JP2006028341A - ジスアゾ顔料の製造方法及びジスアゾ顔料 - Google Patents

ジスアゾ顔料の製造方法及びジスアゾ顔料 Download PDF

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一禎 高宮城
Masato Yanagi
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輝紀 和田
Masahiko Asami
政彦 浅見
Tomohiko Sukai
友彦 須貝
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Abstract

【課題】 ジスアゾ顔料の製造方法における顔料収率の向上と、着色力や鮮明性並びに芳香族アミン減少による環境負荷を低減させたジスアゾ顔料を提供すること。
【解決手段】 バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、下記一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、注入してカップリング反応させる工程において、撹拌所要動力が1.0〜17.0kW/mであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法。
一般式(I)
CHCOCHCONH−X(式中Xは、水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、黄色顔料として広く使用されているジスアゾ顔料の製造方法である。さらにはインキ、塗料、プラスチック着色剤、捺染、カラートナーやその他の色材に鮮明性、流動性、着色力を与えるジスアゾ顔料の高収率な製造方法に関する。
ジスアゾ顔料はインキ、塗料、プラスチック着色剤、捺染、カラートナー等に広く使用されている有用な黄色系顔料である。これは、ベンジジン類のテトラゾ化物(以下、「テトラゾ成分」または単に「テトラゾ」と記す)と、アニライド誘導体等のカップラー成分とをカップリング反応させることにより得られる。カップリング反応は、カップラー粒子を分散させた弱酸性の水性スラリー中にテトラゾ水溶液を注入することで行われる。
テトラゾは化学的に不安定であり、容易に分解、縮合する。これは特にアルカリ側で激しく、直ちに分解する。強酸性下ではかなり安定であるが、この領域ではカップリング反応は殆ど進行しない。このためカップリングは弱酸性下で、かつ、注入したテトラゾが直ちにすべてカップラーと反応するような条件下で行わなければならない。
一方、カップラーはアルカリ側では良く溶解するものの、カップリング反応が行われる弱酸性下での溶解性はかなり悪く、大部分は固体として存在する。
従って、カップリング反応はカップラー粒子を分散させた弱酸性の水性スラリー中にテトラゾ水溶液を注入する固液反応として行われる。この時、カップラー粒子の溶解速度よりもカップリング速度の方が早いため生成した顔料によって固体のカップラーが未反応のまま顔料中に取り込まれてしまい、顔料の収率低下あるいは着色力や鮮明性などの諸特性低下の要因となっていた。
また、未反応のまま生成顔料中に残存したカップラーが分解して芳香族アミンとなり環境上大きな問題にもなっていた。
これらを解決する手段として、酸性緩衝液中にカップラー成分とテトラゾ成分とを溶液状態で並行的に注入しカップリングさせる技術が開示されている(特許文献1参照)。これは従来の固液反応から液液反応にすることによってカップラーの反応性を高めようとするものである。しかし反応の進行に伴い塩濃度が上昇することによってカップラーの溶解度が低下し、反応中期から後期にはカップラー粒子が析出してくる。その結果、最終的には固液反応に近づくため、固液反応に起因する前述の種々の問題を充分には解決できなかった。
国際公開第97/31067号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、顔料収率の向上と、着色力や鮮明性に優れた顔料を得ること、また顔料からの芳香族アミンの発生を減少させて環境負荷低減に繋げることである。
本発明者等は、前記課題の解決方法を開発すべく鋭意研究した結果、液液反応進行中に析出するカップラー成分と生成顔料との混合物の凝集粒径を小さくし、新界面を露出させるとカップリング反応性が向上することを見出し、本発明に至った。
更に詳しく述べるならば、カップリング反応工程において、特定範囲の撹拌所要動力またはシェアレートで撹拌することによって反応性を向上させられることを見出した。
すなわち、本発明の第1の発明は、バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
