JP5250927B2 - 記録用インク、並びに、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
前記水系インクを用いたインクジェット記録では、液体インクが記録媒体に浸透することで定着するため、吸収特性の向上、着色成分の紙面への定着、着色成分の保護機能を持つインクジェット専用紙が開発されている。しかし、前記インクジェット専用紙は抄紙後の多段の塗布工程が経るためコストが高く、また、加工薬剤を多く使用しているので普通紙に比べてリサイクル性も劣っている。このため、普通紙上で充分な画質を得ることが望まれている。
これらの問題点を解決することが、普通紙に対するインクジェット記録にとって重要課題となっている。
また、特許文献31には、粘度の高いインク(5〜15mPa・s)が高画質を確保するには必要であるという提案がある。この提案は、顔料を用いたときの前記(1)、(2)、(3)、及び(4)に対する解決方法ともいえる。
前記乾燥速度を上げる方法としては、(a)インクに揮発成分を添加させること、(b)プリンタに乾燥機構を持たせること、の2種類の方法が考えられる。
前記(a)の場合、容易に乾燥性を上げることができるが、ヘッドのインクノズル部のメニスカスも乾燥しやすくなってしまい粘度上昇を引き起こし、安定吐出に悪影響を及ぼしてしまう。また、揮発成分は有機化合物であるため印字環境も悪化させてしまい、水系インクを用いている利点が失われてしまう。また、顔料を用いたオンデマンドインクジェットシステムでは、信頼性の面から問題点が多い。
しかし、前記プラテンを用いる方法は記録媒体との熱伝導性が均一にならないこと、前記赤外線を用いたものでは多大な電力が必要なこと、前記定着装置を用いる方法では装置が大掛かりになることが問題視されている。また、印字前後に加熱を行うことは、廃熱や輻射熱によって記録媒体のみならずヘッド面に熱をかけることとなる。更に、このようにヘッド面に対して熱がかかることはメニスカスの乾燥を促すこととなり、吐出安定性を低下させるという欠点がある。
しかし、熱定着機構を有したオンデマンドインクジェットプリンタは、電子写真方式と同等以上の巨大な装置となっており、印写プロセスがコンパクトなインクジェット方式の利点を損ない、また、このような熱定着の過程を経ることは普通紙に対する問題解決に繋がるが、ヘッド近傍への熱によるノズルへの信頼性に不安がある。
<1> 記録後の記録媒体の記録面に風を当てて予備乾燥するための送風手段を少なくとも備えたインクジェット記録装置に用いられ、少なくとも着色剤と、湿潤剤と、界面活性剤と、浸透剤とを含有する記録用インクであって、
前記記録用インクの25℃の粘度η(mPa・s)と、前記記録用インクの25℃の表面張力γ(mN/m)とが、次式、γ/η≦5を満たすと共に、前記粘度ηが4〜20mPa・sであり、かつ前記表面張力γが19.2〜36mN/mであることを特徴とする記録用インクである。
<2> 着色剤が顔料であり、該顔料がその表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散乃至水溶性の少なくともいずれかを示す前記<1>に記載の記録用インクである。
<3> 着色剤が、ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンである前記<1>に記載の記録用インクである。
<4> 着色剤の記録用インクにおける含有量が、固形分濃度で、5〜15質量%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の記録用インクである。
<5> 湿潤剤が、温度20℃、相対湿度60%の環境下、平衡水分量が25質量%以上である多価アルコールの少なくとも2種である前記<1>から<4>のいずれかに記載の記録用インクである。
<6> 多価アルコールがグリセリンであり、かつ該グリセリンの湿潤剤における含有量が50質量%以上である前記<5>に記載の記録用インクである。
<7> 湿潤剤の記録用インクにおける含有量が、10〜50質量%である前記<1>から<6>のいずれかに記載の記録用インクである。
<8> 界面活性剤が、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の少なくともいずれかである前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録用インクである。
<9> 界面活性剤の記録用インクにおける含有量が、0.01〜5質量%である前記<1>から<8>のいずれかに記載の記録用インクである。
<10> 浸透剤の記録用インクにおける含有量が、0.1〜5質量%である前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録用インクである。
<11> シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクから選択される少なくとも1種である前記<1>から<10>のいずれかに記載の記録用インクである。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<13> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段と、記録後の記録媒体の記録面に風を当てて予備乾燥するための送風手段とを少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<14> 送風手段が、記録媒体の排紙方向に風を当て、かつインク飛翔手段に風が当たらないように配置された前記<13>に記載のインクジェット記録装置である。
<15> 送風手段がヒーターを備え、該ヒーターの作動により温風を記録媒体の記録面に当てる前記<13>から<14>のいずれかに記載のインクジェット記録装置である。
<16> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程と、記録後の記録媒体の記録面に風を当てて予備乾燥するための送風工程とを少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<17> ノズル近傍での水分蒸発率が30%を超える前に、記録媒体上にインクを吐出させる前記<16>に記載のインクジェット記録方法である。
<18> 記録媒体上にインクが付着後5秒以内に送風が行われる前記<16>から<17>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<19> 記録媒体上に前記<1>から<11>のいずれかに記載の記録用インクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
