JP2005343108A - 顔料インク用インクジェット記録シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 顔料インクを用いたインクジェット記録・印刷に好適な高光沢のインクジェット記録シートに関するものであって、より詳しくは、顔料インクを用いたインクジェット記録・印刷において記録濃度、色再現性、記録部の光沢感など印刷品質に優れ、かつインクの吸収性、乾燥性、および定着性にも優れた高光沢の顔料インク用インクジェット記録シートを提供する。
【解決手段】 浸漬速度を50.0mm/minとした時のウイルヘルミ・プレート法による顔料インクとインクジェット記録シートとの動的接触角が10.0〜30.0°である顔料インク用インクジェット記録シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、顔料インクを用いたインクジェット記録・印刷に好適な高光沢のインクジェット記録シートに関するものであって、より詳しくは、顔料インクを用いたインクジェット記録・印刷において記録濃度、色再現性、記録部の光沢感など印刷品質に優れ、かつインクの吸収性、乾燥性、および定着性にも優れた高光沢の顔料インク用インクジェット記録シートに関するものである。
デジタルカメラやコンピュータなどの急速な普及に伴い、それらから出力される文字情報、画像を紙様のシート状媒体に記録するためのハードコピー技術としてインクジェット方式、昇華型熱転写方式、静電転写方式などの小型で、製版、あるいは現像・水洗処理を必要としないドライプロセスの記録方式が急速に進展した。近年では、色再現性や、画像密度、光沢性、耐候性などの点で、それらの記録方式が目標としていた銀塩写真に近い品質、性能が得られるようになってきている。
このうちインクジェット方式は、装置が比較的小型で、ランニングコストも低いなどの利点を有し、昇華型熱転写方式とともにハードコピーの主流と考えられている。また、インクジェット方式は、ノズルから記録媒体に向けて色材と多量の媒体からなるインク液滴を高速で射出するもので、フルカラー化や高速化が容易なことや、記録時の動作騒音が低いことなどから、近年急速に普及しつつあり、ホームユース、あるいはオフィスユースでのスタンダードな出力機器としての地位を確固たるものとしている。
このような現状において最終的なプリントの品質の更なる向上には、インクや、インクジェット・ヘッドなどプリンターにかかわるハードウエア的要素の技術改良ばかりでなく、インクジェット記録媒体のより高度で広範な特性の改善が求められており、近年では、特開平10−71764号公報(特許文献1)、特開平10−119423号公報(特許文献2)、特開平10−217601号公報(特許文献3)、特開2000−211235号公報(特許文献4)、特開2001−88439号公報(特許文献5)、特開2002−264466号公報(特許文献6)などに代表されるシリカやアルミナなどの無機顔料微粒子と少量の水溶性高分子バインダーとからなる多孔質性のインク受容層を有するインクジェット記録媒体が数多く提案されている。
これらの提案は、インク受容層内部に大きな空隙を有しているため、毛細管現象によりインクをその空隙に急速に吸収できること、また多量のインクをその空隙に保持できることに大きな特徴がある。すなわち、これらの提案のインクジェット記録媒体は乾燥性に優れ、インク吸収性が非常に速いため、インクドット形状をほぼ真円の状態に保つことができ、画像の鮮明さに優れるという長所を有している。
しかしながら、これまでインクジェット記録にはインクの色材として、発色性や色再現性に優れた水溶性染料がもっぱら用いられてきたが、それら染料インクには、耐光性、耐水性を含めた堅牢性に難点があった。
このため、最近では、色材に着色顔料を用いた顔料インクが各種提案され、例えば、特開昭56−147859号公報(特許文献7)、特開昭56−147860号公報(特許文献8)、特開平06−100810号公報(特許文献9)、特開平08−183920号公報(特許文献10)、特開平09−151342号公報(特許文献11)、特開2001−39006号公報(特許文献12)、特開2002−194256号公報(特許文献13)、特開2002−226743号公報(特許文献14)、特開2003−39645号公報(特許文献15)、特開2003−89757号公報(特許文献16)、特表2002−026898号公報(特許文献17)、渡辺和昭,日本写真学会誌,66(1),70−74(2003)(非特許文献1)、K.Yasui,DIC Tech. Rev.,,19−26(2002)(非特許文献2)、林広子,機能性色素学会要旨集,45−54(2000)(非特許文献3)、田中正夫,日本印刷学会誌,36(4),15−21(1999)(非特許文献4)が挙げられる。これらの色材に顔料インクを用いると、従来の染料インクの弱点であった耐光性、耐水性などが解決される他、にじみが改善されるなどの利点がある。また、顔料インクには、オフセット印刷やグラビア印刷などの一般の製版印刷におけるインクと基本的に同様の色材が用いられており、発色の色相が近似するため、これら製版印刷における色校正のための試験印刷、いわゆるカラープルーフとしても使用できる特性を有する。
しかし、その一方で、顔料インクを色材として使用する場合には、従来の染料インクに使用される紙などの記録媒体に印刷を行なうと、インクのヌレ広がり不足によるインクドット径の矮小化、およびインクドットの真円性低下が発生して記録・印刷物の光学濃度、明暗性、色彩度などが低下し色再現性が不充分になったり、あるいはベタ均一性が低下するなどして記録画像の品質が著しく損なわれる場合がある他、文字情報や画像が印刷された直後に、印字部や画像部を擦った際にインクが容易に剥がれる場合があるなどといった一般印刷と同様の問題が発生する弱点も有している。また、顔料インクは、染料が水に溶解している染料インクと異なり、微粒状の非水溶性の顔料粒子が水性の媒体中に分散しているもので、媒体の蒸発に伴い、インクジェットノズル付近のインク粘度の上昇による異常噴射や最悪の場合にはノズルの目詰まりを生じ易いという問題点も有している。
近年、これらの顔料インクを使用するインクジェット印刷における問題を解決する手段として、紙基材上に形成されたインク受容層の上に、さらに特定の物性を有する顔料定着層を設けたインクジェット記録媒体、例えば、特開平9−123593号公報(特許文献18)、特開平10−119422号公報(特許文献19)、特開平10−166717号公報(特許文献20)、特開平11−78225号公報(特許文献21)、特開平11−198520号公報(特許文献22)、特開2000−127613号公報(特許文献23)などが提案されている。また、これらの提案の他、特開2003−136836号公報(特許文献24)、特開2003−211836号公報(特許文献25)、特開2003−220754号公報(特許文献26)、特公平2−31673号公報(特許文献27)には、記録媒体の表層に熱可塑性有機高分子粒子からなる層を設け、画像記録後、熱可塑性有機高分子粒子を溶融、皮膜化し、結果として、高分子膜を形成することにより、画質の改良を行なうとともに顔料の定着性をも向上させ得る方法が提案されている。
しかし、現在主流の空隙型のインク受容層を有するインクジェット記録媒体は、記録媒体表面のひび割れや、マクロな凹凸などの欠陥による不良品の発生を抑えることで生産効率を向上させ、コスト削減を図るという課題を抱えているが、上記提案のインクジェット記録媒体も同様で、いずれも顔料定着層を設けることでより多層構造体となるのでそれだけ製造工程が煩雑になり、コスト高となるというジレンマをそれ自身に内包している。
特に、特公平2−31673号公報に代表される熱可塑性樹脂粒子からなる顔料インク定着層を設ける提案の場合には、製造上の問題以外にも、主に多孔性無機顔料からなる空隙型インク受容層のみからなる記録媒体に比べてインクの吸収速度が大きく低下するという問題がある。前述したようにインクジェット記録には、銀塩写真に匹敵する光沢感や、色再現性などの印刷品質に加えて記録画像の堅牢性、耐久性が要求されていると同時に、短時間に大量のプリントが行なえるように記録速度の高速化が要求されているので、インク吸収速度の低下そのものが記録速度の高速化が阻んだり、またインク吸収速度が低下することでニジミや、ビーディングの他、ブロンジングなどが発生することで、記録画像の品質低下を招く結果となることは本来の意図からは全く外れる。なお、インク吸収速度の低下に起因して記録画像の品質が低下する現象は、記録速度のさらなる高速化がなされた時により顕著となり大きな問題となる。
