JP2004142140A - インクジェット記録装置および複写機 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録装置において、省資源化を目的として両面印写を行うようにするとともに、両面の高画質を得ることにある。
【解決手段】400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2 〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射し、記録ヘッドのノズル面に記録媒体を搬送して記録を行う。記録媒体Paは、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるとともに、印写後の非印写面が再度記録部70に搬送される。記録部70は加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて前記記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段90を有するとともに、該裏面側加熱手段90とは別に、前記記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段91を有する。
【選択図】 図9
【解決手段】400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2 〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射し、記録ヘッドのノズル面に記録媒体を搬送して記録を行う。記録媒体Paは、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるとともに、印写後の非印写面が再度記録部70に搬送される。記録部70は加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて前記記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段90を有するとともに、該裏面側加熱手段90とは別に、前記記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段91を有する。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体の両面に記録を行う液体噴射記録装置/複写機に関し、記録面に付着せしめられた記録に用いられる液体を乾燥定着させることができる定着装置およびそれを備える記録装置/複写機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノンインパクト記録法は、記録時における騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点において、最近、関心を集めている。その中で、高速記録が可能であり、しかも、所謂普通紙に特別の定着処理を必要とせずに記録の行える所謂インクジェット記録法は、極めて有力な記録法であって、これまでにも様々な方式が提案され改良が加えられて商品化されたものもあれば、現在もなお実用化への努力が続けられているものもある。
このようなインクジェット記録法は、所謂インクと称される記録液体の小滴(droplet)を飛翔させて記録部材に付着させて記録を行うものであって、この記録液体の小滴の発生法及び発生された記録液体小滴の飛翔方向を制御するための方法によって、以下のように種々の方式がある。
【0003】
例えば、Tele type方式(特許文献1参照)のものであって、記録液体の小滴の発生を静電吸引的に行い、発生した記録液体小滴を記録信号に応じて電界制御し、記録部材上に記録液体小滴を選択的に付着させて記録を行う静電吸引型のものがある。
【0004】
また、Sweet方式(特許文献2,3参照)のものであって、連続振動発生法によって帯電量の制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された帯電量の制御された小滴を一様の電界が掛けられている偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を行う連続流型、荷電制御型のものがある。
【0005】
また、他の方式として、Hertz方式(特許文献4参照)のものであって、吐出口とリング状の帯電電極間に電界を掛け、連続振動発生法によって記録液体の小滴を発生霧化させて記録する方式のものがある。即ち、この方式では、吐出口と帯電電極間に掛ける電界強度を記録信号に応じて変調することによって小滴の霧化状態を制御し、記録画像の階調性を出して記録する。
【0006】
さらに、他の方式として、Stemme方式(特許文献5参照)のものがある。この方式は前記3つの方式とは根本的に原理が異なるものである。即ち、前記3つの方式は、何れも吐出口より吐出された記録液体の小滴を飛翔している途中で電気的に制御し、記録信号を担った小滴を選択的に記録部材上に付着させて記録を行うのに対して、このStemme方式は、記録信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録するものである。つまり、Stemme方式は、記録液体を吐出する吐出口を有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素子に電気的な記録信号を印加し、この電気的記録信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って前記吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録部材に付着させることで記録を行うもので、いわゆる、ドロップオンデマンド型と呼ばれているものである。
【0007】
さらに、他の方式として、先に本出願人が提案した方式(特許文献6参照)がある。この方式も記録信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録するいわゆるドロップオンデマンド型であるが、液室内のインクを加熱してインクの中で気泡を発生せしめ、その気泡の作用力により吐出口よりインク滴を吐出させる、いわゆる、バブルインクジェット型と呼ばれているものである。
【0008】
上述のように、インクジェット記録法は、その原理によって様々な方式があるが、共通していえることは所謂インクと称される記録液体の小滴(droplet)を飛翔させて記録部材に付着させて記録を行うという非常に単純な原理による記録方式であるという点である。それゆえ、近年、本格的な実用化/普及が著しく、銀塩写真画質に匹敵するものすら登場し始め、単なるプリンターから、各種応用が模索され始めてきている。そのような一環として、省資源化、複写機応用などが検討されはじめてきており、記録媒体の全幅にわたってノズル形成される、いわゆる長尺化マルチノズル化されたものも検討されているが、このような長尺化した記録ヘッドにおいては、比較的短期間にインクが多量に吐出されるので、従来の記録ヘッドに比べてインク吐出量が増大し、記録媒体の記録面で乾燥に時間がかかるようになる。また、インク吐出口の数量が増大し記録速度がより速くなるに従い、記録媒体の記録面に付着したインクは、混色に起因したインクのにじみにつながるおそれがあるので、インクを記録媒体の記録面に定着させる必要がある。
【0009】
従来よりインクを記録媒体の記録面に定着させる有効な方法としては、記録媒体の記録面に付着したインクに対する加熱により乾燥させる加熱式の熱定着が提案されている。しかしながら、近年の記録ヘッドの長尺化によるインクの多量化にともなう記録媒体の記録面での乾燥に関しては、まだ、開発が始まったばかりであり、決め手となる技術が確立していない。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第3060429号明細書
【特許文献2】
米国特許第3596275号明細書
【特許文献3】
米国特許第3298030号明細書
【特許文献4】
米国特許第3416153号明細書
【特許文献5】
米国特許第3747120号明細書
【特許文献6】
特公昭56−9429号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、その目的は、
第1に、インクジェット記録装置において、省資源化を目的として両面印写を行うようにするとともに、両面の高画質を得ることにある。
第2に、このような両面印写を行うようにした新規な構成の記録装置を提案することにある。
第3に、インクジェット記録原理を利用する新規な構成の複写機を提案することにある。
第4に、両面印写を行うようにした新規な構成の複写機を提案することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、
第1に、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2 〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定し、該マルチノズル型インクジェット記録ヘッドのノズル面に相対する位置に前記記録媒体を搬送して記録を行うインクジェット記録装置において、前記記録媒体は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるとともに、前記記録媒体の印写後の非印写面を再度印写部に搬送する搬送経路を有するインクジェット記録装置であって、該インクジェット記録装置は加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて前記記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有するとともに、該記録媒体加熱手段とは別に、前記記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有するようにした。
【0013】
第2に、上記第1のインクジェット記録装置において、複数種類の記録媒体と該記録媒体を収容する複数個の収容部材とを有し、少なくとも1種類の記録媒体は、表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体であるとともに、該記録媒体を収容する収容部材は、他の収容部材と識別可能であるようにした。
【0014】
第3に、原稿台上に載置される原稿画像を読み取ることにより、その原稿について順次、画像データを形成するスキャナ部と、該スキャナ部からの画像データに基づいて記録媒体の被記録面に対してインクを吐出し付着させることにより、記録動作を行う記録部と、該記録部の下方に配され、記録動作に応じて所定のタイミングで前記記録媒体を排出する排紙搬送手段とよりなるインクジェット複写機において、前記記録部は、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2 〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定し、該マルチノズル型インクジェット記録ヘッドのノズル面に相対する位置に前記記録媒体を搬送して記録を行うインクジェット複写機であって、該インクジェット複写機は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体を使用するとともに、前記記録媒体の印写後の非印写面を再度印写部に搬送する搬送経路を有し、加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて前記記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有するとともに、該記録媒体加熱手段とは別に、前記記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有するようにした。
【0015】
第4に、上記第3のインクジェット複写機において、複数種類の記録媒体と該記録媒体を収容する複数個の収容部材とを有し、少なくとも1種類の記録媒体は、表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体であるとともに、該記録媒体を収容する収容部材は、他の収容部材と識別可能であるようにした。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のインクジェット記録装置に使用されるマルチノズル型インクジェット記録ヘッドの一例を説明するための部分斜視図である。ここで示したインクジェット記録ヘッドの構造は、ノズル配列が400dpi〜3200dpiといった高密度配列が容易に実現できるサーマルインクジェットの例であるが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。図1において、1は発熱体基板、16は流路、17はノズル(吐出口)、18は共通液室、19は天井板、20は接合層、21は流路障壁である。この例では3ノズル分のみ示しているが、実際には、後述するように記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化されたマルチノズル型インクジェット記録ヘッドであり、矢印方向(記録媒体の被印写幅方向)にノズルが数千〜数万個配列されている。
【0017】
図2は、このようなサーマルインクジェット記録ヘッドに使用される発熱体基板を示したものであり、図2(A)は斜視図、図2(B)は図2(A)の矢視A−A線断面図で、発熱体部近傍の詳細を示す断面図であり、図中、1は発熱体基板、2は第1電極(制御電極)、3は第2電極(アース電極)、4、5はボンディングパッド、7は基板、8は蓄熱層(SiO2)、9は発熱体(HfB2)、10は電極(Al)、11は保護層(SiO2)、12は電極保護層(Resin)、13はさらに別の保護層、14は発熱体部、15は電極部である。なお、煩雑を避けるため、図2(A)には要部となる発熱体と電極部のみを示している。
【0018】
発熱体基板1は、図2(B)に示すように、アルミナ等のセラミック、ガラスあるいはSiなどの基板7上に、スパッタリングなどの薄膜形成技術やフォトエッチングなどのパターン形成技術により、蓄熱層(SiO2)8、発熱体(HfB2)9、電極(Al)10、保護層(SiO2)11、電極保護層(Resin)12、別の保護層13を順次形成し、表面部に発熱体部14と電極部15を構成している。各発熱体9は、図2(A)に示すように、それぞれ第1電極(制御電極)2、第2電極(アース電極)3に接続され、また、それぞれの電極は、その端部に第1電極2にはボンディングパッド4が、第2電極3にはボンディングパッド5を有し、該ボンディングパッド4、5は、外の画像情報入力手段(図示せず)に接続され、各々の発熱体9は独立に駆動可能である。なお、第2電極3は、複数個の発熱体9すなわち(第1電極)2に対して1つの共通の第2電極とすることも可能である。また、この例のように、1つ1つの発熱体を独立に駆動するような構成ではなく、マトリックス駆動を行う構成としてもよい。このような発熱体9の列はノズル配列と同様に、例えばその配列密度は、400dpi〜3200dpiとされ、また、必要とされる記録媒体の印写幅に応じて、数千〜数10万個のノズルおよび発熱体が設けられる。
【0019】
基板7上には蓄熱層8を形成する。この蓄熱層8は、後述の発熱体9で発生した熱が基板7の方へ逃げないようにするためのものである。つまり発生した熱を効率良くインクの方に伝達し、インク中で安定した気泡を発生させるようにするためのものである。通常、蓄熱層8としては、SiO2が用いられ、SiO2をスパッタリング等の成膜技術を用い1μm〜5μmの膜厚に形成する。
【0020】
図2(B)に示すように、蓄積層(SiO2)8の上には発熱体9の層が形成されるが、該発熱体9を構成する材料として有用なものには、タンタル−SiO2の混合物、窒化タンタル、ニクロム、銀−パラジウム合金、シリコン半導体、あるいはハフニウム、ランタン、ジルコニウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、クロム、バナジウム等の金属の硼化物があげられる。金属の硼化物のうち最も特性の優れているのは、硼化ハフニウム(HfB2)であり、次いで、硼化ジルコニウム、硼化ランタン、硼化タンタル、硼化バナジウム、硼化ニオブの順となっている。
【0021】
発熱体9は、前述の材料を用いて、電子ビーム蒸着やスパッタリング等の手法により形成することができる。発熱体9の膜厚は、単位時間当りの発熱量が所望通りとなるように、その面積や材質および熱作用部分の形状および大きさ、さらには実際面での消費電力等にしたがって決定されるものであるが、通常の場合、膜厚は、0.001μm〜5μm、好適には0.01μm〜1μmとされる。本発明の実施例では、HfB2を2000Å(0.2μm)の厚さにスパッタリングした例を示した。