下記一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
注入してカップリング反応させる工程において、
撹拌所要動力が1〜17kW/mであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法である。
一般式(I)
CHCOCHCONH−X
(式中Xは、水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を示す。)
第2の発明は、バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
下記一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
注入してカップリング反応させる工程において、
撹拌翼先端のシェアレートが1〜300 1/secであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法である。
一般式(I)
CHCOCHCONH−X
(式中Xは、水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を示す。)
第3の発明は、バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
下記一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
注入してカップリング反応させる工程において、
撹拌所要動力が1〜17kW/m、かつ撹拌翼先端のシェアレートが1〜300 1/secであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法である。
一般式(I)
CHCOCHCONH−X
(式中Xは、水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を示す。)
第4の発明は、第1〜第3の発明いずれか記載のジスアゾ顔料の製造方法により得られるジスアゾ顔料である。
本発明は、バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
注入してカップリング反応させる工程において、
撹拌所要動力が1〜17kW/mであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法なので、
液液反応の反応中期から後期にかけて析出するカップラー成分と生成顔料との混合物の凝集粒径を小さくし、新界面(未反応の残存カップラー)を露出させることによってカップリング反応性を向上させ高収率を得ることが出来る。
また、本発明は、バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
注入してカップリング反応させる工程において、
撹拌翼先端のシェアレートが1〜300 1/secであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法なので、
液液反応の反応中期から後期にかけて析出するカップラー成分と生成顔料との混合物の凝集粒径を小さくし、新界面(未反応の残存カップラー)を露出させることによってカップリング反応性を向上させ高収率を得ることが出来る。
また、本発明は、バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
注入してカップリング反応させる工程において、
撹拌所要動力が1〜17kW/m、かつ撹拌翼先端のシェアレートが1〜300 1/secであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法なので、
液液反応の反応中期から後期にかけて析出するカップラー成分と生成顔料との混合物の凝集粒径を更に小さくし、新界面(未反応の残存カップラー)を露出させることによって更にカップリング反応性を向上させ高収率を得ることが出来る。
本発明のジスアゾ顔料は、上記いずれか記載の製造方法により得られるので、2次粒子径が単分散化される。よって、カップリング反応が良好に行われるため顔料が高収率で得られる。また、得られた顔料はインキ、塗料、プラスチック着色剤、捺染、カラートナーやその他の色材用の顔料として鮮明性、流動性、着色力などの適性に優れた特性を有する。更に顔料粒子中の未反応カップラー量が減少できるため、これに由来した芳香族アミンの発生が減少し環境負荷低減に貢献できる。
本発明の製造方法においては、ジスアゾ顔料は、酸性緩衝液中にカップラー成分とテトラゾ成分とを並行して注入し、酸性緩衝液中でカップラー成分とテトラゾ成分とをカップリングさせることにより製造される。