また、上記提案の他、記録媒体の表面物性をコントロールすることによって顔料インクを使用するインクジェット印刷における問題を解決しようとする提案の例として、特開平08−142495号公報(特許文献28)、特開平09−30116号公報(特許文献29)、特開2001−341408号公報(特許文献30)、特開2002−307810号公報(特許文献31)、特開2003−54112号公報(特許文献32)、特開2003−220753号公報(特許文献33)などを挙げることができるが、いずれもその効果は部分的なものに留まるため、究極的な解決策の提案が待ち望まれている。
特開平10−71764号公報 特開平10−119423号公報 特開平10−217601号公報 特開2000−211235号公報 特開2001−88439号公報 特開2002−264466号公報 特開昭56−147859号公報 特開昭56−147860号公報 特開平06−100810号公報 特開平08−183920号公報 特開平09−151342号公報 特開2001−39006号公報 特開2002−194256号公報 特開2002−226743号公報 特開2003−39645号公報 特開2003−89757号公報 特表2002−026898号公報 特開平9−123593号公報 特開平10−119422号公報 特開平10−166717号公報 特開平11−78225号公報 特開平11−198520号公報 特開2000−127613号公報 特開2003−136836号公報 特開2003−211836号公報 特開2003−220754号公報 特公平2−31673号公報 特開平08−142495号公報 特開平09−30116号公報 特開2001−341408号公報 特開2002−307810号公報 特開2003−54112号公報 特開2003−220753号公報 渡辺和昭,日本写真学会誌,66(1),70−74(2003) K.Yasui,DIC Tech. Rev.,8,19−26(2002) 林広子,機能性色素学会要旨集,45−54(2000) 田中正夫,日本印刷学会誌,36(4),15−21(1999)
本発明は、インクジェット方式の記録・印刷に顔料インクを用いた際、記録・印刷物の光学濃度が低下、およびベタ均一性の低下の原因となるインクのヌレ広がり不足によるインクドット径の矮小化や、インクドットの真円性低下が発生することのない印刷品質に優れると同時に、顔料インクの吸収速度が速く、延いては記録・印刷速度そのものを高速化させることができる高光沢の顔料インク用インクジェット記録シートを提供する。
本発明者らは、従来からの課題を克服し、上記の目的を達成するべく鋭意検討を進めた結果、インクジェット記録シートに求められる特性が、顔料インクを用いてインクジェット記録・印刷を行なう場合と、従来の染料インクを用いた場合とでは大きく異なるのに対して、記録・印刷の技術としては全く別の分野に属するオフセット印刷、グラビア印刷などの一般印刷に使用される塗工紙に求められる特性とがむしろ類似・共通していることを見出し、顔料インクの静的な物理特性の把握は元より、一般印刷の理論や知見を応用して、実際のインクジェット記録・印刷の各過程で発生する現象と、紙面上での顔料インクの挙動とを対比させ、解析することによって本発明を完成するに至った。
つまり、記録濃度や、画質、色再現性の向上は、顔料インクをインクジェット記録シートに着弾後のインクドット径を理想的な大きさに保つことによって達成されるが、顔料インクの粘度や、表面張力などの物性を最適化すること、インクジェット記録シートの表面物性を最適化することが重要であるのと同時に、それらの相互の動的な物性を制御し、最適化することがさらに重要であることを明らかとし、本発明の顔料インク用インクジェット記録シートを完成させた。
本発明は下記態様を含む。
[1]浸漬速度を50.0mm/minとした時のウイルヘルミ・プレート法による顔料イ
ンクとインクジェット記録シートとの動的接触角が10.0〜30.0°であることを特徴とする顔料インク用インクジェット記録シート。
[2]表面張力が25〜35mN/mである顔料インクを用いて画像、および情報の記録が
なされる[1]記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[3]前記顔料インクが、水溶性有機溶剤として、1、2―ヘキサンジオール、およびグリセリンを含有し、かつ、両者の合計が水溶性有機溶剤の80%以上であり、それを用いて画像、および情報の記録がなされる[1]または[2]に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[4]樹脂および界面活性剤から選ばれた少なくとも1種で化学的および/または物理的に表面処理を施された着色顔料からなる色材粒子を含んでなる顔料インクを用いて画像、および情報が記録される[1]〜[3]のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[5]前記色材粒子の粒径が、50nm〜100nmである[4]に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[6]前記着色顔料の表面処理に使用される樹脂および界面活性剤から選ばれた1種が、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を含む顔料インクを用いて画像、および情報が記録される[5]または[6]に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[7]前記顔料インク用インクジェット記録シートが、支持体と、支持体表面上に無機微粒
子および、水性高分子バインダーを含有してなる少なくとも一層のインク受容層とを有している[1]〜[6]のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[8]前記支持体が、耐水性支持体である[7]に記載の顔料インク用インクジェット記録シ
ート。
[9]前記耐水性支持体が、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆された支持体である
[8]に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[10]前記無機微粒子のうち少なくとも一種が、平均一次粒子径が30nm以下である[7]に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[11]前記無機微粒子のうち少なくとも一種が、気相法シリカである[7]または[10]に
記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[12]前記無機微粒子のうち少なくとも一種が、平均一次粒子径が30nm以下であるシリカと、カチオン性無機および/または有機化合物との複合微粒子である[7]に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[13]前記顔料インク用インクジェット記録シートが、キャスト処理を施したインク受容層を有する[1]〜[12]のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
[14]前記顔料インク用インクジェット記録シートが、インク受容層よりも上層にキャスト処理を施した光沢発現層を有する[1]〜[13]のいずれかに記載の顔料インク用インク
ジェット記録シート。