【0022】
電極10を構成する材料としては、通常使用されている電極材料の多くのものが有効に使用され、具体的には、例えば、Al、Ag、Au、Pt、Cu等があげられる。これらを使用して、蒸着等の手法で所定位置に所定の大きさ、形状、厚さで設けられる。本発明では、Alをスパッタリングにより1.4μm形成した。
【0023】
保護層11に要求される特性は、耐インク腐食性や、気泡の消滅による衝撃力からの保護(耐キャビテーション性)であるとともに、発熱体9で発生させた熱を、感熱紙やインクリボン、あるいは記録液体であるインクに効果的に伝達することである。
保護層11を構成する材料として有用なものには、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等があげられ、電子ビーム蒸着やスパッタリング等の手法を用いて形成することができる。また、炭化ケイ素、酸化アルミニウム(アルミナ)等のセラミック材料も好適に用いられる材料である。
保護層11の膜厚は、通常0.01μm〜10μm、好適には0.1μm〜5μm、最適には0.1μm〜3μmとされるのが望ましい。本発明では、スパッタリングにより、SiO2を1.2μm形成した。
【0024】
図2(B)には、さらに電極保護層12や別の保護層13の例を示しているが、電極保護層12としてResin層を2μm形成した。これは必要に応じて設けられるが必ずしも必要ではなく省略してもよい。保護層13の材料は、耐キャビテーション性を考慮してタンタル(Ta)が好適に用いられる。発熱体領域では気泡発生によるキャビテーション衝撃力が加わるため、破壊から保護するために、Taをスパッタリングにより4000Å(0.4μm)形成することにより、良好な性能が得られる。
【0025】
このような発熱体基板1を用いてインクジェット記録ヘッドを構成することができるが、具体的には図3に示すような工法で製作することができる。なお、図3において、19は天井板、20は接合層、21は流路障壁、22はフォトレジスト、23はフォトマスクである。インクジェット記録ヘッドの製作工程を、以下の(A)〜(F)によって説明する。
【0026】
(A)発熱体基板を用意する(図3(A))。
発熱体基板1は、基板7に発熱体9と発熱体9を保護絶縁する保護層11が形成されている。
【0027】
(B)発熱体基板にフォトレジストをコーティングする(図3(B))。
図3(A)に示した発熱体基板1の上に、例えば、粘度が1000cP〜2000cP(センチポアーズ)のフォトレジスト22をスピンコーティング、ディップコーティングあるいはローラーコーティングによって3μm〜30μm程度の厚さにコートする。この厚さは、最終的に流路障壁21の高さになり、発熱体9の配列密度(印写密度)によってその高さも変わってくる。20μm以上の厚さのフォトレジスト22の層を得たい場合には、液状のフォトレジストではなく、ドライフィルムタイプのフォトレジストを用いればよい。続いて、図3(B)に示すように、発熱体基板1面に設けたフォトレジスト22上に所定のパターンを有するフォトマスク23を重ね合わせた後、該フォトマスク23の上部から露光を行う。このとき、発熱体9の設置位置と前記パターンの位置合わせを行っておく必要がある。
【0028】
(C)流路障壁を形成する(図3(C))。
フォトレジスト22、露光したフォトレジスト22の未露光部を炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ現像液により除去し、流路障壁21を形成する。除去部分は発熱体9を有する凹部となり、流路16、共通液室18を構成する。
【0029】
(D)流路ならびに共通液室の天井となる基板を作成する(図3(D))。
流路16、共通液室18の天井となる基板は、接合層20と天井板19とを接合したもので、この接合したものが天井板となる。
【0030】
(E)基板を流路障壁に接合する(図3(E))。
発熱体基板1と天井板19となるガラス基板とをフォトレジスト22と接合層20を向かい合わせて接合する。その際、熱硬化処理(例えば、150℃〜250℃で30分〜60分加熱)、または紫外線照射(例えば、50mW/cm2 〜200mW/cm2、またはそれ以上の紫外線強度)を行い、耐インク性向上ならびに接合強度向上をはかる。
【0031】
(F)吐出口を形成する(図3(F))。
最後に、発熱体9側の開口近傍のY−Y線の部分を、ダイシングによって切断し、吐出口17を形成し、インクジェット記録ヘッドとして完成する。この場合、ノズルサイズはレジスト厚さに準じて、3μm×3μm〜30μm×30μmとなる。
【0032】
なお、他の製作手段としては、流路ならびに共通液室部をポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリイミドなどの樹脂の一体成形で製作する方法がある。
【0033】
また、流路先端部に樹脂フィルムを配し、エキシマレーザー等の手段で吐出口を穿孔し、ノズル形成を行う手段も好適に用いられる。エキシマレーザーによる吐出口穿孔方法はマスク形状によって任意の形状のノズルが形成できるので、丸形状にしたり、多角形、あるいは星型の放射状形状等、インク吐出特性との関係を考慮してその形状を決定できるので有利な方法といえる。この場合もポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリイミドなどの樹脂が良好に使用できる。本発明では、より好適なノズルサイズは、3μm×3μm〜25μm×25μmとされる(この例は四角形ノズルであるが、断面積でいうならば約10μm2 〜600μm2であり、他のノズル形状の場合は、この断面積をもとに寸法が換算される)。これは主として最終的な印写密度によって決められるが、他の因子としては、インクの乾燥の問題も考慮される。なぜなら、あまりに大きなノズル、たとえば、30μm×30μmより大(断面積でいうならば約1000μm2以上)のノズルの場合、インク滴も大となり、本発明のように紙幅全域にわたって配列されたノズルから全面印写を行った場合、インクの乾燥に多大な時間がかかるからである。
【0034】
インクの乾燥に関していうならば、インクの体積はノズルの1辺(個々では今矩形ノズルとして説明)に対して3乗で効いてくるため、前述のように1辺が25μm以下(断面積換算で、約600μm2以下)になると1滴のインク滴の体積も急激に小さくなるので、大変有利となる。
【0035】
次に、このようなインクジェット記録ヘッドによるインク噴射の原理を、図4によって簡単に説明する。図4において、31はインク、32は気泡、33は吐出口、34は流路、35は発熱体基板、36は発熱体、37は第1電極(制御電極)、38は第2電極(アース電極)、39はインク滴である。発熱体36には、第1電極37、第2電極38を介し画像情報に応じて信号パルスが入力され、該入力パルスに応じてインク中で気泡32が発生し、該気泡の作用力により、流路34のインク31の一部が、吐出口33より、インク滴39として噴射され、記録媒体(例えば紙)に記録するというものである。
【0036】
ここで、信号パルスの継続時間は、数μs〜10数μsが望ましく、長くても30μsまでとされる。これは、いったん発熱体36上に気泡32が発生すると、その後は発熱体36の熱を気泡32がブロックしてしまうため、気泡32の大きさはほとんど変化することがなく、不必要に長時間通電しても、無駄になるだけでなく、発熱体36を破損せしめるからである。通電を止めた後、気泡32は、発熱体基板35および周囲のインク31により、熱を奪われ、収縮して消滅する。この説明から明らかなように、本発明にインク噴射原理に作用する気泡32は、非常に短時間の間に急激に加熱されることによって得られる気泡であり、伝熱工学の分野で、いわゆる膜沸騰と呼ばれている現象の気泡であり、発生〜消滅の繰り返し再現性が非常に良いものである。
【0037】
また、他の吐出原理として、図4に示した発熱体36の位置を吐出口33に近づけ、より微小なインク滴を吐出するようにしたり、あるいは発生した気泡が吐出口33の外側までせり出す、あるいは破裂するようにしてもよい。
また、上記説明はインクジェット記録ヘッドの製作方法も含めて、すべてサーマルインクジェット方式の例をもとに行ったが、ピエゾ素子を利用するようなインクジェット方式であってもよい。
なお、他のインクジェット方式として、荷電制御方式(連続流型ともいう)もあるが、構造が複雑なので、本発明には上記のようなサーマルインクジェット方式あるいはピエゾ素子等を利用するようなオンデマンド型(必要に応じてインク滴を吐出するタイプ)のインクジェット方式が好適に使用される。
【0038】
また、本発明では、印写幅をカバーするようにマルチノズル化されるが、記録ヘッドの駆動周波数(インク滴吐出頻度)は、1ノズルあたり、数kHz〜40kHzでオンデマンドで駆動して使用される。荷電制御方式の場合、1ノズルあたり、100kHz〜1MHzでインク滴を形成する(1秒に100000個〜1000000個のインク滴を形成する)能力があるが、本発明では印写幅をカバーするようにマルチノズル化されるのでそこまでのインク滴形成能力は必要はなく、1ノズルあたり、数kHz〜40kHzで駆動すれば十分である。
【0039】
図5は、本発明のような複数個のインク吐出口が記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化されたマルチノズル型インクジェット記録装置の記録部70を示すものである。記録部70は、各記録ヘッド70C、70M、70Y、および、70Bと、後述する加熱式定着装置76とを内臓するヘッドブロック72を備えている。ヘッドブロック72は、記録媒体(用紙Pa)の搬送路に沿った両端部にそれぞれ設けられる突起部72Aを介して記録部70内部に支持されている。
【0040】
記録ヘッド70C、70M、70Y、および、70Bは、それぞれ、順次、用紙Paの搬送路の上流側から下流側に向けて所定の相互間隔をもって配されている。その際、記録ヘッド70C〜70Bは、それらのヘッドのすべての吐出口面によって形成される平面の平面度が数十ミクロン程度以内になるようにヘッドブロック72に位置決め固定されている。
各記録ヘッド70C、70M、70Y、および、70Bは、それぞれ、例えば、前述のようなサーマルインクジェット方式とされ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクを吐出するものとされる。即ち、各記録ヘッド70C〜70Bは、その吐出口に通じる液流路に電気熱変換体としてのヒータを有し、そのヒータによりインクが加熱されることにより形成されるインク滴を吐出するものとされる。各記録ヘッド70C〜70Bは、用紙Paの搬送方向に対し略直交する方向に沿って配列される複数の吐出口を有している。複数の吐出口は、用紙Paの記録面における搬送方向に対し略直交する方向の全幅に亘って形成されている。
【0041】
各記録ヘッド70C、70M、70Y、および、70Bの記録動作は、同一の1枚の用紙Paに対してそれぞれ行うものとされ、例えば、1番目に記録ヘッド70Cが記録し、2番目に、記録ヘッド70Cが記録した記録面に重ね、または、新たな位置に記録し、3番目に記録ヘッド70Yがさらに同様に記録し、そして、最後に記録ヘッド70Bが、記録するものとされる。なお、記録ヘッド70C〜70Bは、インクを吐出するものに限られることなく、例えば、少なくとも1つの記録ヘッドが、インクを不溶化する処理液を吐出するものであってもよい。あるいは、インク吐出前に用紙Paに用紙Pa上で画素が必要以上に広がったりにじんだりしないようにするための処理液を吐出するものであってもよい。なお、各色の印写順序は、必ずしも個々に示した順番である必要はない。
【0042】
このようなインクジェット記録方式においては、被記録材に対して付着されたインクが被記録部材中に浸透することにより、そのインクが被記録部材に対して定着する。あるいは、付着されたインクは、インクの溶媒の蒸発プロセスを経て被記録材上に定着される。
【0043】
しかし、このインクが付着してから定着するまでの時間、つまり、定着速度は、被記録材の構成・物性に大きく依存されるだけでなく、外部雰囲気の状態によっても大きく左右される。また、自然に定着する速度は、物理特性によってある時間より短くすることはできない。
【0044】
上述したように、インクが被記録材上に付着し浸透する速度は、また、使用するインクの組成によっても大きく変わる。
通常、インクの組成に関しては、そのインクの被記録材に対する浸透性の大小によって区別されることが多い。一般的には、浸透性が高いインクは、被記録材に対する浸透速度が速いため定着性という観点からみると、有利であるが、反面、浸透し過ぎるために、被記録材に対するにじみが多く画像品位が低下することが問題となる。また、インクが被記録材中に深く浸透するため、画像濃度の低下にもつながりやすい。
【0045】
これに対して、浸透性の低いインクを使用すると、上述したように、浸透するまでに時間を要し、定着性という観点からいうと、本発明のような高速性が要求される記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化されたマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを用いた装置においては、多色印字の場合、各インク色間でのインクの混色やにじみ、被記録材の排出時の画像のこすれ、いわゆる、耐擦過性の問題が生ずる。よって、定着性、画像濃度、にじみ、耐擦過性を考慮した装置の構成が重要となる。
【0046】
さらに、後述するが、使用する用紙もインクがにじまずに瞬時に吸収されるような物質を表面に塗工したコーティング紙を用いる。例えば、微粉ケイ酸などの粒子状物質を塗工したコーティング紙を用いるのがよい。
従来のシリアルスキャン記録装置では、そのような定着性は、記録速度の関係上ある程度簡単な構成で対処できるものが多かった。
【0047】
しかし、特に、本発明の実施例のような高速記録およびカラー記録が行われてくると上述したように被記録材に打ち込まれたインクを所望の状態に被記録材上に定着させるために定着速度の短縮化と効率化を行うための以下に述べられるような加熱式定着装置76を設けることが望ましい。
加熱式定着装置76は、例えば、図5に示されるように、搬送路における記録ヘッド70Bに対して下流側とし、かつ、比較的近い位置に対応して設けられている。今ここでは加熱式定着装置76として、ハロゲンヒータ84と、ハロゲンヒータ84からの熱線を反射させる反射板82とよりなる例を示す。
この例のように、本発明では、記録媒体(用紙Pa)の被印写面側を非接触加熱している。つまり印写部を表面から加熱するようにしているので、水などのインク中の揮発成分を効率的に乾燥させることができる。
【0048】
ここでは加熱式定着装置76として、加熱部としてのハロゲンヒータ84と、ハロゲンヒータ84からの熱線を反射させる反射板82と、ハロゲンヒータ84と搬送路との間を仕切る加熱部遮蔽部材86と、ハロゲンヒータ84からの熱の記録ヘッド70Bへの熱伝達を断つ断熱部としての断熱装置78とを含んで構成されているものを例としてあげているが以下に簡単に説明する。
【0049】
ハロゲンヒータ84は、本実施例において、記録部70における用紙Paの搬送方向の最下流側の近傍に記録ヘッド70Bに隣接して配置されている。これは、画像記録終了後、直ちにハロゲンヒータ84によって加熱定着する必要があるからである。このハロゲンヒータ84は、その記録面を非接触加熱している。これにより、記録面が乾燥され、インクの乾燥が促進され、定着速度が大幅に向上することとなる。さらに非接触であるため、用紙Pa記録面上のドット形状が崩れることを回避でき、画像品質を落とすことなく、乾燥できるという利点がある。
ハロゲンヒータ84は、後述する制御ユニット100により、用紙Paの搬送および記録部70の記録動作に応じた所定のタイミングで加熱動作が制御される。また、ハロゲンヒータ84には、ハロゲンヒータ84の温度を制御するサーモスタット(不図示)が備えられている。サーモスタットにより設定される温度により、定着温度は、被記録部材の紙質、搬送スピード、画像濃度等の条件に合わせ適切に制御されている。
なお、用紙Paのインクの付着している面(記録面)を加熱する加熱部としては、ハロゲンヒータ84に限られることなく、例えば、ハロゲンランプ、シーズヒータ、セラミックヒータ、サーミスタ等であってもよい。
【0050】
また、加熱部遮蔽部材86は、用紙Paのジャム時の安全面を考慮して金網等で作られハロゲンヒータ84の表面を下方側から覆う位置に配されている。
断熱装置78に一端が連結される反射板82は、例えば、光輝合金アルミ等で作られ、ハロゲンヒータ84を上方から覆うような湾曲部を有している。反射板82の湾曲部は、ハロゲンヒータ84からの熱線が、反射板82の湾曲部の内面により反射され、その熱線が記録面に最も効率よく到達するように設定されている。なお、このような反射板82以外に、例えば、レンズ系の光学系によってランプ光源の光を用紙Paのインクの付着している面(記録面)に集光するようにしても良い。また反射板とこのようなレンズ系光学系を組合せた光/熱集光光学系とすると、より効率よく乾燥させるようにすることができる。
