させても、あるいは終始一定に保っても
良い。
【0121】なお、本発明が好ましい実施形態で実施さ
れる場合には、酸性であるテトラゾ水溶液とアルカリ性
であるカップラー水溶液とが並行して注入されるので、
これらの水溶液中の酸とアルカリとが中和されるように
それぞれの溶液のpHや流量を調整する事により、初期
のpHを最後まで保った状態でカップリング反応を行う
ことができる。
【0122】本発明の顔料組成物の製造方法は、顔料誘
導体で表面処理されたC.I.Pigment Yel
low 12、13及び14を得るのに特に有効であ
る。
【0123】こうして得られた、本発明の顔料組成物
は、一般式Aで表されるジスアゾ顔料と、一般式Bで表
される非対称型ジスアゾ化合物とを必須成分として含
み、ジスアゾ顔料98.0〜72.3重量%と、ジスア
ゾ化合物2.0〜27.8重量%とからなり、ジスアゾ
化合物の合計を100重量部としたとき、前記非対称型
ジスアゾ化合物が≧93重量部となる。
【0124】このようにして得られた、酸性水溶液中の
ジスアゾ顔料組成物は、連続的に固液分離する事により
反応系から取り出すことも、また、反応を終了させた
後、バッチ式に固液分離を行い反応系から回収すること
もできる。また、得られたジスアゾ顔料組成物の顔料特
性を向上させるため、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)
や塩化アルミや塩化カルシウム等の水溶性無機塩を添加
する事や、ロジン処理等の一連の処理を行いジスアゾ顔
料組成物を製造することもできる。
【0125】本発明の製造方法により得られたジスアゾ
顔料組成物は、印刷インキ用ビヒクルと混練されて、透
明性と流動性に優れた印刷インキに使用する事ができ
る。
【0126】オフセットインキ用ビヒクルは、例えば、
ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂
又はこれら乾性油変性樹脂等の樹脂と、必要に応じて、
アマニ油、桐油、大豆油等の植物油と、n−パラフィ
ン、イソパラフィン、アロマテック、ナフテン、α−オ
レフィン等の溶剤から成るものであって、それらの混合
割合は、重量比で、樹脂:植物油:溶剤=20〜50
部:0〜30部:10〜60部の範囲が好ましい。
【0127】本発明のジスアゾ顔料組成物を配合したオ
フセットインキ用ビヒクルは、必要に応じて、インキ溶
剤、ドライヤー、レベリング改良剤、増粘剤等の公知の
添加剤を適宜配合して印刷インキと成る。
【0128】また、グラビアインキ用ビヒクルは、例え
ばガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、石灰化
ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹
脂、ギルソナイト、ダンマル、セラック、ポリアミド樹
脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴ
ム、エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン−酢
酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂、アルキッド樹脂等の樹脂混合物と、n−ヘキサン、
トルエン、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エ
チル、乳酸エチル、セロソルブ、イソプロピルアルコー
ル、クロルベンゾール、エチルエーテル、アセタールエ
チルエーテル、アセト酢酸エチル、酢酸ブチルセロソル
ブ等の溶剤から成るものであって、それらの混合割合
は、重量比で、樹脂混合物:溶剤=10〜50部:30
〜80部の範囲が好ましい。
【0129】本発明のジスアゾ顔料組成物を配合したグ
ラビアインキ用ビヒクルは、必要に応じて、例えば硫酸
バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アル
ミナ白、クレー、シリカ、シリカ白、タルク、ケイ酸カ
ルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、
補助剤として、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯
電防止剤等の公知の添加剤を適宜配合して印刷インキと
成る。
【0130】
【実施例】以下、実施例、比較例及び試験例を用いて本
発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施
例に限定されるものではない。なお、以下の例中におけ
る「部」および「%」は、特に断りのない限り、いずれ
も重量基準である。
【0131】<実施例1>3,3’−ジクロロベンジジ
ン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナト
リウムを使用して常法によりテトラゾ化し、5℃、0.