上記のように記録濃度や、画質、色再現性を向上させるために顔料インクとインクジェット記録シートとの相互な動的物性を制御、最適化して予期せぬインクドット径の矮小化が発生することのない顔料インク用のインクジェット記録シートを提供することを本発明の目的としている。ちなみに、顔料インクのドット径矮小化の程度は、浸漬速度を50mm/minとした時のウイルヘルミ・プレート法による顔料インクとインクジェット記録シートとの動的接触角測定から見積もることができ、その値が小さいほどドット径矮小化は発生し難いので好ましく、より具体的には10.0〜30.0°が好ましい。上記の動的接触角が30.0°を越えると、インクドット径の矮小化が発生し易くなり、光学濃度、画質ともに低下する場合があるが、逆に、その値が10.0°を下回れば、インクドットの真円性を保つことが困難となり、やはり画質の低下を招く結果となる場合がある。
なお、顔料インクのドット径矮小化の程度は、顔料インクの種類よって異なるが、例えば、ドット径矮小化の顕著に発生するシアン系顔料インクでのその値は10.0〜30.0°が好ましく、20.0〜30.0°がより好ましい。
本発明の顔料インク用インクジェット記録用シートは、顔料インクを用いたインクジェット記録において、高い光学濃度と、高い記録部の光沢度を実現できるばかりでなく、インクドット径を適正な大きさにコントロールすることで細部における印刷の品質(画質)を銀塩写真並みにまで高めることを可能とし、さらには記録画質と記録画像の実用上十分な耐擦過性の両立をも可能とする性能も具備したインクジェット記録用シートであった。また、本発明の顔料インク用インクジェット記録用シートは、顔料インクを用いたインクジェット記録においてのみならず、染料インクを用いたインクジェット記録においても優れた性能を具備したインクジェット記録用シートであった。
本発明の顔料インク用インクジェット記録用シートは、浸漬速度を50.0mm/minとした時のウイルヘルミ・プレート法による顔料インクとインクジェット記録シートとの動的接触角が10.0〜30.0°であることを特徴としており、これを満足する限り、それ以外に、特にその態様に制限はない。
本発明において、浸漬速度を50.0mm/minとした時のウイルヘルミ・プレート法による顔料インクとインクジェット記録シートとの動的接触角を10.0〜30.0°の範囲に制御する方法としては、例えば、インクジェット記録シートに、平均一次粒径が30nm以下である気相法シリカと、カチオン性無機および/または有機化合物との複合微粒子と、水溶性高分子バインダーとを含有してなる少なくとも一層のインク受容層を設ける、あるいはインクジェット記録シートにインク受容層よりも上層にキャスト処理を施してなる平均粒子径が0.001〜1μmの顔料を含む光沢発現層を設けるなどを挙げることができる。
以下に本発明の顔料インク用インクジェット記録用シートを詳しく説明する。
本発明の顔料用インクジェット記録シートの作製には、紙(酸性紙、中性紙、コート紙)、布、または不織布などのような吸水性のある基材、コート紙や上質紙などに接着剤を介してプラスチック・フィルムを貼合せた透水性の低い基材、あるいはプラスチック・フィルムやシート、合成紙、紙を芯材とし、その表面をプラスチックで覆ったラミネート紙などの耐水性基材などを好適に用いることができる。
近年、ニーズの高まっている銀塩写真に匹敵する画質と、光沢性を本発明の顔料用インクジェット記録シートに付与するためには、基材として、耐水性基材、とりわけ原紙の両面をポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂でラミネートした、いわゆるRC紙が特に好ましく用いられる。
本発明の態様として、例えば、本発明の顔料用インクジェット記録シートが、先に例示したような基材からなる支持体と、その表面上に無機微粒子と、水性高分子バインダーとを含むインク受容層とから構成される場合、インク受容層は必ずしも一層である必要はなく、二層以上であっても良いし、また、インク受容層よりも上層に光沢を付与・発現させるための目的で光沢発現層を設けることもでき、各々の層の乾燥後の塗布量は、インクジェット記録用シートとしての性能を損ねない範囲で任意に設定することができるが、インク受容層の場合、各層の合計塗布量が2〜50g/m2程度、光沢発現層の場合、0.2〜30g/m2程度であることが好ましい。因みに、インク受容層の各層の合計塗布量が、2g/m未満であると、記録画質、および塗膜強度に劣る場合があるばかりでなく、インクの定着性もままならない場合もある一方で、50g/mを越えて塗布量を増やそうとするとインク受容層のひび割れが発生し易くなり、記録画質が急激に低下する場合がある。また、同様に、光沢発現層の塗布量が、0.2g/m未満の場合には光沢感が損なわれる場合があるばかりか、記録画質を劣化させる場合もあるが、その塗布量が30g/m越えるとインク吸収性が著しく記録画質が低下する場合がある。
本発明の顔料用インクジェット記録シートが、例えば、支持体と、その表面上に無機微粒子と、水性高分子バインダーとを含むインク受容層とから構成される場合、インク受容層中に含有せしめる無機微粒子としては、例えばゼオライト、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、アルミノシリケート、ベーマイト、擬ベーマイトなどが挙げられるが、インク吸収性の点で特にシリカが好ましい。
合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがある。湿式法シリカとしては(1)ケイ酸ナトリウムの酸による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、(2)シリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、(3)シリカゾルの縮合により得られる多孔質シリカ微粒子、(4)シリカゾルをゲル化させ一次粒子がシロキサン結合した数ミクロンから10ミクロン位の三次元的な二次粒子となったシリカゲル、(5)シリカゲル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウムなどを加熱生成させて得られるケイ酸主体の合成ケイ酸化合物、さらには(6)コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加した後、該シード液に対し、活性珪酸水溶液およびアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る二次シリカ分散体(特開2001−354408号公報)などがある。
気相法シリカは湿式法に対し乾式法と呼ばれ火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素および酸素と共に燃焼して造る。四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシラン、トリクロロシランなどのシラン類を単独あるいは四塩化ケイ素と混合して使用することもある。
本発明に用いる無機微粒子の平均一次粒子径は、特に限定しないが、透明感や、粒状感の少なさなどの印画品質を考慮すると、30nm以下であるのが好ましく、より好ましくは3〜15nmである。一方、本発明に用いる無機微粒子の比表面積にも、特に限定はないが、インク吸収速度や、インク吸収量に起因する記録画像の粒状感を極力少なく抑えるには、BET法による比表面積が200m2/g以上のものが好ましく、より好ましくは250〜500m2/gである。BET法による比表面積に上限はないが1000m2/g以下程度が好ましい。
本発明で言うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち、比表面積を求める方法である。
また、インク吸収性、透明性、および高い光沢が得られる点から、本発明に用いる無機微粒子は、気相法シリカが好ましい。また、合成シリカなどの無機微粒子が凝集している場合、凝集粒子径は、特に限定しないが、インクジェット記録用シート自体の、あるいは記録画像の光沢感を考慮すると、0.05〜10μmが好ましく、より好ましくは0.05〜7.0μmである。
本発明の顔料用インクジェット記録シートにおいて、インク受容層中の無機微粒子の使用量には特に制限はないが、インク受容層の塗膜強度、あるいはインク吸収性や、インク乾燥性、さらにインクジェット記録用シートの記録画質を考慮すると、インク受容層の固形分に対して20〜95質量%程度であるのが好ましく、より好ましくは30〜90質量%程度である。