本発明の記録用インクは、記録後の記録媒体の記録面に風を当てて予備乾燥する送風手段を少なくとも備えたインクジェット記録装置に用いられ、少なくとも着色剤と、湿潤剤と、界面活性剤と、浸透剤とを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記送風による水分蒸発の効果を得るためには、インクが記録媒体(紙)へ浸透する速度が大きく影響する。超浸透インクの場合、風による乾燥前に紙に浸透してしまっており画質へ効果が得られない。一方、緩浸透インクの場合、紙への浸透が遅いため乾燥に必要とされる液量が多く、エネルギー量が多く必要となる。そのためエネルギー量の少ない送風による乾燥では効果は微小なものとなり得る。送風による効果を得るためには浸透性を適正範囲に設定する必要がある。
したがって、前記記録用インクにおける25℃の粘度η(mPa・s)と、前記記録用インクにおける25℃の表面張力γ(mN/m)とが、次式、γ/η≦5を満たし、γ/η≦4が好ましい。また、前記粘度ηは4〜20mPa・sであり、7〜15mPa・sが好ましい。また、前記表面張力γは19.2〜36mN/mであり、25〜32mN/mが好ましい。
前記記録用インクは、上記関係を満たすことにより、インクの浸透性が送風による効果を最大限に引き出すことができる。
この場合、前記着色剤として顔料表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団を介して結合するような処理がなされたことにより、分散剤なしに水に分散可能となった顔料か、ポリマー微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。
また、水分蒸発速度を緩めることは吐出信頼性を向上させるため、前記湿潤剤は、温度25℃、相対湿度60%の環境下、平衡水分量が20質量%以上である多価アルコールを少なくとも2種以上含有することが望ましい。この多価アルコールの一つがグリセリンであり、かつグリセリンの含有量が湿潤剤全体の50質量%以上であることが、上記蒸発物性を発現させるために望ましい条件である。
これらの構成を満たしつつ、画質を向上させるためには、前記着色剤を5〜15質量%、前記界面活性剤を0.01〜5質量%、前記湿潤剤を10〜50質量%、前記浸透剤を0.1〜5質量%含有することが好ましい。
以下、記録用インクの各成分について詳細に説明する。
前記着色剤としては、耐候性の面から主として顔料が用いられるが、色調調整の目的で同時に染料を含有させても構わない。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
その他顔料(例えば、カーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えば、カーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等が使用できる。
また、顔料をマイクロカプセルに包含させ、該顔料を水中に分散可能なのものとしたものであっても良い。
また、この形態のインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。またこの自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
ここで、前記顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、及びポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものの少なくともいずれかである。この場合、全ての顔料が封入及び/又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルジョン中に分散にしていてもよい。
前記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマーが特に好ましい。
前記酸性染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、食用染料として知られているものなどが挙げられ、例えば、C.I.アシッド・イエロー17、23、42、44、79、142;C.I.アシッド・レッド1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289;C.I.アシッド・ブルー9、29、45、92、249;C.I.アシッド・ブラック1、2、7、24、26、94;C.I.フード・イエロー2、3、4;C.I.フード・レッド7、9、14;C.I.フード・ブラック1、2、などが挙げられる。
前記湿潤剤は、温度20℃、相対湿度60%環境下、平衡水分量が25質量%以上である多価アルコールを少なくとも2種以上含有することが好ましい。
前記湿潤剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどが挙げられる。これらの中でも、水分蒸発に伴い粘度が急激に上昇するが、着色剤の凝集を押さえ、粒径が大きくなるのを防ぐ効果が高いため、グリセリンが特に好ましく、該グリセリンの含有量が湿潤剤全体の50質量%以上であることが好ましい。
前記湿潤剤の前記記録用インクにおける含有量は10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。前記含有量が少ないとインクの保存安定性、吐出安定性が悪くなり、ノズルの目詰まりが起こりやすくなる。また湿潤剤量が多すぎると、乾燥性が悪くなり、文字の滲みや色境界の滲みが発生し、画像品質が低下することになる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好適に用いられる。色材の種類や湿潤剤、水溶性有機溶剤の組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択する。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
このような界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、日光ケミカルズ(株)、日本エマルジョン(株)、日本触媒(株)、東邦化学(株)、花王(株)、アデカ(株)、ライオン(株)、青木油脂(株)、三洋化成(株)などから容易に入手することができる。
なお、前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独では記録液中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
ただし、前記構造式(1)中、R1は、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基、又は炭素数6〜14の分岐していてもよいパーフルオロアルキル基を表す。R2は、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(2)中、R1は、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。R2は、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