125モル/リットルのテトラゾ水溶液を調整した。一
方、アセトアセトアニリド339.8部と3−アセトア
セチルアミノ安息香酸17.7部を水酸化ナトリウム1
20部を含む水溶液に溶解し、20℃、0.259モル
/リットルのカップラー水溶液を調整した。
【0132】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水酸化ナトリウム80gと水からなる20℃、pH
4.7の緩衝溶液5000gを調整し、攪拌機を有する
攪拌槽に仕込んだ。
【0133】このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に
出口を持つ2本の注入管を通してpH緩衝溶液中に注入
を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポ
ンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注
入し、同時に注入を終了した(供給モル速度比:カップ
ラー成分/テトラゾ成分=約200/96.5)。
【0134】注入の間、液面より採取した反応液からは
テトラゾは検出されなかった。その後、反応系内にテト
ラゾが極僅か認められるまでテトラゾ水溶液のみを注入
した。なお、テトラゾの検出は、β−ナフトールによる
発色反応を用いて行った。
【0135】60℃まで加熱後、濾過、水洗し、ジスア
ゾ顔料組成物を含むウェット顔料組成物(発明顔料1)
を得た。
【0136】ウエット顔料組成物を一部乾燥して、質量
分析計にて測定を行った結果、ジスアゾ顔料(式1−
A)に相当するm/z=628と、極性カップリング成
分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ
化合物(式1−B)に相当するm/z=672とにピー
クを有していたが、極性カップリング成分と極性カップ
リング成分から成る対称型ジスアゾ化合物(式1−C)
に相当するm/z=716にピークは有していなかっ
た。
【0137】式1−A
【0138】
【化22】
【0139】式1−B
【0140】
【化23】
【0141】式1−C
【0142】
【化24】
【0143】<合成例1>3,3’−ジクロロベンジジ
ン38.2部と35%塩酸85部と水800部とを混
合、攪拌した後、氷浴下、亜硝酸ナトリウム21.9部
からなる水溶液を加えて、3,3’−ジクロロベンジジ
ンのテトラゾ溶液を得た。攪拌しながら、この中に、3
−アセトアセチルアミノ安息香酸33.4部を水250
部に分散した分散液を2時間かけて滴下した後、1時間
攪拌して橙色スラリーを得た。
【0144】アセトアセトアニリド26.8部を水酸化
ナトリウム30.6部及び水600部からなる水溶液に
溶解した後、酢酸52.1部を水200部で希釈したも
のを1時間かけて滴下し、結晶を析出させた。次いでこ
れを5〜10℃に冷却し、攪拌しながら、上記の橙色ス
ラリーを2時間かけて滴下した。
【0145】さらに1時間攪拌して、極性カップリング
成分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジスア
ゾ化合物(式1−B)に相当するジスアゾ化合物を含有
する水懸濁液(水懸濁液1)を得た。
【0146】一部を濾過、水洗、乾燥して、質量分析計
にて測定を行った結果、極性カップリング成分と非極性
カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物(式
1−B)に相当するm/z=672にピークを有してお
り、他ピークは、小さかった。
【0147】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
1−1>3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3
倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して
常法によりテトラゾ化し、5℃、0.125モル/リッ
トルのテトラゾ水溶液を調整した。一方、アセトアセト
アニリド354部を水酸化ナトリウム120部を含む水
溶液に溶解し、20℃、0.259モル/リットルのカ
ップラー水溶液を調整した。
【0148】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水酸化ナトリウム80gと水からなる20℃、pH
4.7の緩衝溶液5000gを調整し、攪拌機を有する
攪拌槽に仕込んだ。
【0149】このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に
出口を持つ2本の注入管を通してpH緩衝溶液中に注入
を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポ
ンプにより同じ体積流量193ml/分)で40分注入
し、同時に注入を終了した。
【0150】注入の間、液面より採取した反応液からは
テトラゾは検出されなかった。その後、反応系内にテト
ラゾが極僅か認められるまでテトラゾ水溶液のみを注入
して、ジスアゾ顔料懸濁液(A1)を得た。なお、テト
ラゾの検出は、β−ナフトールによる発色反応を用いて
行った。
【0151】一部を濾過、水洗、乾燥して、質量分析計
にて測定を行った結果、ジスアゾ顔料(式1−A)に相
当するm/z=628にピークを有していたが、極性カ
ップリング成分と非極性カップリング成分から成る非対
称型ジスアゾ化合物(式1−B)に相当するm/z=6
72と、極性カップリング成分と極性カップリング成分
から成る対称型ジスアゾ化合物(式1−C)に相当する
m/z=716にピークは有していなかった。
【0152】本顔料は、WO97/31067号公報の
