JP3885503B2 - ジスアゾ顔料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジスアゾ顔料の製造方法、該製造方法で得られるジスアゾ顔料及び印刷インキに関する。詳しくは透明性と流動性及び非乾燥状態で引き続くインキ化する場合のフラッシング性及びフラッシング排水着色耐性に優れた印刷インキを調製できる、または乾燥状態で引き続くインキ化する場合の分散性に優れた印刷インキを調整できるジスアゾ顔料の製造方法、透明性と流動性及び非乾燥状態で引き続くインキ化する場合のフラッシング性及びフラッシング排水着色耐性に優れ、または乾燥状態で引き続くインキ化する場合の分散性に優れた印刷インキを調製できるジスアゾ顔料、透明性と流動性に優れた印刷インキ、に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的なプロセス出版のオフセットインキは、顔料の水性ウエットケーキをインキ用ビヒクルないしは溶剤とフラッシングによって相転換を行ってインキ化する方法と、水性ウエットケーキの乾燥物を強力な剪断力によってインキ用ビヒクルに分散することによって得られている。
しかし、前者の方法は顔料の水性ウエットケーキ自身の安定性に欠ける性質や、フラッシング性が悪いことによって長時間受ける熱によって不透明化、濃度低下等の品質に対する影響が大きく安定した品質が得られにくかった。また、フラッシング時に排出される排水に微量のジスアゾ顔料分が混合し着色する問題があった。
【0003】
そこでこれら品質に対する影響の少ない後者の方法が永続的に継承されているが、水性ウエットケーキ顔料の乾燥物をインキ化したものは乾燥しなかったものからインキ化したものに比較して透明性、流動性、濃度の点で著しく劣っている。ジスアゾ顔料の場合、これら乾燥物からのインキ化物と非乾燥物からのインキ化物の品質の差は、もっぱら乾燥時の熱により著しく結晶が成長してしまうことによって引き起こされている。
【0004】
この結晶成長による品質の低下を解決する手段として二成分の同時カップリングによる解決手段が知られている。たとえば特公昭55−10630号公報ではアセトアセトアニリドとそのフェニル基に極性基を持つものとの混合カップリングする方法が、また、特開平1−110578号公報ではアセトアセトアニリド、アセトアセトオルソアニシジド、アセトアセトオルソトルイジド、アセトアセトオルソクロロアニリド、アセトアセト−2,4−キシリジド、及びアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニリドから選ばれる2種類またはそれ以上の混合物をカップリングさせる方法が開示されている。しかし、これらのいずれの方法も生成したジスアゾ顔料の乾燥物のインキ化物の品質は透明性、流動性、濃度の点でウエットケーキからのインキ化物に対して著しく劣っていた。
【0005】
一方、ウエットケーキからのインキ化物の品質向上に対しても永続的に検討がなされてきた。例えば、透明性および流動性を改良する方法として特公昭45−11026号公報では、ジスアゾ顔料にそれらのスルホン酸化合物を混合する方法が、特公昭55−49087号公報では、カップリング成分としてカルボン酸基及び/またはスルホン酸基を有する極性カップリング成分と非極性カップリング成分との混合物を使用して成るジスアゾ顔料を用いる方法が、特開昭63−72762号公報、特開昭63−178169号公報では、極性カップリング成分と非極性カップリング成分から成る非対称型ジスアゾ化合物を含有するジスアゾ顔料組成物を用いる方法が開示されている。なかでも、特公昭55−49087号公報のジスアゾ顔料が印刷インキの透明性を改良する効果が大きいこと、特開昭63−178169号公報で開示されたジスアゾ顔料組成物が印刷インキの流動性を改良する効果が大きいことが開示されている。
【0006】
登録第2682749号特許掲載公報ではアセト酢酸−m−キシリダイド2〜40モル%、アセト酢酸−o−トルイダイド97.9〜60モル%および2−アセトアセトアミノ安息香酸0.1〜10モル%をカップラー成分としてジスアゾ顔料を製造する例が開示されているが、これらの極性カップラー成分は水に対して溶解性を示すため、フラッシングが極端に遅くなり結果として長時間の熱履歴によって結晶が成長してしまったり、色相が変化したり不透明化することが知られていた。
【0007】
また、透明性を改良する方法としては、登録第2943996号特許掲載公報に非極性カップリング成分とベンジジン類のテトラゾ成分とのカップリング方法にが開示されており、極性基を有するカップラー成分を使用することなく透明性を改良する効果が大きいことが示されているが、インキとしての性能は不十分であった。
【0008】
又、乾燥顔料の分散や非乾燥顔料のフラッシング時に関する問題点の解決手段として、ロジン類や印刷インキ用ビヒクルで顔料組成物の表面を被覆して諸耐性や適性を付与する手段が古くから検討されているが、被覆前の顔料組成物の基本性能が低い場合に、被覆物にこれを補えるほどの効果はない。例えば特開平1−146962号公報には有機顔料に樹脂、ロジン、樹脂酸アルミニウム、ロジン酸アルミニウム、及びそれらの混合物をから成る群から選ばれる分散助剤を表面処理する方法が示されているが、この分散助剤の使用量が有機顔料に対して50〜100モル%と非常に多く色素等量当たりで考慮すれば発色性の向上に寄与するが、通常の顔料組成物としては分散助剤によって希釈されており、分散性が向上したとは言い難い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、(1)透明性と流動性、非乾燥状態で引き続くインキ化する場合のフラッシング性とフラッシング排水着色耐性に優れた、または乾燥状態で引き続くインキ化した場合の分散性に優れた印刷インキを調整できるジスアゾ顔料の製造方法、(2)透明性と流動性、非乾燥状態で引き続くインキ化した場合にフラッシング性とフラッシング排水着色耐性に優れた、または乾燥状態で引き続くインキ化した場合に分散性に優れた印刷インキを調整できるジスアゾ顔料、および(3)透明性と流動性に優れた印刷インキを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カップラー成分を含むカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、上記カップラー成分が反応系で実質的に析出しないように、かつ上記テトラゾ成分が直ちに反応するように、酸性水溶液中に同時に注入してカップリング反応をさせるジスアゾ顔料の製造方法において、上記カップラー成分として、一般式(1)で示されるカップラー成分を主成分とし、一般式(2)で示されるカップラー成分と一般式(3)で示されるカップラー成分を併用することを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法。
一般式(1)
CH3COCH2CONH-X
(式中、Xはメチル基、メトキシ基および塩素原子から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
一般式(2)
CH3COCH2CONH-Y
(式中、Yはメチル基、メトキシ基、塩素原子、−CONR2基、−SO2NR2基および−NHCOR基から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有するフェニル基であって、該フェニル基は−CONR2基、−SO2NR2基または−NHCOR基の少なくとも1種で置換されているフェニル基を表す。ただし、Rは同一でも互いに異なっていても良く、水素原子、C1〜C4アルキル基(該アルキル基は互いに結合して環を形成しても良い。)またはC1〜C4アルキレンNR’2 基を表し、R’は水素原子または互いに異なっていても良いC1〜C4アルキル基(該アルキル基は互いに結合して環を形成しても良い。)を表す。)
一般式(3)
CH3COCH2CONH-Z
(式中、Zはメチル基、メトキシ基、塩素原子、カルボン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、水酸基およびスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有するフェニル基であって、該フェニル基はカルボン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、水酸基またはスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩の少なくとも1種で置換されているフェニル基を表す。)
【0011】
更に本発明は、 一般式(1)で示されるカップラー成分に対する一般式(2)で示されるカップラー成分と一般式(3)で示されるカップラー成分との合計が、モル比で99〜70:1〜30であることを特徴とする上記ジスアゾ顔料の製造方法に関する。
【0012】
更に本発明は、一般式(2)で示されるカップラー成分と一般式(3)で示されるカップラー成分がモル比で1:9〜9:1であることを特徴とする上記ジスアゾ顔料の製造方法に関する。
【0013】
