JP2007185780A - インクジェット記録用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】染料インク及び顔料インクのいずれのインクを用いた場合にも発色性の優れ、高いインク吸収性、擦過性が良好で、かつ白紙光沢感と印字光沢感の優れたインクジェット記録用シートを提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも1層のインク受容層と、光沢発現層を有するインクジェット記録用シートにおいて、インク受容層は、平均粒子径5nm以上700nm以下の微細粒子を含有し、かつ、光沢発現層は平均粒子径10nm以上100nm以下のコロイダルシリカとケン化度70〜96%のポリビニルアルコールを含有し、乾燥塗工量が0.2〜3.0g/mであることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【選択図】なし

Description

本発明は、染料インクを用いたインクジェットプリンター、顔料インクを用いたインクジェットプリンターともに優れた記録適正を有するインクジェット記録用シートに関する。
水性インクを微細なノズルから噴出して画像を形成させるインクジェット記録方式は、フルカラー化が容易であること、高速記録が可能であること、少量部数の印刷で他の印刷装置より安価であること等の理由により、端末用プリンター、ファクシミリ、プロッター、あるいは帳票印刷などで広く利用されている。
近年、プリンターの急速な普及と、出力の高精細化・高速化とが進み、それに伴って、インクジェット記録用シートには、従来以上のインク吸収速度の向上が求められている。さらに、デジタルカメラで撮影した記録画像に対し、銀塩方式の写真に匹敵する、高い画質の実現が強く求められている。また、印刷画像の品質を写真の品質により近づけるために、印刷画像の色濃度及び光沢感の向上が望まれている。
さらに、インクジェット方式を利用したプリンターやプロッターは、市場からのさらなる画像の品質向上に対する要求のために、高解像度化、色再現範囲の拡大が図られており、これにはインクの吐出量を多くすることで対応している。従って、吐出量に見合ったインク受理容量の増大が該インクジェット記録用シートの重要な技術課題となっており、高インク受理容量の確保や発色性の良好な塗層の塗設が不可欠となっている。
一方で、インク自体の改良も提案されている。従来のインクジェット記録用インクの主流を占める親水性の高い着色剤を使用する水性染料インク(以下、染料インクという。)とともに、耐水性及び耐光性に優れた、疎水性着色顔料を着色剤として含むインク(以下、顔料インクという。)もしばしば用いられるようになっている。
顔料インク中の着色顔料は、記録を行った際に、記録用シートの塗工層表面に留まり易い。高光沢のインクジェット記録用シートの場合、表面が高平滑であるため、顔料インクの定着性や擦過性が劣っている。従って、染料インク、顔料インクともに高光沢かつ高画質で印画可能な記録メディアが強く要望されており、従来から使用されていた上質紙や塗工紙のインクジェット記録用シートではこれらの要望に応えられなくなってきている。
例えば、従来の染料インク専用のインクジェット記録用シートに顔料インクを用いて記録を行うと、顔料インクがインク定着層に入り込まずに表面で皮膜を形成するため、インク定着層の主成分が無機微粒子の場合は、擦過性が悪く実用性に乏しく、インク受容層の主成分が水溶性樹脂の場合は、擦過性は満足するがインク受容層の膨潤により顔料皮膜が表面で割れてしまうという問題点があった。さらに、膨潤量の少ない樹脂をインク定着層に用いた場合は、顔料皮膜の割れは発生しないがインク吸収性が悪いため、染料インクと共用できないばかりでなく乾燥時間が長くなり実用上問題があった。
顔料インクの定着性とインク吸収性の両立のためにアルミナ水和物の多孔質層上に水溶性樹脂を設けた提案が行われている(例えば、特許文献1参照。)。このような構成は白紙光沢が高いが、表面の水溶性樹脂層によってアルミナ水和物の多孔質層の細孔が塞がってしまうため水溶性樹脂層からアルミナ水和物のアルミナ多孔質層への水分の移動が遅くなり十分なインク吸収速度が得られずに表面でインクがあふれるという問題がある。
また微細な2次粒子顔料と水溶性バインダーを支持体上に設ける試み(例えば、特許文献2、3参照。)があったが、微細な2次粒子顔料が最表層を覆っているため、顔料インク擦過性は得られやすいが、光沢は1次粒子顔料であるコロイダルシリカに比べるとかなり低い。
ところで、光沢を付与する処理方法としては、スーパーカレンダー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力や温度をかけたロール間に通紙することで塗層表面を平滑化する方法が一般的である。しかしながら、インクジェット記録用シートに光沢を付与する目的で、カレンダー処理を行うと、光沢は向上するが、塗層の空隙が減少し、インクの吸収が遅くなり、また、吸収容量の不足からインクが吸収できずに、あふれてしまい、滲みが発生してしまう問題がある。このことから、カレンダー処理は、許容されるインク吸収容量の範囲内で条件を選択せざるを得ず、現行技術で高いインク吸収性を付与するとともに、写真紙並の光沢を得ることは難しいのが現状である。