顔料に相当する。
【0153】合成例1で得た極性カップリング成分と非
極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物
(式1−B)に相当するジスアゾ化合物を50部含有す
る水懸濁液(水懸濁液1)を上法により得たジスアゾ顔
料懸濁液(A1)に加えた。
【0154】60℃まで加熱後、濾過、水洗し、ジスア
ゾ顔料を含むウェット顔料組成物(比較顔料1−1)を
得た。このジスアゾ顔料組成物は、特開昭63−178
169号公報に記載されたジスアゾ顔料組成物に相当す
る。
【0155】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
1−2>3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3
倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して
常法によりテトラゾ化し、5℃、0.125モル/リッ
トルのテトラゾ水溶液を調整した。一方、アセトアセト
アニリド339.8部と3−アセトアセチルアミノ安息
香酸17.7部を水酸化ナトリウム144部を含む水溶
液に溶解し、20℃、0.259モル/リットルのカッ
プラー水溶液を調整した。
【0156】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水からなる20℃の酢酸溶液5000gを調整し、
攪拌機を有する攪拌槽に仕込んだ。
【0157】この酢酸溶液にカップラー水溶液を193
ml/分の流量で40分間注入してカップラーを沈殿さ
せた。このカップラースラリー中に出口を持つ注入管を
セットし、テトラゾ水溶液を184ml/分の流速で注
入を開始した。反応液面でテトラゾが極僅か認められる
まで、約40分かけて注入した。なお、テトラゾの検出
は、β−ナフトールによる発色反応を用いて行った。
【0158】60℃まで加熱後、濾過、水洗し、ジスア
ゾ顔料を含むウェット顔料組成物(比較顔料1−2)を
得た。
【0159】ウエット顔料組成物を一部乾燥して、質量
分析計にて測定を行った結果、ジスアゾ顔料(式1−
A)に相当するm/z=628と、極性カップリング成
分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ
化合物(式1−B)に相当するm/z=672と、極性
カップリング成分と極性カップリング成分から成る対称
型ジスアゾ化合物(式1−C)に相当するm/z=71
6にピークを有していた。ピーク強度比は、非対称型ジ
スアゾ化合物(式1−B):対称型ジスアゾ化合物(式
1−C)=85:15であった。
【0160】本顔料組成物は、特公昭55−49087
号公報の顔料組成物に相当する。
【0161】<試験例1>以下の方法により、実施例1
により得られたウェット顔料組成物(発明顔料1)、比
較例1−1により得られたウェット顔料組成物(比較顔
料1−1)、比較例1−2により得られたウェット顔料
組成物(比較顔料1−2)をインキ化した。
【0162】フラッシャーに50℃に加熱した平版イン
キ用途ワニス(大日本インキ化学工業(株)製のロジン
変性フェノール樹脂を含有するワニス)300部を添加
した後、顔料組成物固形分換算で100部に相当するウ
エット顔料組成物を添加し、30分混練しながら、フラ
ッシングを行った。遊離した水を除いた後、真空脱水し
ながら、フラッシャー温度を75℃に昇温し、水分を除
去した。水分が除去されたのを確認した後、平版インキ
用途ワニス(大日本インキ化学工業(株)製のロジン変
性フェノール樹脂を含有するワニス)170部及び軽油
30部を徐々に加え、試験インキを得た。
【0163】上記方法により調整した各試験インキにつ
いて、透明性と流動性を測定し、その結果を表1にまと
めて示した。
【0164】<ガラス板流動性の評価方法>傾斜角度7
0°のガラス板上部に、へらを用いて軽く混ぜ合わせた
試験インキをのせ、ガラス板の上で流動させる。1時間
放置し、インキの流動部の先端を測定し、ガラス板流動
性とする。ガラス板流動性の測定値が大きいものを流動
性が高いと判断する。なお、実施例で得られたウエット
顔料組成物(発明顔料)の測定値を100%とした百分
率で測定値を表示した。
【0165】<透明性の評価方法>黒インキを用いて黒
帯を印刷した白い展色紙に、試験インキを展色し、黒帯
の上の展色状態を目視で観察する。黒帯の上に試験イン
キが展色される事により黒帯が白く見えるものを不透明
と判断し、目視判定1とする。黒帯上に試験インキが展
色されているのがわかりにくいものを透明と判断し、目
視判定10とする。
【0166】
【表1】表1
【0167】<実施例2>アセトアセトアニリド33
9.8と3−アセトアセチルアミノ安息香酸17.7を
使用する代わりに、アセトアセトアニリド329.2部
と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸
33.2部を使用した事以外は、実施例1と同様にし
て、ジスアゾ顔料を含むウェット顔料組成物(発明顔料
2)を得た。
【0168】ウエット顔料組成物を一部乾燥して、質量
分析計にて測定を行った結果、ジスアゾ顔料(式2−
A)に相当するm/z=628と、極性カップリング成
分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ
化合物(式2−B)に相当するm/z=688とにピー
クを有していたが、極性カップリング成分と極性カップ
リング成分から成る対称型ジスアゾ化合物(式2−C)
に相当するm/z=748にピークは有していなかっ
た。
【0169】式2−A
【0170】
【化25】
【0171】式2−B
【0172】
【化26】
【0173】式2−C
【0174】