カップラー水溶液とテトラゾ水溶液とを、バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中にカップラー成分の合計供給モル速度とテトラゾ成分の供給モル速度との比が、200:80〜200:99となるように連続的に注入してカップリング反応をさせることを特徴とする上記ジスアゾ顔料の製造方法に関する。
【0014】
更に本発明は、ジスアゾ顔料を水スラリーとし、水溶性無機塩を添加することを特徴とする上記ジスアゾ顔料の製造方法に関する。
【0015】
更に本発明は、ロジン類あるいは印刷インキ用ビヒクルでジスアゾ顔料を表面処理することを特徴とする上記ジスアゾ顔料の製造方法に関する。
【0016】
更に本発明は、上記の製造方法により得られるジスアゾ顔料に関する。
【0017】
上記ジスアゾ顔料と印刷インキ用ビヒクルとからなる印刷インキ組成物に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明で一般式(1)で示されるカップラー成分は、ベンジジン類のテトラゾ成分とカップリングせしめて黄色化合物となし得る一般的なカップラー成分であって、特に限定されるものではない。例えば、アセトアセトアニリド、アセトアセト−o−トルイジド、アセトアセト−p−トルイジド、アセトアセト−o−キシリダイド、アセトアセト−m−キシリダイド、アセトアセト−p−キシリダイド、アセトアセト−o−キシリダイド、アセトアセト−o−メトキシアニライド、アセトアセト−m−メトキシアニライド、アセトアセト−p−メトキシアニライド、アセトアセト−2,4−ジメトキシアニライド、アセトアセト−2,5−ジメトキシアニライド、アセトアセト−2,3−ジメトキシ−4−クロロアニライド、アセトアセト−2,3−ジメトキシ−5−クロロアニライド、アセトアセト−2,4−ジメトキシ−5−クロロアニライド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−3−クロロアニライド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−クロロアニライド、アセトアセト−o−クロロアニライド、アセトアセト−p−クロロアニライドなどがある。
【0019】
本発明において一般式(2)のカップラー成分中のフェニル基の置換基である−CONR2基は、一般的にはカルボンアミド基類あるいはアルキルカルバモイル基類と称されるものである。ここでRは同一でも互いに異なっていても良く、水素原子、C1〜C4アルキル基またはC1〜C4アルキレンNR’2 を表し、R’は水素原子または互いに異なっていても良いC1〜C4アルキル基を示す。又、R、R’のアルキル基は、同じ窒素原子に結合する2個のアルキル基が結合して環を形成しても良い。
一般式(2)のカップラー成分中のフェニル基の置換基である−SO2NR2基は、一般的にはスルホンアミド基類あるいはアルキルスルファモイル基類と称されるものである。ここで、Rは上記と同じ意味を表す。
一般式(2)のカップラー成分中のフェニル基の置換基である−NHCOR基は、一般的にはアルカノイルアミノ基類と称されるものである。ここで、Rは上記と同じ意味を表す。
さらに詳しくは、本発明において一般式(2)で示される非極性カップラー成分として、例えば、アセトアセト−o−カルバモイルアニリド、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド、アセトアセト−m−メチルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−p−エチルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−p−ジメチルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−m−ジエチルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−m−ジブチルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−m−ジメチルアミノメチルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−p−ジメチルアミノエチルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−p−ジメチルアミノプロピルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−p−ジエチルアミノプロピルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−m−ジプロピルアミノメチルアミノカルボキシアニリド、アセトアセト−p−スルファモイルアニリド、アセトアセト−p−メチルアミノスルフォニルアニリド、アセトアセト−p−プロピルアミノスルフォニルアニリド、アセトアセト−p−ジエチルアミノスルフォニルアニリド、アセトアセト−p−ジメチルアミノメチルアミノスルフォニルアニリド、アセトアセト−p−ジメチルアミノプロピルアミノスルフォニルアニリド、アセトアセト−2−メチル−5−カルバモイルアニリド、アセトアセト−p−メチルカルバモイルアニリド、アセトアセト−2,5−ジメチル−4−カルバモイルアニリド、アセトアセト−2−メトキシ−4−カルバモイルアニリド、アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4−カルバモイルアニリド、アセトアセト−2−クロロ−4−カルバモイルアニリド、アセトアセト−p−アセトアミドアニリド、アセトアセト−2−クロロ−4−アセトアミドアニリド、アセトアセト−2−メトキシ−4−アセトアミドアニリドなどがある。
【0020】
本発明において一般式(3)で示されるカップラー成分は、一般式(1)で示されるカップラー成分の末端フェニル基が、カルボン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、水酸基またはスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩の少なくとも1種で置換されることで極性アセトアニリド系化合物となっているフェニル基であり、さらにこのフェニル基はメチル基、メトキシ基、塩素原子、カルボン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、水酸基およびスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有している化合物である。さらに詳しくは、以下の例示化合物がある。4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸、4−アセトアセチルアミノ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ−3−クロロ−4−メチルベンゼンスルホン酸、4−アセトアセチルアミノ−3−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ−5−メトキシ−4−メチルベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ−3,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、2−アセトアセチルアミノ安息香酸、2−アセトアセチルアミノ−4−クロロ安息香酸、2−アセトアセチルアミノテレフタル酸、3−アセトアセチルアミノ−6−ヒドロキシ安息香酸、3−アセトアセチルアミノ−6−メトキシ安息香酸、2−アセトアセチルアミノフェノール、等及びこれらのアルカリ金属塩がある。
【0021】
本発明で使用されるカップラー成分の水溶液は、非極性カップラー成分である一般式(1)の化合物と一般式(2)の化合物、及び極性カップラー成分である一般式(3)の化合物とを含む。このカップラー成分の水溶液は、アルカリ溶液であることが好ましく、すべてのカップラー成分を溶解しるアルカリ溶液とする。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。
【0022】
本発明で使用されるベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液は、ベンジジン類を公知の方法でテトラゾ化して得られる物を含む。ベンジジン類としては、例えば、3,3’−ジクロロロベンジジン、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン等が挙げられる。ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液は、酸性水溶液が好ましく、特に塩酸酸性水溶液が好ましく使用される。上記カップラー成分の水溶液がアルカリ溶液で、テトラゾ成分の水溶液が酸性溶液である組み合わせが好ましい。
【0023】
本発明において、一般式(1)で示されるカップラー成分に対する一般式(2)で示されるカップラー成分と一般式(3)で示されるカップラー成分との合計が、モル比で99〜70:1〜30であることが好ましい。また、一般式(2)で示されるカップラー成分と一般式(3)で示されるカップラー成分がモル比で1:9〜9:1であることが好ましい。一般式(3)で示される極性カップラー成分が上記数値より少ないと、透明性、鮮明性が低下し、逆に、上記数値より多いとフラッシング適性が低下する。
