JPH09286166A - インクジェット記録用シートおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用シートおよびインクジェット記録方法

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JPH09286166A
JPH09286166A JP9026518A JP2651897A JPH09286166A JP H09286166 A JPH09286166 A JP H09286166A JP 9026518 A JP9026518 A JP 9026518A JP 2651897 A JP2651897 A JP 2651897A JP H09286166 A JPH09286166 A JP H09286166A
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西 弘 幸 大
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    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/50Recording sheets characterised by the coating used to improve ink, dye or pigment receptivity, e.g. for ink-jet or thermal dye transfer recording
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 その両面に良好な印字が可能で、かつ両面の
印字がそれぞれ異なる条件下で行われてもカールや印字
の裏抜け等が生じない記録媒体の提供。 【解決手段】 その両面にインク受容層またはコート層
が設けられてなるものであり、その表裏において、同一
量のインク滴が付着して形成されるドット径が異なる記
録媒体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、インクジェット記録に用いられる記録媒体お
よびそれを用いたインクジェット記録方法に関し、とり
わけ画像を両面に印刷することを可能にするインクジェ
ット記録媒体およびインクジェット記録方法に関する。
【0002】背景技術 一般に、インクジェット記録に用いるインクとして、臭
気、安全性、および記録特性の面から水性インクが主流
を占めており、各種の水溶性染料を、水または水と水溶
性有機溶剤(例えば、多価アルコール)との混合溶剤に
溶解させ、必要により各種添加剤が添加されたインクが
使用されている。
【0003】また、インクジェット記録に用いられる被
記録材としては、上質紙、ボンド紙、PPC用紙、はが
き、グリーティングカード、封筒、ラベル、特殊なイン
ク受容層を塗布した専用コート紙、OHP(オーバーへ
ッドプロジェクター)用フィルムが使用されている。特
にカラーインクジェットプリンタの普及に伴い、簡易に
名刺、はがきに印刷するという需要が急増している。一
方で、インクジェット記録の高解像度化により被記録材
の要求特性が高くなりつつあり、特に高解像度、高品質
なカラー画像を必要とする名刺、はがきについては次の
ような特性が求められる。すなわち、一方の面には高画
質で写真に匹敵する品質のカラー画像が得られ、他方の
面(例えば、宛名面)にはシャープな文字が得られるこ
とが求められる。さらに、両面に関して良好な耐水性が
得られること、インクの吸収による用紙の変形がないこ
と、ある程度の用紙の腰、すなわちしっかり感が得られ
ること、そして高い紙送り精度が得られることも必要で
ある。
【0004】さらに、高解像度化により1ドット当りの
インク液滴重量が少なくなってきている一方で、高画質
化からの要請で記録媒体へのインクの打ち込み量は多く
なる傾向にある。よって、異なる条件下、例えば異なる
解像度での印字が記録媒体の表裏に形成されると、イン
ク量の違いによりカールや、印字の裏抜けなどの現象が
生ずるおそれがある。
【0005】
【発明の概要】本発明は、その両面に良好な印字が可能
な記録媒体の提供を目的としている。
【0006】さらに本発明は、両面の印字がそれぞれ異