本発明の顔料用インクジェット記録シートにおいて、インク受容層のうち少なくとも一層には上述したシリカとカチオン性化合物をあらかじめ混合し凝集させることによって得られるシリカ−カチオン性化合物凝集体が好ましく、また、その凝集体の粒子を平均粒子径0.7μm以下に粉砕したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子がより好ましく用いられる。このシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を用いることによって、インク受容層を、透明性、インク吸収性、インクの発色性、耐候性などが良好な多孔質層とすることができる。
上記のシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、実質的に一次粒子が凝集してできた二次粒子からなるコロイド粒子であることが好ましく、それは、通常、水分散物(スラリー)の形態で使用される。一次粒子が単分散したようなシリカゾル(例えば、市販の一般的なコロイダルシリカ)のみを用いてインク受容層を形成させる場合には、得られる多孔質層は比較的緻密な構造となり、インク吸収性が低下するので、これを避けるためにインク受容層を厚くする必要があるが、そうすることで逆にインク受容層の透明性の低下や、ひび割れの発生を回避することが困難となる、また同時に、インク受容層を塗設する工程も煩雑にならざるを得ないという難点がある。もちろん、二次粒子からなるシリカ−カチオン性化合物凝集体のコロイド粒子分散液中に部分的に一次粒子が含まれても何ら支障はない。
また、上述のシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、一般にbreaking down法(塊状原料を細分化する方法)と呼ばれる方法によって調製される。つまり、シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、予めシリカとカチオン性化合物とを混合して得られた凝集体に機械的手段を用いて強力な力を与えることによって粉砕、細分化して得られる。機械的手段としては、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、擂解機、サンドグラインダーなどが一般的な例として挙げられる。
本発明の顔料用インクジェット記録シートにおいて、インク受容層のうち少なくとも一層を形成するのに用いられるシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子(実質的に、二次粒子)の平均粒子径は0.7μm以下であり、好ましくは10〜300nm、より好ましくは20〜200nmに調整されていることが求められる。平均粒子径が0.7μmを越えるシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を使用すると、インク受容層の透明感が著しく損なわれ、印字濃度が極端に低下する上、印字部に高光沢を発現させられない惧れがある。一方、平均粒子径の極めて小さいシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を使用すると、充分なインク吸収速度が得られないことが危惧される。
なお、本発明の顔料用インクジェット記録シートにおいて、インク受容層のうち少なくとも一層を形成するのに用いられるシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の基体となるシリカは、平均一次粒子径が3nm〜40nmであることが好ましい。基体となるシリカの平均一次粒子径が3nm未満になると一次粒子間の空隙が極端に小さくなり、インクやインク中の溶剤を吸収する能力が著しく低下する場合がある。また、一方、その平均一次粒子径が40nmを越えると、凝集した二次粒子が大きくなり過ぎて、インク受容層の透明性が低下する惧れがある。
本発明の顔料用インクジェット記録シートにおいて、インク受容層のうち少なくとも一層を形成するのに用いられるシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の調製には、一般にインクジェット記録用紙の製造に使用される各種公知のカチオン性化合物が使用可能であり、例えば、モノアリルアミン塩、ビニルアミン塩、N−ビニルアクリルアミジン塩、ジシアンジアミド・ホルマリン重縮合物、ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン重縮合物などの1級アミン塩を構成単位として有する1級アミン型カチオンポリマー、ジアリルアミン塩、エチレンイミン塩などの2級アミン塩を構成単位として有する2級アミン型カチオンポリマー、ジアリルメチルアミン塩などの3級アミン塩を構成単位として有する3級アミン型カチオンポリマー、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物などの4級アンモニウム塩を構成単位として有する4級アンモニウム型カチオンポリマーの他、塩基性ポリ塩化アルミニウム、塩基性ポリ脂肪酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物や、塩化ジルコニル、塩基性塩化ジルコニル、脂肪酸ジルコニルなどのジルコニル化合物などが好適に用いられる。また、シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の調製に、前記公知のカチオン性化合物を同時に二種類以上用いることもできる。
上記シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の調製に用いられるカチオン性化合物の添加量は、基体となるシリカ100質量部に対して、1〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部の範囲で調節される。
また、上述のシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の調製にカチオンポリマーを用いる場合、その分子量としては、5,000〜100万程度が好ましく、より好ましくは、1万〜30万程度である。さらに1万〜5万程度が好ましい。
本発明の顔料用インクジェット記録シートが、支持体と、その表面上に無機微粒子と、水性高分子バインダーとを含むインク受容層とから構成される場合、そのインク受容層に用いられる水性高分子バインダーには、特に制限はないが、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉などの澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパクなどのタンパク類、完全(部分)ケン化ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックスなどの合成ラテックス類、の他、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体の塩、などを用いることができる。
これらの水性バインダーの中でも、完全(部分)ケン化ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、またはポリウレタン系ラテックスがより好ましく用いられる。
本発明にポリビニルアルコール類を用いる場合、ポリビニルアルコールの中でもケン化度が80%以上の部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、またはケイ素変性ポリビニルアルコールが好ましく、また、その平均重合度としては200〜5,000が好ましく、500〜5,000がより好ましい。
ポリビニルアルコールは、水性バインダーの中でも透明性、および耐水性が高く、非イオン性で各種の材料との混合が可能であり、室温付近で膨潤性が比較的低いため好ましい。またインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわない利点がある。
ケン化度が80%以上の部分ケン化ポリビニルアルコール、または完全ケン化ポリビニルアルコールが好ましい理由は耐水性に優れるためであり、ケイ素変性ポリビニルアルコールが好ましい理由は、その耐水性の高さと、無機顔料微粒子との接着性の良さにある。