【0024】
本発明において、カップラー水溶液とテトラゾ水溶液を注入すべき酸性水溶液は、反応させるべき容器に予め仕込まれるが、この容器は通常バッチ式攪拌槽である。バッチ式攪拌槽としては公知のものがいずれも使用できるが、通常は、攪拌が必要な液媒体毎に水槽に加える必要がある液媒体を保持する水槽と、その液媒体を攪拌する攪拌翼を有する攪拌機とから構成されていることが必要である。本発明で使用されるバッチ式攪拌槽内の酸性溶液は、カップリング反応系をpH3〜6.9の範囲内、好ましくはpH3.5〜6.3に保つことが出来れば良く、このために従来法のカップリングで使用される公知の酸水溶液、例えば酢酸、蟻酸等の水溶液が使用される。
【0025】
上記の範囲にpH領域を保持することは、テトラゾ成分の分解や縮合などの副反応を最小化するために好ましく、反応開始から終了時まで上記のpHの範囲内に維持することがより好ましい。このためには、反応途中において酸あるはアルカリを断続的にあるいは連続的に添加することによっても良いが、バッチ式撹拌槽内に酸性水溶液中に、pH緩衝剤を存在させることが好ましい。操作の容易さの面からは、pH緩衝性のある水溶液系、例えば、従来のカップリング反応でよく使用される「酢酸−酢酸ナトリウム」系や「蟻酸−蟻酸ナトリウム」系等の緩衝性水溶液を用いると、pHの変動が少なく、pHの維持が容易となり好ましいものとなる。
【0026】
本発明において、バッチ式撹拌槽内の酸性水溶液中へのカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液との注入は、例えば別々の注入管を通し、酸性水溶液中に並行して行うことができる。
【0027】
本発明において使用する全てのカップラー成分を含むジスアゾ化合物がジスアゾ顔料の一次粒子に均一に吸着しているか、あるいは結晶構造中に含まれるようにするには、例えば、上記した通りカップラー成分のいずれもが反応系で析出しないように、かつ、未反応のテトラゾ成分が直ちに反応するように、酸性溶液中に並行に注入してやれば良い。より具体的には、例えば、カップラー水溶液とテトラゾ水溶液を、酸性水溶液に注入するに当たって、これら個々の水溶液の注入時間帯が少なくとも重複している部分を含むようにする。この形態としては、個々の水溶液の注入時間帯が少なくとも重複している場合もあるし、全部が重複している場合もある。好ましくは、両方の時間帯が全て重複しているようにする。必要であれば、カップラー水溶液とテトラゾ水溶液のいずれか一方のみが注入される時間帯があっても良い。
【0028】
カップラー水溶液とテトラゾ水溶液とが直接接触すると、カップラー成分の析出が起きて固体となり、透明性と流動性、フラッシング適性、排水着色耐性、分散性を改良する効果があるジスアゾ化合物の生成が少なく、これら諸適性を改良できなくなってしまう場合がある。
【0029】
これを避けるため、酸性水溶液を満たしたバッチ式撹拌機を備える槽に、注入管出口を互いに離した位置に設けて注入を行い(以下、並行注入という場合がある。)、十分に撹拌を行い、確実にテトラゾ成分とカップラー成分とが酸性水溶液中で反応することが好ましい。また、酸性水溶液を撹拌槽より抜き出して外部循環させ、この循環ラインにテトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれ、あるいは、一方を循環ラインに他方を撹拌槽へ注入するようにしても良い。
【0030】
本発明において、全てのカップラー成分の供給モル速度とテトラゾ成分の供給モル速度との比は特に限定されるものではないが、通常は200:80〜200:99となるように、好ましくは200:90〜200:99となるように連続的に注入してカップリング反応させることが好ましい。こうすることで、テトラゾ成分は酸性水溶液に注入後、直ちに全てがカップラー成分と反応し、未反応のテトラゾ成分が反応系内に残存しなくなる。その結果、テトラゾ成分の分解や縮合による副反応が防止され、色相の汚れが防止される。
【0031】
供給モル速度の比は、反応の全期間を通じて一定値に保つ必要はなく、上記供給モル速度比の範囲内で、注入の進行につれて変化させても良い。また、カップラー水溶液の注入開始をテトラゾ水溶液の注入に先行させても良い。さらに、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ロジン溶液のような表面処理剤を注入し、生成した顔料粒子の表面処理を同時に行っても良い。このような活性剤の例としては、エマルゲン120(商品名、花王株式会社製)、アロモックスDMC−W(商品名、ライオン株式会社製)等が挙げられる。添加する界面活性剤の量は少量でも効果があるが、ある程度多い方が効果が大きい。界面活性剤を使用する場合、必要とされる反応率の他、コスト、生成物の品質、使用する印刷インキの特性等も考慮して決められ、一般的には有効成分として生成する顔料の0.2〜10.0重量%の範囲で用いることができる。
【0032】
以上のように、テトラゾ成分とカップラー成分とを上記のモル速度比で並行注入すると、注入終了時点で反応系内にはテトラゾ成分は全く存在していないが、反応可能なカップラー成分が僅かに残存している状態となっている。そこで、全てのカップラー成分の混在したカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、酸性水溶液中に、連続的に注入した後、テトラゾ水溶液だけを追加的に注入することができる。例えば、並行注入終了後、テトラゾ水溶液のみを追加注入して、完全にカップラー成分と反応させ、さらにカップリング反応率を高めることもできる。
【0033】
本発明において、全てのカップラー成分の混在するカップラー水溶液の酸性水溶液への注入は、カップラー水溶液を酸性水溶液と混合したときに、溶解していた特に一般式(2)の非極性カップラー成分と一般式(3)の極性カップラー成分が析出しないような条件を選択するのが好ましい。これは、反応させる非極性カップラー成分と極性カップラー成分の種類や、カップラー水溶液の濃度、注入速度、酸性水溶液のpHや量など多くの要因により変化するものであるが、カップラー水溶液とテトラゾ水溶液とのカップリング速度、酸性水溶液中での拡散速度や溶解度などを考慮して決定される。また、実験的にもカップラーの最適注入量を定めることができる。
【0034】
本発明において、カップラー成分の全ての濃度の和が0.1〜1.0モル/リットルであるカップラー水溶液と、濃度が0.05〜0.8モル/リットルであるテトラゾ水溶液を酸性水溶液に注入することが操作上、また経済上、負担が軽い点で好ましい。カップラー水溶液及びテトラゾ水溶液の酸性水溶液への単位時間当たりの注入量は特に制限されるものでないが、酸性水溶液中でカップラー成分が析出しないような範囲で決められる。
【0035】
全てのカップラー成分が析出しないような範囲は、酸性水溶液の種類やpH、量や撹拌状態、注入管の出口の位置など種々の条件によって変化するものであり、注入量は製造に要する時間や製造工程なども考慮して総合的に決定される。すなわち、酸性水溶液に対するカップラー水溶液の注入量が少なくなればなるほど、全てのカップラー成分は析出しにくくなるが、反応系内の濃度が薄くなるため、顔料生物の製造に時間がかかるようになる。酸性水溶液に対するカップラー水溶液及びテトラゾ水溶液の注入量の単位時間当たりの比率は、100:1〜1000:50の範囲で行うのが好ましい。
【0036】
本発明において、カップリング中の温度やpHの値などの反応条件及びこの制御法は、従来のカップリング反応での公知の条件値及び制御法から選択され、特段の制約は無い。pHや温度を時間あるいは注入量と共に変化させても、あるいは終始一定に保っても良い。
【0037】
なお、本発明が好ましい実施形態で実施される場合には酸性であるテトラゾ水溶液とアルカリ性であるカップラー水溶液とが並行して注入されるので、これらの水溶液中の酸とアルカリとが中和されるようにそれぞれの溶液のpHや流量を調整することにより、初期のpHを最後まで保った状態でカップリング反応を行うことができる。本発明の顔料の製造方法は、顔料誘導体で表面処理されたC.I.ピグメント イエロー 12、13、14、17及び83を得るのに特に有効である。
【0038】
本発明の顔料は、あらかじめ調整したカップラー成分の配合比率によって一般式(1)で示されるカップラー成分を1分子中2個含むジスアゾ化合物が98.0〜70.0%と、一般式(2)で示されるカップラー成分およびまたは一般式(3)で示されるカップラー成分を1分子中1個又は2個含むジスアゾ化合物が2.0〜30.0%の存在比率とすることが好ましい。このようにして得られた酸性水溶液中のジスアゾ顔料は連続的に固液分離することにより反応系から取り出すことも、また、反応を終了させた後、バッチ式に固液分離を行い反応系から回収することもできる。
【0039】