【0051】
断熱装置78は、図5に示されるように、ヘッドブロック72における記録ヘッド70Bとハロゲンヒータ84との間であって、記録ヘッド70Bに近接して連結されている。断熱装置78は、例えば、放熱性の良いアルミ合金製等からなる板状の部材あるいは耐熱性のプラスチック材料に、アルミシート等の放熱性の良い材料を貼り合せたもので作られている。断熱装置78は、略長方形の筒状断面形状を有している。即ち、断熱装置78には、その内部に記録ヘッド70Bの吐出口配列方向に沿って広がる空気層80が形成されている。また、断熱装置78の上下方向の両端部は、それぞれ、外部に対して開口している。
従って、ハロゲンヒータ84からの熱の記録ヘッド70Bへの熱伝達が断たれ、高熱による記録ヘッド70C〜70Bの昇温が防止される。また、ハロゲンヒータ84から発せられた熱は、反射板82を介して断熱装置78に伝導されるとともに放熱されることとなる。
【0052】
次に、本発明の特徴について図6を用いて説明する。図6は、図5に示した複数個のインク吐出口が記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化されたマルチノズル型インクジェット記録装置の記録部70の矢印A方向から見た部分的模式図を示すものである。この図より明らかなように、本発明では、加熱手段90は、記録媒体(Pa)の幅方向に長尺化されたマルチノズル型記録ヘッド70Y、70B等によって印写される被印写幅より大きい範囲をカバーするようにしている。つまり、このように加熱手段によって加熱される領域が、被印写幅より大きい範囲とすると被印写幅のみ加熱するようにした場合に比べて加熱能力に余裕があるので、効率良くインク乾燥が行える。なおより好適には、図6に示したように、このような加熱手段によって加熱される領域を、記録媒体(Pa)の幅より大きい範囲とするともっと効果的である。
【0053】
また、加熱式定着装置76は、記録ヘッド70Bの後に設けている(記録媒体(Pa)の搬送の最下流に設けている)が、このような加熱手段を複数個用意し、各記録ヘッド70C、70M、70Y、70Bに隣接し、それぞれの色のインクでの印写が終了すると同時にインク乾燥を行うようにするとより効果的であると同時に、各色のインクが乾燥する前に混色し、くすんだ色となって画像品質が低下するという不具合も解消することができる。
さらに、記録ヘッド70Cによる印写が始まる前の段階で事前に記録媒体(Pa)を加熱するように記録ヘッド70Cの上流側に加熱手段を配すると、より効果的なインク乾燥を行うことができる。
【0054】
次に、本発明の他の特徴について図7を用いて説明する。図7は、記録媒体(Pa)を被印写面の裏面側からも加熱できるように裏面側加熱手段90を設けた例である。この場合も、裏面側加熱手段90は、その加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びるとともに記録媒体(Pa)の被印写幅より大きい範囲をカバーし、効果的な加熱を行うようにしている。さらに、より効果的な加熱/乾燥は、加熱される領域を記録媒体(Pa)の幅より大きい範囲とすることによって実現できる。
【0055】
図8は、このような裏面加熱手段90を搬送ベルト40に接触させてより効果的に加熱/乾燥を行うようにしたものである。なお、この場合は、記録媒体(Pa)を搬送する搬送ベルト40を介して加熱しているが、他の搬送手段として搬送ベルト40に代えて例えばドラム構造(orローラー)の搬送手段とし、ドラム(ローラー)そのものを加熱ドラム(ローラー)として記録媒体(Pa)を直接加熱するようにするとさらに効果的な加熱/乾燥が可能である。
【0056】
図9は、本発明のさらに他の特徴を説明するための図であり、この例はC、M、Y、B(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインク)という順序で印写され、搬送されてきた紙の印写後の被印写面に、温風付与手段91によって加熱空気流を吹きつけ、非接触手段によってインク中の水分を蒸発させ、乾燥、定着させるものである。
【0057】
本発明に好適に適用される温風付与手段91について、図10によって詳述する。図9あるいは図10の温風付与手段は模式的に描いたものであり、基本的には、送風手段91aと加熱手段91bならびに温風送風口(温風付与領域)91cよりなる。
送風手段91aとしては、図示のようなファン、あるいはポンプ、コンプレッサーならびにそれと組み合わされたアキュムレータなどが使用される。加熱手段91bとしては、ニクロム線のジュール抵抗加熱の他、ハロゲンランプ、シーズヒータ、セラミックヒータなどが使用できる。
【0058】
このような、送風手段と加熱手段の組み合わせによって形成される加熱空気流(温風)は、図の紙面垂直方向に伸びた、別の表現をするならば、マルチノズル列配列方向に伸びた温風送風口(スリット状開口)91cから、印写後の被印写面に吹きつけられる。そして、そのスリット状開口は、記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーすることにより、より効果的にインク中の水分を蒸発させ、乾燥、定着を行うようにしている。
【0059】
次に、その加熱空気流(温風)の温度であるが、より効果的にインク中の水分を蒸発させ、乾燥、定着を行うためには、被記録体(紙が一般的であるが、プラスチックシートなども本発明の被記録体の範疇に入る。)の温度より高い温度である必要がある。これは吹き付けられる温風が、被記録体の温度より低いと水分乾燥にあまり効果的ではないからである。
【0060】
本発明においては、このような温風付与手段によって、インク中の水分を蒸発させ、乾燥、定着を行うが、より効果的な乾燥、定着を行うには図5に示したような加熱式定着装置76や、図7、図8に示したような裏面加熱手段と温風付与手段を組み合わせるのがよい。その際、そのような加熱式定着装置や裏面加熱手段等によって、被記録体はある温度に加熱された状態にあるので、吹き付けられる温風がその温度より低いとあまり効果がない。よって、本発明では、記録後の被記録面表面温度より高い温度の温風を吹き付けるようにしている。
【0061】
好適な一例を挙げると、印写前あるいは印写中、印写後の紙搬送経路中で、記録紙の被記録面が40℃〜65℃に加熱され、印写後にニクロム線ヒータによって加熱された70℃〜150℃の空気をファンによって吹き付けることにより、すばやく乾燥が行われ、印写後の印写物を重ねても裏写りのしない良好な印写物が得られた。
【0062】
次に、本発明の他の特徴について説明する。本発明は、被記録体上(紙面上)の未乾燥のインクを乾燥、定着させる、あるいは被記録体上(紙面上)の未浸透のインクを乾燥、定着させる発明である。このような未乾燥、あるいは未浸透のインクとは、被記録体上(紙面上)でインクメニスカスを形成している状態(インク滴が被記録体上でドーム状になっている状態)、あるいはそこからもう少し時間経過した場合には、そのインクメニスカスが崩れて平らな状態になっているが、いずれにしろ、インクでぬれている状態である。
【0063】
そのような状態において、前述のように温風を吹き付けると、吹き付ける条件によっては、インク中の水分を乾燥させるだけではなく、ぬれたインクを飛散させ、画質劣化を引き起こしかねない。本発明はこの点に鑑み、ぬれたインクを飛散させたり、画質劣化を引き起こしたりしないような条件を検討したものである。
【0064】
一般に、空気は粘性流体であり、その流れには層流と乱流とがある。いま、円管内の流れを考えた場合、管内の各層の流体粒子が管軸に平行して流れるような流れを層流といい、また、各層の流体粒子が互いに入り乱れて不規則に混合しながら進んでいく流れを乱流という。よって、乱流の流れの中に、他の流体(インク滴、インクメニスカスなど)が存在すると、不規則な流れに巻き込まれて、その流体が飛散状態となる。本発明の例で言うならば、不要な飛散インクが飛び交い、画質劣化につながり、そのような状態を作り出すべきではない。
【0065】
より定量的には、流体の動粘性係数をγ、平均流速をu、管の内径をdとした場合に、次式の、
R=ud/γ
によって表される無次元数(これをレイノルズ(Reynolds)数という)が、ある一定の値以下の場合を層流といい、それ以上の場合を乱流という。また、乱流から層流、層流から乱流へと遷移する時のレイノルズ数を臨界レイノルズ(Rc)といい、多くの学者の研究により、
Rc=2310
とされている(普通臨界レイノルズ数という場合、下限臨界レイノルズ数を指すので、ここでもRcの値は下限臨界レイノルズ数である)。
【0066】
具体的に層液を流すにはどうすればよいかというと、例えば、管の内径dが2mmとすると、空気の動粘性係数γは1気圧、100℃の時、約235.1×10−7m2/sであるから上式を変形し、これらの数値を代入すると、
u=Rc×γ/d
=2310×235.1×10−7(m2/s)/2(mm)
≒27.2(m/s)
となり、空気流速を約27.2m/s以下で流せば層流が得られることになる。そして、このような管が記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーするように、マルチノズル列配列方向に多数ならべられる。スリット状の開口の場合は厳密には条件が異なるが、ほぼ同様に考えて差し支えない。
【0067】
上記計算例は一例であるが、このような下限臨界レイノルズ数となるような開口の大きさ、形状、流速などが適宜選択される。図10に(A)(B)2例を示したのは、開口の大きさを変えた場合の例である。
なお、このような条件で生成された本発明の温風は、装置内にこもると、装置そのものが過熱状態になり、電気系統の誤動作を起こしたり、あるいは装置内の機密性が高すぎると高気圧状態となるため、順次生成される温風生成能力が低下する。よって本発明では、装置内の温風排出のための気流経路を考慮するとともに、装置外へ効率よく温風を逃がすための開口を設けている。
【0068】
次に、本発明の他の特徴について図11を用いて説明する。本発明では被記録体(主として紙が使われる)の省資源化を目的として、被記録体両面に印写することを検討した。その際、いったん片面を印写した被記録体Paは、その裏面に印写を行うために、再度印写部に搬送され、印写される。
図11に示すように、Pa進行方向にそって搬送された被記録体Paは、各記録ヘッド70C、70M、70Y、および70Bによって印写され、その後、その用途に応じて、その搬送経路は2つに分かれる。まず、始めに片面印写のみで終了する場合は、そのまま、図の左方矢印にそって排紙され、印写が終了する。
【0069】
次に、両面印写を行う場合には、図の分離爪92に信号が送られ、図の左方矢印方向に行かないように分離爪92が作動し、被記録体Paは両面印写用搬送路93の方に搬送される。両面印写用搬送路93の先には、両面印写用用紙一時収容トレイ94があり収容される。図よりわかるように、分離爪92から分離され、反時計回りに回転し両面印写用搬送路93で搬送される際、印写面は下向きになっている。よって、両面印写用用紙一時収容トレイ94に収容される際も、印写面は下向きになっている。
【0070】
その後、もう片方の面に印写する場合、両面印写用用紙一時収容トレイ94から、搬送ローラ96によって、両面印写用搬送路95の方に搬送されるが、すでに先の印写面は下向きになっているため、図よりわかるように、この両面印写用搬送路95にそって搬送されることにより、次の印写面(裏面)が、印写部において各記録ヘッドのノズル面に相対するようになっている。
ここで、再度、印写された(両面印写が終了した)後、今度は、先の分離爪92を作動させず、そのまま図の左方矢印にそって排紙され、印写が終了する。なお、図では、すべてを記さなかったが、大小の丸は搬送ローラを示している。
【0071】
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。本発明は、前述のように、被記録体はいったん片面印写した後、両面印写用搬送路93、両面印写用用紙一時収容トレイ94、両面印写用搬送路95を通って、記録媒体Paの非印写面(裏面)を再度印写部に搬送するようにしている。その際、問題となるのが、やはり、最初に印写された被記録面のインクの乾燥である。特に、本発明のように、印写幅をカバーするようにマルチノズル化され、1枚の印写が短時間で終了するような記録装置においては、インク乾燥時間が十分とれず、次の印写動作ができる(記録ヘッドにその能力があるという意味)ので、印写後のインク乾燥を十分考慮する必要がある。
【0072】
本発明では、この点に鑑み、前述のように両面印写する場合、片面印写後、両面印写用搬送路93に搬送された被記録体Paの搬送を一時停止させるようにしている。そうすることにより、インク乾燥の時間がとれるようになる。なお、この停止時間は、自然乾燥による場合と、後述のように、強制乾燥による場合、さらに被記録体の構造(後述する)、インクの特性(速乾性/非速乾性)を考慮して適宜決められる。
【0073】
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。図12は、両面印写用搬送路93の途中に加熱手段97を設けた例である。このような加熱手段97は、前述の加熱式定着装置76(図5など参照)や、温風付与手段91(図10など参照)などが好適に使用される。この場合も、このような加熱手段によって加熱される領域を、記録媒体(Pa)の幅より大きい範囲とすると、より効果的である。なお、この加熱手段97によるインク乾燥は、前述のように、被記録体の搬送を一時停止させておこなってもよいし、また、搬送しながらこのような加熱手段97によって乾燥させてもよい。これも、加熱能力、被記録体の構造(後述する)、インクの特性(速乾性/非速乾性)を考慮して適宜決められる。
【0074】
なお、この加熱手段97は、この例では両面印写用搬送路93の途中に設けた例を示したが、両面印写用搬送路95の途中に設けてもよいし、両面印写用用紙一時収容トレイ94に設けて、一時収容されている時に乾燥させてもよい。また加熱手段は複数設けてもよい。
【0075】
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。本発明は、両面印写に適用される発明であるが、その際重要なことは、表裏両面とも高品質な画質が得られることである。本発明ではこの点に鑑み、本発明に使用する記録媒体を図13(記録媒体断面図)に示すように、上下で対称になるようにしたものである。
【0076】
ここでは被記録体の代表例である紙を例に挙げて説明する。
オーソドックスな紙の定義では“紙とは植物繊維を水中に懸濁させた後、水を漉して、薄く平らに絡み合わせたもの”であるが、要は草、木、竹等に代表される植物を分解して得られる繊維の集合体である。そして、洋紙・和紙を問わず紙の原料はセルロース繊維という特徴的な性質を有する素材であり、これを製紙技術という独特の手法で処理し薄層化することで紙が得られる。
【0077】
ここで用いるセルロース繊維は、洋紙の場合、長さ1mm〜3mm、幅20μm〜40μm、厚さ3μm〜6μmの木材繊維で、一般の紙ではこれが10〜100本程度層状に重なって出来上がっている。このような構成をとることによって、紙は極めて多孔性で、セルロース繊維の持つ高い親和性を持った平滑な材料という特質が得られる。和紙は同じセルロース繊維を用いた紙であるが、木材繊維と違って靭皮繊維と称する木材繊維より比較的細長い繊維(幅5μm〜20μm、長さ3mm〜7mm)で、分子構造的にもやや違った特徴を持っており、手抄きまたは機械抄き和紙とに区別される。紙はこのようにセルロース繊維が重なり合ってなり、また各繊維が重なり合ってできる間隙が存在する。
【0078】
紙の定義は前述の通りであるが、単にセルロース繊維が重なり合ってなる紙は、いわば原紙であり、実際に使用されるものは、不透明度、白色度、平滑度、透気度などを高めるために、これらの繊維の間に、タルク、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタンなど粒子径0.2μm〜10μm程度のてん料粒子を繊維間の間隙に充てんしたものである。図13中、基材とはこの原紙、あるいは繊維の間に、タルク、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどを充填したものをさす。
【0079】