また、相反する特性であるインク吸収性と光沢を両立させるために、塗層に微小な無機粒子を多量に含有させ、キャストコーティング法と称される方法によってインクジェット記録シートを製造することも提案されているが、これらの方法でも、近年のインク吐出量の多いインクジェットプリンターやプロッターには、相反する特性であるインク吸収性と光沢を両立させることは困難であった。インク吸収性を重視した設計、例えば、無機粒子を多量に使用し空隙を増すことによって、インク吸収性を向上させた場合、高光沢が得難くなるし、また表面強度が低下するという問題がある。また光沢を重視した設計、例えば無機粒子の使用量を減少させた場合、高光沢は得られるが、空隙が減少しインク吸収性の確保が難しくなるという問題があった。
さらに、印刷された記録用シートの耐水性の向上、つまりは記録部分に水が接触したときに、染料が脱離しないようにするため、染料を記録用シート表層に固定化させることが望まれていた。この問題を解決するために、塗工層にカチオン性ポリマーを含有させ、アニオン性染料を固定化させる方法が提案されているが、カチオン性ポリマー量を増やすと、無機粒子含有量が減少するため、インク吸収性の確保が難しくなるという問題がある。
このように、従来のカチオン性ポリマーと無機粒子を併用する方法では、光沢とインク吸収性のバランスに優れたインクジェット記録用シートを得ることは困難であった。
例えば、特許文献4に開示されているインクジェット記録用シートは、紙支持体の上にインク受容層及び光沢層をもつ層構成であり、インク受容層に有機微粒子が含有されているので、インク吸収性不足や白紙光沢が満足できないという問題がある。
また、特許文献5に開示されているインクジェット記録用シートは、支持体の上に少なくとも1つのインク受容層と光沢発現層を持つ層構成であり、インク受容層の粒径がミクロンオーダーであり、高印字濃度が得られず、また、光沢発現層のバインダーが有機粒子を使用したため、顔料インクの擦過性が著しく劣る問題があった。
上記の問題を解決するため、特許文献6、特許文献7にはマット層上に超微細顔料層を設け、さらに最上層にコロイド顔料層を設ける試みがあったが、最上層のバインダーは完全ケン化ポリビニルアルコールを用い、完全ケン化ポリビニルアルコールはインク中に溶剤や水に対して膨潤性が不十分のためか、顔料との接着性が弱く、顔料擦過性は十分とは言えない。
以上のことから、現行技術では、高光沢・インク吸収性・擦過性の全て満足させるインクジェット記録用シートを得ることは困難であった。
特に、高いインク吸収性を有し、鮮明な印刷画像が得られるとともに顔料インクの擦過性が良好で、かつ白紙・印字光沢感の優れたインクジェット記録用シートを提供する。
特開平9−123593号公報 特開平11−78214号公報 特開2003−103918号公報 特開2003−008198号公報 特開平7−117335号公報 特開2004−167959号公報 特開2005−225070号公報
本発明のインクジェット記録用シートは、染料インク及び顔料インクのいずれのインクを用いた場合にも発色性の優れたインクジェット記録用シートを提供するものである。とりわけ、高いインク吸収性、擦過性が良好で、かつ白紙光沢感と印字光沢感の優れたインクジェット記録用シートを提供する。
上記の課題を解決するために鋭意に検討を重ねた結果、特定の層構成であり、且つ光沢発現層に特定のケン化度を有するポリビニルアルコールを配合することによって、高光沢、インク吸収性、擦過性の全て満足させるインクジェット記録用シートが得られ、本発明に至った。即ち、
(1)支持体上に、少なくとも1層のインク受容層と、光沢発現層を有するインクジェット記録用シートにおいて、インク受容層は、平均粒子径5nm以上700nm以下の微細粒子を含有し、かつ、光沢発現層は平均粒子径10nm以上100nm以下のコロイダルシリカとケン化度70〜96%のポリビニルアルコールを含有し、乾燥塗工量が0.2〜3.0g/mであることを特徴とするインクジェット記録用シートである。
インク受容層の微細顔料は、平均粒子径5nm以上700nm以下の気相法シリカを主成分とすることが好ましい。
本発明者らは、更に、研究を重ねた結果、記録面側に特定の吸液特性を具備させることで、インク吸収性、擦過性が優れることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、
(2)インクジェット記録用シートの光沢発現層面に、純水2μlの液滴を滴下し、5秒後のインクジェット記録用シートが吸収した吸水量が0.15μl以上であり、且つ、5秒後のインクジェット記録用シート表面に残った液滴の接触角が50°以上である(1)記載のインクジェット記録用シートである。
吸水量は、動的吸収性試験機(DAT)を用いてインクジェット記録用シートの記録面表面に純水を滴下(2μl)して、滴下後の液滴の状態変化をビデオ撮影し、画像から求めた滴下5秒後における滴下した液滴の体積と、滴下した液滴の量から差し引いて求めるとよく、そのときの画像からインクジェット記録用シートの接触角を求めるとよい。
なお、(3)光沢発現層の細孔直径分布曲線におけるピークが0.003μm以上0.04μm以下にあると、光沢性とインク吸収性のバランスが優れるので好ましい。0.005μm以上0.015μm以下であることが更に好ましい。
本発明のインクジェット記録用シートは、染料インク及び顔料インクのいずれのインクを用いた場合にも発色性の優れ、高いインク吸収性を有し、擦過性が良好で、かつ白紙、印字光沢感を有するので、極めて実用性の高いものである。
[支持体]
支持体としては、例えば、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類、金属フォイル、合成紙などのシート類が適宜使用される。写真調にする為にはアート紙、コート紙、バライタ紙、ポリエチレンラミネート紙(特に酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂被覆紙、所謂RC紙)が好ましい。