本発明においてジスアゾ顔料の顔料特性を向上させるために、ジスアゾ顔料の水スラリーに対して硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムおよび塩化カルシウムからなる群から選ばれる水溶性無機塩を添加すること、あるいはロジン類あるいは印刷インキ用ビヒクルによって顔料の表面処理を施してもよい。表面処理用のロジンの種類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、水添ロジン、マレイン化ロジン等の顔料のロジン処理に一般的に使用されるロジンの水酸化ナトリウム溶液もしくは水酸化カリウム溶液などがある。表面処理用の印刷インキ用ビヒクルとしては、酸価が高くアルカリ水溶液となるロジン変性フェノール樹脂が好ましく、これにアルキッド樹脂、石油樹脂等を併用しても良い。ロジンまたは印刷インキ用ビヒクルの添加量は、固形分換算でカップリングして生成されるジスアゾ顔料に対して、2〜150重量%、好ましくは3〜80重量%である。
【0040】
本発明の製造法によって得られたジスアゾ顔料組成物は、印刷インキ用ビヒクルと混練されて、透明性と流動性に優れた印刷インキに使用することができる。
オフセットインキ用ビヒクルとしては、例えば、ロジン変成フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂またはこれら乾性油変成樹脂等の樹脂と、必要に応じて、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油と、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマテック、ナフテン、α−オレフィン等の溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、重量比で樹脂:植物油:溶剤=20〜50部:0〜30部:10〜60部の範囲が好ましい。本発明のジスアゾ顔料を配合したオフセットインキ用ビヒクルは、必要に応じて、インキ溶剤、ドライヤー、レベリング改良剤、増粘剤等の公知の添加剤を適宜配合して印刷インキとすることができる。
【0041】
グラビアインキ用ビヒクルとしては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、石灰化ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、ギルソナイト、ダンマル、セラック、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム、エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等の樹脂混合物と、n−ヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソプロピルアルコール、クロルベンゾール、エチルエーテル、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル等の溶剤から成るものであって、それらの配合割合は、重量比で、樹脂混合物:溶剤=10〜50部:30〜80部の範囲が好ましい。本発明のジスアゾ顔料を配合したグラビアインキ用ビヒクルは、必要に応じて、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アルミナホワイト、クレー、シリカ、シリカホワイト、タルク、珪酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、補助剤として、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を適宜配合して印刷インキとすることができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例中「部」及び「%」は、特に断りのない限りいずれも「重量部」、「重量%」を示す。
【0043】
<実施例1>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水酸化ナトリウム80部と水とからなる24℃、pH4.7の緩衝溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極わずかに認められるまでテトラゾ水溶液のみを追加注入した結果、カップラー基準のカップリング反応率は98.6%であった。なお、テトラゾの検出はβ−ナフトールによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後、製造したスラリーを60℃迄加熱したのち、苛性ソーダ水溶液を加えてpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で31部添加後、塩酸水溶液でpH6.5に調製し、8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加えたのち、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(本発明顔料1)を得た。
【0044】
<比較例1−1>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を水酸化ナトリウム144部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水からなる酢酸溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。この酢酸溶液にカップラー水溶液を193ml/分の流量で40分間注入してカップラーを沈殿させた。このカップラースラリー中に出口を持つ注入管をセットし、テトラゾ水溶液を184ml/分の流速で注入を開始した。反応液面でテトラゾが僅かに検出されるまで、約40分を要して注入した。カップリング反応率は92.1%であった。 以後、実施例1と同様に加熱、ロジン処理、濾過、精製して濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料1−1)を得た。
【0045】
<比較例1−2>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド354部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水酸化ナトリウム80部と水とからなる24℃、pH4.7の緩衝溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極わずかに認められるまでテトラゾ水溶液のみを追加注入した結果、カップラー基準のカップリング反応率は98.6%であった。なお、テトラゾの検出はβ−ナフトールによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後、製造したスラリーを60℃迄加熱したのち、苛性ソーダ水溶液を加えてpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で31部添加後、塩酸水溶液でpH6.5に調製し、8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加えたのち、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料1−2)を得た。この顔料は、登録第2943996号特許掲載公報に記載された顔料に相当する。
【0046】
<比較例1−3>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド325.7部と、3−アセトアセチルアミノ安息香酸35.4部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水酸化ナトリウム80部と水とからなる24℃、pH4.7の緩衝溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極わずかに認められるまでテトラゾ水溶液のみを追加注入した結果、カップラー基準のカップリング反応率は98.6%であった。なお、テトラゾの検出はβ−ナフトールによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後、製造したスラリーを60℃迄加熱したのち、苛性ソーダ水溶液を加えてpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で31部添加後、塩酸水溶液でpH6.5に調製し、8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加えたのち、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料1−3)を得た。この顔料は、特開2000−7931号公報に記載されたジスアゾ顔料組成物に相当する。
【0047】
<比較例1−4>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド35.2部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水酸化ナトリウム80部と水とからなる24℃、pH4.7の緩衝溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極わずかに認められるまでテトラゾ水溶液のみを追加注入した結果、カップラー基準のカップリング反応率は98.6%であった。なお、テトラゾの検出はβ−ナフトールによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後、製造したスラリーを60℃迄加熱したのち、苛性ソーダ水溶液を加えてpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で31部添加後、塩酸水溶液でpH6.5に調製し、8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加えたのち、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料1−4)を得た。