また、紙の用途によって、さらに紙表面にカオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、炭酸カルシウム(CaCO3)、サチンホワイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜32H2O)などの粒子径が0.5μm〜1μm程度の粒子をラテックス、デンプンなどのバインダーとともに分散させた塗工液を塗布した塗工紙がある。本発明でいう粒子状物質とは、これらの材料をさし、図示のように、基材である原紙の上下(表裏)にほぼ等量付与され、表裏で同等のインク吸収性能を持つようにし、高画質が表裏で同等に得られるようにしている。
【0080】
以上は紙の説明であるが、OHPシートのように、ポリエチレンフィルム等の樹脂シートを基材として、上記のようなカオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、炭酸カルシウム(CaCO3)、サチンホワイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜32H2O)などの粒子径が0.5μm〜1μm程度の粒子をラテックス、デンプンなどのバインダーとともに分散させた塗工液を塗布したものを、表裏にほぼ等量塗布して使用される。
いずれにしろ、基材の中心線に対して上下で対称になるように粒子状物質を塗布し、表裏で同等の高画質が得られるようにすることがポイントである。
本発明に使用する記録媒体を図13(記録媒体断面図)に示すように、上下で対称になるようにしたものである。
【0081】
このほか、紙の品種として、新聞巻取紙、非塗工印刷用紙(上級、中級、下級、薄葉の各印刷紙)、微塗工印刷用紙(微塗工上質紙、微塗工印刷紙)、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙等)、情報用紙(複写原紙、感光用紙、フォーム紙、PPC用紙、感熱紙等)、包装用紙(クラフト紙、模造紙等)、衛生用紙(ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、タオル用紙等)、雑種紙(建材用原紙、積層板原紙、コンデンサーペーパー、ライスペーパー、グラシンペーパー等)、段ボール原紙(ライナー、中しん原紙等)等々色々ある。
【0082】
いずれにしろ、このようなセルロース繊維が重なり合ってなる紙の表面は、セルロース繊維の太さ、それらが重なりあってできる間隙、さらには上記のような塗工紙の場合には、塗工物質の粒子の大きさ等に依存して、微視的に見ると凹凸形状となっている。このような微視的凹凸形状は、本発明のように400dpi〜3200dpiという非常に高密度に配列され、断面積が10μm2〜600μm2という非常に微細なノズルを利用して高画質記録を行おうとする際、妨げになる重要因子の1つである。
【0083】
前述のように、セルロース繊維は、紙の種類にもよるが、一般に、幅(太さ)が、5μm〜40μm程度である。紙は、通常、そのまま、このような大きさの繊維よりなるものではなく、一般的には紙製造工程において、叩解(こうかい)と呼ばれる繊維に機械的な力を作用させ、柔軟にする工程を経て製作されるため、実際に完成した紙の繊維の大きさはこれよりも小さくなる。通常、叩解を経て製造された紙の繊維の太さ、あるいは厚さは、3μm〜6μm程度である。
【0084】
本発明は、紙(基材)の表面性状(叩解を経て製造された紙の繊維の折り重なった状態が作り出す表面の凹凸、通常は5μm〜10μm程度)を粒子状物質を付与することによって、滑らかに紙、前述の5μm〜10μmの凹凸を1μm〜2μm以下にし、滑らかな状態にして高画質記録を行っている。
【0085】
本発明に使用する記録媒体に要求される他の品質としては、前述のように、上下でほぼ同等の高画質が得られることの他に、表裏から互いにインクのにじみが反対側に現れないよう(視認できない程度)にすることである。本発明では、このような観点から、本発明に使用される記録媒体の基体厚さならびに粒子状物質の塗工量を決めている。具体的には、たとえば、基材厚さを100μm〜500μmとし、粒子状物質として粒子径1μmの炭酸カルシウム(CaCO3)を10g/m2〜100g/m2(両面)とされる。なお、基材を純粋にセルロース繊維のみとせず、前述のようなてん料粒子を繊維間の間隙に充てんしたものに関しては、基材厚さを薄くできるし、また、表裏面に塗工する粒子状物質の量も少なくすることができる。
【0086】
次に、本発明に係る加熱式定着装置の一例が適用されたインクジェット複写機の全体の構成を説明する。従来、いわゆる複写機と称するものは、一般に、電子写真方式によるものを指している。このような電子写真方式は、広く普及してはいるものの、原理が複雑で装置も大変大掛かりなものになるという欠点がある。一方で、インクジェット記録はその原理が大変簡単で、これを記録原理として複写機を構成すると従来にはない画期的にシンプルな複写機が実現できる。
【0087】
図14は、本発明のインクジェット複写機を示しており、図14において、インクジェット複写機は、その原稿台116上に載置される原稿Boにおいて複写される面の画像を読み取ることにより、その原稿Boについて順次、画像データを形成するスキャナ部102と、スキャナ部102からの画像データに基づいて記録媒体としての用紙Paの記録面に対してインクを吐出し付着させることにより、記録動作を行う記録部126と、記録部126の下方に配され、記録部126の記録動作に応じて所定のタイミングで用紙Paを後述する排紙搬送路136に搬送する搬送部134と、搬送部134により搬送される印刷された用紙Pa’を排紙トレー部138上に排出する排紙搬送路136と、給紙部130からの用紙Paを1枚ずつ記録部126に搬送する給紙搬送部132と、記録部126の各記録ヘッドに対して回復処理を選択的に行う回復処理装置124とを含んで構成されている。
【0088】
スキャナ部102は、原稿Boの複写されるべき画像を読み取る原稿走査ユニット104と、原稿走査ユニット104を図14の矢印Sの示す方向、および、その反対方向に沿って移動可能に支持するガイドレール112と、図示が省略されるが、ガイドレール112に支持される原稿走査ユニット104を所定の速度で往復動させる駆動部とを含んで構成されている。
原稿走査ユニット104は、ロッドアレイレンズ106と、カラー情報の読み取りセンサであるカラーイメージセンサとしての等倍型色分解のラインセンサ110と、露光ユニット108とを主要な構成要素として含んで構成されている。
【0089】
原稿走査ユニット104が、駆動部により、透明な材料で作られる原稿台116上の原稿Boの画像を読取るべく矢印Sの方向に移動走査せしめられる場合、露光ユニット108内の露光ランプが点灯され、原稿Boからの反射光がロッドアレイレンズ106により導かれてラインセンサ110に集光される。ラインセンサ110は、その反射光があらわすカラー画像情報をカラー別に読取り、電気的なディジタル信号に変換し、それを後述するインクジェットプリンタ部118における制御ユニット100に画像データとして供給する。従って、記録部126における各カラー別の各記録ヘッドは、それぞれ、これらの画像データに基づく駆動制御パルス信号に応じて記録に用いられる液体、例えば、異なる色のインクの吐出を行うものとされる。
【0090】
給紙部130に積載されて収容される所定の規格サイズの用紙Paは、図示が省略される駆動モータが作動状態とされるとき、1枚ずつピックアップローラユニット130RAにより、取り出され、それが給紙搬送部132に供給される。このようなインクジェット原理の複写機においても、本発明の温風付与手段が適用され、最適な条件で、インク乾燥、定着が行われる。また本発明の温風は、装置内にこもると、装置そのものが過熱状態になり、電気系統の誤動作を起こしたり、あるいは装置内の機密性が高すぎると高気圧状態となるため、順次生成される温風生成能力が低下する。よって装置内の温風排出のための気流経路を考慮するとともに、装置外へ効率よく温風を逃がすための開口が設けられる。
【0091】
図15は、本発明のインクジェット複写機の他の例を示す図で、図中、201はインクジェット記録装置、202は原稿台、203はスキャナ、204は原稿押え、205はカラーインクジェットヘッドユニット、206(206a、206b、206c)は給紙カセット、207(207a、207b、207c)は被記録体(紙)、208は記録後の排出口、210(2101、2102、2103)はプラテンローラ、211(2111、2112、2113)は押えローラ、212(212a、212b、212c)は給紙ローラ群である。なお、各給紙カセット(206a、206b、206c)から出ていく被記録体(207a、207b、207c)は、それぞれ一点鎖線で示した通過路(通紙パス)209a、209b、209cを通り、それらが合流した通過路209を通って、カラーインクジェットヘッドユニット205のところへ搬送される。
【0092】
なお、前述の図14およびこの図15とも、それぞれ個々の特徴を示すための図であり、図11、図12で説明した両面印写用搬送路93、両面印写用用紙一時収容トレイ94、両面印写用搬送路95などは図が煩雑になるので図示していない。
【0093】
また、この図15に示した例では、スキャナ203を有し、スキャナ203からの画像信号によって印写記録されるコピアタイプのインクジェット記録装置(インクジェット複写機)を示しているが、図示しないホストコンピュータから画像信号を受けて印写記録されるプリンタタイプのインクジェット記録装置であっても、本発明が適用されることはいうまでもない。
【0094】
この例(図15)に示すように、本発明では、記録媒体を収容する収容部材を複数個設けている(この例では3個)。前述のように、本発明は、両面印写が可能となっている。そしてその両面印写用の記録媒体は、表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体とされ、他の片面印写用の記録媒体とは、構造を異にしている。しかしながら、このような記録部材は、一見同じように見えるため、両面印写を行うつもりで、片面印写用の記録媒体を間違えて使用するという事故がよくおこる。
【0095】
本発明では、この点に鑑み、これら複数個の記録媒体収容部材を識別可能な構成としている。たとえば、3個ある記録媒体収容部材のうち、少なくとも1個は、他の記録媒体収容部材とその形状を変え、他の2個と識別可能とし、そこには両面印写用の表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体を収容し、他の2個には、片面印写用の記録媒体を収容するようにしているのである。この識別は、形状の他に色を変えてもよいし、表面の性状(凹凸など)を変えてもよい。
【0096】
また、図15の例では、3個上下に積層された状態になっているが、その段数をたとえば、両面印写用は必ず一番下の位置というように決めておいてもよい(そして、その情報は、このインクジェット複写機のCPUに登録しておく)。
こうすることによって、記録媒体を間違えて使用することはなくなり、間違いによって間違った記録媒体にミス印写し、記録媒体を無駄にするということが皆無となる。
【0097】
なお、以上の説明はインクジェット複写機の例で説明しているが、このように両面記録用の記録媒体を収容する収容部材を他の収容部材と識別可能であるようにする本発明の考え方は、両面印写を行い、複数個の記録媒体収容部材を有する、スキャナ機能を持たないインクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)にも同様に適用される。
【0098】
【発明の効果】
インクジェット記録装置において、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定して両面印写するようにし、また、記録媒体は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるようにするとともに、加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有し、記録媒体加熱手段とは別に、記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有するようにしたので、高速、高画質印写に加えて、紙の省資源化を実現することができた。
【0099】
両面印写可能なインクジェット記録装置において、両面記録用の記録媒体を表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体とするとともに、この記録媒体を収容する収容部材を他の収容部材と識別可能であるようにしたので、両面記録用の記録媒体と片面記録用の記録媒体の補給をそれぞれ間違いなく行えるようになった。
【0100】
インクジェット原理を利用した複写機としたので、電子写真方式の複写機に比べて原理が簡単で容易にカラー複写機が実現できた。さらに、このようなインクジェット複写機において、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定して両面印写するようにし、また、記録媒体は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるようにするとともに、加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有し、記録媒体加熱手段とは別に、記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有するようにしたので、高速、高画質印写に加えて、紙の省資源化を実現することができた。
【0101】
両面印写可能なインクジェット複写機において、両面記録用の記録媒体を表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体とするとともに、この記録媒体を収容する収容部材を他の収容部材と識別可能であるようにしたので、両面記録用の記録媒体と片面記録用の記録媒体の補給をそれぞれ間違いなく行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用されるインクジェットヘッドの部分斜視図である。
【図2】本発明の一実施例として適用されるサーマルインクジェットの発熱体基板を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施例として適用されるサーマルインクジェットヘッドの製作工程を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施例として適用されるサーマルインクジェットヘッドの動作説明をするための図である。
【図5】本発明の加熱定着装置を含んだ記録部の図である。
【図6】本発明の加熱手段と被印写部との関係を説明するための図である。
【図7】本発明の他の構成の加熱定着装置を含んだ記録部の図である。
【図8】本発明のさらに他の構成の加熱定着装置を含んだ記録部の図である。
【図9】本発明のさらに温風付与手段を含んだ記録部の図である。
【図10】本発明の温風付与手段の詳細例である。
【図11】本発明の両面印写を行う際の記録媒体の搬送方法を説明する図である。
【図12】本発明で両面印写を行う際に加熱装置を設けた例である。
【図13】本発明の両面印写に使用する記録媒体を説明する図である。
【図14】本発明の原理を利用したインクジェット複写機の図である。
【図15】本発明の原理を利用したインクジェット複写機の他の例である。
【符号の説明】
1…発熱体基板、2…第1電極(制御電極)、3…第2電極(アース電極)、4、5…ボンディングパット、7…基板、8…蓄熱層(SiO2)、9…発熱体(HfB2)、10…電極(Al)、11…保護層(SiO2)、12…電極保護層(Resin)、13…保護層、14…発熱体部、15…電極部、16…流路、17…吐出口、18…共通液室、19…天井板、20…接合層、21…流路障壁、22…フォトレジスト、23…フォトマスク、31…インク、32…気泡、33…吐出口、34…流路、35…発熱体基板、36…発熱体、37…第1電極(制御電極)、38…第2電極(アース電極)、39…インク滴、40…搬送ベルト、70…記録部、70C,70M,70Y,70B…記録ヘッド、72…ヘッドブロック、72A…突起部、76…加熱式定着装置、78…断熱装置、80…空気層、82…反射板、84…ハロゲンヒータ、86…加熱部遮蔽部材、90…加熱手段、91…温風付与手段、91a…送風手段、91b…加熱手段、91c…温風送風口、92…分離爪、93…両面印写用搬送路、94…両面印写用用紙一時収容トレイ、95…両面印写用搬送路、96…搬送ローラ、97…加熱手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体の両面に記録を行う液体噴射記録装置/複写機に関し、記録面に付着せしめられた記録に用いられる液体を乾燥定着させることができる定着装置およびそれを備える記録装置/複写機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノンインパクト記録法は、記録時における騒音の発生が無視し得る程度に極めて小さいという点において、最近、関心を集めている。その中で、高速記録が可能であり、しかも、所謂普通紙に特別の定着処理を必要とせずに記録の行える所謂インクジェット記録法は、極めて有力な記録法であって、これまでにも様々な方式が提案され改良が加えられて商品化されたものもあれば、現在もなお実用化への努力が続けられているものもある。