なる解像度で行われてもカールや印字の裏抜け等が生じ
ない記録媒体の提供をその目的としている。
【0007】そして、本発明によるインクジェット記録
媒体は、基材と、その両面に設けられたインク受容層ま
たはコート層とを含んでなるものである。
【0008】また、本発明の好ましい態様によれば、本
発明によるインクジェット記録媒体は、その表裏におい
て、同一量のインク滴が付着して形成されるドット径が
異なるものである。
【0009】
【発明の具体的説明】記録媒体 本発明による記録媒体は、その両面に記録を行うことが
可能なようにその両面にインク受容層またはコート層が
設けられたものである。本発明においてインク受容層お
よびコート層とは、基材上に設けられ、インクを受容し
それを定着させる機能を有するものを意味するものとす
る。よって、本発明において両者は上記機能を有するも
のである限り同義に用いられる。
【0010】本発明の好ましい態様によれば、インク受
容層またはコート層は顔料および結着剤を主成分として
形成されてよい。顔料としては、例えばシリカ、クレ
ー、マイカ、膨潤性雲母、タルク、カオリン、ケイソウ
土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウ
ム、合成ゼオライト、アルミナ、酸化亜鉛、リトポン、
サチンホワイト等の顔料及び、有機または無機の着色顔
料が挙げられる。また、結着剤としては、例えば、アク
リル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ス
チレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、水
溶性ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール
樹脂、その他のビニル系樹脂、アミド系樹脂、酸化澱
粉、カゼイン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピ
ロリドン、シリコーン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹
脂、ロジン変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、クマロ
ン−インデン樹脂等の水溶性樹脂および水性エマルジョ
ン樹脂が挙げられる。
【0011】本発明の好ましい態様によれば、インク受
容層またはコート層は、シリカを含有してなるのが好ま
しい。シリカを含んでなるインク受容層またはコート層
の組成は、インク吸収性、インク乾燥性、記録画像の鮮
明性などを考慮して適宜決定されてよい。本発明の好ま
しい態様によれば、結着剤としてポリビニルアルコール
系樹脂、水溶性ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニル
ピロリドン等の水溶性樹脂を用い、顔料としてシリカを
用いた組合せが好ましい。この場合の配合割合は、樹
脂:シリカ=1:1〜1:15が好ましく、特に1:2
〜1:10が好適である。更に好ましい態様によれば、
シリカの平均粒径は1〜30μm(コールターカウンタ
ー法による体積平均粒子径)程度が好ましく、特に5〜
25μmがより好ましい。また、インク受容層またはコ
ート層は複数層から形成されてもよい。例えば、基材側
の第一層に主にインクを受容する機能を担わせ、記録媒
体表面側にその表面の光沢または白色度をより改善する
機能を主に担わせるように形成することも可能である。
【0012】本発明による記録媒体のインク受容層また
はコート層には、記録媒体の特性を改善する他の成分が
添加されてよい。例えば、インク受容層の耐水性の向
上、インクの滲み防止機能を付与するためにメラミンホ
ルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アク
リルアミド系樹脂、グリオキザール、炭酸ジルコニウム
アンモニウム等の耐水化剤を添加してもよい。またイン
クジェット記録用紙の生産性、記録特性、あるいは保存
安定性をより高めるための、分散剤、蛍光染料、pH調
整剤、消泡剤、湿潤剤、防腐剤などを加えてもよい。
【0013】さらに、本発明による記録媒体のインク受
容層またはコート層の更なる具体例を示せば下記の通り