前記浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0質量%のポリオールの少なくとも1種を含有し、更に必要に応じてその他の湿潤剤を用いることができる。
前記ポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが特に好ましい。
前記消泡剤が前記記録用インク中に含有されていると、特に経時の保存安定性や吐出安定性に優れ、前記含有量が、0.001質量%未満であると、含有効果が十分でないことがあり、3質量%を超えると、目詰まりの原因となり易く、前記記録用インクの信頼性が悪くなることがある。
該pH調製剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、等が挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、等が挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段と、送風手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程と、送風工程とを少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程等を含んでなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができ、前記送風工程は前記送風手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、前記本発明の記録用インクに、刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、前記本発明の記録用インクに、刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
本発明においては、該インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、インクジェットノズルのノズル径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmが好ましい。
前記送風工程は、記録後の記録媒体の記録面に風を当てて予備乾燥する工程である。
前記送風工程は前記送風手段により行われる。該送風手段は、記録媒体の排紙方向に風を当て、かつインク飛翔手段に風が当たらないように配置されることが、風によるインク飛翔時の着弾位置ずれを防止し、ノズル部でのインク乾燥を促さず吐出特性を悪化させない点で好ましい。
前記送風手段はヒーターを備え、該ヒーターの作動により温風を記録媒体の記録面に当てることが、乾燥効率を上げる点で好ましい。
また、前記送風工程では、記録媒体上にインクが付着後5秒以内に送風が行われることがインク吸収過程でのフェザリングを抑えることができ、画質向上の点で好ましい。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを記録用インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しない記録用インク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部105に装填された本発明のインクカートリッジ1から本発明の前記記録用インクが供給されて補充される。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内の記録用インクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ1から所要量の記録用インクがサブタンク135に補給される。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録された記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、記録媒体上に本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
−ポリマ-溶液の合成−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した。このフラスコ内に、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、混合して、65℃まで昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃にて1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、固形分濃度が50質量%のポリマー溶液800gを合成した。
−顔料含有ポリマー微粒子水分散体Aの調製−
前記ポリマー溶液28gと、C.I.ピグメントブルー15:3を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン、及び水を留去し、シアンポリマー微粒子の水分散体Aを調製した。
−顔料含有ポリマー微粒子水分散体Bの調製−
調製例1において、顔料C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントレッド122に変えた以外は、調製例1と同様にして、マゼンタポリマー微粒子の水分散体Bを調製した。
−顔料含有ポリマー微粒子水分散体Cの調製−
調製例1において、顔料C.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー74に変えた以外は、調製例1と同様にして、イエローポリマー微粒子の水分散体Cを調製した。
−記録用インクの作製−
まず、表1及び表2に示す組成の湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、及び水を1時間攪拌して均一に混合した。この混合液に対して、調製例1〜3及びカーボンブラック分散体(CAB−O−JET300,キャボット社製)のいずれかの顔料分散体、及び消泡剤を添加し、1時間攪拌した。
次に、得られた分散液を平均孔径0.8μmのセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、各記録用インクを作製した。
各インクの粘度は、粘度計(RL−500、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定した。
各インクの表面張力は、全自動表面張力計(CBVP−Z、協和界面科学株式会社製)を使用して、25℃で測定を行った。
上記改造したインクジェットプリンターを用い、印字は、Microsoft Word2000にて作成したチャートを打ち出し、印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙-標準速い」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。画像濃度はWord2000で作成した64point文字「■」についてX−Rite938(X−Rite社製)にて測色した。