【化27】
【0175】<合成例2>3−アセトアセチルアミノ安
息香酸33.4部を使用する代わりに、5−アセトアセ
チルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸35.8部を使用
した事以外は、合成例1と同様にして、極性カップリン
グ成分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジス
アゾ化合物(式2−B)に相当するジスアゾ化合物を含
有する水懸濁液(水懸濁液2)を得た。
【0176】一部を濾過、水洗、乾燥して、質量分析計
にて測定を行った結果、極性カップリング成分と非極性
カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物(式
2−B)に相当するm/z=688にピークを有してお
り、他ピークは、小さかった。
【0177】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
2−1>合成例1で得た極性カップリング成分と非極性
カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物(式
1−B)に相当するジスアゾ化合物を50部含有する水
懸濁液(水懸濁液1)を使用する代わりに、合成例2で
得た極性カップリング成分と非極性カップリング成分か
ら成る非対称型ジスアゾ化合物(式2−B)に相当する
ジスアゾ化合物を88部含有する水懸濁液(水懸濁液
2)を使用した事以外は、比較例1−1と同様にして、
ジスアゾ顔料を含むウェット顔料組成物(比較顔料2−
1)を得た。このジスアゾ顔料組成物は、特開昭63−
178169号公報に記載されたジスアゾ顔料組成物に
相当する。
【0178】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
2−2>アセトアセトアニリド339.8部と3−アセ
トアセチルアミノ安息香酸17.7部を使用する代わり
に、アセトアセトアニリド329.2部と5−アセトア
セチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸33.2部を使
用した事以外は、比較例1−2と同様にして、ジスアゾ
顔料を含むウェット顔料組成物(比較顔料2−2)を得
た。
【0179】ウエット顔料組成物を一部乾燥して、質量
分析計にて測定を行った結果、ジスアゾ顔料(式2−
A)に相当するm/z=628と、極性カップリング成
分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ
化合物(式2−B)に相当するm/z=688と、極性
カップリング成分と極性カップリング成分から成る対称
型ジスアゾ化合物(式2−C)に相当するm/z=74
8にピークを有していた。ピーク強度比は、非対称型ジ
スアゾ化合物(式2−B):対称型ジスアゾ化合物(式
2−C)=90:10であった。
【0180】本顔料組成物は、特公昭55−49087
号公報の顔料組成物に相当する。
【0181】<試験例2>試験例1と同様にして、実施
例2により得られたウェット顔料組成物(発明顔料
2)、比較例2−1により得られたウェット顔料組成物
(比較顔料2−1)、比較例2−2により得られたウェ
ット顔料組成物(比較顔料2−2)をインキ化した。
【0182】上記方法により調整した各試験インキにつ
いて、透明性と流動性を測定し、その結果を表2にまと
めて示した。
【0183】
【表2】表2
【0184】<実施例3>60℃まで加熱後、水酸化ナ
トリウムに溶解したロジン溶液(ロジンの固形分として
30部)を添加後、硫酸バンド33部を添加した事以外
は、実施例2と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウェッ
ト顔料組成物(発明顔料3)を得た。
【0185】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
3−1>60℃まで加熱後、水酸化ナトリウムに溶解し
たロジン溶液(ロジンの固形分として30部)を添加
後、硫酸バンド33部を添加した事以外は、比較例2−
1と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウェット顔料組成
物(比較顔料3−1)を得た。
【0186】このジスアゾ顔料組成物は、特開昭63−
178169号公報に記載されたジスアゾ顔料組成物に
相当する。
【0187】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
3−2>60℃まで加熱後、水酸化ナトリウムに溶解し
たロジン溶液(ロジンの固形分として30部)を添加
後、硫酸バンド33部を添加した事以外は、比較例2−
2と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウェット顔料組成
物(比較顔料3−2)を得た。
【0188】本顔料組成物は、特公昭55−49087
号公報の顔料組成物に相当する。
【0189】<試験例3>試験例1と同様にして、実施
例3により得られたウェット顔料組成物(発明顔料
3)、比較例3−1により得られたウェット顔料組成物
(比較顔料3−1)、比較例3−2により得られたウェ
ット顔料組成物(比較顔料3−2)をインキ化した。
【0190】上記方法により調整した各試験インキにつ
いて、透明性と流動性を測定し、その結果を表3にまと
めて示した。
【0191】
【表3】表3
【0192】<実施例4>3,3’−ジクロロベンジジ
ン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナト
リウムを使用して常法によりテトラゾ化し、5℃、0.