[下塗り層]
本発明は、支持体上にインク受容層および光沢発現層を有するインクジェット記録用シートであるが、支持体とインク受容層の間に下塗り層を形成してもよい。
下塗り層を形成する目的は、インク中の溶媒をすばやく分離吸収するのが主な目的である。下塗り層が溶媒をすばやく分離することで、インク受容層は、染料を斑なく定着させることが可能となり、好ましい。
下塗り層は、顔料と、顔料を支持体に固着するためのバインダーを含有する。
顔料としては、不定形シリカ、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、擬ベーマイトアルミナシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料を単独で又は2種以上混合して使用する。特に発色性、インク吸収性から、好ましい顔料は、不定形シリカ、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、擬ベーマイトである。
バインダーとしては、使用する顔料に合わせて選択するとよく、例えば、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)、あるいは水分散性樹脂(例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、スチレン系共重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体ラテックス等)などのような各種バインダーが、単独にあるいは2種以上混合して使用される。
顔料とバインダーの比率は、100/100〜100/10の範囲であれば問題がなく、インク吸収性と塗膜強度のバランスから100/70〜100/20が好ましく、100/60〜100/30がさらに好ましい。
下塗り層には、顔料とバインダー以外に、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、後で述べるインク受容層で配合するインク定着剤を添加してもよい。インク受容層で定着できなかった染料を、下塗り層で定着することができるため、インク受容層の塗工量が少ない場合などにおいて好ましい態様となる。
下塗り層を形成する場合、その塗工量は、1〜20g/m程度、好ましくは3〜15g/m程度である。
なお、下塗り層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スライドビードコーター等の各種塗工装置を用いることができる。
[インク受容層]
支持体上に、或いは支持体上に形成された下塗り層上に、少なくとも1層のインク受容層を形成するが、インク受容層は、平均粒子径5nm以上700nm以下の微細粒子を含有する。因みに、5nm未満の場合、十分なインク吸収性が得られずに、表面にインクがあふれビーディングが生じる恐れがある。好ましくは10nm以上であり、より好ましくは30nm以上である。一方、700nmを超えると、インク吸収性は得られるが、インク受容層の透明性が著しく低下するため、印字濃度が低下する。好ましい平均粒子径は、500nm以下であり、より好ましくは350nm以下である。
インク受容層中の微細粒子は、細孔直径分布曲線におけるピークが0.04μm以下にあれることが好ましい。例えば、平均1次粒子径3nm〜40nmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径700nm以下の微細粒子が好ましい。
微細粒子としては、不定形シリカ、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、擬ベーマイトアルミナシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料を単独で又は2種以上混合して使用する。特に発色性、インク吸収性から、好ましい微細粒子は、不定形シリカ、コロイダルシリカ、酸化アルミニウム、擬ベーマイトである。より好ましい微細粒子は、不定形シリカであり、特に好ましい微細粒子は気相法シリカである。
微細粒子は、平均粒子径700nmを超える場合、たとえば機械的手段で強い力、所謂breaking down法(塊状原料を細分化する方法)により得ることが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。これらの方法は、単独或いは併用することができ、平均粒子径を5nm〜700nmに調整すると良い。
本発明でいう平均粒子径は、顔料が粉体、スラリー状に関係なく、まず3%の顔料水分散液を200g調整し、続いて市販のホモミキサーで1000rpm、10分間を攪拌分散した後、直ちに電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒径である(1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の粒子のマーチン径を測定し平均したもの。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
インク受容層には、上記微細顔料を支持体或いは下塗り層に固着するために、バインダーを配合する。バインダーとしては、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)、あるいは水分散性樹脂(例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、スチレン系共重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体ラテックス等)などのような各種バインダーが、単独にあるいは2種以上混合して使用される。