【0048】
<試験例1>
以下の方法によって、実施例1及び比較例1−1,1−2,1−3,1−4により得られたウエット顔料組成物をインキ化し評価した。
フラッシャーに70℃に加熱した平版インキ用ワニス(東洋インキ製造(株)製ロジン変成フェノール樹脂を含有するワニス)230部を添加したのち、顔料固形分換算で80部に相当する得られたウエット顔料組成物添加し、20分混練しながら、フラッシングを行った。遊離した水を除いたのち、真空脱水しながら、フラッシャー温度を100℃に昇温し、水分を除去した。水分が除去されたのを確認したのち、平版インキ用ワニス(東洋インキ製造(株)製ロジン変成フェノール樹脂を含有するワニス)250部及びインキ用溶剤30部を徐々に加え、試験用インキを作成した。
上記インキを作成中に測定した水分の遊離するまでの時間とその排出された水分の着色度、調製した各試験インキの透明性と流動性について測定し、その結果を表1にまとめて示した。
【0049】
<フラッシング排水の着色度評価法>
フラッシング排水の着色度は、作成したジスアゾ顔料の非乾燥物をフラッシャーにてフラッシングしてインキ化する際に排出する排水を無色の100mlガラス瓶に取り、グレースケールにて着色度を目視で比較し、濁りで透過しない状態を1、全く着色が無い状態を5とする。
【0050】
<透明性の評価方法>
黒インキを用いて黒帯を印刷した白い展色紙に、試験インキを展色し、黒帯の上の展色状態を目視で観察する。黒帯の上に試験インキが展色されることにより黒帯が全く見えない状態のものを不透明と判断し、目視判定1とする。黒帯上に試験インキが展色されているのがわかりにくいものを透明と判断し、目視判定10とする。
【0051】
<流動性の評価方法>
スプレッドメーターに一定容量の試験インキを測り盛り、測定開始後1分後にインキが流動した中心からの距離を計測する。測定値の大きいものを流動性が高いと判定する。なお、実施例で得られたウエット顔料組成物の測定値を100%とした百分率で測定値を表示した。
【0052】
【表1】
【0053】
<実施例2>
アセトアセトアニリド300.9部と3−アセトアセチルアミノ安息香酸30.9部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸23.7部アセトアセト−p−カルバモイルアニリド13.2部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を使用する以外は実施例1と同様にカップリングを行った。その時点でのカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極僅かに認められるまでテトラゾ水溶液を追加注入した結果、カップリング反応率は98.5%であった。以後、60℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(本発明顔料2)を得た。
【0054】
<比較例2−1>
アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を使用する代わりにアセトアセトアニリド300.9部と3−アセトアセチルアミノ安息香酸30.9部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸23.7部アセトアセト−p−カルバモイルアニリド13.2部を使用した以外は、比較例1−1と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料2−1)を得た。
【0055】
<比較例2−2>
比較例1−2と同様にして得られたウエット顔料組成物(比較顔料2−2)
【0056】
<比較例2−3>アセトアセトアニリド325.7部と、3−アセトアセチルアミノ安息香酸35.4部を使用する代わりにアセトアセトアニリド300.9部と、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸71.1部を使用した以外は、比較例1−3と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料2−3)を得た。
【0057】
<比較例2−4>
アセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド35.2部を使用する代わりにアセトアセトアニリド300.9部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド66.0部を使用した以外は、比較例1−4と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料2−4)を得た。
【0058】
<試験例2>
試験例1と同様にして、実施例2及び比較例2−1,2−2,2−3,2−4より得られたウエット顔料組成物をインキ化して評価した。上記方法により試験インキ作成中に測定した水分の遊離するまでの時間とその排出された水分の着色度、調製した各試験インキについて透明性と流動性を測定し、その結果を表2にまとめて示した。
【0059】
【表2】
【0060】
<実施例3>
アセトアセトアニリド325.7部と4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸ソーダ22.3部、アセトアセト−p−ジメチルアミノプロピルカルバモイルアニリド24.4部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を使用する以外は実施例1と同様にカップリングを行った。その時点でのカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極僅かに認められるまでテトラゾ水溶液を追加注入した結果、カップリング反応率は98.5%であった。以後、60℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(発明顔料3)を得た。
【0061】
<比較例3−1>
アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を使用する代わりにアセトアセトアニリド325.7部と4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸ソーダ22.3部、アセトアセト−p−ジメチルアミノプロピルカルバモイルアニリド24.4部を使用した以外は、比較例1−1と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料3−1)を得た。
【0062】
<比較例3−2>
比較例1−2と同様にして得られたウエット顔料組成物(比較顔料3−2)。
【0063】
<比較例3−3>
アセトアセトアニリド325.7部と、3−アセトアセチルアミノ安息香酸35.4部を使用する代わりにアセトアセトアニリド325.7部と4−アセトアセチルアミノベンゼンスルホン酸ソーダ44.6部を使用した以外は、比較例1−3と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料3−3)を得た。
【0064】
<比較例3−4>
アセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド35.2部を使用する代わりにアセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−ジメチルアミノプロピルカルバモイルアニリド48.8部を使用した以外は、比較例1−4と同様にして、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料3−4)を得た。
【0065】
<試験例3>
試験例1と同様にして、実施例3及び比較例3−1,3−2,3−3,3−4より得られたウエット顔料組成物をインキ化して評価した。上記方法により試験インキ作成中に測定した水分の遊離するまでの時間とその排出された水分の着色度、調製した各試験インキについて透明性と流動性を測定し、その結果を表3にまとめて示した。
【0066】
【表3】
【0067】
<実施例4>
カップリング反応後、スラリーに苛性ソーダ水溶液でpHを10.5に調整し、トール油系ロジンソープを固形分換算で31.0部添加した後8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加え、塩酸水溶液でpH6.5に調整した後、60℃まで加熱する事以外は実施例1と同様に行って、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(本発明顔料4)を得た。
【0068】
<比較例4−1>