110モル/リットルのテトラゾ水溶液を調整した。一
方、アセトアセト−m−キシリジド389.5部と2−
アセトアセチルアミノ安息香酸22.1部を水酸化ナト
リウム120部を含む水溶液に溶解し、20℃、0.2
37モル/リットルのカップラー水溶液を調整した。
【0193】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水酸化ナトリウム80gと水からなる20℃、pH
4.7の緩衝溶液6000gを調整し、攪拌機を有する
攪拌槽に仕込んだ。
【0194】このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に
出口を持つ2本の注入管を通してpH緩衝溶液中に注入
を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポ
ンプにより同じ体積流量(105.5ml/分)で80
分注入し、同時に注入を終了した(供給モル速度比:カ
ップラー成分/テトラゾ成分=約200/92.8)。
【0195】注入の間、液面より採取した反応液からは
テトラゾは検出されなかった。その後、反応系内にテト
ラゾが極僅か認められるまでテトラゾ水溶液のみを注入
した。なお、テトラゾの検出は、β−ナフトールによる
発色反応を用いて行った。
【0196】90℃まで加熱後、濾過、水洗、乾燥、粉
砕し、ジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(発明顔
料4)を得た。
【0197】質量分析計にて測定を行った結果、ジスア
ゾ顔料(式4−A)に相当するm/z=684と、極性
カップリング成分と非極性カップリング成分から成る非
対称型ジスアゾ化合物(式4−B)に相当するm/z=
700にピークを有していたが、極性カップリング成分
と極性カップリング成分から成る対称型ジスアゾ化合物
(式4−C)に相当するm/z=716にピークは有し
ていなかった。
【0198】式4−A
【0199】
【化28】
【0200】式4−B
【0201】
【化29】
【0202】式4−C
【0203】
【化30】
【0204】<合成例4>3−アセトアセチルアミノ安
息香酸33.4部を使用する代わりに2−アセトアセチ
ルアミノ安息香酸33.4部を使用した事、および、ア
セトアセトアニリド26.8部を使用する代わりにアセ
トアセト−m−キシリジド31.0部を使用した事以外
は、合成例1と同様にして、極性カップリング成分と非
極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物
(式4−B)に相当するジスアゾ化合物を含有する水懸
濁液(水懸濁液4)を得た。一部を濾過、水洗、乾燥し
て、質量分析計にて測定を行った結果、極性カップリン
グ成分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジス
アゾ化合物(式4−B)に相当するm/z=700にピ
ークを有しており、他ピークは、小さかった。
【0205】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
4−1>3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3
倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して
常法によりテトラゾ化し、5℃、0.110モル/リッ
トルのテトラゾ水溶液を調整した。一方、アセトアセト
−m−キシリジド410部と水酸化ナトリウム120部
を含む水溶液に溶解し、20℃、0.237モル/リッ
トルのカップラー水溶液を調整した。
【0206】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水酸化ナトリウム80gと水からなる20℃、pH
4.7の緩衝溶液6000gを調整し、攪拌機を有する
攪拌槽に仕込んだ。
【0207】このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に
出口を持つ2本の注入管を通してpH緩衝溶液中に注入
を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポ
ンプにより同じ体積流量(105.5ml/分)で80
分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より
採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。そ
の後、反応系内にテトラゾが極僅か認められるまでテト
ラゾ水溶液のみを注入してジスアゾ顔料懸濁液(A4)