である。
【0014】本発明による記録媒体の両面に設けられる
インク受容層の好ましい具体例としては、例えば特開昭
60−222281号公報記載のフッ素含有合成無定型
シリカを空隙形成材料として用いたインク受容層が挙げ
られる。この公報記載のインク受容層は合成無定型シリ
カ中のフッ素量を特定の範囲におくことで、ドット径を
制御でき、さらににじみを有効に防止することができ
る。
【0015】また、別の好ましいインク受容層の例とし
ては特開昭61−89082号公報記載のものが挙げら
れる。この公報記載のインク受容層は、顔料と水溶性バ
インダー、更にはシリコーンエマルジョンまたは水溶性
シリコーン化合物を基材に塗布して製造される。このイ
ンク受容層によれば、インクジェット記録方法における
カラーインク組成物の重ね順序が異なっても良好な発色
を得ることができる。さらに、シリコーンエマルジョン
または水溶性シリコーン化合物の添加によって、ドット
径を制御することが可能となる。
【0016】別のインク受理層の好ましい例としては特
開昭62−95285号公報記載のものが挙げられる。
この公報記載のインク受容層は顔料の一部に無定型シリ
カを用い、さらにキャスト塗被方法を用いて製造され
る。このインク受容層は平滑度が高く、ドット周辺がシ
ャープな印字が得られる。
【0017】また、他の好ましい例としては特開平1−
186372号公報に記載のインク受容層が挙げられ
る。このインク受容層は、分子量が1万〜50万のポリ
アクリルアミドと、合成非晶質シリカと、ポリビニルア
ルコールとを含んでなり、記録画像の保存性に優れる。
【0018】さらに、他のインク受容層の例としては特
開平2−276670号、特開平2−139275号、
および特開平6−297831号各公報に記載のものが
挙げられる。これら公報に記載のインク受容層は特定の
アルミナ水和物からなる多孔質層を設けて構成されてな
り、インクドットの真円性が高く、色素の定着性に優
れ、色濃度の高い印字が実現できるとされている。
【0019】また、特開昭63−151476号公報記
載のインク受容層もまた利用することができる。このイ
ンク受容層は、顔料および結着剤とを主成分とする組成
物を塗工し、半乾燥させた後、塗工層に所望の表面形態
を有する転写シートを重ね合わせて乾燥させた後この転
写シートを剥離することにより製造される。このインク
受容層によればインク吸収性が高く高品質の画像を得る
ことができる。
【0020】さらに、本発明による記録媒体の両面に設
けられるコート層の好ましい具体例としては、特開昭5
7−82085号公報および特開昭57−135190
号公報記載のものが挙げられる。これら公報に記載のコ
ート層はプラスチックピグメントを含有し、加熱カレン
ダー処理によって製造される。このコート層においては
高い解像度が実現できる。
【0021】また特開昭63−264391号公報、特
開平2−113986号、および特開平2−27458
7号公報記載のコート層も好ましく用いられる。これら
のコート層は、顔料中に合成シリカを含み、更にその表
面をカチオン性または非イオン性界面活性剤を塗布し、
その後キャスト法により加熱乾燥させて製造される。こ
のコート層は、インク吸収性、表面の光沢性および平滑
性に優れる。
【0022】また特開平6−79967号公報記載のよ
うに、最表層のインク受理層を湿潤状態にて加熱鏡面に
圧接乾燥させたコート層も好ましく用いることができ
る。
【0023】更に、特開昭62−158084号、特開
平6−305237号、特開平7−89220号、特開
平7−117335号各公報記載のキャスト法によって
製造されるインク受容層も好ましく利用することができ
る。
【0024】そのほかに、特開昭61−189985号
公報記載の強光沢を有するインク受容層、特開平7−1
01142号公報記載の光沢を有し、印字濃度が高く、
折割れ強度に優れたインク受容層も好ましく利用するこ
とができる。
【0025】また、その表面に亀裂を有するインク受容
層、例えば特開昭60−198250号、特開昭60−
198251号、および特開昭60−198252号各
公報記載の層も好ましく利用することができる。
【0026】またインク受容層およびコート層のいずれ
にあってもその表面が光沢処理されていてもよく、例え