本発明で使用される酸性緩衝液は、従来のカップリング反応で使用される公知の酸性水溶液である。例えば酢酸−酢酸ナトリウム系やギ酸−ギ酸ナトリウム系等の緩衝性水溶液が挙げられる。
本発明で使用される酸性緩衝液は、カップリング反応系をpH3〜6.5の範囲、好ましくはpH4〜5.8に保つことができれば良い。上記pH領域の保持は、テトラゾの分解や縮合などの副反応を最小化するために必要であり、反応開始から終了時まで上記pHの範囲に維持することが好ましい。
本発明で使用されるベンジジン類のテトラゾ成分とは、3,3´−ジクロロベンジジン、2,2´,5,5´−テトラクロロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、3,3´−ジスルホベンジジン等のベンジジン類を公知の方法でテトラゾ化して得られ、酸性水溶液として調製される。
本発明で使用されるカップラー成分とは、下記一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン(CN)、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン(C−CO−CH)から選ばれるものである。カップラー成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。
一般式(I)
CHCOCHCONH−X
(式中Xは、水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を示す。)
アルカリ金属塩としては、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カリウム等が挙げられる。
一般式(I)で示されるアニライド誘導体の具体例としては、アセトアセトアニライド、アセトアセト−m−キシリジド、アセトアセト−o−トリイジド、アセトアセト−o−アニシジド、アセトアセト−p−トリイジド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニライド、アセトアセト−2,5−ジメトキシアニライド、アセトアセト−2,4−ジメトキシアニライド、アセトアセト−o−クロロアニライド、アセトアセト−p−アニシジド、アセトアセト−p−フェネチダイド等が挙げられる。
カップラー成分は、水酸化ナトリウム等の溶液に溶解してアルカリ性水溶液として調製される。
上記カップラー成分のうちアセトアセトアニライド、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン等がより好ましく使用される。
本発明でいうカップリング反応とは、テトラゾ成分とカップラー成分を酸性緩衝液に注入開始してから終了するまでの工程をいう。上記2成分の注入終了時が異なる場合は、遅い方の注入終了までの工程をいう。
カップリング反応は、あらかじめ反応器に酸性緩衝液を注入しておき、その酸性緩衝液中へテトラゾ水溶液とカップラー水溶液を、別々の注入管を通して、並行して連続的に注入する。
テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とが直接に接触すると、カップラーの析出が起きて固体となり、従来と同じ固液のカップリング反応となるため反応性が低下し、また副反応や生成顔料の色相の汚れが生じ易い。これを避けるため、酸性緩衝液を満たしたバッチ式撹拌槽を備える反応器では、注入管出口を互いに離した位置に設け、十分な撹拌を行い、確実にテトラゾとカップラー成分とが酸性緩衝液中で反応するようにすることが必要である。また、酸性緩衝液を反応器より抜き出して外部循環させ、この循環ラインのそれぞれにテトラゾ水溶液とカップラー水溶液とを、あるいは、一方を循環ラインに他方を反応器へ注入するようにしても良い。
カップラーとテトラゾの反応比率は、カップラー成分とテトラゾとのモル比(「カップラー成分」:「テトラゾ」)が2:0.8〜0.99が好ましい。カップリング反応中のテトラゾとカップラーの化学反応量を上記比率とするための注入比の制御は、両液の濃度調整および流量調整によって行うことができ、これらの調整は公知の一般的な方法で行うことができる。
以上のように、テトラゾとカップラー成分とを上記のモル比で並行注入すると、注入終了時点で反応系内にはテトラゾは全く存在していないが、反応可能なカップラー成分が少し残っている状態になっている。そこで、並行注入終了後、テトラゾのみを追加注入して、完全にカップラー成分と反応させ、更にカップリング反応率を高めることもできる。
テトラゾの供給量はカップラーの供給量を越えないことが好ましい。こうすることで、テトラゾは酸性緩衝液に注入後、直ちに事実上全てがカップラー成分と反応し、未反応のテトラゾが反応系内に残存しないようになる。その結果、テトラゾの分解や縮合による副反応も防止させる。この注入比は、反応の全期間を通じて一定に保つ必要はなく、注入の進行につれて変化させてもよい。また、カップラー水溶液の注入開始をテトラゾ水溶液の注入に先行させてもよい。