ポリビニルアルコールの中でもケン化度が80%以上の部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、またはケイ素変性ポリビニルアルコールの平均重合度として200〜5,000が好ましい理由は、この範囲の重合度のものを用いると、耐水性に優れ、かつ取り扱い易い粘度となるためである。
また、ポリウレタン系ラテックスとしては、第1級〜第4級アンモニウム塩基を主鎖あるいは側鎖中に有する自己乳化型のカチオン性ポリウレタン・ラテックスが好ましい。
これらの水性高分子バインダーは、一般に無機微粒子100質量部に対して1〜100質量部程度、好ましくは5〜50質量部程度の範囲で使用される。
本発明においては、上記水性高分子バインダーとともに架橋剤を用いることも可能である。架橋剤に特に制限はないが、具体例としては、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸塩、グリオキザール、メラミン・ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、メチロールウレア、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、ジヒドラジド化合物、ジルコニウム化合物などが挙げられる。これらのうちでもホウ酸、ホウ砂、またはホウ酸塩が好ましい。
また、本発明ではインク受容層を形成する塗料の安定化剤として、リンのオキソ酸塩を用いることも可能である。安定化剤として、リンのオキソ酸塩に特に制限はないが、その具体例としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、メタ亜リン酸、ピロリン酸、ピロ亜リン酸、ポリリン酸などのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。
これらのうちでも次亜リン酸塩は、特に塗料安定性に効果が高いため好んで用いられる。次亜リン酸塩の具体例としては、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸バリウム、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸亜鉛などが挙げられるが、特に、次亜リン酸ナトリウムが最も塗料安定性に効果が高いため最も好ましく用いられる。
さらに、本発明の顔料用インクジェット記録シートがインク受容層を有する場合、そのインク受容層中には、各種公知の顔料分散剤、増粘剤、流動性変性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、画像安定化剤などを適宜添加することもできる。
本発明の顔料用インクジェット記録シートがインク受容層を有する場合、そのインク受容層は、インク受容層用塗液をバーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどの塗工方式で支持体上の少なくとも片面に乾燥後の塗布量が2〜50g/m2程度となるように塗布乾燥して形成される。因みに、塗布量がこの範囲にあると、記録画質、および塗膜強度に優れる。
インク受容層形成後、高光沢を付与するなどの目的のため、例えばスーパーカレンダー、グロスカレンダーなどで加圧下、ロールニップ間を通して表面の平滑性を与えることも可能である。
また、本発明の顔料用インクジェット記録シートにおいては、前記のインク受容層より上層にキャスト処理により光沢発現層を設けることで、さらに表面光沢度の高いインクジェット記録用シートを作製することもできる。この光沢発現層は、顔料、および/あるいは樹脂を含有してなり、インクが速やかに吸収・通過し、インク受容層での吸収を阻害しないよう、光沢が低下しない範囲で多孔性、もしくは通液性にするのが好ましい。そのためには、光沢を落とさない範囲で光沢発現層に顔料を配合する、あるいは光沢発現層に配合された樹脂が完全に成膜しないような乾燥条件を選択して、光沢発現層を形成させるのが好ましい。
本発明の顔料用インクジェット記録シートに光沢発現層を設ける場合には、光沢発現層の塗工量は、乾燥固形分で0.2〜30g/m2が好ましく、より好ましくは、0.5〜20g/m2である。乾燥固形分がこの範囲にあると、光沢、インク乾燥性及び記録濃度が優れたものとなる。
本発明の顔料用インクジェット記録シートに光沢発現層を設ける場合に用いる顔料は、インク受容層を形成させるために用いた材料と同様のものが挙げられるが、光沢、透明性、インク吸収性の点で、コロイダルシリカ、非晶質シリカ、酸化アルミニウム、アルミノシリケート、ゼオライト、合成スメクタイトなどが好ましい。これらの顔料は光沢発現層中に10〜95質量%含まれることが好ましい。顔料の平均粒子径(凝集粒子の場合は凝集粒子の径)は、0.001〜1μmが好ましく、0.005〜0.5μmのものがより好ましい。粒子径がこの範囲にあると優れたインク吸収性、光沢感、および印字濃度が得られる。
本発明の顔料用インクジェット記録シートに光沢発現層を設ける場合に使用される樹脂としては、水溶性高分子バインダー(例えばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックスなどの水分散性樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂など、その他一般に塗工紙分野で公知公用の各種樹脂(接着剤)を例示でき、これらを単独で、あるいは二種類以上混合して使用できる。
また、本発明の顔料用インクジェット記録シートにキャスト方式で樹脂を主体とした光沢発現層を形成させる場合、特にエチレン性不飽和結合を有するモノマー(以下エチレン性モノマーという)を重合させてなる重合体、あるいは共重合体(以下一括して重合体と称する)を主成分として構成される樹脂が好ましく、これら重合体の置換誘導体であっても良い。また、上記のエチレン性モノマーをコロイダルシリカの存在下で重合させ、Si−O−R(R:重合体成分)結合によって複合体になった樹脂、あるいは上記重合体にSiOH基などのコロイダルシリカと反応するような官能基を導入しておき、コロイダルシリカと反応させて複合体になった樹脂を使用することも可能である。このコロイダルシリカ−樹脂複合体を使用した場合、本発明の顔料用インクジェット記録シートは光沢、インク吸収性に優れたものとなりやすい。
さらに、本発明の顔料用インクジェット記録シートにキャスト方式で樹脂を主体とした光沢発現層を形成させる場合、上記樹脂のガラス転移点は−25℃以上が好ましく、−20〜100℃の範囲であるものがより好ましい。ガラス転移点が低過ぎると乾燥の際に成膜が進みすぎ表面の多孔性が低下する結果、インクの吸収速度が低下する場合が生じるが、逆に、ガラス転移点が高過ぎると、成膜時に意図せぬクラックが大量に発生し、表面光沢が低下するばかりでなく、インクの吸収を不均一化させることとなり、その結果として記録画質の低下を招く場合がある。
本発明の顔料用インクジェット記録シートにキャスト方式で光沢発現層を形成させる方法としては、ウェットキャスト法、ゲル化キャスト法、およびリウェットキャスト法などがあり、いずれも鏡面ドラム表面で光沢発現層の塗布液層を拘束乾燥する工程が含まれる。すなわち、ウェット法は、基体上に塗工した光沢発現層塗布液が湿潤状態にあるうちに該光沢発現層を加熱された鏡面ドラム面に圧接して強光沢仕上げを行なう手法である。また、ゲル化法は、基体上に塗工した光沢発現層塗布液が湿潤状態にあるうちにこの光沢発現層塗布液をゲル化液に接触させ、ゲル化状態にした光沢発現層を加熱された鏡面ドラム面に圧接して強光沢仕上げを行なうものである。さらに、リウェット法は、湿潤状態の光沢発現層を一旦乾燥してから再度湿潤液に接触させた後、加熱された鏡面ドラム面に圧接して強光沢仕上げを行なう方法である。
また、本発明の顔料用インクジェット記録シートに光沢発現層を設ける別の方法として、インク受容層上に塗布された光沢発現層塗料が湿潤状態、または半乾燥状態にあるうちに、支持体を塗布面が鏡面仕上げの加熱された鏡面ドラムに接するように、基体を鏡面ドラムとプレスロールとの間をプレスしながら通過させてインク受容層上に光沢発現層となる塗布液層を形成した後、直ちに鏡面ドラムから塗布液層を剥離する工程からなるキャスト方式に準じた手法を利用することも可能である。