ばシリカを添加するか、またはインクにより溶解・膨潤
する樹脂を塗布し、光沢を付与してもよい。シリカはコ
ロイダルシリカとして提供されるのが一般的であるが、
本発明による効果が得られる限りはその最初の形態は限
定されるものではない。コロイダルシリカは、通常、無
水珪酸(シリカ)の超微粒子を安定に水に分散させた、
アニオン性のコロイダル状分散液であり、例えば次のよ
うにして製造される。まず、ケイ酸ナトリウム水溶液を
陽イオン交換樹脂に通して、SiO2/Na2O比が60
〜130のゾルとする。次いで、これを60℃以上に加
熱焼成して独立分散粒子まで成長させ、これにさらにイ
オン交換樹脂層を通したゾルを添加することにより重合
沈積させる。これによって、3nm〜200nmの平均
粒子径にまで成長し安定したゾルとしてコロイダルシリ
カを得ることができる。本発明において市販のコロイダ
ルシリカを利用することも可能であり、例えば、Du
Pont社製Ludox、Monsanto社製Syt
on、Nalco社製Nalcoag、日産化学株式会
社製スノーテックスなどを利用することができる。本発
明の好ましい態様によれば、インク吸収能の高い面の光
沢度がインク吸収能の低い面のそれよりも高い方が好ま
しい。このように構成することで、高解像度の実現する
面の画像品質をさらに高め、また表裏の判別を容易に行
うことができるとの利点が得られる。インク吸収能の高
い面の光沢度はJIS Z8741、ISO 281
3、ASTM D523、およびDIN 67530の
いずれかに規定されている60度鏡面光沢度として30
%以上とするのが好ましい。
【0027】またさらにインク受容層およびコート層の
いずれにあってもその表面の白色度が高いものであるの
が好ましい。高い白色度はインク受容層中に白色染料ま
たは顔料として例えば蛍光染料または蛍光顔料などを添
加することで実現できる。本発明の好ましい態様によれ
ば、インク吸収能の高い面の白色度がインク吸収能の低
い面のそれよりも高い方が好ましい。このように構成す
ることで、高解像度の実現する面の画像品質をさらに高
め、また表裏の判別を容易に行うことができるとの利点
が得られる。インク吸収能の高い面の白色度はハンター
白色度JISP8123、ISO白色度JIS P81
48、ISO 2470−1977のいずれかに規定さ
れている測定法により80以上とするのが好ましい。
【0028】本発明による記録媒体の基材としては、イ
ンク受容層またはコート層を支持でき、記録媒体として
の強度を有するものでれば特に限定されず、紙、プラス
チックフィルムなどを好ましく用いることができる。印
字のいわゆる裏抜け等を有効に防止するためには、80
〜200g/m2程度のものを基材として利用するのが
好ましい。また、好ましい基材としての紙の厚さは、9
0〜220μm程度である。さらにプラスチックフィル
ムの場合には、その好ましい厚さは75〜200μm程
度である。
【0029】本発明の好ましい態様によれば、本発明に
よる記録媒体は、その表裏において、同一量のインク滴
が付着して形成されるドット径が異なるものとされるの
が好ましい。ドット径の制御のための好ましい手段とし
ては、表裏のインク受容層またはコート層のインク吸収
能を制御することが挙げられる。ここで、インク吸収能
とは、例えば記録媒体の厚み方向のインク吸収速度、に
じみまたはブリードが発生しない最大インク吸収量を意
味するものとする。
【0030】具体的には、一方の面のインク吸収能、例
えばインク組成物を吸収する速度を他の面のそれよりも
大きくし、同一量のインク滴が付着しても、表裏におい
て形成されるドット径を変える態様が挙げられる。すな
わち、インク吸収能が大きな面にインク滴が付着する
と、記録媒体の厚み方法に速やかにインクが吸収される
ため、比較的小さなドットが形成される。一方他の面に
おいては、インクが付着しても他の面よりもインク吸収
に時間を要し、インク組成物は記録媒体の表面において
横方向に比較的広がる。その結果、一方の面よりも比較
的大きなドットが形成されることとなる。本発明の好ま
しい態様によれば、インク吸収能が大きな面におけるド
ット径は50〜90μmであるのが好ましく、またイン
ク吸収能が小さな面におけるドット径は90〜120μ
mであるのが好ましい。更にこのようなドット径が0.