中でも、ポリビニルアルコールは、成膜性とインク吸収性とのバランスを良好にするために好ましく、2000以上の重合度を有するものがより好ましく、重合度3600〜5000のポリビニルアルコールが特に好ましい。
この場合、インク受容層における微細顔料と接着剤との乾燥固形分質量比率は、顔料100質量部に対し5〜30質量部の範囲であることが好ましい。インク吸収性と塗膜強度のバランスをさらに良くするためには10〜25質量部であることが好ましい。
インク受容層は、微細な顔料を含有するので、塗工の際にヒビが発生しやすい。このため、架橋剤を用いてヒビ割れを防ぐことができる。架橋剤は、インク受容層用の塗液に配合してもよく、インク受容層を形成後、架橋剤を付与してもよく、インク受容層を塗布する前に、架橋剤を有する塗液を塗布してもよく、紙支持体の塗工層に配合していてもよい。
架橋剤は、公知の材料が適宜使用でき、ポリビニルアルコールを例にすると、架橋剤としては、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できるが、なかでもホウ素化合物は塗料の増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。このなかで、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物の種類及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、インク受容層の全質量に対して2〜10質量%含有されるのが好ましい。2質量%より少ないとポリビニルアルコールとの架橋が弱く、塗料のゲル化も弱くなって塗膜がひび割れやすくなる。また、10質量%より多いと塗膜が硬くなり好ましくない。
なお、ポリビニルアルコールを代表例としたが、本発明はポリビニルアルコールに限定するものではない。
インク受容層には、記録画像の耐水性や保存性を高めるために、カチオン性化合物を含有することが好ましい。カチオン性化合物としては、ポリアルキレンアミン化合物(例えばポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン)第2級、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環を形成しているアミジン化合物、ジシアン系カチオン樹脂(例えば、ジシアンジアミド−ホルムアルデヒド重縮合物)、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合体、ジメチルアリルアンモニウムクロライド−SO共重合体、ジアリルアミン−SO共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、アリルアミン塩の重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートアンモニウム塩重合体、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体などのカチオン性高分子;シラン系、チタネート系、アルミニウム系またはジルコニウム系などのカチオン性カップリング剤;水溶性アルミニウム化合物(例えば、塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等の無機塩、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーであるポリ水酸化アルミニウム化合物等)、水溶性ジルコニウム化合物(例えば、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等)、水溶性チタン化合物(例えば塩化チタン、硫酸チタン等)、水溶性ランタノイド属化合物(例えば、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン等)などの水溶性多価金属塩等、カチオン性物質が例示でき、これらを単独或いは併用できる。
なお、カチオン性高分子は、分子量が5000より低いとインク吸収性を阻害するおそれがあるので、分子量5000以上のものを用いることが好ましい。カップリング剤としてはアンモニウム基を持つシランカップリング剤が好ましい。水溶性多価金属塩としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムがなどのアルミニウム化合物、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物が好ましい。
一般的に、シリカの場合はシラノール基が表面に存在しているため電気的にマイナスを示し、カチオン性化合物と混合することにより凝集する。このため、シリカをカチオン性化合物で処理した複合粒子の形態で用いると、分散性が優れるほか、印字濃度、画像耐水性などにおいても優れ、銀塩写真に匹敵する優れた品質が得られる。
シリカをカチオン性化合物で処理する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、およびポリ乳酸アルミニウムなどのポリアルミニウム塩のようなアルミニウムイオン等の多価金属イオンの化合物を反応させて、シリカの表面を被覆する方法、アンモニウム基を持つシランカップリング剤をシリカの表面に付加して変性する方法、シリカとカチオン性高分子を混合し、凝集させることによって得られたカチオン性高分子−シリカの凝集体粒子を、粉砕、分散してカチオン性高分子−シリカ複合粒子を製造する方法などが例示できる。