流量比の制御は、定量ポンプによる方法や流量を検出してのフィードバック制御等の他に、反応系中の溶解したカップラー濃度を検出して制御もできる。また、溶解したカップラー濃度を検出して両液の流量を制御する方法は、原料溶液の細かな濃度調整が省略でき、またより高反応率を得ることができる。酸性緩衝液中に溶解したカップラーの濃度は、例えば、液体クロマトグラフィー分析、紫外部吸光度やカップリングによる発色等により求めることができる。
また、酸性緩衝液中へのカップラー水溶液およびテトラゾ水溶液の注入速度は、酸性緩衝液中でカップラー成分が析出しないような範囲で決められる。カップラー成分が析出しないような範囲は、酸性緩衝液の種類やpH、量や撹拌状態、注入する位置など種々の条件によって変化するものであり、注入量は製造に要する時間や製造工程なども考慮して総合的に決定される。すなわち、酸性緩衝液に対するカップラー水溶液の注入量が少なくなればなるほど、カップラー成分の析出はなくなるが、反応系内の濃度が薄くなるため顔料の製造に時間がかかるようになる。そこで、それぞれの経済性や作業性を考慮したうえでカップラー成分が析出しない範囲を決めればよい。
カップリング中の温度やpHの値などの反応条件およびこの制御法は、従来のカップリング反応での公知の条件値および制御法から選択され、本発明での制約はない。pHや温度を時間あるいは注入量と共に変化させても、あるいは終始一定に保っても構わない。なお、本発明では酸性緩衝液中にテトラゾとカップラーのアルカリ水溶液が並行して注入されるので、これらの水溶液中の酸とアルカリとが中和されるようにそれぞれの溶液や流量の調整を行うことにより、初期のpHを最後まで保った状態でカップリング反応を行うことが容易となる。
カップリング反応工程における単位体積当りの撹拌所要動力は1〜17kW/mであることが必要である。より好ましくは1〜8kW/mである。
本発明でいう撹拌所要動力とは、撹拌機が内容物に対し与えたエネルギーをその内容物の体積で除したものであり、化学工学的に撹拌の強弱を示す指標である。
撹拌所要動力が1kW/m未満では、カップリング反応に伴って析出されるカップラー成分と生成顔料との混合物の凝集粒径を小さくし、新界面を露出できないため、カップリング反応が効率良く行われない。
また、撹拌所要動力が17kW/mを超えても、上記混合物の凝集粒径を小さくできないため、エネルギー効率やコスト面からも好ましくない。
または、カップリング反応工程における撹拌翼先端のシェアレートは1〜300 1/secであることが必要である。より好ましくは1〜100 1/secであり、特に好ましくは1〜50 1/secである。
撹拌翼先端のシェアレートが1 1/sec未満では、カップリング反応に伴って析出されるカップラー成分と顔料との混合物の凝集粒径を小さくできず新界面が露出されないため、カップリング反応が良好に行われない。
また、撹拌翼先端のシェアレートが300 1/secを超えても、上記混合物の凝集粒径を小さくできないため、エネルギー効率やコスト面からも好ましくない。
更に本発明においては、カップリング反応工程において、バッチ式撹拌槽内のカップリング反応液における単位体積当りの撹拌所要動力が1〜17kW/m、かつ撹拌翼先端のシェアレートが1〜300 1/secの条件を満たすことが好ましく、顔料収率がより向上すると共に、着色力や鮮明性に優れた顔料が得られる。
より好ましくは単位体積当りの撹拌所要動力が1〜8kW/m、かつ撹拌翼先端のシェアレートが1〜100 1/secであり、最も好ましくは単位体積当りの撹拌所要動力が1〜8kW/m、かつ撹拌翼先端のシェアレートが1〜50 1/secである。
尚、本発明におけるバッチ式撹拌槽内のカップリング反応液における単位体積当りの撹拌所要動力や撹拌翼先端のシェアレートの条件は、撹拌槽の大小に関わらず適用可能である。
尚、本発明におけるバッチ式撹拌槽内で撹拌するために使用される撹拌翼は、槽内全体に流動を起こすことが出来るものならば何れの形状でも構わない。例えば住友重機械工業(株)製のマックスブレンド、神鋼パンテック(株)製のフルゾーン、三菱重工業(株)製のサンメラー、佐竹化学機械工業(株)製のスーパーミックス、綜研化学(株)製のHi−Fミキサー、八光産業(株)製のベンドリーフ等が挙げられる。
撹拌槽は、所望する仕込み量や仕上がり量に対して、カップリング反応工程が適切に行われるために通常の技術常識範囲内で必要とされる大きさが適宜選択される。