ただし、この方法は、塗布液層をプレス圧と温度により、瞬時に、インク受容層に密着させ、ひび割れのない均一な膜として光沢発現層を形成させる点において、鏡面ドラム表面で塗布液層を拘束乾燥する一般的なキャスト処理と異なる。
また、この工程の後段で、形成された光沢発現層をドライヤーなどの乾燥ゾーンで別途乾燥させることも可能である。
キャスト方式で光沢発現層を形成させる場合、加工・乾燥温度も重要であり、その加工・乾燥温度が高過ぎると成膜が進みすぎ表面の多孔性が低下する結果、インクの吸収速度が低下する場合があり、逆に、乾燥温度が低すぎると光沢に乏しくなる傾向があり、生産性も低下する。
本発明の顔料用インクジェット記録シートにおいては、印字濃度を高めたり、耐水性を向上させるため光沢発現層にカチオン性化合物を含有させたり、さらに耐光性、耐ガス性を改善するため各種助剤を添加することも可能である。
また、光沢発現層には、上記のほかにも、一般的に塗工紙の製造において使用される各種顔料、分散剤、増粘剤、消泡剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加してもよい。
また、本発明の顔料用インクジェット記録シートは、インク受容層を多層塗工すること、支持体とインク受容層の間に中間層を設けること、あるいは支持体の裏面に保護層を設けること、さらには支持体の裏面を粘着加工することなども可能で、インクジェット記録用シート製造分野における各種公知の技術を付加し得るものである。
本発明の顔料用インクジェット記録シートにインクジェット印刷する場合、顔料インクとしては、分散剤として水溶性樹脂と着色顔料とを水などの水性媒体中に分散させた樹脂溶解型の顔料インク、顔料を皮膜形成性樹脂で被覆し、内包したマイクロカプセルを水などの水性媒体中に分散させたマイクロカプセル化顔料インクのいずれでも使用できる。このうち、本発明では、特に後者のマイクロカプセル化顔料インクの使用が好ましい。その理由は、インクの分散安定性に優れるとともに、顔料インクが記録媒体上に噴射された際に、着色顔料が樹脂で被覆されているため、着色顔料の粒子の表面に樹脂皮膜が形成され、高い光沢の印字及び画像が得られるためである。顔料インク中の着色顔料は、インク中に0.5〜20質量%、特には、2〜12質量%含有されるものが好ましい。顔料インクには、必要に応じて、さらに分散剤、酸化防止剤、粘度調節剤などが添加される。
また、高い光沢の印字および画像が得られるため、着色顔料の表面処理に使用される樹脂および界面活性剤から選ばれる1種が、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を含むことが好ましい。
顔料インク中に含有される着色顔料としては、各種の無機顔料または有機顔料が使用でき、無機顔料としては、例えば、酸化チタン系、酸化カドニウム系、酸化鉄系、クロム酸系、珪酸系などの酸化物系顔料、硫化物系顔料、炭酸塩系顔料、金属錯体系顔料、カーボンブラックなどの顔料を挙げることができ、また、有機顔料としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、ペリノン系、ペリレン系、イソジゴ系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系などの顔料を挙げることができる。
また、顔料インクの溶媒としては、水単独、あるいは水と各種の水溶性有機溶剤を併用してなる水性媒体が好ましく用いられ、水溶性有機溶剤としては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル、2−ピロリドン、エチレンイミンなどが好ましく用いられ、中でもイソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ピロリドン、エチレンイミンなどが顔料インクの表面張力や、粘度、および飛翔などの制御に好適的に用いられる。中でも、1,2−ヘキサンジオール、およびグリセリンの合計が、水溶性有機溶剤の80%以上であることが好ましい。
また、顔料インクの表面張力はノズルから吐出する際に形成されるインク滴、およびインクジェット記録シートに着弾後にインクドット径を適正な大きさに制御するなどのために、25〜35mN/mが好ましく、さらに25〜30mN/mであればより好ましい。
顔料インクは、色材粒子として着色顔料、水性媒体の他に少量の添加剤を含んでいても良く、添加剤としては、例えばpH調整剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、界面活性剤、および防錆剤などを含んでいても構わない。
本発明への顔料用インクジェット記録シートのインクジェット印刷において好ましく用いられるマイクロカプセル化顔料インクのひとつの様態として、酸価が50〜280mg−KOH/gを有し、酸基の60モル%以上がアルコールアミンなどの塩基で中和されてなる自己水分散性樹脂顔料粒子であり、平均粒子直径が10〜100nmである上記の顔料粒子をこれに内包した顔料インクを挙げることができる。
マイクロカプセル化顔料をインク中で安定に分散させるために使用される自己水分散性樹脂には、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが使用される。
さらに、顔料インクの組成(自己水分散性樹脂や、水性溶媒の種類や配合比など)は、その中に含有する着色顔料の種類によって異なる場合がある。つまり、着色顔料の種類(主に色で大別できる)が異なると顔料をマイクロカプセル化するのに使用される自己水分散性樹脂の組成も異なるので、マイクロカプセル化顔料をインク中で安定に分散させる、インク滴の飛翔挙動を制御する、あるいはインクジェット記録シートに着弾後のインクドット径を理想的な大きさを適正に保つために、インクの組成自体を顔料の種類や色毎にアレンジしても構わない。また、それらを達成するために市販の顔料インクIJプリンタに搭載されている顔料インクで広く用いられているその他の手段、手法を利用しても何ら差し支えない。
上記理由から着色顔料の種類や色毎にインク組成が異なることは、顔料インクの上記以外の物性や、印刷の挙動にも大きな影響をもたらすことがあり、特に、インクジェット記録シートに着弾した顔料インクが最終的に形成するドット径は記録濃度や、画質に大きく影響するので、各種公知の材料や手法を用いて顔料インクの設計がなされるのが好ましい。
本発明への顔料用インクジェット記録シートに顔料インクを使用してインクジェット印刷する方法は、特に限定されるものではなく、ピエゾ方式やサーマル方式のインクジェットプリンターを使用することによりフルカラーの文字、または画像を形成させることができる。
本発明の顔料用インクジェット記録シートは、顔料インクを用いたインクジェット印刷においても銀塩写真並みの光沢感や、記録濃度などの記録品質を実現することに特化して設計・開発がなされているが、顔料インクに適しているだけでなく、従来からインクジェット記録に使用されてきた染料インクでのインクジェット印刷においても銀塩写真並みの記録品質を実現することが可能である。
従来からインクジェット記録に使用されてきた染料インクは、着色剤である水溶性染料を、水単独、あるいは水、および水溶性有機溶剤が併用された水性媒体に溶解させた水性インクある。着色剤としては、直接染料、酸性染料、反応性染料などの各種水溶性染料が好ましく用いられる。また、水溶性有機溶剤としては、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの一価アルコール、エチレングリコールジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルなどが好ましく用いられる。
染料インクは、着色剤、水性媒体の他に少量の添加剤を含んでなっており、添加剤としては、例えばpH調整剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、界面活性剤、および防錆剤などを含んでいる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」は、特に断わらない限りそれぞれ質量部および質量%を示す。