01〜0.05μg程度のインク滴量で得られるのが好
ましい。
【0031】また、本発明にあっては、そのプリンター
における搬送性も有利に改善されるよう、その両面にお
けるインク受容層またはコート層の摩擦係数についても
同時に制御されるのが好ましい。
【0032】また、本発明にあっては、その両面におけ
るインク受容層またはコート層によって記録媒体の強度
をある程度分担することになる。よって、記録媒体の基
材の選択に自由度が生ずることになるので有利である。
【0033】更に本発明の好ましい態様によれば、イン
ク吸収能の大きな面および小さな面における、にじみま
たはブリードが発生しない最大インク吸収量が、それぞ
れ3〜60μl/mm2および1〜20μl/mm2であ
るのが好ましい。
【0034】本発明による記録媒体は、形成しようとす
るインク受容層またはコート層の標準的な製造法により
それぞれの面に形成されてよい。また、本発明の好まし
い態様によれば、両面のインク受容層またはコート層
は、それぞれ別に形成されてもよく(いわゆるオフマシ
ン)、また同時に形成されてもよい(いわゆるオンマシ
ン)。さらに、片面にぞれぞれインク受容層またはコー
ト層が形成された2枚の記録媒体を張り合わせることで
製造されてもよい。
【0035】インク受容層をその前駆体組成物を塗工等
することで形成する場合、その塗工量はその種類および
所望のインク吸収量等を勘案して適宜決定されてよい
が、インク吸収量が小さい面のインク受容層の塗工量を
1〜10g/m2、インク吸収量の大きい面のそれを1
0〜30g/m2、基材の厚みを100〜200μmと
するのが好ましい。
【0036】本発明による記録媒体は、種々の形状で利
用可能であり、一般的な定型サイズの記録媒体に加え、
両面印刷が可能なハガキ、名刺シートなどとすることが
できる。
【0037】インクジェット記録方法 本発明によれば、前記の記録媒体を用いたインクジェッ
ト記録方法、すなわち記録媒体の両面に印字を行うイン
クジェット記録方法が提供される。
【0038】本発明の好ましい態様によれば、記録媒体
の表裏において解像度を変えた印字を行うことが可能で
ある。具体的にはインク吸収量の大きな面に高解像度で
の印字を行い、一方インク吸収能の小さな面に低解像度
での印字を行う。本発明による記録媒体にあっては、同
一のインク量が付着しても、形成されるドット径がイン
ク吸収能の大きな面で小さく、他の面で多くなる。すな
わち、記録ヘッドを同一のままとし、インク量を変えず
に解像度のみを変化させることで二つの解像度による画
像が実現できるので有利である。なお、本発明による記
録媒体において、インク量の制御を行えば、さらに有利
にドット径の制御が可能であることはいうまでもない。
【0039】同一インク量にもかかわらずドット径を表
裏で変化させることができる上記の様な本発明の態様
は、例えば使用されるインク組成物と記録媒体とを次の
ような基準で選択し、組み合わせることで実現できる。
すなわち、インク組成物として、記録媒体に対する滴下
5秒後の静的接触角が、記録媒体の一方の面において1
0度以下であり、他方の面において10度より大きいも
のを用いる。このような組み合わせにあっては、インク
組成物が一方の面には速やかに吸収され、他の面におい
ては緩やかに吸収される。そして、インク組成物が速や
かに吸収される面にあってはドット径は小さくなり、一
方インク組成物が緩やかに吸収される面にあってはドッ
ト径は大きくなる。
【0040】本発明の好ましい態様によれば、インク吸
収能の高い面への高解像度による印字が600〜144
0dpi程度であり、インク吸収能の低い面への低解像
度による印字が300〜600dpi程度とされる。
【0041】本発明によるインクジェット記録方法で用
いられるインク組成物は、慣用されている着色剤、有機
溶媒などを適宜組み合わせて構成されてよい。
【0042】本発明に使用できるインクに用いる好適な
溶媒としては、Caイオン、Mgイオンが5ppm以下
のイオン交換水とグリセリン、エチレングリコール、ト
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブ
ロパンジオール、1,5−ペンタンジオール等の高沸点
・低揮発性の多価アルコール類が挙げられる。また、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低
級アルキルエーテル、およびN−メチル−2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノール
アミン等の含窒素有機溶剤を用いることも可能である。