前記シリカと前記カチオン性化合物の混合物、もしくは凝集体を分散あるいは粉砕するには、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等が用いられる。
平均粒子径が1μmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均粒子径を1μm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。圧力式分散方法である高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが挙げられるが、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
インク受容層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に5〜30g/m程度であることが好ましく、より好ましくは7〜25g/mである。塗工量が過少であると、高精細且つ高速のプリンターではインク吸収性が不足するおそれがあり、塗工量が多すぎると塗膜のひび割れの制御が困難になることがある。
インク受容層は、1層であっても多層であっても構わない。多層の場合、層ごとに配合がことなっていても構わない。
インク受容層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スライドビードコーター等の各種塗工装置を用いることができる。
[光沢発現層]
本発明は、インク受容層上に光沢発現層を設ける。光沢発現層は、平均粒子径10nm以上100nm以下のコロイダルシリカとケン化度70〜96%のポリビニルアルコールを含有し、乾燥塗工量が0.2〜3.0g/mの塗工層である。
コロイダルシリカとしては、単分散コロイダルシリカ、数珠状のコロイダルシリカなど適宜使用できるが、単分散コロイダルシリカは光沢感が良好なインクジェット記録用シートが得られるため好ましい。コロイダルシリカは、アニオン性コロイダルシリカであっても、カチオン性コロイダルシリカであっても良いが、インク定着性の面では、インクがアニオン性であるため、カチオン性コロイダルシリカの方が、顔料擦過性に良好であるので好ましい。
その中で平均粒子径が10nm以上100nm以下のコロイダルシリカを用いることにより、印字濃度の向上、高鮮明な画像を得ることができる。なお、コロイダルシリカの平均粒子径が10nmに満たないとインクの吸収性が低下し、染料インクを用いた場合には光透過性が高くなり、耐光性等の保存性の低下が生じる傾向にある。顔料インクの場合は、定着性の低下が考えられ、擦過性に影響を及ぼす。また、平均粒子径が100nmを超える場合は、光透過性の低下により、光沢性及び印字濃度の低下が生じるといった影響が考えられる。好ましいコロイダルシリカの平均粒子径は20nm以上70nm以下である。
光沢発現層には、コロイダルシリカの作用効果を損なわない範囲で、平均粒子径100nm以下のアルミナ、擬ベーマイト、微細シリカなどを併用してもよい。
光沢発現層は、バインダーとしてケン化度70〜96%のポリビニルアルコールを含有する。特に、ケン化度75〜93%のポリビニルアルコールがインク吸収性や顔料擦過性が良好のため好ましい。ちなみに、ケン化度が96%を超えるポリビニルアルコールの場合、膨潤性が著しく低下し、顔料インク中の顔料との接着性が弱く、顔料擦過性が劣る。また、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの水分散性樹脂の場合、インク吸収性の低下や顔料インク中の顔料との接着性が不十分なため、顔料擦過性が劣る。また、コロイダルシリカ自体が自着能を有するが、表面強度が不十分なものとなる。
なお、ケン化度70〜96%のポリビニルアルコールの作用効果を損なわない範囲で、他のポリビニルアルコールや水分散性樹脂など、公知のバインダーを併用することもできる。
光沢発現層の乾燥塗工量は、0.2〜3.0g/mの範囲である。0.2〜2.0g/mが好ましく、0.5〜1.5g/mがさらに好ましい。塗工量が少ないと、塗膜が薄くなり光による干渉色が生じやすく、光沢が低下する。一方、塗工量が多いと、インク吸収速度が著しく低下するおそれがある。
光沢発現層は、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーターおよびダイコーター等の各種公知の塗工装置が挙げられる。
なお、光沢発現層は、湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得る方法、所謂キャスト法により形成すると、光沢性が特に優れるので好ましい。この場合、鏡面ドラムから剥離しやすくするために、上記一般市販の離型剤が適宜添加される。添加量は顔料100質量部に対して、0.5〜10質量部が適度な範囲である。ドラム温度は60℃以上120℃以下が好ましい。さらに好ましくは70℃以上110℃以下であり、最も好ましい範囲は80℃以上100℃以下である。60℃未満では、十分なインク吸収性が得られない恐れがある。一方、120℃より高いと面質が低下する。
本発明は、このような支持体、必要に応じて形成する下塗り層、微細粒子を有するインク受容層、特定のコロイダルシリカと特定のポリビニルアルコールを用い特定の塗工量で形成した光沢発現層という構成を採用することで、高光沢、インク吸収性、擦過性の全て満足させるインクジェット記録用シートが得られる。