(インクジェット記録用シートの作製と、性能評価)
インクジェット記録用シートの作製:
本発明の顔料インク用インクジェット記録用シートは、以下実施例のように作製したが、その方法に限定はなく、公知公用の技術を用いて、あるいはそれらをアレンジしても作製できる。
(1)作製した顔料インク用インクジェット記録用シートのウイルヘルミ・プレート法による動的触角測定:
〔ウイルヘルミ・プレート法による動的接触角の測定原理〕
以下にウイルヘルミ法による動的接触角の測定原理を説明する。
ロードセルから下げられたクリップに試料片を取り付けたときにロードセルにかかる荷重Fは、
F=Mg (1)
で示される(Mは試料片の質量、gは重力加速度)。このとき、下から表面張力が既知の液体試料の入った容器を一定速度で上昇させて、液体が試料片の下部に接触した瞬間のFは、
F=Mg+PγLCOSθ (2)
となり(試料片の周囲長:P=2(t+w)、tは試料板の巾、wは試料板の厚み、γLは液体の表面張力、θは液体の試料片の表面に対する接触角)、さらに容器を上昇させると試料片の一部は液中に沈み浮力(Fb)が作用して、Fは、
F=Mg+PγLCOSθ−Fb (3)
となる。つまり、試料片を取り付けた状態でロードセルの零点調整を行っておけば式(2)は、
F=PγLCOSθ (4)
の如く表わせ、これより試料片表面と液体試料との接触角(θ)を求められる。
これを利用して、試料板を液体に沈めて行く過程で得られる動的な接触角、すなわち前進接触角(Advancing Contact Angle,θA)を測定することができる。
〔動的接触角の測定〕
ウイルヘルミ・プレート法による動的接触角の測定は、上記原理に基づいた自動接触角測定装置(島津製作所(株)製ST−1S−PC1F V1.0)を用いて測定した。
まず、耐水性両面テープを用いて実施例、および比較例で作製される顔料インク用インクジェット記録用シートを表裏ともにインク受容層が外側を向くように貼り合わせた。次に、貼り合わせたシートを正確に周囲長2cm×高さ2cmに切り分け、測定用の試料片を作製した。
その試料片をサンプルホルダーに取り付け、浸漬深さ10mm、浸漬速度50mm/分の条件でエプソン製インクジェットプリンターPM−G900用の顔料インク(ICC−33、表面張力=27.2mN/m)に浸漬して前進接触角(θA)を得て、動的接触角とした。
(2)作製した顔料用インクジェット記録用シートの性能評価:
実施例で作製された顔料用インクジェット記録シート、および比較例に列記された市販のインクジェット記録シートに、エプソン製インクジェットプリンターPM−G900(顔料インク搭載機)を用いて、ISO−400画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:ポートレート、財団法人日本企画協会発行)と、Bk=100%、およびのC=30%の出力設定でそれぞれベタ印字を行なって、各々の記録画像の〔光学濃度〕と、〔画質〕を以下に示す方法で評価した。
〔光学濃度〕および〔画質〕
Bk=100%、およびC=30%の出力設定でベタ印字した画像をマクベス反射濃度計RD−914で測定し、光学濃度を比較評価した結果と、印刷したISO−400画像の画質を目視観察により評価した結果を総合的に評価した。
(評価基準)
光学濃度は高いほど好ましく、BK=100%ではO.D.>2.15であれば、実用上有利に用いられる。また、C=30%での記録濃度が高ければ高いほど細部、ハイライト部での表現力が豊かとなり、画質が向上する傾向にあり実用上好ましいが、O.D.≧0.45であれば、実用上有利に用いられる。
評価の詳しい内容は以下の通りである。
◎:Bk=100%でO.D.>2.15、かつC=30%でO.D.>0.47であっ
て、光学濃度が高いので実用上好ましく、ハイライト部での表現も豊かで画質が非常
に優れている
○:Bk=100%でO.D.≧2.15、かつC=30%で0.44<O.D.≦0.
47で、光学濃度、画質とも良好で実用上好ましく用いられる
△:Bk=100%で2.10≦O.D.<2.15、かつC=30%で0.40≦O.
D.<0.44で、シャドウ部での光学濃度、および画質は良好であるが、ハイライ
ト部の画質が劣っており、実用範囲が限られる
×:Bk=100%でO.D.<2.10、かつC=30%でO.D.<0.40で光学
濃度が低く、画面全体が白っ茶けた印象で画質も劣っている
〔インクジェット記録用シートの作製〕
実施例1
(インク受容層用塗液Aの調製)
気相法シリカ(商品名:アエロジル300、一次粒子の平均粒経 7nm、BET法による比表面積 300m/g、日本アエロジル工業社(株)製)100部、N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩−アクリルアミド共重合体(モル比 2:1、分子量 約2万)の30%水溶液50部、およびイオン交換水750部を加え、攪拌装置により分散した後、湿式超微粒化装置ナノマイザーを用いて処理した。次いで、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、(株)クラレ製、ケン化度99%、平均重合度4,500)の5%水溶液360部および少量の消泡剤、分散剤および水を加え、固形分濃度8%のインク受容層用塗液Aを得た。
(下塗層用塗液Bの調製)
湿式法合成非晶質シリカの20%分散液(商品名:サイロジェット703A、グレースデビソン製)500部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、(株)クラレ製)の5%水溶液400部および少量の消泡剤、分散剤および水を加え、固形分濃度15%の下塗層用塗液Bを得た。
(光沢発現層用塗液Cの調製)
コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL、日産化学社製)100部とステアリン酸アンモニウム3部に、少量の消泡剤、分散剤、および水を加えて固形分濃度8%の光沢発現層用塗液Cを得た。
(顔料インク用インクジェット記録シートの作成)
ラミネート塗工紙(市販コート紙(商品名:OKコート紙、127.9g/m、王子製紙(株)製)の両面にポリエチレンを15μmラミネートしたもの)上に下塗層用塗液Bを固形分で20g/m となるようにメイヤーバーにて塗布乾燥し下塗層を設け、次いで水塗後インク受容層用塗液Aを固形分で7g/mとなるようにメイヤーバーにて塗布乾燥してインク受容層を設けたのち、光沢発現層用塗液Cを内側インク受容層上に塗工し、湿潤状態にあるうちに、表面温度100℃としたクロム鍍金仕上げの鏡面ドラムに線圧2000N/cmで圧接し光沢発現層を形成させて顔料インク用インクジェット記録シートを得た。
実施例2
実施例1の光沢発現層塗料Cにおいて、ステアリン酸アンモニウム3部の代りにオレイン酸アンモニウム3部を用いた以外は、実施例1と同様に顔料インク用インクジェット記録シートを得た。
実施例3
実施例1の光沢発現層塗料Cにおいて、ステアリン酸アンモニウム3部の代りにラウリン酸アンモニウム3部を用いた以外は、実施例1と同様に顔料インク用インクジェット記録シートを得た。
実施例4
実施例1の光沢発現層塗料の代わりに、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL、日産化学社製)100部、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン50部と、オレイン酸アンモニウム1部に、少量の消泡剤、分散剤、および水を加えた固形分濃度8%の光沢発現層用塗液Dを用いた以外は、実施例1と同様に顔料インク用インクジェット記録シートを得た。
実施例5
実施例1の光沢発現層塗料の代わりに、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOL、日産化学社製)100部、1,2−ビス(2−ヒドロキシエチルチオ)エタン50部と、オレイン酸アンモニウム2部に、少量の消泡剤、分散剤、および水を加えた固形分濃度5%の光沢発現層用塗液Eを用いた以外は、実施例1と同様に顔料インク用インクジェット記録シートを得た。
実施例6