このようなインクジェット記録法は、所謂インクと称される記録液体の小滴(droplet)を飛翔させて記録部材に付着させて記録を行うものであって、この記録液体の小滴の発生法及び発生された記録液体小滴の飛翔方向を制御するための方法によって、以下のように種々の方式がある。
【0003】
例えば、Tele type方式(特許文献1参照)のものであって、記録液体の小滴の発生を静電吸引的に行い、発生した記録液体小滴を記録信号に応じて電界制御し、記録部材上に記録液体小滴を選択的に付着させて記録を行う静電吸引型のものがある。
【0004】
また、Sweet方式(特許文献2,3参照)のものであって、連続振動発生法によって帯電量の制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された帯電量の制御された小滴を一様の電界が掛けられている偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を行う連続流型、荷電制御型のものがある。
【0005】
また、他の方式として、Hertz方式(特許文献4参照)のものであって、吐出口とリング状の帯電電極間に電界を掛け、連続振動発生法によって記録液体の小滴を発生霧化させて記録する方式のものがある。即ち、この方式では、吐出口と帯電電極間に掛ける電界強度を記録信号に応じて変調することによって小滴の霧化状態を制御し、記録画像の階調性を出して記録する。
【0006】
さらに、他の方式として、Stemme方式(特許文献5参照)のものがある。この方式は前記3つの方式とは根本的に原理が異なるものである。即ち、前記3つの方式は、何れも吐出口より吐出された記録液体の小滴を飛翔している途中で電気的に制御し、記録信号を担った小滴を選択的に記録部材上に付着させて記録を行うのに対して、このStemme方式は、記録信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録するものである。つまり、Stemme方式は、記録液体を吐出する吐出口を有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素子に電気的な記録信号を印加し、この電気的記録信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って前記吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録部材に付着させることで記録を行うもので、いわゆる、ドロップオンデマンド型と呼ばれているものである。
【0007】
さらに、他の方式として、先に本出願人が提案した方式(特許文献6参照)がある。この方式も記録信号に応じて吐出口より記録液体の小滴を吐出飛翔させて記録するいわゆるドロップオンデマンド型であるが、液室内のインクを加熱してインクの中で気泡を発生せしめ、その気泡の作用力により吐出口よりインク滴を吐出させる、いわゆる、バブルインクジェット型と呼ばれているものである。
【0008】
上述のように、インクジェット記録法は、その原理によって様々な方式があるが、共通していえることは所謂インクと称される記録液体の小滴(droplet)を飛翔させて記録部材に付着させて記録を行うという非常に単純な原理による記録方式であるという点である。それゆえ、近年、本格的な実用化/普及が著しく、銀塩写真画質に匹敵するものすら登場し始め、単なるプリンターから、各種応用が模索され始めてきている。そのような一環として、省資源化、複写機応用などが検討されはじめてきており、記録媒体の全幅にわたってノズル形成される、いわゆる長尺化マルチノズル化されたものも検討されているが、このような長尺化した記録ヘッドにおいては、比較的短期間にインクが多量に吐出されるので、従来の記録ヘッドに比べてインク吐出量が増大し、記録媒体の記録面で乾燥に時間がかかるようになる。また、インク吐出口の数量が増大し記録速度がより速くなるに従い、記録媒体の記録面に付着したインクは、混色に起因したインクのにじみにつながるおそれがあるので、インクを記録媒体の記録面に定着させる必要がある。
【0009】
従来よりインクを記録媒体の記録面に定着させる有効な方法としては、記録媒体の記録面に付着したインクに対する加熱により乾燥させる加熱式の熱定着が提案されている。しかしながら、近年の記録ヘッドの長尺化によるインクの多量化にともなう記録媒体の記録面での乾燥に関しては、まだ、開発が始まったばかりであり、決め手となる技術が確立していない。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第3060429号明細書
【特許文献2】
米国特許第3596275号明細書
【特許文献3】
米国特許第3298030号明細書
【特許文献4】
米国特許第3416153号明細書
【特許文献5】
米国特許第3747120号明細書
【特許文献6】
特公昭56−9429号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、その目的は、
第1に、インクジェット記録装置において、省資源化を目的として両面印写を行うようにするとともに、両面の高画質を得ることにある。
第2に、このような両面印写を行うようにした新規な構成の記録装置を提案することにある。
第3に、インクジェット記録原理を利用する新規な構成の複写機を提案することにある。
第4に、両面印写を行うようにした新規な構成の複写機を提案することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、
第1に、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2 〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定し、該マルチノズル型インクジェット記録ヘッドのノズル面に相対する位置に前記記録媒体を搬送して記録を行うインクジェット記録装置において、前記記録媒体は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるとともに、前記記録媒体の印写後の非印写面を再度印写部に搬送する搬送経路を有するインクジェット記録装置であって、該インクジェット記録装置は加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて前記記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有するとともに、該記録媒体加熱手段とは別に、前記記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有するようにした。
【0013】
第2に、上記第1のインクジェット記録装置において、複数種類の記録媒体と該記録媒体を収容する複数個の収容部材とを有し、少なくとも1種類の記録媒体は、表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体であるとともに、該記録媒体を収容する収容部材は、他の収容部材と識別可能であるようにした。
【0014】
第3に、原稿台上に載置される原稿画像を読み取ることにより、その原稿について順次、画像データを形成するスキャナ部と、該スキャナ部からの画像データに基づいて記録媒体の被記録面に対してインクを吐出し付着させることにより、記録動作を行う記録部と、該記録部の下方に配され、記録動作に応じて所定のタイミングで前記記録媒体を排出する排紙搬送手段とよりなるインクジェット複写機において、前記記録部は、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2 〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定し、該マルチノズル型インクジェット記録ヘッドのノズル面に相対する位置に前記記録媒体を搬送して記録を行うインクジェット複写機であって、該インクジェット複写機は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体を使用するとともに、前記記録媒体の印写後の非印写面を再度印写部に搬送する搬送経路を有し、加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて前記記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有するとともに、該記録媒体加熱手段とは別に、前記記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有するようにした。
【0015】
第4に、上記第3のインクジェット複写機において、複数種類の記録媒体と該記録媒体を収容する複数個の収容部材とを有し、少なくとも1種類の記録媒体は、表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体であるとともに、該記録媒体を収容する収容部材は、他の収容部材と識別可能であるようにした。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のインクジェット記録装置に使用されるマルチノズル型インクジェット記録ヘッドの一例を説明するための部分斜視図である。ここで示したインクジェット記録ヘッドの構造は、ノズル配列が400dpi〜3200dpiといった高密度配列が容易に実現できるサーマルインクジェットの例であるが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。図1において、1は発熱体基板、16は流路、17はノズル(吐出口)、18は共通液室、19は天井板、20は接合層、21は流路障壁である。この例では3ノズル分のみ示しているが、実際には、後述するように記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化されたマルチノズル型インクジェット記録ヘッドであり、矢印方向(記録媒体の被印写幅方向)にノズルが数千〜数万個配列されている。
【0017】
図2は、このようなサーマルインクジェット記録ヘッドに使用される発熱体基板を示したものであり、図2(A)は斜視図、図2(B)は図2(A)の矢視A−A線断面図で、発熱体部近傍の詳細を示す断面図であり、図中、1は発熱体基板、2は第1電極(制御電極)、3は第2電極(アース電極)、4、5はボンディングパッド、7は基板、8は蓄熱層(SiO2)、9は発熱体(HfB2)、10は電極(Al)、11は保護層(SiO2)、12は電極保護層(Resin)、13はさらに別の保護層、14は発熱体部、15は電極部である。なお、煩雑を避けるため、図2(A)には要部となる発熱体と電極部のみを示している。
【0018】
発熱体基板1は、図2(B)に示すように、アルミナ等のセラミック、ガラスあるいはSiなどの基板7上に、スパッタリングなどの薄膜形成技術やフォトエッチングなどのパターン形成技術により、蓄熱層(SiO2)8、発熱体(HfB2)9、電極(Al)10、保護層(SiO2)11、電極保護層(Resin)12、別の保護層13を順次形成し、表面部に発熱体部14と電極部15を構成している。各発熱体9は、図2(A)に示すように、それぞれ第1電極(制御電極)2、第2電極(アース電極)3に接続され、また、それぞれの電極は、その端部に第1電極2にはボンディングパッド4が、第2電極3にはボンディングパッド5を有し、該ボンディングパッド4、5は、外の画像情報入力手段(図示せず)に接続され、各々の発熱体9は独立に駆動可能である。なお、第2電極3は、複数個の発熱体9すなわち(第1電極)2に対して1つの共通の第2電極とすることも可能である。また、この例のように、1つ1つの発熱体を独立に駆動するような構成ではなく、マトリックス駆動を行う構成としてもよい。このような発熱体9の列はノズル配列と同様に、例えばその配列密度は、400dpi〜3200dpiとされ、また、必要とされる記録媒体の印写幅に応じて、数千〜数10万個のノズルおよび発熱体が設けられる。
【0019】
基板7上には蓄熱層8を形成する。この蓄熱層8は、後述の発熱体9で発生した熱が基板7の方へ逃げないようにするためのものである。つまり発生した熱を効率良くインクの方に伝達し、インク中で安定した気泡を発生させるようにするためのものである。通常、蓄熱層8としては、SiO2が用いられ、SiO2をスパッタリング等の成膜技術を用い1μm〜5μmの膜厚に形成する。
【0020】
図2(B)に示すように、蓄積層(SiO2)8の上には発熱体9の層が形成されるが、該発熱体9を構成する材料として有用なものには、タンタル−SiO2の混合物、窒化タンタル、ニクロム、銀−パラジウム合金、シリコン半導体、あるいはハフニウム、ランタン、ジルコニウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、クロム、バナジウム等の金属の硼化物があげられる。金属の硼化物のうち最も特性の優れているのは、硼化ハフニウム(HfB2)であり、次いで、硼化ジルコニウム、硼化ランタン、硼化タンタル、硼化バナジウム、硼化ニオブの順となっている。
【0021】
発熱体9は、前述の材料を用いて、電子ビーム蒸着やスパッタリング等の手法により形成することができる。発熱体9の膜厚は、単位時間当りの発熱量が所望通りとなるように、その面積や材質および熱作用部分の形状および大きさ、さらには実際面での消費電力等にしたがって決定されるものであるが、通常の場合、膜厚は、0.001μm〜5μm、好適には0.01μm〜1μmとされる。本発明の実施例では、HfB2を2000Å(0.2μm)の厚さにスパッタリングした例を示した。
【0022】
電極10を構成する材料としては、通常使用されている電極材料の多くのものが有効に使用され、具体的には、例えば、Al、Ag、Au、Pt、Cu等があげられる。これらを使用して、蒸着等の手法で所定位置に所定の大きさ、形状、厚さで設けられる。本発明では、Alをスパッタリングにより1.4μm形成した。
【0023】
保護層11に要求される特性は、耐インク腐食性や、気泡の消滅による衝撃力からの保護(耐キャビテーション性)であるとともに、発熱体9で発生させた熱を、感熱紙やインクリボン、あるいは記録液体であるインクに効果的に伝達することである。
保護層11を構成する材料として有用なものには、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等があげられ、電子ビーム蒸着やスパッタリング等の手法を用いて形成することができる。また、炭化ケイ素、酸化アルミニウム(アルミナ)等のセラミック材料も好適に用いられる材料である。
保護層11の膜厚は、通常0.01μm〜10μm、好適には0.1μm〜5μm、最適には0.1μm〜3μmとされるのが望ましい。本発明では、スパッタリングにより、SiO2を1.2μm形成した。
【0024】
図2(B)には、さらに電極保護層12や別の保護層13の例を示しているが、電極保護層12としてResin層を2μm形成した。これは必要に応じて設けられるが必ずしも必要ではなく省略してもよい。保護層13の材料は、耐キャビテーション性を考慮してタンタル(Ta)が好適に用いられる。発熱体領域では気泡発生によるキャビテーション衝撃力が加わるため、破壊から保護するために、Taをスパッタリングにより4000Å(0.4μm)形成することにより、良好な性能が得られる。
【0025】
このような発熱体基板1を用いてインクジェット記録ヘッドを構成することができるが、具体的には図3に示すような工法で製作することができる。なお、図3において、19は天井板、20は接合層、21は流路障壁、22はフォトレジスト、23はフォトマスクである。インクジェット記録ヘッドの製作工程を、以下の(A)〜(F)によって説明する。
【0026】
(A)発熱体基板を用意する(図3(A))。
発熱体基板1は、基板7に発熱体9と発熱体9を保護絶縁する保護層11が形成されている。
【0027】
(B)発熱体基板にフォトレジストをコーティングする(図3(B))。
図3(A)に示した発熱体基板1の上に、例えば、粘度が1000cP〜2000cP(センチポアーズ)のフォトレジスト22をスピンコーティング、ディップコーティングあるいはローラーコーティングによって3μm〜30μm程度の厚さにコートする。この厚さは、最終的に流路障壁21の高さになり、発熱体9の配列密度(印写密度)によってその高さも変わってくる。20μm以上の厚さのフォトレジスト22の層を得たい場合には、液状のフォトレジストではなく、ドライフィルムタイプのフォトレジストを用いればよい。続いて、図3(B)に示すように、発熱体基板1面に設けたフォトレジスト22上に所定のパターンを有するフォトマスク23を重ね合わせた後、該フォトマスク23の上部から露光を行う。このとき、発熱体9の設置位置と前記パターンの位置合わせを行っておく必要がある。