を得た。なお、テトラゾの検出は、β−ナフトールによ
る発色反応を用いて行った。
【0208】一部を濾過、水洗、乾燥して、質量分析計
にて測定を行った結果、ジスアゾ顔料(式4−A)に相
当するm/z=684にピークを有していたが、極性カ
ップリング成分と非極性カップリング成分から成る非対
称型ジスアゾ化合物(式4−B)に相当するm/z=7
00と、極性カップリング成分と極性カップリング成分
から成る対称型ジスアゾ化合物(式4−C)に相当する
m/z=716にピークは有していなかった。
【0209】本顔料は、WO97/31067号公報の
顔料に相当する。
【0210】合成例4で得た極性カップリング成分と非
極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物
(式4−B)に相当するジスアゾ化合物を68部含有す
る水懸濁液(水懸濁液4)を上法により得たジスアゾ顔
料懸濁液(A4)に加えた。
【0211】90℃まで加熱後、濾過、水洗、乾燥、粉
砕し、ジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔
料4−1)を得た。このジスアゾ顔料組成物は、特開昭
63−178169号公報に記載されたジスアゾ顔料組
成物に相当する。
【0212】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
4−2>3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3
倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して
常法によりテトラゾ化し、5℃、0.110モル/リッ
トルのテトラゾ水溶液を調整した。一方、アセトアセト
−m−キシリジド389.5部と2−アセトアセチルア
ミノ安息香酸22.1部を水酸化ナトリウム144部を
含む水溶液に溶解し、20℃、0.237モル/リット
ルのカップラー水溶液を調整した。
【0213】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水からなる20℃の酢酸溶液6000gを調整し、
攪拌機を有する攪拌槽に仕込んだ。
【0214】この酢酸溶液にカップラー水溶液を10
5.5ml/分の流量で80分間注入してカップラーを
沈殿させた。このカップラースラリー中に出口を持つ注
入管をセットし、テトラゾ水溶液を105.5ml/分
の流速で注入を開始した。反応液面でテトラゾが極僅か
認められるまで、約80分かけて注入した。なお、テト
ラゾの検出は、β−ナフトールによる発色反応を用いて
行った。
【0215】90℃まで加熱後、濾過、水洗、乾燥、粉
砕し、ジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔
料4−2)を得た。
【0216】質量分析計にて測定を行った結果、ジスア
ゾ顔料(式4−A)に相当するm/z=684と、極性
カップリング成分と非極性カップリング成分から成る非
対称型ジスアゾ化合物(式4−B)に相当するm/z=
700と、極性カップリング成分と極性カップリング成
分から成る対称型ジスアゾ化合物(式4−C)に相当す
るm/z=716にピークを有していた。ピーク強度比
は、非対称型ジスアゾ化合物(式4−B):対称型ジス
アゾ化合物(式4−C)=90:10であった。
【0217】本顔料組成物は、特公昭55−49087
号公報の顔料組成物に相当する。
【0218】<試験例4>以下の方法により、実施例4
により得られたパウダー顔料組成物(発明顔料4)、比
較例4−1により得られたパウダー顔料組成物(比較顔
料4−1)、比較例4−2により得られたパウダー顔料
組成物(比較顔料4−2)をインキ化した。
【0219】ステンレス容器に50℃に加熱した平版イ
ンキ用途ワニス(大日本インキ化学工業(株)製のロジ
ン変性フェノール樹脂を含有するワニス)300部と、
100部のパウダー顔料組成物を仕込み、ラボミキサー
を使用して混合してミルベースを作製した。ミルベース
を3本ロールを使用して練肉して、ベースインキを作製
した。3本ロール上でベースインキに平版インキ用途ワ
ニス(大日本インキ化学工業(株)製のロジン変性フェ
ノール樹脂を含有するワニス)185部と、軽油15部
を徐々に加え、試験インキを作製した。
【0220】上記方法により作製した各試験インキにつ
いて、透明性と流動性を測定し、その結果を表4にまと
めて示した。
【0221】
【表4】表4
【0222】<実施例5>3,3’−ジクロロベンジジ
ン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナト
リウムを使用して常法によりテトラゾ化し、5℃、0.