更に、上記のインクジェット記録用シートであって、且つ、記録面側に特定の吸液特性を具備させることで、インク吸収性、擦過性が優れる。
吸液特性とは、インクジェット記録用シートの光沢発現層面に、純水2μlの液滴を滴下し、5秒後のインクジェット記録用シートが吸収した吸水量が0.15μl以上であり、且つ、5秒後のインクジェット記録用シート表面に残った液滴の接触角が50°以上である。
吸水量は、Fibro社製、動的吸収性試験機(DAT)を用いてインクジェット記録用シートの記録面表面に純水を滴下(2μl)して、滴下後の液滴の状態変化をビデオ撮影し、画像から求めた滴下0.5秒後における滴下した液滴の体積と、滴下した液滴の量から差し引いて求めるとよく、そのときの画像からインクジェット記録用シートの接触角を求めるとよい。なお、液温は23℃、室温は23℃であった。
接触角も、ビデオ撮影データより算出される。
滴下5秒後の値を測定することでインクジェット印字適性及びインク吸収性の対応を得ることができる。滴下5秒未満での測定では、インクジェット記録用シート表面に対する液滴の吸収される体積が不安定であり、滴下5秒を大きく超えての測定では、インクジェット記録用シート表面に水が付着して浸透が進行しやすくなるので、吸収される体積の変動が大きい。
良好なインク吸収特性、かつ高画質な画像を得る観点から、本発明のインクジェット記録用シートは、動的吸収性試験機による記録面の表面に2μlの純水を滴下した場合、滴下5秒後の吸水量が0.15μl以上であるとインク吸収速度が速く、顔料擦過性に優れ、高速印字での鮮明な画像が得られやすいので好ましく、より好ましくは0.20μl以上である。更に、5秒後のインクジェット記録用シート表面に残った液滴の接触角が50°以上であることが好ましい。因みに、50°に満たない場合、インク吸収速度が著しく低下する。
このような、吸液特性を得るには、光沢発現層の構成成分、配合、乾燥塗工量、乾燥方法が影響するが、そればかりでなく、インク受容層や下塗り層の吸液性も左右する。インク受容層の構成成分、配合、乾燥塗工量、架橋剤などにより左右するものであり、上記吸液特性を満足すると、インクジェット印字適性及びインク吸収性が更に良くなる。
特に、光沢発現層の細孔直径分布曲線におけるピークが0.003μm以上0.04μm以下にあると光沢とインク吸収性のバランスから、0.005μm以上0.015μm以下が好ましい。
(インク)
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクとしては、像を形成するための色素と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整される。
インクに使用される染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料及び各種顔料等が挙げられるが、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。前記染料の含有量は、インクの溶媒成分の種類、インクに要求される特性などに依存して決定されるが、本発明に使用されるインクの場合も、従来のインク中におけるような配合、即ち、0.1〜20質量%程度の使用で特に問題はない。
本発明で用いられるインクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールn−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
以下に実施例をあげて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ質量部及び質量%を示す。
(吸水量及び接触角の測定)
吸水量及び接触角の測定は、Fibro社製、動的吸収性試験機(Dynamic Absorption Tester)DAT1100−FIBRO ab−SWEDEN機を用いて行った。インクジェット記録用シートは、23℃50%Rh環境下で十分調湿した後、同環境下で測定を行った。
まず、吸水量は、動的吸水性試験機(DAT)を用いてインクジェット記録用シートの記録面(光沢発現層面)表面に2μlの純水を滴下し、滴下後の液滴の状態変化をビデオ撮影し、画像から求めた滴下5秒後における、滴下した液滴の体積と滴下した液滴の量から差し引いて求めた。そのときの画像からインクジェット記録用シートの接触角を測定した。なお、液滴体積は以下の計算式によって算出した。
V=πH(0.75B+H)/6
V:ドロップ体積(μl)
H:ドロップ高さ(mm)
B:ドロップ直径(mm)
(細孔直径分布曲線におけるピークの測定)
細孔直径分布曲線におけるピークの測定は、支持体の影響を避けるために、光沢発現層をカッター等で剥がし取り測定に用いた。細孔分布は、マイクロメトリックス・ポアサイザー9320(島津製作所製)を用い、水銀圧入法により求めた。水銀圧入法による細孔直径の測定は、細孔の断面を円形と仮定して導かれた下記の式を使って計算した。
R=−2γCOSθ/P
ただし、式中でそれぞれR:細孔半径(2R=細孔直径)、γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:圧力を示す。
水銀の表面張力は482.536dyn/cmとし、使用接触角は130°とし、水銀圧力の低圧部(0〜30psia、測定細孔半径:180〜3μm)と高圧部(0〜30000psia、測定細孔半径:3〜0.003μm)にて測定した。
細孔直径分布は、上記の原理を利用して、水銀に加える圧力を徐々に変化させ、その時に細孔内に進入した水銀の体積すなわち細孔容量Vを測定し、上記式に従って換算した細孔直径(2R)と細孔容積との関係を描き、この関係曲線の微分係数dV/d(2R)を求めて縦軸とし、細孔直径2Rを横軸にすることで求められる。塗工層の細孔直径分布曲線は通常1〜数個のピークが認められる。