このようにして得られた酸性緩衝液中のジスアゾ顔料は連続的に固液分離することにより反応系から取り出すことも、また反応を終了させた後、バッチ式に固液分離を行い反応系から回収することもできる。また、得られたジスアゾ顔料の顔料特性を向上させるため、ロジン処理など一連の処理を行い、顔料を製造することもできる。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。実施例において「部」はすべて重量部、「%」はすべて重量%を示す。
[実施例1]
3,3´ジクロロベンジジン163部を用いて常法に従ってテトラゾ溶液を得た。一方、アセトアセトアニライド220部とアニリン2部を用いて常法に従ってカップラーのアルカリ性溶液を得た。
また、80%酢酸130部と25%水酸化ナトリウム水溶液141部と水とからなる25℃、pH4.7の酸性緩衝溶液1692部を調製し、バッチ式撹拌槽に仕込んだ。撹拌翼は住友重機械工業(株)製のマックスブレンド翼を用いた。
この撹拌槽の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、酸性緩衝液を撹拌しながらテトラゾ溶液とカップラー溶液をそれぞれの管を通して酸性緩衝液中に注入した。これら2つの溶液は同時に注入を開始し、カップリング反応中のテトラゾとカップラーの化学反応量が2:0.8〜0.99の範囲内になるように定量ポンプで一定の流量で連続的に注入し、同時に注入を終了し、カップリング反応終了とした。
カップリング反応工程(テトラゾ溶液とカップラー溶液の注入開始から終了まで)における撹拌所要動力は1.46kW/mであった。
次いで常法に従ってロジンソープ13部を加え処理した後、顔料1を得た。
[実施例2]
3,3´ジクロロベンジジン163部を用いて常法に従ってテトラゾ溶液を得た。一方、アセトアセトアニライド220部とアニリン2部を用いて常法に従ってカップラーのアルカリ性溶液を得た。
また、80%酢酸130部と25%水酸化ナトリウム水溶液141部と水とからなる25℃、pH4.7の酸性緩衝溶液1692部を調製し、バッチ式撹拌槽に仕込んだ。撹拌翼は住友重機械工業(株)製のマックスブレンド翼を用いた。
この撹拌槽の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、酸性緩衝液を撹拌しながらテトラゾ溶液とカップラー溶液をそれぞれの管を通して酸性緩衝液中に注入した。これら2つの溶液は同時に注入を開始し、カップリング反応中のテトラゾとカップラーの化学反応量が2:0.8〜0.99の範囲内になるように定量ポンプで一定の流量で連続的に注入し、同時に注入を終了し、カップリング反応終了とした。
カップリング反応工程(テトラゾ溶液とカップラー溶液の注入開始から終了まで)の際の撹拌翼先端におけるシェアレートは3.56 1/secであった。
次いで常法に従ってロジンソープ13部を加え処理した後、顔料2を得た。
[実施例3]
3,3´ジクロロベンジジン163部を用いて常法に従ってテトラゾ溶液を得た。一方、アセトアセトアニライド217部、アニリン3部、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン1部を用いて常法に従ってカップラーのアルカリ性溶液を得た。
また、80%酢酸130部と25%水酸化ナトリウム水溶液141部と水とからなる25℃、pH4.7の酸性緩衝溶液1692部を調製し、バッチ式撹拌槽に仕込んだ。撹拌翼は住友重機械工業(株)製のマックスブレンド翼を用いた。
この撹拌槽の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、酸性緩衝液を撹拌しながらテトラゾ溶液とカップラー溶液をそれぞれの管を通して酸性緩衝液中に注入した。
これら2つの溶液は同時に注入を開始し、カップリング反応中のテトラゾとカップラーの化学反応量が2:0.8〜0.99の範囲内になるように定量ポンプで一定の流量で連続的に注入し、同時に注入を終了し、カップリング反応終了とした。
カップリング反応工程(テトラゾ溶液とカップラー溶液の注入開始から終了まで)の際の撹拌所要動力は2.32kW/m、撹拌翼先端におけるシェアレートは8.37 1/secであった。
次いで常法に従ってロジンソープ13部を加え処理した後、顔料3を得た。
[比較例1]
撹拌所要動力0.01kW/m、撹拌翼先端におけるシェアレート0.96 1/secである以外は実施例1と同じ条件で顔料4を得た。
(評価)
1.カップリング反応率
実施例1〜3及び比較例1で得られた顔料1〜4におけるの未反応の残存カップラー量を液体クロマトグラフィー分析した。仕込んだカップラー量とクロマトグラフィー分析で得られた残存カップラー量の値からカップリング反応した量を導いてカップリング反応率とし、表1にまとめた。