145モル/リットルのテトラゾ水溶液を調整した。一
方、アセトアセト−o−トルイジド374.4部と4−
アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸カリウム塩1
1.8部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶
解し、20℃、0.300モル/リットルのカップラー
水溶液を調整した。
【0223】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水酸化ナトリウム80gと水からなる20℃、pH
4.7の緩衝溶液6000gを調整し、攪拌機を有する
攪拌槽に仕込んだ。
【0224】このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に
出口を持つ2本の注入管を通してpH緩衝溶液中に注入
を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポ
ンプにより同じ体積流量(74.1ml/分)で90分
注入し、同時に注入を終了した(供給モル速度比:カッ
プラー成分/テトラゾ成分=約200/96.7)。
【0225】注入の間、液面より採取した反応液からは
テトラゾは検出されなかった。なお、テトラゾの検出
は、β−ナフトールによる発色反応を用いて行った。
【0226】90℃まで加熱後、濾過、水洗、乾燥、粉
砕し、ジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(発明顔
料5)を得た。このパウダー顔料組成物には、ジスアゾ
顔料(式5−A)と、極性カップリング成分と非極性カ
ップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物(式5
−B)が含有されている。
【0227】式5−A
【0228】
【化31】
【0229】式5−B
【0230】
【化32】
【0231】<合成例5>3−アセトアセチルアミノ安
息香酸33.4部を使用する代わりに4−アセトアセチ
ルアミノベンゼンスルホン酸44.6部を使用した事、
および、アセトアセトアニリド26.8部を使用する代
わりにアセトアセト−o−トルイジド28.9部を使用
した事以外は、合成例1と同様にして、極性カップリン
グ成分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジス
アゾ化合物(式5−B)に相当するジスアゾ化合物を含
有する水懸濁液(水懸濁液5)を得た。
【0232】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
5−1>3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3
倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して
常法によりテトラゾ化し、5℃、0.145モル/リッ
トルのテトラゾ水溶液を調整した。一方、アセトアセト
−o−トルイジド382部を水酸化ナトリウム120部
を含む水溶液に溶解し、20℃、0.300モル/リッ
トルのカップラー水溶液を調整した。
【0233】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水酸化ナトリウム80gと水からなる20℃、pH
4.7の緩衝溶液6000gを調整し、攪拌機を有する
攪拌槽に仕込んだ。
【0234】このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に
出口を持つ2本の注入管を通してpH緩衝溶液中に注入
を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポ
ンプにより同じ体積流量(74.1ml/分)で90分
注入し、同時に注入を終了してジスアゾ顔料懸濁液(A
5)を得た。注入の間、液面より採取した反応液からは
テトラゾは検出されなかった。なお、テトラゾの検出
は、β−ナフトールによる発色反応を用いて行った。
【0235】本顔料は、WO97/31067号公報の
顔料に相当する。
【0236】合成例5で得た極性カップリング成分と非
極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物
(式5−B)に相当するジスアゾ化合物を66部含有す
る水懸濁液(水懸濁液5)を上法により得たジスアゾ顔
料懸濁液(A5)に加えた。
【0237】90℃まで加熱後、濾過、水洗、乾燥、粉
砕し、ジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔
料5−1)を得た。このジスアゾ顔料組成物は、特開昭
63−178169号公報に記載されたジスアゾ顔料組
成物に相当する。
【0238】<ジスアゾ顔料組成物の製造方法の比較例
5−2>3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3
倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して
常法によりテトラゾ化し、5℃、0.145モル/リッ
トルのテトラゾ水溶液を調整した。一方、アセトアセト
−o−トルイジド374.4部と4−アセトアセチルア
ミノベンゼンスルホン酸カリウム塩11.8部を水酸化
ナトリウム144部を含む水溶液に溶解し、20℃、
0.300モル/リットルのカップラー水溶液を調整し
た。
【0239】また、酸性水溶液として80%酢酸300
gと水からなる20℃の酢酸溶液6000gを調整し、
攪拌機を有する攪拌槽に仕込んだ。
【0240】この酢酸溶液にカップラー水溶液を74.
1ml/分の流量で90分間注入してカップラーを沈殿
させた。このカップラースラリー中に出口を持つ注入管
をセットし、テトラゾ水溶液を74.1ml/分の流速
で注入を開始した。反応液面でテトラゾが極僅か認めら
れるまで、約90分かけて注入した。なお、テトラゾの
検出は、β−ナフトールによる発色反応を用いて行っ
た。
【0241】90℃まで加熱後、濾過、水洗、乾燥、粉
砕し、ジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔
料5−2)を得た。このパウダー顔料組成物には、ジス
アゾ顔料(式5−A)と、極性カップリング成分と非極
性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物