さらに、記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止するため
に、尿素、糖類などの吸湿性の高い添加剤を利用するこ
とも好ましい。これら多価アルコール、多価アルコール
の低級アルキルエーテルの添加量は適宜決定されてよい
が、4〜30重量%程度が好ましく、より好ましくは7
〜20重量%程度である。
【0043】更に本発明の好ましい態様によれば、イン
ク組成物は界面活性剤を含んで、記録媒体へのインクの
浸透性を制御されてよい。好ましい界面活性剤の例とし
ては、アセチレングリコール類が挙げられ、サーフィノ
ール465、TG、104、82として日信化学工業株
式会社より市販されているものを利用することもでき
る。
【0044】本発明においてインク組成物とは、モノク
ロ印刷を行う場合にはブラックインク組成物を意味し、
さらにカラー印刷を行う場合にはカラーインク組成物、
具体的にはイエローインク組成物、マゼンタインク組成
物、およびシアンインク組成物、更に場合によってブラ
ックインク組成物を意味するものとする。さらに、本発
明による記録媒体は、イエローインク組成物、色濃度の
異なる二種のマゼンタインク組成物、および色濃度の異
なる二種のシアンインク組成物、およびブラックインク
組成物の計六色のインク組成物を用いた記録方法に用い
られてもよい。このような六色インク組成物と本発明に
よる記録媒体とによれば、階調性に優れた、粒子状の点
のない、写真に匹敵する印刷画像を実現することができ
る。画像濃度が低い領域においては場合によって粒子状
の点が観察されることがあるが、マゼンタインク組成物
およびシアンインク組成物として、それぞれ高色濃度お
よび低色濃度のインク組成物を用いることで、粒子状の
点の発生を有効に防止でき、さらに階調性に優れた印刷
を実現できる。本発明の好ましい態様によれば、この低
色濃度インク組成物の色材濃度が、高色濃度インク組成
物の色材濃度の5〜50重量%であるのが好ましく、よ
り好ましくは10〜30重量%程度である。このような
高色濃度インク組成物および低色濃度インク組成物を用
いることで、より階調性に優れた画像が実現できる。
【0045】
【実施例】以下の実施例により本発明を貝体的に説明す
るが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0046】実施例1:記録媒体の調製 基材として180g/m2の記録紙を用意し、その表裏
に次のようにインク受容層を形成した。
【0047】A面:次のような組成を有する塗工液を調
製した。
【0048】 合成非晶質シリカ 100部 ポリビニルアルコール 30部 コロイダルシリカ 30部 カチオン性染料定着剤 20部 この塗工液を水で希釈し固形分濃度を15重量%とし、
これをエアーナイフコーターにより塗工層の乾燥重量が
12g/m2となるように塗工した。
【0049】その後、次の組成の塗工液を調製した。
【0050】 ポリスチレン系有機粒子 100部 スチレン−ブタジエン系 ラテックス 30部 離型剤 2部 これを更に水で固形分濃度25重量%まで希釈し、上で
形成した乾燥塗工層の上に塗工層の乾燥重量が3g/m
2となるようにキャストコーティングした。
【0051】B面:次のような組成を有する塗工液を調
製した。
【0052】 カオリン 100部 ポリビニルアルコール 5部 スチレンブタジエン系 ラテックス 20部 耐水化剤 2部 この塗工液を上記基材に塗布し、乾燥させて乾燥塗布量
5g/m2のインク受容層を形成した。
【0053】以上のようにして得られた記録媒体を、A
4サイズおよびハガキサイズに切断した。この記録媒体
を以下では実施例1と呼ぶ。
【0054】また、上記と同様の基材に対して、その片
面に上記A面またはB面の処理のみを行った記録媒体を
調製し、A4サイズおよびハガキサイズに切断した。A
面処理のみの記録媒体およびB面処理のみの記録媒体
を、それぞれ以下では比較例1および比較例2と呼ぶ。
【0055】実施例2 基材として90g/m2の上質紙を用意し、その表裏に
次のようにインク受容層を形成した。
【0056】A面:以下の組成を有する第一インク受容
層塗工液を塗布し、乾燥させて乾燥塗布量15g/m2
のインク受容層を形成した。
【0057】 シリカ(平均粒径5.3μm) 150部 ポリビニルアルコール(10%溶解品) 500部 メラミン系架橋剤(固形分80%) 4部 蛍光染料 5部 上記で得た第一インク受容層の上にさらに下記の組成を
有する第二インク受容層塗工液を塗布し、乾燥させて乾
燥塗布量7g/m2のインク受容層を形成した。