実施例における値は比較例のそれよりも高い。これは生成顔料中の残存カップラー量が少なく、結果的に顔料の収率が向上していることを示す。
Figure 2006028341
2.試験インキの製造
実施例1〜3及び比較例1で得られた顔料1〜4を濾過・精製・脱水してウェットケーキを得た。このケーキ中の固形分80部に対し油性ワニス272部を加え、ニーダーを用いて90℃でフラッシングを行った。脱水後、油性ワニス295部、溶剤44部を加え、フラッシングベースを作製した。
フラッシングベースを3本ロールにて練肉した後、平版インキ用ワニス352部と溶剤116部を加え、タックが6.0になるよう調整を行い、顔料濃度7%の試験インキを作製した。
3.インキの鮮明性
一定量の試験インキを厚さ0.1mmのPET製フィルムに挟み、測色色差計(商品名 ZE−2000日本電色工業(株)製)を用いて測定し、結果を表2に示した。ここでL*C*h表色系に於ける彩度C*値が大きいほど鮮明性が高いことを表わす。比較例1に比べ実施例1〜3は何れもC*値が大きく鮮明性に優れることがわかる。
Figure 2006028341
4.インキの流動性
一定量の試験インキをガラス板の上部に載せて1時間静置した後、傾斜角度70°に傾け、インキが10分間に流れた距離を測定した。比較例1で得られた値を100%とし、百分率で表3に示した。この距離が大きいインキほど流動性が高いと判断し流動性の指標とした。比較例1に比べて実施例1〜3は何れも流動性に優れることがわかる。
Figure 2006028341
本発明のジスアゾ顔料の製造方法は顔料収率が高いため生産コストが抑制できるので、優れた特性の顔料を低価格で提供できる。

Claims (4)

  1. バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
    下記一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
    ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
    注入してカップリング反応させる工程において、
    撹拌所要動力が1〜17kW/mであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法。
    一般式(I)
    CHCOCHCONH−X
    (式中Xは、水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を示す。)
  2. バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
    下記一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
    ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
    注入してカップリング反応させる工程において、
    撹拌翼先端のシェアレートが1〜300 1/secであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法。
    一般式(I)
    CHCOCHCONH−X
    (式中Xは、水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を示す。)
  3. バッチ式撹拌槽内の酸性緩衝液中に、
    下記一般式(I)で示されるアニライド誘導体、アニリン、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロンから選ばれるカップラー成分を含むカップラー水溶液と、
    ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、
    注入してカップリング反応させる工程において、
    撹拌所要動力が1〜17kW/m、かつ撹拌翼先端のシェアレートが1〜300 1/secであることを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法。
    一般式(I)
    CHCOCHCONH−X
    (式中Xは、水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、塩素原子、カルボン酸基、スルホン酸基、アルカリ金属塩、アミノ基、アミド基、アセトアセチルアミノ基から成る群から選ばれる同一又は異なる1〜4個の置換基を有するフェニル基を示す。)
  4. 請求項1〜3いずれか記載のジスアゾ顔料の製造方法により得られるジスアゾ顔料。
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