比較例1−1と同様にカップリング反応を行った後、実施例4と同様にロジン処理、加熱処理を行って、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料4−1)を得た。
【0069】
<比較例4−2>
比較例1−2と同様にカップリング反応を行った後、実施例4と同様にロジン処理、加熱処理を行って、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料4−2)を得た。
【0070】
<比較例4−3>比較例1−3と同様にカップリング反応を行った後、実施例4と同様にロジン処理、加熱処理を行って、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料4−3)を得た。
【0071】
<比較例4−4>比較例1−4と同様にカップリング反応を行った後、実施例4と同様にロジン処理、加熱処理を行って、ジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料4−4)を得た。
【0072】
<試験例4>
試験例1と同様にして、実施例4及び比較例4−1,4−2,4−3,4−4より得られたウエット顔料組成物をインキ化して評価した。上記方法により試験インキ作成中に測定した水分の遊離するまでの時間とその排出された水分の着色度、調製した各試験インキについて透明性と流動性を測定し、その結果を表4にまとめて示した。
【0073】
【表4】
【0074】
<実施例5>
アセトアセト−o−トルイジド366.7部と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸9.5部、アセトアセト−2−メトキシ−4−カルバモイルアニリド10.0部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を使用する以外は実施例1と同様にカップリングを行った。以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(本発明顔料5)を得た。
【0075】
<比較例5−1>
アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を使用する代わりにアセトアセト−o−トルイジド366.7部と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸9.5部、アセトアセト−2−メトキシ−4−カルバモイルアニリド10.0部を使用した以外は、比較例1−1と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料5−1)を得た。
【0076】
<比較例5−2>
アセトアセトアニリド354部を使用する代わりにアセトアセト−o−トルイジド382部を使用した以外は、比較例1−2と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料5−2)を得た。
【0077】
<比較例5−3>
アセトアセトアニリド325.7部と、3−アセトアセチルアミノ安息香酸35.4部を使用する代わりにアセトアセト−o−トルイジド366.7部と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸19.0部を使用した以外は、比較例1−3と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料組成物を含むウエット顔料組成物(比較顔料5−3)を得た。
【0078】
<比較例5−4>
アセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド35.2部を使用する代わりにアセトアセト−o−トルイジド366.7部とアセトアセト−2−メトキシ−4−カルバモイルアニリド20.0部を使用した以外は、比較例1−4と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料5−4)を得た。
【0079】
<試験例5>
試験例1と同様にして、実施例5及び比較例5−1,5−2,5−3,5−4より得られたウエット顔料組成物をインキ化して評価した。上記方法により試験インキ作成中に測定した水分の遊離するまでの時間とその排出された水分の着色度、調製した各試験インキについて透明性と流動性を測定し、その結果を表3にまとめて示した。
【0080】
【表5】
【0081】
<実施例6>
アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド515.9部とo−アセトアセチルアミノ安息香酸11.1部、アセトアセト−2−クロロ−4−カルバモイルアニリド12.7部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を使用する以外は実施例1と同様にカップリングを行った。以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(本発明顔料6)を得た。
【0082】
<比較例6−1>
アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を使用する代わりにアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド515.9部とo−アセトアセチルアミノ安息香酸11.1部、アセトアセト−2−クロロ−4−カルバモイルアニリド12.7部を使用した以外は、比較例1−1と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料6−1)を得た。
【0083】
<比較例6−2>
アセトアセトアニリド354部を使用する代わりにアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド543部を使用した以外は、比較例1−2と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料6−2)を得た。
【0084】
<比較例6−3>
アセトアセトアニリド325.7部と、3−アセトアセチルアミノ安息香酸35.4部を使用する代わりにアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド515.9部とo−アセトアセチルアミノ安息香酸22.2部を使用した以外は、比較例1−3と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料6−3)を得た。
【0085】
<比較例6−4>
アセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド35.2部を使用する代わりにアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド515.9部とアセトアセト−2−クロロ−4−カルバモイルアニリド25.5部をを使用した以外は、比較例1−4と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製してジスアゾ顔料を含むウエット顔料組成物(比較顔料6−4)を得た。
【0086】
<試験例6>
試験例1と同様にして、実施例6及び比較例6−1,6−2,6−3,6−4より得られたウエット顔料組成物をインキ化して評価した。上記方法により試験インキ作成中に測定した水分の遊離するまでの時間とその排出された水分の着色度、調製した各試験インキについて透明性と流動性を測定し、その結果を表3にまとめて示した。
【0087】
【表6】
【0088】
<実施例7>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水酸化ナトリウム80部と水とからなる24℃、pH4.7の緩衝溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極わずかに認められるまでテトラゾ水溶液のみを追加注入した結果、カップラー基準のカップリング反応率は98.6%であった。なお、テトラゾの検出はβ−ナフトールによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後、製造したスラリーを60℃迄加熱したのち、苛性ソーダ水溶液を加えてpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で31部添加後、塩酸水溶液でpH6.5に調製し、8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加えたのち、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(本発明顔料7)を得た。
【0089】
<比較例7−1>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を水酸化ナトリウム144部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水からなる酢酸溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。この酢酸溶液にカップラー水溶液を193ml/分の流量で40分間注入してカップラーを沈殿させた。このカップラースラリー中に出口を持つ注入管をセットし、テトラゾ水溶液を184ml/分の流速で注入を開始した。反応液面でテトラゾが僅かに検出されるまで、約40分を要して注入した。カップリング反応率は92.1%であった。 以後、実施例7と同様に加熱、ロジン処理、濾過、精製して濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔料7−1)を得た。