実施例1において、インク受容層用塗液Aの調製にN−ビニルアクリルアミジン塩酸塩_アクリルアミド共重合体(モル比 2:1、分子量 約2万)の代わりに、PAS−J−81(ジメチルジアリルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体、日東紡製)を用いた以外は、実施例1と同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作成した。
実施例7
実施例1において、光沢発現層を形成する工程を省いた以外は、実施例1と同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作成した。
実施例8
実施例6において、光沢発現層を形成する工程を省いた以外は、実施例6と同様にして顔料インク用インクジェット記録シートを作成した。
比較例1〜5
実施例1〜8で作製された顔料インク用インクジェット記録用シートの代わりに、以下の市販インクジェット記録シートを用いてウイルヘルミ法による動的接触角を測定した。また、同時に、それらに上記の各種評価試験も行なった。
比較例1
インクジェット記録用シート(商品名:写真用紙<光沢>、KA4100PSK、セイコーエプソン(株)製)
比較例2
インクジェット記録用シート(商品名:スーパーフォトペーパー、SP−101A4、キヤノン(株)製)
比較例3
インクジェット記録用シート(商品名:PhotolikeQP、フォト光沢厚手(QP100A4GHPBX、コニカミノルタホールディングス(株)製)
比較例4
インクジェット記録用シート(商品名:画彩写真仕上げ、WPA455A、富士写真フイルム(株)製)
比較例5
インクジェット記録用シート(商品名:スーパー光沢紙、IJ174KA4、シャープドキュメントシステム(株)製)
Figure 2005343108
表1から明らかなように、実施例1〜8は、ウイルヘルミ・プレート法による動的接触角が20〜30°の範囲にあり、光学濃度が十分に高い上、画質も優れているので、実用上非常に好ましい。一方、比較例の市販インクジェット記録紙は、ウイルヘルミ・プレート法による動的接触角が30°よりも大きく、光学濃度は実用上問題がなくても、画質は実施例1〜8に及ばず、使用範囲が限定される(比較例1〜4)。また、比較例5は、光学濃度が他に比べて極端に低く、画質も劣る上、印画像がマット化する傾向にあるので実用に付するには難がある。
また、実施例で作製された顔料用インクジェット記録シート、および比較例に列記された市販のインクジェット記録シートに、エプソン製インクジェットプリンターPM−G800(染料インク搭載機)、およびキャノン製インクジェットプリンターPIXUS990i(染料インク搭載機)を用いて、Bk=100%の出力設定でベタ印字を行ない、各々の記録画像の〔光学濃度〕を以下に示す方法で評価した。
〔光学濃度〕
Bk=100%の出力設定でベタ印字した画像をマクベス反射濃度計RD−914で測定し、光学濃度を比較評価した。
(評価基準)
光学濃度は高いほど好ましく、OD>2.10であれば実用上、有利に用いられる。
Figure 2005343108
エプソン製インクジェットプリンターPM−G800で印字した記録画像の評価
Figure 2005343108
キャノン製インクジェットプリンターPIXUS990iで印字した記録画像の評価

表2、3から明らかなように、実施例1〜8は、染料インクIJプリンター(エプソン製インクジェットプリンターPM−G800、あるいはキャノン製インクジェットプリンターPIXUS990i)での光学濃度が非常に高く、比較例1〜5の市販インクジェット記録紙と比較しても優れた性能を有しており非常に好ましい。
顔料インク用インクジェット記録用シートに関し、特に、顔料インクを用いたインクジェット記録において、高い光学濃度と、高い印画部の光沢度を実現できるばかりでなく、インクドット径を適正な大きさにコントロールすることで細部における印刷の品質(画質)を銀塩写真並みにまでに高めることを可能とする性能も具備したインクジェット記録用シートに適する。また、顔料インクを用いたインクジェット記録においてのみならず、染料インクを用いたインクジェット記録においても優れた性能を具備したインクジェット記録用シートにも好適に利用できる。

Claims (14)

  1. 浸漬速度を50.0mm/minとした時のウイルヘルミ・プレート法による顔料インクとインクジェット記録シートとの動的接触角が10.0〜30.0°であることを特徴とする顔料インク用インクジェット記録シート。
  2. 表面張力が25〜35mN/mである顔料インクを用いて画像、および情報の記録がなされる請求項1記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  3. 前記顔料インクが、水溶性有機溶剤として、1、2―ヘキサンジオール、およびグリセリンを含有し、かつ、両者の合計が水溶性有機溶剤の80%以上であり、それを用いて画像、および情報の記録がなされる請求項1または2に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  4. 樹脂および界面活性剤から選ばれた少なくとも1種で化学的および/または物理的に表面処理を施された着色顔料からなる色材粒子を含んでなる顔料インクを用いて画像、および情報が記録される請求項1〜3のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  5. 前記色材粒子の粒径が、50nm〜100nmである請求項4に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  6. 前記着色顔料の表面処理に使用される樹脂および界面活性剤から選ばれた1種が、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルの共重合体を含む顔料インクを用いて画像、および情報が記録される請求項5または6に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  7. 前記顔料インク用インクジェット記録シートが、支持体と、支持体表面上に無機微粒子および、水性高分子バインダーを含有してなる少なくとも一層のインク受容層とを有している請求項1〜6のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  8. 前記支持体が、耐水性支持体である請求項7に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  9. 前記耐水性支持体が、紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆された支持体である請求項8に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  10. 前記無機微粒子のうち少なくとも一種が、平均一次粒子径が30nm以下である請求項7に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  11. 前記無機微粒子のうち少なくとも一種が、気相法シリカである請求項7または10に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  12. 前記無機微粒子のうち少なくとも一種が、平均一次粒子径が30nm以下であるシリカと、カチオン性無機および/または有機化合物との複合微粒子である請求項7に記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  13. 前記顔料インク用インクジェット記録シートが、キャスト処理を施したインク受容層を有する請求項1〜12のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
  14. 前記顔料インク用インクジェット記録シートが、インク受容層よりも上層にキャスト処理を施した光沢発現層を有する請求項1〜13のいずれかに記載の顔料インク用インクジェット記録シート。
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