【0028】
(C)流路障壁を形成する(図3(C))。
フォトレジスト22、露光したフォトレジスト22の未露光部を炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ現像液により除去し、流路障壁21を形成する。除去部分は発熱体9を有する凹部となり、流路16、共通液室18を構成する。
【0029】
(D)流路ならびに共通液室の天井となる基板を作成する(図3(D))。
流路16、共通液室18の天井となる基板は、接合層20と天井板19とを接合したもので、この接合したものが天井板となる。
【0030】
(E)基板を流路障壁に接合する(図3(E))。
発熱体基板1と天井板19となるガラス基板とをフォトレジスト22と接合層20を向かい合わせて接合する。その際、熱硬化処理(例えば、150℃〜250℃で30分〜60分加熱)、または紫外線照射(例えば、50mW/cm2 〜200mW/cm2、またはそれ以上の紫外線強度)を行い、耐インク性向上ならびに接合強度向上をはかる。
【0031】
(F)吐出口を形成する(図3(F))。
最後に、発熱体9側の開口近傍のY−Y線の部分を、ダイシングによって切断し、吐出口17を形成し、インクジェット記録ヘッドとして完成する。この場合、ノズルサイズはレジスト厚さに準じて、3μm×3μm〜30μm×30μmとなる。
【0032】
なお、他の製作手段としては、流路ならびに共通液室部をポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリイミドなどの樹脂の一体成形で製作する方法がある。
【0033】
また、流路先端部に樹脂フィルムを配し、エキシマレーザー等の手段で吐出口を穿孔し、ノズル形成を行う手段も好適に用いられる。エキシマレーザーによる吐出口穿孔方法はマスク形状によって任意の形状のノズルが形成できるので、丸形状にしたり、多角形、あるいは星型の放射状形状等、インク吐出特性との関係を考慮してその形状を決定できるので有利な方法といえる。この場合もポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン、ポリイミドなどの樹脂が良好に使用できる。本発明では、より好適なノズルサイズは、3μm×3μm〜25μm×25μmとされる(この例は四角形ノズルであるが、断面積でいうならば約10μm2 〜600μm2であり、他のノズル形状の場合は、この断面積をもとに寸法が換算される)。これは主として最終的な印写密度によって決められるが、他の因子としては、インクの乾燥の問題も考慮される。なぜなら、あまりに大きなノズル、たとえば、30μm×30μmより大(断面積でいうならば約1000μm2以上)のノズルの場合、インク滴も大となり、本発明のように紙幅全域にわたって配列されたノズルから全面印写を行った場合、インクの乾燥に多大な時間がかかるからである。
【0034】
インクの乾燥に関していうならば、インクの体積はノズルの1辺(個々では今矩形ノズルとして説明)に対して3乗で効いてくるため、前述のように1辺が25μm以下(断面積換算で、約600μm2以下)になると1滴のインク滴の体積も急激に小さくなるので、大変有利となる。
【0035】
次に、このようなインクジェット記録ヘッドによるインク噴射の原理を、図4によって簡単に説明する。図4において、31はインク、32は気泡、33は吐出口、34は流路、35は発熱体基板、36は発熱体、37は第1電極(制御電極)、38は第2電極(アース電極)、39はインク滴である。発熱体36には、第1電極37、第2電極38を介し画像情報に応じて信号パルスが入力され、該入力パルスに応じてインク中で気泡32が発生し、該気泡の作用力により、流路34のインク31の一部が、吐出口33より、インク滴39として噴射され、記録媒体(例えば紙)に記録するというものである。
【0036】
ここで、信号パルスの継続時間は、数μs〜10数μsが望ましく、長くても30μsまでとされる。これは、いったん発熱体36上に気泡32が発生すると、その後は発熱体36の熱を気泡32がブロックしてしまうため、気泡32の大きさはほとんど変化することがなく、不必要に長時間通電しても、無駄になるだけでなく、発熱体36を破損せしめるからである。通電を止めた後、気泡32は、発熱体基板35および周囲のインク31により、熱を奪われ、収縮して消滅する。この説明から明らかなように、本発明にインク噴射原理に作用する気泡32は、非常に短時間の間に急激に加熱されることによって得られる気泡であり、伝熱工学の分野で、いわゆる膜沸騰と呼ばれている現象の気泡であり、発生〜消滅の繰り返し再現性が非常に良いものである。
【0037】
また、他の吐出原理として、図4に示した発熱体36の位置を吐出口33に近づけ、より微小なインク滴を吐出するようにしたり、あるいは発生した気泡が吐出口33の外側までせり出す、あるいは破裂するようにしてもよい。
また、上記説明はインクジェット記録ヘッドの製作方法も含めて、すべてサーマルインクジェット方式の例をもとに行ったが、ピエゾ素子を利用するようなインクジェット方式であってもよい。
なお、他のインクジェット方式として、荷電制御方式(連続流型ともいう)もあるが、構造が複雑なので、本発明には上記のようなサーマルインクジェット方式あるいはピエゾ素子等を利用するようなオンデマンド型(必要に応じてインク滴を吐出するタイプ)のインクジェット方式が好適に使用される。
【0038】
また、本発明では、印写幅をカバーするようにマルチノズル化されるが、記録ヘッドの駆動周波数(インク滴吐出頻度)は、1ノズルあたり、数kHz〜40kHzでオンデマンドで駆動して使用される。荷電制御方式の場合、1ノズルあたり、100kHz〜1MHzでインク滴を形成する(1秒に100000個〜1000000個のインク滴を形成する)能力があるが、本発明では印写幅をカバーするようにマルチノズル化されるのでそこまでのインク滴形成能力は必要はなく、1ノズルあたり、数kHz〜40kHzで駆動すれば十分である。
【0039】
図5は、本発明のような複数個のインク吐出口が記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化されたマルチノズル型インクジェット記録装置の記録部70を示すものである。記録部70は、各記録ヘッド70C、70M、70Y、および、70Bと、後述する加熱式定着装置76とを内臓するヘッドブロック72を備えている。ヘッドブロック72は、記録媒体(用紙Pa)の搬送路に沿った両端部にそれぞれ設けられる突起部72Aを介して記録部70内部に支持されている。
【0040】
記録ヘッド70C、70M、70Y、および、70Bは、それぞれ、順次、用紙Paの搬送路の上流側から下流側に向けて所定の相互間隔をもって配されている。その際、記録ヘッド70C〜70Bは、それらのヘッドのすべての吐出口面によって形成される平面の平面度が数十ミクロン程度以内になるようにヘッドブロック72に位置決め固定されている。
各記録ヘッド70C、70M、70Y、および、70Bは、それぞれ、例えば、前述のようなサーマルインクジェット方式とされ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクを吐出するものとされる。即ち、各記録ヘッド70C〜70Bは、その吐出口に通じる液流路に電気熱変換体としてのヒータを有し、そのヒータによりインクが加熱されることにより形成されるインク滴を吐出するものとされる。各記録ヘッド70C〜70Bは、用紙Paの搬送方向に対し略直交する方向に沿って配列される複数の吐出口を有している。複数の吐出口は、用紙Paの記録面における搬送方向に対し略直交する方向の全幅に亘って形成されている。
【0041】
各記録ヘッド70C、70M、70Y、および、70Bの記録動作は、同一の1枚の用紙Paに対してそれぞれ行うものとされ、例えば、1番目に記録ヘッド70Cが記録し、2番目に、記録ヘッド70Cが記録した記録面に重ね、または、新たな位置に記録し、3番目に記録ヘッド70Yがさらに同様に記録し、そして、最後に記録ヘッド70Bが、記録するものとされる。なお、記録ヘッド70C〜70Bは、インクを吐出するものに限られることなく、例えば、少なくとも1つの記録ヘッドが、インクを不溶化する処理液を吐出するものであってもよい。あるいは、インク吐出前に用紙Paに用紙Pa上で画素が必要以上に広がったりにじんだりしないようにするための処理液を吐出するものであってもよい。なお、各色の印写順序は、必ずしも個々に示した順番である必要はない。
【0042】
このようなインクジェット記録方式においては、被記録材に対して付着されたインクが被記録部材中に浸透することにより、そのインクが被記録部材に対して定着する。あるいは、付着されたインクは、インクの溶媒の蒸発プロセスを経て被記録材上に定着される。
【0043】
しかし、このインクが付着してから定着するまでの時間、つまり、定着速度は、被記録材の構成・物性に大きく依存されるだけでなく、外部雰囲気の状態によっても大きく左右される。また、自然に定着する速度は、物理特性によってある時間より短くすることはできない。
【0044】
上述したように、インクが被記録材上に付着し浸透する速度は、また、使用するインクの組成によっても大きく変わる。
通常、インクの組成に関しては、そのインクの被記録材に対する浸透性の大小によって区別されることが多い。一般的には、浸透性が高いインクは、被記録材に対する浸透速度が速いため定着性という観点からみると、有利であるが、反面、浸透し過ぎるために、被記録材に対するにじみが多く画像品位が低下することが問題となる。また、インクが被記録材中に深く浸透するため、画像濃度の低下にもつながりやすい。
【0045】
これに対して、浸透性の低いインクを使用すると、上述したように、浸透するまでに時間を要し、定着性という観点からいうと、本発明のような高速性が要求される記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化されたマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを用いた装置においては、多色印字の場合、各インク色間でのインクの混色やにじみ、被記録材の排出時の画像のこすれ、いわゆる、耐擦過性の問題が生ずる。よって、定着性、画像濃度、にじみ、耐擦過性を考慮した装置の構成が重要となる。
【0046】
さらに、後述するが、使用する用紙もインクがにじまずに瞬時に吸収されるような物質を表面に塗工したコーティング紙を用いる。例えば、微粉ケイ酸などの粒子状物質を塗工したコーティング紙を用いるのがよい。
従来のシリアルスキャン記録装置では、そのような定着性は、記録速度の関係上ある程度簡単な構成で対処できるものが多かった。
【0047】
しかし、特に、本発明の実施例のような高速記録およびカラー記録が行われてくると上述したように被記録材に打ち込まれたインクを所望の状態に被記録材上に定着させるために定着速度の短縮化と効率化を行うための以下に述べられるような加熱式定着装置76を設けることが望ましい。
加熱式定着装置76は、例えば、図5に示されるように、搬送路における記録ヘッド70Bに対して下流側とし、かつ、比較的近い位置に対応して設けられている。今ここでは加熱式定着装置76として、ハロゲンヒータ84と、ハロゲンヒータ84からの熱線を反射させる反射板82とよりなる例を示す。
この例のように、本発明では、記録媒体(用紙Pa)の被印写面側を非接触加熱している。つまり印写部を表面から加熱するようにしているので、水などのインク中の揮発成分を効率的に乾燥させることができる。
【0048】
ここでは加熱式定着装置76として、加熱部としてのハロゲンヒータ84と、ハロゲンヒータ84からの熱線を反射させる反射板82と、ハロゲンヒータ84と搬送路との間を仕切る加熱部遮蔽部材86と、ハロゲンヒータ84からの熱の記録ヘッド70Bへの熱伝達を断つ断熱部としての断熱装置78とを含んで構成されているものを例としてあげているが以下に簡単に説明する。
【0049】
ハロゲンヒータ84は、本実施例において、記録部70における用紙Paの搬送方向の最下流側の近傍に記録ヘッド70Bに隣接して配置されている。これは、画像記録終了後、直ちにハロゲンヒータ84によって加熱定着する必要があるからである。このハロゲンヒータ84は、その記録面を非接触加熱している。これにより、記録面が乾燥され、インクの乾燥が促進され、定着速度が大幅に向上することとなる。さらに非接触であるため、用紙Pa記録面上のドット形状が崩れることを回避でき、画像品質を落とすことなく、乾燥できるという利点がある。
ハロゲンヒータ84は、後述する制御ユニット100により、用紙Paの搬送および記録部70の記録動作に応じた所定のタイミングで加熱動作が制御される。また、ハロゲンヒータ84には、ハロゲンヒータ84の温度を制御するサーモスタット(不図示)が備えられている。サーモスタットにより設定される温度により、定着温度は、被記録部材の紙質、搬送スピード、画像濃度等の条件に合わせ適切に制御されている。
なお、用紙Paのインクの付着している面(記録面)を加熱する加熱部としては、ハロゲンヒータ84に限られることなく、例えば、ハロゲンランプ、シーズヒータ、セラミックヒータ、サーミスタ等であってもよい。
【0050】
また、加熱部遮蔽部材86は、用紙Paのジャム時の安全面を考慮して金網等で作られハロゲンヒータ84の表面を下方側から覆う位置に配されている。
断熱装置78に一端が連結される反射板82は、例えば、光輝合金アルミ等で作られ、ハロゲンヒータ84を上方から覆うような湾曲部を有している。反射板82の湾曲部は、ハロゲンヒータ84からの熱線が、反射板82の湾曲部の内面により反射され、その熱線が記録面に最も効率よく到達するように設定されている。なお、このような反射板82以外に、例えば、レンズ系の光学系によってランプ光源の光を用紙Paのインクの付着している面(記録面)に集光するようにしても良い。また反射板とこのようなレンズ系光学系を組合せた光/熱集光光学系とすると、より効率よく乾燥させるようにすることができる。
【0051】
断熱装置78は、図5に示されるように、ヘッドブロック72における記録ヘッド70Bとハロゲンヒータ84との間であって、記録ヘッド70Bに近接して連結されている。断熱装置78は、例えば、放熱性の良いアルミ合金製等からなる板状の部材あるいは耐熱性のプラスチック材料に、アルミシート等の放熱性の良い材料を貼り合せたもので作られている。断熱装置78は、略長方形の筒状断面形状を有している。即ち、断熱装置78には、その内部に記録ヘッド70Bの吐出口配列方向に沿って広がる空気層80が形成されている。また、断熱装置78の上下方向の両端部は、それぞれ、外部に対して開口している。
従って、ハロゲンヒータ84からの熱の記録ヘッド70Bへの熱伝達が断たれ、高熱による記録ヘッド70C〜70Bの昇温が防止される。また、ハロゲンヒータ84から発せられた熱は、反射板82を介して断熱装置78に伝導されるとともに放熱されることとなる。
【0052】
次に、本発明の特徴について図6を用いて説明する。図6は、図5に示した複数個のインク吐出口が記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化されたマルチノズル型インクジェット記録装置の記録部70の矢印A方向から見た部分的模式図を示すものである。この図より明らかなように、本発明では、加熱手段90は、記録媒体(Pa)の幅方向に長尺化されたマルチノズル型記録ヘッド70Y、70B等によって印写される被印写幅より大きい範囲をカバーするようにしている。つまり、このように加熱手段によって加熱される領域が、被印写幅より大きい範囲とすると被印写幅のみ加熱するようにした場合に比べて加熱能力に余裕があるので、効率良くインク乾燥が行える。なおより好適には、図6に示したように、このような加熱手段によって加熱される領域を、記録媒体(Pa)の幅より大きい範囲とするともっと効果的である。
【0053】
また、加熱式定着装置76は、記録ヘッド70Bの後に設けている(記録媒体(Pa)の搬送の最下流に設けている)が、このような加熱手段を複数個用意し、各記録ヘッド70C、70M、70Y、70Bに隣接し、それぞれの色のインクでの印写が終了すると同時にインク乾燥を行うようにするとより効果的であると同時に、各色のインクが乾燥する前に混色し、くすんだ色となって画像品質が低下するという不具合も解消することができる。
さらに、記録ヘッド70Cによる印写が始まる前の段階で事前に記録媒体(Pa)を加熱するように記録ヘッド70Cの上流側に加熱手段を配すると、より効果的なインク乾燥を行うことができる。
【0054】