【0090】
<比較例7−2>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド354部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水酸化ナトリウム80部と水とからなる24℃、pH4.7の緩衝溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極わずかに認められるまでテトラゾ水溶液のみを追加注入した結果、カップラー基準のカップリング反応率は98.6%であった。なお、テトラゾの検出はβ−ナフトールによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後、製造したスラリーを60℃迄加熱したのち、苛性ソーダ水溶液を加えてpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で31部添加後、塩酸水溶液でpH6.5に調製し、8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加えたのち、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔料7−2)を得た。この顔料は、登録第2943996号特許掲載公報に記載された顔料に相当する。
【0091】
<比較例7−3>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド325.7部と、3−アセトアセチルアミノ安息香酸35.4部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水酸化ナトリウム80部と水とからなる24℃、pH4.7の緩衝溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極わずかに認められるまでテトラゾ水溶液のみを追加注入した結果、カップラー基準のカップリング反応率は98.6%であった。なお、テトラゾの検出はβ−ナフトールによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後、製造したスラリーを60℃迄加熱したのち、苛性ソーダ水溶液を加えてpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で31部添加後、塩酸水溶液でpH6.5に調製し、8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加えたのち、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔料7−3)を得た。この顔料は、特開2000−7931号公報に記載されたジスアゾ顔料組成物に相当する。
【0092】
<比較例7−4>
3,3’−ジクロロベンジジン塩酸塩をその3倍モルの塩酸と2倍モルの亜硝酸ナトリウムを使用して常法によりテトラゾ化し、10℃、0.125モル/lのテトラゾ水溶液を調製した。一方、アセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド35.2部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を調製した。また、酸性水溶液として80%酢酸300部と水酸化ナトリウム80部と水とからなる24℃、pH4.7の緩衝溶液5000部を調製し、撹拌機を有する反応器に仕込んだ。このpH緩衝溶液中の互いに離れた位置に出口を持つ2本の注入管をセットし、テトラゾ水溶液とカップラー水溶液とをそれぞれの注入管を通してpH緩衝溶液中に注入を行った。これらの溶液は同時に注入を開始し、定量ポンプにより同じ体積流量(193ml/分)で40分注入し、同時に注入を終了した。注入の間、液面より採取した反応液からはテトラゾは検出されなかった。この時点でのカップラー基準のカップリング反応率は96.5%であった。その後、反応系内にテトラゾが極わずかに認められるまでテトラゾ水溶液のみを追加注入した結果、カップラー基準のカップリング反応率は98.6%であった。なお、テトラゾの検出はβ−ナフトールによる発色反応を用いて行い、カップリング反応率は液体クロマトで分析して得た未反応カップラー量から求めた。
以後、製造したスラリーを60℃迄加熱したのち、苛性ソーダ水溶液を加えてpHを10.5に調製し、トール油系ロジンソープを固形換算で31部添加後、塩酸水溶液でpH6.5に調製し、8%硫酸アルミニウム水溶液70部を加えたのち、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔料7−4)を得た。
【0093】
<試験例7>
以下の方法によって実施例7及び比較例7−1,7−2,7−3,7−4によって得られたパウダー顔料をインキ化した。
ステンレス容器に60℃に加熱した平版インキ用ワニス(東洋インキ製造株式会社製の変成ロジンフェノール樹脂を含有するワニス)300部と100部のパウダー顔料組成物を仕込み、高専断性ミキサーを使用してミルベースを作成した。このミルベースを3本ロールを使用して練肉した。3本ロール上でベースインキに平版インキ用ワニス(東洋インキ製造株式会社製の変成ロジンフェノール樹脂)150部と芳香族を含有しないインキ用溶剤10部を加え試験用インキを作成した。
上記の方法によって作成した各試験インキは透明性、分散性と流動性を測定し、その結果を表7にまとめて示した。
【0094】
<分散性の評価方法>
作成したインキをグラインドゲージ上で展色しその際できた未分散顔料による筋引きが3本以上出現する位置を2.5μmを1単位として0から10段階で表す。
【0095】
【表7】
【0096】
<実施例8>
アセトアセト−o−トルイジド366.7部と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸9.5部、アセトアセト−2−メトキシ−4−カルバモイルアニリド10.0部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を使用する以外は実施例7と同様にカップリングを行った。以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(本発明顔料8)を得た。
【0097】
<比較例8−1>
アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を使用する代わりにアセトアセト−o−トルイジド366.7部と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸9.5部、アセトアセト−2−メトキシ−4−カルバモイルアニリド10.0部を使用した以外は、比較例7−1と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料(比較顔料8−1)を得た。
【0098】
<比較例8−2>
アセトアセトアニリド354部を使用する代わりにアセトアセト−o−トルイジド382部を使用した以外は、比較例7−2と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料(比較顔料8−2)を得た。
【0099】
<比較例8−3>
アセトアセトアニリド325.7部と、3−アセトアセチルアミノ安息香酸35.4部を使用する代わりにアセトアセト−o−トルイジド366.7部と5−アセトアセチルアミノ−2−ヒドロキシ安息香酸19.0部を使用した以外は、比較例7−3と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料組成物(比較顔料8−3)を得た。
【0100】
<比較例8−4>
アセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド35.2部を使用する代わりにアセトアセト−o−トルイジド366.7部とアセトアセト−2−メトキシ−4−カルバモイルアニリド20.0部を使用した以外は、比較例7−4と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料(比較顔料8−4)を得た。
【0101】
<試験例8>
試験例7と同様にして、実施例8及び比較例8−1,8−2,8−3,8−4より得られたパウダー顔料をインキ化して評価した。調製した各試験インキについて透明性と流動性を測定し、その結果を表8にまとめて示した。
【0102】
【表8】
【0103】
<実施例9>
アセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド515.9部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸11.1部、アセトアセト−2−クロロ−4−カルバモイルアニリド12.7部を水酸化ナトリウム120部を含む水溶液に溶解し、25℃、0.259モル/lのカップラー水溶液を使用する以外は実施例7と同様にカップリングを行った。以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料(本発明顔料9)を得た。