【0058】 シリカ(平均粒径19.3μm) 150部 ポリビニルアルコール(10%溶解品) 400部 ポリビニルピロリドン(10%溶解品) 600部 蛍光染料 10部B面 次の組成を有する塗工液を調製した。
【0059】 非晶質シリカ 100部 ポリビニルアルコール 80部 ポリアミドエポキシ系樹脂 10部 耐水化剤 10部 この塗工液を上記基材に塗布し、乾燥させて乾燥塗布量
5g/m2のインク受容層を形成した。
【0060】実施例3 コロイダルシリカ250部(スノーテックスC、日産化
学株式会社製、固形分20%)およびポリビニルアルコ
ール50部(ゴーセノールT330、日本合成化学株式
会社製、10%溶解品)からなる光沢層塗工液をポリエ
チレンフィルムに塗布し、塗工液面を、実施例2で得ら
れた記録媒体の第二インク受容層上に貼り合わせた。光
沢層塗工液層が十分に乾燥した後、ポリエチレンフィル
ムを剥離した。さらに乾燥させて、乾燥塗布量5g/m
2の光沢層を有し、その表面が60度鏡面光沢度30で
ある記録媒体を得た。
【0061】印字試験 以下のインク組成物を調製し、印字試験を行った。
【0062】 着色剤 2重量% グリセリン 10重量% ジエチレングリコール モノブチルエーテル 10重量% イオン交換水 77.2重量% サーフィノールTG 0.8重量%
【0063】 着色剤: イエローインク組成物−C.I.ダイレクトイエロー86 マゼンタインク組成物−C.I.アシッドレッド52 シアンインク組成物−C.I.ダイレクトブルー199 ブラックインク組成物−C.I.ダイレクトブラック19
【0064】印字は、インクジェット記録プリンタMJ
700V2C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて
行った。
【0065】記録媒体を次のような内容および基準によ
り評価した。
【0066】試験1:印字の裏抜け 実施例1、2、および3、比較例1、並びに比較例2に
よるA4サイズの記録媒体に、A面には720dpiの
解像度で、B面には360dpiの解像度でそれぞれ同
一の画像を印字した。得られた画像がそれぞれの裏面か
らも観察されてしまういわゆる裏抜けの有無を観察し
た。その結果、実施例1、2、および3の記録媒体では
裏抜けは観察されず、一方比較例1および2ではいずれ
の場合も裏抜けが観察された。
【0067】試験2:耐カール性 2−1.環境カール 上記1.で得られた印字物を、10℃、湿度20%、お
よび32℃、湿度80%の環境下に放置した。なお、片
面のみにインク受容層を設けた記録媒体については、イ
ンク受容層面を上にして放置した。24時間後に、記録
媒体の四隅の平面からの浮き上がり量を測定した。その
結果は次の通りであった。
【0068】 第 1 表 浮き上がり量(mm) 10℃/湿度20% 32℃/湿度80% 実施例1 0 0 実施例2 0 0 実施例3 0 0 比較例1 10 8比較例2 8 6
【0069】2−2.印字後カール 実施例1、比較例1、および比較例2によるA4サイズ
の記録媒体に、その印字可能領域全域に亘る同一画像
を、A面には720dpiの解像度で、B面には360
dpiの解像度でそれぞれ印字した。印字後の記録媒体
の四隅の平面からの浮き上がり量を測定した。その結果
は次の通りであった。
【0070】
【0071】試験3:搬送性 3−1.低温・低湿評価 10℃、湿度20%の環境下でプリンターに50枚連続
通紙を行い、ダブルフィード、ノンフィード、頭出し不
良が観察されなかった場合を○、1枚以上観察された場
合を×とした。
【0072】3−2.高温・高湿評価 32℃、湿度80%の環境下でプリンターに50枚連続
通紙を行い、ダブルフィード、ノンフィード、頭出し不
良が観察されなかった場合を○、1枚以上観察された場
合を×とした。その結果は、次の表に示されるとおりで
あった。
【0073】 第 3 表 10℃/湿度20% 32℃/湿度80% 実施例1 ○ ○ 実施例2 ○ ○ 実施例3 ○ ○ 比較例1 × ×比較例2 × ×
【0074】試験4:インク組成物との静的接触角 上記ブラックインク組成物を、実施例1〜3の記録媒体
のA面およびB面に滴下し、静的接触角を測定した。2
5℃の環境下で液滴法による接触角計(CA−Z型接触
角計、協和界面科学株式会社製)用い、滴下5秒後の接
触角を測定した。その結果は次の第4表に示されるとお
りであった。
【0075】
【0076】試験5:ドット径 試験1で得られた画像の1ドットあたりの等価円直径を
透明基材側から、サンプル数100で測定した。その結
果は、次の第5表に示されるとおりであった。
【0077】
【0078】試験6:実施例1〜3の記録媒体の表面の