(式5−B)と、極性カップリング成分と極性カップリ
ング成分から成る対称型ジスアゾ化合物(式5−C)が
含有されている。
【0242】本顔料組成物は、特公昭55−49087
号公報の顔料組成物に相当する。
【0243】式5−C
【0244】
【化33】
【0245】<試験例5>以下の方法により、実施例5
により得られたパウダー顔料組成物(発明顔料5)、比
較例5−1により得られたパウダー顔料組成物(比較顔
料5−1)、比較例5−2により得られたパウダー顔料
組成物(比較顔料5−2)をインキ化した。
【0246】パウダー顔料組成物20部、ニトロセルロ
ースを含有するグラビアインキ用途ビヒクル60部、混
合溶剤(トルエン:酢酸エチル:イソプロピルアルコー
ル=60:20:10)80部、スチールビーズ300
部を容器に入れ、分散機(ペイントコンディショナー)
にて60分練肉後、ポリアミド樹脂を含有するグラビア
インキ用途ビヒクル80部を加えて試験インキを調整し
た。
【0247】上記方法により調整した各試験インキにつ
いて、透明性と流動性を測定し、その結果を表5にまと
めて示した。
【0248】<流動性の評価方法>試験インキの流動性
特性をブルックフィールド型粘度計(B型粘度計)にて
測定する。測定値が小さいものを流動性が高いと判定す
る。なお、実施例で得られたパウダー顔料組成物(発明
顔料)の測定値を100%とした百分率で測定値を表示
した。
【0249】<透明性の評価方法>バ−コ−タ−を用い
て、試験インキをアセテートフィルムに展色する。アセ
テートフィルムの裏側に黒紙を当て、黒紙の見え方を観
察する。
【0250】展色フィルムにより、黒紙が白く見えるも
のを不透明と判断し、目視判定1とする。黒紙が鮮明に
見えるものを透明と判断し、目視判定10とする。
【0251】
【表5】表5
【0252】本発明実施例の顔料組成物はいずれも、前
記ジスアゾ顔料98.0〜72.3重量%と、ジスアゾ
化合物2.0〜27.7重量%とからなっていた。
【0253】 尚、本発明実施例の顔料組成物はいずれ
も、非対称型ジスアゾ化合物/対称型ジスアゾ化合物
(重量比)95/5以上であった。本発明の製造方法に
より得られたジスアゾ顔料組成物を含有する平版イン
キ、およびグラビアインキは、透明性と流動性に優れた
印刷インキである。比較顔料を含有する従来法の平版イ
ンキおよびグラビアインキは、透明性と流動性が劣って
いる印刷インキである事が理解できる。
【0254】
【発明の効果】 本発明の製造方法では、カップラー成
分いずれもが反応系で実質的に析出しない様に、かつ、
未反応のテトラゾ成分が直ちに反応する様に、酸性水溶
液中に並行に注入してカップリング反応を行わせるの
で、理論的にも顔料成分と顔料誘導体成分とが同時に生
成させることが出来る結果、より良好な顔料表面処理が
可能となり、結果的に見ても、極性カップリング成分と
非極性カップリング成分からなる非対称型ジスアゾ化合
物が、従来より多量に含有される様になり、流動性、透
明性の両方において特性上、優れたものとなる。しか
も、それにより得られたジスアゾ顔料組成物は、透明性
と流動性に優れた印刷インキを調製できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭46−2827(JP,A) 特開 昭63−178169(JP,A) 国際公開97/31067(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 67/20 C09B 67/22 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で示されるカップラー成分
    (I)と一般式(II)で示されるカップラー成分(I
    I)を含むカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラ
    ゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、カップラー成分いず
    れもが反応系で実質的に析出しない様に、かつ、未反応
    のテトラゾ成分が直ちに反応する様に、酸性水溶液中に
    並行に注入してカップリング反応させることにより、一
    般式Aで表されるジスアゾ顔料と、少なくとも一般式B
    で表される非対称型ジスアゾ化合物とを同時生成させる
    ジスアゾ顔料組成物の製造方法。一般式(I) 【化6】 (式中、Zは、メチル基、メトキシ基、塩素原子から成
    る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有
    していてもよいフェニル基を示す。)一般式(II) 【化7】(式中、Yは、メチル基、メトキシ基、水酸
    基、塩素原子から成る群から選ばれる同一又は異なる1
    〜4個の置換基を有していてもよいフェニル基であっ
    て、カルボン酸基、スルホン酸基及びこれらのアルカリ
    金属塩からなる群から選ばれる同一又は異なる1〜4個
    の置換基を有するフェニル基を示す。)一般式A 【化8】 (式中、Z1 は、メチル基、メトキシ基、塩素原子から
    成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を
    有していてもよいフェニル基を示す。)一般式B 【化9】 (式中、Z1 は、メチル基、メトキシ基、塩素原子から
    成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を
    有していてもよいフェニル基を示す。式中、Z2は、メ
    チル基、メトキシ基、水酸基、塩素原子から成る群から
    選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有していて
    もよいフェニル基であって、カルボン酸基、スルホン酸
    基及びこれらのアルカリ金属塩からなる群から選ばれる
    同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を
    示す。)
  2. 【請求項2】 カップラー成分が、前記カップラー成分
    (I)と前記カップラー成分(II)の合計を100モ
    ル%とした時、前記カップラー成分(I)85〜99モ
    ル%と前記カップラー成分(II)1〜15モル%とか
    らなるカップラーである請求項1記載のジスアゾ顔料組
    成物の製造方法。
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