【0104】
<比較例9−1>
アセトアセトアニリド325.7部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸6.6部、2−ヒドロキシ−5−アセトアセチル安息香酸9.5部、アセトアセト−p−カルバモイルアニリド19.8部を使用する代わりにアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド515.9部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸11.1部、アセトアセト−2−クロロ−4−カルバモイルアニリド12.7部を使用した以外は、比較例7−1と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料(比較顔料9−1)を得た。
【0105】
<比較例9−2>
アセトアセトアニリド354部を使用する代わりにアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド543部を使用した以外は、比較例7−2と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料(比較顔料9−2)を得た。
【0106】
<比較例9−3>
アセトアセトアニリド325.7部と、3−アセトアセチルアミノ安息香酸35.4部を使用する代わりにアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド515.9部と2−アセトアセチルアミノ安息香酸22.2部を使用した以外は、比較例7−3と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料(比較顔料9−3)を得た。
【0107】
<比較例9−4>
アセトアセトアニリド325.7部とアセトアセト−p−カルバモイルアニリド35.2部を使用する代わりにアセトアセト−2,5−ジメトキシ−4クロロアニリド515.9部とアセトアセト−2−クロロ−4−カルバモイルアニリド25.5部をを使用した以外は、比較例7−4と同様にして、カップリング反応を行い、以後、80℃迄加熱後ロジン処理、濾過、精製したウエットジスアゾ顔料組成物を90℃12時間乾燥、粉砕してジスアゾ顔料を含むパウダー顔料(比較顔料9−4)を得た。
【0108】
<試験例9>
以下の方法によって、実施例9及び比較例9−1,9−2,9−3,9−4によって得られたパウダー顔料をインキ化した。
パウダー顔料20部、ニトロセルロースを含有するグラビアインキ用ビヒクル60部、混合溶剤(トルエン:酢酸エチル:イソプロピルアルコール=60:20:10)80部、アルミナビーズ150部を容器に入れ、ペイントコンディショナーで60分分散後、ポリアミド樹脂を含有するグラビアインキ用ビヒクル80部を加えて試験用インキを調整した。
上記方法によって調整した各試験用インキについて、透明性と流動性を測定し、その結果を表9にまとめて示した。
【0109】
<流動性の評価方法>
試験インキの流動性はブルックフィールド型粘度計(B型粘度計)にて測定する。測定値が低いものを流動性が良いと判定する。なお、実施例で得られたパウダー顔料組成物のインキ化物で測定した値を100%とした百分率で測定値を示した。
【0110】
<透明性の評価方法>
バーコーターを用いて試験インキをアセテート系フィルムに展色する。フィルムの裏側に黒色紙を当て、黒色紙の見え方を観察する。
展色フィルムより、黒色紙が全く見えないものを不透明と判断し、目視判定1とする。黒色紙を鮮明に見ることができる物を透明と判断し、目視判定10とする。
【0111】
【表9】
【0112】
【発明の効果】
本発明のジスアゾ顔料の製造方法は、カップラー成分が実質的に反応系で析出しないように、かつ、未反応テトラゾ成分が直ちに反応するように、酸性水溶液中にカップラー水溶液とテトラゾ水溶液を同時に注入してカップリング反応を行わせ、かつ一般式(1)の非極性カップラー成分に加えて一般式(2)の非極性カップラー成分および一般式(3)の極性カップラー成分を併用することを特徴としている。
このため、顔料の合成反応において、一般式(2)の非極性カップラーと一般式(3)の極性カップラー成分を含むジスアゾ化合物と一般式(1)の非極性カップラー成分だけを含む対称なジスアゾ化合物とを同時に生成させることができる。すなわち、本発明によれば、一般式(3)のる極性カップラー成分から成るジスアゾ化合物のみならず、一般式(1)と一般式(2)のカップラー成分から成るジスアゾ化合物や、一般式(2)と一般式(3)のカップラー成分から成るジスアゾ化合物の存在も可能となる。このようなジスアゾ化合物がジスアゾ顔料の結晶が作られる条件下で結晶に吸着あるいは結晶内に取り込まれれると考えられる。
したがって、本発明のジスアゾ顔料は、流動性、透明性、フラッシング性及びフラッシング排水着色耐性の全てにおいて優れた特性となる。更に本発明のジスアゾ顔料組成物を含むインキ組成物は透明性と流動性に於いて優れた印刷インキとなる。
Claims (8)
- カップラー成分を含むカップラー水溶液と、ベンジジン類のテトラゾ成分を含むテトラゾ水溶液とを、上記カップラー成分が反応系で実質的に析出しないように、かつ上記テトラゾ成分が直ちに反応するように、酸性水溶液中に同時に注入してカップリング反応をさせるジスアゾ顔料の製造方法において、上記カップラー成分として、一般式(1)で示されるカップラー成分を主成分とし、一般式(2)で示されるカップラー成分と一般式(3)で示されるカップラー成分を併用することを特徴とするジスアゾ顔料の製造方法。
一般式(1)
CH3COCH2CONH-X
(式中、Xはメチル基、メトキシ基および塩素原子から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
一般式(2)
CH3COCH2CONH-Y
(式中、Yはメチル基、メトキシ基、塩素原子、−CONR2基、−SO2NR2基および−NHCOR基から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有するフェニル基であって、該フェニル基は−CONR2基、−SO2NR2基または−NHCOR基の少なくとも1種で置換されているフェニル基を表す。ただし、Rは同一でも互いに異なっていても良く、水素原子、C1〜C4アルキル基(該アルキル基は互いに結合して環を形成しても良い。)またはC1〜C4アルキレンNR’2 基を表し、R’は水素原子または互いに異なっていても良いC1〜C4アルキル基(該アルキル基は互いに結合して環を形成しても良い。)を表す。)
一般式(3)
CH3COCH2CONH-Z
(式中、Zはメチル基、メトキシ基、塩素原子、カルボン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、水酸基およびスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩から成る群から選ばれる同一または異なる置換基を有するフェニル基であって、該フェニル基はカルボン酸基もしくはそのアルカリ金属塩、水酸基またはスルホン酸基もしくはそのアルカリ金属塩の少なくとも1種で置換されているフェニル基を表す。) - 一般式(1)で示されるカップラー成分に対する一般式(2)で示されるカップラー成分と一般式(3)で示されるカップラー成分との合計が、モル比で99〜70:1〜30であることを特徴とする請求項1記載のジスアゾ顔料の製造方法。
- 一般式(2)で示されるカップラー成分と一般式(3)で示されるカップラー成分がモル比で1:9〜9:1であることを特徴とする請求項1または2記載のジスアゾ顔料の製造方法。
- カップラー水溶液とテトラゾ水溶液とを、バッチ式攪拌槽内の酸性水溶液中にカップラー成分の合計供給モル速度とテトラゾ成分の供給モル速度との比が、200:80〜200:99となるように連続的に注入してカップリング反応をさせることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のジスアゾ顔料の製造方法。
- ジスアゾ顔料を水スラリーとし、水溶性無機塩を添加することを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のジスアゾ顔料の製造方法。
- ロジン類あるいは印刷インキ用ビヒクルでジスアゾ顔料を表面処理することを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載のジスアゾ顔料の製造方法。
- 請求項1ないし6いずれか記載の製造方法により得られるジスアゾ顔料。
- 請求項7記載のジスアゾ顔料と印刷インキ用ビヒクルとからなる印刷インキ組成物。
Priority Applications (7)
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---|---|---|---|
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