<紙支持体の作成>
木材パルプ(LBKP;ろ水度440mlCSF)100部、填料(炭酸カルシウム/タルク=75/25)15部、市販サイズ剤(サイズパインE−50、荒川化学社製)0.04部、硫酸バンド(北陸化成社製)0.45部、澱粉(リョウセイKH−1000、王子コンスターチ社製)1.00部、歩留向上剤88ppmよりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量170g/mの紙支持体を製造した。この紙支持体のステキヒトサイズ度は30秒であった。本発明の実施例、比較例ではすべてこの紙支持体を用いた。
<シリカ微粒子の水分散液の作成>
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約0.008μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製し、シリカ微粒子の水分散液を得た。
実施例1
「下塗り層用塗工液の調製」
合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−30、トクヤマ社製、平均二次粒子径3.0μm)100部、シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:PVA R1130、クラレ社製)40部、カチオン樹脂(商品名:ユニセンス CP103、センカ社製)3部、および水を混合し、塗工液濃度20.0%となるように調整した。
「インク受容層用塗工液Aの調製」
上記シリカ微粒子の水分散液(固形分として)100部に、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−140H、クラレ社製)17.5部、および水を混合し、塗工液濃度8.0%となるように調整した。
「光沢発現層用塗工液Aの調製」
カチオン変性単分散体コロイダルシリカ(商品名:ST−AKL、日産化学工業社製、平均粒子径45nm)100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA224、クラレ社製、部分ケン化ポリビニルアルコール、ケン化度:88%)10部、オレイン酸アンモニウム1部、および水を混合し、塗工液濃度5.0%となるように調整した。
「インクジェット記録用シートの作成」
紙支持体上に、上記下塗り層用塗工液を、10g/mになるように、エアナイフコーターで塗工乾燥し、下塗り層を得た。上記インク吸収層上に、3%の硼砂水溶液を塗工量が1.0g/mになるように、更にインク受容層用塗工液Aの塗工量が10g/mとなるように、Wet on Wet(2層以上塗工する場合、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)の条件でダイコーターにて塗工後、乾燥し、インク受容層を得た。
インク受容層上に、光沢発現層用塗工液Aの塗工量が1.0g/mとなるように塗工後、ウエット状態で表面温度が80℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、剥離させてインクジェット記録用シートを得た。
実施例2
実施例1のドラム温度80℃を95℃に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
実施例3
実施例1のインク受容層用塗工液Aを下記インク受容層用塗工液Bに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
「インク受容層用塗工液Bの調製」
上記シリカ微粒子の水分散液(固形分として)100部に、ポリビニルアルコール15.0部(商品名:PVA−140H、クラレ社製)、水を混合し、塗工液濃度8.0%となるように調整した。
実施例4
実施例1の光沢発現層用塗工液Aを下記光沢発現層用塗工液Bに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
「光沢発現層用塗工液Bの調製」
カチオン変性単分散体コロイダルシリカ(商品名:ST−AKL、日産化学工業社製、平均粒子径45nm)100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA505、クラレ社製、部分ケン化ポリビニルアルコール、ケン化度:73.5%)10部、オレイン酸アンモニウム1部、および水を混合して、塗工液濃度を5.0%となるように調整した。
実施例5
実施例1の光沢発現層用塗工液Aを下記光沢発現層用塗工液Cに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
「光沢発現層用塗工液Cの調製」
カチオン変性単分散体コロイダルシリカ(商品名:ST−AKL、日産化学工業社製、平均粒子径45nm)100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA624、クラレ社製、部分ケン化ポリビニルアルコール、ケン化度:95.5%)10部、オレイン酸アンモニウム1部、および水を混合して、塗工液濃度を5.0%となるように調整した。
実施例6
実施例1の光沢発現層用塗工液Aを下記光沢発現層用塗工液Dに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
「光沢発現層用塗工液Dの調製」