白色度をISO−2470に準拠した白色度測定器(熊
谷理機工業株式会社製)を用いて測定した。その結果は
次の第6表に示されるとおりであった。
【0079】

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材と、その両面に設けられたインク受容
    層またはコート層とを含んでなる、インクジェット記録
    媒体。
  2. 【請求項2】その表裏において、同一量のインク滴が付
    着して形成されるドット径が異なる、請求項1記載の記
    録媒体。
  3. 【請求項3】その表裏のインク吸収能が異なる、請求項
    2記載の記録媒体。
  4. 【請求項4】小さなドット径が形成される面のインク吸
    収能が、大きなドット径が形成される面のインク吸収能
    より高い、請求項3記載の記録媒体。
  5. 【請求項5】インク吸収能の高い面および低い面におけ
    る、にじみまたはブリードが発生しない最大インク吸収
    量が、それぞれ3〜60μl/mm2および1〜20μ
    l/mm2である、請求項3または4記載の記録媒体。
  6. 【請求項6】インク吸収能の高い面のインク受容層また
    はコート層がフッ素またはシリコーン系化合物を含有し
    てなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の記録媒
    体。
  7. 【請求項7】インク吸収能の高い面のインク受容層また
    はコート層が、その表面に亀裂を有するものである、請
    求項1〜5のいずれか一項に記載の記録媒体。
  8. 【請求項8】インク吸収能の高い面の光沢度が60度鏡
    面光沢度で30以上を有する、請求項1〜7のいずれか
    一項に記載の記録媒体。
  9. 【請求項9】インク吸収能の高い面の白色度がインク吸
    収能の低い面の白色度よりも高いものである、請求項1
    〜8のいずれか一項に記載の記録媒体。
  10. 【請求項10】インク吸収能の高い面の白色度が80以
    上である、請求項9に記載の記録媒体。
  11. 【請求項11】インク組成物の液滴を形成し、該液滴を
    記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方
    法であって、 記録媒体が請求項1〜10のいずれか一項に記載のもの
    であり、かつインク吸収能の高い面に高解像度での印字
    を行い、インク吸収能の低い面に低解像度での印字を行
    う、インクジェット記録方法。
  12. 【請求項12】インク組成物として、インク組成物の前
    記記録媒体に対する滴下5秒後の静的接触角が、記録媒
    体の一方の面において10度以下であり、他方の面にお
    いて10度より大きいものを用いる、請求項11記載の
    インクジェット記録方法。
  13. 【請求項13】インク組成物として、アセチレングリコ
    ールを含有してなるものを用いる、請求項11または1
    2に記載のインクジェット記録方法。
  14. 【請求項14】高解像度が600〜1440dpiであ
    り、低解像度が300〜600dpiである、請求項1
    1〜13のいずれか一項に記載のインクジェット記録方
    法。
  15. 【請求項15】インク組成物として、イエローインク組
    成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成
    物、さらに場合によってブラックインク組成物を用い
    る、請求項11〜14のいずれか一項に記載のインクジ
    ェット記録方法。
  16. 【請求項16】インク組成物として、イエローインク組
    成物、高色濃度マゼンタインク組成物、低色濃度マゼン
    タインク組成物、高色濃度シアンインク組成物、低色濃
    度シアンインク組成物、およびブラックインク組成物の
    計六色のインク組成物を用いる、請求項11〜14のい
    ずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  17. 【請求項17】低色濃度マゼンタインク組成物の色材濃
    度が、高色濃度マゼンタインク組成物の色材濃度の5〜
    50重量%であり、低色濃度シアンタインク組成物の色
    材濃度が、高色濃度シアンインク組成物の色材濃度の5
    〜50重量%である、請求項16に記載のインクジェッ
    ト記録方法。
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