次に、本発明の他の特徴について図7を用いて説明する。図7は、記録媒体(Pa)を被印写面の裏面側からも加熱できるように裏面側加熱手段90を設けた例である。この場合も、裏面側加熱手段90は、その加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びるとともに記録媒体(Pa)の被印写幅より大きい範囲をカバーし、効果的な加熱を行うようにしている。さらに、より効果的な加熱/乾燥は、加熱される領域を記録媒体(Pa)の幅より大きい範囲とすることによって実現できる。
【0055】
図8は、このような裏面加熱手段90を搬送ベルト40に接触させてより効果的に加熱/乾燥を行うようにしたものである。なお、この場合は、記録媒体(Pa)を搬送する搬送ベルト40を介して加熱しているが、他の搬送手段として搬送ベルト40に代えて例えばドラム構造(orローラー)の搬送手段とし、ドラム(ローラー)そのものを加熱ドラム(ローラー)として記録媒体(Pa)を直接加熱するようにするとさらに効果的な加熱/乾燥が可能である。
【0056】
図9は、本発明のさらに他の特徴を説明するための図であり、この例はC、M、Y、B(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインク)という順序で印写され、搬送されてきた紙の印写後の被印写面に、温風付与手段91によって加熱空気流を吹きつけ、非接触手段によってインク中の水分を蒸発させ、乾燥、定着させるものである。
【0057】
本発明に好適に適用される温風付与手段91について、図10によって詳述する。図9あるいは図10の温風付与手段は模式的に描いたものであり、基本的には、送風手段91aと加熱手段91bならびに温風送風口(温風付与領域)91cよりなる。
送風手段91aとしては、図示のようなファン、あるいはポンプ、コンプレッサーならびにそれと組み合わされたアキュムレータなどが使用される。加熱手段91bとしては、ニクロム線のジュール抵抗加熱の他、ハロゲンランプ、シーズヒータ、セラミックヒータなどが使用できる。
【0058】
このような、送風手段と加熱手段の組み合わせによって形成される加熱空気流(温風)は、図の紙面垂直方向に伸びた、別の表現をするならば、マルチノズル列配列方向に伸びた温風送風口(スリット状開口)91cから、印写後の被印写面に吹きつけられる。そして、そのスリット状開口は、記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーすることにより、より効果的にインク中の水分を蒸発させ、乾燥、定着を行うようにしている。
【0059】
次に、その加熱空気流(温風)の温度であるが、より効果的にインク中の水分を蒸発させ、乾燥、定着を行うためには、被記録体(紙が一般的であるが、プラスチックシートなども本発明の被記録体の範疇に入る。)の温度より高い温度である必要がある。これは吹き付けられる温風が、被記録体の温度より低いと水分乾燥にあまり効果的ではないからである。
【0060】
本発明においては、このような温風付与手段によって、インク中の水分を蒸発させ、乾燥、定着を行うが、より効果的な乾燥、定着を行うには図5に示したような加熱式定着装置76や、図7、図8に示したような裏面加熱手段と温風付与手段を組み合わせるのがよい。その際、そのような加熱式定着装置や裏面加熱手段等によって、被記録体はある温度に加熱された状態にあるので、吹き付けられる温風がその温度より低いとあまり効果がない。よって、本発明では、記録後の被記録面表面温度より高い温度の温風を吹き付けるようにしている。
【0061】
好適な一例を挙げると、印写前あるいは印写中、印写後の紙搬送経路中で、記録紙の被記録面が40℃〜65℃に加熱され、印写後にニクロム線ヒータによって加熱された70℃〜150℃の空気をファンによって吹き付けることにより、すばやく乾燥が行われ、印写後の印写物を重ねても裏写りのしない良好な印写物が得られた。
【0062】
次に、本発明の他の特徴について説明する。本発明は、被記録体上(紙面上)の未乾燥のインクを乾燥、定着させる、あるいは被記録体上(紙面上)の未浸透のインクを乾燥、定着させる発明である。このような未乾燥、あるいは未浸透のインクとは、被記録体上(紙面上)でインクメニスカスを形成している状態(インク滴が被記録体上でドーム状になっている状態)、あるいはそこからもう少し時間経過した場合には、そのインクメニスカスが崩れて平らな状態になっているが、いずれにしろ、インクでぬれている状態である。
【0063】
そのような状態において、前述のように温風を吹き付けると、吹き付ける条件によっては、インク中の水分を乾燥させるだけではなく、ぬれたインクを飛散させ、画質劣化を引き起こしかねない。本発明はこの点に鑑み、ぬれたインクを飛散させたり、画質劣化を引き起こしたりしないような条件を検討したものである。
【0064】
一般に、空気は粘性流体であり、その流れには層流と乱流とがある。いま、円管内の流れを考えた場合、管内の各層の流体粒子が管軸に平行して流れるような流れを層流といい、また、各層の流体粒子が互いに入り乱れて不規則に混合しながら進んでいく流れを乱流という。よって、乱流の流れの中に、他の流体(インク滴、インクメニスカスなど)が存在すると、不規則な流れに巻き込まれて、その流体が飛散状態となる。本発明の例で言うならば、不要な飛散インクが飛び交い、画質劣化につながり、そのような状態を作り出すべきではない。
【0065】
より定量的には、流体の動粘性係数をγ、平均流速をu、管の内径をdとした場合に、次式の、
R=ud/γ
によって表される無次元数(これをレイノルズ(Reynolds)数という)が、ある一定の値以下の場合を層流といい、それ以上の場合を乱流という。また、乱流から層流、層流から乱流へと遷移する時のレイノルズ数を臨界レイノルズ(Rc)といい、多くの学者の研究により、
Rc=2310
とされている(普通臨界レイノルズ数という場合、下限臨界レイノルズ数を指すので、ここでもRcの値は下限臨界レイノルズ数である)。
【0066】
具体的に層液を流すにはどうすればよいかというと、例えば、管の内径dが2mmとすると、空気の動粘性係数γは1気圧、100℃の時、約235.1×10−7m2/sであるから上式を変形し、これらの数値を代入すると、
u=Rc×γ/d
=2310×235.1×10−7(m2/s)/2(mm)
≒27.2(m/s)
となり、空気流速を約27.2m/s以下で流せば層流が得られることになる。そして、このような管が記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーするように、マルチノズル列配列方向に多数ならべられる。スリット状の開口の場合は厳密には条件が異なるが、ほぼ同様に考えて差し支えない。
【0067】
上記計算例は一例であるが、このような下限臨界レイノルズ数となるような開口の大きさ、形状、流速などが適宜選択される。図10に(A)(B)2例を示したのは、開口の大きさを変えた場合の例である。
なお、このような条件で生成された本発明の温風は、装置内にこもると、装置そのものが過熱状態になり、電気系統の誤動作を起こしたり、あるいは装置内の機密性が高すぎると高気圧状態となるため、順次生成される温風生成能力が低下する。よって本発明では、装置内の温風排出のための気流経路を考慮するとともに、装置外へ効率よく温風を逃がすための開口を設けている。
【0068】
次に、本発明の他の特徴について図11を用いて説明する。本発明では被記録体(主として紙が使われる)の省資源化を目的として、被記録体両面に印写することを検討した。その際、いったん片面を印写した被記録体Paは、その裏面に印写を行うために、再度印写部に搬送され、印写される。
図11に示すように、Pa進行方向にそって搬送された被記録体Paは、各記録ヘッド70C、70M、70Y、および70Bによって印写され、その後、その用途に応じて、その搬送経路は2つに分かれる。まず、始めに片面印写のみで終了する場合は、そのまま、図の左方矢印にそって排紙され、印写が終了する。
【0069】
次に、両面印写を行う場合には、図の分離爪92に信号が送られ、図の左方矢印方向に行かないように分離爪92が作動し、被記録体Paは両面印写用搬送路93の方に搬送される。両面印写用搬送路93の先には、両面印写用用紙一時収容トレイ94があり収容される。図よりわかるように、分離爪92から分離され、反時計回りに回転し両面印写用搬送路93で搬送される際、印写面は下向きになっている。よって、両面印写用用紙一時収容トレイ94に収容される際も、印写面は下向きになっている。
【0070】
その後、もう片方の面に印写する場合、両面印写用用紙一時収容トレイ94から、搬送ローラ96によって、両面印写用搬送路95の方に搬送されるが、すでに先の印写面は下向きになっているため、図よりわかるように、この両面印写用搬送路95にそって搬送されることにより、次の印写面(裏面)が、印写部において各記録ヘッドのノズル面に相対するようになっている。
ここで、再度、印写された(両面印写が終了した)後、今度は、先の分離爪92を作動させず、そのまま図の左方矢印にそって排紙され、印写が終了する。なお、図では、すべてを記さなかったが、大小の丸は搬送ローラを示している。
【0071】
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。本発明は、前述のように、被記録体はいったん片面印写した後、両面印写用搬送路93、両面印写用用紙一時収容トレイ94、両面印写用搬送路95を通って、記録媒体Paの非印写面(裏面)を再度印写部に搬送するようにしている。その際、問題となるのが、やはり、最初に印写された被記録面のインクの乾燥である。特に、本発明のように、印写幅をカバーするようにマルチノズル化され、1枚の印写が短時間で終了するような記録装置においては、インク乾燥時間が十分とれず、次の印写動作ができる(記録ヘッドにその能力があるという意味)ので、印写後のインク乾燥を十分考慮する必要がある。
【0072】
本発明では、この点に鑑み、前述のように両面印写する場合、片面印写後、両面印写用搬送路93に搬送された被記録体Paの搬送を一時停止させるようにしている。そうすることにより、インク乾燥の時間がとれるようになる。なお、この停止時間は、自然乾燥による場合と、後述のように、強制乾燥による場合、さらに被記録体の構造(後述する)、インクの特性(速乾性/非速乾性)を考慮して適宜決められる。
【0073】
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。図12は、両面印写用搬送路93の途中に加熱手段97を設けた例である。このような加熱手段97は、前述の加熱式定着装置76(図5など参照)や、温風付与手段91(図10など参照)などが好適に使用される。この場合も、このような加熱手段によって加熱される領域を、記録媒体(Pa)の幅より大きい範囲とすると、より効果的である。なお、この加熱手段97によるインク乾燥は、前述のように、被記録体の搬送を一時停止させておこなってもよいし、また、搬送しながらこのような加熱手段97によって乾燥させてもよい。これも、加熱能力、被記録体の構造(後述する)、インクの特性(速乾性/非速乾性)を考慮して適宜決められる。
【0074】
なお、この加熱手段97は、この例では両面印写用搬送路93の途中に設けた例を示したが、両面印写用搬送路95の途中に設けてもよいし、両面印写用用紙一時収容トレイ94に設けて、一時収容されている時に乾燥させてもよい。また加熱手段は複数設けてもよい。
【0075】
次に、本発明のさらに他の特徴について説明する。本発明は、両面印写に適用される発明であるが、その際重要なことは、表裏両面とも高品質な画質が得られることである。本発明ではこの点に鑑み、本発明に使用する記録媒体を図13(記録媒体断面図)に示すように、上下で対称になるようにしたものである。
【0076】
ここでは被記録体の代表例である紙を例に挙げて説明する。
オーソドックスな紙の定義では“紙とは植物繊維を水中に懸濁させた後、水を漉して、薄く平らに絡み合わせたもの”であるが、要は草、木、竹等に代表される植物を分解して得られる繊維の集合体である。そして、洋紙・和紙を問わず紙の原料はセルロース繊維という特徴的な性質を有する素材であり、これを製紙技術という独特の手法で処理し薄層化することで紙が得られる。
【0077】
ここで用いるセルロース繊維は、洋紙の場合、長さ1mm〜3mm、幅20μm〜40μm、厚さ3μm〜6μmの木材繊維で、一般の紙ではこれが10〜100本程度層状に重なって出来上がっている。このような構成をとることによって、紙は極めて多孔性で、セルロース繊維の持つ高い親和性を持った平滑な材料という特質が得られる。和紙は同じセルロース繊維を用いた紙であるが、木材繊維と違って靭皮繊維と称する木材繊維より比較的細長い繊維(幅5μm〜20μm、長さ3mm〜7mm)で、分子構造的にもやや違った特徴を持っており、手抄きまたは機械抄き和紙とに区別される。紙はこのようにセルロース繊維が重なり合ってなり、また各繊維が重なり合ってできる間隙が存在する。
【0078】
紙の定義は前述の通りであるが、単にセルロース繊維が重なり合ってなる紙は、いわば原紙であり、実際に使用されるものは、不透明度、白色度、平滑度、透気度などを高めるために、これらの繊維の間に、タルク、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタンなど粒子径0.2μm〜10μm程度のてん料粒子を繊維間の間隙に充てんしたものである。図13中、基材とはこの原紙、あるいは繊維の間に、タルク、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどを充填したものをさす。
【0079】
また、紙の用途によって、さらに紙表面にカオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、炭酸カルシウム(CaCO3)、サチンホワイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜32H2O)などの粒子径が0.5μm〜1μm程度の粒子をラテックス、デンプンなどのバインダーとともに分散させた塗工液を塗布した塗工紙がある。本発明でいう粒子状物質とは、これらの材料をさし、図示のように、基材である原紙の上下(表裏)にほぼ等量付与され、表裏で同等のインク吸収性能を持つようにし、高画質が表裏で同等に得られるようにしている。
【0080】
以上は紙の説明であるが、OHPシートのように、ポリエチレンフィルム等の樹脂シートを基材として、上記のようなカオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、炭酸カルシウム(CaCO3)、サチンホワイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・31〜32H2O)などの粒子径が0.5μm〜1μm程度の粒子をラテックス、デンプンなどのバインダーとともに分散させた塗工液を塗布したものを、表裏にほぼ等量塗布して使用される。
いずれにしろ、基材の中心線に対して上下で対称になるように粒子状物質を塗布し、表裏で同等の高画質が得られるようにすることがポイントである。
本発明に使用する記録媒体を図13(記録媒体断面図)に示すように、上下で対称になるようにしたものである。
【0081】
このほか、紙の品種として、新聞巻取紙、非塗工印刷用紙(上級、中級、下級、薄葉の各印刷紙)、微塗工印刷用紙(微塗工上質紙、微塗工印刷紙)、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙等)、情報用紙(複写原紙、感光用紙、フォーム紙、PPC用紙、感熱紙等)、包装用紙(クラフト紙、模造紙等)、衛生用紙(ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、タオル用紙等)、雑種紙(建材用原紙、積層板原紙、コンデンサーペーパー、ライスペーパー、グラシンペーパー等)、段ボール原紙(ライナー、中しん原紙等)等々色々ある。
【0082】
いずれにしろ、このようなセルロース繊維が重なり合ってなる紙の表面は、セルロース繊維の太さ、それらが重なりあってできる間隙、さらには上記のような塗工紙の場合には、塗工物質の粒子の大きさ等に依存して、微視的に見ると凹凸形状となっている。このような微視的凹凸形状は、本発明のように400dpi〜3200dpiという非常に高密度に配列され、断面積が10μm2〜600μm2という非常に微細なノズルを利用して高画質記録を行おうとする際、妨げになる重要因子の1つである。
【0083】
前述のように、セルロース繊維は、紙の種類にもよるが、一般に、幅(太さ)が、5μm〜40μm程度である。紙は、通常、そのまま、このような大きさの繊維よりなるものではなく、一般的には紙製造工程において、叩解(こうかい)と呼ばれる繊維に機械的な力を作用させ、柔軟にする工程を経て製作されるため、実際に完成した紙の繊維の大きさはこれよりも小さくなる。通常、叩解を経て製造された紙の繊維の太さ、あるいは厚さは、3μm〜6μm程度である。