カチオン変性単分散体コロイダルシリカ(商品名:ST−30、日産化学工業社製、平均粒子径15nm)100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA224、クラレ社製、部分ケン化ポリビニルアルコール、ケン化度:88.0%)10部、オレイン酸アンモニウム1部、および水を混合して、塗工液濃度を5.0%となるように調整した。
実施例7
実施例1の光沢発現層用塗工液Aを下記光沢発現層用塗工液Eに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
「光沢発現層用塗工液Eの調製」
カチオン変性単分散体コロイダルシリカ(商品名:ST−MP1040、日産化学工業社製、平均粒子径100nm)100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA224、クラレ社製、部分ケン化ポリビニルアルコール、ケン化度:88.0%)10部、オレイン酸アンモニウム1部、および水を混合して、塗工液濃度を5.0%となるように調整した。
比較例1
実施例1の光沢発現層用塗工液Aを下記光沢発現層用塗工液Fに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
「光沢発現層用塗工液Fの調製」
カチオン変性単分散体コロイダルシリカ(商品名:ST−AKL、日産化学工業社製、平均粒子径45nm)100部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA124、クラレ社製、完全ケン化ポリビニルアルコール、ケン化度:98%)10部、ステアリン酸アンモニウム1部、および水を混合して、塗工液濃度を5.0%となるように調整した。
比較例2
実施例1の光沢発現層用塗工液Aを下記光沢発現層用塗工液Gに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
「光沢発現層用塗工液Gの調製」
カチオン変性単分散体コロイダルシリカ(商品名:ST−AKL、日産化学工業社製、平均粒子径45nm)100部、カチオン変性アクリルエマルジョン10部、ステアリン酸アンモニウム1部、および水を混合して、塗工液濃度を5.0%となるように調整した。
比較例3
実施例1の光沢発現層の塗工量1.0g/mを0.1g/mに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
比較例4
実施例1の光沢発現層の塗工量1.0g/mを3.5g/mに変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを得た。
(評価)
得られたインクジェット記録用シートについて、ビーディング、印字部の光沢感、及び擦過性を以下の基準で評価した。なお、得られた全てのインクジェット記録用シートは、白紙光沢感の高いものであった。
評価にあたって、インクジェット記録用シートの印字は、以下の条件で行った。また、評価結果と併せて、光沢発現層に用いたPVAのケン化度と、インクジェット記録用シートの光沢発現層の吸水量と接触角、光沢発現層の細孔直径分布曲線のピーク値の測定値を表1に示す。
・プリンターA
市販のインクジェットプリンター(EPSON社製、商標;PM−G820、インク;染料インク使用、印字モード;EPSON写真用紙/きれい)
・プリンターB
市販のインクジェットプリンター(EPSON社製、商標;PX−G900、インク;顔料インク使用、印字モード;EPSON写真用紙/きれい)
(ビーディング)
プリンターA(染料インクタイプ)を用いて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローインクで印字を行い、濃淡ムラを目視にて評価した。
○:濃度ムラが確認できない。
△:濃度ムラがややあるが、実用上問題にならないレベル。
×:濃度ムラがあり、実用上問題となるレベル。
(印字部の光沢感)
プリンターA(染料インクタイプ)を用いて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローインクで印字を行い、印字部の光沢を目視にて評価した。
○:銀塩写真並の光沢感。
×:銀塩写真対比で光沢感が劣る。
(擦過性)
プリンターB(顔料インクタイプ)を用いて、黒べた印字を行い、印字直後と印字120秒後にガーゼでふき取り、擦過を目視にて評価した。
○:擦過が確認できない。
△:擦過がややあるが、実用上問題にならないレベル。
×:擦過があり、実用上問題となるレベル。
Figure 2007185780

Claims (3)

  1. 支持体上に、少なくとも1層のインク受容層と、光沢発現層を有するインクジェット記録用シートにおいて、インク受容層は、平均粒子径5nm以上700nm以下の微細粒子を含有し、かつ、光沢発現層は平均粒子径10nm以上100nm以下のコロイダルシリカとケン化度70〜96%のポリビニルアルコールを含有し、乾燥塗工量が0.2〜3.0g/mであることを特徴とするインクジェット記録用シート。
  2. インクジェット記録用シートの光沢発現層面に、純水2μlの液滴を滴下し、5秒後のインクジェット記録用シートが吸収した吸水量が0.15μl以上であり、且つ、5秒後のインクジェット記録用シート表面に残った液滴の接触角が50°以上である請求項1記載のインクジェット記録用シート。
  3. 光沢発現層の細孔直径分布曲線におけるピークが0.003μm以上0.04μm以下にある請求項1又は2記載のインクジェット記録用シート。
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