−送風の効果の評価−
送風の効果は、送風しなかったものと比べて画像濃度が向上しているか否かについて、下記基準に基づき判定した。
〔評価基準〕
◎:送風により画像濃度が向上した。
○:温風(40℃)により画像濃度が向上した。
△:温風(60℃)により画像濃度が向上した。
×:画像濃度が向上しない。
コックリングの発生の確認は、Microsoft Word2000を用いて、全体をベタ画像で埋めるようなチャートを作成し、出力後の紙のカール具合にて、下記基準により評価を行った。
〔評価基準〕
○:以後の排紙に問題ない。
×:両端が巻き上がり、排紙に干渉する。
オフセット耐性の確認は、印字直後の画像に濾紙を当てて指先で押さえ付け、濾紙への画像転写の有無にて、下記基準で判断した。
〔評価基準〕
○:転写なし
×:転写あり
2 ヒートガン
3 記録媒体
4 モーター(ヒートガン)
5 プロペラ(ヒートガン)
6 ヒーター(ヒートガン)
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装
Claims (17)
- 記録後の記録媒体の記録面に風を当てて予備乾燥するための送風手段を少なくとも備えたインクジェット記録装置に用いられ、着色剤と、湿潤剤と、界面活性剤と、浸透剤と、自己乳化型シリコーン系消泡剤と、を少なくとも含有する記録用インクであって、
前記着色剤が顔料であり、該顔料が、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性を示す顔料、及びポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の顔料を含有させてなるポリマーエマルジョンのいずれかであり、
前記湿潤剤が、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブチレングリコール、及びグリセリンから選択される少なくとも2種の多価アルコールを含有し、前記湿潤剤の含有量が10質量%〜50質量%であり、
前記界面活性剤が、下記構造式(1)〜(4)で表されるノニオン性界面活性剤の少なくともいずれかであり、前記界面活性剤の含有量が0.01質量%〜5質量%であり、
前記浸透剤が、1,2−ヘキサンジオール及びオクタンジオールの少なくともいずれかであり、前記浸透剤の含有量が0.1質量%〜5質量%であり、
前記記録用インクの25℃の粘度η(mPa・s)と、前記記録用インクの25℃の表面張力γ(mN/m)とが、次式、γ/η≦5を満たすと共に、前記粘度ηが4mPa・s〜20mPa・sであり、かつ前記表面張力γが19.2mN/m〜36mN/mであることを特徴とする記録用インク。
R1−O−(CH2CH2O)h−R2 ・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、R1は、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基、又は炭素数6〜14の分岐していてもよいパーフルオロアルキル基を表す。R2は、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
R1−COO−(CH2CH2O)h−R2 ・・・構造式(2)
ただし、前記構造式(2)中、R1は、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。R2は、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
- 着色剤の記録用インクにおける含有量が、固形分濃度で、5質量%〜15質量%である請求項1に記載の記録用インク。
- 多価アルコールがグリセリンを含み、かつ該グリセリンの湿潤剤における含有量が50質量%以上である請求項1から2のいずれかに記載の記録用インク。
- シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクから選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の記録用インク。
- 顔料における親水基が、カルボキシル基である請求項1から4のいずれかに記載の記録用インク。
- グリセリンと、該グリセリン以外の多価アルコールとの質量比(グリセリン:グリセリン以外の多価アルコール)が、1:5〜5:1である請求項1から5のいずれかに記載の記録用インク。
- グリセリン以外の多価アルコールが、1,3−ブタンジオールである請求項6に記載の記録用インク。
- 粘度ηが7mPa・s〜15mPa・sであり、表面張力γが、25mN/m〜32mN/mであり、γ/η≦4である請求項1から7のいずれかに記載の記録用インク。
- 自己乳化型シリコーン系消泡剤の含有量が0.001質量%〜3質量%である請求項1から8のいずれかに記載の記録用インク。
- 請求項1から9のいずれかに記載の記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1から9のいずれかに記載の記録用インクと、該記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段と、記録後の記録媒体の記録面に風を当てて予備乾燥するための送風手段とを少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 送風手段が、記録媒体の排紙方向に風を当て、かつインク飛翔手段に風が当たらないように配置された請求項11に記載のインクジェット記録装置。
- 送風手段がヒーターを備え、該ヒーターの作動により温風を記録媒体の記録面に当てる請求項11から12のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
- 請求項1から9のいずれかに記載の記録用インクに刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程と、記録後の記録媒体の記録面に風を当てて予備乾燥するための送風工程とを少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- ノズル近傍での水分蒸発率が30%を超える前に、記録媒体上にインクを吐出させる請求項14に記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上にインクが付着後5秒以内に送風が行われる請求項14から15のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 記録媒体上に請求項1から9のいずれかに記載の記録用インクを用いて記録された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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