【0084】
本発明は、紙(基材)の表面性状(叩解を経て製造された紙の繊維の折り重なった状態が作り出す表面の凹凸、通常は5μm〜10μm程度)を粒子状物質を付与することによって、滑らかに紙、前述の5μm〜10μmの凹凸を1μm〜2μm以下にし、滑らかな状態にして高画質記録を行っている。
【0085】
本発明に使用する記録媒体に要求される他の品質としては、前述のように、上下でほぼ同等の高画質が得られることの他に、表裏から互いにインクのにじみが反対側に現れないよう(視認できない程度)にすることである。本発明では、このような観点から、本発明に使用される記録媒体の基体厚さならびに粒子状物質の塗工量を決めている。具体的には、たとえば、基材厚さを100μm〜500μmとし、粒子状物質として粒子径1μmの炭酸カルシウム(CaCO3)を10g/m2〜100g/m2(両面)とされる。なお、基材を純粋にセルロース繊維のみとせず、前述のようなてん料粒子を繊維間の間隙に充てんしたものに関しては、基材厚さを薄くできるし、また、表裏面に塗工する粒子状物質の量も少なくすることができる。
【0086】
次に、本発明に係る加熱式定着装置の一例が適用されたインクジェット複写機の全体の構成を説明する。従来、いわゆる複写機と称するものは、一般に、電子写真方式によるものを指している。このような電子写真方式は、広く普及してはいるものの、原理が複雑で装置も大変大掛かりなものになるという欠点がある。一方で、インクジェット記録はその原理が大変簡単で、これを記録原理として複写機を構成すると従来にはない画期的にシンプルな複写機が実現できる。
【0087】
図14は、本発明のインクジェット複写機を示しており、図14において、インクジェット複写機は、その原稿台116上に載置される原稿Boにおいて複写される面の画像を読み取ることにより、その原稿Boについて順次、画像データを形成するスキャナ部102と、スキャナ部102からの画像データに基づいて記録媒体としての用紙Paの記録面に対してインクを吐出し付着させることにより、記録動作を行う記録部126と、記録部126の下方に配され、記録部126の記録動作に応じて所定のタイミングで用紙Paを後述する排紙搬送路136に搬送する搬送部134と、搬送部134により搬送される印刷された用紙Pa’を排紙トレー部138上に排出する排紙搬送路136と、給紙部130からの用紙Paを1枚ずつ記録部126に搬送する給紙搬送部132と、記録部126の各記録ヘッドに対して回復処理を選択的に行う回復処理装置124とを含んで構成されている。
【0088】
スキャナ部102は、原稿Boの複写されるべき画像を読み取る原稿走査ユニット104と、原稿走査ユニット104を図14の矢印Sの示す方向、および、その反対方向に沿って移動可能に支持するガイドレール112と、図示が省略されるが、ガイドレール112に支持される原稿走査ユニット104を所定の速度で往復動させる駆動部とを含んで構成されている。
原稿走査ユニット104は、ロッドアレイレンズ106と、カラー情報の読み取りセンサであるカラーイメージセンサとしての等倍型色分解のラインセンサ110と、露光ユニット108とを主要な構成要素として含んで構成されている。
【0089】
原稿走査ユニット104が、駆動部により、透明な材料で作られる原稿台116上の原稿Boの画像を読取るべく矢印Sの方向に移動走査せしめられる場合、露光ユニット108内の露光ランプが点灯され、原稿Boからの反射光がロッドアレイレンズ106により導かれてラインセンサ110に集光される。ラインセンサ110は、その反射光があらわすカラー画像情報をカラー別に読取り、電気的なディジタル信号に変換し、それを後述するインクジェットプリンタ部118における制御ユニット100に画像データとして供給する。従って、記録部126における各カラー別の各記録ヘッドは、それぞれ、これらの画像データに基づく駆動制御パルス信号に応じて記録に用いられる液体、例えば、異なる色のインクの吐出を行うものとされる。
【0090】
給紙部130に積載されて収容される所定の規格サイズの用紙Paは、図示が省略される駆動モータが作動状態とされるとき、1枚ずつピックアップローラユニット130RAにより、取り出され、それが給紙搬送部132に供給される。このようなインクジェット原理の複写機においても、本発明の温風付与手段が適用され、最適な条件で、インク乾燥、定着が行われる。また本発明の温風は、装置内にこもると、装置そのものが過熱状態になり、電気系統の誤動作を起こしたり、あるいは装置内の機密性が高すぎると高気圧状態となるため、順次生成される温風生成能力が低下する。よって装置内の温風排出のための気流経路を考慮するとともに、装置外へ効率よく温風を逃がすための開口が設けられる。
【0091】
図15は、本発明のインクジェット複写機の他の例を示す図で、図中、201はインクジェット記録装置、202は原稿台、203はスキャナ、204は原稿押え、205はカラーインクジェットヘッドユニット、206(206a、206b、206c)は給紙カセット、207(207a、207b、207c)は被記録体(紙)、208は記録後の排出口、210(2101、2102、2103)はプラテンローラ、211(2111、2112、2113)は押えローラ、212(212a、212b、212c)は給紙ローラ群である。なお、各給紙カセット(206a、206b、206c)から出ていく被記録体(207a、207b、207c)は、それぞれ一点鎖線で示した通過路(通紙パス)209a、209b、209cを通り、それらが合流した通過路209を通って、カラーインクジェットヘッドユニット205のところへ搬送される。
【0092】
なお、前述の図14およびこの図15とも、それぞれ個々の特徴を示すための図であり、図11、図12で説明した両面印写用搬送路93、両面印写用用紙一時収容トレイ94、両面印写用搬送路95などは図が煩雑になるので図示していない。
【0093】
また、この図15に示した例では、スキャナ203を有し、スキャナ203からの画像信号によって印写記録されるコピアタイプのインクジェット記録装置(インクジェット複写機)を示しているが、図示しないホストコンピュータから画像信号を受けて印写記録されるプリンタタイプのインクジェット記録装置であっても、本発明が適用されることはいうまでもない。
【0094】
この例(図15)に示すように、本発明では、記録媒体を収容する収容部材を複数個設けている(この例では3個)。前述のように、本発明は、両面印写が可能となっている。そしてその両面印写用の記録媒体は、表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体とされ、他の片面印写用の記録媒体とは、構造を異にしている。しかしながら、このような記録部材は、一見同じように見えるため、両面印写を行うつもりで、片面印写用の記録媒体を間違えて使用するという事故がよくおこる。
【0095】
本発明では、この点に鑑み、これら複数個の記録媒体収容部材を識別可能な構成としている。たとえば、3個ある記録媒体収容部材のうち、少なくとも1個は、他の記録媒体収容部材とその形状を変え、他の2個と識別可能とし、そこには両面印写用の表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体を収容し、他の2個には、片面印写用の記録媒体を収容するようにしているのである。この識別は、形状の他に色を変えてもよいし、表面の性状(凹凸など)を変えてもよい。
【0096】
また、図15の例では、3個上下に積層された状態になっているが、その段数をたとえば、両面印写用は必ず一番下の位置というように決めておいてもよい(そして、その情報は、このインクジェット複写機のCPUに登録しておく)。
こうすることによって、記録媒体を間違えて使用することはなくなり、間違いによって間違った記録媒体にミス印写し、記録媒体を無駄にするということが皆無となる。
【0097】
なお、以上の説明はインクジェット複写機の例で説明しているが、このように両面記録用の記録媒体を収容する収容部材を他の収容部材と識別可能であるようにする本発明の考え方は、両面印写を行い、複数個の記録媒体収容部材を有する、スキャナ機能を持たないインクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)にも同様に適用される。
【0098】
【発明の効果】
インクジェット記録装置において、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定して両面印写するようにし、また、記録媒体は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるようにするとともに、加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有し、記録媒体加熱手段とは別に、記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有するようにしたので、高速、高画質印写に加えて、紙の省資源化を実現することができた。
【0099】
両面印写可能なインクジェット記録装置において、両面記録用の記録媒体を表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体とするとともに、この記録媒体を収容する収容部材を他の収容部材と識別可能であるようにしたので、両面記録用の記録媒体と片面記録用の記録媒体の補給をそれぞれ間違いなく行えるようになった。
【0100】
インクジェット原理を利用した複写機としたので、電子写真方式の複写機に比べて原理が簡単で容易にカラー複写機が実現できた。さらに、このようなインクジェット複写機において、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定して両面印写するようにし、また、記録媒体は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるようにするとともに、加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有し、記録媒体加熱手段とは別に、記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有するようにしたので、高速、高画質印写に加えて、紙の省資源化を実現することができた。
【0101】
両面印写可能なインクジェット複写機において、両面記録用の記録媒体を表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体とするとともに、この記録媒体を収容する収容部材を他の収容部材と識別可能であるようにしたので、両面記録用の記録媒体と片面記録用の記録媒体の補給をそれぞれ間違いなく行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用されるインクジェットヘッドの部分斜視図である。
【図2】本発明の一実施例として適用されるサーマルインクジェットの発熱体基板を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施例として適用されるサーマルインクジェットヘッドの製作工程を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施例として適用されるサーマルインクジェットヘッドの動作説明をするための図である。
【図5】本発明の加熱定着装置を含んだ記録部の図である。
【図6】本発明の加熱手段と被印写部との関係を説明するための図である。
【図7】本発明の他の構成の加熱定着装置を含んだ記録部の図である。
【図8】本発明のさらに他の構成の加熱定着装置を含んだ記録部の図である。
【図9】本発明のさらに温風付与手段を含んだ記録部の図である。
【図10】本発明の温風付与手段の詳細例である。
【図11】本発明の両面印写を行う際の記録媒体の搬送方法を説明する図である。
【図12】本発明で両面印写を行う際に加熱装置を設けた例である。
【図13】本発明の両面印写に使用する記録媒体を説明する図である。
【図14】本発明の原理を利用したインクジェット複写機の図である。
【図15】本発明の原理を利用したインクジェット複写機の他の例である。
【符号の説明】
1…発熱体基板、2…第1電極(制御電極)、3…第2電極(アース電極)、4、5…ボンディングパット、7…基板、8…蓄熱層(SiO2)、9…発熱体(HfB2)、10…電極(Al)、11…保護層(SiO2)、12…電極保護層(Resin)、13…保護層、14…発熱体部、15…電極部、16…流路、17…吐出口、18…共通液室、19…天井板、20…接合層、21…流路障壁、22…フォトレジスト、23…フォトマスク、31…インク、32…気泡、33…吐出口、34…流路、35…発熱体基板、36…発熱体、37…第1電極(制御電極)、38…第2電極(アース電極)、39…インク滴、40…搬送ベルト、70…記録部、70C,70M,70Y,70B…記録ヘッド、72…ヘッドブロック、72A…突起部、76…加熱式定着装置、78…断熱装置、80…空気層、82…反射板、84…ハロゲンヒータ、86…加熱部遮蔽部材、90…加熱手段、91…温風付与手段、91a…送風手段、91b…加熱手段、91c…温風送風口、92…分離爪、93…両面印写用搬送路、94…両面印写用用紙一時収容トレイ、95…両面印写用搬送路、96…搬送ローラ、97…加熱手段。
Claims (4)
- 400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2 〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定し、該マルチノズル型インクジェット記録ヘッドのノズル面に相対する位置に前記記録媒体を搬送して記録を行うインクジェット記録装置において、前記記録媒体は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体であるとともに、前記記録媒体の印写後の非印写面を再度印写部に搬送する搬送経路を有するインクジェット記録装置であって、該インクジェット記録装置は加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて前記記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有するとともに、該記録媒体加熱手段とは別に、前記記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 前記インクジェット記録装置は、複数種類の記録媒体と該記録媒体を収容する複数個の収容部材とを有し、少なくとも1種類の記録媒体は、表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体であるとともに、該記録媒体を収容する収容部材は、他の収容部材と識別可能であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 原稿台上に載置される原稿画像を読み取ることにより、その原稿について順次、画像データを形成するスキャナ部と、該スキャナ部からの画像データに基づいて記録媒体の被記録面に対してインクを吐出して付着させることにより、記録動作を行う記録部と、該記録部の下方に配され、記録動作に応じて所定のタイミングで前記記録媒体を排出する排紙搬送手段とよりなるインクジェット複写機において、前記記録部は、400dpi〜3200dpiの配列密度で数千個〜数10万個の断面積が10μm2 〜600μm2であるノズルを、記録媒体の被印写幅をカバーするように長尺化するとともに、1ノズルあたり数kHz〜40kHzの頻度でインクをオンデマンドで噴射するマルチノズル型インクジェット記録ヘッドを複数色のインクを噴射するように複数個配列固定し、該マルチノズル型インクジェット記録ヘッドのノズル面に相対する位置に前記記録媒体を搬送して記録を行うインクジェット複写機であって、該インクジェット複写機は、基材の上下表面に粒子状物質を塗工した記録媒体を使用するとともに、前記記録媒体の印写後の非印写面を再度印写部に搬送する搬送経路を有し、加熱領域がマルチノズル列配列方向に伸びて前記記録媒体の被印写幅より大きい範囲をカバーする記録媒体加熱手段を有するとともに、該記録媒体加熱手段とは別に、前記記録媒体の記録後の被記録面に温風を付与する温風付与手段を有することを特徴とするインクジェット複写機。
- 前記インクジェット複写機は、複数種類の記録媒体と該記録媒体を収容する複数個の収容部材とを有し、少なくとも1種類の記録媒体は、表裏でほぼ対称形の構造をなす記録媒体であるとともに、該記録媒体を収容する収容部材は、他の収容部材と識別可能であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット複写機。
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